JP2007194086A - 通信機能付きの光源点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィードバック制御の処理中に通信要求が発生しても光源の点灯制御を適正に実施しつつ迅速な通信処理を可能とした通信機能付きの光源点灯装置を提供する。
【解決手段】電源1から光源10に供給される電力を調節するための電力変換装置30と、光源10の電圧Vla及び電流Ilaのうち少なくとも一方を検出する検出部6b,6cと、検出部6b,6cによる検出値に基づいて電力変換装置30による光源10への供給電力をフィードバック制御する制御部(マイコン7)とを備える光源点灯装置において、外部との送信及び受信のうち少なくとも一方が可能な通信部7rを備え、該通信部7rに通信要求が発生したときに、前記フィードバック制御のために電力変換装置30に与える指令値を所定の値に固定する。例えば、検出部6b,6cの検出値を通信要求が発生する直前の検出値または定格範囲内の所定値に固定する。
【選択図】図1
【解決手段】電源1から光源10に供給される電力を調節するための電力変換装置30と、光源10の電圧Vla及び電流Ilaのうち少なくとも一方を検出する検出部6b,6cと、検出部6b,6cによる検出値に基づいて電力変換装置30による光源10への供給電力をフィードバック制御する制御部(マイコン7)とを備える光源点灯装置において、外部との送信及び受信のうち少なくとも一方が可能な通信部7rを備え、該通信部7rに通信要求が発生したときに、前記フィードバック制御のために電力変換装置30に与える指令値を所定の値に固定する。例えば、検出部6b,6cの検出値を通信要求が発生する直前の検出値または定格範囲内の所定値に固定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、通信機能付きの光源点灯装置に関するものであり、例えば、車両用の前照灯点灯装置に利用されるものである。
車両用の前照灯は、夜間もしくは暗い場所における運転を、車両の前面を明るくすることによりドライバーの視認性を上げる車の機能として用いられている。特にHIDランプは、ハロゲン電球よりも明るく、視認性が高く、車でも多く採用されつつある。
図21は従来の車両用前照灯点灯装置の回路図である。車載用のバッテリー等よりなる直流電源1から放電灯10を点灯するための電力変換装置30と、放電灯10の電圧Vla、電流Ilaを検出する検出部6b,6cと、検出部6b,6cによる検出値に基づいて電力変換装置30による光源10への供給電力をフィードバック制御する制御部(マイコン7)とを備えており、フィードバック制御により放電灯10を安定に点灯維持させている。
近年では、前照灯の点灯装置だけでなく車両の電子化が進み、それら電子機器をLANで接続してひとつのシステムとして機能を進化させようとする動きが活発化している。前照灯が放電灯寿命や何らかの不具合によって点灯しない場合は、視認性が下がり不安全な状態になる。そのようなことを回避するために、車両のLANに接続して、不具合の状態などを通信して、車両側からドライバーに積極的に知らせて安全性を向上させる技術が提案されている。
従来例として、特開平7−201471号公報(特許文献1)では、ヘッドライトが異常の時に警告を行い、その情報を保持することを特徴とする。この特許文献1では、安全性について放電灯劣化検出手段の出力を受けて警告し、その情報を保持して安全性を高めることが主体に記載されている。
実際に通信する情報は、放電灯の電圧、電流などの検出機能からの情報だけで放電灯劣化検出手段の機能をまかなうことが可能である。また、異常状態を判断する手段についても、放電灯の電圧、電流などの情報によって別途設けられた点灯装置以外の電子機器でも判断は可能である。むしろ、実際に通信を行う状態を実現することが重要になってくる。
特開平7−201471号公報
車両用通信ではCANやLINといった通信プロトコルが有名である。CAN/LINなどの特徴はワイヤーが少なくて低価格なシリアル制御を採用したことである。送信側と受信側が同じワイヤーを共有するために、ワイヤーを占有するのは一台の通信機器のみである。実際に通信要求が発生すると、それまで点灯動作をしていてもマイコン処理の中で割り込みが発生し、通信制御処理が実施される。通信によって送受されるデータを確実に処理するには、ボーレート調整や通信衝突障害の対策などが必要となるが、各マイコンがそれを調整しなければならない。
また、数台の通信機器が接続される場合、ワイヤー(ライン)に何台も接続されるので、必要なときに情報を送りたいと思っても、他の通信機器によるワイヤーの占有が解除されるまで送受信を待たなければならない状況に陥る可能性がある。その場合、通信を開始するまで点灯動作についての処置をしておかないと、刻々と変化する点灯動作状況に対応した制御処理を実施できないという不都合が生じる。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、フィードバック制御の処理中に通信要求が発生しても光源の点灯制御を適正に実施しつつ迅速な通信処理を可能とした通信機能付きの光源点灯装置を提供することを課題とする。
請求項1の発明は、上記の課題を解決するために、図1に示すように、電源1から光源10に供給される電力を調節するための電力変換装置30と、光源10の電圧Vla及び電流Ilaのうち少なくとも一方を検出する検出部6b,6cと、検出部6b,6cによる検出値に基づいて電力変換装置30による光源10への供給電力をフィードバック制御する制御部(マイコン7)とを備える光源点灯装置において、前記制御部(マイコン7)は、外部との送信及び受信のうち少なくとも一方が可能な通信部7rを含み、該通信部7rに通信要求が発生したときに、前記フィードバック制御のために制御部(マイコン7)から電力変換装置30に与える指令値を所定の値に固定する手段を有することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1において、指令値を所定の値に固定する手段は、検出部により検出される光源の電圧もしくは電流の値を通信要求が発生する直前の検出値(または定格範囲内の所定の検出値)に固定する手段としたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2において、図11〜図14に示すように、前記制御部は、通信が開始してから所定の時間が経過した場合に、検出部の検出値に基づくフィードバック制御に戻すことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1または2において、図15〜図16に示すように、前記制御部は、検出部から検出される電圧もしくは電流の値が予め設定された範囲から逸脱した場合に、検出部の検出値に基づくフィードバック制御に戻すことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1において、図17〜図19に示すように、電力変換装置30は負荷側にDC−ACコンバータ3を備え、該DC−ACコンバータ3は光源である放電灯10に矩形波の電力を与えるフルブリッジ構成になっており、前記制御部は、通信部に通信要求が発生したときに、DC−ACコンバータ3の出力極性を固定する手段を有することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、通信機能を有する光源点灯装置において、点灯制御のためのフィードバック制御をしている状態において、通信要求が発生した場合に、出力電力を調整する電力変換装置への出力指令値の設定を、それまで出力されていた指令値に固定して更新をしないようにするものであるから、通信処理を優先して実行することが可能になり、光源の点灯制御を適正に実施しつつ迅速な通信処理を実現できる。
請求項2の発明によれば、検出部により検出される光源の電圧もしくは電流の値を通信要求が発生する直前の検出値または所定の検出値に固定するようにしたから、通信処理の合間にも通信要求が発生する直前の検出値または所定の検出値によって点灯動作の処理が実行されるため出力値の変動が少なくなり、点灯安定性が維持される。
請求項3の発明によれば、通信が開始してから所定の時間が経過した場合に、検出部の検出値に基づくフィードバック制御に戻すようにしたから、通信の不具合により通信時間が長引いた場合でも安定な点灯動作が可能となる。
請求項4の発明によれば、検出部から検出される電圧もしくは電流の値が予め設定された範囲から逸脱した場合に、検出部の検出値に基づくフィードバック制御に戻すようにしたから、異常発生時に安定な点灯動作または安全な停止動作が可能となる。
請求項5の発明によれば、光源としての放電灯負荷の点灯状態が不安定になるタイミングであるDC−ACコンバータの極性反転時に通信要求が発生した場合には、通信処理を優先して完了させて、それから極性反転の処理をすることにより、極性反転に起因する点灯の不安定を回避することが可能になり、不安定状態を少なくすることが可能になる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の回路図である。車載用のバッテリー等よりなる直流電源1と、直流電源1の電圧を昇降圧させるDC−DCコンバータ2と、昇降圧された直流電圧を矩形波に変換するDC−ACコンバータ3と、始動時に放電灯をブレイクダウンさせるためのパルスを発生させるために高電圧を発生させる高電圧回路4と、この高電圧を受けて放電灯をブレイクダウンさせるためのパルスを発生させると共にDC−ACコンバータ3の出力電力を放電灯に与えるイグナイタ回路5と、DC−DCコンバータ2とDC−ACコンバータ3を制御する制御回路6及びマイコン7と、車両用前照灯となるHIDランプ等よりなる放電灯10から構成されている。
図1は本発明の実施の形態1の回路図である。車載用のバッテリー等よりなる直流電源1と、直流電源1の電圧を昇降圧させるDC−DCコンバータ2と、昇降圧された直流電圧を矩形波に変換するDC−ACコンバータ3と、始動時に放電灯をブレイクダウンさせるためのパルスを発生させるために高電圧を発生させる高電圧回路4と、この高電圧を受けて放電灯をブレイクダウンさせるためのパルスを発生させると共にDC−ACコンバータ3の出力電力を放電灯に与えるイグナイタ回路5と、DC−DCコンバータ2とDC−ACコンバータ3を制御する制御回路6及びマイコン7と、車両用前照灯となるHIDランプ等よりなる放電灯10から構成されている。
以下、それぞれの構成について説明する。まず、負荷である放電灯10に電力を与える電力変換装置30の構成について説明する。
DC−DCコンバータ2は、スイッチング素子2aとトランス2bと整流用のダイオード2cと平滑用のコンデンサ2dとから構成されている。スイッチング素子2aはMOSFET等よりなり、制御回路6のPWM制御信号により所定の周波数、所定のパルス幅でON・OFF駆動される。スイッチング素子2aのパルス幅をPWM制御することで、コンデンサ2dの出力電圧V2を昇降圧制御することができる。トランス2bは、1次、2次、3次巻線構成になっていて、2次巻線は1次巻線に対して負電位出力になっている。3次巻線は、1次巻線に対して正電位出力になっている。3次巻線の出力は2次巻線の倍の電圧が発生する構成になっている。なお、ここでは、フライバック型の昇降圧タイプのDC−DCコンバータを用いているが、DC−DCコンバータで昇降圧タイプのものであれば、他の回路構成でも構わない。
DC−ACコンバータ3は、4個のスイッチング素子によりフルブリッジ回路を構成したものであり、制御回路6のドライバ6dの出力により対角方向の2個のスイッチング素子をON、対角方向の他方の2個のスイッチング素子をOFFさせることにより、DC−DCコンバータ2の直流出力電圧を低周波の矩形波電圧に変換して出力するものである。
高電圧回路4はDC−DCコンバータ2のトランス2bに高電圧発生用の3次巻線を設けて、その出力を整流・平滑することで高電圧を得ているが、要するに、始動時に放電灯をブレイクダウンさせるためのパルスを発生させるために高電圧を発生させる回路であれば、別の回路構成を用いても良く、例えば、コッククロフト回路等であっても良い。
イグナイタ回路5は、高電圧パルス発生用のパルストランス5aと、放電ギャップ5bと、高電圧パルス発生用のコンデンサ5cとから構成されている。無負荷時にイグナイタ回路5により高電圧パルスを発生させ、放電灯をブレイクダウンして点灯させる。具体的には、コンデンサ5cに溜められる電荷を放電ギャップ5bでショートするときに発生するトランス5aの1次側のエネルギをトランス5aの2次側から放電灯10に高電圧のパルスとして印加させる。このイグナイタ回路5は放電灯が放電を開始した後は動作を停止する。なお、イグナイタ回路5の構成は図示された回路構成に限定されるものではなく、要するに無負荷時に放電灯をブレイクダウンして点灯させるための高電圧パルスを発生させることができれば良い。
放電灯10は車両用前照灯の放電灯であり、D1,D2,D3,D4タイプの放電灯は始動する前に電極間に約400V前後の電圧を加えてから高電圧パルスを印加して電極間の放電を開始させる。
6は制御回路であり、7はマイコンである。制御回路6の機能はハードウェアにより実現されており、マイコン7の機能はソフトウェアにより実現されているが、制御回路6の機能の一部をソフトウェアで実現しても良いし、マイコン7の機能の一部をハードウェアで実現しても良い。
制御回路6は、電源電圧を検出する電圧検出回路6a、DC−DCコンバータ2の出力電圧検出用のオペアンプ6b、出力電流検出用のオペアンプ6c、DC−ACコンバータ3のフルブリッジ回路を構成する各スイッチング素子を制御するためのDC−ACコンバータドライバ6d、DC−DCコンバータ2のスイッチング素子2aを制御するためのPWM制御回路(6e〜6h)などを備えている。
6aはDC−DCコンバータ2の入力電圧V1を検出するための検出回路である。この検出回路6aは、抵抗分圧回路などで構成できる。直流電源1から電力が供給されると、電圧検出回路6aにより検出される電源電圧が点灯可能電圧に達したことをマイコン7が判断し、DC−DCコンバータ2とDC−ACコンバータ3と高電圧回路4を動作開始させる。
6bはDC−DCコンバータ2の出力電圧検出用のオペアンプであり、例えば、コンデンサ2dの端子電圧を分圧抵抗により分圧したものを反転増幅することで、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2を検出している。DC−DCコンバータ2の出力電圧はグランドレベルに対して出力が負電位なので、分圧抵抗とオペアンプ6bによって−1/100倍に電圧変換してマイコン7に入力すれば、ちょうど0〜5Vの間で検出が可能になる。
6cは出力電流検出用のオペアンプであり、DC−DCコンバータ2の出力電流を検出してマイコン7に入力している。点灯時には、DC−DCコンバータ2の出力電流I2により実質的に放電灯電流Ilaを検出する。また、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2により、実質的に放電灯電圧Vlaを検出する。さらに、これらの検出値IlaとVlaに基づいてマイコン7の演算機能により放電灯電力Wla(=Ila×Vla)を検出できるようになっている。安定点灯を維持するために、動作中は放電灯電圧Vlaと放電灯電流Ilaを絶えず検出してフィードバックして安定点灯させている。
6dはDC−ACコンバータドライバで、最近は、DC−ACコンバータとドライバを内蔵しているハイブリッドICも開発されているため、それを用いても動作可能であるし、ハーフブリッジ用のハイサイドドライバIC(例えばIR社製造のIR2111など)を用いても良い。
6e,6f,6g,6hはPWM信号生成回路で、6eはAND回路、6fはラッチ回路、6gはコンパレータ、6hは電流検出回路である。マイコン7の駆動信号生成部7qからは、周波数固定のオン信号が出力される。このオン信号は、ラッチ回路6fのセット入力端子Sにも入力される。これにより、ラッチ回路6fの出力QがHighになる。AND回路6eには駆動信号生成部7qからのオン信号と、ラッチ回路6fの出力Qとが入力されて、出力がHighになり、DC−DCコンバータ2のスイッチング素子2aをオンにする。
スイッチング素子2aがオンになると、トランス2bの1次側に電流が流れ、電流検出回路6hにはトランス2bの1次側に流れる三角波(鋸歯状波)が発生する。この電流検出回路6hはDC−DCコンバータ2の1次側電流信号を検出し、スイッチング電流波形と相似した鋸歯状波の電圧信号を出力する検出回路であり、トランス2bの1次側のスイッチング素子2aのFETがオンしているときのドレイン・ソース間抵抗Rds(ON)による電圧降下を検出する構成でも構わないが、NEC製μPC1555などを用いて発生させた三角波や鋸歯状波を出力するものでも構わない。
電流検出回路6hから出力された三角波(鋸歯状波)はコンパレータ6gに入力される。コンパレータ6gでは、マイコン7のDC−DCコンバータ出力指令値設定部7fの出力と、電流検出回路6hから出力された三角波(鋸歯状波)とを比較して、三角波(鋸歯状波)の方が高くなったら、ラッチ回路6fのリセット入力端子RにHigh信号を出力し、ラッチ回路6fをリセットする。ラッチ回路6fがリセットされると、AND回路6eの出力もLowになり、DC−DCコンバータ2のスイッチング素子2aはオフになる。DC−DCコンバータ1次側の電流が遮断されると、電流検出回路6hから出力される三角波(鋸歯状波)信号もゼロになる。これにより、コンパレータ6gの出力はLowになるので、ラッチ回路6fのリセット入力端子RはLowレベルに戻るが、ラッチ回路6fの出力Qは、次にマイコン7からセット入力端子SにLow→Highに変化する信号が入力されるまで、Lowを維持する。
回路構成上、マイコン7の駆動信号生成部7qの信号はAND回路6eに接続されているので、マイコン7からの信号によって直接オフすることが可能になる。このような構成であれば、常にマイコン7によってスイッチング素子2aのオン・オフを設定することが可能になる。
次に、マイコン7による制御の内容について説明する。図1の回路図では、マイコン7の処理内容を機能的にブロック化して図示しているが、実際には、プログラムによりシーケンシャルに個々の機能が実行される。
7aは電源電圧監視用のA/D変換部であり、DC−DCコンバータ2の入力電圧を抵抗分圧したアナログ電圧をデジタル値に変換して入力する。このデジタル値が所定の電圧範囲内(例えば、9〜16V)であれば、点灯可能と判断する。
7bは放電灯電圧監視用のA/D変換部であり、DC−DCコンバータ2の出力電圧検出用のオペアンプ6bから出力されるアナログ電圧を受けて、これをデジタル値に変換する。
7cは放電灯電流監視用のA/D変換部であり、DC−DCコンバータ2の出力電流検出用のオペアンプ6cから出力されるアナログ電圧を受けて、これをデジタル値に変換する。
7pは各A/D変換部7a,7b,7cを統括するA/D変換処理部であり、1つのA/D変換器を複数のアナログ入力ポートに対して時分割的に振り分けて使用している(図3参照)。
7qは駆動信号生成部であり、所定周波数(数十KHz〜数百KHz)の矩形波信号よりなる駆動信号を出力している。この駆動信号により、DC−DCコンバータ2のスイッチング周波数が決定される。
また、DC−ACコンバータ3の極性反転動作を制御するために、マイコン7の駆動信号生成部7qには、DC−ACコンバータ低周波信号制御部7dを設けてあり、対角方向の2個のスイッチング素子をON、対角方向の他方の2個のスイッチング素子をOFFさせることにより、DC−DCコンバータ2の直流出力電圧を低周波の矩形波電圧に変換して出力するためのフルブリッジインバータ制御用の2信号を出力している。このフルブリッジインバータ制御用の2信号は、上述のDC−ACコンバータドライバ6dへ出力され、このドライバ6dからフルブリッジインバータの4個のスイッチング素子ヘドライブ信号が出力されている。
点灯直後は、DC−ACコンバータ3の極性反転の周波数が低いDCフェーズと呼ばれる動作を行い、矩形波出力であっても半周期(直流動作時間)を長く設定することによって電極が温められて、消耗を少なくすることによって電極寿命を長くさせるように動作する。また、点灯直後は放電灯の管温度が低いため、車両用として利用するために安定電力35Wより高い最大75Wの電力を数秒間印加して、光束立ち上げを早めて、光の出力を早く立ち上げるための制御を行っている。
7eは電力指令値演算部であり、点灯してからの経過時間と前回消灯してからの経過時間をカウントしながら放電灯10の状態に適した電力指令値を目標値として設定し、放電灯電圧・電流監視用のA/D変換部7b、7cから入力された現状の放電灯電圧、放電灯電流を参照しながら、フィードバック制御により電力指令値を演算出力する。また、放電灯10の状況からDC−ACコンバータ低周波信号制御部7dに極性反転の出力指令を与える。
7fはDC−DCコンバータ出力指令値設定部であり、出力指令値をD/A変換して、コンパレータ6gに基準電圧として出力する。また、PWM制御用の基準駆動周波数を出力する。
このマイコン7には、通信を行う通信制御部7jを備えており、トランシーバー8aを介してネットワークに接続されている機器と通信することが可能である。トランシーバー8aは通信中継機器であり、外部電子機器と通信する機能を有する。トランシーバ8aは、LINタイプのものを図示してあるが、実際に外部と通信するものであればなんでも良い。LINの場合は3線で接続されている。
図21の従来例と図1の本実施の形態1との違いは、通信部となる7rと出力ポートの構成である。通信部7rは、マイコン7の機能である通信制御部7jと、マイコン7と外部の通信の中継機器となるトランシーバー8aと、通信電力を供給する通信電源8bから構成される。通信電源8bは、通信方法によって異なり、たとえばCAN通信であれば5Vを利用することになるし、LIN通信であればバッテリーの電源を利用することになる。本構成ではLINによる通信回路網になっている。なお、点灯装置30の入力コネクタ31は、直流電源1の正極、負極(グランド)、トランシーバー8aの通信線を含む構成となっており、グランドラインは電源と通信とで共用されている。
図1では、マイコン7の処理内容を機能的にブロック化して図示しているが、これらの機能はソフトウェアにより実現することができる。そのソフトウェアの概略構成を図2〜図5のフローチャートに示す。図2のフローチャートは、点灯制御のフローであり、基本的に、初期設定ブロック20a、無負荷ブロック20b、点灯ブロック20c、停止処理判定ブロック20dからなる。
まず、初期設定ブロック20aについて説明する。処理20a1では、リセット信号が入力され、メモリクリア、ポートの設定等、マイコンの基本的な初期設定を行う。処理20a2では、電源電圧V1の判定をして、始動可能かどうかを確認する。電源電圧V1は例えば抵抗分圧によってマイコン7のA/D変換ポートに入力することによって検出可能であり、抵抗分圧された電源電圧V1をマイコンのA/D変換機能によってデジタル値に変換した後、マイコンの比較演算機能により始動可能下限電圧(例えば9V)、始動可能上限電圧(例えば16V)との大小関係を比較判定することにより始動可能か否かを判定する。ここでは、9≦V1≦16であれば「始動可能」と判定され、始動時間をカウントするタイマT1をカウントし始める(20a3)。
次に、無負荷ブロック20bについて説明する。処理20b1では、点灯する前の無負荷出力動作の設定をする。具体的には、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2を無負荷二次電圧(例えば、400V程度)となるように電圧を立ち上げる設定をすると共に、DC−ACコンバータ3の極性反転周期を無負荷時に適した長い周期(または極性反転しない一定の電圧極性)に設定する。
処理20b2では、無負荷動作時間を監視する。つまり、無負荷ブロック20bに移行する際に、処理20a3でカウントし始めたタイマT1のカウント値が1秒以上となっているか否かを判定する。タイマT1のカウント値が1秒未満であれば、処理20b3に移行して無負荷動作を継続する。また、無負荷動作を開始してから1秒以上が経過すると、処理20b2から処理20d3,20d5へ移行して、永久停止する。
処理20b3では、無負荷動作として出力電圧V2が上昇しているかどうかを確認する。これは点灯前に放電灯電極に高電圧(400V程度)が印加されてから、パルス印加によってブレイクダウンして電圧V2が下がる(数十V程度)ことになるため、まず、電圧V2が上がるかを確認する必要があるため設けられている。本当にオープン状態であればすぐに電圧V2が上昇する。これを検出するには、例えば、抵抗分圧を経てオペアンプ6bにより検出されたDC−DCコンバータ2の出力電圧V2をマイコン7のA/D変換機能によりデジタル値に変換し、300[V]より高いか否かを判定する。出力電圧V2が300[V]以下であれば、処理20b3から処理20b2に戻って、無負荷動作を継続する。処理20b2,20b3はループになっていて、電圧V2が上がらないまま1秒が経過すると、タイムアウトで停止する。処理20b3で出力電圧V2が300[V]より高くなれば、放電灯電極に高電圧が印加されていると考えられるから、処理20b4に移行する。
処理20b4では、始動タイマT1が1秒以上経過したかどうかを判断する。始動タイマT1が1秒未満であれば点灯判定の処理20b5に移行する。無負荷動作を開始してから1秒以上が経過すると、処理20b4から処理20d3,20d5へ移行して、永久停止する。
処理20b5では、パルス印加によってランプがブレイクダウンして電圧が下がり、点灯したことを確認する。出力電圧V2が200[V]より低くなれば、バルブは点灯したと判断して、次の点灯ブロック20cに移行する。一方、ランプが点灯しない(出力電圧V2が200[V]以上)のときは、処理20b5から処理20b4に戻って、無負荷動作を継続する。処理20b4,20b5はループになっていて、無負荷動作を開始してから1秒経過後にまだ出力電圧V2が200[V]以上であれば、タイムアウトで停止する。無負荷動作を開始してから1秒以内に点灯したら、点灯ブロック20cへ移行する。
次に、点灯ブロック20cについて説明する。
処理20c1では、点灯出力動作をしているかどうかを判別したり、マイコン動作上、定期的に制御データをリフレッシュしたりする。
処理20c1では、点灯出力動作をしているかどうかを判別したり、マイコン動作上、定期的に制御データをリフレッシュしたりする。
処理20c2では、放電灯電圧が220Vより高くなると、立ち消えしたと判断し、停止処理判定ブロック20dの処理20d1の出力停止処理によって、DC−DCコンバータ2とDC−ACコンバータ3の出力を停止させる。次に、処理20d2によって時間T1を確認することによって、始動してから1秒以内かどうかを判定する。1秒以内の場合、処理20b1ヘジャンプする。そうでない場合は処理20d5によって永久停止する。
処理20c3では、放電灯電圧の検出値が20V以下で、1秒以上持続した場合に、放電灯が短絡停止したと判断し、処理20d3へジャンプする。処理20d3によって、DC−DCコンバータ2とDC−ACコンバータ3の出力を停止して、処理20d5で永久停止する。
処理20c4では、電源監視によって、電源電圧が点灯維持するに値する電圧、例えば6〜20V以内にあるかどうかを判定し、そうでなければ処理20d4ヘジャンプして、停止処理をする。処理20d4ではプログラムの初期設定ブロックへジャンプして、処理20a2の電源監視のところまでジャンプする。
図3はA/D変換モジュールのフロー21aを示す。図1の点灯装置においては、マイコン7の内部のA/D変換処理部7pにあたる。定期的に放電灯の電圧・電流、電源電圧を測定するモジュールであり、割込みのイベントが発生すると、A/D変換を実施する。分岐によって3つに分かれているのは、SISCタイプで且つA/D変換器が一つしかない低価格なマイコンでも処理可能なモジュールとするために、放電灯の電圧VLAと、放電灯の電流ILA、電源電圧VINを別々に測定するように分けてある。使用するマイコン7に応じて、この構成は適宜変更しても問題はないが、重要なのは放電灯の電流ILA、電圧VLAを定期的に測定することであり、内部の測定方法については、図示された以外の構成でも定期的に測定が可能であれば構わない。
処理21a1では、前回のA/D変換処理が、放電灯電圧VLAなのか、放電灯電流ILAなのか、電源電圧VINなのかを確認する。
処理21a2は、処理21a1によって、前回のA/D変換処理は電源電圧VINを変換したと判別された場合であり、今回はVLAのA/D変換の処理を開始する。
処理21a3は、VLAのA/D変換処理をしているのであるから、A/D変換の処理値が確定する前に、前回のA/D変換によって確定したVINのA/D変換の処理値の平均処理をする。こうすることによって、たとえば、A/D変換器が一つしかなく、かつ、それを多ポートによって共用している場合に、他のA/D変換された値が混在することをプログラム的に防ぐことができる。
処理21a4は、処理21a1によって、前回のA/D変換処理は放電灯電圧VLAを変換したと判別された場合であり、今回はILAのA/D変換の処理を開始する。
処理21a5は、ILAのA/D変換処理をしているのであるから、A/D変換の処理値が確定する前に、前回のA/D変換によって確定したVLAのA/D変換の処理値の平均処理をする。
処理21a6は、処理21a1によって、前回のA/D変換処理は放電灯電流ILAを変換したと判別された場合であり、今回は電源電圧VINのA/D変換の処理を開始する。
処理21a7は、電源電圧VINのA/D変換処理をしているのであるから、A/D変換の処理値が確定する前に、前回のA/D変換によって確定したILAのA/D変換の処理値の平均処理をする。
これらのフローによって電源電圧VIN、放電灯電圧VLA、放電灯電流ILAの値をマイコン7上でデジタル化することが可能になり、他の処理において利用することが可能になる。
図4は、出力電力設定モジュール22aのフローを示す。図1の点灯装置においては、マイコン7の内部の駆動信号生成部7q(7e,7f,7d)に相当し、通信要求の有無は通信制御部7jからDC−DCコンバータ出力指令値設定部7fに与えられる信号で判別する。
処理22a0では、通信要求がある場合に、電力演算処理を割愛するかどうかを判断する。通信要求が無い場合には、処理22a1に進む。
処理22a1では、A/D変換によって測定されたVLAの平均値VLA(AV)とマイコン内部に設定されている基準電力WLAとの除算によって得られる、基準となる電流値KILAを算出する。
処理22a2では、基準となる電流値KILAと、A/D変換によって得られた検出した放電灯電流ILAの平均値ILA(AV)を比較して、差を△ILAとして算出する。
処理22a3では、△ILAの値に応じて、関数f(ΔILA)を算出し、既定値WSpreと加算して、WS=WSpre+f(ΔILA)を決める。
処理22a4では、WSの値に基づいてDC−DCコンバータ2の出力指令値を設定する。
処理22a5と処理22a6は、電力指令値の設定とは直接は関係しないが、DC−ACコンバータ3の極性反転のタイミングを設定する(図1のDC−ACコンバータ低周波信号制御部7dに相当)。このモジュール22aにおいて必要というわけではないが、何らかのタイムイベント(割込み処理)として発生するモジュールに載せておくことで、放電灯10の点灯周波数を規定することが可能になる。上述のA/D変換モジュール21aに設けてあっても支障はない。
図5は、通信モジュール23aのフローを示す。図1の点灯装置においては、トランシーバー8aに接続された通信制御部7jの機能に相当する。通信モジュール23aは、LIN通信をする場合のフローを載せてあり、処理23a1はSyncBreak検出、処理23a2はSyncField検出、処理23a3はID Field検出、処理23a4はレスポンスフィールド処理をする。通信要求は外部機器から発生することもあるし、マイコン7の内部から発生することもある。
図6(a)は、通信要求がない場合の点灯動作時のタイムチャートを示す。マイコン7がSISCタイプなので、タイムチャートの動作は、各モジュール21a、22a、20a−dが順序良く実行されている。マイコン7が処理を実行しているところを黒塗りの横バーで表現している。
A/D変換モジュール21aおよび出力電力設定モジュール22aは、定期的に処理つまり割込みによって発生するイベントである。今回の場合は、A/D変換モジュール21aが発生した直後に出力電力設定モジュール22aを処理し、A/D変換された平均値が新しくなるごとに電力指定値を更新するようなフローになっている。
その他はブロック20a〜20dまでの点灯動作をさせるルーチンであり、基本的にリアルタイムでなくても判断だけであれば問題ないので、マイコン7の特性上、割込み禁止が必要ないところは、割り込みを許可しているモジュールになっている。通常の点灯時には、点灯ブロック20cを実行しながら、モジュール21a,22aの割込みを待つ状態となっている。
図6(b)は、通信要求発生時の対策がない場合(図4の判定処理22a0を設けない場合)において、通信要求が発生したときの点灯動作時のタイムチャートを示す。図6(a)と同じ表現を用いているが、通信処理23aが追加されている。通信処理23aが発生した場合でも、A/D変換モジュール21aと出力電力設定モジュール22aが定期的に割り込みされる場合、通信モジュール23aの処理が途中で空白になっていることから分かるように、通信処理が遅れてしまう。これは本実施の形態1に対する比較例である。
図6(c)は本実施の形態1の動作であり、通信要求発生時の対策がある場合(図4の判定処理22a0を設けた場合)に、通信要求が発生した場合のタイムチャートである。通信要求(割り込み)が発生した場合、出力電力設定モジュール22aによる電力指令値の設定処理が簡略化され、処理22a1〜22a3をスキップすることにより、通信モジュール23aの処理が行なわれない空白領域が少なくなっている。
図6(b)の例では、出力電力設定モジュール22aにおいて、処理22a0の通信要求有無の判定をしていないので、処理22a1〜22a3がスキップされない。したがって、基準となる電流値KILAを算出するための除算処理等によって処理内容が膨らむことによって処理時間が長くなり、通信要求が発生した場合にはその処理を遅らせる原因になる。
図6(c)の例では、出力電力設定モジュール22aにおいて、処理22a0の通信要求有無の判定をしているので、通信要求の発生時には、処理22a1〜22a3がスキップされる。出力電力設定の処理は、マイコン7の仕様によって処理時間は異なるが、除算機能などの演算機能を使うことによって約100μs前後発生するが、処理22a1〜22a3をスキップして電力を再設定するだけであれば、処理22a4による再設定だけなので約1/10以下の処理で済むことになる。再設定をしなければ更に処理時間は短くなるが、万が一、マイコン7のRAMの設定が何らかの異常により変更されたとしても、処理22a4で再設定すれば、異常な値での制御を防ぐことが可能であり、既に処理時間に関してもかなり短縮されているため、効果としては十分である。
よって、実施の形態1は、通信処理時間を短くするために有効であり、図6(b)に比べると、図6(c)では、通信処理23aが早くなっていることが分かる。
なお、フィードバック制御せずに固定する出力電力の設定値は、放電灯によって適宜選択することで点灯維持が可能である。例えば、車両用放電灯バルブにおいて、商業用D2バルブであるなら、85±17V、35±3W以内であれば問題なく点灯を維持することが可能であり、D4バルブであるなら、バルブメーカーによって異なるが、おおよそ管電圧約45±10V、35W前後になるように設定すればよい。
また、点灯維持だけでなく、出力電力はそのときの状況に応じて異なる値に設定することも可能であり、出力電力を少々高く設定しておけば、点灯安定性がより高くなる。例えば、始動時において出力電力が高く設定されている場合、その後の点灯時間の経過とともに放電灯の温度が上昇して光出力が増大し、徐々に出力電力を低減していかなければならない状態においても、通信処理中は一定の出力電力に固定しておくことによって、万一、通信処理による検出データの欠落のような状態が発生しても、点灯維持をすることが可能になる。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2の回路図である。図1と比べると、通信制御部7jからA/D変換処理部7pに対して動作切換えのための信号を出力するラインが追加されている。実施の形態2では、実施の形態1を基本構成として、さらにA/D変換モジュールの処理内容を通信要求の発生時だけ簡易化して通信処理能力を上げることによって、何時発生するか不明で、かつリアルタイム処理が要求される通信処理を実行しながら点灯処理をすることを特徴とする。
図7は本発明の実施の形態2の回路図である。図1と比べると、通信制御部7jからA/D変換処理部7pに対して動作切換えのための信号を出力するラインが追加されている。実施の形態2では、実施の形態1を基本構成として、さらにA/D変換モジュールの処理内容を通信要求の発生時だけ簡易化して通信処理能力を上げることによって、何時発生するか不明で、かつリアルタイム処理が要求される通信処理を実行しながら点灯処理をすることを特徴とする。
A/D変換モジュールの処理内容を簡略化する手段は、図8に処理のフローを示す。このA/D変換モジュール26aは、図3のA/D変換モジュール21aにおいて、通信要求の有無の判定のための処理26a1を加えただけである。処理26a1を追加したことによって、通信要求がある場合には、A/D変換処理と平均化処理をスキップすることができ、これによりA/D変換モジュール26aの処理時間を短縮化することができる。図3のA/D変換モジュール21aを用いる図6(c)の場合と比較すると、図8のA/D変換モジュール26aを用いる図9の場合には、通信処理23aに要する時間が一層短縮されていることが分かる。
マイコン7のA/D変換処理および平均化処理の時間も、マイコン7の仕様によって異なるが、8bitのマイコンで動作クロックが数MHzであれば、トータルで概ね100μs前後かかる。A/D変換処理および平均化処理を省略し、通信要求が発生する直前の値を再設定するだけであれば、それらの1/8〜1/10に処理時間が短縮されることになる。
(実施の形態2’)
図10は、上記A/D変換モジュール26aと出力電力設定モジュール22aの処理の頻度を下げた場合のタイムチャートを示す。図示された例では、処理の頻度を2回に1回に簡略化したモジュールを利用するようにしたものである。フローチャートの図示は省略するが、図4の処理22a0と図8の処理26a1の判定を2回に1回だけ実行するように変更すれば良い。
図10は、上記A/D変換モジュール26aと出力電力設定モジュール22aの処理の頻度を下げた場合のタイムチャートを示す。図示された例では、処理の頻度を2回に1回に簡略化したモジュールを利用するようにしたものである。フローチャートの図示は省略するが、図4の処理22a0と図8の処理26a1の判定を2回に1回だけ実行するように変更すれば良い。
なお、A/D変換処理および平均化処理を省略した場合に、実際の検出値の代わりに用いる値として、実施の形態では、直前の平均値を用いているが、これに限定されるものではなく、放電灯の定格範囲内に設定することで点灯を維持することは可能である。たとえば、車両用放電灯バルブの場合において、商業用D2バルブであるなら85±17V、35±3W以内であれば問題なく点灯を維持することが可能であり、D4バルブであるならバルブメーカによって異なるが、おおよそ管電圧が約45±10V、35W前後になるように設定すればよい。
(実施の形態3)
図11は本発明の実施の形態3の回路図である。図7と比べると、通信部7rの構成が異なり、通信制御部7jによる通信制御が発生している時間を計測して所定の時間が経過した場合に、通信制御部7jにタイムアウト情報を伝える通信時間監視部7kが追加されている。この実施の形態3では、上述の実施の形態2を基本構成として、さらに通信時間が異常に長くなった場合に備えて、実施の形態1、2で実施していた簡易処理を継続する時間を限定することで、点灯状態を安定させることを特徴としている。
図11は本発明の実施の形態3の回路図である。図7と比べると、通信部7rの構成が異なり、通信制御部7jによる通信制御が発生している時間を計測して所定の時間が経過した場合に、通信制御部7jにタイムアウト情報を伝える通信時間監視部7kが追加されている。この実施の形態3では、上述の実施の形態2を基本構成として、さらに通信時間が異常に長くなった場合に備えて、実施の形態1、2で実施していた簡易処理を継続する時間を限定することで、点灯状態を安定させることを特徴としている。
点灯装置における通信要求による処理の必要性は状況によって異なり、特に通信要求の発生直後などが重要になってくるが、データを送信して受信データを待っている状態の場合、たとえば通信相手の故障や、通信トラフィックが多くなり、返信データが帰ってこない事態になれば、常に通信処理を重視するような制御に陥り、点灯動作が不安定になる可能性がある。そこで、通信時間が長過ぎる場合には、通信処理の優先順位を後にすることや、イベントが発生してから一定の待ち時間を設けて通信を優先させることにより、点灯動作をより安定にすることが望まれる。
本実施の形態によれば、通信時間監視部7kによって通信制御が発生してから所定の時間が経過したと判定された場合、通信要求の発生により簡易化されていたA/D変換と出力電力設定の処理は、通常の長い処理に戻る。これによって、長時間にわたりA/D変換と出力電力設定の処理が簡易化された状態が継続することはなくなり、万一、放電灯に異常が発生した場合においても判断が遅れることを防止でき、安定した点灯をすることが可能になる。
図12は本実施の形態で用いるA/D変換モジュール27aのフローであり、図8のA/D変換モジュール26aをベースにタイムアウト処理(27a1、27a2、27a3)を加えたものである。ここで、タイムアウト処理とは、あらかじめ設定された時間が経過した場合、時間がオーバーしたと判断して、それまでとは違う処理を行うことを言う。
処理27a1はタイマークリアであり、通信要求がない場合は、常にタイマーのカウント値をクリアする。
処理27a2はタイムアウト処理の判定であり、タイマーの値があらかじめ設定された値以下の場合、処理27a3のタイマーインクリメントに移行し、タイマーの値をカウントアップする。タイマーの値があらかじめ設定された値をオーバーしたら、処理21a1に移行してA/D変換処理を始める。
このように構成することによって、通信要求があり、且つ、あらかじめ設定された時間内の場合、A/D変換および平均化処理をしない。
通信要求がない場合と、通信要求があるけれどもあらかじめ設定された時間をオーバーした場合には、A/D変換および平均化処理を実行する。
図13は出力電力設定モジュール28aのフローであり、図4のフローをベースとして、図12と同様に、タイムアウト処理(28a1、28a2、28a3)を追加してあり、通信要求があり、且つ、タイマーの値があらかじめ設定された時間内の場合、処理22a1〜22a3を実行しない。通信要求が無い場合と、通信要求が有るけれども予め設定された時間をオーバーした場合には、処理22a1〜22a3を実行する。
図14は本実施の形態において、通信時間リミットが切れる前後の動作を示している。図9において、さらに通信時間を計測するタイマーを加え、通信時間があらかじめ設定された時間を越えるまでは、A/D変換モジュール27aと出力電力設定モジュール28aの簡易処理を継続する。また、通信時間があらかじめ設定された時間を越えると、A/D変換モジュール27aと出力電力設定モジュール28aの簡易処理は止めて、本来の処理内容に戻す。
図14の通信時間リミットの設定については、放電灯10やマイコン7の処理や通信手段によって決まることもあるが、車両用放電灯バルブの場合において、商業用D2バルブであるならば、矩形波の点灯周波数が250〜1000Hz、半周期が0.5〜2msecであり、人間が目視で光の変動を意識できるのは100Hz以上ぐらいであるから、数十ms程度に設定してもよい。通信に要する数十msなどは安定点灯制御において問題がないと考えられる。
なお、光束立上げ期など、初期電力が過渡的に変化している状態において、通信制御している場合には出力設定値は固定値になるが、通信時間リミットの所定時間が経過してから、通常のフィードバック制御に戻ることにより、過出力を抑える効果もある。
(実施の形態4)
図15は本発明の実施の形態4の要部動作を示すフローチャートである。図15は出力電力設定モジュール29aであり、図13をベースとして、タイムアウト処理ではなく、放電灯電圧VLA(あるいは放電灯電流ILA)を所定値と比較することで異常を検出できるようにしたものである。
図15は本発明の実施の形態4の要部動作を示すフローチャートである。図15は出力電力設定モジュール29aであり、図13をベースとして、タイムアウト処理ではなく、放電灯電圧VLA(あるいは放電灯電流ILA)を所定値と比較することで異常を検出できるようにしたものである。
通信要求と放電灯の点灯制御が同時に必要となったときに、放電灯が異常な状態になった場合(たとえば通常の放電灯の点灯電圧の定格を逸脱した場合)には、異常を検知して停止することも必要になってくる。その場合は点灯維持よりも安全に停止する動作が必要になる。そこで、そのような事態が発生した場合には、フィードバック制御を元の制御に戻して安全な点灯あるいは異常時などの対応ができるようにすることによって安全な点灯動作あるいは停止動作を可能とする。
本実施の形態では、放電灯電圧VLAを判定する所定値は、例えばD2バルブの定格電圧よりも高い102Vに設定する。通信要求があり、且つ、放電灯電圧VLAが102V以下のときは出力電力指令値の演算処理を省略する。通信要求があっても、放電灯電圧VLAが102Vよりも高ければ、元のフィードバック制御に戻すべく、演算処理を実施する。
図16は処理のタイムチャートとDC−DCコンバータの出力電圧波形を示す。放電灯がD2バルブ、D1バルブのように、安定時に定格35Wで電圧定格が85±17V(68〜102V)とした場合、放電灯が立ち消えそうになった場合で通信要求が発生している状態を想定して説明する。
図16の状態「1」では、DC−DCコンバータの電圧が102V以下で通信要求が発生している場合、電力指令値演算の処理22a1〜22a3は実行せずに電力指令値の再設定22a4のみを実行している。図16の状態「2」では放電灯が定格電圧をオーバーするような状態であり、電力指令値演算22a1〜22a3を実行してフィードバック制御することになる。図16の状態「3」では放電灯電圧が低くなったが通信要求があるので、電力指令値演算の処理22a1〜22a3は実行せずに電力指令値の再設定22a4のみを実行している。図16の状態「4」では通信要求がなくなったので、電力指令値演算22a1〜22a3を実行して通常のフィードバック制御に戻る。
図16のタイムチャートにおいて、通信制御の色の黒い部分が処理を実行している状態であり、その他の処理は短時間に割り込みを通信制御から発生することによって短く制御されている。このような過渡時において、電圧変化が大きくなったときに、細かな電力制御によって点灯を安定化することが必要な状態においても、点灯制御が正常に動作するように設定することが可能になる。
(実施の形態5)
図17は本発明の実施の形態5の回路図である。本実施の形態では、点灯処理と通信処理が同時に要求されている場合に、点灯維持能力を上げるために、矩形波の極性反転を停止させることを特徴とする。図1と比べると、通信制御部7jからDC−ACコンバータ低周波信号制御部7dに対して、通信制御発生時に信号が伝達される経路を設けてある。この経路によって、通常は電力指令値出力部7eからの信号で極性反転しているところを、通信制御部7jからの信号伝達によって極性反転を停止させることが可能である。
図17は本発明の実施の形態5の回路図である。本実施の形態では、点灯処理と通信処理が同時に要求されている場合に、点灯維持能力を上げるために、矩形波の極性反転を停止させることを特徴とする。図1と比べると、通信制御部7jからDC−ACコンバータ低周波信号制御部7dに対して、通信制御発生時に信号が伝達される経路を設けてある。この経路によって、通常は電力指令値出力部7eからの信号で極性反転しているところを、通信制御部7jからの信号伝達によって極性反転を停止させることが可能である。
図18は動作波形図であり、通信処理が発生した場合に、DC−ACコンバータ3の出力波形がどのようになるかを示すものである。図18(a)のように通信処理が発生した場合、本実施の形態によれば、図18(e)のように極性反転を停止させる。図18(f)は比較例の動作であり、通信処理が発生した場合でも極性反転を実行する。
図19に示すように、放電灯が異常状態や寿命末期状態では、極性反転時に電流がゼロになるときに消灯する可能性が高い。図19にあるとおり、極性反転してバルブに加わる電流方向が逆になる過渡期に、わずかな時間ではあるが、電流が一瞬ゼロになる。図19の点線で示すように、電流がゼロになり立ち消えしやすい状況でも、点灯装置は電流を流そうとしているため、放電灯電圧が急激に高くなり、立ち消えに近い状態になる。通常であれば、DC−ACコンバータ3による出力極性の反転後、電流が逆流を開始し、点灯を維持する。しかし、寿命末期のバルブなどでは、点灯維持しにくく、電流ゼロの区間が長くなる傾向にある。つまり、極性反転を繰り返す頻度が高ければ、それだけ停止する可能性も高くなる。よって、点灯のためのフィードバック制御と通信制御とが同時に要求されている状態では、極性反転をしないことによって安定点灯処理能力にかかわらず、極性反転による立ち消えの確率が少なくなり、それだけ点灯維持率が高くなる。
以上の実施の形態では、本発明の通信機能付きの点灯装置を車輌用の前照灯点灯装置に利用する形態について説明したが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、一般的な照明器具にも利用できることは言うまでも無い。
本発明では、電力変換装置がフィードバック制御になっており、制御部が通信機能を備えていれば適用できるので、放電灯以外の任意の光源の点灯装置に適用することも可能である。
(実施の形態6)
図20は本発明の実施の形態6の回路図である。本実施の形態では、光源としてLEDを点灯させる例を説明する。直流電源1を商用電源1aに変更し、DC−DCコンバータ2の入力を直流電圧に平滑するための整流平滑回路2fを設けてある。整流平滑回路2fは、ダイオードブリッジの入力端にLCフィルタ回路を備え、出力端に平滑コンデンサを備えている。負荷となる光源10aとして、発光ダイオードを6個直列に接続した。LEDは定格4V付近のものが多く、日亜パワーLED NCCWO22Sなどでも4V、350mAが1個あたりの定格になる。6個のLEDなので24V、0.35Aつまり8.4Wの負荷となる。光源10aと商用電源1aはフィードバック制御系とは独立しているので、点灯動作上の問題なく通信機能に関しても動作することが可能になる。
図20は本発明の実施の形態6の回路図である。本実施の形態では、光源としてLEDを点灯させる例を説明する。直流電源1を商用電源1aに変更し、DC−DCコンバータ2の入力を直流電圧に平滑するための整流平滑回路2fを設けてある。整流平滑回路2fは、ダイオードブリッジの入力端にLCフィルタ回路を備え、出力端に平滑コンデンサを備えている。負荷となる光源10aとして、発光ダイオードを6個直列に接続した。LEDは定格4V付近のものが多く、日亜パワーLED NCCWO22Sなどでも4V、350mAが1個あたりの定格になる。6個のLEDなので24V、0.35Aつまり8.4Wの負荷となる。光源10aと商用電源1aはフィードバック制御系とは独立しているので、点灯動作上の問題なく通信機能に関しても動作することが可能になる。
1 直流電源
2 DC−DCコンバータ
3 DC−ACコンバータ
4 高電圧回路
5 イグナイタ回路
6 制御回路
7 マイコン
10 放電灯
30 電力変換装置
2 DC−DCコンバータ
3 DC−ACコンバータ
4 高電圧回路
5 イグナイタ回路
6 制御回路
7 マイコン
10 放電灯
30 電力変換装置
Claims (5)
- 電源から光源に供給される電力を調節するための電力変換装置と、
光源の電圧及び電流のうち少なくとも一方を検出する検出部と、
検出部による検出値に基づいて電力変換装置による光源への供給電力をフィードバック制御する制御部とを備える光源点灯装置において、
前記制御部は、外部との送信及び受信のうち少なくとも一方が可能な通信部を含み、
該通信部に通信要求が発生したときに、前記フィードバック制御のために制御部から電力変換装置に与える指令値を所定の値に固定する手段を有することを特徴とする通信機能付きの光源点灯装置。 - 請求項1において、指令値を所定の値に固定する手段は、検出部により検出される光源の電圧もしくは電流の値を通信要求が発生する直前の検出値または所定の検出値に固定する手段としたことを特徴とする通信機能付きの光源点灯装置。
- 請求項1または2において、前記制御部は、通信が開始してから所定の時間が経過した場合に、検出部の検出値に基づくフィードバック制御に戻すことを特徴とする通信機能付きの光源点灯装置。
- 請求項1または2において、前記制御部は、検出部から検出される電圧もしくは電流の値が予め設定された範囲から逸脱した場合に、検出部の検出値に基づくフィードバック制御に戻すことを特徴とする通信機能付きの光源点灯装置。
- 請求項1において、電力変換装置は負荷側にDC−ACコンバータを備え、該DC−ACコンバータは光源である放電灯負荷に矩形波の電力を与えるフルブリッジ構成になっており、前記制御部は、通信部に通信要求が発生したときに、DC−ACコンバータの出力極性を固定する手段を有することを特徴とする通信機能付きの光源点灯装置。
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JP2010118245A (ja) * | 2008-11-12 | 2010-05-27 | Toshiba Lighting & Technology Corp | 点灯装置および照明器具 |
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-
2006
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