JP2007205842A - 川崎病の判定方法及びそのためのキット - Google Patents

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Abstract

【課題】患者から採取された血液等の体液を検体とし、簡便に川崎病の判定を行なうことができる川崎病の判定方法及びそのためのキットを提供すること。
【解決手段】川崎病の判定方法は、被検者から分離された体液中の、1又は複数のスーパー抗原に対するIgMを測定することを含む。川崎病の判定キットは、1若しくは複数のスーパー抗原を固定化した固相又は1若しくは複数のスーパー抗原に対するIgMを固定化した固相と、標識抗ヒトIgM抗体若しくはその抗原結合性断片、又は標識抗スーパー抗原抗体若しくはその抗原結合性断片とを少なくとも含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、川崎病の判定方法及びそのためのキットに関する。
川崎病(Kawasaki diseases、KDと略すこともある)は、1967年川崎富作博士により報告された、乳幼児に好発する急性熱性発疹性疾患である。病理学的には全身の急性血管炎であり、一部に冠状動脈に動脈瘤を形成したり、まれには虚血性心疾患をひきおこすことがある。
血液検査による川崎病の診断方法としては、尿中のTNF(腫瘍壊死因子:tumor necrosis factor)インヒビター活性を測定する方法(特許文献1)や、血中のVEGF(血管内皮増殖因子:vascular endothelial growth factor)濃度を測定する方法(特許文献2)、その他、遺伝子の調査などが公知となっているが、病因が不明であるため、現在は病因物質を測定・検出することによる診断ではなく、臨床状態から川崎病の診断がされている。
川崎病診断の手引き(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版)では、1.5日以上続く発熱(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)、2.両側眼球結膜の充血、3.口唇、口腔所見:口唇の紅潮、イチゴ舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤、4.不定型発疹、5.四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫、手のひらや足の裏または指趾先端の紅斑、(回復期)指先からの模様落屑、6.急性期における非化膿性頸部のリンパ節腫脹といった主要症状のうち5つ以上の症状を伴うもの、または、4つの症状しか認められていなくても、経過中に断層心エコー法もしくは心血管造影法で冠動脈瘤が確認され、かつ他の疾患が否定されたものを川崎病と診断するとしている。
臨床症状がトキシックショックシンドローム(Toxic Shock Syndrome:TSS)などのスーパー抗原関連疾患に類似していることなどから、川崎病に黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が産生するスーパー抗原が関与している可能性も示唆されている(非特許文献1)。スーパー抗原とは、抗原提示細胞内におけるプロセッシング過程を経ることなく、抗原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラスII(以下MHCクラスIIと略す)に結合し、さらにこのMHCクラスIIとの複合体を形成することにより特定のT細胞レセプターのVβ領域を有するT細胞を刺激し、免疫系を異常に活性化させるタンパクである。スーパー抗原としては、黄色ブドウ球菌の外毒素であるSEA、SEB、SEC、SED、SEE、TSST-1やA群β溶血性連鎖球菌外毒素であるSPEA、SPEC、さらにウイルス蛋白質や植物蛋白質を含め、十数種類確認されている(非特許文献2)。
スーパー抗原の関与を証明するためには、スーパー抗原産生菌を患者から分離する、または患者からスーパー抗原を検出する必要があるが、時には菌の存在を証明することが困難であったり、検体を採取した時期にはスーパー抗原が産生されていなかったりする場合もある。
川崎病とスーパー抗原の関係を示唆する公知例としては、TSST-1を産生する黄色ブドウ球菌が川崎病患者から高率に分離されたという文献(非特許文献3)、急性期にT細胞のうちVβ2が増加すると報告している文献(非特許文献4)、川崎病患者の血中のT細胞受容体(T Cell Recepter:以下、TCRと略す) Vβ6.5またはVβ2.1陽性T細胞数の増加が健常乳幼児と比較して有意であることを示す文献(特許文献3)などがある。また、患者血液中のスーパー抗原の特異性に一致したT細胞Vβレパートリーの変化を観察することにより、スーパー抗原に感作した可能性を示す方法もある。
その他、抗スーパー抗原IgG抗体価を調査する方法により、TSST-1や(非特許文献5)、SPEA(非特許文献6)が川崎病に関与している可能性を報告している文献もある。さらに、抗スーパー抗原抗体と川崎病に関する公知文献としては、非特許文献9及び非特許文献11があるが、川崎病と抗スーパー抗原IgM抗体との関連は記載されていない。また、黄色ブドウ球菌が分離された川崎病患者と健常対照乳幼児を比較した結果、急性期血清中のSEAおよびSEBを産生する菌が分離された患者から、産生されたスーパー抗原に一致したIgMが認められたという報告もあるが(非特許文献10)、菌が分離された患者についてのみの結果であり、抗スーパー抗原IgMの測定により川崎病を判定することについては開示も示唆もない。
特開平3-139294 特開平11-6832 特開2000-157297 化学療法の領域 2000: Vol.16, No.8. p109 食品衛生 2005; 51; 4: 81-90 Lancet(ランセット) 1993; 342: 1385-8. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ) 1992; 89: 4066-70. The Journal of Infectious Diseases(ザ ジャーナル オブ インフェクショウス ディシージーズ) 2002; 185: 1677-80. The Pediatric Infectious Diseases Journal(ザ ペディアトリック インフェクショウス ディシージーズ ジャーナル) 2003; 22: 794-8. 感染症学雑誌2002; 76: 195-202. 免疫学の知識 オーム社,1998; 第1版第3刷: 22 The Journal of Infectious Diseases(ザ ジャーナル オブ インフェクショウス ディシージーズ) 1995; 172: 558-61. 第20回日本川崎病研究会抄録集 2000; 82 Pediatric Research(ペディアトリック リサーチ) 2003; 53: 403-10. 日本臨床衛生検査技師ライブラリーXV 臨床検査精度管理教本 日本臨床衛生検査技師会,2000; 2刷: 48 Microbiology and Immunology(マクロバイオロジー アンド イムノロジー) 2000; 44: 419-23.
上記の通り、スーパー抗原と川崎病の関連はこれまでにいくつか報告されている。そこで、本願発明者らは、患者の血清中の抗スーパー抗原IgG抗体を測定することにより川崎病の判定が可能ではないかと考え実験した。しかし、患者血清中の抗スーパー抗原IgG抗体量と川崎病の関連性は必ずしも明確ではなく、患者血清中の抗スーパー抗原IgG抗体を指標として川崎病の判定を行なうことは困難であると考えられた。
従って、本発明の目的は、患者から採取された血液等の体液を検体とし、簡便に川崎病の判定を行なうことができる川崎病の判定方法及びそのためのキットを提供することである。
本願発明者らは、患者の血清中の抗スーパー抗原IgG抗体を測定することにより川崎病の判定が困難である理由として、静注用ヒト免疫グロブリン製剤(「IVIG製剤」と呼ばれる)の投与が影響しているのではないかと考えた。すなわち、日本では川崎病のほとんどの症例で、発病早期にIVIG製剤の大量投与治療が行われている。IVIG製剤は献血によって集められた血液を分画してヒトIgG製剤としたものであるため、さまざまな抗体を大量に含んでいる可能性がある。献血可能な年齢に達するまで黄色ブドウ球菌や連鎖球菌に感染する機会が何度もあった成人の血液中には、それらの菌が産生する抗原に対するIgGが大量に含まれている可能性が高い。すると、IVIG製剤中には抗スーパー抗原IgGが大量に含まれており、測定された抗スーパー抗原IgG値に、IVIG製剤の投与が影響する可能性もある。実際、TSST-1に対するIgGが含まれていることが報告されている(非特許文献7)。そこで、後で具体的に記載するように、患者にIVIG製剤を投与する前後で患者血清中の抗スーパー抗原抗体量を測定したところ、IVIG製剤の投与によって、患者血清中の抗スーパー抗原IgG抗体量が変化することが実験的に確認された。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、患者血清中の抗スーパー抗原IgM抗体を測定することにより川崎病の判定が可能であるかもしれないことに想到した。抗原刺激に対してIgMはIgGよりも早期に産生されるものの、IgMの半減期は短く(IgGの半減期が約20日であるのに対してIgMは約10日)、産生量もIgGの約10%程度であるため早く消失する(非特許文献8)。このため、IVIG製剤中にIgMはほとんど含まれていないかもしれないと考えられた。そこで、患者にIVIG製剤を投与する前後で患者血清中の抗スーパー抗原抗体量を測定したところ、IVIG製剤の投与によって、患者血清中の抗スーパー抗原IgM抗体量は変化しないことが実験的に確認され、さらに、患者血清中の抗スーパー抗原IgM抗体量を測定することにより川崎病の判定が可能であることを実験的に確認して本発明に至った。
すなわち、本発明は、被検者から分離された体液中の、1又は複数のスーパー抗原に対するIgMを測定することを含む川崎病の判定方法を提供する。また、本発明は、1若しくは複数のスーパー抗原を固定化した固相又は1若しくは複数のスーパー抗原に対するIgMを固定化した固相と、標識抗ヒトIgM抗体若しくはその抗原結合性断片、又は標識抗スーパー抗原抗体若しくはその抗原結合性断片とを少なくとも含む、川崎病の判定キットを提供する。
本発明により、被検者から採取した血清等の体液検体を用いて、簡便に川崎病の判定を行なうことができる判定方法が初めて提供された。本発明の方法によれば、被検者から容易に採取可能な、血液検体等を用い、各病院等でも測定可能な免疫測定法により川崎病の診断が可能になる。川崎病では、診断基準を満たさないにもかかわらず、後に冠状動脈異常が出現する非典型的川崎病も存在する。これは診断の該当項目が少ないために見逃された川崎病であり、診断による発見が困難である。川崎病では発症初期に適切な治療をおこなわない場合、冠状動脈瘤などが出現し生命にかかわる事態も発生する。そのため、新規の川崎病判定方法を提供したことは、非常に重要な役目を果たす。
上記の通り、本発明の方法では、被検者から分離された体液中の、1又は複数のスーパー抗原に対するIgMを測定する。
体液としては、特に限定されないが、血液が好ましい。血液には、全血や血清、血漿等の血液成分が包含される。本発明の判定方法を実施する免疫測定では、血清又は血漿を用いることが容易で好ましい。体液検体は、検体中の夾雑物を取り除くために、できるだけ希釈した方が良いが、希釈しすぎると測定感度以下となる場合もある。本発明においては、夾雑物の影響を取り除き、かつ感度良く測定するためには、2倍以上の希釈をおこなうことが好ましく、特に、希釈倍率を10〜1000倍とすることが好ましく、20〜500倍であるとさらに好ましい。
本発明の判定方法において測定されるIgM抗体は、1又は複数のスーパー抗原に対するIgM抗体である。ここで、「スーパー抗原」は、黄色ブドウ球菌またはA群β溶血性連鎖球菌により産生される物質であれば限定はされないが、好ましくは、抗原呈示細胞によるプロセッシングを受けずにMHCクラスII分子とTCR Vβの外側に結合することで免疫学的な特異性を超えてT細胞を過剰に活性化する、一般にスーパー抗原として分類されている物質である。好ましいスーパー抗原としては、黄色ブドウ球菌の外毒素であるSEA(staphylococcal enterotoxin A)、SEB(staphylococcal enterotoxin B)、SEC(staphylococcal enterotoxin C)、SED(staphylococcal enterotoxin D)、SEE(staphylococcal enterotoxin E)、SEG (staphylococcal enterotoxin G)、SEH (staphylococcal enterotoxin H)、SEI (staphylococcal enterotoxin I)、SEJ (staphylococcal enterotoxin J)、SEK (staphylococcal enterotoxin K)、SEL (staphylococcal enterotoxin L)、SEM (staphylococcal enterotoxin M)、SEN (staphylococcal enterotoxin N)、SEO (staphylococcal enterotoxin O)、SEP (staphylococcal enterotoxin P)、SEQ (staphylococcal enterotoxin Q)、SElR (staphylococcal enterotoxin lR)、SEU (staphylococcal enterotoxin U)、TSST-1(toxic shock syndrome toxin-1)やA群β溶血性連鎖球菌外毒素であるSPEA(streptococcal pyrogenic exotoxin A)、SPEC(streptococcal pyrogenic exotoxin C)、SEG (staphylococcal enterotoxin G)、等を挙げることができる。これらのうち、SEA、SEB、SEC、TSST-1及びSPEAが特に好ましい。これらのスーパー抗原自体は周知であり、市販もされている。
抗スーパー抗原IgM抗体は、1種類のスーパー抗原に対するIgM抗体のみを測定してもよいが、下記実施例に具体的に記載されるように、複数種類のスーパー抗原に対する複数種類のIgMを測定することにより、川崎病の検出率が高まるので好ましい。特に、SEA、SEB、SEC、TSST-1及びSPEAの5種類のスーパー抗原にそれぞれ対応する5種類のスーパー抗原を全て測定することにより、川崎病の検出率が大きく高まるので好ましい。
本発明の方法において、「測定」という語は、検出、半定量、定量のいずれをも包含する意味で用いている。本発明の方法においては、抗スーパー抗原IgM濃度を測定することが好ましい。
本発明の判定方法は、1人の被検者からある時点において1回だけ分離された体液検体について行なうこともできるが、下記実施例に具体的に記載するように、川崎病患者の体液中の抗スーパー抗原IgM量は、発症からの時間の経過と共に増大するので、1人の被検者から経時的に採取された検体について、抗スーパー抗原IgM量を測定することが好ましい。測定した抗スーパー抗原IgM量の上昇を指標とすることにより、対照値と比較することなく川崎病の判定が可能になるので好ましい。検体の採取時間は、例えば、発症又は初診から2週間ないし完治までの期間であり、例えば1週間に1回程度の間隔で採取した検体について検査を行うことができる。下記実施例では、1週間ごとに4週間にわたって血清を採取して検査している。
各スーパー抗原に対するIgM量は、通常の免疫測定法により容易に測定することができる。免疫測定法は種々のものが知られているが、IgMをIgG等他のクラスの抗体と識別して測定する必要があるので、ヒトIgM特異的な標識抗体(又はその抗原結合性断片)を用いるので、サンドイッチ法を好ましく採用することができる。特に標識として酵素を用いる、サンドイッチ酵素免疫学的測定法(Enzyme linked immunosorbent assay:以下、ELISA法と略す)が、高価な装置を必要とせず、安価で安全な方法であるので好ましく採用することができる。
以下、ELISA法についてさらに説明する。ELISAによる抗スーパー抗原IgM抗体価の測定としては、例えば次に挙げる方法がある。測定対象としている抗スーパー抗原IgM抗体と抗原抗体反応により特異的に結合する物質Aおよび物質Bを用意し、どちらかを酵素で標識しておく。この場合、物質Bは物質Aとは異なる物質であり、酵素で標識されている必要がある。また、その酵素と反応して発色する基質と、発色を停止する酸などの溶液を用意する。固体材料(固相)の表面などに物質Aを固定化し、そこへ血清または血漿を添加してインキュベーションすることで、物質Aと測定したい項目の抗スーパー抗原IgM抗体を結合させる(一次反応)。一次反応後結合しなかった成分を洗い流した後で、物質Bを添加してインキュベーションし、一次反応により生じた抗原抗体複合体と物質Bを結合させる(二次反応)。二次反応後、結合しなかった成分を洗い流した後で基質を添加する(発色反応)。発色反応後、酸などの溶液を添加し、溶液の吸光度を測定することで、抗スーパー抗原IgM抗体の検出をおこなう。このとき、血清または血漿サンプルと同時に既知濃度の抗スーパー抗原IgM抗体溶液を測定することで、血清または血漿サンプル中の抗スーパー抗原IgM抗体濃度を求めることもできるし、既知濃度の抗スーパー抗原IgM抗体溶液を同時に測定しない場合でも、発色時または発色停止時の吸光度を抗体価としても良い。ただし、既知濃度の抗スーパー抗原IgM抗体溶液を同時に測定しない場合は、試薬濃度や反応時間などの測定条件を常に一定に保つ必要がある。
抗スーパー抗原IgM抗体の測定に用いるサンプルとしては、抗原抗体反応をスムーズにするためにも流動性のある溶液であることが好ましいが、特に液体でなければならないわけではなく、例えば、サンプルが固体である場合には適当な溶媒によって溶解もしくは溶媒中に分散させればよいが、川崎病の判定のためにIgMを測定する意味のある溶液としては体液、特に血清または血漿が選ばれる。測定に必要なサンプル量としては、サンプルが抗スーパー抗原を認識する物質が固定化されている部分に接することのできる程度の量であれば特に制限はない。
抗スーパー抗原IgM抗体を検出することが目的であることから、物質Aとしては、スーパー抗原または抗ヒトIgM抗体から選ぶことができるが、発色させるために酵素またはビオチンで標識することを考えると、物質Aをスーパー抗原とし、物質Bを抗ヒトIgM抗体とすることが好ましい。測定したい項目が複数ある場合は。複数のスーパー抗原をプラスチック表面に固相化する方法もある。なお、スーパー抗原自体は周知であり、市販もされており、容易に入手可能である。
物質Aまたは物質Bを固体材料(固相)の表面に固定化する場合、共有結合、金属結合、イオン結合、疎水結合、水素結合、親水性結合などによる周知の方法が用いられる。
固体材料の表面に物質Aまたは物質Bを固定化した後に非特異吸着を阻害する処理を施すことで、物質Aまたは物質Bが固定化されなかった部分に抗スーパー抗原IgM抗体が吸着することを防ぎ、効率よく抗スーパー抗原IgM抗体を検出することができる。非特異吸着を阻害する処理方法としては物質Aまたは物質Bが結合しなかった隙間部分を他の物質で覆う(ブロッキング)ことができればとくに限定しないが、固定化した物質の立体構造を維持することが期待される、カゼインやウシアルブミンを含む溶液を用いることが推奨される。
物質Aまたは物質Bを固定化させる固体材料(固相)の材質は特に限定されないが、固定化する物質がタンパク質であることを考慮すると、ポリスチレンやポリメチルメタクリレート等の吸着性の高い高分子物質を主材料とした材料であると良く、物質Aまたは物質Bに固体材料との親和性を持たせるために表面が改質されているとさらに好ましい。形状としても特に限定はされないが、溶液を反応させてその吸光度を測定する必要性から、くぼみを有した形状が好ましい。例えば、マイクロタイタープレートのウェル等を利用することができる。あるいは、固相としては、上記した高分子物質を主体とした材料から成るビーズを用いることもできる。
本発明に用いる抗スーパー抗原IgM抗体に対する抗体は、ヒト抗スーパー抗原IgMを認識できれば特に限定されず、ヒトIgMを哺乳動物に免役して得られる抗血清から精製される抗体、および抗スーパー抗原IgM抗体で免役された哺乳動物からとりだした抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合させることで得られたハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体のいずれも使用できる。
ヒトIgMに対する抗体を酵素で標識する場合には、酵素と抗体、あるいは抗体フラグメントをつなぎ合わせたもの(抗体に酵素を標識化したもの)であって、免疫組織化学染色、免疫測定などの目的で使われているものを用いることができる。酵素標識抗体に標識されている酵素には特に限定はないが、基質の検出物への転換能力が高いことと酵素の失活が少ないことから、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Horseradish Peroxidase;以下、HRPと略す)、アルカリフォスファターゼ(Alkaline Phosphatase;以下、ALPと略す)、β−D−ガラクトシダーゼ(β-D-galactosidase;以下、β-Galと略す)のいずれかを選択することが好ましい。酵素の標識の方法としては、共有結合による標識法と非共有結合による標識法の二つに大別される。共有結合による標識法としては、抗体や抗体フラグメントのアミノ基と酵素のアミノ基を利用してつなぎ合わせる方法や、酵素と抗体を遺伝子レベルで結合しておき酵素標識抗体を調節する方法、また、抗体や抗体フラグメントを還元して生成するヒンジ部のチオール基を選択的に用いて酵素とつなぎ合わせる方法などがある。非共有結合による方法としては、酵素と抗酵素抗体を反応させておき、これと目的の抗体との間を抗体に対する抗体で架橋するもの、また、抗体をビオチン標識しておき、これと酵素標識アビジンを反応させても酵素標識抗体が調整できる。
本発明において、酵素を発色させる基質としては特に限定されないが、例えば酵素標識抗体としてHRP標識を選択した場合は、基質としては3−アミノ−9−エチルカルバゾール、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトール、o−フェニレンジアミン、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルフォン酸)、3,3−ジアミノベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、o−ジアニシジン、3,3−ジメトキシベンジジンのいずれかが含まれる溶液が良い。また、酵素標識抗体としてALP標識を選択した場合は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェート、ニトロブルーテトラゾリウム、p−ニトロフェニルリン酸のいずれかが含まれる溶液を基質として用いることができる。さらに、酵素標識抗体としてβ−Gal標識を選択した場合は、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシドまたは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドール−β−D−ガラクトピラノシドのいずれかを含んだ溶液を用いることができる。
吸光度を求める際には発色反応の後に酸などを添加して発色をストップさせてその吸光度を測定しても良いし、酸などを添加せずに吸光度を測定しても良い。
本発明におけるインキュベーションとは、抗原抗体反応および発色反応の際に一定の温度にて放置することである。インキュベーションでは、インキュベーションの時間が長いほど抗スーパー抗原IgM抗体とそれを認識する物質とが反応する割合が増え、結果として発色の度合いも高まるが、ある程度の時間が経つと抗原抗体反応が飽和する。また、高い温度で長時間インキュベーションをおこなうと、腐敗や血液中の成分の活性化または失活により正しい測定ができなくなる可能性がある。これらのことが懸念される場合は、測定に影響がでない範囲で防腐剤を添加するか、インキュベーション時に腐敗しない温度で管理することが望ましい。
また、本発明における洗浄とは、インキュベーション後に抗原抗体反応しなかった物質を洗い流すことであり、洗浄材料としては洗浄効果があって抗原抗体反応で結合した物質に影響を与えるものでなければ特に限定はない。本発明での一次反応、二次反応、洗浄、発色、発色停止の各工程での反応温度は特に限定されないが、反応溶液が凍結、蒸発せずかつ酵素が失活しないよう、2〜40℃の範囲であることが好ましい。
なお、ELISA法について説明したが、本発明の方法は、ELISA法に限定されるものではなく、サンドイッチ法に用いる標識としては、酵素の他にも蛍光標識、化学発光標識、金コロイド、放射標識等、他の標識を用いることもできる。また、サンドイッチ法の一形態である、測定操作が簡便なことで広く用いられているイムノクロマト法を用いることもできる。これらのいずれも常法である。
測定したIgM量に基づき、川崎病の判定を行なうことができる。判定は、測定したIgM量が、被検者と同世代の非川崎病患者と比較して、有意に高値であるか否かに基づいて行なうことができる。すなわち、川崎病患者と同世代の者をコントロール群(対照群)として設定し、コントロール群の抗スーパー抗原IgM抗体価を測定し、カットオフ値を設定することによって設定することができる。カットオフ値とは、病気を判定、診断することを目的として設定する値で、本発明におけるカットオフ値とは、川崎病の疑いがあるかどうか知るために設定された抗スーパー抗原IgM抗体価である。本発明におけるカットオフ値の設定方法については特に規定されないが、抗体価が正規分布している場合には平均値±2SD値とするのが良い。また、95%CI(信頼区間:confidence intervals)を採用することもできる。さらに、ROC(受信者動作特性:receiver-operating characteristic)曲線により目的に応じてカットオフ値を設定しても良い。
カットオフ値の設定方法としてはさまざまあるが、医学的に健康である群と疾患保有群が完全に分離しているような検査では、このカットオフ値を両者の中間にとれば良い。しかしながら、たいていの場合は医学的に健康である群と疾患保有群の示す数値には重なりがあるため、疾患を有する者とそうでない者を完全に分けるようなカットオフ値を設定することは容易ではなく、そのため、重なっている範囲のどこかにカットオフ値を設定する必要がある場合が多い。ある病気になると数値が高くなる検査の場合、カットオフ値を高く設定すると異常とされた被験者を病気と判定することができる一方、見逃しも多くなる。逆にカットオフ値を低く設定すると、見逃しは少なくなるが、健康であるのに病気と判定してしまう可能性が高くなる。そのため、カットオフ値をどの値に設定するかは、検査の目的、病気の重大性などを考えて設定することになる。
従来、医学的に健康である群の検査値の平均±2SDからの逸脱をもって異常(陽性)と判定したり、あるいは疾患群のうち95%の者が陽性となる値をもってカットオフ値とする方法が採られることが多く、本発明の方法においてもこれらの方法を採用することができる。もっとも、見逃し(偽陰性)や見過ぎ(偽陽性)による不利益の程度が疾患によって異なっているので、偽陰性に伴う不利益の多い疾患に対しては特異度を高めるように、疾患の性質に応じて最適なカットオフ値を決めることが好ましい。
例えば、糖尿病のスクリーニングでは、効率が最も良いところでカットオフ値が設定されている。学会基準での正常者のヘモグロビンA1cの基準範囲が5.8%までであるが、老人保健法のカットオフ値は5.6%に設定されており、正常範囲内にカットオフ値が存在する。糖尿病のコントロールがうまくいっていればヘモグロビンA1cは正常範囲内に納まることも多いので、最も良いカットオフ値がこのくらいになるのは妥当であると考えられる。
病気の発症確率が上がり始めるところでカットオフ値を設定する場合もある。発症リスクの変曲点がはっきりした疾患であれば、このようなアプローチが採用できる。たとえば 総コレステロール値は、高値であるほど虚血性心疾患の発症確率が高くなるが、虚血性心疾患の発症リスクが上昇し始める境目の数値としてカットオフ値が定められている。
また、病理学・生理学的に理論づけられた値をカットオフ値とする場合もある。例えば、血中に尿酸が溶ける最大量は7mg/dlであり、これを超えると痛風や尿酸結石が発生する。
上記のような根拠となる数値が理論付けできず統計的にカットオフ値を定める場合は、基準範囲をそのまま使用することができる。基準としては、患者本人が健康であるときのデータから、その人にとって許容できる変動範囲を求め、これを基準とすることができれば理想的であるが、実際は困難である。そのため通常、基準範囲は、医学的に健康である個体の測定値を集め(基準値)、そのうちの95%を含む中央部の数値を求める。正規分布であれば、基準個体の平均値±2標準偏差(2SD)をカットオフ値とする(非特許文献12)。この範囲は確率的に、健常者群の95.4%が正常、言い換えれば約5%の人が異常と判定される範囲である。正常値(範囲)を算出する統計的手法としてはその他に、確率紙法、Hoffmann法、臼井法、最尤変換法などの種々の方法が用いることができる。
臼井法とは、データの±2SDから±3SD以上の値を繰り返し切り捨てていく反復切断法のことである。生物学的な実験においては、思わぬ異常値が混入する場合があるが、そのデータを除去することになる。反復切断法とは、異常データを削除する方法の1つであり、指定した切断SD値によって繰り返し異常データを削除するものである。除去する場合、小さいSDで外れ値を除外すると、除外してはならないデータを誤って外れ値としてしまう危険性が高くなり、大きいSDで除外すると、極端値混入の危険性が高くなる。臼井法の場合、2.6SDが適当と言われている。なお、反復切断法は正規分布に対しておこなうべきものであるため、切断を実行する前には分布型を確認する必要がある。
臨床検査法の診断技術評価をおこなう方法の1つとしてROCがある。ROC分析とは、複数の検査法について感度と特異度を同時に検討することにより、各検査法の精度を比較検討するものであり、検査値のうちいくつかの値をカットオフ値として陽性・陰性を識別し、それぞれで感度(または真陽性率:true positive rate;TPR)を縦軸に、1−特異度(または偽陽性率:false positive rate;FPR)を横軸にプロットして得られたROC曲線に基づく分析である。本発明における真陽性率は、川崎病患者を川崎病として判定することができる割合であり、また偽陽性率は、川崎病でない方を川崎病として誤って判定してしまう割合である。ROC分析ではさらに、疾患の性質に応じた最適なカットオフ値決定のための判断材料を提供することができる。
本発明において川崎病を判定するために設定するコントロール群としては、医学的に健康であるもので構成され、調査対照の川崎病群と年齢に有意差がないことが好ましい。医学的に健康であるとは、川崎病の診断基準を満たさず、かつ、スーパー抗原に感作していないことである。本発明においてスーパー抗原に感作していないとは、好ましくは2ヶ月以内に黄色ブドウ球菌またはA群β溶血性連鎖球菌に感染した疑いがないことで、より好ましくは半年以内の感染が確認されていないことをいう。本発明において、川崎病群と比較するためのコントロール群としては、川崎病が頻発する10歳以下で構成されていることが好ましい。
コントロール群との比較により川崎病を判定する場合は、コントロール群と川崎病群に有意差がある、すなわち、川崎病群の抗体がコントロール群と比較して有意に高値である場合に川崎病と判定する方法を採用することが好ましい。有意差を検定する方法としては、一般に用いられている方法であれば特に限定はない。有意差の検定方法としては例えば、分散が等しいかどうかを検定し、その後、t検定をおこなってp値を求める方法などがある。本発明において有意差があるとは、p値が0.05未満であることを指す。
本発明において抗スーパー抗原IgM抗体価のカットオフ値を決定する方法としては、測定値が正規分布している場合は母集団の5%の人数となる域でカットオフすると良い。測定値が正規分布をしていない場合は抗スーパー抗原IgM抗体価の自然対数をとり、自然対数が正規分布している場合は、自然対数値において母集団のうち5%の人数となる域でカットオフするという方法でも良い。測定値の自然対数が正規分布していない場合は、自然対数の平均値プラス3SDの値を超える人を除外する。除外後に再計算をおこない、自然対数の平均値プラス2SDの値をカットオフ値とするのが良い。または。5%の有意水準で母集団の真の値が取りうる範囲である95%CIを採用しても良い。
川崎病群およびコントロール群の抗スーパー抗原IgM抗体価を測定することによって作成されたROC曲線を利用してカットオフ値を設定する場合には、どの程度の感度または特異度で川崎病を検出したいのかなどという目的により、カットオフ値を設定することができる。つまり、ROC曲線上で希望の感度または特異度となる点の抗スーパー抗原IgM抗体価をカットオフ値とすれば良い。ROC曲線を作成する場合には1項目ずつでも良いが、複数の項目を組み合わせても良い。
抗スーパー抗原IgM抗体価のカットオフ値を利用して川崎病を判定する方法としては、測定された抗スーパー抗原IgM抗体価のある項目がカットオフ値を超えていることによる方法や、複数の項目がカットオフ値を超えていることによる方法、さらには、測定された複数の抗スーパー抗原IgM抗体価を組み合わせて新たにカットオフ値を設定し、その値を利用して判定する方法などが考えられる。
複数の抗スーパー抗原IgM抗体価を組み合わせて新たにカットオフ値を設定する方法としては、例えば下記方法がある。5種類の抗スーパー抗原IgM抗体価について評価したい場合、上述の方法で抗スーパー抗原抗体価のカットオフ値を得て(得られた5種類のカットオフ値をa,b,c,d,eとする)、測定した項目すべてについてそれを自身で除した値をすべて足した値(a÷a+b÷b+c÷c+d÷d+e÷e=5)を「新たなカットオフ値」として設定する。川崎病を判定する場合は、川崎病が疑われる患者の抗スーパー抗原IgM抗体価(得られた5種類の抗スーパー抗原IgM抗体価をa',b'、カットオフ値をa',b',c',d’,e'とする)をそれぞれのカットオフ値で除してすべてを足した値(a'÷a+b’÷b+c'÷c+d’÷d+e'÷e)を「新たなカットオフ値」である「5」と比較する。ここでは、抗スーパー抗原IgM抗体価の項目数を5項目で例示したが、項目数はこれ以上でもよいし、これ未満でも良い。
上記方法を用いて川崎病を判定するためには、川崎病群およびコントロール群の抗スーパー抗原IgM抗体価が川崎病以外の要素に左右されないことが必要である。例えば、コントロール群は、スーパー抗原に感作していない者で構成されている必要がある。コントロール群としては、好ましくは2ヶ月以内に黄色ブドウ球菌またはA群β溶血性連鎖球菌感染症を患っていない者であり、より好ましくは、半年以内の感染が確認されない者で構成されることが好ましい。
なお、先に述べたように、川崎病患者の体液中の抗スーパー抗原IgM量は、発症からの時間の経過と共に増大するので、1人の被検者から経時的に採取された検体について、抗スーパー抗原IgM量を測定することにより、コントロールとの比較やカットオフ値を用いることなく川崎病の判定を行なうことも可能である。例えば、川崎病患者が川崎病を発症した日より病日を1週間毎に区切って抗スーパー抗原IgM抗体価の挙動を観察して、川崎病群とコントロール群との比較をおこなうことによって、川崎病を判定することもできる。抗スーパー抗原IgM抗体価の挙動とは、抗スーパー抗原IgM抗体価が経日的に上昇あるいは経日的に減少しているか、または一時的に上昇あるいは一時的に減少しているなど、抗スーパー抗原IgM抗体価に増減が見られることである。
本発明はさらに、上記本発明の方法を行なうために用いられる川崎病の判定用キットをも提供する。キットは、1若しくは複数のスーパー抗原を固定化した固相又は1若しくは複数のスーパー抗原に対するIgMを固定化した固相と、標識抗ヒトIgM抗体若しくはその抗原結合性断片、又は標識抗スーパー抗原抗体若しくはその抗原結合性断片とを少なくとも含むものであり、上記の通り、1若しくは複数のスーパー抗原を固定化した固相と、標識抗ヒトIgM抗体若しくはその抗原結合性断片とを少なくとも含むものであることが好ましい。なお、「抗原結合性断片」は、Fab断片やF(ab')2断片のような、抗原との結合能を有する抗体断片を意味する。キットは、反応用の緩衝液や洗浄液等他の構成要素を含んでいてもよい。これらは通常の免疫測定用キットの場合と同様である。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
参考例1:IVIG製剤中の抗スーパー抗原IgG抗体価および抗スーパー抗原IgM抗体価の測定
IVIG製剤に含まれる抗スーパー抗原IgG抗体価を調査するため、IVIG製剤と牛血清アルブミンが0.25%、Tween20(商品名)が0.05%含まれるPBS(以下、溶液Aとよぶ)について、SEA、SEB、SEC、TSST-1、SPEAに対するIgG抗体価測定をおこなった。抗体価の測定は、非特許文献13に記載されたELISA法により行なった。ただし、IVIG製剤は測定時に溶液Aで1000倍に希釈して測定した。吸光度は、コロナマイクロプレートリーダーMTP−300(コロナ電機)で測定した。吸光度が3.0を超えたものは溶液Aによりさらに希釈して測定をおこない、得られた値を希釈倍率で乗算して抗体価とした。
すなわち、上記ELISA法は具体的に次のようにして行った。SEA、SEB、SEC、TSST-1及びSPEAの各スーパー抗原(米国フロリダ州Toxin Technology社から市販)を96穴マイクロプレートのウェル中で4℃、一夜インキュベートした。洗浄後、0.5%ウシ胎児血清を含むPBSで一夜ブロッキングした。洗浄後、0.25%ウシ胎児血清と0.05%Tween 20(商品名)を含むPBSで1000倍に稀釈した血清を各ウェルに加え、25℃で1時間インキュベートした。洗浄後、HRP標識抗ヒトIgG抗体(マウス由来、ザイメド社)を加え、25℃で30分間インキュベートした。洗浄後、3,3',5,5'-テトラメチルベンチジンを加え、25℃で30分間インキュベートした。各ウェル中の溶液の450nmにおける吸光度を測定した。
IVIG製剤であるヴェノグロブリン(三菱)4ロット、ベニロン(帝人)5ロット分の抗スーパー抗原IgG抗体価の平均値を表1に示す。IVIG製剤と溶液Aの測定値を比較した結果、5項目(SEA、SEB、SEC、TSST-1、SPEA)とも、有意差があった(すべてP<0.01)。つまり、IVIG製剤中には抗スーパー抗原IgGが含まれていることがわかった。また、抗スーパー抗原IgG抗体価のロット間差、メーカー差がほとんどないことがわかった。
また、IVIG製剤に含まれる抗スーパー抗原IgM抗体価を調査するため、IVIG製剤および溶液Aについて、SEA、SEB、SEC、TSST-1、SPEAに対するIgM抗体価測定をおこなった。IgM抗体価の測定は非特許文献12に準じたが、具体的には、IVIG製剤を溶液Aで100倍に希釈し、また、上記したIgGの免疫測定(非特許文献13)ではHRP標識抗ヒトIgG抗体(マウス由来、ザイメド社)であるところをHRP標識抗ヒトIgM抗体(ヤギ由来、カペル社)とし、これを2000倍に希釈して使用した。さらに、発色基質による反応時間を15分とした。吸光度は、コロナマイクロプレートリーダーMTP-300(コロナ電機)で測定した。IVIG製剤であるヴェノグロブリン(三菱)4ロット、ベニロン(帝人)5ロット分の抗スーパー抗原IgM抗体価の平均値を表1に示す。IVIG製剤と溶液Aの測定値を比較した結果、5項目(SEA、SEB、SEC、TSST-1、SPEA)とも、有意差がなかった(すべてP>0.1)。すなわち、IVIG製剤には、これらのスーパー抗原に対するIgMは有意に含まれていなかった。
Figure 2007205842
参考例2 IVIG投与を受けた川崎病患者血清中の総IgG値の測定
川崎病患者(男44名、女21名、合計65名、月齢23.0±19.5)のIVIG製剤投与前後日(投与の前日と投与の翌日)の血清中総IgG値を測定した。川崎病患者はすべて、ヴェノグロブリンまたはベニロンによるIVIG投与による治療を受けている。
表2に、患者を1 kgあたりのIVIG製剤投与量が1 gである群(A群)と、体重1 kgあたりのIVIG製剤投与量が2 gである群(B群)に分け、IVIG製剤投与前後日における総IgG値の増加量を示した。これにより、両群とも、IVIG製剤の投与治療を受けた直後には、血清中の総IgG値が上昇していることが判明した。また、総IgG値増加量についてA群とB群の比を表2に記載した。
比較例1 IVIG投与を受けた川崎病患者血清中の抗スーパー抗原IgG抗体価の測定
川崎病患者のIVIG製剤投与前後日の血清中抗スーパー抗原IgG抗体価を測定した。対象となったのは、参考例2と同じ患者である。抗スーパー抗原IgG抗体価は参考例1と同じ項目を参考例1と同じ方法で測定した。血清は溶液Aで1000倍に希釈して測定した。参考例2と同じく、患者をA群とB群とで分け、IVIG製剤投与前後日における抗スーパー抗原IgG抗体価の増加量を計算した(表2)。
これにより、両群とも、IVIG製剤の投与治療を受けた直後には、血清中のSEA、SEB、SEC、TSST-1、SPEAに対するIgG抗体価が上昇していることが判明した。また、抗スーパー抗原IgG抗体価増加量についてA群とB群の比を表2に記載した。
Figure 2007205842
参考例2と比較例1から、IVIG製剤の投与治療を受けた患者血清中の総IgG値増加量に関するA群とB群の比が、抗スーパー抗原IgG抗体価の増加量に関するA群とB群の比にほぼ等しいことが判明した。つまり、IVIG製剤投与を受けた患者血清中の抗スーパー抗原IgG抗体価は総IgG値に連動していることから、IVIG製剤投与を受けた川崎病患者血清中の抗スーパー抗原IgG抗体は、ほとんどがIVIG製剤によるものであることが証明された。また、参考例1、2及び比較例1より、IVIG投与によって川崎病患者血液中のスーパー抗原に対するIgGが上昇するため、IgGの測定では川崎病患者とスーパー抗原の関係を議論ができないことが示された。
実施例1 IVIG投与を受けた前後の川崎病患者血清中の総IgM値と抗スーパー抗原IgM抗体価の測定
参考例1に記載したELISA法により、IVIG製剤投与前後日の血清中抗スーパー抗原IgM抗体価を測定した。対象となったのは、参考例2と同じ患者である。
川崎病患者では、IVIG治療前後で総IgM値に変化がなかった(投与前:171.4±52.9mg/dl、体重1kgあたり2gの投与後48時間以内:171.3±48.4mg/dl)。また、IVIG製剤投与前後日の血清中抗スーパー抗原IgM抗体価も変化がなかった(表3)。
Figure 2007205842
参考例1及び実施例1より、総IgM値はIVIG治療による影響を受けていないものと考えられ、さらにIVIG製剤中にはスーパー抗原に対するIgMがほとんど含まれておらず、抗スーパー抗原IgM抗体価の測定にはIVIG製剤が影響しないことが判明した。
参考例3 非川崎病患者の抗スーパー抗原IgM抗体価の測定とカットオフ値の設定
コントロール群(男70名、女50名、合計120名、月齢24.1±21.2)から血清の提供を受け、血清中の抗スーパー抗原IgM抗体価を測定した。コントロール群は検診で病院を訪れた者や外科手術前の者で構成されており、免疫グロブリン製剤による治療を受けておらず、また、黄色ブドウ球菌およびA群β溶血性連鎖球菌感染症が関与した疾患にかかっておらず、さらに6ヶ月以内に黄色ブドウ球菌および連鎖球菌の感染がないことが確認されている。さらに、川崎病患者群と年齢的に有意差がないことが示されている。抗スーパー抗原IgM抗体価は参考例1と同様に測定した。
測定値を自然対数に変換したところ正規性があったため、コントロール群における抗体価の自然対数の95%CIを陽性カットオフ値としたところ、陽性カットオフ値は、SEA=0.059、SEB=0.108、SEC=0.198、TSST−1=0.094、SPEA=0.098となった。
実施例2 川崎病患者の抗スーパー抗原IgM抗体価の測定と陽性率
川崎病患者群から提供された血清を、川崎病発症第1週目(発症1〜7日、n=128)、2週目(発症8〜14日目、n=113)3週目(発症15〜21日目、n=38)、4週目(発症22〜28日目、n=14)に分け、血清中抗スーパー抗原IgM抗体価を参考例1と同様にして測定した。対象となったのは、参考例2および比較例1と同じ患者である。
参考例3で設定したカットオフ値を超えた人数の割合を「陽性率」として図1に示した。また、各スーパー抗原IgM抗体価の経時変化を図4に示す。図4中、「*」及び「**」は、無印又は個数の異なる米印のものと有意差があることを示している。図4に示されるように、抗スーパー抗原IgM抗体価に関しては、SECの第1週目以外は、コントロール群と統計的に有意差があった(SEAの第1週目、SECの第2,3週目;P<0.01、SEAの第2,3,4週目、SEBの第1,2,3,4週目、SECの第4週目、TSST−1の第1,2,3,4週目、SPEAの第1,2,3,4週目は;p<0.001)。
さらに、陽性率は週を追う毎に上昇し、これはROC曲線(図2a〜e)によっても証明された。また感染初期は抗スーパー抗原IgM抗体価が低値であることから、個人の抗スーパー抗原IgM抗体価が経日的に上昇していることによっても川崎病を判定できることがわかった。
実施例3 複数の項目を用いた川崎病の判定
参考例3および実施例2で測定された抗スーパー抗原IgM抗体価について、陽性となった項目数別に陽性率を算出し、5項目のうち、いずれか1項目のみ陽性であった割合、いずれか1〜2項目陽性であった割合、いずれか1〜3項目陽性であった割合、いずれか1〜4項目陽性であった割合、いずれか1〜5項目陽性であった場合にわけ、図1にプロットした。どの場合も、コントロール群と比較して川崎病群は陽性として検出される割合が高かった。1〜5項目、つまりいずれか1つでも陽性になった場合は特に陽性として検出される割合が高かった。
実施例2および3より、抗スーパー抗原IgM抗体価を測定することにより、川崎病を判定することができ、また、週を追う毎に信頼性が高くなる傾向にあることがわかった。さらに、複数の項目を川崎病の判定に使用すると、さらに川崎病を検出する確率が高くなる傾向にあることも判明した。また感染初期は抗スーパー抗原IgM抗体価が低値であることから、個人の抗スーパー抗原IgM抗体価が経日的に上昇していることによっても川崎病を判定できることがわかった。
実施例4 複数の項目を用いた川崎病の判定に各項目のカットオフ値を用いる方法
参考例3および実施例2で測定された抗スーパー抗原IgM抗体価について、下記方法で新たに評価した。
川崎病群およびコントロール群の各項目の抗スーパー抗原IgM抗体価を、実施例2で求めたそれぞれの項目のカットオフ値で除した(式(1)〜(5))。式(1)〜(5)で求めた値を足し、これをtotal SAg−IgMとした(式(6))。式(1)〜(5)で計算される値のカットオフ値が1になることから、式(6)で計算されるtotal SAg−IgMの陽性カットオフ値を5とし、その陽性率を発症経過週数別に図3にプロットした。どの項目も、コントロール群と比較して、川崎病群の方が陽性となる割合が高かった。また、川崎病群は週を追うごとに陽性率が増加した。また複数の項目を用いた川崎病の判定に各項目のカットオフ値を用いる方法でも、感染初期はtotal SAg―IgMが低値であることから、個人のtotal SAg―IgMが経日的に上昇していることによっても川崎病を判定できることがわかった。
異なる項目でそれぞれカットオフ値を設定した場合でも川崎病を判定することができ、また、週を追う毎に信頼性が高くなることがわかった。これはROC曲線(図2f)によっても証明された。
Figure 2007205842
川崎病患者における、複数の項目別抗スーパー抗原IgM抗体価陽性率を示す。 川崎病患者の血清検体中の、抗SEA-IgM抗体価ROC曲線を示す。 川崎病患者の血清検体中の、抗SEB-IgM抗体価ROC曲線を示す。 川崎病患者の血清検体中の、抗SEC-IgM抗体価ROC曲線を示す。 川崎病患者の血清検体中の、抗TSST-1-IgM抗体価ROC曲線を示す。 川崎病患者の血清検体中の、抗SPEA-IgM抗体価ROC曲線を示す。 川崎病患者の血清検体中の、総抗スーパー抗原IgM抗体価ROC曲線を示す。 川崎病患者の血清検体中の、各種抗スーパー抗原IgM抗体価陽性率を示す。 川崎病患者の血清検体中の、各種抗スーパー抗原IgM抗体の経時変化を示す。

Claims (12)

  1. 被検者から分離された体液中の、1又は複数のスーパー抗原に対するIgMを測定することを含む川崎病の判定方法。
  2. 前記スーパー抗原が、黄色ブドウ球菌又はA群β溶血性連鎖球菌が産生するものである請求項1記載の方法。
  3. 前記スーパー抗原が、SEA、SEB、SEC、TSST-1及びSPEAから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の方法。
  4. 前記体液が血液である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 複数のスーパー抗原に対するIgMを測定する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記IgMの濃度を測定することを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記IgMが、被検者と同世代の非川崎病患者と比較して、有意に高値であることを指標とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記IgM濃度が、カットオフ値以上か否かで判定する請求項6記載の方法。
  9. 1人の被検者から経時的に分離した複数の体液検体について、それぞれ測定された前記IgM濃度の上昇を指標とする請求項6記載の方法。
  10. 体液を分離した被検者が、静注用ヒト免疫グロブリン製剤を投与された患者である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 1若しくは複数のスーパー抗原を固定化した固相又は1若しくは複数のスーパー抗原に対するIgMを固定化した固相と、標識抗ヒトIgM抗体若しくはその抗原結合性断片、又は標識抗スーパー抗原抗体若しくはその抗原結合性断片とを少なくとも含む、川崎病の判定キット。
  12. 1若しくは複数のスーパー抗原を固定化した固相と、標識抗ヒトIgM抗体若しくはその抗原結合性断片とを少なくとも含む請求項11記載のキット。

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