以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の燃料電池の構造を分解して模式的に示した斜視図である。
図1に示す如く、燃料電池スタック100は、複数の矩形の燃料電池10を積層して構成されている。
なお、燃料電池スタック100の両端の最外層には端板40が取り付けられ、燃料電池10は互いに両端板40から、燃料電池10の四隅のボルト孔4を挿通する締結ボルト(図示せず)とナット(図示せず)とで締結されている。ここでは、燃料電池10は、例えば60個積層されている。
燃料電池10のMEA1は、高分子電解質膜6の両面の中央部に、矩形の電極部5(触媒層及びガス拡散層)の対を設けて構成されている。そして、燃料電池10は、導電性の板状のセパレータ2、3の対を有し、MEA1の周縁部6aに、矩形かつ環状のガスケット(図示せず)が配設され、このガスケットとMEA1の電極部5とが、この導電性のセパレータ(具体的にはアノードセパレータ2及びカソードセパレータ3)の対により挟まれてなる。なお、MEA1の構成は公知であり、ここではその詳細な説明は省略する。
アノードセパレータ2の表面(おもて面;一方の電極部5との当接面)には、燃料ガス(還元剤ガス)が通流する燃料ガス通流領域101が形成されている。この燃料ガス通流領域101は、燃料ガスをできる限り均等に近い状態で分配してできる限り均一に近い流速で流すための複数の帯状の燃料ガス流路溝25(流路溝群;例えば図2参照)を有する燃料ガス分流領域の集合体21、及び複数の燃料ガス流路溝25を合流して燃料ガスの混合促進を図るための島状(ここでは略円柱状、より正確には略真円柱形)の複数の突起27(例えば図2参照)を有する燃料ガス合流領域の集合体22を備えて構成されている。
なお本実施形態の突起27は、図2に示す如く略円柱形により形成されているが、突起27の形状はこれに限らず、略円柱形、略三角柱形及び略四角柱形の中から選ばれる少なくとも一つの形態により形成すれば良い。また、突起27の立設方向に垂直な輪切り断面が、本実施形態の略真円柱形の他、後記の変形例2で述べる如く楕円柱形であっても、このような突起は、本明細書における略円柱形であるものとする。
なお、この燃料ガス通流領域101の構成は後程詳しく説明する。
また、カソードセパレータ3の表面(おもて面;他方の電極部5との当接面)には、酸化剤ガスが通流する酸化剤ガス通流領域102が形成されている。この酸化剤ガス通流領域102は、酸化剤ガスをできる限り均等に近い状態で分配してできる限り均一に近い流速で流すための複数の帯状の酸化剤ガス流路溝35(流路溝群;例えば図6参照)を有する酸化剤ガス分流領域の集合体31、及び複数の酸化剤ガス流路溝35を合流して酸化剤ガスの混合促進を図るための島状(ここでは略円柱状、より正確には略真円柱形)の複数の突起37(例えば図6参照)を有する酸化剤ガス合流領域の集合体32を備えて構成されている。
なお本実施形態の突起37は、上記突起27と同様、図6に示す如く略円柱形により形成されているが、突起37の形状はこれに限らず、略円柱形、略三角柱形及び略四角柱形の中から選ばれる少なくとも一つの形態により形成すれば良い。
なお、この酸化剤ガス通流領域102の構成は後程詳しく説明する。
また、これらの両セパレータ2、3及びMEA1の周縁部6aには、これらを貫通するようにして、燃料ガスを供給及び排出するための一対の燃料ガスマニフォールド孔12A、12B及び酸化剤ガスを供給及び排出するための一対の酸化剤ガスマニフォールド孔13A、13B並びに冷却水を供給及び排出するための冷却水マニフォールド孔14A、14Bが設けられている。
そして、燃料電池10が積層された形態では、これらの孔12A、12B、13A、13B、14A、14B等は順に繋がり、これにより燃料電池スタック100の積層方向(ねじ締結方向)に延びる、楕円柱状の一対の燃料ガスマニフォールド及び楕円柱状の一対の酸化剤ガスマニフォールド並びに楕円柱状の一対の冷却水マニフォールドが形成されることになる。
ここで、燃料ガス通流領域101は、サーペンタイン状かつ帯状に延びて、燃料ガスマニフォールド孔12Aと、燃料ガスマニフォールド孔12Bとの間を結ぶように形成されている。これにより、燃料ガスマニフォールドを流れる燃料ガスの一部が、各アノードセパレータ2の燃料ガスマニフォールド孔12Aから燃料ガス通流領域101に導かれる。こうして導かれた燃料ガスは、燃料ガス通流領域101を流れる間に、MEA1において反応ガスとして消費される。ここで消費されなかった燃料ガスは、燃料ガス通流領域101から各アノードセパレータ2の燃料ガスマニフォールド孔12Bに流出し、燃料ガスマニフォールドを流れて燃料電池スタック100の外部に排出される。
一方、酸化剤ガス通流領域102は、サーペンタイン状かつ帯状に延びて、酸化剤ガスマニフォールド孔13Aと、酸化剤ガスマニフォールド13Bとの間を結ぶように形成されている。これにより、酸化剤ガスマニフォールドを流れる酸化剤ガスの一部が、各カソードセパレータ3の酸化剤ガスマニフォールド孔13Aから酸化剤ガス通流領域102に導かれる。こうして導かれた酸化剤ガスは、酸化剤ガス通流領域102を流れる間に、MEA1において反応ガスとして消費される。ここで消費されなかった酸化剤ガスは、酸化剤ガス通流領域102から各かソードセパレータ3の酸化剤ガスマニフォールド孔13Bに流出し、酸化剤ガスマニフォールドを流れて燃料電池スタック100の外部に排出される。
なお、燃料電池10の温度を適温に保つための冷却水は、一対の冷却水マニフォールドを介してカソードセパレータ3の裏面(上記表面の反対面)設けられた複数の冷却水溝(図示せず)を流れるが、ここでは冷却水の通流構造の詳細な説明は省く。
次に、アノードセパレータ2に配設された燃料ガス通流領域101の構成について図面を参照して詳しく述べる。
図2は、アノードセパレータの表面を示した図である。
図3は、図2のIII−III線に沿ったアノードセパレータの断面図であり、図4は、図2の
IV−IV線に沿ったアノードセパレータの断面図であり、図5は、図2のA領域の拡大図で
ある。
なお、図2及び図5において、「上」、「下」は、それぞれ、アノードセパレータ2を組み込んだ燃料電池スタック100の設置状態における「上方向」、「下方向」を示し、図2において、「第1の側」及び「第2の側」は、それぞれ、アノードセパレータ2を組み込んだ燃料電池スタック100の設置状態における「右又は左方向」、「左または右方向」を示す。
図2から理解されるとおり、燃料ガス通流領域101は、アノードセパレータ2の表面の、MEA1の電極部5(ガス拡散電極)に当接する領域201内において、サーペンタイン状に形成され、燃料ガス分流領域の集合体21と、燃料ガス合流領域の集合体22(図1参照)と、により構成されている。
燃料ガス分流領域の集合体21は、上から下に向かって、燃料ガス流路溝25の溝数を違えた、第1、第2、第3及び第4の燃料ガス分流領域21A、21B、21C、21Dに区分されてなる。
また、燃料ガス合流領域の集合体22には、第1の燃料ガス分流領域21Aと第2の燃料ガス分流領域21Bとの間に介在する第1の燃料ガス合流領域22A、及び第2の燃料ガス分流領域21Bと第3の燃料ガス分流領域21Cとの間に介在する第2の燃料ガス合流領域22B(中間合流領域)、並びに第3の燃料ガス分流領域21Cと第4の燃料ガス分流領域21Dとの間に介在する第3の燃料ガス合流領域22Cがある。
ここで、図2に示すように、第1の燃料ガス分流領域21Aは、サーペンタイン状の各燃料ガス流路溝25のうちの3つの直線部602と、2つの折り返し部601とを組み合わせて形成されている。この第1の燃料ガス分流領域21Aにおいては、直線部602の流路溝の溝数と、当該直線部602に接続される折り返し部の流路溝の溝数とが同数となるように形成されている。
同様に、第2の燃料ガス分流領域21B、第3の燃料ガス分流領域21Cもそれぞれ3つの直線部(符号を用いて図示せず)と、2つの折り返し部(符号を用いて図示せず)とを組み合わせて形成されている。この第2の燃料ガス分流領域21Bにおいても、直線部の流路溝の溝数と、当該直線部に接続される折り返し部の流路溝の溝数とが同数となるように形成されている。この第3の燃料ガス分流領域21Cにおいても、直線部の流路溝の溝数と、当該直線部に接続される折り返し部の流路溝の溝数とが同数となるように形成されている。
更に、第4の燃料ガス分流領域21Dも、6つの直線部(符号を用いて図示せず)と、5つの折り返し部(符号を用いて図示せず)とを組み合わせて形成されている。この第4の燃料ガス分流領域21Dにおいても、直線部の流路溝の溝数と、当該直線部に接続される折り返し部の流路溝の溝数とが同数となるように形成されている。
そして、第1の燃料ガス合流領域22Aは、第1の燃料ガス分流領域21Aと第2の燃料ガス分流領域21Bとの間に介在する折り返し部に形成されている。また、第2の燃料ガス合流領域22Bは、第2の燃料ガス分流領域21Bと第3の燃料ガス分流領域21Cとの間に介在する折り返し部に形成されている。更に、第3の燃料ガス合流領域22Cは、第3の燃料ガス分流領域21Cと第4の燃料ガス分流領域21Dとの間に介在する折り返し部に形成されている。
このように、直線部と折り返し部とを含む分流領域(第1、第2、第3及び第4の燃料ガス分流領域21A、21B、21C、21D)を形成することにより、先にも述べたように、比較的長い流路溝を形成することができる。即ち、2つの合流領域の間に配置される分流領域に含まれる各流路溝の1本当たりの流路長を長くすることができる。このように長い流路長を有する流路溝は、当該流路溝に水滴が発生しても水滴の上流側にかかるガス圧と下流側にかかるガス圧との差が大きくなるため、優れた排水性を得ることができるようになる。
更に、図2に示すように、4つの分流領域のうちで最も上流側に配置される第1の燃料ガス分流領域21Aの直線部602が、燃料ガスマニホールド孔12A(ガス入口マニホールド)に接続されており、4つの分流領域のうちで最も下流側に配置される第4の分流領域21Dの直線部が、燃料ガスマニホールド孔12B(ガス出口マニホールド)に接続されている。
即ち、本実施形態においては、合流領域を燃料ガスマニホールド孔12A(ガス入口マニホールド)の直後に配置せず、かつ、燃料ガスマニホールド孔12B(ガス入口マニホールド)の直前に配置しない構成が採用されている。この構成を採用することにより、先に述べたように、燃料電池スタック10を組み立てる際にMEA1の電極部5(ガス拡散電極、アノード)の外周縁と当該MEA1の外側に配置される環状のガスケットの内周縁との間にできる隙間(図示せず)に、燃料ガスの一部が流入することを容易に低減することができ、上記隙間に燃料ガスを流入させないためのガスシールの構成をよりシンプルにでき、かつ、その構成を容易に形成することができる。
なお、このように合流領域が燃料ガスマニホールド孔12A(ガス入口マニホールド)の直後に配置されない場合{燃料ガスマニホールド孔12A(ガス入口マニホールド)の直後に折り返し部も配置されない場合}には、4つの分流領域のうちで最も下流側に配置される第4の分流領域21Dが合流領域の形成されていない折り返し部(図示せず)を有しており、当該折り返し部が燃料ガスマニホールド孔12B(ガス出口マニホールド)に接続されていてもよい。この場合にも上記隙間へ反応ガスの一部が流入することを防止するための構成をシンプルにすることができかつその構成を容易に形成することができる。
そして、燃料ガス分流領域の集合体21は、第1、第2及び第3の燃料ガス合流領域22A、22B、22Cの各々を挟んで、これらの合流領域22A、22B、22Cの上流側に位置する燃料ガス分流領域の集合体21の燃料ガス流路溝25の溝数がその下流側に位置する燃料ガス分流領域の集合体21の燃料ガス流路溝25の溝数よりも多くなるように、第1、第2、第3及び第4の燃料ガス分流領域21A、21B、21C、21Dに区分して構成されている。
ここで、第1、第2及び第3の燃料ガス合流領域22A、22B、22Cの配置箇所及び第1、第2、第3及び第4の燃料ガス分流領域21A、21B、21C、21Dの燃料ガス流路溝25の溝数は、燃料ガス流路溝25を流れる燃料ガスの発電消費量を勘案して、第1、第2、第3及び第4の燃料ガス分流領域21A、21B、21C、21Dの各々の燃料ガス流路溝25を流れる燃料ガスの流速が、凝縮水排出に適した速度となり、かつ互いに一致するように決定されている。
斯かる構成により、燃料ガスの電極部5への面内供給均一化が図れると共に、燃料電池発電に起因して発生する凝縮水の、燃料ガスによる排水性能が、燃料ガス量が少なくかつ凝縮水の溜まり易い下流側(燃料ガスマニフォールド孔12B近傍)においても適正に確保され好適である。
また、この実施形態では、図2に示す如く、第1の燃料ガス合流領域22Aの下流側の第2の燃料ガス分流領域21Bは、この第1の燃料ガス合流領域22Aを間に挟んで上流側の第1の燃料ガス分流領域21Aを折り返すように構成されているが、両端部に位置する折り返し部の全てに、燃料ガス合流領域を設けるようには構成されていない。
すなわち、アノードセパレータ2は、燃料ガス流路溝25を流れる燃料ガスの流速を凝縮水排出に適した速度に揃える観点から、窪み部(後記)に複数の突起27が形成された燃料ガス合流領域からなる折り返し部と、コの字状に曲がった複数の燃料ガス流路溝25からなる折り返し部とが、混在するようになっている。
より詳しくは、本実施形態では、第1の燃料ガス分流領域21Aでは、6列の燃料ガス流路溝25が、第2の側の燃料ガスマニフォールド孔12Aから第1の側に延びて、2箇所で180°折り返すようにして、第1の燃料ガス合流領域22Aに至るように構成されている。
また、第2の燃料ガス分流領域21Bでは、5列の燃料ガス流路溝25が、第1の側の折り返し部に位置する第1の燃料ガス合流領域22Aの下流側から第2の側に延びて、2箇所で180°折り返すようにして、第2の燃料ガス合流領域22Bに至るように構成されている。
また、第3の燃料ガス分流領域21Cでは、4列の燃料ガス流路溝25が、第2の側の折り返し部に位置する第2の燃料ガス合流領域22Bの下流側から第1の側に延びて、2箇所で180°折り返すようにして、第3の燃料ガス合流領域22Cに至るように構成されている。
また、第4の燃料ガス分流領域21Dでは、3列の燃料ガス流路溝25が、第1の側の折り返し部に位置する第3の燃料ガス合流領域22Cの下流側から第2の側に延びて、5箇所で180°折り返すようにして燃料ガスマニフォールド孔12Bに至るように構成されている。
また、図3に示す如く、第1の燃料ガス分流領域21Aの横断面は、均等なピッチP1及び均等な幅W1、W2並びに均等な段差D1を有する複数(ここでは6個)の凹部25と複数(ここでは6個)の凸部26からなる凹凸パターンが形成されるように構成されており、この凹部25が燃料ガス流路溝25に相当し、この凸部26が電極部5に接触してこれを支持するリブ(電極部5の支持部)に相当する。
このようなアノードセパレータ2の断面構成によれば、MEA1の電極部5が、第1の燃料ガス分流領域21Aの凸部26に当接し、これにより、電極部5は、均等なピッチP1及び均等な幅W2並びに均等な段差D1を有して配設された凸部26の頂面で均等に支持される。また、電極部5が、均等なピッチP1及び均等な幅W1並びに均等な段差D1を有して配設された燃料ガス流路溝25の内部に、等しく垂れ込む。
斯かる構成により、第1の燃料ガス分流領域21Aの燃料ガス流路溝25に燃料ガスを流す際に、複数の燃料ガス流路溝25の間の燃料ガスの圧損の不均一性が十分に抑制され好適である。また、電極部5における燃料ガス拡散の面内(電極部5の厚み方向に垂直な方向における)不均一性が十分に抑制され好適である。
また、このような凹凸パターンを有するアノードセパレータ2は金型成型(圧縮成型)により製造でき、これにより、アノードセパレータ2を一枚板により構成でき、その結果、アノードセパレータ2の生産性を向上できる。
なお、第2、第3及び第4の燃料ガス分流領域21B、21C、21Dの横断面の構成は、ここで述べた構成と同じであるため、これらの説明は省略する。
また、図4及び図5から理解されるとおり、第2の燃料ガス合流領域22Bは、燃料ガス流路溝25(凹部25)に連通する窪み部28(凹状の領域)と、この窪み部28の底面に立設された複数の島状(ここでは略円柱状)の突起27と、により構成されている。
なお、図2に示したように、第1の燃料ガス合流領域22A及び第3の燃料ガス合流領域22Cにも、上記窪み部28と同様の窪み部(符号を付けて図示せず)及び上記突起27と同様の突起(符号を付けて図示せず)が形成されている。これら第1の燃料ガス合流領域22A及び第3の燃料ガス合流領域22Cの構成については、これらに連通する流路溝の溝数以外の構成は第2の燃料ガス合流領域22Bと同様なので説明を省略する。
窪み部28は、アノードセパレータ2の表面に、サーペンタイン状の燃料ガス通流領域101の第2の側の折り返し部に位置するように形成されている。この窪み部28は、アノードセパレータ2の表面から見て、上下方向に延びる底辺28aと、この底辺28aとの間に略45度の挟角を有する一対の斜辺28b、28cと、を有する略直角三角形状に形成されている。そして、この底辺28aが燃料ガス通流領域101の折り返し部の外端(側縁)を構成し、上側の斜辺28bが第2の燃料ガス分流領域21Bとの境界を構成し、下側の斜辺28cが第3の燃料ガス分流領域21Cとの境界を構成している。第2の燃料ガス分流領域21Bの各燃料ガス流路溝25は上側の斜辺28bにおいて窪み部28と連通し、第3の燃料ガス分流領域21Cの各燃料ガス流路溝25は下側の斜辺28cにおいて窪み部28と連通している。なお、窪み部28は、ここでは、燃料ガス流路溝25と同じ深さに形成されている。
突起27は、図4及び図5に示すように、第2及び第3の燃料ガスサブ分流流路21B、21Cの各凸部26(但し上端の凸部26を除く)の延長線上に均等なピッチP2で複数(ここでは15個)形成されている。このピッチP2は、ここでは、各燃料ガス分流領域21B、21Cの凸部26のピッチP1と同じである。また、図4に示す如く、全ての突起27が均等な高さ(段差)D2及び同じ形状を有している。
なお突起27は、窪み部28の底辺28aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部26の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
突起27は、燃料ガスの混合を促進するガス流邪魔片として機能するとともにMEA1の電極部5の支持部(リブ)として機能する。
なお、第1及び第3の燃料ガス合流領域22A、22Cの構成は、ここで述べた構成と同じであるため(窪み部28の形状は正確には相似形)、これらの構成の説明は省略する。
このようなアノードセパレータ2(特に燃料ガス合流領域の構成)によれば、複数の燃料ガス流路溝25の間の燃料ガス混合及び燃料ガス流速均一性並びに燃料ガス圧均一化について、以下に述べる効果が得られる。
第1に、第1、第2及び第3の燃料ガス合流領域22A、22B、22Cを、燃料ガス分流領域に対し斜めの直線状境界を有するように形成したことにより、例えば、燃料ガスは、図5の矢印で示す如く、第2の燃料ガス合流領域22B内を均一に近い状態で良好に流れ、ここの下流側の燃料ガス流路溝25(第3の燃料ガス分流領域21Cの燃料ガス流路溝25)への燃料ガス分配性は低下すること無く、燃料ガス流速の均一性を良好な状態(ガス流速のバラツキをより十分に低減した状態で)で維持できる。
第2に、第1、第2及び第3の燃料ガス合流領域22A、22B、22Cを先に述べた弓形に突出した形状、より具体的には、略三角形に区画したことにより、燃料ガスを、窪み部28のコーナーにまで適切に送出できるよう、窪み部の略全域に亘り均一に流せる。このため、窪み部28の下流側の燃料ガス流路溝25への燃料ガス分配性は低下すること無く、燃料ガス流速の均一性を改善(ガス流速のバラツキをより十分に低減)することができる。また、第1の燃料ガス合流領域22Aと第2の燃料ガス合流領域22Bとの間を繋ぐ第2の燃料ガス分流領域21Bの5列の燃料ガス流路溝25の各々の流路長が互いに等しく設定され、これにより、これらの燃料ガス流路溝25を流れる燃料ガスの流速均一化は阻害されない。
同様に、第2の燃料ガス合流領域22Bと第3の燃料ガス合流領域22Cとの間を繋ぐ第3の燃料ガス分流領域21Cの4列の燃料ガス流路溝25の各々の流路長が互いに等しく設定され、これにより、これらの燃料ガス流路溝25を流れる燃料ガスの流速均一化は阻害されない。
第3に、窪み部28に島状に配された複数の突起27により、燃料ガス分流領域の集合体21の各燃料ガス流路溝25から燃料ガス合流領域の集合体22に流入する燃料ガスは、その流れが乱されて、これにより燃料ガス流路溝25間の燃料ガスの混合促進を図れる。
第4に、燃料ガス合流領域の集合体22において、燃料ガス分流領域の集合体22の燃料ガス流路溝25の各々が全て集められて、ここで燃料ガスの圧力均一化を図れる。
第5に、各燃料ガス分流領域21A、21B、21C、21Dに必要な燃料ガス流路溝25の溝数が、その溝数を任意に可変可能な中継部としての機能を果たす各燃料ガス合流領域22A、22B、22Cにおいて細かく調整可能になり、延いては、燃料ガスが燃料ガス流路溝25を流れる際の燃料ガスの消費量を考慮した、燃料ガス流速の微調整を行える。
次に、カソードセパレータ3に配設された酸化剤ガス通流領域102の構成について図面を参照して詳しく述べる。
図6は、カソードセパレータの表面を示した図である。
図7は、図6のVII−VII線に沿ったカソードセパレータの断面図であり、図8は、図6の
VIII−VIII線に沿ったカソードセパレータの断面図であり、図9は、図6のC領域の拡大図で
ある。
なお、図6及び図9において、「上」、「下」、それぞれ、カソードセパレータ3を組み込んだ燃料電池スタック100の設置状態における「上方向」、「下方向」を示し、図6において、「第1の側」及び「第2の側」は、それぞれ、カソードセパレータ3を組み込んだ燃料電池スタック100の設置状態における「右又は左方向」、「左または右方向」を示す。
図6から理解されるとおり、酸化剤ガス通流領域102は、カソードセパレータ3の表面の、MEA1の電極部5に当接する領域202内において、サーペンタイン状に形成され、酸化剤ガス分流領域の集合体31と、酸化剤ガス合流領域の集合体32と、により構成されている。
酸化剤ガス分流領域の集合体31は、上から下に向かって酸化剤ガス流路溝35の溝数を違えた、第1、第2、第3、第4及び第5の酸化剤ガス分流領域31A、31B、31C、31D、31Eに区分されてなる。
また、酸化剤ガス合流領域の集合体32には、第1の酸化剤ガス分流領域31Aと第2の酸化剤ガス分流領域31Bとの間に介在する第1の酸化剤ガス合流領域32A、及び第2の酸化剤ガス分流領域31Bと第3の酸化剤ガス分流領域31Cとの間に介在する第2の酸化剤ガス合流領域32B(中間合流領域)、並びに第3の酸化剤ガス分流領域31Cと第4の酸化剤ガス分流領域31Dとの間に介在する第3の酸化剤ガス合流領域32C(中間合流領域)、並びに第4の酸化剤ガス分流領域31Dと第5の酸化剤ガス分流領域31Eとの間に介在する第4の酸化剤ガス合流領域32Dがある。
ここで、図6に示すように、第1の酸化剤ガス分流領域31Aは、サーペンタイン状の各酸化剤ガス流路溝25のうちの1つの直線部702から形成されている。同様に、第3の酸化剤ガス分流領域31Cも、1つの直線部から形成されている。更に、第5の酸化剤ガス分流領域31Eも、サーペンタイン状の各酸化剤ガス流路溝25のうちの1つの直線部から形成されている。
一方、第2の酸化剤ガス分流領域31Bは、サーペンタイン状の各酸化剤ガス流路溝25のうちの2つの直線部702と、1つの折り返し部701とを組み合わせて形成されている。この第2の酸化剤ガス分流領域31Bにおいては、直線部702の流路溝の溝数と、当該直線部702に接続される折り返し部の流路溝の溝数とが同数となるように形成されている。
同様に、第4の酸化剤ガス分流領域31Dも2つの直線部(符号を用いて図示せず)と、1つの折り返し部(符号を用いて図示せず)とを組み合わせて形成されている。この第4の酸化剤ガス分流領域31Dにおいても、直線部の流路溝の溝数と、当該直線部に接続される折り返し部の流路溝の溝数とが同数となるように形成されている。
そして、第1の酸化剤ガス合流領域32Aは、第1の酸化剤ガス分流領域31Aと第2の酸化剤ガス分流領域31Bとの間に介在する折り返し部に形成されている。また、第2の酸化剤ガス合流領域32Bは、第2の酸化剤ガス分流領域31Bと第3の酸化剤ガス分流領域31Cとの間に介在する折り返し部に形成されている。更に、第3の酸化剤ガス合流領域32Cは、第3の酸化剤ガス分流領域31Cと第4の酸化剤ガス分流領域31Dとの間に介在する折り返し部に形成されている。また、第4の酸化剤ガス合流領域32Dは、第4の酸化剤ガス分流領域31Dと第5の酸化剤ガス分流領域31Eとの間に介在する折り返し部に形成されている。
このように、直線部と折り返し部とを含む分流領域(第2及び第4の酸化剤ガス分流領域31B、31D)を形成することにより、先にも述べたように、比較的長い流路溝を形成することができる。即ち、2つの合流領域の間に配置される分流領域に含まれる各流路溝の1本当たりの流路長を長くすることができる。このように長い流路長を有する流路溝は、当該流路溝に水滴が発生しても水滴の上流側にかかるガス圧と下流側にかかるガス圧との差が大きくなるため、優れた排水性を得ることができるようになる。
更に、図2に示すように、5つの分流領域のうちで最も上流側に配置される第1の酸化剤ガス分流領域31Aの直線部702が、酸化剤ガスマニホールド孔13A(ガス入口マニホールド)に接続されており、5つの分流領域のうちで最も下流側に配置される第5の分流領域31Eの直線部が、酸化剤ガスマニホールド孔13B(ガス入口マニホールド)に接続されている。
即ち、本実施形態においては、合流領域を酸化剤ガスマニホールド孔13A(ガス入口マニホールド)の直後に配置せず、かつ、酸化剤ガスマニホールド孔13B(ガス入口マニホールド)の直前に配置しない構成が採用されている。この構成を採用することにより、先に述べたように、燃料電池スタック10を組み立てる際にMEA1の電極部5(ガス拡散電極、カソード)の外周縁と当該MEA1の外側に配置される環状のガスケットの内周縁との間にできる隙間(図示せず)に、酸化剤ガスの一部が流入することを容易に低減することができ、上記隙間に酸化剤ガスを流入させないためのガスシールの構成をよりシンプルにでき、かつ、その構成を容易に形成することができる。
なお、このように合流領域が酸化剤ガスマニホールド孔13A(ガス入口マニホールド)の直後に配置されない場合{酸化剤ガスマニホールド孔13A(ガス入口マニホールド)の直後に折り返し部も配置されない場合}には、5つの分流領域のうちで最も下流側に配置される第5の分流領域31Eが合流領域の形成されていない折り返し部(図示せず)を有しており、当該折り返し部が酸化剤ガスマニホールド孔13B(ガス入口マニホールド)に接続されていてもよい。この場合にも上記隙間へ反応ガスの一部が流入することを防止するための構成をシンプルにすることができかつその構成を容易に形成することができる。
このような第1、第2、第3及び第4の酸化剤ガス合流領域32A、32B、32C、32Dに配置箇所及び、第1、第2、第3、第4及び第5の酸化剤ガス分流領域31A、31B、31C、31D、31Eの酸化剤ガス流路溝35の溝数は、酸化剤ガス流路溝35を流れる酸化剤ガスの発電消費量を勘案して、第1、第2、第3、第4及び第5の酸化剤ガス分流領域31A、31B、31C、31D、31Eの各々の酸化剤ガス流路溝35を流れる酸化剤ガスの流速が、凝縮水排出に適した流速となり、かつ互いに一致するように決定されている。
斯かる構成により、酸化剤ガスの電極部5への面内供給均一化を図れると共に、燃料電池発電に起因して発生する凝縮水の、酸化剤ガスによる排水性能が、酸化剤ガス量が少なくかつ凝縮水の溜まり易い下流側(酸化剤ガスマニフォールド孔13B近傍)においても適正に確保され好適である。
また、この実施形態では、図6に示す如く、第1の酸化剤ガス合流領域32Aの下流側の第2の酸化剤ガス分流領域31Bは、この第1の酸化剤ガス合流領域32Aを間に挟んで上流側の第1の酸化剤ガス分流領域31Aを折り返すように構成されているが、両端部に位置する折り返し部の全てに、酸化剤ガス合流領域を設けるようには構成されていない。
すなわち、カソードセパレータ3は、酸化剤ガス流路溝35を流れる酸化剤ガスの流速を凝縮水排出に適した速度に揃える観点から、窪み部(後記)に複数の突起37が形成された酸化剤ガス合流領域からなる折り返し部と、コの字状に曲がった複数の酸化剤ガス流路溝35からなる折り返し部とが、混在するようになっている。
より詳しくは、本実施形態では、第1の酸化剤ガス分流領域31Aでは、11列の酸化剤ガス流路溝35が、第2の側の酸化剤ガスマニフォールド孔13Aから第1の側に延びて、第1の酸化剤ガス合流領域32Aに至るように構成されている。
また、第2の酸化剤ガス分流領域31Bでは、10列の酸化剤ガス流路溝35が、第1の側の折り返し部に位置する第1の酸化剤ガス合流領域32Aの下流側から第2の側に延びて、1箇所で180°折り返すようにして、第2の酸化剤ガス合流領域32Bに至るように構成されている。
また、第3の酸化剤ガス分流領域31Cでは、9列の酸化剤ガス流路溝35が、第1の側の折り返し部に位置する第2の酸化剤ガス合流領域32Bの下流側から第2の側に延びて、第3の酸化剤ガス合流領域32Cに至るように構成されている。
また、第4の酸化剤ガス分流領域31Dでは、8列の酸化剤ガス流路溝35が、第2の側の折り返し部に位置する第3の酸化剤ガス合流領域32Cの下流側から第1の側に延びて、1箇所で180°折り返すようにして、第4の酸化剤ガス合流領域32Dに至るように構成されている。
また、第5の酸化剤ガス分流領域31Eでは、7列の酸化剤ガス流路溝35が、第2の側の折り返し部に位置する第3の酸化剤ガス合流領域32Dの下流側から第2の側に延びて、酸化剤ガスマニフォールド孔13Bに至るように構成されている。
また、図7に示す如く、第1の酸化剤ガス分流領域31Aの横断面は、均等なピッチP2及び均等な幅W3、W4並びに均等な段差D3を有する複数(ここでは11個)の凹部35と複数(ここでは11個)の凸部36からなる凹凸パターンが形成されるように構成されており、この凹部35が酸化剤ガス流路溝35に相当し、この凸部36が電極部5に接触してこれを支持するリブ(電極部5の支持部)に相当する。
このようなカソードセパレータ3の断面構成によれば、MEA1の電極部5が、第1の酸化剤ガス分流領域31Aの凸部36に当接し、これにより、電極部5は、均等なピッチP3及び均等な幅W4並びに均等な段差D3を有して配設された凸部36の頂面で均等に支持される。また、電極部5が、均等なピッチP3及び均等な幅W3並びに均等な段差D3を有して配設された酸化剤ガス流路溝35の内部に、等しく垂れ込む。
斯かる構成により、第1の酸化剤ガス分流領域31Aの酸化剤ガス流路溝35に酸化剤ガスを流す際に、複数の酸化剤ガス流路溝35の間の酸化剤ガスの圧損の不均一性が十分に抑制され好適である。また、電極部5における酸化剤ガス拡散の面内(電極部5の厚み方向に垂直な方向における)不均一性が十分に抑制され好適である。
また、このような凹凸パターンを有するカソードセパレータ3は金型成型(圧縮成型)により製造でき、これにより、カソードセパレータ3を一枚板により構成でき、その結果、カソードセパレータ3の生産性を向上できる。
なお、第2、第3、第4及び第5の酸化剤ガス分流領域31B、31C、31D、31Eの横断面の構成は、ここで述べた構成と同じであるため、これらの説明は省略する。
また図8及び図9から理解されるとおり、第3の酸化剤ガス合流領域32Cは、酸化剤ガス流路溝35(凹部35)に連通する窪み部38(凹状の領域)と、この窪み部38の底面に立設された複数の島状(ここでは略円柱状)の突起37と、により構成されている。
なお、図6に示したように、第1の酸化剤ガス合流領域32A、第2の酸化剤ガス合流領域32B、及び、第4の酸化剤ガス合流領域32Dにも、上記窪み部38と同様の窪み部(符号を付けて図示せず)及び上記突起37と同様の突起(符号を付けて図示せず)が形成されている。これら第1の酸化剤ガス合流領域32A、第2の酸化剤ガス合流領域32B、及び、第4の酸化剤ガス合流領域32Dの構成については、これらに連通する流路溝の溝数以外の構成は第3の酸化剤ガス合流領域32Cと同様なので説明を省略する。
窪み部38は、カソードセパレータ3の表面に、サーペンタイン状の酸化剤ガス通流領域102の第2の側の折り返し部に位置するように形成されている。この窪み部38は、カソードセパレータ3の表面から見て、上下方向に延びる底辺38aと、この底辺38aとの間に略45度の挟角を有する一対の斜辺38b、38cと、を有する略直角三角形状に形成されている。そして、この底辺38aが酸化剤ガス通流領域102の折り返し部の外端(側縁)を構成し、上側の斜辺38bが第3の酸化剤ガス分流領域31Cとの境界を構成し、下側の斜辺38cが第4の酸化剤ガス分流領域31Dとの境界を構成している。第3の酸化剤ガス分流領域31Cの各酸化剤ガス流路溝35は上側の斜辺38bにおいて窪み部38と連通し、第4の酸化剤ガス分流領域31Dの各酸化剤ガス流路溝35は下側の斜辺38cにおいて窪み部38と連通している。なお、窪み部38は、ここでは、酸化剤ガス流路溝35と同じ深さに形成されている。
突起37は、図8及び図9に示すように、第3及び第4の酸化剤ガスサブ分流流路31C、31Dの各凸部36(但し上端の凸部36を除く)の延長線上に均等なピッチP4で複数(ここでは63個)形成されている。このピッチP4は、ここでは、各酸化剤ガス分流領域31C、31Dの凸部36のピッチP3と同じである。また、図8に示す如く、全ての突起37が均等な高さ(段差)D4及び同じ形状を有している。
なお突起37は、窪み部38の底辺38aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部36の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
突起37は、酸化剤ガスの混合を促進するガス流邪魔片として機能するとともにMEA1の電極部5の支持部(リブ)として機能する。
なお、第1、第2及び第4の酸化剤ガス合流領域32A、32B、32Dの断面及び平面視の構成は、ここで述べた構成と同じであるため(窪み部38の形状は正確には相似形)、これらの構成の説明は省略する。
このようなカソードセパレータ3(特に酸化剤ガス合流領域の構成)によれば、複数の酸化剤ガス流路溝35の間の酸化剤ガス混合促進及び酸化剤ガス流速均一性並びに酸化剤ガス圧均一化について、以下に述べる効果が得られる。
第1に、第1、第2、第3及び第4の酸化剤ガス合流領域32A、32B、32C、32Dを酸化剤ガス分流領域に対し斜めの直線状の境界を有するように形成したことにより、例えば、酸化剤ガスは、図9の矢印で示す如く、第3の酸化剤ガス合流領域32C内を均一に近い状態で良好に流れ、ここの下流側の酸化剤ガス流路溝35(第4の酸化剤ガス分流領域31Dの酸化剤ガス流路溝35)への酸化剤ガス分配性は低下すること無く、酸化剤ガス流速の均一性良好な状態(ガス流速のバラツキをより十分に低減した状態で)で維持できる。
第2に、例えば第2、第3及び第4の酸化剤ガス合流領域32B、32C、32Dを先に述べた弓形に突出した形状、より具体的には、略三角形に区画したことにより、酸化剤ガスを、窪み部38のコーナーにまで適切に送出できるよう、窪み部38の略全域に亘り均一に流せる。このため、窪み部38の下流側の酸化剤ガス流路溝35への酸化剤ガス分配性は低下すること無く、酸化剤ガス流速の均一性が改善(ガス流速のバラツキをより十分に低減)することができる。また、第2の酸化剤ガス合流領域32Bと第3の酸化剤ガス合流領域32Cとの間を繋ぐ第3の酸化剤ガス分流領域31Cの9列の酸化剤ガス流路溝35の各々の流路長が互いに等しく設定され、これにより、これらの酸化剤ガス流路溝35を流れる酸化剤ガスの流速均一化は阻害されない。
同様に、第3の酸化剤ガス合流領域32Cと第4の酸化剤ガス合流領域32Dとの間を繋ぐ第4の酸化剤ガス分流領域31Dの8列の酸化剤ガス流路溝35の各々の流路長が互いに等しく設定され、これにより、これらの酸化剤ガス流路溝35を流れる酸化剤ガスの流速均一化は阻害されない。
第3に、窪み部38に島状に配された複数の突起37により、酸化剤ガス合流領域の集合体31の各酸化剤ガス流路溝35から酸化剤ガス合流領域の集合体32に流入する酸化剤ガスはその流れが乱されて、これにより酸化剤ガス流路溝35間の酸化剤ガスの混合促進を図れる。
第4に、酸化剤ガス合流領域の集合体32において、酸化剤ガス分流領域の集合体31の酸化剤ガス流路溝35の各々が全て集められて、ここで酸化剤ガスの圧力均一化を図れる。
第5に、各酸化剤ガス分流領域31A、31B、31C、31D、31Eに必要な酸化剤ガス流路溝35の溝数が、その溝数を任意に可変可能な中継部としての機能を果たす各酸化剤ガス合流領域32A、32B、32C、32Dにおいて細かく調整可能になり、延いては、酸化剤ガスが酸化剤ガス流路溝35を流れる際の酸化剤ガスの消費量を考慮した、酸化剤ガスの流速の微調整が行える。
次に、本実施形態による燃料電池10の動作例を説明する。
アノードセパレータ2に当接する電極部5は、図3に示す如く、複数の燃料ガス流路溝25(凹部25)の上端開口において、これらの燃料ガス流路溝25の各々を均一な流速で通流する燃料ガスに曝されている。
またカソードセパレータ3に当接する電極部5は、図7に示す如く、複数の酸化剤ガス流路溝35(凹部35)の上端開口において、これらの酸化剤ガス流路溝35の各々を均一な流速で通流する酸化剤ガスに曝されている。
このため、燃料ガスが燃料ガス通流領域101を流れる間に、電極部5の面内全域において、この電極部5の中に均一に燃料ガスが拡散し、酸化剤ガスが酸化剤ガス通流領域102を流れる間に、電極部5の面内全域において、この電極部5の中に均一に酸化剤ガスが拡散する。よって、燃料電池10による発電動作が、電極部5の面内全域で均一に行われる。
(第2実施形態)
本件発明者等は、燃料電池システムの更なる高性能化を図るには、セパレータの反応ガスの合流領域の周辺(以下、「流路折り返し周辺部」という)に凝縮水及び反応ガス(空気や燃料ガス)からなる気液2相流を流す際の、ガス流路溝内の凝縮水過多によるフラッディングの適切な抑制を可能にする、流路折り返し周辺部の最適化設計が不可欠であると考えている。すなわち、第1実施形態の流路折り返し周辺部の構造では、各ガス流路溝から合流領域の集合体(窪み部)に流入する気液2相流が上から下に向かう際に、当該気液2相流が適切に混合されることなく、例えば、図2に示した整列配置された突起27間の隙間(格子状溝)や突起27と底辺28aとの間の隙間を簡単にすり抜けることを、本件発明者等は懸念している。
そこで、本実施形態及び後程述べる第3実施形態、及び第4実施形態では、流路折り返し周辺部における、フラッディングの改善設計例を説明する。
なお、これらの第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態では説明の便宜上、図2に示したアノードセパレータ2の第1の燃料ガス合流領域22A付近の流路折り返し周辺部を例にして、上記改善設計例を述べるが、勿論、他の合流領域においても本改善設計技術を適用できる。
図10は、本実施形態の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
なお本実施形態における流路折り返し周辺部の構成以外のセパレータの構成は、第1実施形態で述べた構成と同じであり、両者に共通する構成の説明は省略乃至概説する。
図10によれば、燃料ガス流路溝45(凹部45)に連通する窪み部48は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に直線状に延びる底辺48aと、上下流側の燃料ガス流路溝45との境界としての一対の斜辺48b、48cとにより、略三角形状に区画されている。
そして、窪み部48の底面に立設された複数の島状(ここでは略円柱状、より正確には略真円柱形)の突起47は、凸部の延長腺上に所謂千鳥に規則的に並ぶように配列されている。
具体的には、複数の突起47は、底辺48aの延在方向(上下方向)に等ピッチで連なり、かつ底辺48aの延在方向に垂直な方向(左右方向)に等ピッチで連なるように形成されている。以下では、突起47の上下方向の連なり(1個の場合を含む)を「列」と呼び、突起47の左右方向の連なり(1個の場合を含む)を「段」と呼ぶ。そうすると、複数の突起47は、8列(窪み部48の頂点側から順に第1列乃至第8列と呼ぶ)かつ9段(上側から順に第1段乃至第9段と呼ぶ)に形成されている。そして、各列は1つ置きの段を構成する突起47で構成されている。逆に言うと、各段は1つ置きの列を構成する突起47で構成されている。すなわち、隣接する列の間では、その列の延在方向(上下方向)における突起47の位置が互いに半ピッチずれている。また、隣接する段の間では、その段の延在方向(左右方向)における突起47の位置が互いに半ピッチずれている。各段において、突起47は、その直径の2倍のピッチで(その直径分の間隔を開けて)配置されており、各列において、突起47は、その直径の4倍のピッチで(その直径の3倍の間隔を開けて)配置されている。
このようにして、隣接する列の突起47同士の中心、乃至、隣接する段の突起47同士の中心を結んだラインは、底辺48aに沿った上下方向及び凸部46の延長線上の左右方向において、くの字に折れるよう延びている。
例えば、隣接する列の突起47同士の中心を、上下方向に結んだライン(図10の点線参照)は、複数回に亘り鈍角(図10に示したθ1が約127°)に屈曲するようにジグザグに延び、隣接する段の突起47同士の中心を、左右方向に結んだライン(図10の点線参照)は、複数回に亘り鋭角(図10に示したθ2が約53°)に屈曲するよう、ジグザグに延びている。
このような規則的に千鳥に配された突起47によれば、気液2相流が窪み部48を上から下に向かう際に、気液2相流が突起47間の隙間を簡単にすり抜けることを抑え、気液2相流が複数回に亘り適正に突起47に当たってその流れが乱れ、これにより、窪み部48の下流側の燃料ガス流路溝45内の凝縮水過多によるフラッディングを抑制可能であると、期待される。なお、このようなフラッディング抑制の効果は、後程述べる流体シミュレーションの計算結果及び実機レベルの測定結果により裏付けられている。
図10の図示内容及び以上に述べた説明から理解されるとおり、本明細書における突起47の千鳥配列とは、上下方向に平行に延びる各列が1つ置きの段を構成する突起47で構成される突起47の配列パターン(言い換えれば、左右方向に平行に延びる各段は1つ置きの列を構成する突起47で構成される突起47の配列パターン)であり、例えば、突起47の上下方向の配列については、ある1つの段の突起47間を下方に向かって通過する気液2相流が、次の段において何等乱されずに、そのまますり抜けることを回避する観点から、次の段の突起47に当てることができるように、突起47の配列を、互いに隣接する列間においてジグザグに配置させたパターンを指す。
よって、本実施形態(図10;後記の第4実施形態も同じ)に示す如く、隣接する列の間の突起47同士が、同じ段の突起47間のピッチに対し半分ずれている配列パターンが、突起47の千鳥配列の典型例ではあるが、千鳥配列は必ずしもこれに限定されない。例えば、後記の変形例5に述べる如く、このような隣接する列の突起同士の間隔が、同じ段の突起間のピッチの1/4であっても良い。すなわち、フラッディング抑制の効果を発揮する限り、「隣接する列の突起同士の間隔<同じ段の突起間ピッチの半分」、または、「隣接する列の突起同士の間隔>同じ段の突起間ピッチの半分」の突起の配列パターンも本明細書における突起の千鳥配列に相当する。
(第3実施形態)
図11は、本実施形態の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
なお本実施形態における流路折り返し周辺部の構成以外のセパレータの構成は、第1実施形態で述べた構成と同じであり、両者に共通する構成の説明は省略乃至概説する。
図11によれば、燃料ガス流路溝55(凹部55)に連通する窪み部58は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に延びる底辺58aと、上下流側の燃料ガス流路溝55との境界としての一対の斜辺58b、58cとにより、略三角形状に区画されている。そして、窪み部58の底面に立設された複数の島状(ここでは略円柱状、より正確には、略真円柱形)の突起57は、底辺58aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部56の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
ここで窪み部58の底辺58aは、窪み部58側に向かって突出する複数(4個)の突片58d(外端突片)及びこれらの突片58dに挟まれた直線状の基部58eを、その途中に形成するよう、部分的に湾曲している。
このような底辺58aに形成された突片58dによれば、気液2相流が窪み部58を上から下に向かう際に、気液2相流が突起57と底辺58aとの間の隙間を簡単にすり抜けることを抑え、気液2相流が複数回に亘り適正に突片58dに当たってその流れが乱れ、これにより、窪み部58の下流側の燃料ガス流路溝55内の凝縮水過多によるフラッディングを抑制可能であると、期待される。なお、このようなフラッディング抑制の効果は、後程述べる流体シミュレーションの計算結果及び実機レベルの測定結果により裏付けられている。
(第4実施形態)
図12は、本実施形態の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
なお本実施形態における流路折り返し周辺部の構成以外のセパレータの構成は、第1実施形態で述べた構成と同じであり、両者に共通する構成の説明は省略乃至概説する。
本実施形態による流路折り返し周辺部の構成では、窪み部68の底面に形成された千鳥配列の突起67及び窪み部68の底辺68aに形成された突片68dの両方を採用した、ガス流路溝内への凝縮水均一分散にとって最適な設計がなされている。
図12によれば、燃料ガス流路溝65(凹部65)に連通する窪み部68は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に延びる底辺68aと、上下流側の燃料ガス流路溝55との境界としての一対の斜辺68b、68cとにより、略三角形状に区画されている。
そして、複数(24個)の島状(ここでは略円柱状、より正確には略真円柱形)の突起67は、所謂千鳥に規則的に並ぶように配置されている。
具体的には、複数の突起67は、底辺68aの延在方向(上下方向)に等ピッチで連なり、かつ底辺68aの延在方向に垂直な方向(左右方向)に等ピッチで連なるように形成されている。以下では、突起67の上下方向の連なり(1個の場合を含む)を「列」と呼び、突起67の左右方向の連なり(1個の場合を含む)を「段」と呼ぶ。そうすると、複数の突起67は、8列(窪み部48の頂点側から順に第1列乃至第8列と呼ぶ)かつ9段(上側から順に第1段乃至第9段と呼ぶ)に形成されている。そして、各列は1つ置きの段を構成する突起67で構成されている。逆に言うと、各段は1つ置きの列を構成する突起67で構成されている。すなわち、隣接する列の間では、その列の延在方向(上下方向)における突起67の位置が互いに半ピッチずれている。また、隣接する段の間では、その段の延在方向(左右方向)における突起67の位置が互いに半ピッチずれている。各段において、突起67は、その直径の2倍のピッチで(その直径分の間隔を開けて)配置されており、各列において、突起67は、その直径の4倍のピッチで(その直径の3倍の間隔を開けて)配置されている。
このようにして、隣接する列の突起67同士の中心、乃至、隣接する段の突起67同士の中心を結んだラインは、底辺68aに沿った上下方向及び凸部66の延長線上の左右方向において、くの字に折れるよう延びている。
例えば、隣接する列の突起67同士の中心を、上下方向に結んだライン(図12の点線参照)は、複数回に亘り鈍角(図12に示したθ1が約127°)に屈曲するようにジグザグに延び、隣接する段の突起67同士の中心を、左右方向に結んだライン(図10の点線参照)は、複数回に亘り鋭角(図12に示したθ2が約53°)に屈曲するよう、ジグザグに延びている。
更に、図12に示した窪み部68の底辺68aは、窪み部68側に向かって突出する複数(4個)の突片68d(外端突片)及びこれらの突片68dに挟まれた直線状の基部68eを、その途中に形成するよう、部分的に湾曲している。
このような規則的に千鳥配列された突起67によれば、気液2相流が窪み部68を上から下に向かう際に、気液2相流が突起67間の隙間を簡単にすり抜けることを抑え、気液2相流が複数回に亘り適正に突起67に当たってその流れが乱れ、これにより、窪み部68の下流側の燃料ガス流路溝65内の凝縮水過多によるフラッディングを抑制可能であると、期待される。また、このような底辺68aに形成された突片68dによれば、気液2相流が窪み部68を上から下に向かう際に、気液2相流が突起67と底辺68aとの間の隙間を簡単にすり抜けることを抑え、気液2相流が複数回に亘り適正に突片68dに当たってその流れが乱れ、これにより、窪み部68の下流側の燃料ガス流路溝65内の凝縮水過多によるフラッディングを抑制可能であると、期待される。なお、このようなフラッディング抑制の効果は、後程述べる流体シミュレーションの計算結果及び実機レベルの測定結果により裏付けられている。
更にここでは、図12に示す如く、最下段(第9段目)の1個の略円柱状の突起67は、第10段目の凸部66及び基部68eとの間の距離L2を隔てるようにして、凸部66と基部68eとの間に位置して配置されている。
また、最上段(第1段目)の1個の突起67は、第2段目の凸部66及び突片68dとの間の距離L2を隔てるようにして、凸部66と突片68dとの間に位置して配置されている。
また、第2段目及び第8段目の2個の突起67は各々、第3段目及び第9段目の凸部66並びに基部68eとの間で距離L2を隔てるようにして、凸部66と基部68eとの間に、互いに距離L1の間隔を開けて位置して、左右方向に並んで配置されている。
また、第3段目及び第7段目の3個の突起67は各々、第4段目及び第8段目の凸部66並びに突片68dとの間で距離L2を隔てるようにして、凸部66と突片68dとの間に、互いに距離L1の間隔を開けて位置して、左右方向に並んで配置されている。
また、第4段目及び第6段目の4個の突起67は各々、第5段目及び第7段目の凸部66並びに基部68eとの間で距離L2を隔てるようにして、凸部66と基部68eとの間に、互いに距離L1の間隔を開けて位置して、左右方向に並んで配置されている。
また、第5段目の4個の突起67は、第6段目の凸部66及び突片68dとの間で距離L2を隔てるようにして、凸部66と突片68dとの間に、互いに距離L1の間隔を開けて位置して、左右方向に並んで配置されている。
なお、最上段(第1段目)の凸部66と、基部68eとの間には、突起67は存在せず、両者は、距離L2を隔てて対向して配置されている。
そして、突起67と凸部66との間及び突起67と突片68dとの間並びに凸部66と突片68dとの間においては、反応ガスの流速が速まることが、後記の流体解析シミュレーションにより判明している。このため、図12に示す如く、略円柱状の突起67同士の間を隔てる距離L1よりも狭まっている。具体的な距離L1、L2の設計指針として、距離L1及び距離L2を同じと仮定した際の距離L1を横切って通過する反応ガスの流速と距離L1との積が、距離L1及び距離L2を同じと仮定した際の距離L2を横切って通過する反応ガスの流速と距離L2との積に略一致するよう、距離L1及び距離L2は設定されている。
このように距離L1、L2を設定することにより、窪み部68を流れる気液2相流の面内速度分布の均一化を距離L2によって発揮される流路抵抗により適切に調整できる。
(解析シミュレーションによるフラッディング抑制効果の検証)
次に、本件発明者等は、凝縮水及び反応ガスからなる気液2相流を流す流路折り返し周辺部をコンピュータ上にモデル化して、以下に詳述する熱流体シミュレーション技術を活用することにより、第1実施形態、第4実施形態で述べた、流路折り返し周辺部の突起及び突片の、フラッディング抑制効果を検証した。
<解析シミュレータ>
本流体シミュレーションは、熱流体解析汎用ソフトウェア『米国fluent社製の熱流体解析ソフト;「FLUENT」(登録商標)、バージョン:6.2.16』を使用にして実行された。
なお、このFLUENT(登録商標)では、有限体積法と称される離散化手法が使用されており、解析対象領域を所定の要素からなる細かい空間に区分して、これらの微細な要素間で授受される流体のつりあいを元に、流体の流れを支配する一般的な方程式を解いて、その結果が収束する迄、コンピュータによる反復演算がなされる。
<解析モデル>
ここでは、セパレータの流路折りし返し周辺部について、図2の第1の燃料ガス合流領域22Aに対応する図13に示す如く、燃料ガス流路溝25(凹部25)に連通する窪み部28の底面に立設され、凸部26の延長線上に整列配置された突起27を採用した解析モデル(以下、「第1実施形態解析モデル」という)と、図12に示す如く、千鳥配列の突起67の及び窪み部の底辺68aにおける突片68dを採用した解析モデル(以下、「第4実施形態解析モデル」という)と、図14に示す如く、上記第1実施形態解析モデルにおいて窪み部28の底面に形成された突起27をなくした解析モデル(以下、「比較解析モデル」という)と、がモデリングされている。
なおこれらの解析モデルの構成(形状)は、これまでの説明及び各図を参照すれば容易に理解されることから、ここでは、これらの構成の説明を省く。
また、上記各解析モデルにおける解析条件(境界条件等)としては、基本的には燃料電池の定格運転時の各種データが採用されている。
例えば、凝縮水と反応ガスの混合割合を1:1とした気液2相流(例えば流速:2.34m/s)が流入条件として入力され、表面張力(7.3×10-2N/m)が水物性データとして入力され、接触角(例えば0.1°)が、凝縮水及びセパレータの物性乃至表面データとして入力されている。
また、流体の流出条件には、圧力(例えば927.33Pa)及び圧力損失係数(例えば4.546×109/m2;但し、下流側の流路抵抗増加相当分として下流側の溝を上流側に対し、40mm延長している)が採用されている。
更に、気液2相流の流速に対して壁面はノンスリップとして取り扱われている。
<解析結果>
図15及び図16並びに図17は各々、上記各解析モデルによる各要素の流れデータを元に、コンピュータ上に出力された解析結果例を模写した図である。
すなわち、図15では、比較解析モデルについて、気液2相流の流れが定常状態に到達した時点の凝縮水(黒色)と反応ガス(無色)の分布状態が描かれ、図16では、第1実施形態解析モデルについて、同じ類の図が描かれ、図17では、第4実施形態解析モデルについて、同じ類の図が描かれている。
比較解析モデル(図15)の、突起をなくした窪み部によれば、窪み部上流側のガス流路溝から送出される凝縮水の流れが混合され難く、窪み部下流側のガス流路溝への凝縮水の分散を行えないことが確認された。例えば、窪み部の下流側最下段のガス流路溝に凝縮水が多量に流れ込み、これにより、当該溝が凝縮水により完全に閉塞された様子が、図15に示したシミュレーション結果により可視化されている。
これに対し、第1実施形態解析モデル(図16)の、窪み部における上下に直交格子状に整列に配置された突起によれば、窪み部上流側のガス流路溝から送出される凝縮水の流れがこれらの突起により混合され、窪み部下流側のガス流路溝への凝縮水の分散をある程度行えることが確認された。しかしながら、窪み部下流側のガス流路溝の一部、例えば窪み部の下流側最下段のガス流路溝に、凝縮水が多めに流れ込み、これにより、当該溝が凝縮水により閉塞されつつある様子が、図16に示したシミュレーション結果により可視化されている。
更に、第4実施形態解析モデル(図17)の、窪み部における上下に千鳥に並んだ突起及び底辺突片によれば、窪み部上流側のガス流路溝から送出される凝縮水の流れがこれらの突起及び突片により十分に乱され、窪み部下流側のガス流路溝への凝縮水の分散が極めて良好であることが確認された。例えば、凝縮水が、窪み部の下流側の全てのガス流路溝間において略均等に分配されて流れている様子が、図17に示した本シミュレーション結果により可視化されている。
以上に述べたシミュレーション結果により、第1実施形態解析モデルを採用したセパレータ(カソードセパレータやアノードセパレータ)においては、窪み部の下流側のガス流路溝内の凝縮水過多によるフラッディングが一定のレベルにまで抑えられることを検証できた。また、第4実施形態解析モデルを採用したセパレータ(カソードセパレータやアノードセパレータ)においては、窪み部の下流側のガス流路溝内の凝縮水過多によるフラッディングを十分適切に抑制可能でありことを検証できた。
(実機によるフラッディング抑制効果の実証)
本件発明者等は、第1実施形態に記載のセパレータをアノードセパレータ及びカソードセパレータとして組み込んだ燃料電池(以下、「第1実施形態燃料電池」という)と、第4実施形態に記載のセパレータをアノードセパレータ及びカソードセパレータとして組み込んだ燃料電池(以下、「第4実施形態燃料電池」という)と、を各々準備して、これらの燃料電池を運転させることにより、燃料電池の燃料利用率(Uf)に対する当該セルのセル電圧規格値の変化を測定した。
図18は、横軸に燃料利用率(Uf)をとり、縦軸にセル電圧規格値(燃料利用率70%においてセル電圧規格値=1)をとって、第1実施形態燃料電池及び第4実施形態燃料電池について、両者の関係を示した図である。
図18によれば、燃料利用率(Uf)が高まるに連れて、第1実施形態燃料電池のセル電圧規格値が減少する一方、第4実施形態燃料電池のセル電圧規格値の減少度は適正に抑えられていることが読み取れる。
第4実施形態燃料電池が、第1実施形態燃料電池に比べてフラッディング抑制効果に優れていることから、図18に示すような両者間のセル電圧規格値の差異が発生したと、本件発明者等は推認している。
<流路折り返し周辺部(窪み部)の突起配置の各種の変形例>
ここまで、図5(第1実施形態)に代表される複数の突起27を直交格子状に配置させた流路折り返し周辺部(窪み部)の突起配置例(以下、「格子配列突起」と略す)及び図10(第2実施形態)に代表される複数の突起47を千鳥に規則的に並ぶよう、配置させた流路折り返し周辺部(窪み部)の突起配置例(以下、「千鳥配列突起」と略す)を述べた。
以下、格子配列突起の突起に対しその形状等を部分的に変更した、変形例1〜4、及び千鳥配列突起の隣接する列の突起同士の間隔を、図10に示した当該間隔より小さくした、変形例5を説明する。
なおここでは、以下の変形例1〜5は、アノードセパレータ2を例にして述べるが、カソードセパレータ3であっても、同様の議論が当て嵌まる。
〔変形例1〕
図19は、変形例1の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
図19によれば、燃料ガス流路溝75(凹部75)に連通する窪み部78は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に延びる底辺78aと、上下流側の燃料ガス流路溝75との境界としての一対の斜辺78b、78cとにより、略三角形状に区画されている。そして、窪み部78の底面に立設された複数の島状の突起77は、底辺78aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部76の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
このような突起77は、略円柱形、略三角柱形及び略四角柱形の中から選ばれる少なくとも一つの形態により形成され、本変形例では、略円柱形または略四角柱形に形成された、合計14個の第1突起77aと、この第1突起77aより上下方向及び左右方向の両方の幅寸法を大きくして、略円柱形または略四角柱形に形成された、合計10個の第2突起77bとが、交互に配置されている。
すなわち、図19に示す如く、上下及び左右に隣接する突起77同士の形状が互いに異なるよう、上下方向及び左右方向の幅寸法を違えた第1突起77aと第2突起77bとが、交互に配置されている。
なお、このような突起77の配置形態の詳細については、以上に述べた説明及び図19を参酌すれば容易に理解可能であることから、ここでは、その詳細な説明は省く。
このような突起77の配置構成によれば、上下方向及び左右方向の幅寸法が小さい第1突起77aと上下方向及び左右方向の幅寸法が大きい第2突起77bとを左右方向及び上下方向に交互に配置させたことにより、第1突起77aと第2突起77bとの間の中心301を上下方向や左右方向に結ぶライン(このようなラインの一例として中心301を結ぶ点線を図19で例示)は、燃料ガスと凝縮水からなる気液2相流が流れる隙間(格子状溝)の長手方向においてジグザグに曲がることになり、その結果、気液2相流が窪み部78の左右方向及び上下方向の隙間を流れる際に、気液2相流は、当該気液2相流の流れは屈曲して乱され、当該隙間を簡単にすり抜けることを抑制される。
このため、このような燃料ガスの屈曲流れにより、燃料ガス混合が更に促進される。また、凝縮水の屈曲流れにより、下流側の燃料ガス流路溝75内の凝縮水過多によるフラッディングが更に抑制される。
更に、このような第1突起77a及び第2突起77bの個数や位置を、各列及び各段について適切に設定することにより、窪み部78内の燃料ガス流路抵抗を、燃料ガス流速を均一にするよう調整できる。
〔変形例2〕
図20は、変形例2の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
図20によれば、燃料ガス流路溝85(凹部85)に連通する窪み部88は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に延びる底辺88aと、上下流側の燃料ガス流路溝85との境界としての一対の斜辺88b、88cとにより、略三角形状に区画されている。そして、窪み部88の底面に立設された複数の島状の突起87は、底辺88aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部86の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
このような突起87は、略円柱形、略三角柱形及び略四角柱形の中から選ばれる少なくとも一つの形態により形成され、本変形例では、略円柱形または略四角柱形に形成された、合計14個の第1突起87aと、この第1突起87aより左右方向の幅寸法を大きくして、略円柱形(ここでは楕円柱形)に形成された、合計10個の第2突起87bと、が交互に配置されている。
すなわち、図20に示す如く、上下及び左右に隣接する突起87同士の形状が異なるよう、左右方向の幅寸法を違えた第1突起87aと第2突起87bとが交互に配置されている。
なお、突起87の配置形態の詳細については、以上に述べた説明及び図20を参酌すれば容易に理解可能であることから、ここでは、その詳細な説明は省く。
このような突起87の配置構成によれば、左右方向の幅寸法が小さい第1突起87aと左右方向の幅寸法(長軸の長さ)が大きい第2突起87bとを左右方向及び上下方向に交互に配置させたことにより、第1突起87aと第2突起87bとの間の中心302を上下方向に結ぶライン(このようなラインの一例として中心302を結ぶ点線を図20で例示)は、燃料ガスと凝縮水からなる気液2相流が流れる隙間(格子状溝)の長手方向においてジグザグに曲がることになり、その結果、気液2相流が窪み部88の上下方向の隙間を流れる際に、気液2相流は、当該気液2相流の流れは屈曲して乱され、当該隙間を簡単にすり抜けることを抑制される。
このため、このような燃料ガスの屈曲流れにより、燃料ガス混合が更に促進される。また、凝縮水の屈曲流れにより、下流側の燃料ガス流路溝85内の凝縮水過多によるフラッディングが更に抑制される。
更に、このような第1突起87a及び第2突起87bの個数や位置を各列について適切に設定することにより、窪み部88内の燃料ガス流路抵抗を、燃料ガス流速を均一にするよう調整できる。
〔変形例3〕
図21は、変形例3の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
図21によれば、燃料ガス流路溝95(凹部95)に連通する窪み部98は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に延びる底辺98aと、上下流側の燃料ガス流路溝95との境界としての一対の斜辺98b、98cとにより、略三角形状に区画されている。そして、窪み部98の底面に立設された複数の島状の突起97は、底辺98aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部96の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
このような突起97は、略円柱形、略三角柱形及び略四角柱形の中から選ばれる少なくとも一つの形態により形成され、本変形例では、略円柱形または略四角柱形に形成された、合計14個の第1突起97aと、この第1突起97aと同一形状の基部401と、この基部401の側面の一部分から右方向(底辺98aの方向)に飛び出る突部402とを有して左右方向の幅寸法を大きくして同方向に非対称に形成された、合計10個の第2突起97bと、交互に配置されている。
すなわち、図21に示す如く、上下及び左右に隣接する突起97同士の形状が異なるように、左右方向の幅寸法を違えた第1突起97aと第2突起97bとが交互に配置されている。
なお、突起97の配置形態の詳細については、以上に述べた説明及び図21を参酌すれば容易に理解可能であることから、ここでは、その詳細な説明は省く。
このような突起97の配置構成によれば、左右方向の幅寸法が小さい第1突起97aと左右方向の幅寸法が大きい第2突起97bとを左右方向及び上下方向に交互に配置させたことにより、第1突起97aと第2突起97bとの間の中心303を上下方向に結ぶライン(このようなラインの一例として中心303を結ぶ点線を図21で例示)は、燃料ガスと凝縮水からなる気液2相流が流れる隙間(格子状溝)の長手方向においてジグザグに曲がることになり、その結果、気液2相流が窪み部98の上下方向の隙間を流れる際に、気液2相流は、当該気液2相流の流れは屈曲して乱され、当該隙間を簡単にすり抜けることを抑制される。
このため、このような燃料ガスの屈曲流れにより、燃料ガス混合が更に促進される。また、凝縮水の屈曲流れにより、下流側の燃料ガス流路溝95内の凝縮水過多によるフラッディングが更に抑制される。
更に、このような第1突起97a及び第2突起97bの個数や位置を各列について適切に設定することにより、窪み部98内の燃料ガス流路抵抗を、燃料ガス流速を均一にするよう調整できる。
〔変形例4〕
図22は、変形例4の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
図22によれば、燃料ガス流路溝105(凹部105)に連通する窪み部108は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に延びる底辺108aと、上下流側の燃料ガス流路溝105との境界としての一対の斜辺108b、108cとにより、略三角形状に区画されている。そして、窪み部108の底面に立設された複数の島状の突起107は、底辺108aの延在方向(上下方向)及びこの延在方向に垂直な方向(凸部106の延長線上の左右方向)に互いの中心を一致させるよう、直交格子状に並んで配置されている。
このような突起107は、略円柱形、略三角柱形及び略四角柱形の中から選ばれる少なくとも一つの形態により形成され、本変形例では、略円柱形または略四角柱形に形成され、第1列目を構成する3個の第1突起107aと、この第1突起107aより上下方向及び左右方向の両方の幅寸法を大きくして、略円柱形または略四角柱形に形成され、第2列目を構成する5個の第2突起107bと、この第2突起107bより上下方向及び左右方向の両方の幅寸法を大きくして、略円柱形または略四角柱形に形成され、第3列目を構成する7個の第3突起107cと、この第3突起107cより上下方向及び左右方向の両方の幅寸法を大きくして、略円柱形または略四角柱形に形成され、第4列目を構成する9個の第4突起107dと、がある。
図22に示す如く、第2段目〜第8段目の右(凸部106の側)から左(底辺108aの側)に向かうに連れて、突起107の形状が大きくなるよう、上下方向及び左右方向の幅寸法を違えた、第1突起107aと、第2突起107bと、第3突起107cと、第4突起107dとが、適宜選別され配置されている。
例えば、第4段目の左右方向には、凸部106に隣接する第1突起107aと、この第1突起107aに隣接する第2突起107bと、この第2突起107bに隣接する第3突起107cと、この第3突起107c及び底辺108aに隣接する第4突起107dとが、この順番に隣接するよう、並んで配置されている。
なお、第4段目以外の突起107の配置形態の詳細については、以上に述べた説明及び図22を参酌すれば容易に理解可能であることから、ここでは、その詳細な説明は省く。
このような突起107の配置構成によれば、右から左に向かうに連れて、上下方向及び左右方向の幅寸法が大きくなる突起107を配置させたことにより、燃料ガスの流速に応じて突起107同士の距離、突起107及び底面108a間の距離、突起107及び凸部106間の距離を適切に変更することができる。
このため、窪み部108を流れる気液2相流の面内速度分布を、当該距離の変更によって発揮される燃料ガス流路抵抗の調整により適切に均一化できる。
〔変形例5〕
図23は、変形例5の流路折り返し周辺部の構成を平面視した図である。
図23によれば、燃料ガス流路溝115(凹部115)に連通する窪み部118は、流路折り返し周辺部の外端としての上下方向に直線状に延びる底辺118aと、上下流側の燃料ガス流路溝115との境界としての一対の斜辺118b、118cとにより、略三角形状に区画されている。
窪み部118の底面に立設された複数の略円柱形または略四角柱形の複数の突起117は、底辺118aの延在方向(上下方向)に等ピッチで連なり、かつ底辺118aの延在方向に垂直な方向(左右方向)に等ピッチで連なるように形成されている。以下では、突起117の上下方向の連なり(1個の場合を含む)を「列」と呼び、突起117の左右方向の連なり(1個の場合を含む)を「段」と呼ぶ。そうすると、複数の突起117は、8列(窪み部118の頂点側から順に第1列乃至第8列と呼ぶ)かつ9段(上側から順に第1段乃至第9段と呼ぶ)に形成されている。そして、各列は1つ置きの段を構成する突起117で構成されている。逆に言うと、各段は1つ置きの列を構成する突起117で構成されている。
このようにして、底辺118aに沿った上下方向及び凸部46の延長線上の左右方向において、隣接する列の突起117同士、乃至、隣接する段の突起117同士を結んだラインが、くの字に折れるようにして、所謂千鳥に規則的に並ぶように配置されている。例えば、隣接する列の突起117同士の中心を、上下方向に結んだライン(図23の点線参照)は、複数回に亘り鈍角(図23に示したθ3が約152°)に屈曲するようにジグザグに延び、隣接する段の突起117同士の中心を、左右方向に結んだライン(図23の点線参照)は、複数回に亘り鋭角(図23に示したθ4が約51°)に屈曲するよう、ジグザグに延びている。
そして、1つの段を構成する突起117aの中心を通り、かつ上下方向に平行な仮想線501(このような仮想線の一例として太い2点差線を図23で例示)を引いた場合、当該1つの段を構成する突起117aに対し上下方向において隣接する突起117bの中心が、この仮想線501から左右方向に偏倚している。
例えば、図23に示した仮想線501に沿った、第2段目、第4段目、第6段目、第8段目の4個の突起117aの如く偶数段の突起117aで形成される第5列と、この仮想線501に隣接する、第3段目、第5段目、第7段目の3個の突起117bの如く奇数段の突起117bで形成される第6列とが、同じ段の突起117間のピッチP5の略1/4ピッチ分、偏倚している。すなわち、これらの突起117a及び突起117bは、左右に上記略1/4ピッチを隔て、かつ上下に凹部115の幅分隔てて、交互に配置されている。上記偏倚量が、突起117のピッチP2の半分にまで達すれば、本変形例の突起配列パターンは、図10に示した配列と同じ類のパターンになる。
なお、第5列及び第5列以外の突起97の配置形態については、以上に述べた説明及び図23を参酌すれば容易に理解可能であることから、ここでは、その説明は省く。
このように偏倚された突起117によれば、気液2相流が窪み部118を上下に向かう際に、気液2相流が突起117間の隙間を簡単にすり抜けることを抑え、気液2相流が複数回に亘り適正に突起117に当たってその流れが乱れ、これにより、窪み部118の下流側の燃料ガス流路溝115内の凝縮水過多によるフラッディングを抑制可能である。
なおここでは、図示を省略しているが、1つの列を構成する突起の中心を通り、かつ左右方向に平行な仮想線を引いた場合、当該1つの列を構成する突起に対し左右方向において隣接する突起の中心が、この仮想線から上下方向に偏倚している突起の千鳥配列パターンも想定され得る。そして、この場合、気液2相流が窪み部を左右に向かう際に、気液2相流が突起間の隙間を簡単にすり抜けることを抑え、気液2相流が複数回に亘り適正に突起に当たってその流れが乱れ、これにより、窪み部の下流側の燃料ガス流路溝内の凝縮水過多によるフラッディングを抑制可能である。