JP2007196345A - 研磨パッド表面調整用砥石及び研磨パッド表面調整方法 - Google Patents

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歩 恒谷
Shunji Sato
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Abstract

【解決手段】研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを下定盤と上定盤との間にそれぞれ研磨パッドを介して挾持し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持し、前記両定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッドにより前記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨パッドを表面調整するためのパッド表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120である合成樹脂製弾性砥石からなる研磨パッド表面調整用砥石。
【効果】本発明の研磨パッド表面調整用砥石を用いることにより、研磨パッドに対する研磨力が向上し、しかも安定した研磨力を得ることができると共に、研磨ワークの仕上がり面粗さバラツキが少なく、安定した表面コンディショニング状態を可能にする。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを下定盤と上定盤との間にそれぞれポリウレタン研磨パッド等の研磨パッドを介して挾持し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持し、前記両定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッドにより前記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨パッド、特に研磨ワークを研磨することにより表面が劣化した研磨使用後のもので、とりわけ研磨使用後に予めドレッシング、好ましくはダイヤモンドドレッサーを用いたドレッシングにより表面処理されたもので研磨パッドの表面を調整するための砥石、及びこの砥石を用いた研磨パッドの表面調整方法に関する。
従来より、シリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の研磨ワークを研磨する研磨装置として、研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを下定盤と上定盤との間にそれぞれポリウレタン製等の研磨パッドを介して挾持し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持し、前記両定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッドにより前記研磨ワークを研磨する研磨装置が用いられているが、研磨ワークを研磨しているうちに、研磨パッド表面が劣化してくる。このため、このように劣化した研磨パッドの表面を再研磨に適した表面調整を行うことが行われており、この表面調整方法には、ダイヤモンドドレッサーを用いることが知られている(特許文献1:特開2000−246618号公報、特許文献2:特開2001−71267号公報、特許文献3:特許第3676030号公報参照)。
このように、ポリッシングに使用されるポリウレタン研磨パッド等の研磨パッドの表面をダイヤモンドドレッサーでドレッシングすることにより研磨パッド表面が平坦化されるものの、ダイヤモンドドレッサーでのドレッシングにより研磨パッド表面が荒れた状態となる。このため、特許第3676030号公報(特許文献3)では、ダイヤモンドドレッサーでのドレッシング後にセラミックドレッサーを用いてドレッシングすることが提案されているが、セラミックドレッサーによるドレッシングには、セラミックドレッサーそのものが硬く、研磨中に研磨パッド内部に存在している気泡部分を押しつぶしてしまい、気泡層が詰まった状態となり、研磨力が低下してしまうという問題があり、さらにその後に実際のワークを用いて再使用調整のための表面コンディショニングを行う必要がある。
特開2000−246618号公報 特開2001−71267号公報 特許第3676030号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、特に研磨に使用した後にドレッシング、とりわけダイヤモンドドレッサーでドレッシングしたポリウレタン研磨パッド等の研磨パッドの表面を平坦化できると共に、直ちに再研磨可能に研磨パッド表面をコンディショニングすることができる研磨パッド表面調整用砥石及びこの砥石を用いた研磨パッド表面調整方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ポリウレタン研磨パッド等の研磨パッドの表面調整を行う砥石として、ロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120である合成樹脂製弾性砥石、特に内部に多数の微小気孔を有する多孔性の合成樹脂製砥石、中でもポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石を用いることが有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記研磨パッド表面調整用砥石及び研磨パッドの表面調整方法を提供する。
請求項1:
研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを下定盤と上定盤との間にそれぞれ研磨パッドを介して挾持し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持し、前記両定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッドにより前記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨パッドを表面調整するためのパッド表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする研磨パッド表面調整用砥石。
請求項2:
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項1記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項3:
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項2記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項4:
弾性砥石の嵩密度が0.2〜0.7g/cm3である請求項1,2又は3記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項5:
弾性砥石に、前記研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項6:
弾性砥石が砥粒を含まない請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項7:
研磨ワークがシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、又はセラミックスである請求項1〜6のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項8:
研磨パッドが多数の微小気孔を有するポリウレタン製のものである請求項1〜7のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
請求項9:
砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを研磨パッドを介して定盤上に配設し、前記キャリアーの孔部に砥石としてロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120である合成樹脂製弾性砥石を保持させ、前記定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッド表面を前記弾性砥石で研磨して該パッド表面を平坦化することを特徴とする研磨パッドの表面調整方法。
請求項10:
研磨パッドが、研磨ワークを研磨することにより表面が劣化した研磨使用後のものである請求項9記載の表面調整方法。
請求項11:
研磨パッドが、上記研磨使用後に予めドレッシングにより表面処理されたものである請求項10記載の表面調整方法。
請求項12:
ドレッシングがダイヤモンドドレッサーを用いたドレッシングである請求項11記載の表面調整方法。
請求項13:
研磨パッドが多数の微小気孔を有するポリウレタン製のものである請求項9〜12のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項14:
遊離砥粒として、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒を使用する請求項9〜13のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項15:
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項9〜14のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項16:
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項15記載の表面調整方法。
請求項17:
弾性砥石の嵩密度が0.2〜0.7g/cm3である請求項9〜16のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項18:
弾性砥石が、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項9〜17のいずれか1項記載の表面調整方法。
本発明の研磨パッド表面調整用砥石を用いることにより、研磨パッドに対する研磨力が向上し、しかも安定した研磨力を得ることができると共に、研磨パッドの仕上がり面粗さバラツキが少なく、安定した表面コンディショニング状態を可能にする。また、砥石が弾性砥石のためにパッド変形を起こさず、一定の切り込みで良好な仕上がり面が得られるパッドコンディショニングを行うことができる。更に、砥粒を用いて研磨パッドを表面調整する際、該砥粒として研磨ワークを研磨するときに使用される砥粒と同質の研磨剤を用いれば、異物混入の原因となることもない。
本発明に係る研磨パッド表面調整用砥石は、研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを下定盤と上定盤との間にそれぞれ研磨パッドを介して挾持し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持し、前記両定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッドにより前記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨パッドを表面調整するために使用するものである。
この場合、研磨ワークとしては、シリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等が挙げられる。
また、前記研磨パッドとしては、これら研磨ワークを研磨するために従来から用いられている多孔性の合成樹脂製パッドがいずれも使用し得、好ましくは多数の微小気孔を有するポリウレタン製のものが挙げられる。この場合、ポリウレタンとしては、軟質ポリウレタンフォームでも硬質ポリウレタンフォームでもよく、ワークの種類、研磨砥粒の種類などにより適宜選定できるが、軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
本発明の砥石は、前記研磨パッドの表面調整に用いるものであり、合成樹脂製弾性砥石からなるものである。
この場合、上記弾性砥石としては、砥石内部に多数の微小気孔を有する多孔性のもので熱硬化性樹脂製、特に内部に多数の微小気孔を有するポリビニルアセタール又はポリウレタン製のものが好適に用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えばポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、得られる砥石の硬度、消耗度等の点からポリビニルアセタールを含む材料で形成されたものが好ましく、ポリビニルアセタール製の弾性砥石としては、ポリビニルアセタール樹脂と、該ポリビニルアセタール樹脂以外の熱硬化性樹脂とを併用して形成されたものが好ましい。
この場合、その割合は、ポリビニルアセタール樹脂10〜35質量部、その他の熱硬化性樹脂5〜20質量部とすることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂が少なすぎると、多孔質部分が少なくなり、弾性が失われ、砥石硬度が高くなるおそれがあり、その他の熱硬化性樹脂が少なすぎると、ポリビニルアセタール樹脂の多孔質部分と微細砥粒との結合力が悪くなり、砥石の硬度が低下するおそれがある。
上述したように、ポリビニルアセタール製弾性砥石は、多数の微小気孔を有する多孔性のものが好ましいが、これを多孔性にする手段としては、ポリビニルアセタール樹脂生成過程において、事前に気孔生成剤としてコーンスターチ等の気孔生成剤を添加し、アセタール化反応後、コーンスターチ等の気孔生成剤を水で洗い流し出すことにより、コーンスターチ等の気孔生成剤が反応中存在していた部分を気孔として砥石内に生成させる方法等が採用される。
また、ポリウレタン製砥石も好適に使用できる。このポリウレタン製砥石としては、ポリエーテル系及び/又はポリエステル系ポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られたポリウレタンからなるものを使用することができる。ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が用いられ、有機イソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等を使用することができる。
このポリウレタン製砥石も多孔性であることが好ましいが、多孔性にする手段としては、水等の公知の発泡剤を加える方法、反応硬化時に撹拌によって空気を巻き込む方法等が挙げられる。
なお、多孔性砥石は連通気泡構造でも独立気泡構造でもよいが、気孔径30〜150μmが好ましい。
上記合成樹脂製弾性砥石には、微細砥粒を配合させることが好ましく、この場合、その配合量は砥石全体の20〜60質量%、特に30〜50質量%とすることが好ましい。微細砥粒としては、平均粒径が1〜5μm程度の微粒のものが好ましく、材質としてはアルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及びジルコンサンド等を単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、特に、本発明に従って定盤の表面調整を行った後、研磨ワークを研磨する際に使用する遊離砥粒と材質、粒度が同一のものを使用することが好ましい。
このように、砥粒を配合して砥石に砥粒を分散、固定することにより表面調整を効率よく行うことができ、またこの場合、研磨ワークの研磨加工に用いる遊離砥粒と同じ砥粒を分散、固定すれば、この砥石を用いて定盤の表面調整を行った場合、表面調整後に万一この砥石からの砥粒が脱落して定盤表面に残存していたとしても、これは研磨ワークの研磨に用いる遊離砥粒と同じ砥粒であるから、残存砥粒によってワークに引っかき傷をつける等の不都合はない。
本発明において、上記合成樹脂製弾性砥石は、そのロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120、特に−70〜−100のものを使用するもので、ロックウェル硬度が低すぎると、研磨による砥石消耗量が増大し、経済的でなくなってしまう。ロックウェル硬度が高すぎると、弾性砥石特有のスプリング効果が失われて、均一に定盤の表面を調整することができなくなってしまう。この場合、ロックウェル硬度は、スケールとして圧子直径1/2インチ鋼球を用いて試験荷重100kgでのHRS数値である。
また、上記弾性砥石は、上述したように、多数の微小気孔(セル)を有する多孔性砥石が好ましいが、この場合、微小気孔(セル)の大きさ[セル径(気孔径)]は30〜150μm、特に40〜100μmが好ましい。この場合、気孔径30μm未満では弾性砥石としての弾性が小さくなり、スプリング効果が失われる。また、気孔径150μmを超えるとスプリング効果を得やすいが、砥石組織が粗となり、砥石消耗量が増大し、経済的でなくなってしまう。上記弾性砥石は、嵩密度が0.2〜0.7g/cm3であることが好ましく、0.3〜0.5g/cm3のものがより好ましい。嵩密度が低すぎると、砥石組織が粗となり、砥石全体が脆く、研磨中に砥石が破壊してしまう。嵩密度が高すぎると、砥石組織が過密状態となり、弾性によるスプリング効果が失われる。
なお、本発明に係る砥石の形状は、特に制限はなく、円形状、四角,六角,八角等の正多角形状など、種々の平面形状に形成でき、その厚さは10〜75mm程度とすることが好ましい。
ここで、本発明の研磨パッド表面調整用砥石は、研磨ワークを研磨する前の新しい研磨パッドの表面調整に使用することもできるが、研磨ワークの研磨に使用し、表面が荒れ、劣化した研磨パッド、特にこのような研磨ワークに使用して表面が荒れた研磨パッドをドレッシング、とりわけダイヤモンドドレッサーにてドレッシングした後の研磨パッドの表面を調整するのに有効に使用し得、本発明の砥石にて表面調整された研磨パッドは、その後に更なるコンディショニングを行う必要なく、そのまま研磨ワークの研磨に使用し得る。
この場合、本発明の砥石を用いて研磨パッドを表面調整する方法としては、本発明の砥石を保持し得る保持用孔部を有する調整用キャリアーを用意し、この保持用孔部に本発明の砥石を嵌挿、保持させる。なお、キャリアーとしては、本発明の砥石の平面形状が研磨ワークの平面形状と同じである場合は、この研磨ワークの保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーをそのまま調整用キャリアーとして使用することができる。また、砥石が研磨ワークと異なる形状の場合、該砥石平面形状と同じ平面形状の保持用孔を有する調整用キャリアーを準備し、この保持用孔に砥石を嵌挿する。なお、調整用キャリアーは、上記研磨ワークを保持するキャリアーと同一材質であるか、定盤と同一材質であることが異種材質の混入を防止できるので望ましい。ここで、これらキャリアーは、通常鉄、鋳鉄、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂等にて形成される。
一方、研磨定盤上に表面調整すべき研磨パッドを取り付け、この研磨パッド上に前記キャリアーをその孔部に保持された砥石が研磨パッドと当接するように配設し、前記定盤を回転させ、これと一体に研磨パッドを回転させると共に、前記キャリアーを回転させ、研磨パッドを砥石により研磨する。この際、研磨は前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して行う。砥粒としては、前記したものが挙げられるが、その後に行う研磨ワークの研磨に用いる遊離砥粒と同一の砥粒を使用することが、たとえ上記弾性砥石によるパッドの研磨処理後にパッドに遊離砥粒が残ったとしても、その後の研磨ワークの研磨に支障が生じないため、好ましい。
なお、上記の表面調整は、上下の定盤を有する研磨装置において、それぞれ上下の定盤に処理すべき研磨パッドを取り付けると共に、これら研磨パッド間に前記調整用キャリアーをその孔部に保持させた弾性砥石が上下両パッドに当接するように介装させ、上下の両研磨パッドを同時に処理することもできるが、一方の研磨パッドのみを処理するようにしてもよい。
また、上記表面調整の条件、例えば定盤やキャリアーの回転数などは実際に研磨パッドで研磨ワークを研磨するときと同様の条件を採用することができる。なお、表面調整時間は適宜選定されるが、通常30〜60分程度である。
上記研磨ワークに使用した後の研磨パッドを本発明の砥石により処理する前に、予めダイモンドドレッサー等を用いてドレッシングすることが、研磨で表面荒らした研磨パッドを平坦化する点から好ましいが、このドレッシングにより研磨パッドには毛羽立ちが生じる。本発明の研磨パッドは、この毛羽立ちを除去し、より良好な平坦化表面状態を形成し、本発明の研磨パッドによる処理後は、必要によりパッドをブラッシングし、水洗した後、直ちに研磨ワークの研磨に再使用し得るものである。なお、上記ダイヤモンドドレッサー等による研磨パッドのドレッシングは、公知の方法、条件で行うことができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例、比較例]
研磨ワークとして石英ガラスを研磨処理して表面が劣化した下記ポリウレタン製研磨パッド(ロデール社製軟質ポリウレタンフォーム)を#400ダイヤモンドドレッサー(ノリタケ社製)を用いて水をかけながらドレッシングした。
次いで、研磨装置として不二越機械社製6B両面研磨機を用い、上下の定盤(サイズ:470mmφ)にそれぞれ上記ダイヤモンドドレッシングした研磨パッドを両面粘着テープを用いて取り付けた。
一方、弾性砥石として、下記ポリウレタン弾性砥石(ロデール社製酸化セリウム入りポリウレタンフォーム)を準備した。この場合、この弾性砥石には、研磨砥粒として平均粒径1μmの酸化セリウムを40wt%の割合で分散、固定した。この砥石の平面形状と同じ形状の孔部を有する調整用キャリアーの該孔部に上記砥石を嵌挿し、この調整用キャリアーを上記上下の定盤に取り付けられた研磨パッド間に介装、配設し、遊離研磨砥粒として平均粒径1μmの酸化セリウムを研磨パッドに供給しながら下記条件で研磨パッドの研磨(表面調整)を行った。
研磨パッド
形状・サイズ:470mmφ
材質:軟質ポリウレタンフォーム
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−90
嵩密度:0.45g/cm3
弾性砥石
形状・サイズ:外径120mmφ×内径50mmφ×厚さ20mm
材質:酸化セリウム入りポリウレタンフォーム
セル径(気孔径):50μm
ロックウェル硬度:−90
嵩密度:0.45g/cm3
研磨(表面調整)条件
研磨荷重:100g/cm3
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:酸化セリウム(ミレークES−1)
砥粒濃度:20wt%
遊離砥粒供給量:500ml/min
研磨時間:30min
上記のようにして表面調整を行った研磨パッドの顕微鏡写真を図1(A),(B)に示す。(A)はパッド平面の写真(倍率100倍)であり、(B)はパッド断面の写真(倍率150倍)である。また、比較のため、図2(A),(B)に上記ダイヤモンドドレッサーにてドレッシングした後の研磨パッドの顕微鏡写真を示す。(A)はパッド平面の写真(倍率100倍)、(B)はパッド断面の写真(倍率150倍)である。
次に、上記のように表面調整を行った研磨パッドを用いて、研磨ワークの研磨を下記条件で行った。
ワーク:石英ガラス
ワークサイズ:76mm×76mm
1バッチワーク使用枚数:6枚
1バッチ研磨時間:60min
リサイクル:有
定盤サイズ:6B
上定盤回転数:20rpm
下定盤回転数:60rpm
加重:100g/cm2
酸化セリウム水溶液:濃度20wt%
滴下量:500ml/min
使用砥粒:酸化セリウム(ミレークES−1)
上記の研磨操作によってワークを研磨した場合の研磨レートの結果を図3に、ワーク表面粗度の結果を図4に示す。比較のため、ダイヤモンドドレッシングを行った状態の研磨パッドを用いて同様の研磨を行った場合の結果を図3、図4に併記する。図3,4中、Aは本発明の砥石で表面調整を行った研磨パッドを用いた場合の結果であり、Bはダイヤモンドドレッサーでドレッシングを行った研磨パッドを用いた場合の結果である。
実施例の弾性砥石を用いて表面調整を行った後の研磨パッドの顕微鏡写真を示し、(A)はパッドの平面、(B)はパッドの断面を示す写真である。 比較例のダイヤモンドドレッサーにてドレッシングした後の研磨パッドの顕微鏡写真を示し、(A)はパッドの平面、(B)はパッドの断面を示す写真である。 実施例の弾性砥石を用いて表面調整を行った研磨パッド、及び比較例のダイヤモンドドレッサーにてドレッシングした後の研磨パッドを用いて石英ガラスの研磨を行った場合の研磨レートの結果を示すグラフである。 同ワーク表面粗度の結果を示すグラフである。

Claims (18)

  1. 研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを下定盤と上定盤との間にそれぞれ研磨パッドを介して挾持し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持し、前記両定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッドにより前記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨パッドを表面調整するためのパッド表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする研磨パッド表面調整用砥石。
  2. 合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項1記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  3. 弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項2記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  4. 弾性砥石の嵩密度が0.2〜0.7g/cm3である請求項1,2又は3記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  5. 弾性砥石に、前記研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  6. 弾性砥石が砥粒を含まない請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  7. 研磨ワークがシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、又はセラミックスである請求項1〜6のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  8. 研磨パッドが多数の微小気孔を有するポリウレタン製のものである請求項1〜7のいずれか1項記載の研磨パッド表面調整用砥石。
  9. 砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを研磨パッドを介して定盤上に配設し、前記キャリアーの孔部に砥石としてロックウェル硬度(HRS)が−50〜−120である合成樹脂製弾性砥石を保持させ、前記定盤及びこれと一体に研磨パッドと前記キャリアーとをそれぞれ回転させると共に、前記研磨パッドに遊離砥粒を供給して、該研磨パッド表面を前記弾性砥石で研磨して該パッド表面を平坦化することを特徴とする研磨パッドの表面調整方法。
  10. 研磨パッドが、研磨ワークを研磨することにより表面が劣化した研磨使用後のものである請求項9記載の表面調整方法。
  11. 研磨パッドが、上記研磨使用後に予めドレッシングにより表面処理されたものである請求項10記載の表面調整方法。
  12. ドレッシングがダイヤモンドドレッサーを用いたドレッシングである請求項11記載の表面調整方法。
  13. 研磨パッドが多数の微小気孔を有するポリウレタン製のものである請求項9〜12のいずれか1項記載の表面調整方法。
  14. 遊離砥粒として、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒を使用する請求項9〜13のいずれか1項記載の表面調整方法。
  15. 合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項9〜14のいずれか1項記載の表面調整方法。
  16. 弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項15記載の表面調整方法。
  17. 弾性砥石の嵩密度が0.2〜0.7g/cm3である請求項9〜16のいずれか1項記載の表面調整方法。
  18. 弾性砥石が、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項9〜17のいずれか1項記載の表面調整方法。
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