JP2007204148A - 容器用紙蓋およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一枚の紙基材からなる一枚の紙基材からなるブランクシートをプレス成形して基材表面に凹凸形状を形成した容器用紙蓋において、少なくとも紙蓋の内面に、ホットメルト接着剤層又はシーラント層を設けることにより、容器開口のフランジ部とシール接着させる。
【選択図】図15
Description
別の形態の紙製の蓋材としては、天板部と周側部の2ピースを組み合わせてなり、容器に被せて使用する蓋材がある。このような蓋材(被せ蓋)は、2種の部材を組み合わせて製造するため、前述の面子蓋より生産性が劣り、価格も上昇するという問題があるが、立体的な構造であり、前述の面子蓋よりも、内容物が蓋材に触れにくく、また紙の端面が内容物に触れる恐れがないという利点から、広く用いられるようになってきた。
しかし、このように単に容器に被せて使用する蓋材では、内容物を完全に密封することができず、より高度な品質保持機能を求められる場合には不十分であった。
さらに、被せ蓋は、一度開封しても再封鎖が可能であり、一旦開封されたかどうかが見分けにくく、不正に開封して容器内に異物を混入するなどの行為を防止することが困難であった。
このような問題を解決するため、近年、容器本体開口部に、アルミ製またはプラスチック製メンブレンを貼設したのち、更に前述した被せ蓋により容器を封鎖するという方式も広く実施されている。
しかし、この方式は、より多くの部材を必要とするので、必要な材料や工程数が増加し、その結果、コストが著しく増大するという問題がある。
しかし、このような方式の蓋は、蓋天面が平坦なために、商品や蓋そのものを積み重ねたときに係止するところがなく、安定して積み重ねることができない、即ち、スタッキング性がないという問題があった。
本発明の第1は、一枚の紙基材からなるブランクシートをプレス成形して基材表面に凹凸形状を形成した容器用紙蓋において、少なくとも紙蓋の内面に、ホットメルト接着剤層又はシーラント層を設けることにより、容器開口のフランジ部とシール接着させることを特徴とする容器用紙蓋である。
本発明における紙蓋は、一枚の紙基材からなるブランクシートをプレス成形(絞り成形)することにより得たものである。一枚の部材から構成される紙蓋であるため材料的にも工程的にも簡便であってコスト的に有利である。
なお、本発明の紙蓋は、必要十分な程度の剛性を有し、形状安定性があるものが望ましい。また、外観は、シワが目立たずに滑らかであることが望ましい。特に外観の滑らかさは、美観のみならず、容器開口のフランジ部との接着時に優れた密封性を得るために重要である。
一般的に、紙基材をプレス成形する場合は、成形性を高めるため、同時に加熱することが必要である。即ち、ある程度の高温、通常は100℃以上に加熱した上下一対の金型に挟んでプレスすることで、任意の形状に成形するものである。
プレス成形時には、通常は一対の金型を両方100℃以上に加熱して行うが、本発明の場合、必要に応じていずれか片方を加熱し、片方を非加熱の条件でプレス成形することが可能である。
たとえば、後述する紙基材の片面にホットメルト接着剤層等の、溶融温度は160〜180℃であるが、それよりも低温条件から粘着性が発揮される層が設けられている場合、その面に接する側の金型を非加熱、その反対面に接する側を加熱してプレス成形することで、前記接着剤等の溶融による金型への付着等が回避することが可能である。
上記紙基材の紙厚さは140〜1250μmの範囲が好適である。紙厚さが140μm以下の場合は、成形後の紙蓋の剛性が十分でない恐れがあり、1250μm以上では、プレス成形が困難になる。
本発明のブランクシート素材としては、印刷済の原紙巻取に対し、タンデム押出機を用いてPP等の合成樹脂によってラミネートした両面ラミネート紙が好適に使用される。合成樹脂層の厚さは、一例として20μmである。原紙の厚さは、合成樹脂層が20〜50μmである場合、0.16〜0.50mm程度、好ましくは0.20〜0.40mm程度である。
このようなホットメルト接着剤層を設けることによって、紙蓋と容器本体を熱接着して封鎖した場合に、開封時にイージーピール性を付与することが可能となる。
なお、前述のホットメルト接着剤層は、作業性の面よりブランクシート全面に設けることが好ましいが、状況に応じてフランジとの接着箇所となる部分のみにパターン塗工することも可能である。
前記塗工層に用いられる顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、酸化チタン、プラスチックピグメント等既知のものが任意に使用できる。前記塗工層に用いられる接着剤としては、澱粉、カゼイン、SBRラテックス、ポリビニルアルコールなど既知のものが任意に使用できる。これらの塗工層は単層、あるいは多層に形成することができる。
またその塗工量は全体で20〜30g/m2程度が望ましい。このような塗工層を設ける場合は、塗工層直下の層は、叩解度を高め、表面をより平滑にしておくことがさらに好ましい。このような塗工層は、公知である各種の塗工装置を適宜用いて塗工することができる。
なお本発明においては、プレス成形時に、ブランクシートの表面が金型と接触して強くしごかれるため、印刷層上には、さらに合成樹脂による保護層を有することが望ましい。
なお、容器本体のフランジ部については、実質的に、紙蓋が接着可能な幅と構造を有していれば、その形状は問わないものとする。
なお、図中、1は中央の天板、2は天板1に連続して周側部2がある高さを持って外側垂直方向に形成されているか、後記のように周側部がない平板形状でも構わない。ここで紙蓋Aの天板1は中央がドーム状に盛り上がった形状になっている。ドーム状突出部3の形は、蓋成形用金型により様々の形状に成形することが可能であって、図3のように外輪に平坦部4aを有するもの、後述する図5に示すように、外輪に溝部4bを有するものを例示したが、これに限るものではない。
符号Bは容器を示ス。容器Bの材質は紙、プラスチック等何でもよいが、紙蓋Aの材質は、紙の両面または片面に、熱可塑性樹脂をラミネートした紙基材から構成されているか、さらにホットメルト接着剤が塗布されている。
図8は斜視図、図9は右側面図、図10は断面図を表している。このような凹部により、紙蓋同士のスタッキング性が確保される(図11参照)。また該紙蓋によって紙カップ状容器本体を封緘した場合、容器本体とのスタッキング性を確保可能である(図12参照)。
なお、このように簡易な形状であって、特に中央凹部と周縁部の凸部12の高低差が0.5〜20mmの範囲であれば、プレス成形時に加熱する必要がなく、特に本発明に用いるのに最適な成形加工原紙(後述)を用いた場合、加熱しなくても形状安定性等が良好な紙蓋を得ることが可能である。従って、通常のブランクシートの打ち抜き工程と同時にプレス成形加工が可能であり、あえて別にプレス成形工程を設ける必要がなく工程の省略が可能であって、生産性、コスト的な面から特に優れている。また資材を節約可能であるという点においても優れている。
また、本発明においては、図8〜図10とは逆に、紙蓋が凸部を有する形状であっても良い。図13が斜視図、図14が右側面図である。このような形状でも前述の凹部を有するものと同様の効果が得られる。
本発明の紙蓋において、紙基材として最適に用いられる成形加工原紙の構成を以下に述べる。
本発明で得られる紙蓋に対して実用的に必要な剛性を付与し、プレス成形後の曲面部での破断を抑止するためには、紙蓋を構成する素材として低密度で強度の高い成形加工原紙を使用することが好適である。
このような成形加工原紙を得るためには、紙に使用するパルプとしてリグニンを多量に残留させた機械パルプを含有することが好ましい。なお、機械パルプ使用の有無を判定する手段としては、例えばTAPPI T401−os−74記載の方法で機械パルプを検出することが可能である。また、成形加工原紙に使用する紙中の機械パルプ使用量としては5〜100質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは20〜80質量%での範囲で、最も好ましくは40〜70質量%の範囲である。機械パルプが5質量%以上の場合、成形加工原紙が低密度化させることができるので好ましい。また成形加工原紙に特に伸長性を持たせたい場合には機械パルプ使用量を80質量%以下、好ましくは70質量%以下とすることが好ましい。なお、紙中の機械パルプ使用量は、TAPPI T−401−os−74に記載された手段を用いて規定することができ、具体的には以下の方法をとる。まず、成形加工原紙を水または熱水で再離解する。次に、この再離解したパルプ繊維をスライドグラス上に分散させ、C染色液、Herzberg染色液、Sellegen染色液等のパルプ染色液を滴下してパルプ繊維を染色する。その後、上記スライドを顕微鏡で観察してパルプ繊維の染色性、形態的特徴に基づいて繊維組成を判別する。この時、同時にスライドを規則的に走査しながら、一定面積当たりに存在するパルプ繊維を種別ごとに計数し、重み係数によって質量百分率に換算する。
さらに、密度0.7〜0.9g/cm3である高密度層を少なくとも一層、及び、密度が0.2〜0.6g/cm3の少なくとも一層の低密度層を有することが好ましい。低密度層の密度は、さらに好ましくは0.3〜0.5g/cm3である。
伸びを1.5%以上にするために、必要であれば、外層に繊維長が長いNBKPを配合し、適切な叩解度まで叩解して使用することが可能である。
本発明の紙蓋の製造方法であるプレス成形加工条件について以下に詳述する。
本発明においては、紙基材をブランクシートに打ち抜き、必要箇所に罫線5を入れ、凸型と凹型よりなる一対のプレス型に該ブランクシートを挟み、加熱、加圧して成形する、いわゆるプレス成形という製造方法をとる。
この時、紙基材においては、予め調湿し、原紙水分を調節することが必要である。原紙水分は10〜20%の範囲にする必要があり、好ましくは11〜17%、最も好ましくは12〜15%である。ここでいう原紙水分とは、紙基材中の全パルプ分の絶乾質量に対する水分の質量%をいう。原紙水分をこの好適範囲とすると、紙基材の可塑化が起こって成形性が向上し、また、成形時の紙層の破壊を低減することができる。この結果、より深さがあり、外観が滑らかで美しく、しかも高い剛性を有したプレス成形紙蓋を得ることができる。原紙水分が10%未満であると紙蓋に十分な剛性が得られず、また20%を越えると、成形加工原紙にブリスターが発生して紙層が剥離が発生する、また水分量が多くなるため乾燥に時間がかかり生産性が落ちる等の問題が発生し好ましくない。なお、原紙水分の調製方法として、プレス成形直前に紙基材に水分を供与する方法や、紙の抄造時において、ドライヤーを出た後に加湿し、水分が維持される状態で輸送・保存する方法などが挙げられる。
1 中央の天板
2 周側部
3 ドーム状突出部
4a 平坦部
4b 溝部
5 押罫線
6 筋状突出部
7 波形フリル
11 凹部
12 13 凸部
Claims (3)
- 一枚の紙基材からなるブランクシートをプレス成形して基材表面に凹凸形状を形成した容器用紙蓋において、少なくとも紙蓋の内面に、ホットメルト接着剤層又はシーラント層を設けることにより、容器開口のフランジ部とシール接着させることを特徴とする容器用紙蓋。
- 前記凹凸部の高低差が0.5〜20mmであることを特徴とする請求項1に記載の容器用紙蓋。
- 前記紙蓋に使用する紙基材は、米坪が100〜500g/m2、密度が0.4〜0.7g/cm3、紙厚さが140μm〜1250μm、破断伸びが1.5%以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の容器用紙蓋。
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