JP2007212611A - アクティブ消音ヘルメット、およびこれを用いた車両システム - Google Patents

アクティブ消音ヘルメット、およびこれを用いた車両システム Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な処理を要することなく、耳元音響伝達関数の個人差を補償でき、外部情報の入力の影響を排除してゲイン設定できるアクティブ消音ヘルメットを提供する。
【解決手段】アクティブ消音ヘルメット1は、ヘルメット本体10内の騒音を検出するマイク2と、騒音を打ち消すための音を発生するスピーカ3と、マイク2の出力信号を演算処理して制御信号を生成する制御回路5と、制御信号を増幅してスピーカ3に供給するアンプ6と、アンプ6のゲインを設定するゲイン設定部20と、モード切り換えスイッチ15とを備える。モード切り換えスイッチ15は、制御信号をアッテネータ18を通してアンプ6に供給する通常使用モードと、制御信号をアッテネータ18を迂回してアンプ6に供給するゲイン調節モードとの間で切り換える。ゲイン調節モードで共振音が生じるまでゲインを上げた後、通常使用モードとすると、適切な制御ゲインを設定できる。
【選択図】図1A

Description

本発明は、アクティブ消音ヘルメット、およびこれを用いた車両システムに関する。
近年、騒音源の音波と逆位相で同振幅の音波を2次的に生成し、波の干渉を利用して消音するアクティブ消音(ANC:Active Noise Cancel or Active Noise Control)技術が注目されている。この技術は、近年のディジタル信号処理技術の発展に伴い、いろいろな分野への適用・実用化が進められている。
このようなアクティブ消音技術の一例として、例えば、特許文献1には、アクティブ消音を利用したヘッドセットが開示されている。
このヘッドセットは、フィードバック型のアクティブ消音装置であって、音場の内外、つまり、イヤーカップ内とイヤーカップ外にそれぞれ1つ配置されたマイクを備えている。この装置は、同一の帯域通過特性を持つバンドパスフィルタを用いて、ある特定の周波数帯(例えば、共振周波数帯)における音場内外の騒音を比較し、両者の比が一定値になるように制御ゲイン(アンプのゲイン)を調節することにより、消音性能の向上を図っている。
しかしながら、特許文献1記載のアクティブ消音技術は、ヘッドセットを対象としているため、ヘッドセットとは音場の性質が異なるヘルメットには適用が困難である。
具体的には、ヘッドセットでは、消音対象の騒音源が遠方にあるのに対し、ヘルメットでは、ヘルメット内に多数の騒音源が存在する。すなわち、ヘルメットの場合に消音対象となる騒音は、主に、オートバイなどの自動二輪車の走行時にライダーがさらされる風切音である。また、車両から発生する騒音やロードノイズもヘルメット内に入ってくる。したがって、内部に多数の騒音源が発生して複雑な音場が形成されるヘルメットの場合には、単に音場内外の騒音を比較するだけでは、十分な消音効果を得ることができない。
そこで、下記特許文献2では、ヘルメット内に騒音を検出するマイクを配置し、その出力に基づいて、制御音を装着者の耳元で発生させるアクティブ消音ヘルメットが提案されている。このアクティブ消音ヘルメットは、ヘルメットの装着者の顔や頭の形状に依存する耳元空間の音響伝達特性(周波数伝達関数。以下「耳元音響伝達関数」という。)の個人差を補償するための自動ゲイン調節機能を有するフィードバック型のものである。
特表平08−510565号公報 特開2005−189836号公報
しかし、前記特許文献2の構成では、自動ゲイン調節のために、複数の周波数帯の音圧レベルを常時観測しなければならず、複雑な制御が必要である。
また、ライン入力などで外部情報(カーナビの音声案内、携帯電話の受話音声など)を入力し、ヘルメット内のスピーカから発音させる場合には、十分な消音効果が得られなくなるおそれがある。その理由を図7を用いて説明する。
特許文献2の発明では、風切音をヘルメット内のマイクで検出し、演算処理によって得られる風切音スペクトルの形状を基に、フィードバックゲインが自動調節される。しかし、装着者の耳元で、風切音と同時に外部情報が発せられると、マイクは風切音および外部情報の両方を検出するため、図7に示すとおり、スペクトルの形状が変化する。すなわち、図7に示す実測結果では、外部情報を発した場合、1.6kHz〜3.6kHzの周波数帯において、風切音スペクトルが十数dB以上増加し、スペクトル形状が大きく変化している。すなわち、マイクの検出値を演算処理した結果からは、風切音のみのスペクトルを得ることができない。したがって、風切音スペクトル形状を基にフィードバックゲインを適切に調節するのが難しい。
この問題を解決するために、マイクの検出値から外部情報分を差し引いて風切音のみを検出する方法が考えられる。しかし、外部情報分を正確に差し引くには、その前に耳元音響伝達関数を高精度に再現する再現回路が必要になるから、構成が複雑になる。そのうえ、耳元音響伝達関数には個人差が生じるため、高精度で再現回路を実現するのは困難である。
そこで、この発明の目的は、複雑な処理を要することなく、耳元音響伝達関数の個人差を確実に補償することができるアクティブ消音ヘルメット、およびこれを用いた車両システムを提供することである。
また、この発明の他の目的は、外部情報の入力の有無によらずに、耳元音響伝達関数の個人差を補償したゲイン設定を行うことができるアクティブ消音ヘルメット、およびこれを用いた車両システムを提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ヘルメット本体内の騒音を検出する騒音検出手段と、この騒音検出手段によって検出された騒音を打ち消すための音を発生する発音手段と、前記騒音検出手段の出力信号を演算処理して制御信号を生成する制御信号生成手段と、この制御信号生成手段によって生成される制御信号を増幅して前記発音手段に供給する増幅手段と、前記増幅手段のゲインを可変設定するゲイン設定手段と、第1モード(ゲイン調節モード)と、この第1モード(通常使用モード)のときよりも前記増幅手段のゲインを小さくする第2モードとの間で動作モードを切り換えるモード切り換え手段とを含む、アクティブ消音ヘルメットである。
この構成によれば、制御信号生成手段は、ヘルメット本体内の騒音を検出する騒音検出手段の出力信号を処理して制御信号を生成する。この制御信号を増幅手段によって増幅し、発音手段から消音用の音を発生させることにより、ヘルメット本体内での消音が達成される。
装着者がヘルメット本体を装着した状態で、共振音(ハウリング)が生じない範囲で増幅手段のゲインを最大に設定することによって、最大の消音効果が得られる。そこで、第1モードにおいて、使用者がヘルメット本体を装着した状態で、共振音が発生するまで増幅手段のゲインが上げられる。そして、共振音が発生する範囲で最小ゲインが設定できたところで、動作モードが第2モードに切り換えられる。すると、増幅手段のゲインは、共振音が発生していた第1モードのときよりも低くなる。これにより、共振音が発生しない範囲内でほぼ最大にゲインを設定できる。
このようにして、簡単な構成および処理で、装着者の個人差に応じた適切なゲイン設定が可能になり、ヘルメット内の騒音を効果的に消音できる。
前記モード切り換え手段は、前記増幅手段のゲインを前記ゲイン設定手段によって設定されるゲインに第1の係数(たとえば「1」)を掛けた値とする第1モードと、前記増幅手段のゲインを前記ゲイン設定手段によって設定されるゲインに前記第1の係数よりも小さな第2の係数(たとえは「1」未満の値)を掛けた値とする第2モードとの間で切り換えるものであってもよい。
また、前記モード切り換え手段は、前記増幅手段のゲインを前記ゲイン設定手段によって設定されるゲインに第1の定数(たとえば零)を加算した値とする第1モードと、前記増幅手段のゲインを前記ゲイン設定手段によって設定されるゲインに前記第1の定数よりも小さな第2の定数(たとえば負の値)を加算した値とする第2モードとの間で切り換えるものであってもよい。
前記増幅手段は、アンプ(増幅回路)とアッテネータ(減衰回路)とを含むものであってもよい。この場合に、前記モード切り換え手段は、前記アッテネータを能動化するか無効化するかを切り換えるものであってもよい。
前記モード切り換え手段は、操作者によって操作されるモード切り換え操作部材を含むものであってもよい。この場合に、第1モードから第2モードへの切り換えおよび第2モードから第1モードへの切り換えがいずれも手動で行われてもよいし、いずれか一方の切り換えを手動とし、他方を自動としてもよい。
請求項2記載の発明は、前記増幅手段が出力する制御信号および外部から入力される音情報を加算して前記発音手段に供給する加算手段をさらに含む、請求項1記載のアクティブ消音ヘルメットである。
前述のようなゲイン調節を音情報の外部入力を遮断した状態で事前に行っておくことにより、増幅手段のゲインが外部入力音情報に影響を受けることがなくなる。そのため、ゲイン調節後に加算手段へと外部入力音情報を与えても、ヘルメット内で共振(ハウリング)が生じたり、消音効果が不足したりすることがない。これにより、十分な消音効果が得られている状態で、装着者に対して、外部入力音情報を提供できる。
請求項3記載の発明は、輸送機器の乗員によって装着される、請求項1または2記載のアクティブ消音ヘルメットである。
輸送機器の典型例は、自動二輪車および四輪車両に代表される車両である。とくに、自動二輪車の乗員は、走行中、風切音、エンジン音、路面からのロードノイズなどのさまざまな騒音にさらされる。このような状況下でアクティブ消音ヘルメットを用いることによって、快適な乗車が可能になる。
また、外部入力音情報の聴取も容易になることから、カーナビゲーション装置からの音声案内情報、乗員間通信装置からの通信音声情報、携帯電話機からの音声情報(通話音声、メール読み上げ音声など)、その他の音情報機器からの音情報を、走行中においても良好に聴取できるようになる。
請求項4記載の発明は、装着者の耳元に閉空間が形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットである。
装着者がヘルメット本体を装着したときの耳元の閉空間の形状およびその空間の音響伝達特性(耳元音響伝達関数)は、装着者の顔や頭の形状等に依存する。そこで、装着者がヘルメット本体を装着した状態で前述のようなゲイン調節を行うことにより、装着者の個人差の影響を排除でき、個々の装着者の耳元音響伝達関数に適切に対応したゲインを設定できる。こうして、簡単な構成で、個々の装着者に適切に対応したゲイン調節を実現でき、消音効果を効果的に高めることができる。
請求項5記載の発明は、前記ゲイン設定手段は、使用者によって操作される操作部材と、この操作部材の操作位置を保持する操作位置保持手段と、前記操作部材の操作位置に応じたゲインを生成するゲイン生成手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットである。
この構成によれば、使用者が操作部材を操作して、その位置を変えることによって、ゲインを可変設定できる。また、操作位置保持手段によって操作部材の操作位置を保持できるので、設定したゲインを保持することができる。
したがって、使用者は、第1モードにおいて、操作部材を操作してゲインを変更するとともに、共振音が発生する最大ゲインを探し出し、そのときの操作部材の操作位置を操作位置保持手段によって保持させる。この状態で、動作モードが第2モードに切り換えられることによって、適切なゲイン設定が達成される。
このように、ゲインの変更を手動で行う構成とすることによって、構成を一層簡単にすることができる。また、共振音の有無を使用者の聴覚による判断に委ねることとすれば、より一層構成の簡素化を図ることができる。
請求項6記載の発明は、前記ゲイン設定手段は、前記第1モードのときに、時間とともに変動するゲインを生成する変動ゲイン生成手段と、前記第1モードのときに、装着者の耳元で共振音(ハウリング)が生じているかどうかを検出するハウリング検出手段と、このハウリング検出手段が共振音を検出する範囲内のゲインを、設定ゲインとして生成する設定ゲイン生成手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットである。
この構成によれば、第1モードのときに、ゲイン変更手段によってゲインを変更する一方で、ハウリング検出手段によって共振音の発生が検出される。そして、共振音が検出される範囲内のゲインが調整後のゲイン(設定ゲイン)として設定される。
この場合に、請求項7に記載されているように、前記設定ゲイン生成手段は、前記モード切り換え手段によって動作モードが前記第2モードとされたときに、前記増幅手段のゲインが共振音の生じない非共振範囲内の値となるように前記設定ゲインを生成するものであることが好ましい。これにより、前記第1モードで共振音が生じるようにゲイン調整を行わせた後に、前記第2モードに切り換えることにより、共振音が発生しない範囲内においてほぼ最大のゲインで増幅手段を動作させることができる。このようにして、半自動でゲイン調節を行うことができる。
前記設定ゲイン生成手段は、前記第2モードでの増幅手段のゲインが非共振範囲で最大のゲインとなるように前記設定ゲインを生成するものであることが好ましい。
また、前記設定ゲイン生成手段は、第1モードにおいて共振音が検出される範囲内で最小のゲインを設定ゲインとして生成する共振最小ゲイン生成手段を含むものであってもよい。これにより、第2モードに切り換えられて増幅手段のゲインが小さくなったときに、この増幅手段のゲインは非共振範囲でほぼ最大の値となる。
前記ハウリング検出手段は、前記騒音検出手段の出力信号に基づいて共振音の有無を検出するものであってもよいし、前記騒音検出手段とは別に設けた検出手段(マイク等)の出力信号に基づいて共振音の有無を検出するものであってもよい。
請求項8記載の発明は、車体と、請求項1〜7のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットとを含み、少なくとも前記騒音検出手段および発音手段は、前記アクティブ消音ヘルメットのヘルメット本体に備えられ、前記アクティブ消音ヘルメットの前記騒音検出手段および発音手段を除く残余の構成部分の少なくとも一部が前記車体に備えられて車体側装置を形成しており、前記車体側装置および前記騒音検出手段および発音手段との間で信号を授受するための通信手段をさらに含む、車両システムである。この構成により、アクティブ消音ヘルメットの構成部分の一部を車体に配置することができる。
請求項9記載の発明は、車体と、請求項1〜7のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットと、前記車体に備えられ、音情報を発生する音情報発生手段と、この音情報発生手段が発生する音情報を前記アクティブ消音ヘルメットのヘルメット本体に伝達する伝達手段と、前記ヘルメット本体に備えられ、前記伝達手段によって伝達される音情報を音響化する音情報発音手段とを含む、車両システムである。
この構成により、耳元音響伝達関数の個人差に応じたゲイン調節が行われた消音動作下において、車体側の音情報発生手段からの音情報をヘルメット装着者に提供することができる。これにより、ヘルメット装着者は、共振音の発生しない環境下で、提供される音情報を快適に聴取できる。
音情報発生手段の例としては、音声案内情報を生成するナビゲーションシステム、携帯電話のような移動電話機、ラジオ、オーディオ装置などを挙げることができる。
また、伝達手段には、音情報発生手段とヘルメット本体との間をケーブルで接続する有線通信手段のほか、赤外線通信や電波通信による無線通信手段も適用できる。この伝達手段は、前記請求項2記載の構成とする場合には、加算手段によって加算された信号を伝達するものであってもよい。
音情報発音手段の典型例は、ヘルメット本体内に装備されるスピーカである。たとえば、ヘルメット本体内に装備されたスピーカを音情報発音手段と消音のための発音手段とに共用してもよいし、音情報発音手段および消音用の発音手段として各別のスピーカをヘルメット本体内に設けてもよい。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1Aは、この発明の一実施形態に係るアクティブ消音ヘルメットのシステム構成を示すブロック図であり、図1Bは、そのアクティブ消音ヘルメットの外観図である。
このアクティブ消音ヘルメット1は、ヘルメットに適用されたフィードバック型のアクティブ消音装置であって、ヘルメット内の騒音(風切音など)を検出する騒音検出手段としてのマイク2と、検出された騒音を能動的に打ち消す音(2次音)を発生する発音手段としてのスピーカ3と、マイク2の出力信号を演算処理して、消音用の音(2次音)を発生させるための制御信号を生成する制御信号生成手段としての制御回路5と、生成された制御信号を増幅してスピーカ3に供給するアンプ6とを有する。
マイク2およびスピーカ3は、ヘルメット本体10の外郭11内の適切な所定位置に配置される。具体的には、図1Aに示すように、マイク2とスピーカ3とは、使用者4がヘルメット本体10を装着した状態で、使用者4の耳元空間に位置するようにそれぞれ配置される。特にマイク2は、使用者4が聞く音に近い音を検出できるよう、使用者4の耳元とスピーカ3との間にあって、使用者4の耳元に位置するように配置されている。このマイク2の位置が消音点となる。なお、図1Bにおいて、参照符号12はカバー、13はシールドを示す。
使用者4の耳元空間8は、ヘルメット本体10の帽体10aの内壁に配置された内装材であるパッド9によって取り囲まれた閉空間となっている。この耳元空間8の形状は、使用者4の顔および頭部の形状に依存するから、個々の使用者4に応じて異なる。これに起因して、耳元音響伝達関数の個人差が生じることになる。
制御回路5は、マイク2によって測定されたヘルメット内の耳元空間の所定位置(消音点)の音波形の瞬時値を取り込み、耳元空間内の消音点での音(聴感上のレベル)が最小になるように、スピーカ3を駆動する制御信号を算出する。この制御信号がアンプ6を介してスピーカ3に与えられることにより、スピーカ3から音が耳元空間に放射される。これにより、使用者4の耳元の騒音が相殺される。すなわち、制御回路5は、マイク2の位置で音が最小となるようにスピーカ3の出力を制御する。
ここで、フィードバック型アクティブ消音の基本原理について、図2を用いて説明する。図2は、この実施形態に係るアクティブ消音ヘルメットが対象とする制御系の構成を示す図である。図2中、「P」は制御対象の周波数伝達関数(耳元音響伝達関数)、「C」は制御フィルタ、つまり、制御回路5の周波数伝達関数、「K」は制御ゲイン(フィードバックゲイン)、「y」はマイク2の出力、「w」は騒音(風切音)である。
このアクティブ消音ヘルメット1においては、マイク2の出力yが、使用者4が聞く音に近いため、この値を小さくすることを目的とする。周知の制御理論によれば、制御フィルタCを耳元音響伝達関数Pの逆関数に設計した場合、制御ゲインKを大きくすればマイク出力yはゼロ(0)に近づくはずである。しかし、全周波数域で制御フィルタCを耳元音響伝達関数Pの逆関数に設計するのは困難であり、制御ゲインKを大きくすると、ある周波数(共振周波数)において、次第に増音し、ついには発散(ハウリング)してしまう。このように消音と増音とは表裏一体であり、増音を適度に抑えながら消音の効果を十分発揮するためには、制御ゲインKを適切な値に調節する必要がある。
例えば、実験の結果、消音対象の周波数域である100〜400Hzの領域(消音域)では、アクティブ消音の効果があり、制御ゲインKを大きくすればするほど消音量も大きくなることがわかっている。これに対し、2.5kHz付近には共振周波数が存在し、制御ゲインKを大きくすればするほど増音量が大きくなることがわかっている。このように、制御量(ここではマイク出力y)をある周波数帯で下げようとすると別の周波数帯で上がってしまう現象は、一般に、「ウォータベット効果」として知られている。
また、前述のように、耳元音響伝達関数には個人差があることがわかっている。すなわち、耳元音響伝達関数の位相には個人差が少なく、そのゲインの形状(周波数依存性)にも個人差が少ないが、ゲインの大きさが使用者によって全体的にシフトしている。よって、個人差を考慮せずに制御ゲインを一律に調節すると、使用者によっては制御ゲインKが効き過ぎて発散してしまったり、逆に、制御ゲインKが効かずに、発散はしなくても消音量が期待していたよりも小さくなってしまったりすることがある。したがって、制御対象のゲインに個人差がある場合にも、それに応じた制御ゲインKの調節が必要になる。
そこで、本実施形態では、個人差に応じて制御ゲインKを調節するため、アクティブ消音ヘルメット1は、図1Aに示すように、さらに、制御ゲインKを可変設定するゲイン設定手段としてのゲイン設定部20を有する。ゲイン設定部20は、この実施形態では、使用者が手動操作によって制御ゲインを可変設定するためのものである。
制御回路5とアンプ6との間には、通常使用モードとゲイン調節モードとを切り換えるモード切り換えスイッチ15が設けられている。通常使用モードとは、使用者(装着者)がアクティブ消音機能を利用するときのモードであり、自動二輪車等の車両に乗車するときは、通常使用モードが選択される。ゲイン調節モードとは、ヘルメット1の使用者が予め制御ゲインを調節するときに選択されるべきモードである。このゲイン調節モードに切り換えた状態で、ゲイン設定部20により、制御ゲインが可変設定される。
モード切り換えスイッチ15とアンプ6との間には、制御回路5が生成する制御信号をアンプ6へとそのまま通過させるパススルー回路16と、制御回路5が生成する制御信号をアッテネータ18で減衰させた後にアンプ6へと引き渡す減衰回路17とが備えられている。モード切り換えスイッチ15は、制御回路5の出力先をパススルー回路16および減衰回路17の間で切り換える。モード切り換えスイッチ15は、通常使用モード時には、制御回路5の出力先を減衰回路17とし、ゲイン調節モード時には、制御回路5の出力先をパススルー回路16とする。つまり、通常使用モード時には、減衰回路17によって減衰された制御信号がアンプ6に供給され、ゲイン調節モード時には、制御回路5が出力する制御信号が減衰されることなくアンプ6に供給される。
アンプ6とスピーカ3との間には、さらに、外部から入力される音情報を、増幅された制御信号に加算するための加算回路7が設けられている。この加算回路7には、音情報発生装置40が接続されている。この音情報発生装置40は、音声信号を生成する音源部41と、この音源部41が生成した音声信号を増幅して加算回路7に入力するアンプ42とを備えている。
したがって、ヘルメット本体10に備えられたスピーカ3からは、消音のための制御信号が発音されるとともに、音情報発生装置40から発生された音声信号が必要時に音響化されることになる。このように、この実施形態ではスピーカ3は音情報発音手段としても兼用されており、ヘルメット本体10の使用者は、風切音が消音された状況下で、音情報発生装置40から外部入力される音情報を聴取できる。
音情報発生装置40は、音声案内を行うナビゲーション装置であってもよいし、ラジオやオーディオプレーヤ等のオーディオ装置であってもよいし、携帯電話機であってもよい。
アッテネータ18のゲインKcはKc<1に設定されている。したがって、通常使用モード時には、ゲイン設定部20が設定するゲインKaにゲインKcを掛けて減衰した制御ゲインK=Kc・Kaによって制御信号が増幅されることになる。ゲイン調節モード時には、パススルー回路のゲイン「1」がゲイン設定部20によって設定されるゲインKaに乗じられるので、通常使用モード時よりも大きな制御ゲインKで制御信号が増幅される。
このように、この実施形態では、アンプ6およびアッテネータ18によって増幅手段が構成されている。そして、モード切り換えスイッチ15によってアッテネータ18の有効/無効(能動化/無効化)が選択される。これによって、当該アクティブ消音ヘルメット1の動作モードは、制御ゲインKが比較的小さな通常使用モードと、制御ゲインKが比較的大きくなるゲイン調節モードとに切り換えられるようになっている。
図3には、前述のようなアクティブ消音ヘルメット1を備えた車両システムの全体構成が示されている。この例では、アクティブ消音ヘルメット1の構成要素のうち、マイク2およびスピーカ3(たとえば平板スピーカ)などがヘルメット本体10に取り付けられており、制御回路5など構成部分は、車両の一例としての二輪車両の車体50に取り付けられた車体側装置としてのANCコントローラアンプ51に備えられている。前述の音情報発生装置40も車体50に取り付けられている。ANCコントローラアンプ51とマイク2およびスピーカ3との間は、複数本のケーブルを束ねたワイヤハーネス52を介して有線接続されている。
ワイヤハーネス52は、マイク2の出力信号をANCコントローラアンプ51に入力するためのマイク信号ライン53と、ANCコントローラアンプ51からの消音のための制御信号および外部入力された音声信号をスピーカ3に供給するための音声信号ライン54とを備えた通信手段を形成している。この通信手段は、この実施形態では、音情報発生装置40から外部入力される音情報をヘルメット本体10のスピーカ3に伝達する伝達手段としての働きをも担う。
ANCコントローラアンプ51および音情報発生装置40とヘルメット本体10との間は、必ずしも有線接続する必要はなく、赤外線通信、ブルートゥース通信その他の無線通信によって、それらの間の信号の授受を行うようにしてもよい。
図4は、モード切り換えスイッチ15およびゲイン設定部20などの具体的な構成例を説明するための図解図である。ヘルメット本体10の帽体10aには、棒状の操作部材21が貫通して取り付けられている。この操作部材21は、モード切り換え操作部材およびゲイン調節用の操作部材を兼ねる。操作部材21は、帽体10aの内方へと押し込むことができるとともに、帽体10aの外表面にそって所定方向にスライド可能であるように、帽体10aに取り付けられている。帽体10aの内表面には、操作部材21のスライド方向に沿って整列した歯列部材(ギヤ)22が設けられている。
操作部材21は、棒状の本体部23と、本体部23の外方側端に固定され使用者の手指によって押圧操作可能な操作部21aと、本体部23の中間部に固定され前記歯列部材22の歯部に対向配置された歯列部を有するストッパ24と、本体部23のストッパ24よりも内方側の中間部に固定された接点支持部25とを備えている。接点支持部25は、可動接点27を支持している。本体部23の内方側端は、ばね(たとえば圧縮コイルばね)26の一端によって、帽体10aの外方に向けて弾発的に付勢されている。したがって、操作部材21に対して帽体10aの内方に向かう外力が与えられていない状態では、ストッパ24は歯列部材22に押し付けられて、この歯列部材22に噛合し、操作部材21のスライド変位を規制する。このように、ストッパ24および歯列部材22は、操作部材21の操作位置を保持する操作位置保持手段を構成している。
ばね26の他端は、ゲイン生成手段としてのスライド式可変抵抗器30の可動接点31に結合されている。スライド式可変抵抗器30は、前記可動接点31と、この可動接点31が摺動自在に接触する長尺な抵抗体32とを備えている。抵抗体32の一端は、アンプ6(この実施形態ではオペアンプ)の反転入力端子に接続されており、可動接点31はアンプ6の出力端子に接続されている。アンプ6の非反転入力端子はグランド電位とされている。これにより、負帰還増幅回路が形成されており、操作部材21をスライドさせて可動接点31を抵抗体32上でスライドさせることにより、アンプ6を含む負帰還増幅回路のゲインを可変設定できる。
一方、接点支持部25によって支持されている可動接点27は、操作部材21のスライド方向に沿って延在するように配置された長尺な固定接点28に対向している。これらの可動接点27および固定接点28は、モード切り換えスイッチ15を構成している。固定接点28は、操作部材21が帽体10a内に押し込まれた状態で可動接点27に当接し、操作部材21のストッパ24が歯列部材22に噛合している状態では可動接点27に当接しないように帽体10a内に固定配置されている。また、固定接点28は、操作部材21のスライド範囲のいずれの位置でも可動接点27に対向するように、その長さおよび配置が選択されている。したがって、操作部材21が帽体10aに押し込まれた状態では、操作部材21のスライド位置によらずに、可動接点27および固定接点28間が導通する。また、操作部材21に対して帽体10aの内方に向かう外力が加えられていない状態では、操作部材21のスライド位置によらずに、可動接点27および固定接点28間は遮断状態となる。
固定接点28は、制御回路5からの制御信号が入力される入力ライン33に直接接続されている。一方、可動接点27には、制御回路5からの制御信号は、アッテネータ18を構成する抵抗34,35によって係数Kc倍に分圧されて入力されている。この分圧された制御信号は、さらに、抵抗36を介して、アンプ6の反転入力端子に入力されるようになっている。
可動接点27および固定接点28間が導通している状態では、入力ライン33を通ってアッテネータ18を迂回するパススルー回路16が形成される。したがって、制御回路5からの制御信号は、入力ライン33、固定接点28および可動接点27を順に通り、さらに、抵抗36を介してアンプ6の反転入力端子に入力される。一方、可動接点27および固定接点28間が遮断している状態では、制御信号は、アッテネータ18を含む減衰回路17へと導かれ、抵抗36を通ってアンプ6に入力される。このようにして、制御信号がアッテネータ18を通してアンプ6に入力される通常使用モードと、制御信号がアッテネータ18をバイパスしてアンプ6に入力されるゲイン調節モードとが、操作部材21の手動操作によって切り換えられる。
図5は、制御ゲインを調節する手順を説明するためのフローチャートである。使用者は、まず、ヘルメット本体10を装着する(ステップS1)。その状態で、使用者は、操作部材21を帽体10aの内方に押し込んでストッパ24と歯列部材22との噛合を解き(ステップS2)、さらに操作部材21をスライドさせて、制御ゲインを最小にする(ステップS3)。
次いで、使用者は、アクティブ消音ヘルメット1の電源を投入する(ステップS4)。具体的には、ANCコントローラアンプ51に備えられた電源スイッチ(図示せず)をオン状態とする。音情報発生装置40は、その電源を遮断しておくなどして、その出力が加算回路7に入力されないようにしておく。
この状態で、使用者は、操作部材21を帽体10aの内方に押し込みながらスライドさせて、フィードバックゲインを調節する(ステップS5)。このとき、使用者は、共振音(ハウリング)が発生するかどうかを、自身の聴覚によって判断する(ステップS6)。この場合、制御回路5が出力する制御信号は、アッテネータ18をバイパスしてアンプ6に入力されている。
使用者は、共振音が発生する範囲内で最小ゲインのスライド位置で操作部材21から手を離す(ステップS7)。これにより、制御回路5の出力信号が、アッテネータ18で減衰された後にアンプ6に入力される状態となる。
このようにして、制御ゲインは、共振音が発生する最小ゲインよりも、アッテネータ18による減衰分だけ、小さく設定される。換言すれば、共振音が発生しない範囲で、最大に設定される。これにより、共振音を発生させることなく、最大の消音効果を得ることができる。
このように、この実施形態では、使用者がヘルメット本体10を装着した状態でゲイン調節を手動で行う構成を採ることによって、簡単な構成で、使用者個々の耳元音響伝達関数に対応した適切な制御ゲインを設定することができる。
このようなゲイン調節を、アクティブ消音ヘルメット1の使用前に、外部情報を入力しない状態で行っておくことにより、外部情報の入力に伴う制御ゲインの不所望な変動を抑制できる。これにより、外部情報入力に起因して共振が生じたり、また、消音効果が少なくなったりすることを抑制または防止できる。その結果、使用者は、快適な消音環境下で、外部情報を聴取することができる。
図6は、この発明の他の実施形態に係るアクティブ消音ヘルメットの構成を説明するためのブロック図である。この図6において、前述の図1Aに示された各部に対応する部分には、図1Aの場合と同一の参照符号を付して示す。この実施形態では、ANCコントローラ60は、ディジタル信号処理回路(たとえばマイクロコンピュータを含むもの)で構成されている。
ANCコントローラ60は、マイク2の出力信号をディジタル信号に変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器61と、このA/D変換器61が出力するディジタル音声信号を処理する制御回路62と、モード切り換え部63と、アンプ64と、アンプ64が出力するディジタル制御信号をアナログ制御信号に変換して加算回路7に入力するD/A(ディジタル/アナログ)変換器65と、ゲイン設定部66とを備えている。制御回路62、モード切り換え部63およびアンプ64は、ディジタル信号に対して処理を行う点が異なるが、それぞれ,前述の第1の実施形態における制御回路5、モード切り換えスイッチ15およびアンプ6と同様の機能を有する機能処理部である。
ANCコントローラ60は、さらに、前述の実施形態におけるアッテネータ18と同様な処理をディジタル信号処理によって行うアッテネータ67を備えている。モード切り換え部63は、アッテネータ67による処理を能動化する通常使用モードと、アッテネータ67による処理を無効化するゲイン調節モードとを切り換えるためのものである。
ANCコントローラ60は、さらに、自動較正開始スイッチ70の操作に応答してモード切り換え部63にモード切り換えを行わせる切り換え制御部71と、A/D変換器61の出力データに基づいて共振音(ハウリング)が発生しているかどうかを検出するハウリング検出器72とを備えている。ハウリング検出器72は、共振音を検出すると、共振音検出信号を出力する。この共振音検出信号は、切り換え制御部71およびゲイン設定部66に入力される。自動較正開始スイッチ70は、ヘルメット本体10の帽体10aに備えられてもよいし、ANCコントローラ60(すなわち車体側装置)に備えられてもよい。
ゲイン設定部66は、アンプ64のゲインを記憶するゲイン記憶部75と、このゲイン記憶部75に記憶されているゲインの値を書き換える変動ゲイン生成手段としてのゲイン制御器76とを備えている。
ゲイン制御器76は、自動較正開始スイッチ70が操作されると、最小ゲインから漸増するゲイン値をゲイン記憶部75に順次設定していくとともに、ハウリング検出器72から共振音検出信号が入力されると、ゲイン値の更新を終了する。アンプ64は、ゲイン記憶部75に書き込まれたゲインの値で入力信号を増幅するので、そのゲインは、最小ゲインから共振音が発生するまで漸増していく。
ゲインが漸増されることによって、ヘルメット本体10内で共振音が発生する状態に至ると、ハウリング検出器72は、共振音検出信号を出力する。この共振音検出信号に応答して、ゲイン制御器76は、ゲイン記憶部75のゲイン値の書き換えを自動停止する。また、共振音検出信号に応答して、切り換え制御部71は、モード切り換え部63を制御して、通常使用モードへと自動復帰させる。
制御ゲインの調節に際して、使用者は、ヘルメット本体10を装着し、かつ、外部情報が加算回路7に供給されない状態として、自動較正開始スイッチ70を操作する。これにより、切り換え制御部71によってモード切り換え部63が制御され、動作モードがゲイン調節モードへと切り換えられる。これにより、アッテネータ67が無効化され、制御回路62が生成する制御回路が減衰されることなくアンプ64に入力される状態となる。一方、ゲイン制御器76は、最小ゲインから漸増するゲイン値を順次ゲイン記憶部75に書き込む。
これにより、アンプ62のゲインが漸増していくので、使用者の耳元音響伝達関数に依存する或るゲイン値で、共振音が発生する。この共振音がハウリング検出器72に検出されることによって、ゲイン制御器76によるゲイン値の更新が停止され、切り換え制御部71によるモード切り換え部63の制御により、通常使用モードへと動作モードが復帰する。
こうして、アッテネータ67が無効化されている状態で共振音が生じる最小ゲイン(設定ゲイン)がゲイン記憶部75に設定され、ゲイン記憶部75は共振最小ゲイン生成手段(設定ゲイン生成手段)として機能することになる。このようなゲインがゲイン記憶部75に記憶された後に、アッテネータ67が能動化される。その結果、通常使用モード時に共振音が生じることのない範囲で最大のゲインが自動設定されることになる。これにより、使用者の耳元音響伝達関数に対応した適切なゲインで最大の消音効果を得ることができる。このようにして、複雑な処理を要することなく、個々の使用者の耳元音響伝達関数の個人差に適応した制御ゲイン設定が可能になる。
また、制御ゲインは、外部情報の入力による影響を受けることがないので、騒音を最小限に抑制した状態で、共振音を生じさせることなく、使用者に対して外部情報を提供することができる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の第1の実施形態では、ヘルメット本体10側に操作部材21およびこれに関連する構成を配置した例を示したが、操作部材およびこれに関連する構成をANCコントローラアンプ51(すなわち、車体側装置)に設けてもよい。
前述の第1および第2の実施形態では、ヘルメット本体側装置と車体側装置とに構成部分を分けているが、アクティブ消音ヘルメットを構成する全ての構成部分をヘルメット本体に備えることとしてもよい。この場合、アクティブ消音ヘルメットに外部入力端子を設けて音情報発生装置の出力信号の外部入力を可能としたり、赤外線通信、ブルートゥース通信その他の通信手段によって、音情報発生装置からアクティブ消音ヘルメットへの外部入力を可能としたりすることができる。
さらに、前述の第1および第2実施形態では、アッテネータの有効/無効の切り換えによって、通常使用モード時には制御ゲインを抑え、ゲイン調節モード時には制御ゲインが大きくなるようにしているが、別の構成によって同様のモード切り換えを行うこともできる。たとえば、図6に示された構成において、ゲイン記憶部75からアンプ64に設定されるゲインに係数を乗じる構成とし、その係数を通常使用モード時には小さく、ゲイン調節モード時には大きく設定するようにしてもよい。また、ゲイン調節モード時にはゲイン記憶部75に記憶されているゲイン値をそのままアンプ64に設定する一方で、通常使用モード時にはゲイン記憶部75に記憶されているゲイン値から正の定数を差し引いた値をアンプ64に設定する構成としてもよい。
また、前述の実施形態は、ヘルメットが必要とされる限りにおいて、二輪車両に限らず、三輪車両、四輪車両その他の形態の車両にも適用可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係るアクティブ消音ヘルメットのシステム構成を示すブロック図である。 そのアクティブ消音ヘルメットの外観図である。 前記アクティブ消音ヘルメットが対象とする制御系の構成を示す図である。 前記アクティブ消音ヘルメットを備えた車両システムの全体構成を示す図である。 モード切り換えスイッチおよびゲイン設定部などの具体的な構成例を説明するための図解図である。 制御ゲインを調節する手順を説明するためのフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係るアクティブ消音ヘルメットの構成を説明するためのブロック図である。 風取音のみの場合と、ヘルメット装着者の耳元で風切音と同時に外部情報が発せられる場合とのスペクトルの形状変化を説明するための図である。
符号の説明
1 アクティブ消音ヘルメット
2 マイク
3 スピーカ
4 使用者
5 制御回路
6 アンプ
7 加算回路
8 耳元空間
9 パッド
10 ヘルメット本体
10a 帽体
11 外郭
12 カバー
13 シールド
15 モード切り換えスイッチ
16 パススルー回路
17 減衰回路
18 アッテネータ
20 ゲイン設定部
21 操作部材
21A 操作部
22 歯列部材
23 本体部
24 ストッパ
25 接点支持部
26 ばね
27 可動接点
28 固定接点
30 スライド式可変抵抗器
31 可動接点
32 抵抗体
33 入力ライン
34,35,36 抵抗
40 音情報発生装置
41 音源部
42 アンプ
50 車体
51 ANCコントローラアンプ
52 ワイヤハーネス
53 マイク信号ライン
54 音声信号ライン
60 コントローラ
61 A/D変換器
62 制御回路
63 モード切り換え部
64 アンプ
65 D/A変換器
66 ゲイン設定部
67 アッテネータ
70 自動較正開始スイッチ
71 切り換え制御部
72 ハウリング検出器
75 ゲイン記憶部
75 順次ゲイン記憶部
76 ゲイン制御器

Claims (9)

  1. ヘルメット本体内の騒音を検出する騒音検出手段と、
    この騒音検出手段によって検出された騒音を打ち消すための音を発生する発音手段と、
    前記騒音検出手段の出力信号を演算処理して制御信号を生成する制御信号生成手段と、
    この制御信号生成手段によって生成される制御信号を増幅して前記発音手段に供給する増幅手段と、
    前記増幅手段のゲインを可変設定するゲイン設定手段と、
    第1モードと、この第1モードのときよりも前記増幅手段のゲインを小さくする第2モードとの間で動作モードを切り換えるモード切り換え手段とを含む、アクティブ消音ヘルメット。
  2. 前記増幅手段が出力する制御信号および外部から入力される音情報を加算して前記発音手段に供給する加算手段をさらに含む、請求項1記載のアクティブ消音ヘルメット。
  3. 輸送機器の乗員によって装着される、請求項1または2記載のアクティブ消音ヘルメット。
  4. 装着者の耳元に閉空間が形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメット。
  5. 前記ゲイン設定手段は、
    使用者によって操作される操作部材と、
    この操作部材の操作位置を保持する操作位置保持手段と、
    前記操作部材の操作位置に応じたゲインを生成するゲイン生成手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメット。
  6. 前記ゲイン設定手段は、
    前記第1モードのときに、時間とともに変動するゲインを生成する変動ゲイン生成手段と、
    前記第1モードのときに、装着者の耳元で共振音が生じているかどうかを検出するハウリング検出手段と、
    このハウリング検出手段が共振音を検出する範囲内のゲインを、設定ゲインとして生成する設定ゲイン生成手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメット。
  7. 前記設定ゲイン生成手段は、前記モード切り換え手段によって動作モードが前記第2モードとされたときに、前記増幅手段のゲインが共振音の生じない非共振範囲内の値となるように前記設定ゲインを生成するものである、請求項6記載のアクティブ消音ヘルメット。
  8. 車体と、
    請求項1〜7のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットとを含み、
    少なくとも前記騒音検出手段および発音手段は、前記アクティブ消音ヘルメットのヘルメット本体に備えられ、
    前記アクティブ消音ヘルメットの前記騒音検出手段および発音手段を除く残余の構成部分の少なくとも一部が前記車体に備えられて車体側装置を形成しており、
    前記車体側装置および前記騒音検出手段および発音手段との間で信号を授受するための通信手段をさらに含む、車両システム。
  9. 車体と、
    請求項1〜7のいずれかに記載のアクティブ消音ヘルメットと、
    前記車体に備えられ、音情報を発生する音情報発生手段と、
    この音情報発生手段が発生する音情報を前記アクティブ消音ヘルメットのヘルメット本体に伝達する伝達手段と、
    前記ヘルメット本体に備えられ、前記伝達手段によって伝達される音情報を音響化する音情報発音手段とを含む、車両システム。
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