JP2007212217A - テンプ用回転バランス調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業者に極力負担をかけることなく、短時間でテンプの回転バランスを規定値内に収めるように自動的に調整すること。
【解決手段】脱進機と組み合わされて機械式時計内に内蔵されたテンプの回転バランスを自動的に調整する装置であって、テンプを軸体回りに所定の回転数で回転させて、半径方向の重心位置を測定する回転バランス測定手段11と、測定された重心位置から、天輪の重量調整量及び重量調整位置を算出する算出手段12と、算出された重量調整量及び重量調整位置に基づいて、天輪の重量バランスを調整するバランス調整手段13と、回転バランス測定手段とバランス調整手段との間でテンプを搬送する搬送手段16と、重心位置と回転中心位置との間の偏心量が、規定値以下になるまで回転バランス測定手段とバランス調整手段とを連続的に繰り返し作動させる制御手段17とを備えているテンプ用回転バランス調整装置10を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、機械式時計の内部に組み込まれ、ガンギ車及びアンクルと共に調速機構を構成するテンプ(天府)の回転バランスを自動的に調整するテンプ用回転バランス調整装置に関するものである。
従来より、機械式時計の調速機構は、ガンギ車及びアンクルから構成される脱進機と、テンプとから構成されているのが一般的である。ここで、この調速機構について、図面を参照して簡単に説明する。
まず、ガンギ車40は、図7に示すように、複数の車が集まって構成される輪列の最後の車として機械式時計内に組み込まれており、特殊なカギ型をした歯車41を有する車である。このガンギ車40は、直前の車、例えば、5番車の歯車に図示しない“かな”(軸に形成されたギザギザの部分)が噛合されている。これにより、輪列を介してゼンマイからの回転力がガンギ車40に伝達され、該ガンギ車40を回転させるようになっている。
また、アンクル50は、図8に示すように、3つのアンクルビーム51によってT字状に形成されたアンクル体52と、2つのアンクルビーム51の先端に取り付けられた入り爪53及び出爪54と、残りのアンクルビーム51の先端に取り付けられたアンクルハコ55とから構成されている。また、アンクル体52は、軸であるアンクル真56によって回転自在に支持されている。入り爪53及び出爪54は、四角柱状に形成されたルビーであり、接着剤等によりアンクルビーム51に接着固定されている。
このように構成されたアンクル50は、アンクル真56を中心に回転したときに、入り爪53若しくは出爪54がガンギ車40の歯車41に接触するようになっている。また、この際、アンクルハコ55が取り付けられたアンクルビーム51が、後述するドテピンPに接触するようになっている。これにより、アンクル50は、同方向にそれ以上回転しないようになっている。その結果、ガンギ車40の回転も一時的に停止した状態となる。このアンクル50の動きについては、後に詳細に説明する。
上記テンプ60は、図9に示すように、環状に形成された天輪61と、該天輪61の中心に配された軸体である天真62と、該天真62と天輪61とを接続するアーム63と、天真62の外周面に固定された振り石64とから構成されている。
このテンプ60は、図示しないテンプ受けによって回転自在に支持されている。更に、テンプ受けとテンプ60との間には、ヒゲゼンマイ65が取り付けられており、これによってテンプ60が左右に振幅運動するようになっている。
このヒゲゼンマイ65は、リボンのような金属帯がゼンマイのように巻かれたスプリング状のものであり、一端が天真62に取り付けられた図示しないヒゲ玉(C型状の固定部材)に固定され、他端がテンプ受けに取り付けられたヒゲ持ちに固定されている。テンプ60は、このヒゲゼンマイ65によって、回転がある程度規制された半固定状態で支持されている。このテンプ60の動きに関しても、後に詳細に説明する。
このように構成されたテンプ60は、天真62の外周面がアンクルハコ55に接触するように、配置されている。
次に、上述したように構成された調速機構の動きについて説明する。
まず、図示しないゼンマイからの回転力が輪列を介してガンギ車40に伝達されると、該ガンギ車40は、例えば、時計方向に回転し始める。この際、テンプ60からの力(後述する)を受けて、アンクル50がアンクル真56を中心に時計方向に回転するので出爪54がガンギ車40の進行方向に降りてくる。これにより、図10に示すように、ガンギ車40の歯車41とアンクル50の出爪54が接触すると共に、アンクルビーム51がドテピンPに接触する。よって、ガンギ車40は、一時的に回転が停止した状態となる。
一方、アンクル50は、ガンギ車40と接触することで、時計方向に強く押されて衝撃を受けた状態となる。この衝撃を受けた瞬間、アンクルハコ55は、テンプ60の振り石64を時計方向に強く蹴りだす(弾く)。振り石64が蹴られると、テンプ60は天真62を中心に半時計方向に回転し始める。ところが、テンプ60には、ヒゲゼンマイ65が巻かれているので、ある程度半時計方向に回転した時点で、ヒゲゼンマイ65に引っ張られ、回転方向が逆転して時計方向に回転し始める。この際テンプ60は、勢いが付いているので回転開始地点よりも回転する。その結果、振り石64がアンクルハコ55に再度衝突して、アンクルハコ55を半時計方向に弾く。また、この衝撃によって、テンプ60は回転力が弱まった状態となる。
また、半時計方向に弾かれたアンクル50は、アンクル真56を中心に回転するので、図11に示すように、歯車41に接触していた出爪54が外れると共に半時計方向にそのまま回転する。ここで、ガンギ車40は、ゼンマイからの回転力が常に伝達されている状態であるので、出爪54が外れた瞬間に停止が解かれて、再度時計方向に回転し始める。すると、図12に示すように、半時計方向に動きだしたアンクル50の入り爪53が、ガンギ車40の歯車41の進行方向に再度降りてきて歯車41に接触する。これによって、ガンギ車40は再度停止した状態となる。つまり、歯車41が1つ進んだことになる。
また、アンクル50は、ガンギ車40と再度接触することで、半時計方向に強く押されて再び衝撃を受けた状態となる。この衝撃を受けた瞬間、アンクルハコ55は、回転の弱まったテンプ60の振り石64を半時計方向に強く蹴りだす。振り石64が蹴られると、テンプ60は天真62を中心に時計方向に回転し始め、上述したと同様に、ある程度回転した時点でヒゲゼンマイ65の力を受けて半時計方向に回転する。そして、再度振り石64でアンクルハコ55を半時計方向に弾く。これにより、ガンギ車40は、また歯車41が1つ進んだ状態となる。以下、上述した動作が連続的に繰り返される。
上述したように、ガンギ車40とアンクル50との噛み合い運動によって、ゼンマイからの回転運動がアンクル50の往復運動に切り替わってテンプ60を動かすと共に、テンプ60の振幅運動によって、アンクル50を再度往復運動させて、ガンギ車40の歯車41を1つずつ進ませることができる。このように、ガンギ車40、アンクル50及びテンプ60がそれぞれ複雑に絡み合いながら作動することで、時を刻むことができる。
特に、ガンギ車40、アンクル50及びテンプ60のうち、テンプ60は機械式時計の心臓部であり、高精度で精密な動きが要求される。そのため、最適な回転状態を維持するために、テンプ60の回転バランス調整が最も重要な作業とされている。この回転バランス調整は、一般的に天輪61の重量バランスを調整することで行われている。また、天輪61の重量バランス調整は、経験を要する職人が行う場合もあるが、通常はテンプ60の回転バランスの検出と天輪61の重量バランス調整とをそれぞれロボット等の装置を利用して行っている。
特開昭61−178631号公報
しかしながら、上記従来の方法では以下の課題がまだ残されている。
従来のテンプ60の回転バランスの調整は、ロボット等の装置を利用するとはいえ、回転バランス検出と重量バランス調整とを、それぞれ単独で行うものでしかなかった。この回転バランス調整について簡単に説明すると、まず、作業者がテンプ60を、回転バランスを検出する検出装置にセットする。そして、検出装置で回転バランスを検出した後、作業者がテンプ60を加工装置まで搬送してセットする。そして、検出装置による検出結果を入力して、天輪61の重量バランス調整を行う。この重量バランス調整は、例えば、天輪61の所定位置を削ったり、所定位置に錘を加えたりすることで行われる。
次いで、重量バランス調整後、作業者がテンプ60を検出装置にセットして、再度回転バランスの検出を行う。そして、テンプ60の回転バランスが、規定値に達するまで、上述した回転バランスの検出と重量バランス調整とを繰り返し行うものであった。
ところが、近年の時計の高精度化に伴い、テンプ60の回転バランスに関してシビアな調整が必要となってきた。そのため、規定値に達するまで、上述したテンプ60の回転バランスの検出と天輪61の重量バランス調整とを何度も繰り返す必要が生じてきた。その結果、作業者の負担が大きく、また、調整時間が多大にかかるものであった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、作業者に極力負担をかけることなく、短時間でテンプの回転バランスを規定値内に収めるように、自動的に調整することができるテンプの回転バランス調整装置を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明のテンプ用回転バランス調整装置は、脱進機と組み合わされて機械式時計内に内蔵され、環状に形成された天輪と該天輪の中心に配された軸体と該軸体と天輪とを連結させるアーム部とから構成されるテンプの、回転バランスを自動的に調整するテンプ用回転バランス調整装置であって、前記テンプを前記軸体回りに所定の回転数で回転させて、半径方向の重心位置を測定する回転バランス測定手段と、測定された前記重心位置から、前記天輪の重量調整量及び重量調整位置を算出する算出手段と、算出された前記重量調整量及び前記重量調整位置に基づいて、前記天輪の重量バランスを調整するバランス調整手段と、前記回転バランス測定手段と前記バランス調整手段との間で、前記テンプを搬送すると共にそれぞれに受け渡し可能な搬送手段と、前記重心位置と前記回転中心位置との間の偏心量が、規定値以下になるまで前記回転バランス測定手段と前記バランス調整手段とを連続的に繰り返し作動させる制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
この発明に係るテンプ用回転バランス調整装置においては、まず、回転バランス測定手段にテンプをセットし、該テンプを軸体回りに回転させる。そして、所定の回転数に達した後、半径方向の重心位置の測定を行う。具体的には、回転時の偏心量及び偏心角度から、重心位置の測定を行う。これにより、テンプの回転バランスを調べることができる。また、この測定と同時に、算出手段が測定された重心位置から、天輪の重量調整量及び重量調整位置の算出を行う。つまり、テンプ全体の回転バランスの不釣合いを、天輪の重量バランスで調整できるように換算する。
搬送手段は、制御手段による制御を受けて、回転バランスの測定が終了したテンプを回転バランス測定手段から受け取ってバランス調整手段に搬送すると共に、該バランス調整手段に受け渡す。バランス調整手段は、受け取ったテンプの回転バランスの調整を、天輪の回転バランスを調整することで行う。即ち、バランス調整手段は、算出手段で算出された重量調整量及び重量調整位置に基づいて、天輪の重量バランスの調整を行う。例えば、天輪を一部分削って重量バランスを変化させたり、天輪の一部分に錘を付けて重量バランスを変化させたりする。これにより、テンプ全体の重心位置が変化して、該重心位置が回転中心位置に近づいた状態となる。即ち、重心位置と回転中心位置との間の偏心量が少なくなって、回転バランスが良くなった状態となる。
この天輪の重量バランスが終了した後、搬送手段は、制御手段による制御を受けて、バランス調整手段から再度テンプを受け取って回転バランス測定手段に搬送すると共に、該回転バランス測定手段に受け渡す。そして、回転バランス測定手段が、再度テンプを回転させて回転バランスの測定を行う。
そして、制御手段は、上述したテンプの回転バランス測定と天輪の重量バランス調整とを、偏心量が所定の規定値以下に達するまで連続的に繰り返し行うように、回転バランス測定手段及びバランス調整手段それぞれ制御する。
その結果、テンプの回転バランスを、所望する規定値以下に自動的に調整することができる。そのため、従来のように、作業者がテンプをハンドリングしながら何度も各装置間を行き来する必要がない。従って、作業者に極力負担をかけることなく、容易且つ短時間でテンプの回転バランスを所望する規定値以下に自動的に調整することができる。
また、本発明のテンプ用回転バランス調整装置は、上記本発明のテンプ用回転バランス調整装置において、回転バランス調整前の前記テンプを複数収納する収納部を備え、前記制御手段が、前記収納部に収納されている複数の前記テンプの中から選択した1つのテンプを取り出させると共に、前記回転バランス調整手段に搬送して受け渡すように前記搬送手段を制御することを特徴とするものである。
この発明に係るテンプ用回転バランス調整装置においては、収納部を備えているので、回転バランス調整前のテンプを予め複数収納しておくことができる。そして、搬送手段が、制御手段による制御を受けて、収納部に収納されている複数のテンプの中から、該テンプを1つ取り出して回転バランス測定手段に搬送する。
このように、作業者が収納部に複数のテンプを収納しておくだけで、人手を介さずに自動的に回転バランス測定手段へのテンプのセットを行うことができる。よって、作業者の負担をさらに低減することができると共に、作業時間の短縮化を図ることができる。
また、本発明のテンプ用回転バランス調整装置は、上記本発明のテンプ用回転バランス調整装置において、回転バランス調整後の前記テンプを複数保管する保管部を備え、前記制御手段が、前記規定値以下に達した前記テンプを前記回転バランス測定手段から受け取らせると共に、前記保管部に搬送して保管させるように前記搬送手段を制御することを特徴とするものである。
この発明に係るテンプ用回転バランス調整装置においては、搬送手段が、制御手段による制御を受けて、規定値以下に達した回転バランス調整後のテンプを回転バランス測定手段から受け取って、保管部に保管する。また、作業者は、テンプの保管が行われた後、次のテンプを回転バランス測定手段にセットする。
このように、人手を介さずに自動的に回転バランス調整後のテンプを保管部に保管させることができる。よって、作業者の負担をさらに低減することができると共に、作業時間の短縮化を図ることができる。
特に、上述した収納部を同時に備えることで、テンプのセットに関しても自動的に行うことができるので、さらなる作業者の負担軽減と作業時間の短縮化とを図ることができる。
本発明に係るテンプ用回転バランス調整装置によれば、作業者に極力負担をかけることなく、短時間でテンプの回転バランスを規定値内に収めるように自動的に調整することができる。
以下、本発明に係るテンプ用回転バランス調整装置の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。このテンプ用回転バランス調整装置は、脱進機と組み合わされて機械式時計内に内蔵されるテンプ(天府)の回転バランスを自動的に調整する装置である。
始めに、テンプについて説明する。このテンプ1は、図1に示すように、環状に形成された天輪2と、該天輪2の中心に配された天真(軸体)3と、該天真3と天輪2とを連結するアーム部4とを備えている。このアーム部4は、天真3を中心に120度間隔毎に3つ形成されている。但し、アーム部4は3つに限られるものではない。また、天真3の外周面には、ルビー製の振り石5が固定されている。
このように構成されたテンプ1は、図示しないガンギ車及びアンクルからなる脱進機と組み合わされた状態で、図示しないテンプ受けによって天真3回りに回転自在に支持されている。この際、テンプ1とテンプ受けとの間には、ヒゲゼンマイ6が取り付けられており、該テンプ1はこのヒゲゼンマイ6によって左右に振幅運動するようになっている。
これにより、振り石5が周期的にアンクルを弾いてアンクルを動かす動作と、アンクルが振り石5を弾いてテンプ1を回転させる動作とが、連続的且つ交互に行われるようになっている。
次に、本実施形態のテンプ用回転バランス調整装置10について説明する。
テンプ用回転バランス調整装置10は、図2に示すように、テンプ1を天真3回りに所定の回転数で回転させて、半径方向の重心位置を測定する不釣合い測定部(回転バランス測定手段)11と、測定された重心位置から天輪2の重量調整量及び重量調整位置を算出する算出部(算出手段)12と、算出された重量調整量及び重量調整位置に基づいて、天輪2の重量バランスを調整する不釣合い調整部(バランス調整手段)13と、回転バランス調整前のテンプ1を複数収納する収納トレー(収納部)14と、回転バランス調整後のテンプ1を複数保管する保管トレー(保管部)15と、不釣合い測定部11、不釣合い調整部13、収納トレー14及び保管トレー15の間で、テンプ1を搬送すると共にそれぞれに受け渡し可能なロボットアーム(搬送手段)16と、これら各構成品を総合的に制御する制御部(制御手段)17とを備えている。
上記不釣合い測定部11は、図3及び図4に示すように、Z方向(鉛直方向)に向けて配され、上記テンプ1を先端側で回転自在に支持するロッド20と、テンプ1を天真3回りに回転させるエアー吹き付け部22と、テンプ1の回転数及び回転周期を測定する回転測定部23と、テンプ1が所定の回転数で回転したときに、ロッド20を介して伝わった回転バランスの不釣合いに起因するテンプ1の加速度変化を測定すると共に、該加速度変化と上記回転周期とから、テンプ1の半径方向の重心位置を測定する重心位置測定部24とを備えている。
ロッド20の先端側には、コ形状に形成されたテンプ受け部25が設けられている。このテンプ受け部25は、対向する側面にU字状の溝部25aを有しており、天真3の両端を回転自在に支持できるようになっている。この溝部25aは、例えば、ルビーから形成されており、天真3との摩擦を極力抑えている。これにより、テンプ1は、滑らかに回転するようになっている。なお、テンプ1を回転させた際に、テンプ1の遠心力がロッド20に伝わって、該ロッド20をZ方向に移動させるようになっている。
このロッド20は、Z方向に移動したときに、図示しない板バネのばね力を受けて初期位置に戻されるようになっている。これにより、ロッド20は、テンプ1の回転バランスの不釣合いに起因する加速度変化に基づいて上下に往復運動するようになっている。
また、重心位置測定部24は、ロッド20の往復運動から、テンプ1の回転バランスの不釣合いに起因する加速度変化を測定し、波形信号S1に変換している。
また、ロッド20の上方には、テンプ受け部25に回転可能に支持されたテンプ1に対して、エアーAを吹き付けて回転させる上記エアー吹き付け部22が配置されている。また、このエアー吹き付け部22と並んで、上記回転測定部23が配置されている。
この回転測定部23は、振り石5に向けて光Lを照射する光照射部23aと、振り石5で反射した光Lを受光する光検出部23bとで構成されている。この光検出部23bは、光Lが入射するタイミングに基づいて、テンプ1の回転数及び回転周期を測定している。そして、光検出部23bは、回転数を上記重心位置測定部24に出力していると共に、回転速度を制御部17に出力している。
重心位置測定部24は、変換した上記波形信号S1と、回転測定部23から送られてきた回転周期に基づく波形信号S2とを、図5に示すように比較して偏心量及び偏心角度を求めている。更に、重心位置測定部24は、これら偏心量及び偏心角度から、テンプ1の半径方向の重心位置を測定している。これにより、テンプ1の回転バランスの測定を行っている。これについては、後に詳細に説明する。
上記算出部12は、測定されたテンプ1の重心位置から天輪2の重量調整量及び重量調整位置の算出を行う。つまり、テンプ1全体の回転バランスの不釣合いを、天輪2の重量バランスで調整できるように換算を行っている。そして、換算した天輪2の重量調整量及び重量調整位置を、不釣合い調整部13に出力している。
不釣合い調整部13は、算出部12から送られてきたデータに基づいて、天輪2の所定位置、即ち、重量調整位置を、算出された重量調整量だけ薄く削って重量バランスの調整を行うようになっている。なお、削って軽くするだけでなく、重量調整位置に錘を取り付けて重量バランスを調整しても構わない。
上記ロボットアーム16は、図2に示すように、回転軸Gを中心に360度任意の方向に回転可能なアームであり、先端側の下方にテンプ1を把持する把持部16aが取り付けられている。また、本実施形態では、ロボットアーム16の回転半径R内に、不釣合い測定部11、不釣合い調整部13、収納トレー14及び保管トレー15がそれぞれ配置されている。より具体的には、不釣合い測定部11、収納トレー14、不釣合い調整部13及び保管トレー15が、この順序で並ぶように回転軸Gを中心に90度毎に配置されている。つまり、不釣合い測定部11と不釣合い調整部13とがロボットアーム16を挟んで対向し、収納トレー14と保管トレー15とがロボットアーム16を挟んで対向するように配置されている。
制御部17は、測定したテンプ1の重心位置と回転中心位置である天真3との間の偏心量、即ち、図5に示す波形信号S1の振幅量が、規定値以下になるまで、不釣合い測定部11と不釣合い調整部13とを連続的に繰り返し作動させている。また、制御部17は、不釣合い測定部11を作動させる際に、回転測定部23から送られてきたテンプ1の回転数が所定の回転数に達したときに、重心位置測定部24による測定を行わせるようになっている。
また、制御部17は、収納トレー14に収納されている複数のテンプ1の中から、選択した1つを取り出させると共に、不釣合い測定部11に搬送して受け渡すようにロボットアーム16を制御している。更に、規定値以下に達したテンプ1を、不釣合い調整部13から受け取って保管トレー15に保管するようにロボットアーム16を制御している。
次に、このように構成されたテンプ用回転バランス調整装置10を利用して、テンプ1の回転バランスを調整する場合について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、測定を始める前に、作業者が回転バランス調整前のテンプ1を収納トレー14に複数収納すると共に、該収納トレー14を所定位置にセットする。また、回転バランスの規定値、即ち、重心位置の偏心量を、所望する値に予め設定しておく。
この初期設定が終了した後、作業者はバランス調整を開始させる。
まず、ロボットアーム16が、制御部17による制御を受けて回転し始め、先端の把持部16aが収納トレー14の上方に位置した状態となる。すると、把持部16aが、収納トレー14に収納されている複数のテンプ1の中から1つを把持して取り上げる。ロボットアーム16は、テンプ1を把持すると、再び回転して不釣合い測定部11まで搬送し、該不釣合い測定部11にテンプ1を受け渡す。具体的には、図4に示すように、テンプ受け部25の2つの溝部25a内に天真3の両端が収まるようにテンプ1をセットする(S1)。
テンプ1がセットされると、回転バランスの測定が開始される(S2)。まず、エアー吹き付け部22が天輪2に向かってエアーAを吹き付け、テンプ1を天真3回りに回転させる。また、このテンプ1の回転と同時に、光照射部23aがテンプ1の振り石5に向かって光Lを照射すると共に、振り石5で反射した光Lを光検出部23bで検出する。これにより、回転測定部23は、テンプ1の回転数及び回転周期を測定することができる。また、回転測定部23は、回転数を制御部17に出力すると共に、回転周期を重心位置測定部24に出力する。
制御部17は、回転測定部23から送られてきた回転数が所定の回転数に達したと判断すると、この回転数を維持するようにエアー吹き付け部22の吹き付け量をコントロールすると共に、重心位置測定部24に信号を送って作動させる。
一方、回転し始めたテンプ1は、自身の回転バランスの不釣合い(半径方向の重心位置の偏り)によって、回転が不規則となり、1回転する毎に加速度が周期的に変化した状態となる。即ち、遠心力が周期的に変化した状態となる。この遠心力は、テンプ受け部25を介してロッド20に伝わるので、該ロッド20が下方に向けて移動する。この際、ロッド20は、板バネのばね力により、一旦下方に移動した後、再び初期位置に戻る。その結果、ロッド20は、テンプ1に作用する加速度の周期的な変化に合わせて、Z方向に往復移動する。
そして、重心位置測定部24は、このロッド20の往復移動から、テンプ1の回転バランスの不釣合いに起因する加速度変化(即ち、遠心力の変化)を測定すると共に、波形信号S1に変換する。この波形信号S1は、振幅量が重心位置と回転中心位置との偏心量を示し、振幅最大点(加速度“0”地点)B1が偏心角度位置を示すものである。
また、重心位置測定部24には、回転測定部23で測定された振り石5の回転周期が送られてきているので、図5に示すように、その波形信号S2を同時に得ることができる。つまり、この波形信号S2は、光検出部23bに振り石5からの反射光Lが入射したタイミングに同期している。これにより、隣り合う振幅最大点B2の間が、テンプ1の1回転(360度)に相当している。
そして、重心位置測定部24は、この波形信号S2の振幅最大点B2と、上記波形信号S1の振幅最大点B1と、テンプ1の回転方向とから、振り石5を基準とした偏心角度を算出することができる。算出部12は、この偏心角度と偏心量とから、テンプ1の重心位置を正確に測定することができる(S3)。
テンプ1の重心位置が測定された後、算出部12は、重心位置を回転中心位置に近づけるように、天輪2の重量調整量及び重量調整位置の算出を行う。つまり、テンプ1全体の回転バランスの不釣合いを、天輪2の重量バランスで調整できるように換算する。また、算出部12は、この算出結果を不釣合い調整部13に出力する。これにより、テンプ1の回転バランス測定が終了する。
次に、制御部17は再度ロボットアーム16を作動させてテンプ1を不釣合い調整部13に搬送させる(S4)。即ち、ロボットアーム16は、テンプ受け部25に載置されているテンプ1を把持部16aで把持した後、不釣合い調整部13に搬送すると共に、該不釣合い調整部13に受け渡す。
不釣合い調整部13は、受け取ったテンプ1の回転バランスの調整を、天輪2の重量バランスを調整することで行う。つまり、不釣合い調整部13は、算出部12から送られてきた重量調整量及び重量調整位置に基づいて、天輪2の一部分を削って重量バランスを変化させる(不釣合い量の削除)(S5)。これにより、テンプ1全体の重心位置が変化して、回転中心位置に近づいた状態となる。即ち、重心位置と回転中心位置との間の偏心量が少なくなって、回転バランスが良くなった状態となる。
この天輪2の重量バランス調整が終了した後、ロボットアーム16が、制御部17による制御を受けてテンプ1を不釣合い測定部11に搬送し(S6)、再度テンプ受け部25にセットする。そして、不釣合い測定部11が、再びテンプ1を回転させて回転バランスの測定を行う(S7)。そして再度規定値との比較を行う(S8)。
制御部17は、上述したテンプ1の回転バランス測定と、天輪2の重量バランス調整とを、偏心量が規定値以下に達するまで連続的に繰り返し行うように、不釣合い測定部11及び不釣合い調整部13をそれぞれ制御する。そして、規定値以下に達したか否かを判断した結果(S9)、規定値以下であると判断した場合に、回転バランス調整が終了する。
その後、ロボットアーム16が制御部17による制御を受けて、不釣合い測定部11からテンプ1を受け取り、保管トレー15まで搬送する。そして、テンプ1を保管トレー15上に保管する(S10)。また、ロボットアーム16は、この後収納トレー14から次のテンプ1を取り上げて、不釣合い測定部11にセットする。このようにして、次々とテンプ1の回転バランス調整を自動的に行うことができる。
上述したように、本実施形態のテンプ用回転バランス調整装置10によれば、所望する規定値以下にテンプ1の回転バランスを自動的に調整することができる。そのため、従来のように、作業者がテンプ1をハンドリングしながら何度も各装置間を行き来する必要がない。従って、作業者に極力負担をかけることなく、容易且つ短時間でテンプ1の回転バランスを所望する規定値以下に自動的に調整することができる。
また、収納トレー14及び保管トレー15を備えているので、テンプ1のセット及びテンプ1の保管に関しても、作業者の手を煩わせることなく自動で行うことができる。そのため、作業者の負担がさらに軽減でき、また、作業時間の短縮化を図ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、収納トレー及び保管トレーを共に備えた構成にしたが、この場合に限られず、いずれか一方のみを備えても構わないし、共に備えなくても構わない。但し、上述したように共に備えることが好ましい。
本発明に係るテンプ用回転バランス調整装置で回転バランス調整する、テンプを示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。 本発明に係るテンプ用回転バランス調整装置の一実施形態を示すブロック構成図である。 図2に示すテンプ用回転バランス調整装置を構成する、不釣合い測定部の正面図であって、テンプをセットした状態の図である。 図3に示す不釣合い測定部の側面図であって、テンプ周辺部分の図である。 図3に示す不釣合い測定部によって測定した、テンプの回転周期に基づいた波形信号と、回転バランスの不釣合いに起因するテンプの加速度変化に基づいた波形信号とを示した図である。 図2に示すテンプ用回転バランス調整装置を利用して、テンプの回転バランスを調整する際のフローチャートである。 脱進機を構成するガンギ車の正面図である。 脱進機を構成するアンクルの正面図である。 脱進機と共に調速機構を構成するテンプの図であって、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。 ガンギ車とアンクルとテンプとの動きを説明する図であって、アンクルの出爪とガンギ車の歯車とが接触した状態を示す図である。 ガンギ車とアンクルとテンプとの動きを説明する図であって、図10に示す状態からアンクルの出爪が外れて、ガンギ車の歯車が1つ進んだ接触した状態を示す図である。 ガンギ車とアンクルとテンプとの動きを説明する図であって、図11に示す状態から、アンクルの入り爪とガンギ車の歯車とが接触した状態を示す図である。
符号の説明
1 テンプ
2 天輪
3 天真(軸体)
4 アーム部
10 テンプ用回転バランス調整装置
11 不釣合い測定部(回転バランス測定手段)
12 算出部(算出手段)
13 不釣合い調整部(バランス調整手段)
14 収納トレー(収納部)
15 保管トレー(保管部)
16 ロボットアーム(搬送手段)
17 制御部(制御手段)

Claims (3)

  1. 脱進機と組み合わされて機械式時計内に内蔵され、環状に形成された天輪と該天輪の中心に配された軸体と該軸体と天輪とを連結させるアーム部とから構成されるテンプの、回転バランスを自動的に調整するテンプ用回転バランス調整装置であって、
    前記テンプを前記軸体回りに所定の回転数で回転させて、半径方向の重心位置を測定する回転バランス測定手段と、
    測定された前記重心位置から、前記天輪の重量調整量及び重量調整位置を算出する算出手段と、
    算出された前記重量調整量及び前記重量調整位置に基づいて、前記天輪の重量バランスを調整するバランス調整手段と、
    前記回転バランス測定手段と前記バランス調整手段との間で、前記テンプを搬送すると共にそれぞれに受け渡し可能な搬送手段と、
    前記重心位置と前記軸体との間の偏心量が、規定値以下になるまで前記回転バランス測定手段と前記バランス調整手段とを連続的に繰り返し作動させる制御手段とを備えていることを特徴とするテンプ用回転バランス調整装置。
  2. 請求項1に記載のテンプ用回転バランス調整装置において、
    回転バランス調整前の前記テンプを複数収納する収納部を備え、
    前記制御手段は、前記収納部に収納されている複数の前記テンプの中から選択した1つのテンプを取り出させると共に、前記回転バランス調整手段に搬送して受け渡すように前記搬送手段を制御することを特徴とするテンプ用回転バランス調整装置。
  3. 請求項1又は2に記載のテンプ用回転バランス調整装置において、
    回転バランス調整後の前記テンプを複数保管する保管部を備え、
    前記制御手段は、前記規定値以下に達した前記テンプを前記回転バランス測定手段から受け取らせると共に、前記保管部に搬送して保管させるように前記搬送手段を制御することを特徴とするテンプ用回転バランス調整装置。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012021991A (ja) * 2010-07-15 2012-02-02 Rolex Sa 時計

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