JP2007210807A - Zn−Nb−Ga酸化物焼結体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高屈折率透明薄膜の成膜において、異常放電の発生回数を少なく抑え、安定して成膜することを可能とするZn−Nb−Ga酸化物焼結体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化Ga粉末、酸化Nb粉末を含むスラリーを、粉末の平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕し、得られた混合粉末と酸化Zn粉末を含むスラリーを、粉末の平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕して、得られた造粒粉を加圧成形し、成形体を1200℃以上の温度で焼成することにより、焼結体密度が5.3g/cm3以上であり、EPMAにて観察したGa原子とNb原子の凝集体の径が5μm以下であるZn−Nb−Ga酸化物焼結体を得る。
【選択図】なし
【解決手段】酸化Ga粉末、酸化Nb粉末を含むスラリーを、粉末の平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕し、得られた混合粉末と酸化Zn粉末を含むスラリーを、粉末の平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕して、得られた造粒粉を加圧成形し、成形体を1200℃以上の温度で焼成することにより、焼結体密度が5.3g/cm3以上であり、EPMAにて観察したGa原子とNb原子の凝集体の径が5μm以下であるZn−Nb−Ga酸化物焼結体を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す。)本体を保護するために、PDPの観察者側に設置され、PDPから発生する電磁ノイズを遮蔽する導電層の高屈折率透明薄膜の成膜に、スパッタリングターゲットとして用いられるZn−Nb−Ga酸化物焼結体の製造方法に関する。
高電圧および高周波でパルス放電させるPDPにおいて、パネル駆動回路や電源などからは、高強度の電磁波が輻射されている。そのため、電気用品安全法や米国FCC規格などの法規制をクリアできるように、PDPの観察者側には、電磁波シールド機能を有する光学フィルタを設置している。
電磁波シールド機能の指標としては、光学フィルタに設けられた導電層の表面抵抗がよく用いられる。日本の自主規制規格(妨害波電界強度)は、公共表示などを対象とした産業用途のクラスAと、家庭用テレビなどを対象とする民生用途のクラスBとに分けられる。PDPセットの場合、目安として、導電層の表面抵抗が3Ω/□以下であればクラスAをクリアでき、1.5Ω/□であればクラスBをクリアできる場合もあるが、一般的には、クラスBをクリアできるのは0.5Ω/□以下であることが多い。
PDP用の光学フィルタに用いられる導電層は、主としてスパッタタイプとメッシュタイプに大別される。スパッタタイプの場合、例えば、特開2005−72255号公報および特開2000−229371号公報に記載されているように、銀または銀合金からなる高導電性金属薄膜と、酸化インジウムや酸化亜鉛などの金属酸化物からなる高屈折率透明薄膜とを多層積層した透明導電膜を利用している。
高屈折率透明薄膜として、特開2000−229371号公報には、酸化インジウムを主成分とし、酸化チタン、酸化錫および酸化セリウムを少量含有させることが好適であると記載されている。しかし、酸化インジウムは非常に希少な物質であり、高価であるため、酸化インジウムを主成分とすることは、コスト的に好ましくない。
また、高屈折率透明薄膜として、特開2005−72255号公報には、吸収が小さく、屈折率が約2であることから、酸化亜鉛を主成分とすることが好ましいと記載され、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを含有させた例が示されている。しかし、酸化亜鉛は安価であるが、酸化アルミニウムの屈折率が約1.6と低いので、酸化アルミニウムを含有させることにより屈折率が低下するという欠点を有している。
以上のことから、特開平11−322413号公報に記載されている、光ディスク用保護膜として開発され、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ニオブと酸化アルミニウムとを含有させた膜を、PDP用の光学フィルタに適用することが試みられている。得られる高屈折率透明薄膜は、Zn−Nb−Ga酸化物膜である。
Zn−Nb−Ga酸化物膜の成膜方法としては、スパッタリング法がよく用いられ、酸化亜鉛粉末、酸化ニオブ粉末および酸化ガリウム粉末を混合した後に、焼結させ、得られたZn−Nb−Ga酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして用いる。
しかし、従来技術により得られたZn−Nb−Ga酸化物焼結体を用いて、スパッタリングを行うと、異常放電が発生し、得られる膜質が悪化してしまい、良好な高屈折率透明薄膜が得られないという問題があった。
本発明は、良好な高屈折率透明薄膜を得るため使用されるスパッタリングターゲットであり、異常放電の発生回数を少なく抑え、安定して成膜できることを特徴とするZn−Nb−Ga酸化物焼結体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のZn−Nb−Ga酸化物焼結体は、酸化ニオブを1質量%〜10質量%、酸化ガリウムを0.1質量%〜1.0質量%含有し、残部が酸化亜鉛からなり、EPMA(電子線マイクロアナライザー)にて観察したニオブ(Nb)原子の凝集体の径が5μm以下であり、かつ、EPMAにて観察したガリウム(Ga)原子の凝集体の径が5μm以下である。なお、本発明のZn−Nb−Ga酸化物焼結体においては、実質的に残部が酸化亜鉛からなっていればよく、不可避不純物等の混入を制限するものではない。
該酸化物焼結体の焼結体密度が5.3g/cm3以上であることが好ましい。
かかるZn−Nb−Ga酸化物焼結体を所定の大きさに加工することにより、高屈折率透明薄膜をスパッタリング法で成膜する場合に好適なスパッタリングターゲットが得られる。
かかるZn−Nb−Ga酸化物焼結体の製造方法は、酸化ガリウム粉末、酸化ニオブ粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕する工程と、該工程で得られたスラリー、酸化亜鉛粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕する工程と、該工程で得られたスラリーを噴霧し、乾燥させて造粒粉を得る工程と、得られた造粒粉を加圧成形して成形体を得る工程と、得られた成形体を焼成する工程とからなる。
前記成形体を焼成する工程において、焼成温度を1150℃以上とすることが好ましい。
本発明により、異常放電の発生回数を少なく抑え、安定して成膜できることを特徴とするZn−Nb−Ga酸化物焼結体の製造方法を提供することができ、得られたZn−Nb−Ga酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして使用することにより、PDP用の光学フィルタを構成する良好な高屈折率透明薄膜を得ることができた。
スパッタリングターゲットとして使用される焼結体は、高密度であることが好ましい。スパッタリングターゲットの密度が低いと、長時間、スパッタリングした場合、エロージョン近傍に突起物(ノジュール)が発生して、成膜中に異常放電が起きやすくなる。このように、成膜中に異常放電が発生すると、膜質が悪化してしまう。
本発明者の実験により、ノジュールおよび異常放電の生じやすさは、焼結体であるスパッタリングターゲットの密度および添加元素の分散性と密接に関連しているとの知見が得られた。そのため、スパッタリングターゲットの密度を高くするとともに、添加元素の分散性を良くすることにより、ノジュールおよび異常放電の発生を効果的に抑制できると考えた。
本発明のZn−Nb−Ga酸化物焼結体は、酸化ニオブを1質量%〜10質量%、酸化ガリウムを0.1質量%〜1.0質量%含有し、残部が酸化亜鉛からなり、焼結体密度が5.3g/cm3以上であり、EPMA(電子線マイクロアナライザ)にて観察したGa原子の凝集体の径が5μm以下であり、かつ、EPMAにて観察したNb原子の凝集体の径が5μm以下である。ここで、焼結体密度とは、焼結体の質量を焼結体の体積で割ることにより計算された密度をいう。
焼結体密度が5.3g/cm3未満であるか、または、Ga原子の凝集体の径が5μmを超える、あるいは、Nb原子の凝集体の径が5μmを超えると、長時間スパッタリングした場合、成膜中に異常放電が起きやすくなり、膜特性の悪化につながるので好ましくない。
酸化ニオブは、高屈折率を得ることを目的に、添加される。1質量%未満では添加効果が十分に発揮されない。一方、10質量%を超えて添加しても良いが、酸化ニオブの添加量が増加することにより、焼結体の抵抗が高くなり、かつ、高密度とすることが極めて困難となることから、10質量%以下であることが好ましい。
酸化ガリウムは、焼結体に導電性を持たせ、DCスパッタリングを可能にすることを目的に添加される。0.1質量%未満では、添加効果が十分に発揮されない。一方、1.0質量%を超えて添加しても、導電性を付与する効果は劇的に変化することはない。むしろ添加量を増やすことにより、屈折率が低下してしまうため、0.1質量%〜1.0質量%の添加が好ましい。
本発明のZn−Nb−Ga酸化物焼結体を作製する際は、添加元素である酸化ガリウム粉末および酸化ニオブ粉末を平均粒径0.5μm以下となるまで湿式粉砕し、その後、主成分である酸化亜鉛スラリーと混合させる。
具体的には、純水、有機バインダーとしてポリビニルアルコール、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩、原料粉として酸化ニオブ粉末および酸化ガリウム粉末を混合し、原料粉濃度が40質量%〜70質量%、好ましくは60質量%となるようなスラリーを作製し、原料粉の平均粒径が0.5μm以下となるまでビーズミル装置により混合粉砕を行う。その後、主成分である酸化亜鉛粉末を加え、原料粉濃度が40質量%〜70質量%、好ましくは60質量%となるように、純水、有機バインダー、分散剤を加え、さらに、ビーズミル装置で原料粉の平均粒径が0.5μm以下となるまで混合粉砕を行う。
このように、添加元素である酸化ニオブ粉末および酸化ガリウム粉末をまず粉砕し、主成分である酸化亜鉛粉末と混合し、かつ、これらの混合粉末を平均粒径が0.5μm以下と微細化することにより、酸化ニオブ粉末および酸化ガリウム粉末の凝集を確実に取り除くことができる。
主成分である酸化亜鉛と、添加元素である酸化ニオブおよび酸化ガリウムとを、同時に混合粉砕すると、作製したZn−Nb−Ga酸化物焼結体の密度は向上しにくくなり、さらに、酸化ニオブおよび酸化ガリウムが局所的に凝集している箇所が存在してしまうため、好ましくない。
前記工程で得られた原料粉を含有するスラリーを、例えば、スプレードライヤー等により、噴霧し、乾燥させることにより、造粒粉を得る。該造粒粉を、例えば、冷間静水圧プレス(CIP)等により加圧成形して、成形体を得る。さらに、該成形体を焼成することにより、Zn−Nb−Ga酸化物焼結体を得る。
本発明のZn−Nb−Ga酸化物焼結体において、焼結体密度を5.3g/cm3以上とすることがより好ましいが、かかる焼結体密度を達成するためには、前記成形体を焼成する工程において、焼成温度を1150℃以上とする必要がある。なお、焼成時間は、5〜20時間である。一方、成形体を得る工程では、造粒粉を196MPa(2ton/cm2)〜294MPa(3ton/cm2)の圧力を掛ければよい。
かかる製造方法により、本発明のZn−Nb−Ga酸化物焼結体が得られる。なお、Ga原子の凝集およびNb原子の凝集の程度は、EPMA(電子線マイクロアナライザー)にて、それぞれの原子の凝集体の径を計測し、当該凝集体の径により評価できる。なお、凝集体の径とは、計測した径の最大値を意味する。
なお、原料粉における各酸化物粉末の添加割合は、上記製造方法により得られた酸化物焼結体における各成分の含有割合と実質的に同じとなる。また、該酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットにより高屈折率透明薄膜を成膜した場合、酸化物焼結体における各成分の含有割合と、該透明薄膜における各成分の含有割合は実質的に同じとなる。
(実施例1)
平均粒径が1μm以下のZnO粉末を95.4質量%、平均粒径が1μm以下のNb2O5粉末を5質量%、および、平均粒径が1μm以下のGa2O3粉末を0.5質量%となるように、それぞれ秤量し、前記Nb2O5粉末、前記Ga2O3粉末、純水、ポリビニルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。
平均粒径が1μm以下のZnO粉末を95.4質量%、平均粒径が1μm以下のNb2O5粉末を5質量%、および、平均粒径が1μm以下のGa2O3粉末を0.5質量%となるように、それぞれ秤量し、前記Nb2O5粉末、前記Ga2O3粉末、純水、ポリビニルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。
次に、硬質ZrO2ボールを投入したビーズミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ型)を用いて、原料粉の平均粒径が0.5μm以下となるまで、粉砕混合を行った。なお、原料粉の平均粒径の測定には、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−2200)を用いた。
その後、前記ZnO粉末、純水、ポリビルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように、さらに加えて、前述と同様に、原料粉の平均粒径が0.5μm以下となるまで、粉砕混合を行った。
得られたスラリーを、スプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、ODL−20型)にて、噴霧および乾燥し、粒径が約50μmである造粒粉を得た。
さらに、得られた造粒粉を、冷間静水圧プレスで294MPa(3ton/cm2)の圧力を掛けて成形し、得られた約200mmφの成形体を、大気圧焼結炉にて、焼成温度を1200℃として、10時間、焼成して、酸化物焼結体を得た。
得られた酸化物焼結体の焼結体密度は5.4g/cm3であった。
また、得られた酸化物焼結体を切断し、任意に10mm角のサンプルを10個作製し、EPMA装置(島津製作所製、EPMA-1600)を用いて、面分析を行い、NbおよびGaの分散性を確認した。Nb原子およびGa原子のいずれの元素も、観察された凝集体の径は、5μm以下であった。
次に、得られた酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6inch)で、厚みが5mmとなるように加工し、スパッタリングターゲットを得た。
該スパッタリングターゲットをスパッタ装置(アネルバ製、SPF−530)に装着した後、積算電力量5kWhまで、スパッタリング法にて成膜し、それまでの異常放電の回数を調べた。なお、スパッタリング条件は、基板とターゲットとの距離を60mmとして、到達真空度を2.0×10-4Pa以下、ガス圧を0.5Paとした。その結果、異常放電の回数は、初期から積算電力量5kWhまで、ほぼ変化することなく、1回/分〜2回/分の異常放電しか発生しなかった。
(比較例1)
焼成温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化物焼結体を作製した。
焼成温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化物焼結体を作製した。
得られた酸化物焼結体の焼結体密度は5.0g/cm3であり、実施例1と比較すると低かった。
また、実施例1と同様にして面分析を行い、NbおよびGaの分散性を確認した。Nb原子およびGa原子のいずれの元素も、観察された凝集体の径は、5μm以下であった。
次に、実施例1と同様に、得られた酸化物焼結体のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングを行い、異常放電の回数を測定した。異常放電の回数は、積算電力量2kWhあたりから増加し、積算電力量5kWhの時点で、20回/分〜30回/分の異常放電が発生した。
(比較例2)
平均粒径が1μm以下のZnO粉末を95.4質量%、平均粒径が1μm以下のNb2O5粉末を5質量%、および、平均粒径が1μm以下のGa2O3粉末を0.5質量%となるように、それぞれ秤量し、前記ZnO粉末、前記Nb2O5粉末、前記Ga2O3粉末、純水、ポリビニルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。
平均粒径が1μm以下のZnO粉末を95.4質量%、平均粒径が1μm以下のNb2O5粉末を5質量%、および、平均粒径が1μm以下のGa2O3粉末を0.5質量%となるように、それぞれ秤量し、前記ZnO粉末、前記Nb2O5粉末、前記Ga2O3粉末、純水、ポリビニルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。
次に、硬質ZrO2ボールを投入したビーズミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ型)を用いて、原料粉の平均粒径が0.5μm以下となるまで、粉砕混合を行った。なお、原料粉の平均粒径の測定には、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−2200)を用いた。
得られたスラリーを、スプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、ODL−20型)にて、噴霧および乾燥し、粒径が約50μmである造粒粉を得た。
さらに、得られた造粒粉を、冷間静水圧プレスで294MPa(3ton/cm2)の圧力を掛けて成形し、得られた約200mmφの成形体を、大気圧焼結炉にて、焼成温度を1200℃として、10時間、焼成して、酸化物焼結体を得た。
得られた酸化物焼結体の焼結体密度は5.2g/cm3であり、実施例1と比較すると若干低かった。
また、実施例1と同様にして面分析を行い、NbおよびGaの分散性を確認した。その結果、実施例1と異なり、径が10μm以上あるNb原子の凝集体が数箇所に発見された。
次に、実施例1と同様に、スパッタリングを行い、異常放電の回数を測定した。異常放電の回数は、使用初期より40回/分〜60回/分もの異常放電が発生した。このため、積算電力量5kWhまで使用せずに試験を中止した。
(比較例3)
平均粒径が1μm以下のZnO粉末を95.4質量%、平均粒径が1μm以下のNb2O5粉末を5質量%、および、平均粒径が1μm以下のGa2O3粉末を0.5質量%となるように、それぞれ秤量し、前記ZnO粉末、前記Nb2O5粉末、前記Ga2O3粉末、純水、ポリビルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。なお、ビーズミル装置による原料粉の粉砕は行わなかった。
平均粒径が1μm以下のZnO粉末を95.4質量%、平均粒径が1μm以下のNb2O5粉末を5質量%、および、平均粒径が1μm以下のGa2O3粉末を0.5質量%となるように、それぞれ秤量し、前記ZnO粉末、前記Nb2O5粉末、前記Ga2O3粉末、純水、ポリビルアルコールおよびポリカルボン酸アンモニウム塩を、原料粉濃度が60%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。なお、ビーズミル装置による原料粉の粉砕は行わなかった。
次に、原料粉の平均粒径を、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−2200)を用いて行ったところ、平均粒径が1μm以下である原料粉のみを用いているにもかかわらず、粒子同士が凝集されており、5μm程度のピークが存在していた。
得られたスラリーを、スプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、ODL−20型)にて、噴霧および乾燥し、粒径が約50μmである造粒粉を得た。
さらに、得られた造粒粉を、冷間静水圧プレスで294MPa(3ton/cm2)の圧力を掛けて成形し、得られた約200mmφの成形体を、大気圧焼結炉にて、焼成温度を1200℃として、10時間、焼成して、酸化物焼結体を得た。
得られた焼結体の密度は4.9g/cm3であり、実施例1と比較すると低かった。
また、実施例1と同様にして面分析を行い、NbおよびGaの分散性を確認した。その結果、実施例1と異なり、径が10μm以上あるNb原子の凝集体が多数発見された。
次に、実施例1と同様に、スパッタリングを行い、異常放電の回数を測定した。異常放電の回数は、使用初期より60回/分以上もの異常放電が発生した。このため、積算電力量5kWhまで使用せずに試験を中止した。
Claims (6)
- 酸化ニオブを1質量%〜10質量%、酸化ガリウムを0.1質量%〜1.0質量%含有し、残部が酸化亜鉛からなるZn−Nb−Ga酸化物焼結体であって、EPMAにて観察したニオブ原子の凝集体の径が5μm以下であり、かつ、EPMAにて観察したガリウム原子の凝集体の径が5μm以下であることを特徴とするZn−Nb−Ga酸化物焼結体。
- 焼結体密度が5.3g/cm3以上である請求項1に記載のZn−Nb−Ga酸化物焼結体。
- 請求項1または2に記載されたZn−Nb−Ga酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲット。
- 酸化ガリウム粉末、酸化ニオブ粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕する工程と、該工程で得られたスラリー、酸化亜鉛粉末、水、有機バインダーおよび分散剤を混合して、平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕する工程と、該工程で得られたスラリーを噴霧し、乾燥させて造粒粉を得る工程と、得られた造粒粉を加圧成形して成形体を得る工程と、得られた成形体を焼成して焼結体を得る工程とからなるZn−Nb−Ga酸化物焼結体の製造方法。
- 前記成形体を焼成する工程において、焼成温度を1150℃以上とする請求項4に記載のZn−Nb−Ga酸化物焼結体の製造方法。
- 酸化物粉末の合計量に対して、酸化ニオブ粉末の添加量を1質量%〜10質量%、酸化ガリウムの添加量を0.1質量%〜1.0質量%とする請求項4または5に記載Zn−Nb−Ga酸化物焼結体の製造方法。
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