工学設計で出会うほとんどの問題は、本来非線形であり、解かれる問題に関するある目標を満足するシステムパラメータの決定を伴う。そのような問題は、システムに対する制限または制約の対象であるシステム関数またはシステムパラメータを最小にする解が望まれる数学的最適化問題の形にすることができる。システム関数と制約の両方が、システム入力(制御変数)およびシステム出力からなり、このシステム入力およびシステム出力は、離散的または連続的のいずれかとすることができる。さらに、制約は、等式または不等式である場合がある。所与の最適化問題に対する解は、1)所望の1つまたは複数の条件を最小にまたは最大にし、したがって最適性条件を満足し、2)システムに課せられる制約式の組を満足する、という特性のうちの一方または両方を有する。
上の定義を用いて、最適化問題の複数のカテゴリを定義することができる。フリーオプティマイゼーションプロブレム(Free Optimization Problem、FOP)は、制約が存在しない問題である。制約最適化問題(COP)には、制約と1つまたは複数の最小化(または最大化)要件との両方が含まれる。対照的に、制約充足問題(CSP)には、制約だけが含まれる。CSPを解くことは、探索空間内で制約条件を満足する1つの実現可能な解を見つけることを意味する。COPを解くことは、実現可能であり、所望の条件の最小値(または最大値)を実現できるという意味で最適であるという両方である解を見つけることを意味する。
そのような問題に対する解には、通常、数学的探索アルゴリズムが用いられ、これによって、連続的に改善された解が、複数のアルゴリズム反復の過程にわたって得られる。各反復は、提案される解と考えることができるが、目的関数の改善をもたらすと期待される。目的関数とは、提案される解のパラメータ値を入力として有する数式である。目的関数は、提案される解の性能指数を作る。目的関数値の比較は、別の解に対するある解の相対的な強さに関する尺度を提供する。多数の探索アルゴリズムが存在し、特定の問題の制御変数が変更される形、改善プロセス中に解の母集団または単一の解のどちらが追跡されるか、および収束の査定において異なる。しかし、これらの探索アルゴリズムは、収束の経路を判断する際に目的関数の結果に頼る。最適化アルゴリズムの例に、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッドアニーリング、およびタブー検索が含まれる。
最適化アルゴリズム内では、COPおよびCSPの制約を処理するという問題に対処しなければならない。制約の処理に関して、複数の種類の方法が存在する。最も広く行き渡った方法は、目的関数を変更するのにペナルティ手法を使用することであり、これは、COPまたはCSPをFOPに変換するという効果を有する。この方法では、制約式の組で違反を表すペナルティ関数が、目的関数に追加され、所望の最適条件の特性を表す。ペナルティ関数が正である時には、解は実現不能である。ペナルティ関数が0である時には、すべての制約が満足される。したがって、変更された目的関数を最小にすることは、最適性だけではなく、制約の満足も探し求める。
所与の最適化探索について、ペナルティ手法は、実現可能な解と実現不能な解の両方を偏りのない形で検査することを可能にすることによって、探索空間を広げる。最適化探索中に探索空間を広げることは、しばしば、極小値をよりたやすく迂回することを可能にし、したがって、より効率的な最適化アルゴリズムを生み出す。対照的に、実現不能な解の「修復」および「行動記憶(behavioral memory)」などの制約を処理する代替方法は、最適化探索中に検査される解の間の実現可能性を維持しまたは強制することに基づく。
ペナルティ手法を実施するためには、制約違反の大きさを定量化する数式を、制約ごとに定義する。所与の制約について、重み付け係数を結果に乗じて、目的関数ペナルティ成分を作成する。すべてのペナルティ成分を合計することによって、総ペナルティが得られる。所与の制約の重み付け係数が大きいほど、最適化探索は、最適化探索中にその制約の違反を解決することをより強調するようになる。ペナルティ関数の形および重み付け係数を定義する多数の手法が存在する。結果の変更された目的関数による定義に従って、重み付け係数は、問題固有であり、0(その制約はアクティブでない)と無限大(探索空間は制約のすべての違反を省略する)によって制限される。
最も単純なペナルティ関数の形は、各制約の重み付け係数の値に無限大をセットする「デスペナルティ(死刑、death penalty)」である。デスペナルティを用いる場合に、探索アルゴリズムは、制約のすべての違反を即座に拒絶し、これは、すべての実現不能な解の拒絶と同等である。静的ペナルティでは、定義される各制約に有限のペナルティ値を適用する。静的重み付け係数は、最適化探索全体を通じてその初期入力値を維持する。動的ペナルティでは、重み変更の量および頻度を決定する数式に従って、最適化探索の過程中に初期入力値を調整する。動的ペナルティ方式でのペナルティ関数の形は、初期静的ペナルティ重み付け係数(探索を開始するのに必要)のほかに、最適化アルゴリズムの一部として入力されなければならない追加パラメータを含む。
動的ペナルティに似て、適応ペナルティでは、最適化探索の過程にわたって重み値を調整する。対照的に、重み変更の量および頻度は、改善された解を見つける際の最適化探索の進行状況によって決定される。適応ペナルティ関数を実施する複数の手法が提案されてきた。BeanおよびHadj−Alouaneは、Adaptive Penalties(AP)という方法を作成したが、これは、遺伝的アルゴリズムの文脈で実施された。AP法では、最適化探索の事前にセットされた回数の反復で得られた解の母集団が、検査され、重みが、母集団が実現可能な解だけ、実現不能な解だけ、または実現可能な解と実現不能な解の混合物のどれを含むかに応じて調整される。Coit、Smith、およびTateは、所与の制約ごとに「Near Feasibility Threshold」(NFT)を推定することに基づく適応ペナルティ法を提案した。概念上、NFTは、最適化探索が探査を許容される、実現可能性のすぐ外側の実現不能探索空間の領域を定義する。EibenおよびHemertは、ペナルティを適応させるStepwise Adaption of Weights(SAW)法を開発した。この方法では、重み付け係数調整が、最適解において違反する各制約に対して周期的に行われ、したがって、将来の解が制約違反から離れる方向に潜在的に偏らされる。
提案されたペナルティ法には、複数の欠陥が存在する。デスペナルティは、探索中に生成されるすべての候補解が実現可能性を満足することを強制することによって、探索空間を制限する。静的重み付け係数手法では、出会うと期待される最適化応用例のタイプを反映するテスト問題の組に対するパラメータ的調査を実行しなければならず、その結果が、当の制約ごとに確立される許容できる重み値の範囲になる。次に、ユーザは、許容できる値の事前に確立された範囲に基づいて、制約の特定の組の重み値を選択する。特にCOPについて、所与の問題の静的重み値を変更することが、しばしば、多少は最適の結果をもたらすことができる。同様に、動的ペナルティは、経験的データに基づいて決定されなければならないパラメータの指定を必要とする。そのようなパラメータの微調整は、しばしば、異なる最適結果をもたらす。
ペナルティ適応は、最適化探索が進行する際に、解かれる特定の問題に関する情報を利用することを試みることによって、静的ペナルティ手法および動的ペナルティ手法より改善されている。実際には、問題が、周期的に再定義される。適応ペナルティ手法に伴う欠陥は、目的関数が、最適化探索の過程中に絶対的な意味ですべての意味を失うことである。言い換えると、静的ペナルティ手法または動的ペナルティ手法に存在する、最適化探索の最初の出発点に戻って目的関数を結び付ける「記憶」がない。
1つの既知の最適化問題は、沸騰水型原子炉などの原子炉の運転戦略の設計に関わるものである。図15に、普通の沸騰水型原子炉を示す。この図からわかるように、噴流ポンプ110は、原子炉格納容器114内に収容された原子炉容器112に水を供給する。原子炉容器112の炉心116には、図16に関して下で詳細に説明するものなどの複数の燃料バンドルが含まれる。炉心116内の燃料バンドルで起こる制御された核分裂が、熱を生成し、この熱が、供給される水を蒸気に換える。この蒸気は、原子炉容器からタービン118に供給され、このタービンが、発電機120に動力を与える。発電機120は、電気エネルギーを出力する。タービン118に供給された蒸気は、復水器122で蒸気を逆に水に凝縮することと、凝縮された蒸気を逆に噴流ポンプ110に供給することとによって再循環される。
図16に、原子炉容器112の炉心116内の燃料バンドルを示す。通常の炉心には、概して200個から900個のこれらのバンドルBが含まれる。図16に示されているように、バンドルBには、複数の燃料棒100を囲む外側チャネルCが含まれ、これらの燃料棒100は、全体的に、お互いに平行に、それぞれ上側帯板Uと下側帯板Lの間で、図17に示されているように燃料棒の全体的に長方形のマトリックスで延びる。棒100は、チャネルC内で燃料棒の長さに沿って互いに垂直に間隔をおかれた複数のスペーサSによって、互いに横に間隔をおいた状態に維持される。図17を参照すると、燃料チャネルCによって囲まれた燃料棒100のアレイすなわち、この例では10×10アレイが示されている。燃料棒100は、直交して関連する行に配置され、1つまたは複数のウォーターロッドを取り囲み、2つのウォーターロッド130が図示されている。燃料バンドルBは、通常通り、制御棒または制御ブレード132の1四分円内に配置される。燃料バンドルが、通常は、制御ブレード132の他の四分円のそれぞれの中に配置されることを諒解されたい。バンドルBの間での上への制御ブレード132の移動は、その制御ブレード132に関連するバンドルB内で発生する反応度の量を制御する。
原子炉心には、炉心の効率的な運転に関する戦略に影響し得る異なる特性を有する多数の個々の構成要素が含まれる。たとえば、原子炉心は、多数の、たとえば数百個の個々の燃料アセンブリ(バンドル)を有し、これらの燃料バンドルは、異なる特性を有し、燃料バンドルの間の相互作用が政府指定の制約および顧客指定の制約を含むすべての規制制約および原子炉設計制約を満足するように、原子炉心内で配置されるか「装填」されなければならない。同様に、特定の原子炉プラントの原子炉心の性能を最適化する効率的制御戦略を設計しまたは開発しなければならない場合には、原子炉心の反応度および全体的効率に影響する他の制御可能な要素および要因も、考慮に入れなければならない。そのような「運転制御」(本明細書では、交換可能に「独立制御変数」および「設計入力」とも称する)には、たとえば、個別に調整しまたはセットすることができるさまざまな物理的構成要素の構成および制御可能な運転条件が含まれる。
燃料バンドル「装填」のほかに、制御変数の他の源には、「炉心流量」または炉心を通る水流の量と、「暴露」およびバンドル濃縮度の差に起因する炉心内の燃料バンドルの間の「反応度」または相互作用と、炉心内の制御ブレードの「棒パターン」または分布および軸方向位置とが含まれる。したがって、これらの運転制御のそれぞれが、原子炉心の全体的な性能に対する測定可能な影響を有する独立の制御変数または設計入力を構成する。膨大な個数の可能な異なる運転値およびこれらの独立の制御変数がとり得る値の組合せに起因して、既知のコンピュータ支援方法を使用する場合であっても、炉心の反応度および性能に対する個々の影響のすべての分析および最適化を試みることは、手に負えそうもない難題であり、非常に時間のかかる作業である。
たとえば、原子炉心内で可能な異なる燃料バンドル構成の個数は、100の階乗を超える可能性がある。多数の異なる装填パターン可能性のうちで、これらの構成のわずかなパーセンテージだけが、特定の原子炉プラントの必須設計制約のすべてを満足する。さらに、すべての適用可能な設計制約を満足する構成のうちのわずかなパーセンテージだけが、経済的に実現可能である。
さらに、さまざまな設計制約を満足することのほかに、燃料バンドル装填配置は、最終的に炉心サイクルエネルギー(すなわち、炉心が新しい燃料要素による燃料補給を必要とする前に原子炉心が生成するエネルギーの量)に影響するので、炉心サイクルエネルギーを最適化する特定の装填配置を選択する必要がある。
必要なエネルギー出力を供給し、維持するために、原子炉心は、新しい燃料バンドルによって周期的に燃料補給される。ある燃料補給と次の燃料補給との間の持続期間は、一般に、運転の「燃料サイクル」または「炉心サイクル」と称し、特定の原子炉プラントに応じて、12ヵ月から24ヵ月(通常は18ヵ月)程度である。燃料補給の時に、通常、反応性の最も低い燃料のうちの1/3が、原子炉から除去され、残りの燃料バンドルは、新しい燃料バンドルが追加される前に別の位置に移される。一般に、炉心サイクルエネルギーを改善するために、より高い反応度のバンドルを、内側の炉心位置に位置決めしなければならない。しかし、そのような配置を、プラント固有の設計制約を満足しながら達成することは、必ずしも可能ではない。各燃料バンドルを、他のバンドルに関してさまざまな異なる位置に装填することができるので、各燃料サイクルの炉心の最適性能をもたらす炉心装填配置を識別することは、解くのに非常に時間がかかる可能性がある複雑で計算集中型の最適化問題を提示する。
炉心サイクルの過程中に、過剰反応度または「ホットエクセス(hot excess)」と定義される炉心の過剰エネルギー能力は、複数の形で制御される。1つの技法は、新しい燃料に組み込まれた可燃反応度抑制剤(burnable reactivity inhibitor)、たとえばガドリニアを使用する。最初の可燃抑制剤の量は、通常は公益企業および原子力規制委員会(NRC)によって設定される設計制約および性能特性によって決定される。可燃抑制剤は、過剰反応のほとんどを制御するが、すべてを制御するわけではない。その結果、核放射を吸収することによって反応度を抑制する「制御ブレード」(本明細書では「制御棒」とも称する)も、過剰反応度を制御するのに使用される。通常、原子炉心には、選択された燃料バンドルの間におさまる、炉心内で軸方向に位置決め可能な多数のそのような制御ブレードが含まれる。これらの制御ブレードは、安全な停止を保証し、最大出力ピーキング係数を制御する主機構を提供する。
利用される制御ブレードの総数は、炉心のサイズおよび幾何形状に伴って変化し、通常は50個と150個の間である。制御ブレードの軸方向位置(たとえば、完全に挿入、完全に引き抜く、またはその間のどこか)は、過剰反応度を制御し、最大炉心出力ピーキング係数などの他の運転制約を満足する必要に基づく。制御ブレードごとに、たとえば、24個、48個、またはより多数の可能な軸方向位置もしくは「ノッチ」と、40個の「暴露」(すなわち、使用の持続時間)段階がある場合がある。任意の所与の時の適用に使用可能な制御ブレードの数を減らす対称性要件および他の要件を考慮すると、最も単純な場合であっても、制御ブレード位置の数百万個の可能な組合せがある。これらの可能な構成のうちで、わずかな部分だけが、すべての適用可能な設計制約および安全性制約を満足し、これらのうちで、わずかな部分だけが、経済的である。さらに、制御ブレードの軸方向位置決めは、任意の所与の燃料装填パターンが達成できる炉心サイクルエネルギーにも影響する。核燃料サイクルコストを最小にするために炉心サイクルエネルギーを最大にすることが望ましいので、最適制御ブレード位置決め戦略の開発は、燃料サイクル設計および管理戦略の最適化を試みる時にやはり考慮に入れなければならないもう1つの膨大な独立制御変数最適化問題を提示する。
炉心設計と運転戦略の開発とは、通常、エネルギー出力を最大にする最良の可能な解がさまざまな周知のアルゴリズムに従って開発される制約最適化問題を伴う。たとえば、原子炉心および運転戦略は、新しい炉心と交換される前のサイクルにわたるメートルトンまたはウラニウムあたりのギガワット日(GWD/MTU)単位で測定されるある量のエネルギーを生成するように設計することができる。
上で述べたように、そのような制約問題に対する解の開発には、通常、数学的探索アルゴリズムが用いられ、これによって、複数のアルゴリズム反復の過程で連続的に改善された解が得られる。各反復は、提案される解と考えることができるが、提案される解の性能指数を作る目的関数の改善をもたらすと期待される。目的関数値の比較は、別の解に対するある解の相対的な強さに関する尺度を提供する。収束の経路を判断する際に目的関数の結果に頼る、炉心および運転戦略設計用の多数の探索アルゴリズムが存在する。
サイクルの始め(BOC)に、炉心設計が、運転状態にされる。やはり通常そうであるように、実際の原子炉性能は、しばしば、炉心設計を生成する際にモデル化された性能から逸脱する。運転モデルからの調整が、サイクルの終り(EOC)の前に、原子炉の性能を維持するために非常にしばしば行われる。したがって、設計解決策におけるロバストネスの望みが、プラントが運転を開始した後に、所与の設計の基礎を形成する仮定が変化し得るという事実から生じる。仮定は、複数のカテゴリに含まれる。第1に、プラントの仮定される運転条件があり、これには、たとえば、出力レベル、流量、および入口温度が含まれる。第2に、ヒストリカルデータに基づく、シミュレーションモデルの仮定されたバイアスがある。既知のように、炉心および/または運転戦略設計解決策の開発には、提案される解決策を使用して原子炉のシミュレーションを実行することと、提案された解決策の性能指数を提供する目的関数への入力としてこのシミュレーションからの出力を使用することとが含まれる。原子炉性能をシミュレートする多数のシミュレーションプログラムが、当技術分野で既知である。シミュレーションモデルバイアスの例が、炉心固有値であり、これは、サイクル暴露の関数としての熱い状態および冷えた状態での炉心反応度または中性子の収支の尺度である(臨界炉心について、固有値は、1.00でなければならないが、通常は0.99と1.01の間の範囲にまたがる)。
仮定のもう1つのカテゴリは、熱パラメータおよび反応度パラメータのそれぞれに関するシミュレーションモデルで仮定されるマージンである。設計マージンは、シミュレーションモデルの不確実性を説明し、プラントが運転を開始した後に熱限界および反応度限界に違反しないことを保証する(いわゆる運転マージン)ために導入される。熱パラメータの例が、MFLPD、MFLPCR、およびMAPRATである。反応度パラメータの例が、冷却停止マージンおよびホット過剰反応度(hot excess reactivity)である。反応度限界に、冷却停止マージン(CSDM)およびホット過剰反応度(HOTX)が含まれる。CSDMは、反応性が最も高い制御ブレードを除いてすべての制御ブレードが挿入された冷えた状態の原子炉に関する限界までの反応度マージンと定義される。CSDMは、サイクル中の時間(暴露)状態点ごとに判定される。HOTXは、サイクル中の暴露状態点ごとの、すべての制御ブレードが除去された熱い状態の原子炉の炉心反応度と定義される。熱限界に、MFLPD(Maximum Fraction of Limiting Power Density)、MAPRAT(その限界と比較したMAPLHGRすなわちMaximum Average Planar Linear Heat Generationの比)、およびMFLCPR(Maximum Fraction of Limiting Critical Power Ratio)が含まれる。MFLPDは、制限する値と比較した、局所的な棒の出力の比または所与の高度の所与のバンドル内の線出力密度(すなわち、単位長さあたりのキロワット)の最大値と定義される。MAPLHGRは、所与の高度の所与のバンドル内の平面にわたる最大平均線出力密度(LHGR)である。MAPRATは、単に、制限する値に対するMAPLHGRの比である。LHGR限界は、燃料クラッディング塑性ひずみ、燃料ペレット中心線溶融、およびリフトオフ(lift−off)という現象に対して燃料を保護し、リフトオフは、主に核分裂ガスの蓄積に起因するペレットの膨張を超えるクラッドのふくらみである。リフトオフは、ペレットからクラッドを横切り冷却液への熱伝達を劣化させる。MAPRAT限界は、仮定された冷却液消失事故中に燃料を保護し、一方MFLPD限界は、通常運転中に燃料を保護する。MFLCPRは、「膜ドライアウト(film dryout)」の現象に対して燃料を保護する。BWR(沸騰水型原子炉)熱伝達では、燃料棒の表面上の水の薄膜が、水が蒸気に変換される時の、燃料棒で生成された熱の適度な除去を保証する。この機構は、核沸騰とも称するが、燃料棒の出力が、遷移沸騰と称する点まで高められる時に継続する。遷移沸騰中には、熱伝達がすばやく劣化し、薄膜の除去に、最終的には膜ドライアウトにつながり、この時に、クラッディング表面温度がすばやく上昇し、クラッディング故障につながる。バンドルの限界出力は、所与の燃料バンドルが膜ドライアウトを達成する出力であり、実験から判定される。限界出力比(CPR)は、実際のバンドル出力に対する限界出力の比である。MFLCPRは、単に、制限する値に対する各バンドルCPRの分数のすべてのバンドルにわたる最大値である。
運転マージンは、炉心監視システムに通信することができ、プラント測定システムまたはプラント計装システムから導出される。BWRでは、計装システムは、固定式検出器および可動式検出器からなる。可動式検出器またはTIPS(可動式炉内中性子検出器)は、毎月、固定式検出器を較正するために挿入される。これは、固定式検出器が、中性子環境に起因して「焼損し」、したがって、その信号を調整しなければならないという事実に起因する。しかし、諒解されるように、シミュレータでは、測定がシミュレートされる。運転マージンの消失は、出力を再配分するために、制御ブレードパターンおよび/または炉心流量の調整を必要とする場合がある。制御ブレードパターンとは、制御ブレードのそれぞれが炉心に挿入される量およびこれらの位置が経時的変更に対してどのように計画されるかである。炉心流量とは、炉心を通る水の流れである。
設計仮定すなわち運転条件、モデルバイアス、またはマージンのいずれかの変更は、プラントが運転を開始したならば、原子炉制御パラメータの変更を必要とする場合がある。制御変数のうちの1つ(たとえば、制御ブレードノッチ)の必要な変更に起因する炉心出力応答(たとえば、局所的な出力)の急激な変化を避けることが、プラント安全性ならびに運転のたやすさという展望から重要である。
米国仮出願第10/246,718号
本発明は、あるタイプのサイバーワークスペースとして応答曲面を使用し、リアルタイム予測原子炉シミュレーションを可能にする。応答曲面は、原子炉心設計の1つまたは複数の態様に関する複数の設計入力と複数の運転出力との間の関係を定義する。したがって、本発明を説明する前に、応答曲面の作成の詳細な説明を、応答曲面を使用して原子炉心設計を最適化する方法の文脈で提供する。その後、予測原子炉心シミュレーションの方法を提供する。
応答曲面の作成
次の説明は、応答曲面を作成する例示的実施形態を対象とする。応答曲面を作成する方法は、たとえばMicrosoft Windows 95/NT(登録商標)環境の下で動作する、エンドユーザアプリケーションとして動作するものとすることができる。しかし、応答曲面の作成は、特定のコンピュータシステムまたは特定の環境に限定されない。そうではなく、当業者は、本明細書で提示されるシステムおよび方法を、化学的プロセスシミュレーションシステム、機械的プロセスシミュレーションシステム、加圧水型原子炉シミュレーションシステム、沸騰水型原子炉シミュレーションシステム、および類似物を含む、すべての複数制御変数クリティカル産業/科学プロセスまたはシステムの管理および/または最適化を必要とする環境に有利に適用できることを知るであろう。さらに、本システムは、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Macintosh(登録商標)、Next Step(登録商標)、Open VMS(登録商標)、および類似物を含むさまざまな異なるプラットフォームで実施することができる。したがって、これに続く例示的実施形態の説明は、例示のためのものであって限定のためのものではない。
まず図1Aを参照すると、ブロック図に、原子炉の複数の運転制御変数または設計入力を最適化する例のシステム実施形態が示されている。特定の原子炉心3を定義する原子炉プラント固有設計制約およびサイクル固有初期データ1が、最適化システム2へのデータ入力として供給される。運転制御変数または設計入力(たとえば、棒パターン、燃料装填、炉心流量など)の最適化された値が、原子炉心の設計および管理での使用のために出力として供給される。
図1Bを参照すると、応答曲面の作成を含む最適化方法を実施できる例のコンピュータネットワーク配置が示されている。複数の汎用コンピュータ/プロセッサ10/11が、ローカルエリア通信ネットワーク(LAN)15に結合され、LAN 15自体は、1つまたは複数のリモートコンピュータ21との通信のために1つまたは複数の別個のオープンネットワークまたはプライベートアクセスネットワーク20に結合することができる。好ましい実施形態では、複数制御変数最適化方法が、コンピュータ10のうちの少なくとも1つに常駐するソフトウェアモジュールを介して実施される。下で説明するように、これらのモジュールは、コンピュータ10の間で分散することができ、あるいは、LAN 15および/またはネットワーク20を介して通信するコンピュータ10(および21)のうちの1つまたは複数に常駐することができる。
図1Bに示されているように、通信ネットワーク15および/または20は、インターネットなどのオープンネットワークまたはローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)などのプライベートアクセスネットワークとすることができる。汎用コンピュータ10は、直接またはモデムを介してネットワーク15に結合され、普通の入出力コンポーネントおよびユーザインターフェースコンポーネント(図示せず)のほかに専用メモリ12を有するまたはこれを有しない独立プロセッサ11からなる。コンピュータ10は、たとえば、VMS−Alpha(登録商標)コンピュータシステム、レガシコンピュータシステム、高速ワークステーション、または高速互換パーソナルコンピュータ(デスクトップシステムまたはラップトップシステムなど)など、さまざまな高速プロセッサのいずれかとすることができる。ネットワーク15および20を介する通信は、たとえばTCP/IPプロトコルなどの効率的なプロセッサ間通信を容易にする普通のプロトコルおよび独自プロトコルの任意の好ましい組合せを使用して達成することができる。
複数のコンピュータ10(21)、好ましくは原子炉心運転のシミュレーション用の適当なソフトウェアの実行をサポートできるシステムが、LAN 15および/またはネットワーク20などの通信リンクを介して、データファイルおよび制御情報を交換するために結合される。たとえばGeneral Electric(GE)社の「PANACEA(登録商標)」3−D原子炉心シミュレーションプログラムなど、ほとんどの通常の原子炉心シミュレーションプログラム(またはプログラムのスイート)を、本発明に関して使用することができる。このタイプのシミュレータプログラムは、炉心を定義する3次元変数を処理することができる。選択された「独立の」原子炉制御変数または設計入力(たとえば、燃料装填、棒パターン、炉心流量など)の値を含む入力ファイルが、入力として供給され、シミュレータプログラムは、選択された性能パラメータまたは運転出力に関する値を含む出力ファイルを供給する。たとえば、運転出力に、限界出力比(CPR)、停止マージン(SDM)、maximum average planar linear heat generation rate(MAPLHGR)、maximum fraction of linear power density(MFLPD)、ホット過剰反応度、半径方向および軸方向の出力ピーキング、ピーク燃料棒暴露およびピーク燃料バンドル暴露、装填されたウラニウム235のキログラムあたりで作られる原子炉エネルギー出力(メガワット日単位)によって測定されるウラニウム利用など、燃料運転サイクルにわたる原子炉心性能を測定するのに普通に使用されるパラメータが含まれるが、これらに限定はされない。
分析される性能パラメータの多くが、たとえばMAPLHGR、MFLPD、および最小限界出力比(MCPR)など、空間依存と時間依存の両方である。したがって、これらの運転出力の一部は、1つまたは複数の炉心燃料補給サイクル全体を通じた複数の離散的インターバル(すなわち、各すべての「暴露段階」)での原子炉心の状態を示すことができる。
次に図2を参照して、応答曲面を作成する、複数制御変数最適化法を実施する例のソフトウェアシステム202内の基本的な機能プロセスおよびデータフローを説明する。選択可能な「分解能」レベル(下で詳細に説明する)、他の処理オプションに関する情報、および原子炉心サイクル固有入力データ情報は、初期ステージ(図示せず)でユーザによって入力されることが好ましい。原子炉心特性および特定の燃料サイクルの特定の原子炉プラントに固有の運転上品質にクリティカルな制約を含むサイクル固有原子炉心プロファイル入力ファイル201が、このユーザ入力情報から構築される。サイクル固有入力情報は、特定の原子炉の初期「中心点」データケースを定義する初期独立制御変数値または設計入力値を識別するのに使用される。この中心点データは、入力データファイル201として原子炉心シミュレーションプログラム(実際のシミュレーションプログラムは図示せず)に供給される。原子炉心運転シミュレーション207は、この中心点データを使用して行われる。たとえば、3次元(3−D)分析炉心シミュレーションが、選択された「ホスト」コンピュータ10上で実行される。シミュレーションプロセスが完了した時に、中心点ケースシミュレーション出力データファイル212が作られる。次に、このファイルからの中心点ケースシミュレーション出力データが、選択された「ホスト」コンピュータ10のディジタル保管メモリ内の多次元配列に保管され、異なる制御変数値について原子炉性能を評価するためにあるタイプの応答曲面219を作成する基礎として使用される。
次に、選択された運転制御変数の独立の制御変数値の所定の変更によって表される異なる物理的条件および制約の下での同一の原子炉心運転の別々のシミュレーションが、ソフトウェアシステムによって同時発生的に行われる。それぞれが選択された制御変数(すなわち、設計入力)の値の変更を反映する異なるシミュレータ入力データファイル203〜206が、作成され、各入力ファイルは、通信ネットワーク15および20を介して接続された1つまたは複数の独立コンピュータまたは独立プロセッサ10および21に常駐する独立の原子炉心シミュレータプログラムまたはプロセス208〜211にサブミットされる。受け取られた入力ファイルの値に基づく炉心シミュレーションを実行した後に、各シミュレータプロセスは、原子炉心の従属変数(すなわち、運転出力)の結果の出力値を反映した出力データファイル213〜216を返す。独立変数ケース208〜211のそれぞれの原子炉心シミュレーションのすべてが完了したならば、シミュレータ出力ファイル213〜216からのデータが、ブロック217によって示されるように、たとえば元々の「中心点」ケース212から得られた出力データによって各データ項目を割ることによって、正規化される。
シミュレーションケース出力データのすべてを正規化した後に、各独立制御変数ケースの正規化されたデータの特性を、伝達関数として表す。たとえば、正規化されたデータを、所与の制御変数の変更に関する所与のシミュレータ出力の変化を反映する対応する2次多項式の組に写像するが、より高い次元またはより低い次元の多項式を使用することができる。言い換えると、それぞれが関連する多項式係数の組の特徴がある2次多項式が、少ない限られた個数の原子炉心シミュレーションで得られたシミュレーション出力データにあてはめるために選択される。たとえば、これらのシミュレーションは、例示的に、中心点ケースおよび2つの変形ケースの各独立の制御変数を評価するのに使用され、この変形ケースでは、特定の制御変数の中心点ケースの定量的値が、それぞれ、増分され、減分される。次に、これらの多項式は、各制御変数の選択された運転出力(すなわち、性能パラメータ)の定量的値を予測するために「予測因子」として利用される。各多項式を一意に定義する係数が、ブロック218に示されているように、2次多項式を解く通常のアルゴリズム的技法(たとえば、曲線あてはめ)を使用して、正規化されたシミュレータ出力データから展開される。この正規化された係数データは、ブロック219によって表される、本明細書で「応答曲面」と定義される、コンピュータメモリの1区域に保管される。基本的に、応答曲面219には、設計入力(制御変数)の値の個別の変更または組み合わされた変更に対する原子炉の従属運転出力(性能パラメータ)応答または関係が含まれる。この形で、応答曲面は、複数独立制御変数の異なるケースシミュレーションからの結果の原子炉心シミュレーション出力データを保管する一種のサイバーワークスペースおよびデータ配列リポジトリとして働く。
次に、各制御変数の多項式を、各制御変数の許される範囲にまたがる前記制御変数の値に対する変更を適用して評価し220、最良の多項式予測因子を選択する。多項式最適化および評価モジュールならびに図7に関してさらに詳細に述べるように、もう1つのシミュレーションプロセス221が、変更された値を評価するために、選択された最良の多項式予測因子によって与えられる制御変数値を使用して行われる。原子炉性能の改善が、シミュレーション結果によって示される場合には、変更された制御変数が、最初の中心点ケースに対する改善として受け入れられる。次に、独立変数のこの新しい組合せが、新しい中心点ケースとして再定義され、制御変数評価プロセス全体が、さらなる大きい改善が実現されなくなるまでさらに繰り返される(図2の破線によって示されるように)。したがって、応答曲面は、このプロセスを介して変更され、成長する。さらなる改善を得ることができないと判定されたならば、応答曲面が、制御変数値のより小さい(より制限された)範囲を使用して洗練され、上の段階が繰り返される。全体としての最適化プロセスは、制御変数に対するさらなる改善が識別可能ではなく、制御変数値の範囲に対する実現可能な縮小を行うことができない時に、本質的に完了したと考えられる。
図3では、複数制御変数最適化方法を実施する例のソフトウェアシステム300が、各モジュールの例の機能プログラム制御段階をより詳細に示す別々の付随する図4〜8を参照して、機能的に関連するセクションまたは「モジュール」に関して示されている。このソフトウェアシステム全体を含むソフトウェアシステム300の1つまたは複数のモジュールは、1つまたは複数のプロセッサまたはネットワーク化されたコンピュータシステムでの配布およびインストールを容易にするために、コンピュータ可読媒体で実施することができる。機能的に関連するソフトウェアのセクションを、本明細書では別々のプロセッサによって個別にまたは集合的に実行できるコンポーネントソフトウェアモジュールに関して説明するが、このソフトウェアシステムは、モジュラコンポーネント実装に必ずしも限定されない。図3に示されているように、ソフトウェアシステム300の例の実施形態には、応答曲面初期化モジュール301、1つまたは複数の制御変数モジュール302、多項式係数展開モジュール303、多項式使用モジュール304、および応答曲面保存/変更モジュール305が含まれる。ソフトウェアシステム300内の機能的に関連するソフトウェアのモジュラ配置は、特定の応用例について望まれるまたはそれに適当な異なる制御変数モジュール(図5A〜5E)の使用または省略を容易にすることによって、このソフトウェアシステムの全体的な柔軟性および異なる環境への適用可能性を強化し、さらに、新しい異なるまたは更新された制御変数モジュールの追加を容易にする。
応答曲面初期化モジュール301は、基本的に、所与の原子炉心の運転条件および制約(たとえば、初期炉心装填、棒パターンなど)を記述した、オペレータが入力するデータを受け入れ、応答曲面219を正規化するための開始点または「中心点」シミュレーションケースを作成する責任を負う。制御変数モジュール302のそれぞれには、たとえば燃料バンドル装填、制御棒位置、炉心流量、シーケンス変更位置、バンドル特性など、特定のタイプの原子炉心制御変数のシミュレーションケースデータを作成するプログラム制御段階が含まれる。設計入力(独立制御変数)タイプごとに、考慮すべき多数の運転出力(独立変数)がある場合がある。さらに、特定の制御変数モジュールによって考慮される独立変数ケースごとに、実行される少なくとも2つの炉心シミュレーションがあり、これらの炉心シミュレーションから、応答データが得られる。その中心点がその最小−最大許容値の範囲内にある制御変数について、1つのシミュレーションが、所定の量だけ増やされた独立制御変数値を有する中心点シミュレーションケース値を使用して実行され、もう1つのシミュレーションが、所定の量だけ減らされた独立制御変数値を有する中心点シミュレーションケース値を使用して実行される。その中心点がその最小−最大許容値のいずれかの端にある制御変数について、2つのシミュレーションが、実行され、このシミュレーションのそれぞれは、中心点がその最大値にある場合には連続してより小さく、あるいは中心点がその範囲内の最小値にある場合には連続してより大きい。特定の制御変数または設計入力の増やされたシミュレーション入力値と減らされたシミュレーション入力値との間の差を、その制御変数の範囲または「幅(breadth)」と称し、すべてのシミュレーションケース結果がその応答曲面に保管されるので、この差を、本明細書では応答曲面(その制御変数に関する)の「幅」とも称する。各シミュレーションケース結果には、炉心シミュレーションプロセス内でモデル化された運転性能パラメータ(従属変数)のすべての値が含まれる。最終的に、応答曲面には、独立変数ケースごとに少なくとも3つの炉心シミュレーションケース結果すなわち、中心点ケース応答と特定の制御変数モジュールによって作成される2つの変形ケース応答とが含まれる。
制御変数モジュール302は、LAN内の単一のコンピュータ/プロセッサ10を使用して順次実行されることが好ましい。特定の原子炉プラント固有考慮事項を対象として作られた追加の制御変数モジュール(本明細書では図示せず)も、使用することができる。制御変数モジュール302は、任意の順序で実行することができ、任意の単一のまたは複数の制御変数モジュールを、さまざまな品質にクリティカルな考慮事項および望まれる可能性がある原子炉性能に対する改善の度合に応じて使用することができる(図3の破線によって示されるように)。制御変数値を含むシミュレータ入力データファイルは、各制御変数モジュールによって作成され、常駐炉心シミュレータプログラムを有するLAN(またはリモートネットワーク21)内の他のコンピュータ/プロセッサにサブミットされる。シミュレーションケースが、プロセッサによって完了されたならば、そのプロセッサは、結果の値を含むシミュレータ出力データファイルを作成し、そのファイルを、応答曲面を維持するコンピュータに送信する。原子炉心シミュレーションは、通常は非常に時間がかかるので、この分散処理配置は、多数の異なる炉心シミュレーションケースが多少は同時発生的に進行することを可能にし、これによって、炉心シミュレーションに費やされる総経過時間を大幅に減らす。
代替案では、異なる制御変数モジュールが、LAN内で、WAN内で、または他の通信リンクを介して接続された異なる独立コンピュータに常駐することもできる。たとえば、そのような実施形態で、あるコンピュータに常駐する応答曲面初期化モジュール301は、特定の所望の制御変数モジュールの実行に関するLAN上の要求を、そのモジュールが常駐する別のコンピュータに対して行い、その後、応答曲面からの中心点ケースデータを転送するはずである。
多項式係数展開モジュール303には、各独立変数ケースの炉心シミュレーション結果を、各性能パラメータ(すなわち、運転「従属」変数)に対応する独自の2次多項式曲線に写像するプログラム制御コードが含まれる。各多項式の係数値は、各多項式がそれに対応する性能パラメータの3つのシミュレーションケースからのデータにあてはまるように決定される。多項式使用モジュール304には、各制御変数の値に対する変更ならびに一緒に考慮される制御変数の組合せに対する変更を探査し、どの変更が炉心性能に対する最大の影響を生じるかを判定するプログラム制御コードが含まれる。炉心シミュレーションの実行は、時間がかかるので、これらの多項式は、炉心シミュレーションの実行の代わりに、制御変数の入力幅にまたがる性能パラメータ値を判定する高速予測因子(3−Dシミュレータ実行に対する)として使用される。最大の性能影響を有する制御変数は、所定の目的関数を使用して予測された性能パラメータ値を反復して比較することによって判定される。最後に、保存/変更モジュール305には、応答曲面を保存し、文書化し、定量化された最適制御変数運転値を出力し、あるいは、その代わりに、応答曲面の「幅」を減らすことによって結果をさらに改善できると判定される場合に応答曲面を変更する(下でより詳細に説明する)プログラム制御コードが含まれる。
図4を参照すると、流れ図に、応答曲面初期化モジュール301によって実行される例の機能段階が示されている。最初の少数の初期段階401〜404は、基本的に、初期中心点シミュレーションケースを作成するのに必要な情報を獲得し、識別する。段階401で、制御変数の初期値(すなわち、初期制御棒パターン、初期炉心装填配置など)および初期応答曲面幅を含むサイクル固有原子炉心運転条件データが、オペレータ入力を介して指定される。段階402で、特定の原子炉プラントの、設計基礎を形成する特定の運転制約が、獲得されたオペレータ入力情報から識別され、そのような設計基礎および制約情報は、代替解の相対品質を比較するのに使用される、下で説明する「目的関数」を評価するのに役立つ。さらに、コンピュータオペレータは、下で多項式最適化および評価モジュールならびに図7に関してより詳細に述べる、複数の制御変数の運転値の変更の原子炉性能に対する影響を組み合わせて考慮することを可能にする入力オプションを選択することができる。
段階403で、最適化中に検討されなければならない特定の独立制御変数(炉心装填、棒パターン、炉心流量、シーケンス交換、バンドル特性など)が、獲得されたオペレータ入力情報に基づいて識別される。段階404で、炉心内で使用される燃料バンドルを、反応度値に従って識別し、ソートする。次に、段階405で、中心点シミュレーションケースを作る炉心シミュレーション入力データファイルを生成し、常駐(またはリモート)炉心シミュレーションプログラムにサブミットする。このシミュレーションが終了したならば、シミュレーションの結果が、シミュレーション出力ファイルで返される。段階406で、多次元配列を、シミュレーション「応答曲面」としてメモリ内で作成し、シミュレーション出力ファイルからのデータを、初期中心点ケースとしてこれに保管する。
次に、1つまたは複数の制御変数モジュール302を実行して、特定の制御変数の値の変動に関するシミュレーションケースデータを展開する。複数の制御変数モジュールの実行は、任意選択である。この開示からたやすく明白になるように、追加の制御変数固有モジュール(本明細書では開示せず)を、望み通りに含めることもできる。前に述べたように、個々の制御変数モジュールは、単一のプロセッサによって順次実行することができ、あるいは、LANまたはWAN内の異なるコンピュータ上で同時発生的に実行することができる。各制御変数モジュールの実行は、応答曲面へのより多くのシミュレーションケースデータの追加をもたらすので、本方法の正確さおよび達成可能な潜在的原子炉性能最適化は、対応して強化される。
図5Aを参照して、燃料バンドル装填に関する例の制御変数モジュールによって実行される機能段階をまず述べる。燃料バンドル装填モジュールは、燃料バンドル位置または装填配置の変更によって引き起こされる原子炉性能パラメータの変化を検査する。慣習的に、ほとんどの原子炉心は、八分円対称であり、その結果、炉心の1つの八分円内のバンドル配置だけを考慮する必要がある。しかし、八分円対称性は、このプロセスの要件ではない。段階501に示されているように、まず、特定の原子炉の事前に識別された制約を与えられて、燃料バンドル装填変更が許容されるかどうかを判定する。バンドル装填変更が許容されない場合には、プログラム制御は、別のモジュールに渡される。バンドル装填変更が許容される場合には、ブロック502によって示されるように、すべての許されるバンドル位置が、異なる位置ごとに段階503から507を繰り返すことによって、系統的に考慮される。
段階503で、選択された位置のバンドルの既知の反応度値を、所定のより高い値に変更する。次に、新しい炉心シミュレーション入力ファイルを生成するが、この入力ファイルは、燃料バンドル反応度値の変更と、中心点に対するすべての反応度差を最小にするための残りの燃料のシャフルとを反映したものである。残りの燃料のこのシャフルは、段階404によって生成される、前にソートされたリストを参照することによってたやすく達成され、これによって、このソートされたリスト内のバンドルランク位置が、「カスケード」戦略で1位置だけシフトされる。たとえば、このソートされたリスト内で反応度ランク10からランク5に変更される位置は、ランク5を6に変更し、ランク6を7に変更し、以下同様にランク9を10に変更することまでの効果を有する。次に、段階504に示されているように、炉心シミュレーション入力ファイルを、シミュレーション処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータにサブミットする(「ロッデッドデプリーション(rodded depletion)」を反映する炉心シミュレーション入力ファイルが、一般に意図されているが、非ロッデッドデプリーションタイプのシミュレータ入力ファイルも、この方法と共に使用することができる)。サブミットされた炉心シミュレーションの結果を待たずに、段階505で、同一位置のバンドル反応度値を、最初の反応度値より小さい値に変更する。さまざまな制御変数モジュールに関して本明細書で説明する、特定の制御変数の値に必要な増減の組み合わされた量は、検討される特定の制御変数に従って事前に決定され、制御変数が検査される値の範囲または「幅」を定義する。
次に、段階506で、変更された反応度値を有する新しい炉心シミュレーション入力ファイルを、もう一度生成し、もう1つのシミュレーションの処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータ10にサブミットする。1つの運転の例では、段階504および506でシミュレーションケースが計算されたならば、各シミュレーションからの出力データパラメータを、たとえば炉心シミュレーションを実行する各プロセッサ/コンピュータによって、中心点に対して正規化し、多項式にあてはめ、共通の応答曲面219に保管することができる。段階507に示されているように、他の位置の燃料バンドルの反応度値の変更が、まだシミュレートされていない場合には、必ずしも以前の段階の炉心シミュレーションが完了するのを待たずに、すべての許容可能なバンドル位置が考慮されるまで、新しいバンドル位置を選択し、段階503〜506をもう一度繰り返す。最終的に、燃料バンドル反応度変形に関するすべての独立制御変数ケースを考慮したならば、処理は、別のモジュールの制御の下で継続することができる。
図5Bに、制御棒または制御ブレードの異なる軸方向位置を探査する、例の制御変数モジュールによって実行されるプログラム制御段階を示す。図5Aの燃料バンドル装填モジュールに似た形で、制御棒ごとに2つのシミュレーションケースが、展開され、シミュレーション結果が、共通の応答曲面に追加される。段階509で、まず、原子炉の事前に識別された制約を与えられて、制御棒パターン変更が許容されるかどうかを判定する。制御棒パターン変更が許容されない場合には、プログラム制御は、別のモジュールに渡される。制御棒変更が許容される場合には、段階510に示されているように、所定の制御棒を、分析のために選択する。次に、段階511で、選択された制御棒の初期位置値を、所定の量だけ増やし、その増加の量が、炉心の物理境界または指定されたユーザ限界に違反しないようにする。次に、段階512に示されているように、選択された制御棒の位置値だけを変更された新しい炉心シミュレーション入力ファイルを生成し、シミュレーション処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータ10にサブミットする。
段階513で、同一の制御棒の制御棒位置値を、段階511で行われた元の位置より小さい値に変更する。次に、段階514で、変更された位置値を有する新しい炉心シミュレーション入力ファイルをもう一度生成し、第2シミュレーションケースの処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータ10にサブミットする。段階515に示されているように、他の制御棒の位置値の変更をシミュレートしなければならない場合には、すべての制御棒を考慮するまで、新しい制御棒を選択し、段階511〜514をもう一度繰り返す。燃料バンドル装填モジュールと同様に、制御棒位置決めモジュールの各段階は、必ずしも前の段階の炉心シミュレーションが完了するのを待たずに進行することができる。最後に、制御棒位置変形に関するすべての独立制御変数ケースを考慮したならば、処理は、別のモジュールの制御の下で継続することができる。
図5Cに、炉心流量の変更から応答曲面を展開する例の制御変数モジュールによって実行されるプログラム制御段階を示す。図5Aおよび5Bの他の独立制御変数モジュールに似た形で、炉心流量制御変数ごとに2つのシミュレーションケースが、展開され、共通の応答曲面に追加される。段階519で、まず、原子炉の事前に識別された制約を与えられて、炉心流量変更が許容されるかどうかを判定する。炉心流量変更が許容されない場合には、プログラム制御は、別のモジュールに渡される。炉心流量変更が許容される場合には、段階520に示されているように、特定の炉心流量変数を、分析のために選択する。次に、段階521で、選択された炉心流量変数の初期中心点ケース値を、所定の量だけ増やす。次に、段階522に示されているように、選択された炉心流量変数値だけを変更された新しい炉心シミュレーション入力ファイルを生成し、シミュレーション処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータ10にサブミットする。
段階523で、同一の炉心流量変数の炉心流量値を、段階521に似て、元の値より小さい値に変更する。次に、段階524で、変更された炉心流量値を有する新しい炉心シミュレーション入力ファイルをもう一度生成し、第2シミュレーションケースの処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータにサブミットする。段階525に示されているように、他の炉心流量変数の炉心流量値の変更がまだシミュレートされていない場合には、すべての独立炉心流量変数を考慮するまで、次の独立の炉心流量変数を選択し、段階521〜524をもう一度繰り返す。上で述べた他の制御変数モジュールと同様に、このモジュールの各段階は、必ずしも前の段階の炉心シミュレーションが完了するのを待たずに進行することができる。最後に、炉心流量変数に関するすべての独立制御変数ケースを考慮したならば、処理は、別のモジュールの制御の下で継続することができる。
図5Dに、シーケンスインターバルの変更から応答曲面を展開する例の制御変数モジュールによって実行されるプログラム制御段階を示す。他の制御変数モジュールに似た形で、運転サイクル中に発生する制御ブレードシーケンスインターバルごとに2つのシミュレーションケースが、展開され、共通の応答曲面219に追加される。段階529で、まず、原子炉の事前に識別された制約を与えられて、シーケンスインターバル変更が許容されるかどうかを判定する。変更が許容されない場合には、プログラム制御は、別のモジュールに渡される。変更が許容される場合には、段階530に示されているように、特定のシーケンスインターバルを、分析のために選択する。次に、段階531で、選択されたシーケンスインターバルの初期中心点ケースシーケンスインターバル値を、ユーザ指定の量だけ増やす。次に、段階532に示されているように、選択されたシーケンスインターバル値だけを変更された新しい炉心シミュレーション入力ファイルを生成し、シミュレーション処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータ10にサブミットする。
段階533で、同一の制御ブレードシーケンスインターバルのシーケンスインターバル値を、531に似て、元の値より小さい値に変更する。次に、段階534で、変更されたシーケンスインターバル値を有する新しい炉心シミュレーション入力ファイルをもう一度生成し、第2シミュレーションケースの処理に使用可能なプロセッサ/コンピュータにサブミットする。段階535に示されているように、他のシーケンスインターバル変数の値の変更がまだシミュレートされていない場合には、すべての他の関連する独立シーケンスインターバル変数を考慮するまで、新しいシーケンスインターバルを選択し、段階531〜534をもう一度繰り返す。他の制御変数モジュールと同様に、このモジュールの各段階は、必ずしも前の段階の炉心シミュレーションが完了するのを待たずに進行することができる。最後に、シーケンスインターバル変数に関するすべての独立制御変数ケースを考慮したならば、処理は、別のモジュールの制御の下で継続することができる。
図5Aから5Dに示されたモジュールは、一緒に、たとえば装填パラメータ、棒パターンパラメータ、流量パラメータ、およびシーケンス交換パラメータなど、性質において「連続的」と考えられる値を有することができる独立制御変数を考慮する、この最適化方法の能力を実証するが、この方法は、バンドル特性など、「離散」値制御変数の変更を検討するのに使用することもできる。離散値タイプ制御変数を考慮する例の制御変数(CV)モジュールは、燃料バンドル特性の文脈を使用して提供され、図5Eに示されている。
図5Eを参照して、バンドル特性の変更から原子炉シミュレーション応答データを展開する例のプログラム制御段階を説明する。この例では、燃料バンドル特性は、半径方向のおよび/または軸方向のウラニウム235濃縮度変動ならびに/あるいは半径方向のおよび/または軸方向のガドリニウム変動に起因するものなどの燃料棒構成の相違を有するすべての燃料バンドルを表すことができる。前に述べたモジュールと同様に、炉心シミュレータケースを、独立制御変数ごとに生成し、実行する。各燃料バンドル特性独立制御変数の完了時に、従属変数出力情報を、相対的な中心点に対して正規化する。しかし、応答を多項式に写像するのではなく、応答は、線形関数に写像される。すべての制御変数モジュール302および対応するシミュレーションケースが、実行を完了し、シミュレーション結果が、相対的な中心点に対して正規化されたならば、シミュレーションケースデータを、多項式および/または線形関数のいずれかに写像し、その結果を、応答曲面219に保管する。
図6に、各独立変数ケースの3つのデータ値(すなわち、上側値、下側値、および中心点値)にあてはまる多項式に各シミュレーションケースを写像する多項式係数を展開する例の機能プログラム制御段階を示す。機能段階601で、すべてのシミュレーションケースが完了し、応答曲面が更新されるまで、さらなる処理を遅延させる。次に、段階602および603で、応答曲面にアクセスし、制御変数モジュール302によって作られたすべてのシミュレーションデータを、中心点ケースデータに対して正規化する。次に、機能段階604で、独立制御変数ごとに3つの正規化されたシミュレーションケース値にあてはまる独自の2次多項式を定義するために、係数を判定する。しかし、ある種の制御変数(たとえば、燃料バンドル棒構成)の評価は、離散的変化としてのみ評価できるので、このタイプの変数の炉心シミュレーション結果は、離散1次評価として応答曲面に保管され、多項式には写像されない。最後に、段階605で、各多項式の係数を保管し、さらなる処理が、多項式最適化および評価モジュールを用いて継続される。
図7に、多項式最適化および評価モジュール304の例の機能プログラム制御段階を示す。このモジュールは、各制御変数に関連する2次多項式のそれぞれによって予測された原子炉性能パラメータ値を検査して、どの制御変数および値が、原子炉性能の最も大きい改善を生じるかを判定する。段階700および701で、制御変数シミュレーションケースのそれぞれから展開された多項式が、応答曲面からアクセスされ、サブグループ化され、その制御変数の許容可能な値の幅にわたる性能パラメータ(たとえば、CPR、MFLPD、MAPLHGRなど)の定量的値を予測するのに使用される。言い換えると、制御変数が、選択され、その制御変数によって影響される性能パラメータ(すなわち、運転出力)のそれぞれに関連する多項式が、その制御変数の幅(すなわち、所定の許容値の範囲)にわたる選択された制御変数の値の所定の個数の離散増分変更のそれぞれについて原子炉性能を示す性能パラメータ値の組を予測するのに使用される。このプロセスを、すべての独立制御変数について繰り返す。
当技術分野で一般に「重ね合せ」と称する原理の下で、一緒に組み合わせて異なる制御変数に対して行われる複数の変更の正味の影響を、別々に行われる個々の制御変数変更の影響の合計によって判定することができる。したがって、初期化および入力ステージで(すなわち、たとえば図4の初期化モジュールの段階401および402に関して上で述べた、サイクル固有入力および設計基礎考慮事項が識別される時に)、本システムのユーザは、互いに組み合わせて評価される複数の独立変数の定量的運転値に対する変更を可能にする入力オプションとして最適化「分解能」レベルを選択することができる。その結果、このオプションが以前に選択された場合に、段階700で、選択された複数の独立制御変数のすべての組合せの個々の多項式によって予測された影響が、即座に組み合わされて、一緒に行われる異なる制御変数に対する複数の変更が多数の原子炉心性能パラメータのそれぞれに対して有するはずの正味の影響が定量的に判定される。選択された分解能レベルが高いほど、より多くの独立制御変数が一緒に組み合わされて評価され、したがって、原子炉性能を改善する組合せが検出される可能性がより高くなる。たとえば、「3」という選択された最適化分解能レベルでは、3つの異なる独立制御変数の定量的値の変更および考慮される制御変数の総数のうちの3つの制御変数のすべての組合せが、評価される。特定の分解能の下での複数の制御変数の間のすべての離散的変更は、各制御変数の関連する多項式予測因子を使用して検査される。
より高い分解能レベルは、より低い分解能レベルより多少長い処理時間を必要とする場合があるが、総処理時間は、通常の方法よりかなり短い。というのは、ケースごとの原子炉心の実際のコンピュータシミュレーションの実行ではなく、多項式予測因子が使用され、それ相応に組み合わされるからである。この形で、本方法は、本質的に網羅的であり、大域的に最適な燃料サイクル設計を識別することをほぼ保証される。非常に高い分解能レベルは、必要な長い処理時間に起因して実践では実現可能でない場合があるが、特定の分解能レベルの選択を可能にするこの方法の能力は、システムユーザが、達成されることが望まれる真の絶対最適値への「近さ」の度合を選択的に定量化することを可能にする。
次に、段階702で、個々の制御変数または制御変数(すなわち、設計入力)の組合せに対して行われる定量的値変更ごとに、「目的関数」テストを使用して、性能パラメータ(すなわち、「従属」変数)の改善に対する影響に関してその変更の相対的な「価値」または「強さ」を定量化する。目的関数は、主に、追加エネルギー、増えた熱マージンなどの有益な結果に関連する性能「クレジット」の統合によってオフセットされた、定義された設計限界に対する性能「違反」の統合を介して判定される、各性能パラメータの特定の制限する値をセットする。事前に決定された乗数(すなわち、数学的係数)が、たとえばホットエクセス、MFLPD、MAPLHGRなどの性能パラメータのそれぞれの設計限界値に適用されて、各パラメータの正規化および相対ランキングを提供する。基本的に、段階702では、各予測された性能パラメータ値が、当技術分野の通常の知識および実践に従って形成された目的関数を使用してテストされて、炉心性能最適化に関する制御変数多項式予測因子の最良の組が判定される。段階703で、制御変数の最良の値を識別する。各多項式予測因子は、特定の制御変数に対応するので、多項式予測因子は、段階702の目的関数によるレーティングに従って比較され、段階700〜702の反復は、制御変数の最良の値が識別されるまで継続される。次に、段階704で、制御変数値を、前の反復(存在する場合に)から得られた値と比較して、改善(すなわち、目的関数によって提供される性能指数の改善)が存在することがわかるかどうかを判定する。改善が検出されない場合には、処理は、図8に示された段階で継続される。なんらかの改善が存在することがわかった場合には、段階705に示されているように、炉心シミュレータ入力ケースを、1つまたは複数の制御変数に対応する選択された最良の多項式予測因子からの改善された値を使用して準備し、炉心シミュレーションを実行する。
多項式の使用は、どの変更が原子炉性能の改善を構成できるかのすばやい予測を可能にするが、段階705での炉心シミュレーションは、シミュレーションプロセスと応答曲面内の多項式係数データとの間の較正を提供する。本質的に、段階705での炉心シミュレーションは、改善された制御変数の下での炉心の運転を文書化する「実際」の(「予測」ではなく)炉心シミュレーションデータを提供することによる予測された改善の検証を可能にする。段階706で、段階705の炉心シミュレーション結果を、中心点ケースからの炉心シミュレーション結果(または以前の最適化の結果)と比較して、炉心性能に対する改善がもたらされたかどうかを判定する。段階705の炉心シミュレーションからの結果が、中心点ケースに対する改善を示す場合には、段階708に示されているように、その改善を組み込み、このプロセスをもう一度繰り返す。段階705での炉心シミュレーションの結果が改善されていない場合には、段階707で、対応する制御変数が、「信頼できない」と考えられ、そのようにマークされる。すなわち、段階707では、対応する制御変数値が、潜在的な解ではないと考えられる。段階709のテストで、信頼されない制御変数の所定の個数を超えた場合に、多項式最適化および評価が終り、処理は、図8に示された段階で継続される。
図8に、応答曲面保存/変更モジュール305の例の機能プログラム制御段階を示す。まず、応答曲面の現在の「幅」を、段階801で検査する(すなわち、制御変数値の範囲に関する応答曲面の幅を探査する)。制御変数のシミュレーションケースを作成する際にCVモジュールによって使用される値の所定の範囲の減少が実現可能である場合には、その範囲を減らし、元の中心点ケースデータを使用する、新しい応答曲面の作成を開始する。これは、応答曲面幅を減らすこととして、機能段階802に示されている。この点で、図4の入口点「B」によって示されるように、最適化プロセスが初めからやり直され、さまざまな制御変数モジュールのうちの1つまたは複数を使用して、この「新しい」応答曲面が作成される。CVモジュールによって使用される制御変数値の「幅」を減らすことが実現可能でない場合には、段階803および804によって示されるように、現在の応答曲面データが文書化され(保存され)、最適化された制御変数値が出力される。
予測原子炉心シミュレーション
図9に、本発明による予測原子炉心シミュレーションの方法を使用する例示的システムのブロック図を示す。この図からわかるように、サーバ910には、プロセッサ914に接続されたグラフィカルユーザインターフェース912が含まれる。プロセッサ914は、メモリ916に接続され、メモリ916は、とりわけ、1つまたは複数の応答曲面を保管する。サーバ910は、ユーザ入力デバイス918(たとえば、ディスプレイ、キーボード、およびマウス)によって直接にアクセス可能である。サーバ910は、それぞれイントラネット920およびインターネット924を介してコンピュータ922および926によってもアクセス可能である。
システムユーザは、入力918、コンピュータ922、およびコンピュータ926のうちの1つを使用して、直接、イントラネット920を介して、またはインターネット924を介してこのシステムにアクセスする。ユーザがこのシステムにアクセスする時に、プロセッサ914は、GUI 912を介して、プロセッサ914によって実行可能な予測原子炉シミュレーションツールを使用するオプションをそのユーザに提供する。ユーザがこのツールを使用することを選択する場合に、図10に示された動作が実行される。
図10に、本発明の例示的実施形態による予測原子炉心シミュレーションの方法の流れ図を示す。この図からわかるように、予測原子炉シミュレーションツールを使用すると、ユーザは、段階S10で、メモリ916内に保管された応答曲面と、関連する情報とにアクセスする。たとえば、段階S10で、応答曲面の一部としてアクセスされるデータに、1)応答曲面の作成で摂動される独立制御変数(すなわち、制御棒、燃料バンドル、暴露段階など)の組と、2)各独立変数が応答曲面の作成で摂動された幅または範囲と、3)「無」摂動応答曲面予測に対応する中心点解と、4)応答曲面多項式係数の組とを含めることができる。諒解されるように、メモリ916は、1つまたは複数の原子炉心の複数の応答曲面を保管することができる。
段階S12で、ユーザは、炉心設計を生成するために、アクセスされる応答曲面とあいまって使用される、対応する問題制約および目的関数を含む重みと一緒に目的関数にアクセスすることもできる。それに加えてまたはその代わりに、ユーザは、改訂された問題制約および重みを入力し、したがって、「新しい」目的関数を供給することができる。
ユーザが、応答曲面にアクセスし、適宜目的関数にアクセスした後に、段階S14で、ユーザは、表示される、1つもしくは複数の設計入力、1つもしくは複数の運転出力、設計入力および/もしくは出力に対する1つもしくは複数の制約、ならびに/またはこの情報の要約の所定のフォーマットを選択する。本発明が、これらの表示オプションに限定されず、多数の他の表示オプションが可能であることを諒解されたい。
段階S16で、ユーザは、1つあるいは複数の設計入力値および/または設計入力に対する制約を変更する。次に、ユーザは、段階S18で、変更された設計入力および/または制約を使用して新しい運転出力を生成するようにプロセッサ914に要求する。応答曲面を使用する運転出力値の生成は、応答曲面の生成に関して上で詳細に述べたので、ここでは繰り返さない。応答曲面は、その応答曲面によって表される比較的単純な多項式を使用して運転出力結果を生成するので、これらの運転出力値は、リアルタイムで生成される。これは、従来の原子炉シミュレータが運転出力値を生成するのに要する比較的長いプロセスと対照的である。
段階S20で、ユーザは、選択された応答曲面によって表される最初の解および段階S18の結果によって表される新しい解に適用される目的関数を示す。ユーザは、最初の解と新しい解の両方に対して、選択された応答曲面の生成に使用された目的関数を使用することを選択することができる。代替案では、ユーザは、最初の解と新しい解の両方に対して、新たに入力される目的関数(段階S12を参照されたい)を使用することを選択することができる。もう1つの代替案として、ユーザは、最初の解にある目的関数を使用し、新しい解に異なる目的関数を使用することを指定することができる。
その後、段階S22で、ユーザは、予測原子炉シミュレーションによって生成された情報を供給する形を示す。たとえば、ユーザは、1つまたは複数の運転出力のワーストケース値を表示し、段階S20で行われた選択に基づいて、最初の解および/または新しい解の性能指数(たとえば、目的関数値)を表示し、段階S18で生成され、段階S16で供給される情報を所定のフォーマットで表示し、かつ/あるいは上記の組合せを行うようにプロセッサ914に指示することができる。予測原子炉シミュレーションからのすべての出力結果は、グラフィカルに表示することができ、1)スカラプロット対時間、2)1次元軸プロット対時間、3)2次元炉心半径方向地図対時間、4)軸方向切断面による3次元炉心地図対時間、および5)3次元炉心図対時間を含むことができる。
諒解されるように、予測原子炉シミュレーションのこの方法は、原子炉心について生成された応答曲面を、設計に対する可能な変更をテストするためのあるタイプのサイバーワークスペースとして使用することをもたらす。さらに、予測原子炉シミュレーション結果は、リアルタイムで生成され、理論をすばやくテストするか単に設計変更を実験する実現可能なオプションになる。
包括的目的関数
本発明は、目的関数の包括的定義を提供し、この包括的定義は、さまざまな制約および最適化問題にまたがって適用可能である。すなわち、この包括的目的関数は、沸騰水型原子炉心設計、加圧水型原子炉心設計、搬送スケジューリング、リソース割振りなどの離散空間または連続空間でのすべての大規模組合せ最適化問題に適用可能である。この包括的目的関数は、クレジット成分およびペナルティ成分の合計として定義される。ペナルティ成分には、関連するペナルティ重みをかけられたペナルティ項が含まれる。クレジット成分には、関連するクレジット重みをかけられたクレジット項が含まれる。クレジット項は、問題の最適性条件を表す。ペナルティ項は、問題の制約を表す。各クレジット項は、最適性条件を定量化する数式である。各ペナルティ項は、制約を定式化する数式である。数学的には、これを次のように表すことができる。
クレジット項およびペナルティ項は、最大値(すなわち、上界付き)または最小値(すなわち、下界付き)によって定義することができ、スカラ値または多次元値を表すことができる。要件は、1)ペナルティ項が、制約違反について正であり、それ以外の場合に0である必要があることと、2)制約違反がない場合に、クレジット項が最小化問題と一貫することだけである。したがって、変更された目的関数を最小にすることによって、最適化問題が解かれる。
一例として、最適化問題が、室内の平均気温を最小にしながら、その室内のすべての領域がある温度を超えないことを保証することである、空調システムを検討されたい。この例について、クレジットは、その部屋の体積内の平均気温である。制約は、室内の点単位の温度分布に対する限界であり、これは、ペナルティ項の形で、平均温度違反として計算される。平均温度違反を得るためには、室内の、違反する点の実際の温度値と制限する温度値との差を合計し、点の総数で割ることになる。代替案では、室内の点単位の温度違反の最大値としてペナルティ項を計算することができる。したがって、包括的目的関数の形は、任意の個数のクレジット項およびペナルティ項を、解かれる問題に関して一般的な形で定義することを可能にする。
クレジット項およびペナルティ項の形には、下記が含まれるが、これらに限定はされない。
データ配列内の最大値と、
データ配列内の最小値と、
データ配列内の値の平均と、
データ配列内の値の積分と、
違反する要素に制限された、データ配列の要素と対応する制約限界との間の計算された差の最大値と、
違反する要素に制限された、データ配列の要素と対応する制約限界との間の計算された差の最小値と、
違反する要素に制限された、データ配列の要素と対応する制約限界との間の計算された差の平均と、
違反する要素に制限された、データ配列の要素と対応する制約限界との間の計算された差の積分。
上で説明した目的関数を、図9のアーキテクチャを使用して実施することができる。
最適化問題のための目的関数の構成
一実施形態によれば、上で説明した包括的定義を満足する構成された目的関数は、サーバ910のメモリ916に既に保管されている。たとえば、構成された目的関数を、下で説明する実施形態のうちの1つに従って構成済みとすることができる。この実施形態では、ユーザは、メモリ916に保管された構成された目的関数のリストを供給するようにサーバ910に指示し、次に、リストされた構成された目的関数のうちの1つを使用するようにサーバ910に指示する。
もう1つの実施形態では、ユーザは、入力918、コンピュータ926、またはコンピュータ922を介して、グラフィカルユーザインターフェース912を介してサーバ910にアクセスする。ユーザは、上で説明した包括的定義の定義を満足する構成された目的関数をサーバ910に供給する。この実施形態では、ユーザは、数式を表す任意の周知のプログラミング言語またはプログラムを使用して、構成された目的関数を供給する。具体的には、ユーザは、構成された目的関数を含むファイルをアップロードするように、グラフィカルユーザインターフェース912を介してプロセッサ914に指示する。次に、プロセッサ914は、そのファイルをアップロードし、保管する。
もう1つの実施形態では、目的関数の構成は、ユーザとサーバ910の間で対話的である。この場合に、ユーザは、目的関数を構成するプロセスを開始するようにプロセッサ914に指示する。次に、プロセッサ914は、クレジット成分の個数およびペナルティ成分の個数を識別するようにユーザに要求する。クレジット成分ごとに、プロセッサ914は、ユーザがそのクレジット項の数式および関連するクレジット重みの初期重みを供給することを要求する。ペナルティ成分ごとに、プロセッサ914は、ユーザがそのペナルティ項の数式および関連するペナルティ重みの初期重みを供給することを要求する。数式を供給する際に、プロセッサ914は、グラフィカルユーザインターフェース912を介して、任意の周知のプログラミング言語またはプログラムによる数式の定義を受け入れる。
もう1つの実施形態では、サーバ910は、問題に基づく特定の制約または最適化に対する使用のために事前にプログラムされる。この実施形態では、サーバ910は、その特定の最適化または制約問題に関連する可能な最適化パラメータおよび可能な制約パラメータを保管する。ユーザが、目的関数を構成するようにグラフィカルユーザインターフェース912を介してプロセッサ914に指示する時に、プロセッサ914は、メモリ916に既に保管されている可能な最適化パラメータにアクセスし、最適化のためにその最適化パラメータのうちの1つまたは複数を選択するオプションをユーザに与える。
図11に、本発明のこの実施形態による沸騰水型原子炉心設計の最適化問題に関連する1つまたは複数の最適化パラメータを選択するのに使用される最適化構成ページのスクリーンショットを示す。この図からわかるように、棒パターン最適化、炉心流量最適化、およびシーケンスインターバル最適化という最適化パラメータ40が、最適化パラメータとしてのユーザによる選択に使用可能である。既知のように、制御ブレード(時々制御棒とも称する)位置は、局所的な出力ならびに燃料バンドル内の核反応速度に影響する。棒パターン最適化は、所与のシーケンスが原子炉の制御に使用されている時の運転サイクル中の時間の持続期間に関する、個々の制御棒位置または制御ブレード位置および制御ブレードグループ化内の移動の速度の最適判定を行うことを意味する。シーケンスとは、原子炉の運転サイクル中のタイムインターバルである。一般に、シーケンスは、約120日の期間とすることができるが、シーケンスの持続期間は、原子炉の運転サイクル以下の任意の期間とすることができる。
炉心流量最適化は、運転サイクル中の時間の関数としての原子炉を通る原子炉冷却液流量の最適判定を行うことを意味する。流量は、大域的な原子炉出力ならびに核反応速度に影響する。シーケンスインターバル最適化は、所与のシーケンスが運転サイクル中に原子炉を制御するのに使用される時間持続期間の最適判定を行うことを意味する。シーケンスインターバルは、局所的な出力ならびに核反応速度に影響する。
それぞれがディスプレイおよびコンピュータマウスを含む、データ入力デバイス918、コンピュータ922、またはコンピュータ926を使用して、ユーザは、最適化パラメータ40に関連する選択ボックス42内をクリックすることによって、最適化パラメータのうちの1つまたは複数を選択する。選択された時に、チェックが、選択された最適化パラメータの選択ボックス42内に現れる。選択ボックス42内をもう一度クリックすると、その最適パラメータが選択解除される。
メモリ916には、最適化問題に関連する制約パラメータも保管される。制約パラメータとは、1つまたは複数の制約を満足しなければならないまたは満足すべき最適化問題のパラメータである。図12に、本発明のこの実施形態による沸騰水型原子炉心設計の最適化問題に関連する最適化制約をリストする最適化制約ページのスクリーンショットを示す。この図からわかるように、各最適化制約50は、それに関連する設計値52を有する。最適化制約は、最大値を与えられる場合には、指定された設計値未満であることができ、あるいは、その代わりに、最小値が与えられる場合には、指定された設計値を超えることができる。ユーザは、目的関数を構成する際の考慮事項に関する最適化パラメータを選択する能力を有する。それぞれがディスプレイおよびコンピュータマウスを含む、データ入力デバイス918、コンピュータ922、またはコンピュータ926を使用して、ユーザは、最適化制約50に関連する選択ボックス54内をクリックすることによって、最適化制約を選択する。選択された時に、チェックが、選択された最適化制約50の選択ボックス54内に現れる。選択ボックス54内をもう一度クリックすると、その最適化制約が選択解除される。
各最適化パラメータは、それに関連する、メモリ916に保管された所定のクレジット項およびクレジット重みを有する。同様に、各最適化制約は、それに関連する、メモリ916に保管された所定のペナルティ項およびペナルティ重みを有する。図12に示された実施形態では、ペナルティ項は、設計値を組み込み、ユーザは、望み通りにこの値を変更(すなわち構成)することができる。さらに、図12の実施形態は、ユーザが最適化制約50ごとに重要性56をセットすることを可能にする。最適化制約の重要性フィールド58では、ユーザは、微小、低、公称、高、および極端というプルダウンオプションを有する。各オプションは、経験的な所定のペナルティ重みに相関し、重要性が大きいほど、所定のペナルティ重みが大きくなるようになっている。この形で、ユーザは、所定のペナルティ重みの組の中から選択する。
上の選択が完了したならば、プロセッサ914は、上で述べた包括的定義と、選択プロセス中に行われた選択とに従って、目的関数を構成する。結果として構成された目的関数は、選択された最適化パラメータに関連するクレジット成分の合計と、選択された最適化制約に関連するペナルティ成分の合計とを加えたものと等しい。
さらに、この実施形態は、ユーザがクレジット重みおよびペナルティ重みの処理の方法を選択することを提供する。たとえば、ユーザは、ペナルティ重みに関する、静的、デスペナルティ、動的、および適応という可能な方法を供給され、クレジット重みに関する、静的、動的、および適応という可能な方法を供給され、ペナルティ重みとクレジット重みの両方に関する相対適応という方法を供給される。周知の静的方法は、重みをその最初にセットされた値に維持する。周知のデス方法は、各ペナルティ重みに無限大をセットする。周知の動的方法は、重み変更の量および/または頻度を決定する数式に基づいて、最適化探索での目的関数の使用の過程中に初期重み値を調整する。周知の適応方法も、最適化探索の過程中に適用される。この方法では、ペナルティ重み値は、設計値に違反する制約パラメータごとに周期的に調整される。相対適応方法は、本願の発明人による米国仮出願第10/246,718号、名称「METHOD AND APPARATUS FOR ADAPTIVELY DETERMINING WEIGHT FACTORS WITHIN THE CONTEXT OF AN OBJECTIVE FUNCTION」に開示されている。
目的関数を使用する最適化
図13に、本発明の目的関数の多数の使用のうちの1つを示す流れ図を示す。具体的には、図13には、本発明の目的関数を使用する最適化プロセスの流れ図が示されている。説明だけのために、図13の最適化プロセスを、図9に示されたアーキテクチャによって実施されるものとして説明する。この図に示されているように、段階S110で、上の前のセクションで述べたように目的関数を構成し、その後、最適化プロセスを開始する。段階S112で、プロセッサ914が、使用される最適化アルゴリズムに基づいて、最適化問題の入力パラメータの値(すなわち、システム入力)の1つまたは複数の組を、メモリ916から取り出すか生成する。たとえば、沸騰水型原子炉心設計の最適化問題について、入力パラメータの一部は、原子炉内の新しい燃料バンドルおよび暴露された燃料バンドルの配置、棒グループの選択(シーケンス)およびサイクル中の時間の関数としてのグループ内の制御棒位置の配置、サイクル中の時間の関数としての炉心流量、原子炉冷却液入口圧力などになるはずである。値の各入力パラメータセットは、最適化問題の候補解である。プロセッサ914は、シミュレートされた運転を実行し、値の入力パラメータセットごとにシミュレーション結果を生成する。たとえば、沸騰水型原子炉心設計について、沸騰水型原子炉運転の周知のシミュレーションプログラムが、入力パラメータセットを使用して実行される。シミュレーション結果には、最適化パラメータおよび最適化制約の値(すなわち、システム出力)が含まれる。これらの値、またはこれらの値のサブセットが、目的関数の数式内の変数の値である。
次に、段階S114で、プロセッサ914は、目的関数およびシステム出力を使用して、候補解ごとの目的関数値を生成する。段階S116で、プロセッサ914は、段階S114で生成された目的関数値を使用して、最適化プロセスが解に収束したかどうかを査定する。収束に達していない場合には、段階S118で、入力パラメータセットを変更し、最適化反復カウントを増やし、処理は段階S112に戻る。段階S112、S116、およびS118の生成動作、収束査定動作、および変更動作は、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッドアニーリング、およびタブー検索などの任意の周知の最適化アルゴリズムに従って実行される。最適化問題が、沸騰水型原子炉心設計である場合に、最適化アルゴリズムは、たとえば上で図1A〜8に関して詳細に説明したアルゴリズムとすることができる。
ツールとしての目的関数
かなり成功した最適化ツールの出現の前には、最適化問題に対する成功の見込みのある解の生成は、特定の分野での長年の実践および経験を通じて最適化問題に対する可能な解を生成する技量の組を発展させた、非常に経験のある個人の責任であった。現在であっても、そのような実践が続けられている。しかし、これらの個人は、それでも、彼らの解を査定する信頼できる方法を必要とする。本発明の目的関数は、そのようなツールを提供する。
説明だけのためにもう一度図9を参照すると、本発明による目的関数の適用を望む個人は、入力918、コンピュータ926、またはコンピュータ922を介してサーバ910にアクセスする。このユーザは、次に、上で説明したように目的関数を構成し、たとえば、このユーザは、以前に保管された構成された目的関数にアクセスするか、データ入力を介して目的関数を構成する。次に、このユーザは、目的関数の入力変数の値を供給し、目的関数結果を受け取る。このユーザは、異なる候補解についてこの動作を実行して、その解に関する性能指数を得ることができる。この形で、このユーザは、最適化問題に対する解を判定する際のツールとして目的関数を扱う。
本発明は、使用される最適化探索と独立に、制約最適化問題(COP)、制約充足問題(CSP)、およびフリーオプティマイゼーションプロブレム(FOP)の目的関数を定義する系統的で一般的な方法を提供する。本発明は、1)任意の個数の制約および最適性条件と、2)クレジット項およびペナルティ項の異なる数学的形と、3)候補解データおよび制約の任意の個数の次元とに対処する、ペナルティ関数手法の文脈内の機構を提供する。本発明は、ソフトウェアデータモジュールを介して最適化探索内の目的関数定義をエンコードする処方を提供する。本発明の柔軟性のゆえに、最適性条件と、制約項定義と、重み係数との変更は、単に、このソフトウェアデータモジュールに渡されるデータを変更することによって、呼出し側プログラム内でたやすく対処される。
ロバストネス計算
ロバストネス計算は、原子力発電プラント内の運転制御変数に関して実行される。重要な例の変数は、各暴露段階での制御ブレードノッチ位置、各暴露段階での炉心流量、およびサイクル全体を通じた制御ブレードシーケンス交換時間である。ロバストネス計算では、暴露された燃料および新しい燃料の配置が固定されると仮定する。
制御ブレードは、通常、グループ化され、「A1」、「A2」、「B1」、および「B2」などの呼称を割り当てられる。指定されたグループ内の制御ブレードだけを、指定された時間期間中の原子炉の制御に使用することができる。たとえば、炉心をそれぞれ2ヵ月の8つの暴露期間(すなわち、時間期間)に分割する場合に、通常の運転戦略は、次のグループ「B1」、「A1」、「B2」、「A2」、「B1」、「A1」、「B2」、「A2」内のブレードの順序付き使用とすることができる。「B1」→「A1」など、いずれか2つのグループの間の時間境界を、シーケンス交換と呼び、この「B1」→「A1」は、最初の2ヵ月期間の完了時に発生する。1グループ内では、個々の制御ブレードが、挿入のある分数に対応するノッチ位置に配置される。ノッチ48は、完全な引抜きに対応し、ノッチ0は、完全な挿入に対応する。対称ブレードを、一組にまとめることができ、したがって、対称ブレードは、一斉に移動する。通常、対称性は、八分円、四分円(鏡像および回転)、および1/2炉心回転である。
制御ブレードは、燃料が消耗した時に原子炉心内の局所的出力を制御するため、ならびに炉心の反応度を制御するために移動される。ブレードとあいまって、炉心流量も、制御機構として使用することができる。炉心流量が多いほど、炉心反応度が高くなり、逆も同様である。同様に、制御ブレードが深く挿入されるほど、炉心反応度が低くなり、逆も同様である。炉心反応度および局所的出力に対する所与のブレードの影響は、1)ブレードの位置(低出力領域の炉心周囲に近いブレードは、中心付近などのより高出力の領域のブレードより小さい影響を有する)と、2)ブレードを囲む燃料バンドルの特性(すなわち、新しい燃料または非常に暴露された燃料)と、3)対称パートナの個数(8つのブレードを一組にまとめることは、4つのブレードを一組にまとめることより大きい影響を有する)と、4)炉心暴露と、5)現在の炉心状態出力分布(軸方向ボトムピークパワーシェイプ(axially bottom−peak power shape)に関するブレードの挿入は、トップピークドパワーシェイプ(top−peaked power shape)に関するブレードの挿入より大きい影響を有する)とを含む複数の要因に依存する。
基準設計は、原子炉の完全な運転記述によって定義され、制御ブレードグループ、シーケンス交換時間、ブレードグループ内の各ブレードのノッチ位置(およびその対称パートナ)、および炉心流量を含み、これらのすべてが、サイクル暴露の関数として含まれる。
ユーザは、たとえば入力918を介して、GUI 912にロバストネス計算の入力を入力する。入力には、運転変数すなわち、棒パターン、炉心流量、および/またはシーケンスインターバルと、ロバストネス計算を実行する際に変数のそれぞれに適用される摂動のサイズとが含まれる。摂動の例が、制御ブレード位置の±2ノッチ、炉心流量の±2%、およびシーケンス交換時間の±50MWD/sTサイクル暴露である。その代わりに、これらの摂動を、その最大範囲の分数として入力することができる(「応答曲面幅」)。制御ブレードについて、0ノッチから48ノッチまでの範囲に関する0.1の入力分数は、±4ノッチ(切り捨て)の摂動サイズを与える。流量について、90%流量から100%流量までの範囲に関する0.1の入力分数は、±1%流量の摂動サイズを与える。シーケンス交換について、0.1の入力分数は、摂動サイズに関する±100MWD/sTをもたらす可能性がある(基準設計サイクル暴露を中心とする1000MWD/sTの範囲に対応する)。たとえば、この入力を、図11に示された最適化構成に追加し、その一部として供給することができる。
制御変数タイプおよびそのめいめいの摂動サイズがセットされたならば、ロバストネス計算が実行される。運転変数ごとに、基準設計値に関して一方は正に、一方は負に運転変数が摂動されたシミュレーション入力ファイルを利用して、2つのシミュレーションが実行される。たとえば、ノッチ位置16の制御ブレードは、第1シミュレーションではノッチ18に、第2シミュレーションではノッチ14に摂動されるはずである。その範囲の端にある変数については、2つの摂動は、範囲の端の値を超えるかそれ未満のいずれかで行われる。たとえば、ノッチ位置0の制御ブレードは、それぞれノッチ2およびノッチ4に摂動されるはずである。諒解されるように、これらのシミュレーションは、上で述べた予測原子炉心シミュレーションによって実行することができる。上で詳細に述べたように生成された応答曲面が、これらのシミュレーションまたは予測シミュレーションを既に含むこともできることを、さらに理解されたい。
各シミュレーションは、摂動されない基準設計値と比較できる、シミュレーション出力パラメータの完全な組を作る。次に、反応度および熱出力が、摂動によって影響を受けると、その変化について査定される。運転変数のそれぞれの摂動の完全な組は、応答曲面の部分または当の応答曲面の一部になる。
所与の基準設計のロバストネスの評価は、炉心出力変数に対する高い度合の影響を有する摂動変数をユーザが簡単に識別することを可能にする一連の出力編集およびグラフィックス視覚化を作る。図14Aに、GUI 912によって表示される出力編集の例を示す。図14Aには、ロバストネス計算の結果からの抜粋が表示されている。「BLADE POSITION INDEPENDENT VARIABLES(ブレード位置独立変数)」見出しは、変数番号「Ivar」(ソフトウェア内の順次番号付け方式)、「Blade Group Name」(個々のブレードが属するブレードグループを定義するユーザ指定の文字列)、暴露段階「Exp.」、制御ブレードのx−y座標位置「Location」、特定のブレードに関する一組にまとめられたパートナの個数を識別する対称性指定「Symm」(この例で、「P」は、ブレードが対の一部であることを意味する)、および複数のノッチに関する基準位置「Ref Pos」による制御ブレード独立変数のリストを提供する。
たとえば、図14Aに示されているように、ブレード位置独立変数に、Ivar値25、26、および27が含まれ、これらのIvar値によって表される各ブレードは、「A2_G10_INT」という同一のブレードグループ名および15、11という同一の位置によって明白であるように、同一のブレードである。独立変数または制御変数の間の差は、9、10、および11というめいめいの暴露に見られ、ブレードは、それぞれ0、8、および10という基準位置によって示される異なる位置にある。
図14Aでは、「FLOW INDEPENDENT VARIABLES(流量独立変数)」見出しが、変数番号「Ivar」と、暴露値「Exposure」と、流量範囲の最小値「Min」および最大値「Max」と、流量基準値「Ref.」によって流量独立変数または流量制御変数のリストを提供する。たとえば、図14Aには、28のIvar、0の暴露、90.20の最小流量範囲、92.66の最大流量範囲、および90.20の基準流量が示されている。シーケンス交換独立変数に関する類似する出力が、たやすく得られる。
図14Aでは、「ROBUSTNESS CALCULATIONAL SUMMARY(ロバストネス計算要約)」が、上で説明した制御変数(たとえば、制御ブレード変数および流量変数)のそれぞれの応答曲面摂動結果を提供する。「Var」は、前に説明した「Ivar」呼称と一貫する変数番号である。「Reference」は、制御ブレード独立変数の「Ref Pos」または流量独立変数の「Ref.」に対応する。独立変数の摂動値「Perturbed」は、制御ブレードまたは流量をその基準値の前後で変更することによって達成される独立変数の新しい値を示す。図示のように、独立変数または制御変数ごとに、このリスト内に、応答曲面予測因子モデルと一貫する、2つの摂動されたケースがある。残りの列には、対応する炉心座標および暴露段階と共に、重要な熱限界であるMAPRAT、MFLPD、およびMFLCPRのそれぞれの炉心制限値などの制約情報と、対応する暴露段階と共に炉心反応度の最大変化「Dk」が表示される。列の中では、標準的な実践と同様に、「i」はx座標に対応し、「j」はy座標に対応し、「k」はz座標に対応する。呼称「exp」は、サイクル中の1時点に対応する暴露段階値である。「Maprat」および「Mflpd」は、暴露の関数として3次元情報から計算され、「i」、「j」、「k」、および「exp」を示し、「Mflcpr」は、暴露の関数として2次元情報から計算され、「i」、「j」、および「exp」を示す。これらの計算は、当技術分野で周知であり、簡潔にするために詳細には説明しない。
計算要約の各項目は、所与の独立変数がその基準値の前後で摂動されるシミュレータケースから導出される。したがって、詳細な3次元データ、2次元データ、およびスカラデータが、関連する炉心熱出力および炉心反応度出力のそれぞれについて暴露の関数として使用可能である。MAPRATおよびMFLPDなどの3次元データについて、標準グラフィカルビューは、さまざまな軸高度ならびにさまざまな暴露段階を介して「スクロール」する能力を伴う、所与の暴露段階での所与の炉心平面のビューである。基準ケースに関する摂動されたケースの炉心出力に対する変更は、炉心の最大の変化ならびに摂動から生じる炉心に関する最大の制限する値を強調するためのカラーコーディングを用いて2次元地図に表示される。類似するビューが、MFLCPRなどの2次元データについて存在するが、軸高度は除去され、暴露段階を介して「スクロール」する能力はある。HOTXなどのスカラデータは、摂動された値対基準値の変化を表示する、スカラ対暴露として表示することができる。
計算要約からの合成結果も、GUI 912上のグラフィカル要約に表示することができる。たとえば、「Maprat」、「Mflpd」、「Mflcpr」、および「Dk」の値の変化の頻度分布を、平均値および中央値の信頼区間などの統計インジケータと共に表示することができる。図14Bに、独立変数の組に関するMFLCPRの変化の例の出力を示す。
出力編集またはグラフィカル視覚化として示されるデータについて、統計情報も提示することができる。たとえば、図14Bでは、0.04と等しい95%信頼水準(すなわち、95%のデータが有界である)が示されている。95%信頼水準の値が大きいほど、所与の設計がよりロバストでないと結論されるはずである。
提示された情報を調査することから、設計者は、大きい影響の変数の影響を減らすことに焦点を合わせて、設計に対する変更を行うことができる。そのような変更に、燃料シャフル、新しいバンドル設計変更、および/または運転戦略変更(制御ブレードおよび流量)を含めることができる。
諒解されるように、流量およびブレード位置は、2つの例の独立変数であり、原子炉の運転戦略の設計には、他の独立変数、他のタイプの出力編集データ、および他の統計分析を含めることができる。さらに、原子炉は、例の制約問題を提供するためにのみ使用された。本発明の概念がすべての制約問題に適用可能であることを理解されたい。したがって、独立変数、出力データまたは出力編集、および実行される統計分析は、本発明の方法が適用される制約問題の性質に依存する。たとえば、給水温度は、ESBWR設計の潜在的な制御変数である。既知の通り、給水の流れは、BWR内の原子炉を出る蒸気の流れを置換し(タービンを回すために)、炉心を介して再循環される「分離された水」と混合される。既知の通り、セパレータは、基本的に、湿り蒸気を回し、液体を外に送り、乾き蒸気を前に送る静翼を内側に有する、燃料の上のパイプである。液体は、容器の外側を介して下に戻って滴り、下向きにポンピングされ、その結果、燃料の底を介して再入できるようになる。給水の流れまたはメークアップフロー(make−up flow)は、より低い温度で入り、その結果、燃料の底に入る水は、飽和点未満である(すなわち、蒸気作成から少し離れている)。給水温度を変更することによって、水がどれほど早くまたは遅く沸騰するかを変更し、原子炉内の核フィードバックおよびパワーシェイプに影響することができる(ボイディング(voiding)は、負帰還であり、これは、制御ブレードによく似て反応度を減らす傾向があることを意味し、ボイドがないことは、正帰還である)。
目的関数でのロバストネス計算の使用
応答曲面は、各制御変数xjの変更に関する各出力パラメータyiの変化に関する伝達関数を作る(すなわち、所与の制御変数の2つの摂動されたシミュレーションケースが、この解を与える)。これは、次式として表すことができる。
ここで、係数(すなわち、導関数)は、xoによって表される基準設計条件で評価される。
式(2)を調べると、右辺の第1項は、制御変数摂動のサイズにおいて線形である。右辺の第2項は、非線形であり、制御変数摂動に関するΔyiの曲率を表す。運転制御の展望からは、式1によって記述される曲率(すなわち、2次導関数)が大きい構成を避けることが望ましい。
例の実施形態は、式(1)の目的関数の文脈内で出力変数摂動を組み込むことによって、ロバストネスの最適化に対処する。したがって、目的関数を、上で説明したように変更するか構成して、ロバストネス項を組み込むことができる。
応答曲面2次導関数すなわち、式(2)に示された
は、式(1)のクレジット項およびペナルティ項の文脈内で扱うことができる。この2次導関数は、正または負になる場合があるので、応答曲面2次導関数の絶対値である項Vi,jを定義する。この定義を用いると、クレジットおよびペナルティは、次式として与えられる。
上の式(4)では、所与の制御変数xjに関する所与の応答yiの2次導関数の最大値の違反は、目的関数のペナルティに寄与する。そのような違反のすべてが、iおよびjごとに合計される。特定の2次導関数が、最大値より小さい場合には、その2次導関数は、ペナルティ違反に寄与しない。
目的関数内のクレジットを受け取るために、2次導関数のすべての値が、許容される最大値未満でなければならない。この場合に、その制限する値までの最小のマージンを有する2次導関数が、クレジットに寄与する。
ペナルティ重み係数およびクレジット重み係数ならびに導関数の最大値などの目的関数に必要な入力は、1)ユーザが値を入力できるようにするGUI 912の使用、2)パラメータの調査から決定された保管された値のデータベースまたはメモリ916からの取出し、3)1)と2)の組合せなど、さまざまな形で入力することができる。
目的関数の使用
目的関数は、所与の設計のロバストネスを査定する単一の合成インジケータとして使用することができる。目的関数の正の値は、2次導関数の大きさにおける違反が設計について存在することを示す。目的関数の0の値は、すべての違反が満足されたことを示し、0未満の値は、マージンが存在することを示す。目的関数の値が小さいほど、設計はより堅牢である。
ロバストネスのペナルティ成分およびクレジット成分を、他の炉心設計のペナルティ成分およびクレジット成分と組み合わせて、全体的な目的関数を判定することができる。この目的関数は、設計者が設計に対する変更を行うのを助けるために、GUI 912の一部として使用することができる。そのような場合の設計者の目標は、目的関数の値を最小にすることである。目的関数を、ロバストネスに対する最大の影響を有する変数を示す、前に説明した編集と組み合わせることができる。
代替案では、目的関数を、上で図13に関して説明したものなどの形式的最適化探索アルゴリズム、最急降下アルゴリズム、または遺伝的アルゴリズム(数万個の解がそのロバストネスについてそれぞれ評価される)の一部として組み込むことができる。
本発明の技術的効果は、提案される解に関するロバストネス情報の生成を提供し、かつ/または解のロバストネスを考慮に入れた提案される解を展開する、コンピュータシステムである。
このように本発明を説明したので、本発明を多数の形で変更できることは明白である。たとえば、本発明を、沸騰水型原子炉設計に適用されるものとして説明したが、本発明は、加圧水型原子炉または他の制約問題に同等に適用可能である。そのような変形形態を、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とは考えてはならず、当業者に明白なそのような修正形態すべては、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。