JP2007212793A - 光導波路の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己形成光導波路の製造方法の改良。
【解決手段】低屈折率のラジカル重合性樹脂と高屈折率のカチオン重合性樹脂の混合溶液2に、いずれをも硬化させうる光λ1を導入する。ラジカル重合はカチオン重合よりも速いので、コア状に自己集光的に光硬化が進んだ段階では、ラジカル重合性樹脂はほぼ完全に重合しているが、カチオン重合性樹脂は完全には重合しておらずラジカル重合性樹脂の硬化物に未硬化のカチオン重合性樹脂が一部取り込まれた形となる。この段階で放置すると、コア表層6の液相においては、未硬化のカチオン重合性樹脂が多く、未硬化のラジカル重合性樹脂が少ない状態から、拡散により周囲と同程度の濃度分布となるが、コア表層6の固相はラジカル重合性樹脂硬化物が圧倒的に多い(1.C)。当該拡散後に全体を硬化させると、コア表層6’はラジカル重合性樹脂硬化物が多くなり、低屈折率部分が鞘状に形成されクラッドとなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液状の光硬化性樹脂組成物(以下、光硬化性樹脂液と言うことがある)を自己形成的に光硬化させてコアを形成する、光導波路の製造方法に関する。特に、コア外周部のみに低屈折率部分を鞘状に形成する技術に関する。
本願出願人は、「光硬化性樹脂組成物を自己形成的に光硬化させる」ことで、光導波路のコアとして用いることができる軸状の硬化物を開発し、現在に至るまで様々な提案を行ってきた。例えば下記特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献2の技術は次の通りである。透明容器に、低屈折率のラジカル重合性モノマーと高屈折率のカチオン重合性モノマーとから成る光硬化性樹脂の混合溶液を充填する。次に、光ファイバの片側を浸漬し、他端から比較的長波長の波長458nmのレーザー光を入射させる。これにより、ラジカル重合開始剤のみを活性化することで、混合溶液の低屈折率のラジカル重合性モノマーが、未硬化の高屈折率のカチオン重合性モノマーを取り込みながら軸状に硬化し、一部未硬化の光路部分が成長する。次に、波長458nmのレーザー光を止めて15分間静置する。この時、一部未硬化の光路部分の表層には、未硬化のラジカル重合性モノマーが拡散する。次に、透明容器の外部から、高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、混合溶液のラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤のいずれをも活性化して、残余の未硬化のラジカル重合性モノマー及びカチオン重合性モノマーを全て硬化させる。
特許第3444352号公報 特開2005−062365
特許文献2の技術は、ラジカル重合のみを光励起し、カチオン重合を光励起させないことを技術的本質としている。しかし、ラジカル重合のみを生じさせて自己集光的にコアを形成するためには、当該ラジカル重合のみにより硬化したコア部分(未硬化のカチオン重合性モノマーを取り込んでいる)の屈折率が未硬化部分よりも高くなる必要がある。するとラジカル重合性モノマーは、硬化前と硬化後とで屈折率差の大きいもの、即ち硬化収縮の大きいものを使用する必要があった。即ち、特許文献2の技術は、ラジカル重合性モノマーとして、硬化収縮の大きなモノマーしか利用できないため、硬化後の残留歪みが大きくなる。また、UV硬化による全体硬化時にも大きな硬化収縮が生じ、それに伴う自己形成光導波路とファイバとのはく離が生じ安く、光導波路が破壊される可能性がある。結局、自己形成可能なモノマーの種類が限定される。更には、伝送損失が比較的大きいこと、「拡散時間」が15分間から30分間程度と、比較的長くなり、製造工程全体の時間が長くなることも挙げられる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、低屈折率側のモノマーの選択幅を広げること、全体をUV硬化する際のはく離を抑制すること、伝送損失の低減及び製造工程の時間短縮である。
請求項1に係る発明は、硬化機構が異なり、低屈折率で硬化速度の速い第1の光硬化性樹脂液と高屈折率で硬化速度の遅い第2の光硬化性樹脂液の混合溶液を用い、前記第1の光硬化性樹脂液と前記第2の光硬化性樹脂液とをいずれも硬化させる第1の光照射により、未硬化の前記第2の光硬化性樹脂液を一部取り込む形で、前記第1の光硬化性樹脂液及び前記第2の光硬化性樹脂液を硬化させ、光が透過する光路部分を形成する第1の光硬化工程と、前記光路部分を形成した後、第1の光照射を止めて所定時間静置することで、前記光路部分の表層へ光路部分の外部の混合溶液から未硬化の前記第1の光硬化性樹脂液を拡散させる拡散工程と、前記第1の光硬化性樹脂液と前記第2の光硬化性樹脂液の両方を硬化させる第2の光照射により、少なくとも前記光路部分の表層へ拡散した未硬化の前記第1の光硬化性樹脂液及び前記光路部分の前記第2の光硬化性樹脂液を硬化させる第2の光硬化工程とから成り、屈折率の高い光路部分と、その表層の低屈折率部分とを有する光導波路を製造する方法である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光導波路を製造する方法において、前記第1の光照射は、光ファイバにより供給されることを特徴とする。
例えばラジカル重合はカチオン重合よりも反応速度が速い。本発明はこの点に着目し、これらを同時に重合開始させても、「コア」部分ではカチオン重合が完了しない点を利用するものである。以下、一例としてラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマーを中心に本発明の効果を説明するが、硬化機構と反応速度の異なる2つの重合系統の材料を用いることが本発明の本質であり、ラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマーに限定されるものではない。当然、「オリゴマー」を含む材料を用いることもできる。
本発明によれば、例えばラジカル重合とカチオン重合を組み合わせる場合、ラジカル重合とカチオン重合のいずれをも光励起させるので、それら全体の屈折率上昇が十分であれば自己集光的にコアを形成することができる。これは、特許文献2の技術よりも、ラジカル重合性モノマーとして、硬化前と硬化後とで屈折率差が比較的小さいものでも使用でき、選択幅を広くできることを意味する。更に、ラジカル重合性モノマーを複数種類の混合液を用いて、伝送損失を低減することも可能となる。また、ラジカル重合性モノマーのみでも硬化収縮が十分となる様な材料を用いた場合に比べ、最終段階において全体を硬化させる際の硬化収縮は小さいものとすることができるので、当該全体硬化の際に生じる歪を小さくすることができ、剥離を抑制することができる。更に、ラジカル重合性モノマーとして架橋密度の小さいものを用いることで、コア形成後の「コア表層」への未硬化モノマーの拡散が促進され、当該拡散時の「静置時間」を例えば30秒から2分間程度にまで短縮することができる。
例えばアクリル系とエポキシ系の混合モノマーを用いて、低損失な光導波路を作製するには、相溶性の優れたモノマーを用いることが必要である。実際には、アクリル系モノマーとエポキシ系モノマーとで、相溶性の優れた組み合わせはあまり多くない。材料選定の自由度が高いことは、低損失な光導波路を開発する上でも有効に働く。
本発明は以上の構成により、自己形成光導波路のクラッド形成に際して、材料の入れ替え工程が不要である。また、モノマーとして、比較的硬化収縮の少ないモノマーを利用することができ、硬化歪みの少ない自己形成光導波路を作製可能であると同時に、UV硬化時に硬化収縮に伴う自己形成光導波路とファイバとのはく離が生じにくくなる。また、自己形成可能なモノマーの種類が従来の方法よりも広い範囲で存在するため、材料選定が容易である。また、材料の入れ替え工程が不要な方法で作成した自己形成光導波路の中では、比較的低損失な自己形成光導波路を作製できる。また、材料の入れ替え工程が不要な方法で作成した自己形成光導波路の中では、拡散時間を短くできるために比較的短時間で自己形成光導波路を作製できる。
本発明の実施には、ラジカル重合するアクリルモノマーと、カチオン重合するエポキシモノマーとの組み合わせが好ましい。同じ波長の光に感度を有するアクリル系光重合性モノマーとエポキシ系光重合性モノマーの混合物を用いて自己形成光導波路を作製した場合、光軸に近い場所、すなわちコアの中心部においてはアクリルモノマーもエポキシモノマーも十分に重合しているが、光軸から離れた場所では、アクリルモノマーの反応率が高く、エポキシモノマーの反応率は低くなってくる。硬化部と未硬化部との界面付近には、アクリルモノマーは反応しているが、エポキシモノマーはほぼ未反応の領域が生じると考えられる。自己形成を誘起する光照射を停止した後、その領域付近のアクリルモノマーは、モノマー濃度分布を起因として光軸に向かう向きに拡散が生じる。この拡散に伴い、エポキシモノマーは光軸から離れる向きへ押し出される。その後、UV照射により残余の全モノマーを硬化させると、自己形成光導波路のコア周辺部に、コア中心部やコアより十分遠い場所と比べてアクリルモノマー残基の割合が高く、エポキシモノマー残基の割合が低い場所が存在する。もし、アクリルモノマーの硬化後の屈折率が、エポキシモノマーの硬化後の屈折率よりも低い場合、アクリルモノマー残基の割合が高く、エポキシモノマー残基の割合が低い場所は、相対的に屈折率の低い場所となり、すなわち、光導波路のクラッドになる。
その他本発明においては特許文献2に記載したような、様々な種類の光硬化性樹脂を用いることが可能である。また、光重合開始剤も、本発明の趣旨に沿った上で任意に選定することができる。
新中村化学工業社製A−BPE−10アクリル系モノマー(EO変成ビスフェノールAジアクリレート)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173光ラジカル重合開始剤を0.2wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液Aとした。アクリル系硬化性樹脂液Aを光硬化させた場合の波長633nmにおける屈折率は1.531であった。
次に、新中村化学工業社製APG−400アクリル系モノマー(ポリオキシプロピレンジアクリレート)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173光ラジカル重合開始剤を0.2wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液Bとした。アクリル系硬化性樹脂液Bを光硬化させた場合の波長633nmにおける屈折率は1.471であった。
次に、大阪有機化学工業社製V#190アクリル系モノマー(ジエチレングリコール系モノアクリレート)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173光ラジカル重合開始剤を0.2wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液Cとした。アクリル系硬化性樹脂液Cを光硬化させた場合の波長633nmにおける屈折率は1.473であった。
次に、共栄社化学社製エポライト3002エポキシ系モノマーにUCB社製Uvacure1600光カチオン重合開始剤(octoxyphenylphenyl−iodonium hexafluoro antimonate)を2wt%添加した組成物を調整し、エポキシ系硬化性樹脂液Dとした。エポキシ系硬化性樹脂液Dを光硬化させた場合の波長633nmにおける屈折率は1.552であった。
次にアクリル系硬化性樹脂液Aを9gと、アクリル系硬化性樹脂液Bを2gと、アクリル系硬化性樹脂液Cを5gとを、十分に攪拌混合した。この組成物をアクリル系硬化性樹脂液Eとする。アクリル系硬化性樹脂液Eを光硬化させたときの屈折率は1.506であり、エポキシ系硬化性樹脂液Dの硬化後の値よりも低かった。
透明容器にアクリル系硬化性樹脂液Eを充填し、プラスチック製光ファイバの片側を浸漬した。プラスチック製光ファイバとしては三菱レイヨン社製エスカミウを用いた。次に、プラスチック製光ファイバの他端から波長408nm、強度30mWのレーザー光を入射させ、プラスチック製光ファイバの浸漬した先端からアクリル系硬化性樹脂液Eに射出させた。アクリル系硬化性樹脂液Eは照射されたレーザー光により徐々に硬化し、自己集光性によって約2分間で長さ15mmの軸状のコアが形成された。同様な手順で、透明容器にエポキシ系硬化性樹脂液Dを充填し、プラスチック製光ファイバの浸漬した先端からレーザー光を照射した場合、約5分間で長さ15mmの軸状のコアが形成された。すなわち、アクリル系硬化性樹脂液Eの硬化速度は、エポキシ系硬化性樹脂液Dの硬化速度よりも早いことがわかった。
特許文献2と類似の構成により、次のように光導波路を製造した。アクリル系硬化性樹脂液Eを8gと、エポキシ系硬化性樹脂液Dを2gとを、十分に攪拌混合した。この組成物を硬化性樹脂液Fとする。透明容器1に硬化性樹脂液F(図1.A〜1.Cで符号2)を充填し、プラスチック製光ファイバ3の片側を浸漬した(図1.A)。プラスチック製光ファイバ3としては三菱レイヨン社製エスカミウを用いた。次に、プラスチック製光ファイバ3の他端から波長λ1=408nm、強度30mWのレーザー光を入射させ、プラスチック製光ファイバ3の浸漬した先端から硬化性樹脂液F(2)に射出させた。硬化性樹脂液F(2)は照射されたレーザー光により徐々に硬化し、自己集光性によって3.5分間で長さ15mmの軸状のコア4が形成された。尚、以下に述べる通り、軸状のコア4の内部は完全には硬化していない(図1.B)。次に、レーザー光照射を止めて1.5分間、静置した。この時、光路部分の表層6以外の部分5はすでに硬化反応がほぼ終了していると考えられる。また、光路部分の表層6においては、アクリル系硬化性樹脂液成分が光路部分に向かって拡散し、エポキシ系硬化性樹脂液成分が光路部分から離れる向きに拡散するという相互拡散が生じていたと考えられる(図1.C)。
次に、透明容器1の外部から、高圧水銀ランプにより紫外線UVを照射し、残余の硬化性樹脂液2を約3分間で全て硬化させた。こうして、光路部分の表層以外の部分5及び光路部分の表層6並びに硬化性樹脂液F(2)は、高屈折率のコア部5’と低屈折率のクラッド部6’、それを取り囲む高屈折率部分である硬化物2’の3重構造となった。このようにして光導波路10を形成した(図1.D)。低屈折率部分であるクラッド6’を取り囲む硬化物2’には、白濁の認められない透明なものであった。用いた硬化性樹脂液に含まれていた各成分の相溶性が良好であったためであると考えられる。
図2.A乃至図2.Cは、図1.B乃至図1.Dに対応させて、光軸中心から直径方向(両側半径方向)の範囲における、屈折率分布と、固相(重合物)及び液相(未重合物)のアクリル系(ラジカル重合性樹脂)とエポキシ系(カチオン重合性樹脂)の組成分布を模式的に示したものである。組成分布は縦方向の幅が組成の割合を示す。図2.A乃至図2.Cにおいては厳密性を考慮せず、大まかな様子を示していることを指摘する。
図2.Aは、図1.Bに対応させて、光路部分4と、未硬化の硬化性樹脂液F(2)における、屈折率分布と組成分布を示したものである。屈折率分布においては、アクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eの硬化前屈折率をnrl、硬化後屈折率をnrs、エポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dの硬化前屈折率をncl、硬化後屈折率をncsと示した。図を簡単にするため、図2.Aではアクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eとエポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dを1:1で混合した場合に対応する組成分布図となっている。また、そのような混合比において、アクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eとエポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dの混合物を完全に硬化させた場合の屈折率(nrsとncsの間の値)を屈折率の図で横方向の破線で示した。nrl<nrs<ncl<ncsdであって、アクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eとエポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dの混合物の硬化前屈折率と、完全に硬化させた場合の屈折率は共に、nrsとnclの間の値とした。
図1.Bの状態では、図2.Aのように、未硬化の硬化性樹脂液F(2)の部分は、液相であって、アクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eとエポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dの組成比は初期状態のままである。一方、アクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eが完全に硬化し、エポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dが部分的に硬化している光路部分4においては、その組成は固相はラジカル重合性樹脂硬化物(固相ラジカルと表記)とカチオン重合性樹脂硬化物(固相カチオンと表記)であるが、液相は未硬化のカチオン重合性樹脂(液相カチオンと表記)のみとなる。ここにおいて、図2.Aの光路部分4と未硬化の硬化性樹脂液F(2)との境界をはさんで、光路部分4側の液相は未硬化のカチオン重合性樹脂(液相カチオンと表記)のみ、未硬化物2側はアクリル系硬化性樹脂液(ラジカル重合性樹脂)Eとエポキシ系硬化性樹脂液(カチオン重合性樹脂)Dの初期状態の組成比である。
これをしばらく放置すると、当該境界を挟んで、液相部分について、未硬化物2側から光路部分4側へ未硬化のラジカル重合性樹脂(液相ラジカルと表記)が拡散し、逆に光路部分4側から未硬化物2側へ未硬化のカチオン重合性樹脂(液相カチオンと表記)が拡散する結果、図1.Cに対応する図2.Bのように、組成分布と屈折率が変化する。ここで重要なことは、光路部分4は、既に網目状又は繊維の塊状に硬化物が存在するため、液相の組成均一化の為の拡散に対する障害物が多いので、例えば液相の見掛け粘度が非常に高い状態であることである。一方、未硬化物2側は、初期状態の未硬化の硬化性樹脂液F(2)の粘度のままである。結果、光路部分4表層6における未硬化のカチオン重合性樹脂(液相カチオン)の拡散は、未硬化物2側との境界付近では初期状態の未硬化の硬化性樹脂液F(2)の組成比に近く、光路中心に向かってわずかに内部に入ったところでその拡散は届かないこととなる。一方、未硬化物2側においては、極めて素早く拡散するため、光路部分4表層5との境界近傍においてのみ、わずかに未硬化のカチオン重合性樹脂(液相カチオン)の組成が、初期状態の未硬化の硬化性樹脂液F(2)の組成よりも大きく成るに留まる。
この後、全体を硬化させると、図1.Dに対応する図2.Cの様になる。光路部分4表層6’(硬化後)のみ、固相ラジカルが多く、他の部分では固相ラジカルと固相カチオンの組成比は、初期状態の未硬化の硬化性樹脂液F(2)の液相ラジカルと液相カチオンの組成比と同じとなる。これは、図2.Cでは省略しているが、図2.A及び図2.Bにおいて横方向の破線で示した屈折率に一致することを意味する。
このようにして形成された光導波路10に波長660nmの光を導入し、カットバック法により伝送損失と結合損失を測定した。これを図3に示す。伝送損失は1.3dB/cm、結合損失は0.35dBであった。この損失値から考えると、本実施例で作製した光導波路は、導波路長1cm程度のデバイスには十分に適用可能と考えられる。実際、自己形成光導波路を用いた2波長多重光通信モジュールは、約8mmの導波路長で試作されており(米村正寿他、豊田中央研究所R&Dレビュー、Vol.40 No.2 p.18、2005)、そのようなデバイスへの応用が可能である。
尚、図2.A乃至図2.Cは概略を示したものであり、本実施例において、例えば図1.Bの光路部分4又は図1.Cの一部未硬化の光路部分の表層以外の部分5において、硬化物と未硬化物の割合、或いは硬化物及び未硬化物のそれぞれにおけるラジカル重合性樹脂とカチオン重合性樹脂の組成比が一定であることが本発明に必須とするものではない。本発明の本質は、図1.Bの状態において、光ラジカル重合と共に少なくとも光カチオン重合が生じていることであり、それらの光路部分4の内部の直径方向及び光路長方向における重合度については、何ら規定されない。例えば、硬化物が光路中心において多く、光路部分表層に向かってその割合が減る場合であっても良く、更にその場合、硬化物が光路中心において100%であっても良い。
〔比較例1〕
実施例1において、1.5分間の静置をせずに、波長408nmのレーザー光の照射を止めると同時に、透明容器1の外部から高圧水銀ランプにより紫外線を照射して光導波路を作製した。この光導波路は光導波路としては充分に機能しない、光閉じ込めができないものであった。
〔比較例2〕
実施例1における、1.5分間の静置を1分間にすることの他は実施例1と同様に長さ15mmの直線状光導波路を作製した。波長525nmにおける挿入損失が実施例1の直線状光導波路よりも0.4dB大きかった。
〔比較例3〕
実施例1における、1.5分間の静置を3分間にすることの他は実施例1と同様に作製した光導波路は、導波路部分が大きく屈曲してしまい、曲がり部の放射性損失により光導波路としては充分に機能しないものであった。これは、静置時間を長くしすぎたためにコアの中心部が硬化性樹脂液により膨潤して伸びてしまうことにより屈曲してしまったものと考えられる。
〔比較例4〕
実施例1において光重合開始材を替えて、特許文献2と同様に、コア形成時にカチオン重合を生じさせない場合を比較例4として実験した。新中村化学工業社製A−BPE−10アクリル系モノマーにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光ラジカル重合開始剤を0.3wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液A1とした。
次に、新中村化学工業社製APG−400アクリル系モノマーにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光ラジカル重合開始剤を0.3wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液B1とした。
次に、大阪有機化学工業社製V#190アクリル系モノマーにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光ラジカル重合開始剤を0.3wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液C1とした。
次に、アクリル系硬化性樹脂液A1を9g、アクリル系硬化性樹脂液B1を2g、アクリル系硬化性樹脂液C1を5g入れて、十分に攪拌混合した。この組成物をアクリル系硬化性樹脂液E1とする。
透明容器にアクリル系硬化性樹脂液E1を充填し、プラスチック製光ファイバの片側を浸漬した。次に、プラスチック製光ファイバの他端から、実施例1の波長408nmよりも長波長である波長442nmのHe−Cdレーザ光を強度約0.5mWの条件で照射した。アクリル系硬化性樹脂液E1は照射されたレーザー光により徐々に硬化し、自己集光性によって約1分間で長さ15mmの軸状のコアが形成された。
同様な手順で、透明容器に実施例1で用いたエポキシ系硬化性樹脂液Dを充填し、プラスチック製光ファイバの浸漬した先端から波長442nmのレーザー光を照射した場合、10分間の照射後においてもエポキシ系硬化性樹脂液Dは全く硬化しなかった。
アクリル系硬化性樹脂液E1を8gと、エポキシ系硬化性樹脂液Dを2gとを、十分に攪拌混合した。この組成物を硬化性樹脂液F1とする。透明容器に硬化性樹脂液F1を充填し、プラスチック製光ファイバの片側を浸漬した。次に、プラスチック製光ファイバの他端から波長442nmのHe−Cdレーザ光を照射した。光強度を強度0.1mWから10mWの範囲で実験したが、自己集光性による軸状のコアは形成されず、ファイバー端から放射状に広がった硬化物が得られた。波長442nmの光では、硬化性樹脂液F1の中のアクリル系硬化性樹脂液E1成分だけが硬化し、エポキシ系硬化性樹脂液D成分は硬化しない。しかし、アクリル系硬化性樹脂液E1成分だけが硬化することによる屈折率上昇では、自己集光性を示すために必要な屈折率に到達せず、その結果ファイバー端から放射状に広がった硬化物ができたと考えられる。
〔比較例5〕
モノマーを替えて、特許文献2と同様に、コア形成時にカチオン重合を生じさせない場合を比較例5として実験した。サートマー社製SR−454(EO変成トリメチロールプロパントリアクリレート)にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光ラジカル重合開始剤を0.3wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液A2とした。
次に、新中村化学工業社製APG−200アクリル系モノマーにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光ラジカル重合開始剤を0.3wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液B2とした。
次に、新中村化学工業社製A−400アクリル系モノマーにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE1800光ラジカル重合開始剤を0.3wt%添加した組成物を調整し、アクリル系硬化性樹脂液C2とした。
アクリル系硬化性樹脂液A2を10gと、アクリル系硬化性樹脂液B2を3gと、アクリル系硬化性樹脂液C2を2gとを、十分に攪拌混合した。この組成物をアクリル系硬化性樹脂液E2とする。
透明容器にアクリル系硬化性樹脂液E2を充填し、プラスチック製光ファイバの片側を浸漬した。次に、プラスチック製光ファイバの他端から波長442nmのHe−Cdレーザ光を強度約4mWの条件で照射した。アクリル系硬化性樹脂液E2は照射されたレーザー光により徐々に硬化し、自己集光性によって長さ15mmの軸状のコアが形成された。
アクリル系硬化性樹脂液E2を7.5gと、エポキシ系硬化性樹脂液Dを2.5gとを、十分に攪拌混合した。この組成物を硬化性樹脂液F2とする。透明容器に硬化性樹脂液F2を充填し、プラスチック製光ファイバの片側を浸漬した。次に、プラスチック製光ファイバの他端から波長442nm、強度4mWのHe−Cdレーザ光を照射した。硬化性樹脂液F2は照射されたレーザー光により徐々に硬化し、自己集光性によって4分間で長さ15mmの軸状のコアが形成された。本例では比較例4よりもかなり硬化収縮の大きなアクリル系モノマーを選択することにより、アクリル系硬化性樹脂液だけが硬化して、エポキシ系硬化性樹脂液は硬化しない条件においても自己集光性を実現することができた。次に、レーザー光照射を止めて3分間、静置した。次に、透明容器の外部から、高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、残余の硬化性樹脂液を約3分間で全て硬化させた。この時、残余の硬化性樹脂液の硬化に伴い、光導波路とファイバー端とがはく離してしまった。硬化収縮が原因であると考えられる。このはく離を抑えるには、低強度の紫外線照射により時間をかけてゆっくりと硬化させることが考えられるが、製造時間が長くなることにより生産性が落ちてしまい、実用上は不都合であると考えられる。
本発明の具体的な一実施例に係る光導波路の製造方法を示す工程図(断面図)。 図1.B乃至図1.Dにおける、屈折率分布と組成分布を示す概念図。 実施例1の光導波路の伝送損失を示すグラフ図。
符号の説明
1:透明容器
2:硬化機構の異なる低屈折率の第1の光硬化性樹脂液と高屈折率の第2の光硬化性樹脂液の混合溶液
2' :混合溶液の硬化物
3:光ファイバ
4:一部未硬化の光路部分
5:一部未硬化の光路部分の表層以外の部分
6:一部未硬化の光路部分の表層
5' :コア(完全に硬化した光路部分の表層以外の部分)
6' :クラッド(完全に硬化した光路部分の表層)

Claims (2)

  1. 硬化機構が異なり、低屈折率で硬化速度の速い第1の光硬化性樹脂液と高屈折率で硬化速度の遅い第2の光硬化性樹脂液の混合溶液を用い、
    前記第1の光硬化性樹脂液と前記第2の光硬化性樹脂液とをいずれも硬化させる第1の光照射により、未硬化の前記第2の光硬化性樹脂液を一部取り込む形で、前記第1の光硬化性樹脂液及び前記第2の光硬化性樹脂液を硬化させ、光が透過する光路部分を形成する第1の光硬化工程と、
    前記光路部分を形成した後、第1の光照射を止めて所定時間静置することで、前記光路部分の表層へ光路部分の外部の混合溶液から未硬化の前記第1の光硬化性樹脂液を拡散させる拡散工程と、
    前記第1の光硬化性樹脂液と前記第2の光硬化性樹脂液の両方を硬化させる第2の光照射により、少なくとも前記光路部分の表層へ拡散した未硬化の前記第1の光硬化性樹脂液及び前記光路部分の前記第2の光硬化性樹脂液を硬化させる第2の光硬化工程とから成り、
    屈折率の高い光路部分と、その表層の低屈折率部分とを有する光導波路を製造する方法。
  2. 前記第1の光照射は、光ファイバにより供給されることを特徴とする請求項1に記載の光導波路を製造する方法。
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