JP2007196305A - 難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下部層が3〜20μmのTi化合物層、上部層が1.5〜5.9μmの改質α型Al2O3層からなる硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆サーメット工具の前記下部層と上部層の間に、補強層として、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定して、傾斜角度数分布グラフを作成した場合、75〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記75〜90度の範囲内に存在する度数の合計が度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ0.1〜1.9μmの補強α型Al2O3層を介在させ、かつ前記改質α型Al2O3層の表面粗さをRa:0.2μm以下としてなる。
【選択図】図3
Description
(1)下部層が、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(2)上部層が、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図2に概略説明図で示される通り、上記工具基体表面と平行な研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、図4に例示される通り、0〜15度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜15度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1.5〜6μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層(以下、改質α型Al2O3層という)、
以上(1)および(2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆サーメット工具が知られており、この被覆サーメット工具は、上記改質α型Al2O3層がα型Al2O3自身のもつすぐれた高温硬さおよび耐熱性に加えて、すぐれた高温強度を具備することから、例えば各種の一般鋼や普通鋳鉄などの高速切削加工などに用いた場合にも、すぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮することも知られている。
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:1〜5%、CO2:0.1〜2%、HCl:0.3〜3%、H2S:0.5〜1%、Ar:20〜35%、H2:残り、
反応雰囲気温度:1050〜1100℃、
反応雰囲気圧力:6〜10kPa、
の条件で蒸着形成されることも知られている。
(a)上記の従来被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成するTi化合物層(下部層)と改質α型Al2O3層(上部層)の間に、通常の化学蒸着装置を用い、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:1〜5%、CO2:3〜7%、HCl:0.3〜3%、H2S:0.02〜0.4%、H2:残り、
反応雰囲気温度:750〜900℃、
反応雰囲気圧力:20〜30kPa、
の条件で酸化アルミニウム(以下、Al2O3で示す)層を0.1〜1.9μmの平均層厚で形成すると、この結果形成されたAl2O3層は、同じくα型の結晶構造を有し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a),(b)に示される通り、同じく上記工具基体表面と平行な研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、図3に例示される通り、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、試験結果によれば、化学蒸着装置における反応雰囲気圧力を、上記の通り20〜30kPaの範囲内で変化させると、上記シャープな最高ピークの現れる位置が傾斜角区分の75〜90度の範囲内で変化すると共に、前記75〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占めるようになり、この結果の傾斜角度数分布グラフにおいて75〜90度の範囲内に傾斜角区分の最高ピークが現れるAl2O3層(以下、補強α型Al2O3層という)は、上記の改質α型Al2O3層(上部層)とTi化合物層(下部層)の間にあって、前記改質α型Al2O3層を十分に補強し、切削抵抗の高い上記の難削材の高速切削加工においても前記改質α型Al2O3層にチッピングが発生するのを一段と抑制し、耐摩耗性向上に寄与すること。
通常の化学蒸着装置を用い、通常の条件、例えば表3に示される条件で、かつ、0.5〜5μmの平均層厚で、窒化チタン(以下、TiNで示す)層を蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒(以下、Al2O3微粒で示す)を配合した研磨液を噴射すると、上記TiN層(以下、TiN研磨材層という)は、前記Al2O3微粒によって粉砕微粒化し、TiN微粒となって前記Al2O3微粒の共存下で研磨材として作用し、硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al2O3層の表面を研磨することになり、この結果研磨後の前記改質α型Al2O3層の表面は、準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定(以下の表面粗さは全てかかる準拠規格に基いた測定値を示す)で、Ra:0.2μm以下の表面粗さにまで平滑化されるようになり、この上部層である改質α型Al2O3層の表面がRa:0.2μm以下の表面粗さに平滑化した上記の被覆サーメット工具を用いて、難削材の高速切削加工を行った場合、350m/min.を越える切削速度でも前記表面粗さの平滑化によって前記改質α型Al2O3層の摩耗進行が抑制されるようになり、この結果工具の使用寿命の一段の延命化が可能となること。
なお、この場合、上記改質α型Al2O3層の表面に、上記のTiN研磨材層を形成することなく、これに同じくウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%のAl2O3微粒を配合した研磨液を直接噴射して、研磨しても、前記改質α型Al2O3層の表面は、Ra:0.3〜0.6μmの表面粗さにしか研磨されず、この結果の表面粗さがRa:0.3〜0.6μmの改質α型Al2O3層で上部層を構成し、下部層がTi化合物層で構成した被覆サーメット工具を用いても、切削速度が350m/min.を越えた難削材の高速切削加工では表面平滑化による摩耗抑制効果が十分に発揮されず、満足な使用寿命の延命化は図れないこと。
以上(a)〜(c)に示される研究結果を得たのである。
(1)下部層が、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(2)上部層が、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、上記工具基体表面と平行な研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜15度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜15度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1.5〜5.9μmの平均層厚を有する改質α型Al2O3層、
以上(1)および(2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆サーメット工具において、
(a)上記の下部層であるTi化合物層と上部層である改質α型Al2O3層の間に、補強層として、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、上記工具基体表面と平行な研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、
75〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記75〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ0.1〜1.9μmの平均層厚を有する補強α型Al2O3層、
を介在させ、
(b)さらに、上記硬質被覆層の上部層である改質α型Al2O3層の全面に、
0.5〜5μmの平均層厚で、TiN研磨材層を蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%のAl2O3微粒を配合した研磨液を噴射し、
上記のTiN研磨材層のウエットブラストによる粉砕化TiN微粒と、噴射研磨材としてのAl2O3微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al2O3層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さをRa:0.2μm以下としてなる、
難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆サーメット工具に特徴を有するものである。
(A)硬質被覆層
(a−1)Ti化合物層(下部層)
Ti化合物層は、基本的には改質α型Al2O3層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層が高温強度を具備するようにするほか、工具基体と補強α型Al2O3層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用を有するが、その合計平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴なう高速切削では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その合計平均層厚を3〜20μmと定めた。
改質α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフにおける測定傾斜角の最高ピーク位置は、化学蒸着装置における反応雰囲気圧力を変化させることによって変化するが、試験結果によれば、上記蒸着条件のうちの反応雰囲気圧力を6〜10kpaとすると、最高ピークが、0〜15度の範囲内の傾斜角区分に現れると共に、前記0〜15度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すようになるものであり、したがって、前記反応雰囲気圧力が前記範囲から低い方に外れても、また高い方に外れても、前記0〜15度の範囲内に測定傾斜角の最高ピークが現れなくなり、このような場合には所望のすぐれた高温強度を具備することができないものである。
また、改質α型Al2O3層は、α型Al2O3自身のもつすぐれた高温硬さおよび耐熱性に加えて、高温強度も具備するようになるが、その平均層厚が1.5μm未満では、前記特性を硬質被覆層に十分に具備せしめることができず、また、その平均層厚が5.9μmを越えると、難削材の高速切削加工ではチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1.5〜5.9μmと定めた。
上記の通り、補強α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフにおける測定傾斜角の最高ピーク位置は、化学蒸着装置における反応雰囲気圧力を変化させることによって変化するが、試験結果によれば、上記蒸着条件のうちの反応雰囲気圧力を、20〜30kPaとすると、最高ピークが75〜90度の範囲内の傾斜角区分に現れると共に、前記75〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すようになるものであり、したがって、前記反応雰囲気圧力が前記範囲から低い方に外れても、また高い方に外れても、75〜90度の範囲内に測定傾斜角の最高ピークが現れなくなり、このような場合には所望のすぐれた補強作用を発揮することができないものである。
また、その平均層厚が0.1μm未満では、上記改質α型Al2O3層に対する補強作用が不十分であり、一方、その平均層厚が1.9μmを越えると、難削材の高速切削加工ではチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を0.1〜1.9μmと定めた。
上記の通り、TiN研磨材層は、ウエットブラスト時に、研磨液に噴射研磨材として配合したAl2O3微粒によって粉砕微粒化し、TiN微粒となって前記Al2O3微粒との共存下で研磨材として作用し、硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al2O3層の表面を研磨するが、この場合、その平均層厚が0.5μm未満では、ウエットブラスト時における粉砕化TiN微粒の割合が少な過ぎて、研磨機能を十分に発揮することができず、一方、その平均層厚が5μmを越えると、研磨液に噴射研磨材として配合したAl2O3微粒とのバランスがくずれて、相対的に多くなり過ぎ、この場合も研磨機能が急激に低下するようになり、いずれの場合もα型Al2O3層の表面をRa:0.2μm以下の表面粗さに研磨することができなくなるという理由で、その平均層厚を0.5〜5μmと定めた。
研磨液のAl2O3微粒には、ウエットブラスト時にTiN研磨材層の粉砕化TiN微粒と共存した状態で、改質α型Al2O3層の表面を研磨する作用があるが、その割合が水との合量に占める割合で15質量%未満でも、また60質量%を越えても研磨機能が急激に低下するようになることから、その割合を15〜60質量%と定めた。
(a)まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表5に示される目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成し、
(b)ついで、反応ガス組成:容量%で、AlCl3:2.2%、CO2:5%、HCl:2%、H2S:0.15%、H2:残り、
反応雰囲気温度:850℃、
反応雰囲気圧力:20〜30kPaの範囲内の所定の圧力、
の条件で表5に示される目標層厚で、補強α型Al2O3層を蒸着形成し、
(c)さらに、反応ガス組成:容量%で、AlCl3:2.2%、CO2:1.5%、HCl:2%、H2S:0.75%、Ar:26.5%、H2:残り、
反応雰囲気温度:1070℃、
反応雰囲気圧力:6〜10kPaの範囲内の所定の圧力、
の条件で同じく表5に示される目標層厚で、同じく上部層として改質α型Al2O3層を蒸着形成し、
(d)さらに、同じく表3に示される条件でTiN研磨材層を、同じく表5に示される目標層厚で蒸着形成し、
引き続いて、表4に示されるブラスト条件で、かつ表5に示される組み合わせでウエットブラストを施して、上記工具基体A〜Fについては、中心部の工具取り付け用ボルト貫通孔周辺部の上記TiN研磨材層は除去せずに残した状態、また、上記の工具基体a〜fについては、クランプ駒当接面部分(すくい面中心部)の上記TiN研磨材層は除去せずに残した状態で、前記改質α型Al2O3層(上部層)の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面を、同じく表5に示される表面粗さに研磨することにより本発明被覆サーメット工具1〜13をそれぞれ製造した。
すなわち、上記傾斜角度数分布グラフは、上記の本発明被覆サーメット工具1〜13と従来被覆サーメット工具1〜13の改質α型Al2O3層、および本発明被覆サーメット工具1〜13の補強α型Al2O3層について、それぞれ工具基体表面と平行な面をそれぞれ研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、それぞれの前記研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、前記改質α型Al2O3層については0〜45度、前記補強α型Al2O3層については45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
また、表7,8には、上記の各種の改質α型Al2O3層および補強α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフにおいて、それぞれ0〜15度および75〜90度の範囲内の傾斜角区分に存在する全傾斜角度数の傾斜角度数分布グラフ全体に占める割合を示した。
なお、図3は、本発明被覆サーメット工具4の補強α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフ、図4は同工具の改質α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフである。
被削材:JIS・SUS304の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:360m/min.、
切り込み:1.0mm、
送り:0.15mm/rev.、
の条件(切削条件Aという)でのステンレス鋼の乾式断続高速切削試験(通常の切削速度150m/min.)、
被削材:JIS・SS400の丸棒、
切削速度:390m/min.、
切り込み:2.0mm、
送り:0.35mm/rev.、
の条件(切削条件Bという)での軟鋼の乾式連続高速切削試験(通常の切削速度は250m/min.)、さらに、
被削材:JIS・SCMnH1の丸棒、
切削速度:380m/min.、
切り込み:2.5mm、
送り:0.4mm/rev.、
の条件(切削条件Cという)での高マンガン鋼の乾式連続高速切削試験(通常の切削速度は250m/min.)を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅が、一般に切削工具の使用寿命の目安とされている0.3mmに至るまでの切削時間を測定した。この測定結果を表9に示した。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(1)下部層が、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(2)上部層が、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、上記工具基体表面と平行な研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜15度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜15度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1.5〜5.9μmの平均層厚を有する改質α型酸化アルミニウム層、
以上(1)および(2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆サーメット製切削工具において、
(a)上記の下部層であるTi化合物層と上部層である改質α型酸化アルミニウム層の間に、補強層として、同じく化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、上記工具基体表面と平行な研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、
75〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記75〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の50%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ0.1〜1.9μmの平均層厚を有するα型酸化アルミニウム層、
を介在させ
(b)さらに、上記硬質被覆層の上部層である改質α型酸化アルミニウム層の全面に、
0.5〜5μmの平均層厚を有する窒化チタン層で構成された研磨材層を蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒を配合した研磨液を噴射し、
上記の研磨材層のウエットブラストによる粉砕化窒化チタン微粒と、噴射研磨材としての酸化アルミニウム微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質α型酸化アルミニウム層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さを準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定で、Ra:0.2μm以下としたこと、
を特徴とする難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具。
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