JP2007212189A - センサ制御装置、ガスセンサシステム、センサ制御装置の制御方法、及び特定ガス成分に関する濃度情報の検知方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センサ制御装置100は、ガスセンサ素子160を作動させて得た酸素濃度に対する検知電流Ipを用いて、酸素濃度に対応する濃度信号SCを出力する。この制御回路110は、第1入力電圧Vi1及び第2入力電圧Vi2を差動増幅する差動増幅回路131と、検出抵抗器Rdの一端Rd1の第1検知電圧Vd1を第1入力電圧Vi1とし、他端Rd2の第2検知電圧Vd2を第2入力電圧Vi2とする場合と、第1基準電圧Vb1を第1入力電圧Vi1とし第2基準電圧Vb2を第2入力電圧Vi2とする場合とを、切り換える第1スイッチSW1,SW2とを備える。
【選択図】図1
Description
従って、回路素子の特性ばらつきにより差動増幅部の増幅率がばらついている場合でも、従来よりもより高い精度で特定ガスに関する濃度情報を検知することが可能となる。また、差動増幅部の温度変化などによって生じる増幅率のドリフト、経時的な劣化等による増幅率の変化を生じたとしても、これらの変化に影響されることなく、精度良く特定ガスに関する濃度情報を検知することができる。
また、差動増幅部としては、例えば、バイポーラトランジスタやMOSトランジスタ、抵抗器などの個別部品で構成した差動増幅回路が挙げられる。また、オペアンプ及び抵抗器で構成した差動増幅回路、ASIC中に構成したオペアンプ回路及び抵抗器で構成した差動増幅回路などが挙げられる。オペアンプを用いた差動増幅回路は、増幅率の設定やオフセット電圧の設定、負帰還回路の構成を容易に行えるため好ましい。
また、増幅率は、得られる第1,第2検知電圧の大きさを考慮して適宜選択すれば良く、×1倍を超える場合の他、×1倍の場合や、×1倍を下回る場合もあり得る。
また、第1スイッチとしては、リレー等の適宜のスイッチ素子を用いることもできる。但し、耐久性等を考慮すると、FETなどの半導体素子を用いた半導体スイッチを用いるのが好ましい。後述する第2スイッチも同様である。
一方、検出抵抗器や基準電圧電源部をなす部品等を、このASIC等の外付け部品としたもの全体をセンサ制御装置とすることもできる。さらに、これらを一体の部材とした例として、差動増幅部、第1スイッチを備えるASIC等と、検出抵抗器や基準電圧電源部をなす部品等の外付け部品を、同じ基板に搭載したボードやハイブリッドICを挙げることもできる。
その一方、差動増幅部のオフセット電圧のみが出力される状態とすることで、センサ制御装置からは、このオフセット電圧あるいはこれに対応する信号(オフセット信号)を出力する。従って、この信号(オフセット信号)を用いれば、その時点における差動増幅部の実際のオフセット電圧を知ることができる。
このようにして、センサ制御装置が起動している際に差動増幅部の実際のオフセット電圧を取得することで、前述のようにして得た増幅率と共に、このオフセット電圧に基づいて、濃度信号からより正確な特定ガス成分に関する濃度情報を得ることが可能となる。
また、差動増幅部の温度変化などによって生じるオフセット電圧のドリフト、経時的な劣化等によるオフセット電圧の変化が生じたとしても、これを考慮してこの変化に影響されることなく、精度良く特定ガス成分に関する濃度情報を検知することができる。
従って、例えば、差動増幅部の第1入力端と第2入力端とを互いに短絡させると、差動増幅部からは、オフセット電圧のみが出力される。差動増幅器における第1,第2入力電圧と出力電圧との関係は、出力電圧=(第1入力電圧−第2入力電圧)×増幅率+オフセット電圧という関係となる。
また、差動増幅部を、自身のオフセット電圧のみが出力される状態とするには、実質的に差動増幅する第1入力電圧と第2入力電圧とを強制的に等しくすることができる回路を設ければよい。例えば、差動増幅部に、オペアンプ回路と増幅率等の特定を決める抵抗器等の受動部品とを用いる場合には、オペアンプ回路に反転入力端子及び非反転入力端子にそれぞれ接続された入力抵抗器のうち、オペアンプとは逆側の端部同士間を短絡する短絡路を設ける回路構成が挙げられる。
このように構成されたセンサ制御装置では、短絡路及びこれを開閉する第2スイッチを設けるという簡易な構成で、第2スイッチにより、差動増幅部を、互いに異なる第1入力電圧と第2入力電圧とを差動増幅する状態と、差動増幅部のオフセット電圧のみが出力される状態と、を切り換えることができる。
さらにこのほか、第1スイッチの切り換えによって、第1,第2基準電圧を差動増幅部に入力することで、第1,第2基準電圧及び差動増幅部の増幅率に応じた信号(基準増幅信号)を出力させることができる。第1,第2基準電圧は既知であるので、この信号から、差動増幅部のその時点での増幅率を知ることができる。
従って、差動増幅部の温度変化などによって生じる増幅率のドリフト、経時的な劣化等による差動増幅部の増幅率に変化が生じたとしても、上述のようにして取得した増幅率を用いることで、増幅率の変化に影響されることなく、高い精度で特定ガス成分に関する濃度情報を検知することができる。
なお、ガスセンサ素子が活性化前であるか否かを検知する手法としては、活性化前であるか否かを適宜検知できる公知のいずれの手法をも採用できる。例えば、ガスセンサ素子を加熱するヒータへの通電開始からの通電時間や積算電力量、ガスセンサ素子の各端子に現れる電位の変化、エンジンを冷却する冷却水の温度などを用いて、活性化前であるか否かを判断することができる。さらに具体的には、例えば、ポンプセルと起電力セルとを有するガスセンサ素子において、いずれかのセルの内部インピーダンスを検知して、活性化したか否かを判断する手法が挙げられる。
これに対し、本発明のセンサ制御装置の制御方法では、基準信号出力ステップを、ガスセンサ素子の活性化後、定期的に行う。このため、たとえ差動増幅部の増幅率が変化したとしても、この定期的に取得した増幅率と、濃度信号とを用いることで、常に高い精度で、特定ガス成分に関する濃度情報を検知できる。
なお、基準信号出力ステップを行う間隔としては、ガスセンサ素子及びセンサ制御装置を用いる環境等によって適宜設定すればよい。
なお、オフセット信号出力ステップは、前述の基準信号出力ステップと相前後して行うようにするのが好ましい。差動増幅部の増幅率とオフセット電圧とを同時期に求めておくのが好ましいからである。
これに対し、本発明のセンサ制御装置の制御方法では、オフセット信号出力ステップを、ガスセンサ素子の活性化後、定期的に行う。このため、たとえ差動増幅部のオフセット電圧が変化したとしても、この定期的に取得したオフセット電圧と、前述の増幅率と、濃度信号とを用いることで、常に高い精度で、特定ガス成分に関する濃度情報を検知できる。
なお、オフセット信号出力ステップを行う間隔としては、ガスセンサ素子及びセンサ制御装置を用いる環境等によって適宜設定すればよい。
さらに、濃度情報検知ステップでは、第1検知電圧を第1入力電圧とし、第2検知電圧を第2入力電圧として、センサ制御装置から濃度信号を出力させる。そして、すでに得た差動増幅部の増幅率を用いて、特定ガス成分に関する濃度情報を検知する。これにより、特定ガス成分に関する濃度情報をより正確に検知できる。
さらに、濃度情報検知ステップでは、増幅率及びオフセット電圧に基づいて、特定ガス成分に関する濃度情報を検知する。
これにより、差動増幅部の増幅率のみならずオフセット電圧まで考慮した、さらに高い精度での特定ガス成分に関する濃度情報の検知ができる。
これに対し、本発明の濃度情報の検知方法では、オフセット検知ステップを、ガスセンサ素子の活性化後、定期的に行う。このようにすることで、その定期的に取得した差動増幅部のオフセット電圧及び前述の増幅率を用いて、特定ガス成分に関する濃度情報を常に高い精度で検知できる。
本実施形態に係るガスセンサシステム10の等価回路図を、図1に示す。ガスセンサシステム10は、ガスセンサ素子160、センサ制御装置100、及びエンジン制御装置150を含む。
このうち、ガスセンサ素子160は、後述する構成を有し、図示しないエンジンの排気管に装着され、排気ガス中の酸素濃度(空燃比)に対応した検知電流Ipが流れる空燃比センサである。
エンジン制御装置150は、センサ制御装置100(制御回路110)から出力された濃度信号SCを用いて排気ガス中の酸素濃度(空燃比)を検知し、図示しないガソリンエンジンの制御を行う。
また、制御回路110とエンジン制御装置150とは、制御回路110の端子VIP,CIと、エンジン制御装置150の端子AD,CTとの間で、それぞれ信号伝達可能となっている。更に、制御回路110とエンジン制御装置150とは、制御回路110の端子CC5,G−VIPCALと、エンジン制御装置150の端子VCCAとが、基準電圧電源部140を介して電気的に接続している。
なお、スイッチSW1及びスイッチSW2を併せたものが、本発明の第1スイッチに相当する。
差動増幅回路131のうち、オペアンプOP3及び抵抗器R5〜R10により差動増幅回路の基本形が構成され、その増幅率Gは、抵抗器R5〜R10により決定される。なお、各抵抗器の抵抗値は、R5=R7、R6=R8、R9=R10とされている。
また、オペアンプOP3の非反転入力端子には、バッファとして動作するオペアンプOP4及び抵抗器R10を介して所定の基準オフセット電圧Voffが加えられている。この基準オフセット電圧Voffは、差動増幅回路131から出力される出力信号の基準電圧を定めるものである。
かくして、この差動増幅回路131のうち、オペアンプOP3の非反転入力端子(+端子)には、抵抗器R5,R6を介して第1入力電圧Vi1、及び、基準オフセット電圧Voffが加えられる。一方、オペアンプOP3の反転入力端子(−端子)には、抵抗器R7,R8を介して第2入力電圧Vi2、及び、帰還抵抗器R9を介してオペアンプOP3自身の出力が負帰還入力される。
また、差動増幅回路131から出力される出力信号は、この基準オフセット電圧Voffにほぼ等しいオフセット電圧OFS(OFS≒Voff)を有した値となる。但し、この差動増幅回路131のオフセット電圧OFSは、オペアンプOP3の非反転入力端子に入力した基準オフセット電圧Voffとは必ずしも一致しない。オペアンプOP3自身がオフセット電圧を有している場合には、この値もオフセット電圧OFSに加えられるからである。
SC(V)=(Vd1−Vd2)×G+OFS …(式1)
=Ip×300×G+OFS …(式2)
=Ip×300×4.5+2.3
このように、ポンプセル電流Ipの変化に応じて、差動増幅回路131から出力される濃度信号SCは、ポンプセル電流Ipと一次関数の関係となる。
このスイッチSW3は、差動増幅回路131から濃度信号SCを出力させる場合、及び後述する基準増幅信号SGを出力させる場合には、オフとされている、即ち、短絡路134を開路している。
スイッチSW3がオンとされると、抵抗器R5とR6との間のノード134Aと、抵抗器R7とR8との間のノード134Bとが短絡、即ち、第1,第2入力端132,133の第1,第2入力電圧Vi1,Vi2が異なる値であっても、ノード134Aとノード134Bの電位が強制的に同電位とされる。従って、スイッチSW3がオンとされると、実質的に、第1,第2入力端132,133の第1,第2入力電圧Vi1,Vi2に同じ入力を加えたのと同じことになる。従って、この差動増幅回路131からは、第1,第2入力電圧Vi1,Vi2とは関係せず、差動増幅回路131のオフセット電圧OFSのみを含む出力信号(オフセット検知信号)SOが端子VIPに向けて出力される。
また、このスイッチSW3は、本発明の第2スイッチに相当する。
従って、本実施形態のガスセンサシステム10(センサ制御装置100)では、適切な時期にスイッチSW3をオンとすることで、その時点での差動増幅回路131のオフセット電圧OFSを検知することができる。
そして、スイッチSW1,SW2を切り換えて、第1,第2検知電圧Vd1,Vd2を第1,第2入力信号Vi1,Vi2とし、差動増幅回路131から濃度信号SCを出力させる。そこで、前述の式2:SC=Ip×300×G+OFSに、算出したオフセット電圧OFSを適用することにより、ポンプセル電流Ipを正確に求め、また、酸素濃度(空燃比)を正確に検知することができる。従って、より適切に燃料噴射制御などのエンジン制御を行うことができる。
基準電圧電源部140は、レギュレータ143と、この出力を分圧する基準抵抗器R11,R12とを有する。レギュレータ143は、エンジン制御装置150の端子VCCAに接続して駆動され、高精度の第1基準電圧Vb1を出力する。なお、本実施形態では、第1基準電圧Vb1は、5Vとしてある。この第1基準電圧Vb1は、制御回路110の端子CC5に入力され、さらに、スイッチSW1に接続している。
また、この第1基準電圧Vb1は、直接に接続された基準抵抗器R11,R12により分圧されており、これらの分圧点からは、4.5Vの第2基準電圧Vb2が得られる。この第2基準電圧Vb2は、制御回路110の端子G−VIPCALに入力され、さらに、スイッチSW2に接続している。
この基準電圧電源部140では、上述のように、第1基準電圧Vb1を基準抵抗器R11,R12で分圧して第2基準電圧Vb2を得ている。このようにすると、万一、レギュレータ143から出力される第1基準電圧Vb1が、何らかの理由で変動したとしても、その変動に伴って第2基準電圧Vb2も同方向に変動するので、これらの差電圧については、変動が抑制される。
しかし、ゲインキャリブレーションにおいて、高精度の第1,第2基準電圧Vb1,Vb2を用いることにより、増幅率Gを差動増幅器131が本来有している増幅率Gのバラツキよりも高精度に測定することができるから、抵抗値のバラツキが相対的に大きい抵抗器R5〜R10を用いながら、濃度信号SCから高精度にポンプセル電流Ipや酸素濃度(空燃比)を検知することが可能となる。
そこで、以下では、スイッチSW1,SW2を切り換えて、第1,第2基準電圧Vb1,Vb2を第1,第2入力電圧Vi1,Vi2とした場合(ゲインキャリブレーション時)について説明する。なお、スイッチSW3はオフとしておく。
第1,第2基準電圧Vb1,Vb2を第1,第2入力信号Vi1,Vi2とした場合、基準増幅信号SG(V)との関係は以下の式で表される。
SC(V)=(Vb1−Vb2)×G+OFS …(式3)
=0.5×G+OFS
この基準増幅信号SGは、制御回路110(センサ制御装置100)の端子VIPを介して、エンジン制御装置150の端子ADに入力され、A/D変換器151によりデジタル値に変換され、CPU153によって処理される。
前述したように、オフセット電圧OFSは、前述したようにスイッチSW3をオンとして求めておくことができる。また、第1,第2基準電圧Vb1,Vb2の値は既知であるから、この基準増幅信号SGから、その時点における差動増幅回路131の増幅率Gを検知できる。
従って、本実施形態のガスセンサシステム10(センサ制御装置100)では、適切な時期にスイッチSW1,SW2を切り換えることで、その時点での差動増幅回路131の増幅率Gを検知することができる。
そして、スイッチSW1,SW2を切り換えて、第1,第2検知電圧Vd1,Vd2を第1,第2入力信号Vi1,Vi2とし、差動増幅回路131から濃度信号SCを出力させる。そこで、前述の式2:SC=Ip×300×G+OFSに、算出したオフセット電圧OFS及び増幅率Gを適用することにより、ポンプセル電流Ipを更に正確に求め、酸素濃度(空燃比)を更に正確に検知することができる。従って、さらに適切に燃料噴射制御などのエンジン制御を行うことができる。
自動車のキーがオン状態となると、ガスセンサシステム10及びセンサ制御装置100の制御が開始される。まず、ステップS1において、エンジン制御装置150の初期化を行う。具体的には、各フラグや各数値を初期化すると共に、スイッチSW1〜SW3をオフ状態にする。この段階では、ポンプセル163には、まだポンプセル電流(検知電流)Ipを流さない(Ip=0)。ガスセンサ素子160がまだ十分に暖まっていない(活性化していない)からである。
まず、ステップS21において、スイッチSW3をオン状態とする。具体的には、エンジン制御装置150から、端子CTを通じて、センサ制御装置100の差動増幅回路131におけるスイッチSW3をオンとし、短絡路134を短絡させる。これにより、前述したように、差動増幅回路131からオフセット検知信号SOが出力されるから、A/D変換器151を用いてこれをエンジン制御装置150で取得する(ステップS22)。なお、このステップが、センサ制御装置の制御方法におけるオフセット信号出力ステップに相当する。
まず、ステップS31において、スイッチSW1を制御回路100の端子CC5側に切り換え、スイッチSW2を端子G−VIPCAL側に切り換える。即ち、第1,第2基準電圧Vb1,Vb2を第1,第2入力電圧Vi1,Vi2とする。具体的には、エンジン制御装置150から、端子CTを通じて、センサ制御装置100の差動増幅回路131におけるスイッチSW1,SW2を切り換える。これにより、前述したように、差動増幅回路131から基準増幅信号SGが出力されるから、A/D変換器151を用いてこれをエンジン制御装置150で取得する(ステップS32)。なお、このステップが、センサ制御装置の制御方法における基準信号出力ステップに相当する。
このステップS4において、NO、即ち、ガスセンサ素子が、まだ活性化していないと判断された場合には、ガスセンサ素子160が活性化する(Yesとなる)まで、このステップS2〜S4を繰り返す。ガスセンサ素子160を活性化させる段階で、ガスセンサ素子160の温度も大きく上昇するが、センサ制御装置100(制御回路110)の温度も大きく変化する場合が多い。従って、ガスセンサ素子160が活性化したと判断された直後にも、適切なオフセット電圧OFS及び増幅率Gを用いて、適切にポンプセル電流Ipや酸素濃度(空燃比)を計測できるよう、これらを最新の値に更新しておくのが好ましいからである。
次に、ステップSBに進み、10msec経過したか否かを判断する。このステップSBにおいて、NO、即ち、10msec経過していない場合には、10msec経過するまでこのステップSBを繰り返す。一方、10msec経過し、YESと判断された場合には、次のステップS6に進む。なお、ここで判断する経過時間は、タイマの計測時間とは関係しない。
ステップS6では、差動増幅回路131に第1,第2検知電圧Vd1,Vd2を入力し、濃度信号SCを出力させ、A/D変換器151を用いてこれをエンジン制御装置150で取得する。なお、このステップが、センサ制御装置の制御方法における濃度信号出力ステップに相当する。
具体的には、まず、ステップS81において、すでに取得記憶してある差動増幅回路131の増幅率G及びオフセット電圧OFSを用いて、前述の式2等を用い、ポンプセル電流Ipを算出する。このポンプセル電流Ipは、近時に取得した増幅率G及びオフセット電圧OFSを用いて算出するので、予め与えられた設計値としての増幅率やオフセット電圧を用いる場合に比して、増幅率G及びオフセット電圧OFSのバラツキや変化を反映することができ、より正確にポンプセル電流Ipを算出することができる。
ついで、ステップS82において、ポンプセル電流Ipを用いて、排気ガス中の酸素濃度(空燃比)を検知する。ここでも、正確なポンプセル電流Ipを用いたことから、排気ガス中の酸素濃度(空燃比)をより正確に検知することができる。その後、メインルーチンに戻る。
なお、ステップS81において、数値処理の関係で、ポンプセル電流Ipそのものの値ではなく、ポンプセル電流Ipに対応する値を算出し、ステップS82において、これを用いて、排気ガス中の酸素濃度(空燃比)を検知しても良い。また、ステップS82において、排気ガス中の酸素濃度(空燃比)そのものの値ではなく、これに対応する値を検知し、ステップS9において、これを用いて、エンジンの燃料制御(空燃比制御)を行っても良い。
また更に、オフセットキャリブレーション及びゲインキャリブレーションを、ガスセンサ素子160の活性化後、定期的にも行う。このようにすることで、オフセット電圧OFS及び増幅率Gが変動したとしても、その都度取得したオフセット電圧OFSと増幅率Gに基づき、酸素濃度(空燃比)を算出できるので、より正確な酸素濃度(空燃比)を取得できる。
ついで、上述の実施形態についての第1の変形形態について、図6を参照して説明する。実施形態1で説明した制御方法(酸素濃度測定方法)では、ステップS5,SAにおいてタイマをスタートさせるとともに、ステップS7においてタイマが所定時間経過したか否かを検知し、定期的にオフセットキャリブレーション(S2)及びゲインキャリブレーション(S3)を行わせる。
これに対し、本変形形態1の制御方法(酸素濃度測定方法)では、オフセットキャリブレーション(S2)及びゲインキャリブレーション(S3)をして良い時期であり、かつ、これらをする必要があるときに、これらを行うように制御する。
従って、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、同様の部分については説明を省略あるいは簡略化する。
なお、ステップS2のオフセットキャリブレーション(オフセット検知ステップ)についてのサブルーチン、及びステップS3のゲインキャリブレーション(増幅率検知ステップ)についてのサブルーチンについても同様である。ステップS22が、センサ制御装置の制御方法におけるオフセット信号出力ステップに相当すること、及びステップS32が、センサ制御装置の制御方法における基準信号出力ステップに相当すことも同様である。
次に、ステップSBに進み、前述の実施形態と同様に、10msec経過したか否かを判断し、10msec経過した後に、次のステップS6に進む。
ステップS6では、前述の実施形態と同様、差動増幅回路131に第1,第2検知電圧Vd1,Vd2を入力し、濃度信号SCを出力させ、A/D変換器151を用いてこれをエンジン制御装置150で取得する。なお、このステップが、センサ制御装置の制御方法における濃度信号出力ステップに相当する。
現在が、キャリブレーションが可能な期間である(Yes)と判断された場合には、ステップS45に進む。一方、現在はキャリブレーションが可能な期間ではない(No)と判断された場合には、ステップS45,S46をスキップして、ステップSBに戻る。
キャリブレーションが必要な時期である(Yes)と判断された場合には、ステップS46に進む。一方、キャリブレーションが必要な時期ではない(No)と判断された場合には、ステップS46をスキップして、ステップSBに戻る。
次いで、実施形態の第2の変形形態について、図7を参照して説明する。
前述の実施形態においては、基準電圧電源部140において、2つの基準抵抗器R11,R12を用いて、第1,第2基準電圧Vb1,Vb2を得た。
これに対し、本変形形態2では、基準電圧電源部240において、基準電圧Vbを発生するレギュレータ243を用い、この基準電圧Vbを、直列に接続した3つの基準抵抗器R21,R22,R23で分圧した。そして、基準抵抗器R21とR22の間のノードを端子CC5に接続し、第1基準電圧Vb1を供給する。また、基準抵抗器R22とR23の間のノードを端子G−VIPCALに接続し、第2基準電圧Vb2を供給する。
この基準電圧電源部240でも、実施形態の基準電圧電源部140と同様、万一、レギュレータ243から出力される基準電圧Vbが変動したとしても、その変動に伴って、第1,第2基準電圧Vb1,Vb2も同方向に変動するので、第1基準電圧Vb1と第2基準電圧Vb2と差電圧については、変動が抑制されるから、基準電圧Vbの変動ほどには影響が少なくて済む利点がある。
前述の実施形態では、ガスセンサ素子160が活性化した後には、タイマにより所定時間毎(定期的、本実施形態では5秒ごと)にオフセットキャリブレーション及びゲインキャリブレーションを行っている。しかしながら、差動増幅回路131を含む制御回路110等の周囲の温度変化は、たとえば、自動車を走行開始後、ある程度時間が経過すれば小さくなると考えられる。従って、状況に応じて、タイマの設定時間を変更するなど、オフセットキャリブレーション及びゲインキャリブレーションを定期的に行いつつも、キャリブレーションの間隔を適宜変更することもできる。
しかしこのほか、本来得られるべき増幅率及びオフセット電圧(設計値としての増幅率及びオフセット電圧)を用いて、一旦、仮の酸素濃度(空燃比)を算出する。しかる後、キャリブレーション(ステップS2,S3)で得られた各時点での実際の増幅率G及びオフセット電圧OFSを用いて、算出した仮の酸素濃度(空燃比)を補正することで、実際の増幅率G及びオフセット電圧OFSを反映した、より正確な酸素濃度(空燃比)を得る手法を取ることもできる。
100,200 センサ制御装置
110 制御回路(センサ制御装置)
VIP,CI,CC5,G−VIPCAL,IP+,Vcent,Pout,P1,P2,P3,Icp+ (制御回路の)端子
131 差動増幅回路(差動増幅部)
132 (差動増幅回路の)第1入力端
133 (差動増幅回路の)第2入力端
134 (ノード134A,134B間を短絡する)短絡路
134A ノード(第1入力抵抗器R6のうちオペアンプOP3とは逆側の端部)
134B ノード(第2入力抵抗器R8のうちオペアンプOP3とは逆側の端部)
OP1,OP2,OP3,OP4 オペアンプ
R9 帰還抵抗器(増幅率決定に関与する抵抗器)
R5,R6,R7,R8 抵抗器(増幅率決定に関与する抵抗器)
R6 抵抗器(第1入力抵抗器)
R8 抵抗器(第2入力抵抗器)
R5 抵抗器(第3入力抵抗器)
R7 抵抗器(第4入力抵抗器)
G (差動増幅回路の)増幅率
OFS (差動増幅回路の)オフセット出力電圧(オフセット電圧)
Vi1 第1入力電圧
Vi2 第2入力電圧
SW1,SW2 スイッチ(第1スイッチ)
SW3 スイッチ(第2スイッチ)
140,240 基準電圧電源部
Vb1 第1基準電圧
Vb2 第2基準電圧
SC 濃度信号
SG 基準増幅信号
SO オフセット検知信号
150 エンジン制御装置
160 ガスセンサ素子
Ip ポンプセル電流(検知電流)
Rd 検出抵抗器
Rd1 (検出抵抗器の)一端
Rd2 (検出抵抗器の)他端
Vd1 第1検知電圧
Vd2 第2検知電圧
Claims (13)
- ガスセンサ素子を作動させて得た特定ガス成分の濃度に対応する検知電流を用いて、前記特定ガス成分の濃度に関連する濃度信号を出力するセンサ制御装置であって、
第1入力端に入力された第1入力電圧及び第2入力端に入力された第2入力電圧を差動増幅する差動増幅部と、
前記検知電流が流れる検出抵抗器の一端の第1検知電圧を前記第1入力電圧とし、前記検出抵抗器の他端の第2検知電圧を前記第2入力電圧とする場合と、第1基準電圧を前記第1入力電圧とし、第2基準電圧を前記第2入力電圧とする場合と、を切り換える第1スイッチと、
を備えるセンサ制御装置。 - 請求項1に記載のセンサ制御装置であって、
前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧を出力する基準電圧電源部であって、
前記第1基準電圧を分圧抵抗器で分圧して前記第2基準電圧とする、または、
所定電圧をそれぞれ分圧抵抗器で分圧して前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧とする
基準電圧電源部を備える
センサ制御装置。 - 請求項2に記載のセンサ制御装置であって、
前記分圧抵抗器の抵抗値の精度を、前記差動増幅部の増幅率決定に関与する抵抗器の抵抗値の精度よりも、高精度としてなる
センサ制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のセンサ制御装置であって、
前記差動増幅部を、
互いに異なる前記第1入力電圧と前記第2入力電圧とを差動増幅する状態と、
上記差動増幅部のオフセット電圧のみが出力される状態と、に切り換える
第2スイッチを備える
センサ制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のセンサ制御装置と、
前記ガスセンサ素子と、を備える
ガスセンサシステム。 - ガスセンサ素子を作動させて得た特定ガス成分の濃度に対応する検知電流を用いて、前記特定ガス成分の濃度に関連する濃度信号を出力するセンサ制御装置であって、
第1入力端に入力された第1入力電圧及び第2入力端に入力された第2入力電圧を差動増幅する差動増幅部と、
前記検知電流が流れる検出抵抗器の一端の第1検知電圧を前記第1入力電圧とし、前記検出抵抗器の他端の第2検知電圧を前記第2入力電圧とする場合と、第1基準電圧を前記第1入力電圧とし、第2基準電圧を前記第2入力電圧とする場合と、を切り換える第1スイッチと、を備える
センサ制御装置の制御方法であって、
前記第1基準電圧を前記第1入力電圧とし、前記第2基準電圧を前記第2入力電圧として、上記センサ制御装置から前記第1基準電圧、前記第2基準電圧及び前記差動増幅部の増幅率に対応した基準増幅信号を出力させる基準信号出力ステップと、
前記第1検知電圧を前記第1入力電圧とし、前記第2検知電圧を前記第2入力電圧として、上記センサ制御装置から前記濃度信号を出力させる濃度信号出力ステップと、
を備えるセンサ制御装置の制御方法。 - 請求項6に記載のセンサ制御装置の制御方法であって、
前記基準信号出力ステップを、前記ガスセンサ素子の活性化前の段階に行う
センサ制御装置の制御方法。 - 請求項6または請求項7に記載のセンサ制御装置の制御方法であって、
前記基準信号出力ステップを、前記ガスセンサ素子の活性化後、前記センサ制御装置から前記濃度信号を出力させる必要がないときに行う
センサ制御装置の制御方法。 - 請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のセンサ制御装置の制御方法であって、
前記センサ制御装置は、前記差動増幅部を、互いに値の異なる前記第1入力電圧と前記第2入力電圧とを差動増幅する状態と、上記差動増幅部のオフセット電圧のみが出力される状態とに切り換える第2スイッチを備え、
上記センサ制御装置から前記差動増幅部のオフセット電圧に対応したオフセット信号を出力させるオフセット信号出力ステップを備える
センサ制御装置の制御方法。 - 請求項9に記載のセンサ制御装置の制御方法であって、
前記オフセット信号出力ステップを、前記ガスセンサ素子の活性化前の段階で行う
センサ制御装置の制御方法。 - 請求項9または請求項10に記載のセンサ制御装置の制御方法であって、
前記オフセット信号出力ステップを、前記ガスセンサ素子の活性化後、前記センサ制御装置から前記濃度信号を出力させる必要がないときに行う
センサ制御装置の制御方法。 - ガスセンサ素子と、
前記ガスセンサ素子を作動させて得た特定ガス成分の濃度に対応する検知電流を用いて、前記特定ガス成分の濃度に関連する濃度信号を出力するセンサ制御装置であって、
第1入力端に入力された第1入力電圧及び第2入力端に入力された第2入力電圧を差動増幅する差動増幅部、及び、
前記検知電流が流れる検出抵抗器の一端の第1検知電圧を前記第1入力電圧とし、前記検出抵抗器の他端の第2検知電圧を前記第2入力電圧とする場合と、第1基準電圧を前記第1入力電圧とし、第2基準電圧を前記第2入力電圧とする場合と、を切り換える第1スイッチを備える
センサ制御装置と、を用いた
特定ガス成分に関する濃度情報の検知方法であって、
前記第1基準電圧を前記第1入力電圧とし、前記第2基準電圧を前記第2入力電圧として、前記第1基準電圧、前記第2基準電圧及び前記差動増幅部の増幅率に対応した基準増幅信号を前記センサ制御装置から出力させ、前記差動増幅部の増幅率を検知する増幅率検知ステップと、
前記第1検知電圧を前記第1入力電圧とし、前記第2検知電圧を前記第2入力電圧として、前記濃度信号を前記センサ制御装置から出力させ、前記増幅率を用いて、前記特定ガス成分に関する濃度情報の検知する濃度情報検知ステップと、を備える
特定ガス成分に関する濃度情報の検知方法。 - 請求項12に記載の特定ガス成分に関する濃度情報の検知方法であって、
前記センサ制御装置は、前記差動増幅部を、互いに異なる前記第1入力電圧と前記第2入力電圧とを差動増幅する状態と、上記差動増幅部のオフセット電圧のみが出力される状態と、に切り換える第2スイッチを備え、
前記差動増幅部のオフセット電圧に対応したオフセット信号を前記センサ制御装置から出力させ、前記差動増幅部のオフセット電圧を検知するオフセット検知ステップを備え、
前記濃度情報検知ステップは、前記増幅率及び前記オフセット電圧に基づいて、前記特定ガス成分に関する濃度情報を検知する
特定ガス成分に関する濃度情報の検知方法。
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