JP2007194386A - 光半導体装置とその製造方法、光ディスク装置、および光伝送システム - Google Patents

光半導体装置とその製造方法、光ディスク装置、および光伝送システム Download PDF

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Abstract

【課題】従来の非アロイ型電極と同等のコンタクト抵抗および長期的な信頼性を確保しつつ、光吸収による伝播効率の低下のないp側オーミック電極を実現できる光半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板101上に、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)110を最上層として含む半導体層積層体102-110を形成する。続いて、フッ酸を用いて、p型InxGa1−xAs層110の表面を洗浄する。洗浄されたp型InxGa1−xAs層110の表面にAl層111a単独あるいはAl層を最下層とする金属多層膜111a-111cを堆積した後、450℃を超え、かつ、550℃以下の温度で熱処理を行って、p型InxGa1−xAs層110上にp側オーミック電極層111を形成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、光半導体装置、特に、結晶中を光が伝播する半導体レーザ装置等の光半導体装置、およびその製造方法に関し、より詳しくは、そのような光半導体装置のp側オーミック電極の形成に関する。さらに、この発明は、そのような半導体レーザ装置を備えた光ディスク装置および光伝送システムに関する。
半導体レーザ装置に代表される光半導体装置は、光ディスク装置や光伝送システムなどに数多く使用されており、現在もその開発が精力的に進められている。
従来、光半導体装置のオーミック電極としては、n型のGaAs系半導体材料に対してはAuGe/Niが、p型のGaAs系半導体材料に対してはAuZnが一般的に使用されてきた。しかしながら、光半導体装置の長期的な信頼性を確保するためには、半導体層へのAuの拡散を防止することが肝要であるため、p側電極として、アロイ型であるAuZnに代わって、Ti/Pt/Au等の非アロイ型電極を用いる方法が、近年の主流となってきている(例えば、特許文献1:特開平7−211982、特許文献2:特開2000−114660参照)。
Ti系のオーミック電極は、電極材料であるTiが熱や通電の影響により半導体層中に深く拡散することがないため、長期的な信頼性の面で優れており、リッジ導波型半導体レーザ素子のように、光の導波路から近いところに電極が形成される場合に特に多用されている(特許文献2:特開2000−114660参照)。
なお、非アロイ型となる金属としては、上述したTi/Pt/Auの他、Mo/Au、W、WSi、WN、WAlなどがある(特許文献3:特許公報第2906407号)。
しかしながら、このような非アロイ型のp側オーミック電極を有する光半導体装置は、長期的な信頼性は改善されるものの、光の伝播効率の低下という問題があることが分かった。これは、これまで使用されてきた非アロイ型金属が概して半導体層と同程度の屈折率を有することに起因している。例えば、上述した非アロイ型の金属では、Tiの屈折率が波長:650nmから1.5μmにおいて3.03から3.6であり、Moの屈折率は波長:622nmから1.6μmにおいて3.56から4.31であり、Wの屈折率は波長:800nmから1.31μmにおいて2.83から3.34である。このように半導体層に接するように形成される金属材料が3前後の屈折率をもつ一方で、導波路構造を形成する半導体材料の屈折率も3程度であるため、両者の屈折率はほとんど変わらない。
このような相対的に半導体層と同程度の屈折率を有する非アロイ型の金属材料は、特にこれが光の伝播する導波路近傍に配置されている場合には、結晶中を伝播する光の分布に影響を与えるため、電極方向へ光が漏れてしまうことがある。一般に半導体材料に比べて金属材料の光吸収係数は10倍から10倍も大きい。そのため、電極を形成する金属材料にまで光が漏れてしまうと、非常に大きな光吸収が発生し、伝播効率を著しく下げてしまうのである。
特開平7−211982号公報(第2頁) 特開2000−114660号公報(第3頁、第1図) 特許公報第2906407号(第2頁)
そこで、この発明の主たる課題は、上述した従来の非アロイ型電極と同等のコンタクト抵抗および長期的な信頼性を確保しつつ、光吸収による伝播効率の低下のないp側オーミック電極を実現できる光半導体装置の製造方法を提供することにある。
この発明のさらなる課題は、そのような製造方法を用いることにより、長期的な信頼性と良好な伝播効率とを有する光半導体装置を提供するとともに、そのような光半導体装置を備えた光ディスク装置および光伝送システムを提供することにある。
上述したオーミック電極として使用される金属材料による光吸収の問題を解決するための手段として、光半導体装置で一般に使用される波長450nmから1μm超(1.55μm程度)までの範囲の光に対して屈折率が0.5から2程度と、半導体層に比べて十分に小さい屈折率を有するAl(アルミニウム)を使用することが考えられる。しかしながら、従来の非アロイ型オーミック電極と同等のコンタクト抵抗および長期信頼性を有するようなAlからなるp側オーミック電極の形成方法の詳細はこれまで明らかにされていなかった。
この発明は、以下の手段を講じることにより、良好なコンタクト抵抗と信頼性とを有するp型Alオーミック電極を実現できる光半導体装置の製造方法を提供するものである。
すなわち、この発明の光半導体装置の製造方法は、基板上に、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)を最上層として含む半導体層積層体を形成する工程と、少なくとも酸を用いて、前記p型InxGa1−xAs層の表面を洗浄する工程と、洗浄された前記p型InxGa1−xAs層の表面にAl層を堆積した後、450℃を超え、かつ、550℃以下の温度で熱処理を行って、前記p型InxGa1−xAs層上にAlオーミック電極層を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
前記酸としては、フッ酸、特にバッファードフッ酸が望ましいが、硫酸、燐酸等も使用可能である。
一実施形態では、前記p型InxGa1−xAs層の表面を洗浄する工程は、前記酸としてフッ酸を用いて30秒から5分間洗浄する第1の洗浄工程を含んでいる。
前記p型InxGa1−xAs層のp型ドーピング濃度を5×1019cm−3以上とするのは、この層に接するAlオーミック電極層との間のコンタクト抵抗を低くするためである。
また、Al層の熱処理を450℃を超え、かつ、550℃以下の温度で行うのは、450℃以下では、p型InxGa1−xAs層の高いp型ドーピング濃度にも拘わらず、Alオーミック電極層とこのp型InxGa1−xAs層間のコンタクト抵抗を十分に低く、具体的には、10−6Ωcm台にできないからであり、550℃を超えると、加熱温度が結晶の成長温度に近づくため、光の生成に関係する半導体層(つまり、活性層)に悪影響を及ぼす可能性が高いからである。
以上より明らかなように、この発明の製造方法は、オーミック電極を形成する半導体層として、5×1019cm−3以上にp型ドーピングされたInGa1−xAs(0≦x≦0.5)を用い、この半導体層に対して酸による洗浄工程を実施してその表面を清浄化した上で、Al層を堆積して、450℃を超え、好ましくは500℃以上、かつ、550℃以下の範囲の高温度で熱処理してすることで、Alオーミック電極層を形成するものであるから、十分良好なコンタクト抵抗(10−6Ωcm台)を得ることができる。
なお、本明細書において、上記p型InxGa1−xAs層は、In組成比xが0のときには「p型GaAs層」とも言い表し、また、In組成比xが0以外のときには、「p型InGaAs層」とも言い表すことにする。
この製造方法で製造された光半導体装置(例えば、半導体レーザ装置)のAlオーミック電極層は、光半導体装置で一般に使用される波長450nmから1μm超(1.55μm程度)までの範囲の光に対して光吸収が小さく、従来の非アロイ型電極と同等のコンタクト抵抗および長期的な信頼性を確保できることが確かめられた。したがって、この方法で製造される光半導体装置は、光吸収による伝播効率の低下が抑制され、性能および長期的な信頼性の点で優れたものとなる。
ところで、この製造方法で製造された光半導体装置のAlオーミック電極層が従来の非アロイ型電極と同等のコンタクト抵抗を有するのは次の理由によるものと考えられる。
本発明の製造方法では、p型InxGa1−xAs層上にAlを堆積させる工程の前に、この層の表面を少なくともフッ酸等の酸で洗浄する工程を実施しているのであるが、この洗浄工程により、p型InxGa1−xAs層の表面に存在していた自然酸化膜等の酸化膜が除去される。そして表面の酸化膜が除去された状態で、Al層を堆積して上記の範囲内の温度での熱処理を行うことにより、InxGa1−xAs層とAl層との界面に少なくとも部分的に、酸素原子を含まないInxGa1−xAsとAlの薄い合金層ができる。また、たとえ合金層が形成されなくても、InxGa1−xAs層とAl層との間には抵抗値を高める要因となる酸化膜が存在しない。この結果、低いコンタクト抵抗が実現するものと考えられる。
また、Alオーミック電極層が長期的な信頼性を有するのは、Al層が光半導体装置の使用温度に対して十分に高い温度で熱処理されるために、結果として得られたAlオーミック電極層の抵抗値は長期にわたって変化せず、安定しているからである。それに加えて、Alオーミック電極層のAlは熱や通電によって半導体層中に深く拡散することがないので、この点においても、長期的な信頼性を提供することになる。
なお、上記洗浄工程は、その目的と意義を考慮すると、できる限りAl堆積工程の直前に行い、Al堆積までの間にOプラズマ処理など半導体層の表面酸化を促進させるような工程を行わないことが重要である。
一実施形態では、前記第1の洗浄工程で用いるフッ酸は、フッ化アンモニウムまたは純水によって10倍から100倍に希釈されたバッファードフッ酸である。
前記第1の洗浄工程で用いるフッ酸として、このようなバッファードフッ酸を用いるのは、光半導体装置において光閉じ込め(クラッド)層としてよく用いられるAlを含んだ半導体材料(AlGaAsやAlGaInP等)が前記洗浄工程中にエッチング作用により侵食されることを防止しつつ、十分な表面洗浄効果を得るためである。希釈倍率が10倍未満の場合、前記光閉じ込め(クラッド)層が簡単にエッチングされてしまう。また、希釈倍率が100倍を超えると表面洗浄効果が不十分になる。
前記p型InxGa1−xAs層の表面を洗浄する工程は、前記フッ酸による洗浄後、純水を用いて少なくとも5分以上洗浄する第2の洗浄工程をさらに含んでいてもよい。
この第2の洗浄工程を行うのは、前記p型InxGa1−xAs層の表面のフッ酸を十分に除去するためである。純水洗浄後は、ベーキングなどの加熱乾燥工程は避けるべきである。
前記第1の洗浄工程と第2の洗浄工程との組み合わせにより、光閉じ込め層に影響を与えることなく、Alオーミック電極層を形成するのに最適な前処理が実現される。
一実施形態では、前記光半導体装置は、前記p型InxGa1−xAs層を最上層とするリッジを有し、前記半導体層積層体を形成する工程は、前記基板上に、少なくとも、n型クラッド層と、活性層と、p型クラッド層と、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)を順次結晶成長させる工程と、前記p型InxGa1−xAs層のリッジ外領域と、前記p型クラッド層の少なくとも前記InxGa1−xAs層側の部分のリッジ外領域を除去して、前記リッジを形成する工程とを含んでいる。
ここで、「リッジ外領域」とは、リッジ形成前にあっては、半導体層積層体におけるリッジが形成されるべき領域の側方の領域のことであり、リッジ形成後にあっては、半導体層積層体におけるリッジ側方の領域のことである。
この製造方法を用いることにより、従来の非アロイ型電極と同等のコンタクト抵抗と長期信頼性を実現しつつ、導波路中の光分布への影響を排除でき、光伝播効率の低下を生じさせないAlオーミック電極をリッジ上に有するリッジ導波型の光半導体装置が得られる。
また、この発明の光ディスク装置は、前記いずれかの方法を用いて製造された半導体レーザ装置を備えたことを特徴とする。
この光ディスク装置は、上述した従来の非アロイ型のp側電極を有する半導体レーザ装置を用いた光ディスク装置に比べて、光源となる半導体レーザ装置の光の伝播効率が高いため、長期的な信頼性は維持したまま、より低消費電力での高速書き込みが可能である。
また、この発明の光伝送システムは、前記いずれかの方法を用いて製造された半導体レーザ装置を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、従来よりも高効率な光伝送モジュールを提供することができ、光伝送システムの高性能化を図ることができる。
さらに、本発明の別の側面に係る光半導体装置は、出射光の波長が0.6〜1.55μmである光半導体装置であって、GaAsまたはInPからなる基板と、前記基板上に形成され、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)を最上層として含む半導体層積層体と、前記p型InxGa1−xAs層上に形成され、Al層単独あるいはAl層を最下層とする多層膜からなるp側オーミック電極とを備えたことを特徴とする。
この光半導体装置は、この発明の製造方法に関連して行った上記説明より明らかなように、電極材料による光吸収に起因する伝播効率の低下が殆ど無く、p側オーミック電極とp型InxGa1−xAs層間のコンタクト抵抗が低く、性能および長期的な信頼性の点で優れたものとなる。
なお、p側オーミック電極をAl層を最下層とする多層膜で構成する場合、好ましくは、最上層はAu層である。但し、AlとAuとの2層膜とすると、AlとAuが合金化反応して高抵抗層が形成されることがよくあるため、バリア効果のある金属層を間に挿入することが望ましい。そのような金属としては、Tiの他、Ptに代表されるPt族元素、Wや、WN,WSiなどのタングステンを含む合金、Mo、Cr等が挙げられる。
一方、p側オーミック電極をAl層単独で構成する場合には、Al層の層厚は、少なくとも50nmとすればよく、望ましくは100nm以上である。ストレスの影響を除けば、Al層の層厚は厚いほどよいが、製造コストや時間を考慮すると、500nm以下とするのが実用的である。
前記光半導体装置はリッジ導波型半導体装置であってもよく、この場合、前記p型InxGa1−xAs層はリッジの最上層をなす。
以上より明らかなように、この発明によれば、従来の非アロイ型電極と同等のコンタクト抵抗および長期的な信頼性を確保でき、さらに、光吸収による伝播効率の低下がないAlオーミック電極を有する光半導体装置の製造方法を提供することが可能となり、製造される光半導体装置は、光吸収による伝播効率の低下が殆ど無く、性能および長期的な信頼性の点で優れたものとなる。
また、この発明によれば、従来の光ディスク装置に比べて、より低消費電力で高速書き込みが可能な光ディスク装置を提供できる。
また、この発明によれば、従来よりも高効率な光伝送モジュールを提供することができ、光伝送システムの高性能化を図ることができる。
以下、この発明の光半導体装置とその製造方法および光ディスク装置および光伝送システムを図示の実施の形態により詳細に説明する。
なお、以下の説明では、「n−」、「p−」はそれぞれn型、p型を表す。また、本明細書を通じて、「上」とは、基板から離れる方向を意味し、「下」とは、基板へ近づく方向を意味する。結晶成長は「下」から「上」の方向へ向かって進行する。また、以下の説明では、この発明をリッジ導波型の半導体レーザ装置に適用した例を取り上げているが、この発明は、その他の光半導体装置にも適用可能である。
〔第一実施形態〕
図1は、この発明の第一実施形態の半導体レーザ装置の構造を示したものである。
この半導体レーザ装置は出射光の波長が0.6〜1.55μmである赤色もしくは赤外半導体レーザ装置であり、n−GaAs基板101上に、n−GaAsバッファ層102、n−AlGaAs下クラッド層103、AlGaAs下ガイド層104、多重歪量子井戸活性層105、AlGaAs上ガイド層106、p−AlGaAs第一上クラッド層107、p−InGaAsP半導体層108が順次積層されている。
この半導体層108上に、順メサストライプ形状のリッジ130をなすように、p−AlGaAs第二上クラッド層109とp+−GaAsコンタクト層110(p−InxGa1−xAs層の一例で、この場合、x=0)が設けられている。
そのリッジ130の頂部と側面部および半導体層108の上部に、Al層(層厚:50nm)111aを最下層とし、続いて、Ti層(層厚:10nm)111bとAu層(層厚:300nm)111cとの順に積層して形成された多層金属薄膜からなるp側電極111が設けられている。
また、基板101の裏面には、別の電極層として、AuGe/Ni/Auの多層金属薄膜からなるn側電極112が形成されている。
次に、図2から図4を参照しながら、図1の半導体レーザ装置の製造方法を説明する。なお、半導体レーザ装置の製造は実際にはウェハ単位で製造されるが、図2から図4は、図を簡単にするために、ウェハ全体ではなく、1チップ(チップサイズ:500μm×250μm)分のみを示している。
まず図2に示すように、n−GaAs基板(ウェハ)101の(100)面上に、n−GaAsバッファ層102、n−AlGaAs下クラッド層103、AlGaAs下ガイド層104、多重歪量子井戸活性層105、AlGaAs上ガイド層106、p−AlGaAs第一上クラッド層107、InGaAsP半導体層108(層厚:15nm、Znドーピング濃度:1×1017−3)、p−AlGaAs半導体層109’(層厚:1.28μm、Znドーピング濃度:2.4×1018cm−3)、p−GaAs半導体層110’(層厚:0.5μm、Znドーピング濃度:5×1019cm−3)を順次、MOCVD法(有機金属気相成長法)にて結晶成長させる。
前記多重歪量子井戸活性層105は、InGaAs圧縮歪量子井戸層(歪0.7%、層厚:4.6nm、2層)とInGaAsP引張歪障壁層(歪0.1%、バンドギャップEg≒1.60eV、基板側から層厚:21.5nm、7.9nm、21.5nmの3層であり、基板101に最も近いものが、n側障壁層、最も遠いものがp側障壁層となる)を交互に配置して形成されている。なお、多重歪量子井戸活性層105の構造は、この発明の本質とは直接関係ないため、多重歪量子井戸活性層105の詳細な断面構造は図示していない。
次に、図2に示すように、半導体層110’におけるリッジ130を形成すべき領域(「リッジ領域」という。)113a(図1参照)上に、レジストマスク113(マスク幅3.5μm)をフォトリソグラフィー工程により作製する。このレジストマスク113は、形成すべきリッジ130が延びる方向(紙面に垂直な方向)に対応して、<0−11>方向にストライプ状に延びるように形成される。
次に、図3に示すように、このレジストマスク113をマスクにして、半導体層110’、109’のうち前記レジストマスク113の両側に位置するリッジ外領域113b(図1参照)部分をエッチングにより除去して、p−AlGaAs第二上クラッド層109とp+−GaAsコンタクト層109とからなる順メサストライプ状のリッジ130を形成する。こうして、リッジ130を有する半導体層積層体102−110が得られる。
このエッチングの際、半導体層110’、109’の下側に、これらの半導体層の材料とは異なるp−InGaAsP半導体層108があることにより、選択エッチングを利用した高精度なリッジ形成が可能である。また、p−InGaAsP半導体層108は、Alを含まないため酸化されにくく、完成後の半導体レーザ装置の長期の電流狭窄性の維持(信頼性)に大きな効果がある上、ホールに対するバリアが低く、ホール注入効率を向上させることができるという効果もある。
エッチング終了後に、レジストマスク113は除去する。なお、エッチングにより、リッジ外領域113bの半導体層108は露出することになる。
次に、フッ化アンモニウムで10倍に希釈したバッファードフッ酸溶液を用いて、作製したリッジ130および半導体層108の表面を1分間洗浄する(第1の洗浄工程)。その後、純水を用いて10分間すすぎ洗浄を行う(第2の洗浄工程)。第1の洗浄工程により、リッジ130および半導体層108の表面に存在する自然酸化膜が除去され、第2の洗浄工程により、リッジ130および半導体層108の表面に存在するバッファードフッ酸溶液が十分に除去される。第1の洗浄工程において、フッ化アンモニウムで10倍に希釈したバッファードフッ酸溶液を用いているので、Alを含む半導体材料が無用な侵食を受けるのを防止できる。希釈倍率はさらに高めてもよいが、十分な洗浄力を確保するため、100倍以下に抑えるべきである。
次に、図4に示すように、電子ビーム蒸着法を用いて、Al層111a(層厚:50nm)/Ti層111b(層厚:10nm)/Au層111c(層厚:300nm)の順に金属薄膜を積層形成し、続けて、ラピッドサーマルアニール(RTA)装置を用いて、N雰囲気中で500℃3分間加熱し、Al材料のオーミック化処理を行う。こうして、p側オーミック電極111が形成される。p+−GaAsコンタクト層109の表面は洗浄工程によって表面酸化膜が除去されているため、この熱処理工程において、Al層111aとp+−GaAsコンタクト層110との界面120には、図示しないが、AlとGaAsとの合金薄膜が形成される。たとえ、合金薄膜が形成されなくとも、Al層111aとp+−GaAsコンタクト層110との界面には酸素原子が存在しない。したがって、コンタクト層110の高いp型ドーピング濃度と相俟って、コンタクト抵抗が低くなる。
なお、RTA装置は精密な温度制御が可能であるため、加熱時間が1分〜5分と短時間で済み、量産化する場合にはこの装置の使用が適している。しかし、RTA装置の代わりに、ガラス管の周りに局所的にヒータ線を配した簡易加熱装置を用いてもよい。但し、この場合には、加熱時間をRTA装置を用いるよりも長めの、10〜15分くらいに設定する必要がある。
なお、p側オーミック電極111の電極層堆積工程においては、本実施形態で用いた電子ビーム蒸着法などの真空蒸着法以外にも、スパッタ法などが適用できる。いずれの方法を用いても、最下層のAl層111aの堆積から、最上層のAu層111cの堆積までを、途中で大気中に暴露させることなく、一貫して実施することにより、電極最下層として形成されるAl層を電極形成工程中に酸化させてしまうことがなくなり、電極抵抗の低減が可能となる。
p側オーミック電極111の形成後、図1に示したように、基板101を裏面側から所望の厚み(ここでは、約100μm)にまで、ラッピング法により研削する。そして、裏面側から抵抗加熱蒸着法を用いて、n側電極材料としてAuGe合金(Au88%とGe12%との合金、層厚:100nm)、Ni(層厚:15nm)、Au(層厚:300nm)を積層形成し、RTA装置を用いて、N2雰囲気中で、390℃で1分間加熱し、n側電極材料のアロイ処理を行う。こうして、n側電極112が形成される。
上記の工程を経て得られたウェハを、所望の共振器長(ここでは、500μm)を有する複数のバーに分割した後、前記バーに端面コーティングを行い、さらに前記バーをチップ(500μm×250μm)に分割する。分割後のチップを、In糊剤を用いてステム(図示せず)上に固着する。そして、p側電極111上に、外部回路との電気的接続を行うためのAuワイヤ(不図示)をボンディングする。これで、半導体レーザ装置が完成する。
上述した半導体レーザ装置は、リッジ導波路直上にAlオーミック電極層111aを(この例では最下層として)有するリッジ導波型半導体レーザである。従来のTi系などの非アロイ型オーミック電極に代わって、Alオーミック電極層を光導波路近傍に形成することで、以下に述べるような効果がある。
すなわち、上述した非アロイ型の金属材料からなる従来のp型オーミック電極と異なり、この実施形態の導波路近傍に形成したオーミック電極材料であるAlは、例えば、AMERICAN INSTITUTE OF PHYSICS HANDBOOK THIRD EDITIONの第6章、124〜125頁(下表に抜粋)に示されるように、光半導体装置で一般に使用される波長450nmから1μm超(1.55μm程度)までの範囲の光に対して、その屈折率が0.5から2程度と大幅に小さい。すなわち、Al材料は半導体材料に対して十分に大きな屈折率差(Δn≧1)を持つ。したがって、Alを光導波路近傍に形成する電極材料として使用したことにより、発振したレーザ光を半導体層内に閉じ込める作用を大きくできる。このために光が電極まで漏れ出すことを抑制でき、その結果、この実施形態で製造された半導体レーザ装置は、光吸収による伝播効率の低下が殆ど無いものとなる。

Figure 2007194386
なお、上の表には、0.950μmと2.0μmとの間の波長に対するAlの屈折率は掲載されていないが、発明者の行った計算によると、1.31μmで1.37、1.55μmで1.48であった。
このように、光半導体装置の光伝播効率を高く維持するのに有効なAl材料であるが、これをp型InGa1−xAs(0≦x≦0.5)からなる半導体層に対して、良好なp側オーミック電極として使用するためには、製造工程上、大きく2つのポイントがある。
まず第1点は、p型InGa1−xAs半導体層上にAlを堆積させる工程の前に、前記p型InGa1−xAs半導体層表面を酸、好ましくはフッ酸、で洗浄する工程を実施することである。この工程は、できる限りAl堆積工程の直前に行い、フッ酸洗浄後、Al堆積までの間にOプラズマ処理など半導体層の表面酸化を促進させるような工程を行わないことが重要である。また、光半導体装置では光閉じ込め(クラッド)層として、Alを含む半導体材料(AlGaAsやAlGaInPなど)が多用されるが、このようなAlを含む半導体材料が、前記フッ酸洗浄工程により、無用な侵食を受けないようにするため、洗浄に用いるフッ酸は、フッ化アンモニウムか純水で10倍以上に希釈して用いることが好ましい。希釈倍率が10倍未満の場合、前記光閉じ込め(クラッド)層が簡単にエッチングされてしまう。また、希釈倍率は100倍を超えない方がよい。100倍を超えると表面洗浄効果が不十分になる。さらに前記フッ酸洗浄工程に引き続いて、純水によりすすぎ洗浄を5分以上実施し、半導体表面から十分にフッ酸を除去することが好ましい。ただし、純水洗浄後は、ベーキングなど加熱しての乾燥工程は避けるべきである。
また、前記洗浄工程においては、上述の通りフッ酸、特にバッファードフッ酸を用いることが好ましいが、その他にも硫酸や燐酸などの酸類も使用することができる。
なお、結晶成長後の半導体表面を極めて清浄に保ち、かつ、すみやかにAlを堆積させることができれば、前記洗浄工程を省略することは理屈上可能である。しかしながら、安定した素子特性を歩留りよく得るためには、前記洗浄工程を実施した方が簡便かつ確実である。
第2番目に重要な点は、Al堆積工程後、450℃を超え、好ましくは500℃以上、かつ550℃以下の温度でアニール処理を実施することである。p側オーミック電極層を形成する半導体層として、5×1019cm−3以上(本実施形態では、5×1019cm−3)にp型ドーピングされたInGa1−xAs(0≦x≦0.5)を用い、さらに、第1点目の酸洗浄工程と併せて実施することで、RTA装置を用いた場合には1分から5分程度の加熱時間で十分良好なコンタクト抵抗(10−6Ωcm台)を得ることができる。発明者の実験結果によると、500−550℃の範囲内の温度を用いれば、Alオーミック電極層とp型InxGa1−xAs層間のコンタクト抵抗を2×10−6〜5×10−6Ωcmにできた。
このようにして形成したp型オーミック電極は、その後にn側電極のアロイ処理として400℃前後の熱処理を加えても、そのコンタクト抵抗は変化せず、代表的な非アロイ型電極材料であるTiとそのコンタクト抵抗、長期信頼性とも同等である。加えて、上述したように、十分に低い屈折率を有することから、製造した光半導体装置である半導体レーザ装置の光伝播効率を低下させることが回避できる。
なお、本実施形態のように、Alオーミック電極よりも低温でのアロイ処理が必要な他のオーミック電極(例えば、AuGeやAuZnなどからなるn側電極)を同時に使用する場合には、熱処理を含むAlオーミック電極の形成工程を行った後に、他のオーミック電極形成工程を実施することが好ましい。このような順序で電極形成を行うことによって、Alオーミック電極とAuGeやAuZnなどのオーミック電極のそれぞれが良好なコンタクト抵抗を有するようにできる。
この発明は、上述のリッジ構造直上の狭い領域でのみオーミック接合を形成するようなオーミック接合面積の比較的小さい光半導体装置に対して特に有効である。これは、例えば本実施形態ではチップサイズは500μm×250μmであるが、従来の埋め込み再成長型の光半導体素子の場合、上記500μm×250μm全面をオーミック接合領域とできるのに対し、本実施形態のようなリッジ導波型光半導体素子では、500μm×数μmにまでそのオーミック接合領域が減少してしまうことによる。
すなわち、同一面積に対する金属−半導体層間のコンタクト抵抗が同じ場合であっても、そのオーミック接合面積が小さくなると、その小さくなった分だけ電極抵抗が悪化してしまう。例えば、上述の場合その悪化度はチップ幅の減少分に比例し数10倍以上になる。逆に言うと、オーミック接合面積が小さくなるほどコンタクト抵抗の改善効果がより顕著に現れるようになる。したがって、コンタクト抵抗を改善した電極を形成できるこの発明の製造方法は、このようなオーミック接合面積が比較的小さい光半導体素子に対して特に有効になる。
また、上述した半導体レーザ装置のp側電極111、n側電極112間に電流を流すと、リッジ130の側方の半導体層108とp側電極111との間にショットキー接合が形成されて電流が遮断され、リッジ130の最上部に設けられたp−GaAsコンタクト層110とp側電極111との間のオーミック接合を通してのみ電流が流れる。これにより電流狭窄が実現される。このように、製造段階での結晶成長工程を1度で済ませることができるため、低コストで作成することが可能となった。
なお、本実施形態においては、活性層とクラッド層の間にガイド層を有するSCH(
Separate Confinement Heterostructure)構造を有する半導体レーザ装置を例に挙げて説明したが、もちろんこの発明は上述した半導体レーザ装置に限られるものではなく、光導波路近傍にオーミック電極が形成されたあらゆる光半導体装置に適用できることは当然である。結晶成長を円滑に行うための中間層を追加するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での、各々の層厚、材料の変更等を加え得ることは当然である。
たとえば、本実施形態では、コンタクト層110をIn成分を全く含まないp+−GaAsで形成したが、p−InxGa1−xAs(0<x≦0.5)であってもよい。なお、コンタクト層110としてp−InxGa1−xAs(0<x≦0.5)を使用する場合は、基板となるGaAsとの間の格子不整合による結晶性低下の問題を抑制するために、p−AlGaAs半導体層109とコンタクト層110との間に、グレーディッド層p−In0→xGa1→(1−x)As(0≦x≦0.5)なるInとGaの組成を徐々に変化させた組成遷移層を設けることが好ましい。
また、本実施形態では、p側電極111をAl層111a(層厚:50nm)/Ti層111b(層厚:10nm)/Au層111c(層厚:300nm)で構成したが、中間層であるTi層に代えて、Ptに代表されるPt族元素、Wや、WN,WSiなどのタングステンを含む合金、Mo、Cr等を使用してもよい。いずれの場合も、中間層を形成しない場合には生じうるAlAu合金層の形成による高抵抗化が防げることができる。特に、中間層としてPtを用いた場合には、Auの拡散を良好に防止できる。また、Pt層とAu層は非常に酸化しにくいため、p側電極最下層のAl層の酸化を良好に防止できる。
また、p側電極111を層厚50nm以上、より好ましくは、100nm〜500nmのAl層単独で構成してもよい。
また、本実施形態では、p型上クラッド層をp型第一クラッド層107とp型第二クラッド層109とから形成し、p型第二クラッド層109をリッジ130の下層としたが、p型上クラッド層を1層から構成し、そのp型上クラッド層のコンタクト層110側部分でリッジ130の下層を形成してもよい。
また、基板101は、GaAsの代わりにInPを用いてもよい。この場合、コンタクト層110としては、基板となるInPに格子整合するp−InGaAs、特にIn0.53Ga0.47Asを用いることが好ましい。
〔第二実施形態〕
図5は、この発明にかかる光ディスク装置200の構造の一例を示したものである。これは光ディスク201にデータを書き込んだり、書き込まれたデータを再生したりするためのものであり、その際用いられる発光素子として、先に説明した第一実施形態の構成を使用して製造した波長780nm帯で発振するように活性層の組成・層厚を調整した半導体レーザ装置202を備えている。
この光ディスク装置についてさらに詳しく説明する。書き込みの際は、半導体レーザ装置202から出射された信号光Lがコリメートレンズ203により平行光とされ、ビームスプリッタ204を透過しλ/4偏光板205で偏光状態が調節された後、対物レンズ206で集光されて光ディスク201に照射される。読み出し時には、データ信号がのっていないレーザ光が書き込み時と同じ経路をたどって光ディスク201に照射される。このレーザ光がデータの記録された光ディスク201の表面で反射され、レーザ光照射用対物レンズ206、λ/4偏光板205を経た後、ビームスプリッタ204で反射されて90°角度を変えた後、受光素子用対物レンズ207で集光され、信号検出用受光素子208に入射する。信号検出用受光素子208内で入射したレーザ光の強弱によって記録されたデータ信号が電気信号に変換され、信号光再生回路209において元の信号に再生される。
この第二実施形態の光ディスク装置では、光の伝播効率が高く、低コストで製造できる半導体レーザ装置202を用いているため、高速書き込みができると共に、消費電力を大幅に削減することが可能となった。従って、より環境に対する負荷の少ない光ディスク装置を安価に提供することができた。
なお、ここでは波長780nmで発振する半導体レーザ素子202を記録再生型の光ディスク装置に適用した例について説明したが、第一実施形態の製造方法を適用して作製した他の波長帯(例えば650nm帯)の半導体レーザ装置を備えた光ディスク装置にも適用可能であることはいうまでもない。
〔第三実施形態〕
図6は、この発明の第三実施形態の光伝送システムに使用される光伝送モジュール300を示す断面図である。また、図7は光源の部分を示す斜視図であり、図8は、光伝送システムの概略図である。この第三実施形態では、光源として第一実施形態で説明した光半導体装置の製造方法を用いて作製した発振波長890nmのInGaAs系半導体レーザ素子(レーザチップ)301を、また受光素子302としてシリコン(Si)のpinフォトダイオードを用いている。本実施形態においては、通信を行う双方の側(例えば、端末とサーバ)にそれぞれ同じ光伝送モジュール300を備えることにより、双方の光伝送モジュール300間で光信号を送受信する光伝送システムが構成される。
図6において、回路基板306上には、半導体レーザ駆動用の正負両電極のパターンが形成され、図示のとおり、レーザチップを搭載する部分には深さ300μmの凹部306aが設けられている。この凹部306aに、レーザチップ301を搭載したレーザマウント(マウント材)310をはんだで固定する。レーザマウント310の正電極312の平坦部313(図7参照)は、回路基板306上のレーザ駆動用正電極部(図示せず)とワイヤ307aによって電気的に接続される。凹部306aはレーザ光の放射を妨げない程度の深さとなっており、また、面の粗さが放射角に影響を与えないようにされている。
受光素子302は、やはり回路基板306に実装され、ワイヤ307bにより電気信号が取り出される。この他に、回路基板306上にレーザ駆動用/受信信号処理用のIC回路308が実装されている。
次いで、レーザマウント310を搭載した部分に液状のシリコン樹脂309を適量滴下する。シリコン樹脂309中には、光を拡散させるフィラーが混入されている。シリコン樹脂309は表面張力のために凹部306a内に留まり、レーザマウント310を覆い凹部306aに固定する。この第3実施形態では、回路基板306上に凹部306aを設け、レーザマウント310を実装したが、上述のように、シリコン樹脂309は表面張力のためにレーザチップ表面およびその近傍に留まるので、凹部306aは必ずしも設ける必要はない。
この後、80℃で約5分間加熱して、ゼリー状になるまで硬化させる。次いで、透明なエポキシ樹脂モールド303により被覆する。レーザチップ301の上方には、放射角制御のためのレンズ部304が、また、受光素子302の上方には信号光を集光するためのレンズ部305がそれぞれ一体的にモールドレンズとして形成される。
次に、レーザマウント310について、図7を用いて説明する。図7に示すように、L字型のヒートシンク311にレーザ素子301がIn糊剤を用いてダイボンドされている。レーザチップ301は、第1実施形態で説明したInGaAs系の半導体レーザ素子であり、そのチップ下面301bには高反射膜がコーティングされており、一方、レーザチップ上面301aには低反射膜がコーティングされている。これらの反射膜は、レーザチップ端面の保護も兼ねている。
ヒートシンク311の基部311bには正電極312が、ヒートシンク311と導通しないように絶縁物により固着されている。この正電極312とレーザチップ301の表面のショットキー接合部上に設けられた電極領域301cとは、金ワイヤ307cによって接続されている。上述のように、このレーザマウント310を、図6の回路基板306の負電極(図示せず)にはんだ固定して、正電極312の上部の平坦部313と回路基板306の正電極部(図示せず)とをワイヤ307aで接続する。このような配線の形成により、レーザビーム314を発振により得ることができる光伝送モジュール300が完成する。
この第三実施形態の光伝送モジュール300は、前述したように、高効率で、そして素子抵抗が低く、かつ、低コストで製造できる半導体レーザ装置を使用しているため、そのモジュールの消費電力を従来に比べて大幅に低く抑えることができるとともに、モジュール単価を下げることができる。この光伝送モジュール300を用いた光伝送システムは、低消費電力で動作するため、環境に対する負荷を小さくでき、また低価格で構成できる。また、携帯機器にこの光伝送システムを搭載した際には、バッテリー駆動時間を従来よりも長くでき、より快適に携帯機器を使用することができるようになる。
上述したように、通信を行う双方の側にそれぞれ同じ光伝送モジュール300を備えることにより、双方の光伝送モジュール300間で光信号を送受信する光伝送システムが構成される。図8は、この光伝送モジュール300を用いた光伝送システムの構成例を示している。この光伝送システムは、部屋の天井に設置された基地局315に前記光伝送モジュール300を備えるとともに、パーソナルコンピュータ316に前記と同じ光伝送モジュール300’(区別のため、’をつけて表す)を備えている。パーソナルコンピュータ316側の光伝送モジュール300’の光源から情報を持って発した光信号は、基地局315側の光伝送モジュール300の受光素子によって受信される。また、基地局315側の光伝送モジュール300の光源から発した光信号は、パーソナルコンピュータ315側の光伝送モジュール300の受光素子によって受信される。このようにして、光(赤外線)によるデータ通信を実現することができる。
尚、この発明の光半導体装置の製造方法、光ディスク装置および光伝送システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではない。例えば、光半導体装置の詳細な構成(井戸層・障壁層の層厚や層数など)は、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
この発明の第一実施形態の光半導体装置の製造方法を用いて作製した半導体レーザ装置の断面模式図である。 この発明の光半導体装置の製造工程を説明するための模式図であり、結晶成長工程後に、リッジ形成用のフォトマスクを設けた状態を表す。 この発明の光半導体装置の製造工程を説明するための模式図であり、リッジ形成のためのエッチング工程後の状態を表す。 この発明の光半導体装置の製造工程を説明するための模式図であり、p側電極の蒸着工程後の状態を表す。 この発明の第二実施形態の光ディスク装置の概略図である。 この発明の第三実施形態の光伝送システムに使用される光伝送モジュールの概略図である。 この発明の第三実施形態の光伝送システムにかかる光源の斜視図である。 この発明の第三実施形態の光伝送システムの構成例を示す斜視図である。
符号の説明
101 n−GaAs基板
102 n−GaAsバッファ層
103 n−AlGaAs下クラッド層
104 AlGaAs下ガイド層
105 多重歪量子井戸活性層
106 AlGaAs上ガイド層
107 p−AlGaAs第一上クラッド層
108 p−InGaAsP半導体層
109 p−AlGaAs第二上クラッド層
110 p−GaAsコンタクト層
111 p側電極
111a Al層
111b Ti層
111c Au層
112 n側電極
113 レジストマスク
113a リッジ形成領域
113b リッジ形成外領域
120 Al層とコンタクト層との界面
130 リッジ
200 光ディスク装置
201 光ディスク
202 半導体レーザ装置
203 コリメートレンズ
204 ビームスプリッタ
205 λ/4偏光板
206、207 対物レンズ
208 受光素子
209 信号光再生回路
300 光伝送モジュール
301 レーザチップ
301a 低反射膜
301b 高反射膜
301c ショットキー接合している電極領域
302 受光素子
303 エポキシ樹脂モールド
304,305 レンズ部
306 回路基板
306a 凹部
307a,307b,307c ワイヤ
308 IC回路
309 シリコン樹脂
310 レーザマウント
311 ヒートシンク
311b 基部
312 正電極
313 平坦部
314 レーザビーム
315 基地局
316 パーソナルコンピュータ

Claims (10)

  1. 基板上に、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)を最上層として含む半導体層積層体を形成する工程と、
    少なくとも酸を用いて、前記p型InxGa1−xAs層の表面を洗浄する工程と、
    洗浄された前記p型InxGa1−xAs層の表面にAl層を堆積した後、450℃を超え、かつ、550℃以下の温度で熱処理を行って、前記p型InxGa1−xAs層上にAlオーミック電極層を形成する工程と
    を備えたことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光半導体装置の製造方法において、
    前記p型InxGa1−xAs層の表面を洗浄する工程は、前記酸としてフッ酸を用いて30秒から5分間洗浄する第1の洗浄工程を含むことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  3. 請求項2に記載の光半導体装置の製造方法において、
    前記p型InxGa1−xAs層の表面を洗浄する工程は、前記フッ酸による洗浄後、純水を用いて少なくとも5分以上洗浄する第2の洗浄工程をさらに含むことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  4. 請求項2に記載の光半導体装置の製造方法において、
    前記フッ酸は、フッ化アンモニウムまたは純水によって10倍から100倍に希釈されたバッファードフッ酸であることを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の光半導体装置の製造方法において、
    前記光半導体装置は、前記p型InxGa1−xAs層を最上層とするリッジを有し、
    前記半導体層積層体を形成する工程は、
    前記基板上に、少なくとも、n型クラッド層と、活性層と、p型クラッド層と、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)を順次結晶成長させる工程と、
    前記p型InxGa1−xAs層のリッジ外領域と、前記p型クラッド層の少なくとも前記InxGa1−xAs層側の部分のリッジ外領域を除去して、前記リッジを形成する工程とを含むことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の製造方法を用いて製造された半導体レーザ装置を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の製造方法を用いて製造された半導体レーザ装置を有する光伝送モジュールを備えたことを特徴とする光伝送システム。
  8. 出射光の波長が0.6〜1.55μmである光半導体装置であって、
    GaAsまたはInPからなる基板と、
    前記基板上に形成され、p型ドーピング濃度が5×1019cm−3以上であるp型InxGa1−xAs層(ここで、0≦x≦0.5)を最上層として含む半導体層積層体と、
    前記p型InxGa1−xAs層上に形成され、Al層単独あるいはAl層を最下層とする多層膜からなるp側オーミック電極と
    を備えたことを特徴とする光半導体装置。
  9. 請求項8に記載の光半導体装置において、
    前記p型InxGa1−xAs層と前記Al層との間に、InxGa1−xAs(0≦x≦0.5)とAlとの合金層が形成されていることを特徴とする光半導体装置。
  10. 請求項8または9に記載の光半導体装置において、
    前記光半導体装置はリッジ導波型半導体装置であって、前記p型InxGa1−xAs層がリッジの最上層をなしていることを特徴とする光半導体装置。


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