JP2007204692A - アルミニウム顔料 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた塗膜の色調、密着性、耐薬品性と、水性塗料の貯蔵安定性とを兼ね備える新規なアルミニウム顔料を提供。
【解決手段】一般式(1)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)の加水分解縮合物[A−1]、および、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)と、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)からなる樹脂[B]とで被覆されていることを特徴とするアルミニウム顔料。
【化1】
Figure 2007204692

【選択図】なし

Description

本発明は、水性メタリック塗料に適した新規なアルミニウム顔料に関する。更に詳しくは、塗料顔料として使用したとき、色調、密着性、耐薬品性に優れたメタリック塗膜を与え、かつ水性塗料中での貯蔵安定性に優れたアルミニウム顔料に関するものである。
従来、メタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用等に、メタリック感を重視する美粧効果を得る目的でアルミニウム顔料が使用されている。これらの用途において、アルミニウム顔料を用いて得られた塗膜の密着性、耐酸、耐アルカリ性等の耐薬品性を求められる場合がある。
また、近年、塗料分野においては、省資源、無公害化対策として、有機溶剤の使用量の少ない水性塗料への転換の必要性が高まっているが、アルミニウム顔料を含むメタリック塗料においては、未だ、実用可能な水性塗料の例は少ない。
その理由として、アルミニウム顔料が水性塗料中で腐食されて水素ガスを発生しやすいことが挙げられる。これは塗料メーカーにおける塗料化工程や、自動車、家電、工業塗装メーカーにおける塗装工程において、安全上極めて重大な問題である。なお、以下では水性塗料中におけるアルミニウム顔料の腐食に対する安定性を、水性塗料の貯蔵安定性と記載する。
塗膜の色調、密着性、耐薬品性を維持しつつ、水性塗料の貯蔵安定性を改良すべくこれまで数多くの発明が開示されているが、残念ながら未だ実用可能な技術は少ない。
例えば、特許文献1には、色調低下を防止し、かつ密着性、耐薬品性を発現させるために、アルミニウム顔料を均一で高度に三次元架橋した被覆膜を形成させる方法が提案されているが、水性塗料の貯蔵安定性は不十分である。
特許文献2には、アルミニウム顔料をシロキサン被覆と、該シロキサン被覆に共有結合した3次元架橋した合成樹脂被覆とを形成させる方法が開示されているが、ここでシロキサン被覆に使用されている化合物では顔料への被覆性が劣るため、水性塗料の貯蔵安定性は十分とは言えない。
特許文献3、および、特許文献4には、アルミニウム顔料をシリカ被覆する方法が開示されているが、シリカ被覆のみでは、塗膜の密着性、耐薬品性が不十分である。
国際公開公報WO96/38506 特公平7−53837号公報 特開2004−124069号公報 特開2004−131542号公報
本発明は、上記のような従来技術の欠点を排除した新規なアルミニウム顔料を提供すること、すなわち、色調保持率で示される塗膜の色調を著しく損なうことなく、密着性、耐薬品性と、水性塗料の貯蔵安定性とを兼ね備える新規なアルミニウム顔料を提供することを目的とする。
本発明者らの研究によれば、特定のシロキサン結合を有する化合物の加水分解縮合物でアルミニウム顔料を被覆することにより、極めて優れた水性塗料の貯蔵安定性を付与でき、さらに樹脂被覆を施すことにより、塗膜の色調を著しく損なうことなく、密着性、耐薬品性をも付与できることが判明した。このような知見に基づき鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は下記に示す通りである。
発明の第1は、一般式(1)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)の加水分解縮合物[A−1]、および、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)と、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)からなる樹脂[B]とで被覆されていることを特徴とするアルミニウム顔料である。
Figure 2007204692
発明の第2は、一般式(1)および(2)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)、(a−2)の加水分解縮合物[A−2]、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)と、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)からなる樹脂[B]とで被覆されていることを特徴とするアルミニウム顔料である。
Figure 2007204692
発明の第3は、フレーク状アルミニウム粉末を有機溶剤に分散せしめ、(A)一般式(1)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)の加水分解物を添加する第一工程を実施した後に、(B)ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)を添加する第二工程を実施し、さらに、(C)ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)と重合開始剤とを添加する第三工程を実施することを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法である。
発明の第4は、フレーク状アルミニウム粉末を有機溶剤に分散せしめ、(A)一般式(1)および(2)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)、(a−2)の加水分解物を添加する第一工程を実施した後に、(B)ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)を添加する第二工程を実施し、さらに、(C)ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)と重合開始剤とを添加する第三工程を実施することを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法である。
発明の第5および第6は、第1および第2の発明に係るアルミニウム顔料を含むことを特徴とする水性メタリック塗料組成物、および、水性メタリックインキ組成物である。
本発明によるアルミニウム顔料は、従来にない優れた水性塗料中での貯蔵安定性を示すとともに、かつ優れた色調、密着性、耐薬品性を有するものである。
本発明のアルミニウム顔料は、水性塗料の貯蔵安定性に優れ、塗膜にしたときの密着性、耐薬品性、色調保持率に優れる。
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明のアルミニウム顔料の原料となるフレーク状アルミニウム粉末は、特にその種類を限定されるものではなく、一般的にアルミニウム顔料として使用されているもので良く、その形状は、鱗片状、角状、丸み状等の扁平状である。その製造方法についても特に限定されるものではないが、アルミニウムの粒状粉、又は、細片を機械的方法、例えばスタンプミル法、乾式ボールミル法、湿式ボールミル法、アトライター法、振動ボールミル法等により数%の粉砕助剤と共に粉砕することにより得られる。
原料となるフレーク状アルミニウム粉末の粒径は用途により異なり、塗料用、印刷インキ用としては、平均粒径d50が1〜100μm程度のものが良く、本発明に適用できる。又、最近特に高意匠性が求められる用途として、自動車用、一般家電用、携帯電話に代表される情報家電用、印刷用が挙げられ、それぞれ鉄やマグネシウム合金などの金属、あるいはプラスチック等の塗装に使用されるが、これらに使用される好ましい粒径は、5〜35μmであり、更に好ましくは、5〜25μmである。
本発明のアルミニウム顔料の原料として使用されるフレーク状アルミニウム粉末の平均粒径d50の好ましい範囲は5〜35μmであり、更に好ましい範囲は5〜25μmである。その他に定義される形状の好ましい範囲は、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の好ましい比は30〜90である。
フレーク状アルミニウム粉末の平均粒径d50(μm)、平均厚みt(μm)、水面拡散面積WCA(m2/g)は、次の様に定義される。
<平均粒径(d50)>平均粒径d50(μm)は、次の方法で測定する。
測定溶剤としてミネラルスピリットを用い、試料となるフレーク状アルミニウム粉末を、前処理として2分間の超音波分散を行った後に、レーザーミクロンサイザーLMS−24(セイシン企業(株)製)を用いて測定する。
平均粒径d50は5〜35μmであることが好ましい。更に好ましくは5〜25μmである。平均粒径d50は、意図する意匠性に合わせて極細目、細目、中目、粗目、極粗目を適宜に選択すればよい。平均粒径が5μm以上のものは、塗膜中で一定方向に配向し易く、また、光の散乱が減少し望ましい光輝度が発現し易い。一方、35μm以下のものは、粒子の大きさが塗膜の膜厚を越えず粒子の一部が塗膜表面に突出しにくいため、きめ細かいメタリック塗膜が得られ易く実用的である。
<平均厚み(t)>平均厚みt(μm)は、金属成分1g当たりの水面拡散面積WCA(m2/g)を測定し、下式により算出した値である。
t(μm)=0.4/[WCA(m2/g)]
上記した平均厚みの算出方法は、例えば、AluminiumPaint and Powder,J.D.Ed-wards & R.I.Wray著、第3版、Reinhold Publishing Corp.New York(1955)の第16〜22頁に記載されている。
<水面拡散面積(WCA)>水面拡散面積は、一定の予備処理を行ったのち、JIS K 5906-1991に従って求める。なお、JISに記載されている水面拡散面積の測定方法はリーフィングタイプの場合のものであるのに対し、前記国際公開公報WO99/54074に記載のものはノンリーフィングタイプの場合である。しかし、試料を5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行う以外の操作方法は、全てリーフィングタイプの場合と同様である。試料の予備処理については、塗料原料時報、第156号、第2〜16頁(1980.9.1旭化成工業(株)発行)に記載されている。本発明でいう平均厚みtに対する平均粒径d50の比は、d50/tで与えられ、いわゆる、フレーク状アルミニウム粉末の扁平度である(以下扁平度と呼ぶことがある。)。
アルミニウム粉を媒体攪拌ミルまたはボールミルで摩砕すると、扁平度は徐々に大きくなり、ある程度まで展延されると粒子は折れ曲がり易くなる。概して、扁平度が200を越えると粒子にクラックが入り易くなり折れ曲がり易くなる。そのため扁平度d50/tは30〜90であることが好ましい。扁平度が90以下では、フレーク状アルミニウム粉末表面が平滑であり、該表面での光の散乱が減少し正反射率が増大することにより光輝度が向上し、また、フロップ性も高くなる。また、扁平度が30以上で、アルミニウム顔料の重要な機能の一つである隠蔽力が維持され、実用に供し得る。
本発明のアルミニウム顔料は、例えば、こうして得られたフレーク状アルミニウム粉末に、(A)シロキサン結合を有する化合物の加水分解縮合物で被覆し(第一工程)、(B)ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種で処理し(第二工程)、(C)ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体からなる樹脂とで被覆する(第三工程)ことにより得られる。
<第一工程について>
本発明に用いるシロキサン結合を有する化合物は、下記式(1)で示される構造の化合物である。下記式(2)の化合物を併用するとフレーク状アルミニウム粉末への被覆性の点から好ましい。
Figure 2007204692
Figure 2007204692
式(1)のRにおける炭化水素基としては、メチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの中でも、加水分解後にアルミニウム顔料表面に形成される膜の疎水性と成膜性のバランスの点から、とくに炭素数が2から12の炭化水素基が好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。分子中のRの数は、式(1)において、m=1〜3であるが、成膜性の点からm=1がより好ましい。
式(1)のR’における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、加水分解速度からとくにメチル、エチルが好ましい。また、式(1)のR’におけるアルコキシ炭化水素基としては、メトキシメチル、エトキシメチル、エトキシエチル等が挙げられる。R’が2つ以上ある場合には、同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
本発明の上記一般式(1)で示されるシロキサン結合を有する化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(2)のR”における炭化水素基およびアルコキシ炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、加水分解速度の面でとくにメチル、エチルが好ましい。R”が2つ以上ある場合には、同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
本発明の上記一般式(2)で示されるシロキサン結合を有する化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シロキサン結合を有する化合物の添加量は、フレーク状アルミニウム粉末100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜25重量部、より好ましくは0.3〜20重量部の範囲で使用される。十分な水性塗料の貯蔵安定性を得る点でシロキサン結合を有する化合物の添加量を0.1重量部以上にすることが好ましく、塗膜の色調を維持する点で30重量部以下にすることが好ましい。
シロキサン結合を有する化合物のうち、式(1)に示す成分の好ましい範囲は100〜0.1重量部であり、より好ましくは90〜10重量部、さらに好ましくは80〜20重量部である。水性塗料の貯蔵安定性の点から式(1)に示す成分を0.1重量部以上にすることが好ましい。
本発明に使用されるシロキサン結合を有する化合物の加水分解縮合物によるフレーク状アルミニウム粉末の被覆は、フレーク状アルミニウム粉末に有機溶剤を大量に加えてスラリー状態で行っても、溶剤の量を少なくしてペースト状態で混練して行ってもよいが、均一で緻密な被覆形成を行うためには前者の方法がより好ましい。また、シロキサン結合を有する化合物またはその加水分解物は予定添加量を初期に一括して添加しても、所定の時間をかけて連続的に添加してもよい。
本発明のシロキサン結合を有する化合物の加水分解反応は、フレーク状アルミニウム粉末に添加した後に行っても構わないが、添加する前に行うことがより好ましい。
シロキサン結合を有する化合物の加水分解物は、シロキサン結合を有する化合物、加水分解反応を完全に行うのに化学量論的に必要な量以上の水、加水分解触媒とともに攪拌混合することにより得られる。その際に必要に応じて親水性溶剤を使用することもできる。加水分解反応の時間は、シロキサン結合を有する化合物の種類、加水分解時の温度、加水分解触媒の種類やその濃度に応じて異なる。
シロキサン結合を有する化合物の加水分解触媒は、特に制限はなく、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸類、安息香酸、酢酸、クロロ酢酸、サリチル酸、シュウ酸、ピクリン酸、フタル酸、マロン酸等の有機酸類、ビニルホスホン酸、2−カルボキシエタンホスホン酸、2−アミノエタンホスホン酸、オクタンホスホン酸等のホスホン酸類等を用いることができる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機アルカリ塩類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピリジン、アニリン、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、グアニジン等の有機アルカリ類、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸、酢酸アニリン等の有機酸アルカリ塩類を用いることもできる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フレーク状アルミニウム粉末を有機溶剤中に分散させるのに使用する有機溶剤は、フレーク状アルミニウム粉末に対して不活性であればよく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤中のフレーク状アルミニウム粉末の濃度は0.1〜40重量%が好ましく、更に好ましくは1〜35重量%である。シロキサン結合を有する化合物のフレーク状アルミニウムへの被覆を効率的に行う点において、有機溶剤中のフレーク状アルミニウム粉末の濃度は0.1重量%以上であることが好ましい。また、フレーク状アルミニウム粉末の分散状態を均一に保つ点において、有機溶剤中のフレーク状アルミニウム粉末の濃度は40重量%未満であることが好ましい。
本発明のシロキサン結合を有する化合物によるフレーク状アルミニウム粉末の被覆処理温度は、好ましくは50℃〜250℃、より好ましくは80℃〜220℃、さらに好ましくは100℃〜200℃である。シロキサン結合を有する化合物の加水分解物の縮合反応速度を適度な状態にしてフレーク状アルミニウム粉末に緻密な被覆を行うためには50℃以上が好ましい。また、安全上の点から250℃以下で反応を行うことが好ましい。
本発明のシロキサン結合を有する化合物によるフレーク状アルミニウム粉末の被覆処理時間は、好ましくは0.5時間〜30時間、より好ましくは1時間〜20時間である。シロキサン結合を有する化合物の加水分解物の縮合反応を十分に行うためには反応時間を0.5時間以上にすることが好ましい。また、被覆処理後のフレーク状アルミニウム粉末の色調を保つためには反応時間を30時間以下にすることが好ましい。
<第二工程について>
第二工程では、第一工程後のフレーク状アルミニウム粉末を分散させた有機溶剤中に、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステルから選ばれた少なくとも1種(成分(b−1))を添加する。成分(b−1)としてはラジカル重合性不飽和カルボン酸が特に好ましい。
ラジカル重合性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が例示され、その1種または2種以上を混合して使用することができる。使用される量は該フレーク状アルミニウム粉末の種類と特性、特にその表面積によって異なるが、本発明ではフレーク状アルミニウム粉末100重量部に対して0.1〜2.0重量部の間であり、更に好ましくは0.2重量部〜1.5重量部である。0.1重量部未満では、フレーク状アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われず、本発明の効果である密着性を満足させることができない。また、2重量部を越えて使用する場合は、色調の著しい低下を抑えるという本発明の効果が実現できない。
ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステルとしては、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジ−(2−メタクリロイロキシエチル)ホスフェート、トリ−(2−メタクリロイロキシエチル)ホスフェート、2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジ−(2−アクリロイロキシエチル)ホスフェート、トリ−(2−アクリロイロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−メタクリロイロキシプロピルホスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、ジアリルジブチルホスホノサクシネート等が挙げられ、その1種または2種以上を混合して使用することができる。
成分(b−1)の好ましいものとしてはラジカル重合性二重結合を有するリン酸モノエステル類を挙げることができる。これはリン酸基の持つOH基が2個あるため、より強固にフレーク状アルミニウム粉末表面に固定されるためであると推定される。
より好ましいリン酸モノエステルとして、メタクリロイロキシ基およびアクロイロキシ基を有したモノエステルが挙げられ、例えば、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクロイロキシエチルホスフェートが挙げられる。その使用量は、該フレーク状アルミニウム粉末の種類と特性、特にその表面積によって異なるが、本発明ではフレーク状アルミニウム粉末100重量部に対して0.1〜2.0重量部の間であり、更に好ましくは0.2重量部〜1.5重量部である。0.1重量部未満では、フレーク状アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われず、本発明の効果である密着性を満足させることができない。また、2重量部を越えて使用する場合は、色調の著しい低下を抑えるという本発明の効果が実現できない。
成分(b−1)の添加は40℃〜150℃の温度で加温、攪拌しながら行うことが望ましい。40℃未満では成分(b−2)の重合温度まで昇温するのに時間を要し、150℃を越えると有機溶剤の蒸気の発火等に対する配慮を充分にしなければならず好ましくない。成分(b−2)の添加終了後、40℃〜150℃の温度で引き続き5分〜10時間程度攪拌を続けることが好ましい。この時間が5分未満では成分(b−1)の有機溶剤中の拡散およびフレーク状アルミニウム粉末表面への吸着が不十分となりやすく、10時間を越えても効果の増大はなく時間要するのみで好ましくない。
<第三工程について>第三工程では、前記第二工程を経た有機溶剤中にラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(成分(b−2))と重合開始剤とを添加する。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体としては、例えば、トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジグリセリンジアクリレート、ジグリセリントリアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ジグリセリンジメタクリレート、ジグリセリントリメタクリレート、ジグリセリンテトラメタクリレート、ジ−ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジ−ペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、ジビニルベンゼン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合して使用する。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体の使用量は、フレーク状アルミニウム粉末100重量部に対して0.1〜50重量部の間であり、更に好ましくは、0.2〜40重量部である。0.1重量部未満では、フレーク状アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われず、本発明の効果である密着性を満足させることができない。また、50重量部を越えて使用する場合は、耐薬品性の効果の増大が期待できず、また、色調の低下が著しく実用に供し難い。
本発明の効果を損なわない範囲で1分子中に重合性二重結合を1個有する単量体を使用することもできる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
重合開始剤は、一般にラジカル発生剤として知られるものであり、その種類は特に制限されない。重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキサイド類、および2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用量は、重合性モノマーの反応速度によってそれぞれ調整されるため特に限定されないが、フレーク状アルミニウム粉末100重量部に対して、0.1重量部〜25重量部程度である。
成分(b−2)のラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体及び重合開始剤の添加の態様としては、両方を同時に一括で添加する態様、両方を同時に徐々に添加する態様、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体を先に添加後重合開始剤のみを徐々に添加する態様、などの種々の態様をとることができる。
成分(b−2)の添加は、攪拌しながら、加温された状態で添加するのが望ましい。添加する際の温度は、重合が生ずればよく特に限定されないが60℃〜150℃が好ましい。また、重合効率を高めるために窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で添加、重合することが望ましい。
成分(b−2)の添加後の重合は、攪拌を連続、もしくは断続的に行い、分散を維持した状態で、60℃〜150℃の温度で引き続き5分〜10時間の間で行うのが望ましい。この時間が5分未満ではラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体同士の重合および第一工程でフレーク状アルミニウム粉末表面に吸着した成分(b−1)への重合が不十分となりやすく、10時間を越えても効果の増大はなく時間を要するのみで好ましくない。
ここにいう重合時間とは、成分(b−2)のラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とが反応系中に同時に存在した時点から、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体の未反応物が1%未満になるまでの時間をいう。
重合終了後、フィルタープレスなどのろ過により不要な溶剤分を除去し、固形分調整は混合機などにより行うことができる。
本発明のアルミニウム顔料を含有するメタリック塗料及びメタリックインキは、溶剤型、水性型等、何れの形態でも使用可能である。また、このメタリック塗料及びメタリックインキは主として3つの基本成分、即ち(ア)塗料用樹脂、(イ)アルミニウム顔料、(ウ)希釈剤から適宜選択して作製すればよい。
溶剤型塗料及びインキで使用する塗料用樹脂としては、従来メタリック塗料及びメタリックインキで用いられている塗料用樹脂の中の任意のものを用いることができる。
その樹脂としては、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし混合して用いてもよい。
溶剤型塗料及びインキとして使用する場合の本発明のアルミニウム顔料の使用量は、塗料用樹脂100重量部に対して0.1重量部〜300重量部であることが好ましく、更に0.2重量部〜200重量部用いることが好ましい。このアルミニウム顔料が0.1重量部未満であると、メタリック塗料及びメタリックインキとして必要な金属光沢が不十分であり、また、300重量部を越えて用いると、塗料及びインキ中の金属顔料の量が多くなり過ぎて、塗装及び印刷作業性が悪くなり、かつ、塗膜物性も劣り実用的でない。
溶剤型塗料及びインキにおいて使用できる希釈剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系化合物、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン等のケトン類、トリクロロエチレン等の塩素化合物、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類が挙げられ、これらの希釈剤は単独または二種以上混合して使用できる。その組成は塗料用及びインキ用樹脂に対する溶解性、塗膜形成特性、塗装作業性等を考慮して適宜決定すればよい。
さらに、メタリック塗料及びメタリックインキには、塗料業界で一般に使用されている顔料、染料、湿潤剤、分散剤、色分れ防止剤、レベリング剤、スリップ剤、皮張り防止剤、ゲル化防止剤、消泡剤等の添加剤を加えることができる。
また、メタリック塗料及びメタリックインキは、水性塗料用樹脂を用いることにより水性塗料としても使用可能である。ただし、本発明のアルミニウム顔料が水性塗料及びインキ中で水と反応するような場合には、反応阻害剤の添加が必要となる。ここで水性塗料用及びインキ用の樹脂とは、水溶性樹脂または水分散性樹脂であって、これらの単独または混合物であってもよい。その種類は目的、用途により千差万別であり、特に限定されるものではないが、塗料用では、一般にはアクリル系、アクリル−メラミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の水性塗料用樹脂が挙げられ、中でもアクリルーメラミン系が最も汎用的に使用されている。
水性塗料及びインキに使用される本発明のアルミニウム顔料は、塗料用樹脂100重量部に対して0.1重量部〜300重量部である。特に0.2重量部〜200重量部用いることが好ましい。このアルミニウム顔料が0.1重量部未満であると、メタリック塗料及びメタリックインキとして必要な金属光沢が不十分であり、また、300重量部を越えて用いると、塗料及びインキ中のアルミニウム顔料の量が多くなり過ぎて、塗装及び印刷作業性が悪くなり、かつ、塗膜物性も劣り実用的でない。
また、各種添加剤としては、例えば、分散剤、増粘剤、タレ防止剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、成膜助剤、界面活性剤、その他の有機溶剤、水等、当該分野に於いて通常使用され得るものであって、本発明の効果を損なわないものが使用でき、また、本発明の効果を損なわない程度の量であれば、添加しても差し支えない。
本発明のアルミニウム顔料は自動車用、一般家電用、携帯電話に代表される情報家電用、印刷用に、それぞれ鉄やマグネシウム合金などの金属、あるいはプラスチック等の基材の塗装用、印刷用途に好適に使用でき、高い意匠性を発揮できる。
以下に、本発明の実施例を示す。なお、試験方法および測定方法は以下の通りである。
1.加熱残分
アルミニウム顔料5gを蒸発皿に採取し、105℃で3時間加熱した。加熱しても蒸発せずに残った重量の割合を加熱残分として、%表示した。
2.水性塗料の貯蔵安定性の評価
(1)水性塗料の作製
表1に示す配合により、水性塗料を作成した。
(2)水性塗料の貯蔵安定性の評価
200mlの三角フラスコに上記水性塗料200gを採取し、フラスコの口にゴム栓付きメスピペットを取り付けて、40℃の恒温水槽に浸漬し、7日間放置後のガス発生量をメスピペットの目盛から読み取った。ガスの発生量に応じて、下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。(ガス発生量が少ないほど良好。)
○:2ml未満
△:2ml以上〜5ml未満
×:5ml以上
3.塗膜物性の評価
(1)塗料の作製
表2に示す配合により、塗料を作製した。
(2)評価用塗板の作製
エアスプレー装置を用いて上記塗料をABS樹脂板に乾燥膜厚が10μmになるように塗装し、60℃のオーブンで30分乾燥し、評価用塗板を得た。
(3)密着性
上記(2)で作成した塗板を用い、セロテープ(登録商標:ニチバン(株)製、CT−24)を塗膜に密着させ、45度の角度で引っ張り、アルミニウム顔料粒子の剥離度合いを目視で観察した。観察結果に応じて、下記のように評価した。
○:剥離なし
△:やや剥離あり
×:剥離あり
(4)耐アルカリ性
上記(2)で作製した塗板の下半分を0.1N−NaOH水溶液を入れたビーカーに浸漬し、55℃で4時間放置する。試験後の塗板を水洗、乾燥したのち、浸漬部と未浸漬部を、JIS−Z−8722(1982)の条件d(8−d法)により測色し、JIS−Z−8730(1980)の6.3.2により色差ΔEを求める。色差ΔEの値に応じて、下記のように評価した。(値が小さいほど良好。)
○:1.0未満
△:1.0以上〜2.0未満
×:2.0以上
(5)光沢保持率
色調保持率で示される塗膜の色調を表す一つの尺度の光沢保持率は、光沢計(スガ試験機(株)製、デジタル変角光沢計UGV−5D)を用いて60度光沢(入射角、反射角とも60度)を測定する。上記(2)で作製した塗板の60度光沢の測定値をG’、未処理のフレーク状アルミニウム粉末を用いて同様に作製した塗板の60度光沢の測定値をGとし、光沢保持率Rを下式によって求める。
R=(G’/G)×100
光沢保持率Rの値に応じて、下記のように評価した。(数値が大きいほど良好。実用上70以上が好ましい。)
◎:90以上
○:90未満〜80以上
△:80未満〜70以上
×:70未満
「参考例」
(試供用フレーク状アルミニウム粉末の調製)
アルミアトマイズ粉10kg、5重量%のオレイン酸を含むミネラルスピリット10kgの混合物をボールミル中で8時間粉砕し、次にミネラルスピリット20kgを加えて希釈した後、スラリータンクに移し、フィルタープレスでろ過した。このようにして得られたフレーク状アルミニウム粉末は、ペースト状であり、加熱残分は75重量%であった。そのフレーク状アルミニウム粉末の平均粒径は11μmで、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比は75であり、水面拡散面積WCA(m/g)は2.8であった。
「実施例1」
(シロキサン結合を有する化合物の加水分解液の作製)
容積200mlのポリカップに、0.1mol/l酢酸水溶液30g、プロピレングリコールモノメチルエーテル45gを加え攪拌しながら、ヘキシルトリメトキシシラン15gを滴下し、室温で24時間攪拌し続け、シロキサン結合を有する化合物の加水分解液を得た。
(シロキサン結合を有する化合物によるフレーク状アルミニウム粉末被覆処理)
参考例で作製した供試用アルミニウム粉末133.3gを容積2リットルの四つ口フラスコに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート866.7gを加え攪拌し、系内の温度を120℃に昇温した。次いで上記で作製したシロキサン結合を有する化合物の加水分解液60gを5時間かけて連続的に添加し、系内の温度を120℃にさらに1時間保った。自然冷却した後、ろ過し、加熱残分75重量%のシロキサン結合を有する化合物の加水分解縮合物で被覆されたフレーク状アルミニウム粉末を得た。
(樹脂被覆処理)
上記で得られたシロキサン結合を有する化合物の加水分解縮合物で被覆されたフレーク状アルミニウム粉末66.7gを、容積1リットルの四つ口フラスコに入れ、ミネラルスピリット350gを加え、窒素ガスを導入しながら撹拌し、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、アクリル酸0.5gを添加し70℃で30分撹拌を続けた。
次にトリメチロールプロパントリメタクリレート3.5gと、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート1.5gと2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル1.5gをミネラルスピリット40gに溶解させ、その溶液を定量ポンプにより約0.26g/min.の速度で3時間かけて添加し、その後系内の温度を70℃に保ちながら合計6時間重合した。この時点でサンプリングしたろ液中のトリメチロールプロパントリメタアクリレートの未反応量をガスクロマトグラフィで分析したところ、添加量の99.5%以上が反応していた。重合終了後、ろ過し、目的とするアルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は、65重量%であった。
得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「実施例2」
実施例1記載の方法で、シロキサン結合を有する化合物をヘキシルトリメトキシシラン7.5g、テトラエトキシシラン7.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「実施例3」
実施例1記載の方法で、シロキサン結合を有する化合物をデシルトリメトキシシラン15gに変更した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「実施例4」
実施例1記載の方法で、シロキサン結合を有する化合物をデシルトリメトキシシラン7.5g、テトラエトキシシラン7.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「実施例5」
実施例2記載の方法で、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体をトリメチロールプロパントリメタクリレート0.35gと、ジートリメチロールプロパンテトラアクリレート0.15gに変更した以外は、実施例2と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「比較例1」
実施例2記載の方法で、樹脂被覆処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「比較例2」
実施例1記載の方法で、シロキサン結合を有する化合物をテトラエトキシシラン15gに変更した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「比較例3」
実施例1記載の方法で、シロキサン結合を有する化合物によるフレーク状アルミニウム粉末被覆処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
「比較例4」
実施例5記載の方法で、シロキサン結合を有する化合物によるフレーク状アルミニウム粉末被覆処理を行わなかったこと以外は、実施例5と同様にして、アルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分は65重量%であった。得られたアルミニウム顔料について、水性塗料の貯蔵安定性、塗膜の密着性、耐薬品性、塗膜の色調(光沢保持率)を評価し、その結果を表3に示した。
Figure 2007204692
Figure 2007204692
Figure 2007204692
本発明は、水性塗料や水性インキに使用可能で塗料の貯蔵安定性に優れ、塗膜にしたときの密着性、耐薬品性、色調保持率に優れるアルミニウム顔料を提供することが可能である。

Claims (6)

  1. 一般式(1)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)の加水分解縮合物[A−1]、および、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)と、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)からなる樹脂[B]とで被覆されていることを特徴とするアルミニウム顔料。
    Figure 2007204692
  2. 一般式(1)および(2)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)、(a−2)の加水分解縮合物[A−2]、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)と、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)からなる樹脂[B]とで被覆されていることを特徴とするアルミニウム顔料。
    Figure 2007204692
  3. フレーク状アルミニウム粉末を有機溶剤に分散せしめ、(A)一般式(1)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)の加水分解物を添加する第一工程を実施した後に、(B)ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)を添加する第二工程を実施し、さらに、(C)ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)と重合開始剤とを添加する第三工程を実施することを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法。
    Figure 2007204692
  4. フレーク状アルミニウム粉末を有機溶剤に分散せしめ、(A)一般式(1)および(2)に示すシロキサン結合を有する化合物(a−1)、(a−2)の加水分解物を添加する第一工程を実施した後に、(B)ラジカル重合性不飽和カルボン酸、および/または、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステルから選ばれた少なくとも一種(b−1)を添加する第二工程を実施し、さらに、(C)ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体(b−2)と重合開始剤とを添加する第三工程を実施することを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法。
    Figure 2007204692
  5. 請求項1〜2のいずれか一項に記載のアルミニウム顔料を含むことを特徴とする水性メタリック塗料組成物。
  6. 請求項1〜2のいずれか一項に記載のアルミニウム顔料を含むことを特徴とする水性メタリックインキ組成物。
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