JP2007191832A - タイヤ用補強材及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ナイロン繊維を接着剤で接着処理してなるナイロンコードであって、空気透過性が100秒/10mmHg以上であるタイヤ用補強材。そのナイロンコードは廉価な片撚りコードであることが好ましい。またナイロンコードの織度が800〜2200dtexで、(式1)で表される撚り係数Rが0.1〜0.3であることが好ましい。R=N×{0.139×D×(0.9/ρ)}1/2×10−3(式1)。但し、上記式中、Nは、コードの撚り数(回/10cm)を表す。Dは、コードにおける総表示デシテックス数を表し、ρはコードを構成する原糸の比重を表す。
【選択図】 なし
Description
例えば、交差ベルトの全部又は両端部を周方向に配置させたキャップ・レイヤーで挟持することにより、ベルト周方向の剛性を強化することが提案されている。またタイヤ周上でジョイントを無くす目的で該キャップ・レイヤーをらせん状に巻きつけることが提案されている。
即ち、本発明のタイヤ用補助材及び空気入りラジアルタイヤは以下の構成或いは構造を特徴とする。
(2)上記ナイロンコードが片撚りである上記(1)に記載のタイヤ用補強材。
(3)上記ナイロンコードの織度が800〜2200dtexで、下記式1で表される撚り係数Rが0.1〜0.3である上記(1)記載のタイヤ用補強材。
R=N×{0.139×D×(0.9/ρ)}1/2×10−3・・・(式1)
但し、上記式中、Nは、コードの撚り数(回/10cm)を表す。Dは、コードにおける総表示デシテックス数を表し、ρはコードを構成する原糸の比重を表す。
図1は、空気透過性試験における試料作製に関する説明図である。図2は、空気透過性試験における試料作製に関する説明図である。図3は、空気透過性試験における試料作製に関する説明図である。図4は、空気透過性試験における試料作製に関する説明図である。図5は、空気透過性試験における試料作製に関する説明図である。
タイヤ用補強材の空気透過性は、100秒/10mmHg以上である必要があり、特に好ましくは200〜500秒/10mmHgである。空気透過性が、100秒/10mmHg未満では、タイヤトレッド踏面のカット箇所同士の間でのキャップ・レイヤーの設置によるエア漏れ現象が容易に起こる。特に、片撚りナイロンコードを使用したものはエア漏れが著しく悪くなる。従って、本発明のタイヤ用補強材は、ナイロンコードが片撚りであってもタイヤ用補強材が空気入りラジアルタイヤの要求を満たす。
上記ナイロンコードの織度Dが800〜2200dtex(デシテックス)の範囲が好ましい。このような織度範囲内であれば、タイヤ用補強材の空気透過性を良好な範囲に導き、タイヤ製造時におけるトレッドゴムとの間の空気溜まり不良等もなく、エア漏れを起こさないコスト安のタイヤ用補強材ができる。
R=N×{0.139×D×(0.9/ρ)}1/2×10−3・・・(式1)
ここで、式1中、Nは、コードの撚り数(回/10cm)を表す。Dは、コードにおける総表示デシテックス数を表し、ρはコードを構成する原糸の比重を表す。
ナイロンコードの接着処理には、接着剤の塗布工程と、熱固定処理及びノルマライジング処理を含む熱処理工程とにより実施される。また、熱固定処理及びノルマライジング処理の際には熱延伸処理がなされる。また、必要により塗布工程後に乾燥処理を加えることが好ましい。
2液型反応性接着剤を使用すると、該コードの周り及び内部が比較的硬い接着剤層で被覆乃至含浸され、該コード全体が固められ、タイヤ用補強材の空気透過性が一般に低くなる。一方、1液型非反応性接着剤を使用すると、コードの周り及び隙間を、適度な硬さの接着剤層で覆うことができる。
2液型反応性接着剤では、例えば、繊維にエポキシ化合物又はブロックド・イソシアネート化合物を含有する第1液を塗布した後、レゾルシンと、ホルマリンと、各種ラテックスと、苛性ソーダ及びアンモニア水の少なくとも一方とを含有する第2液(以下「RFL液」という)を塗布する。また1液型反応性接着剤では、繊維にトリアリルシアヌレートとレゾルシンとホルマリンとアンモニア水とから生成する通称N3と呼ばれる液等と、RFL液との混合液を塗布する。p−クロルフェノールとホルマリンとから生成する2,6−ビス(2’,4’−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロルフェノールを主成分とする反応生成物と、レゾルシンと、ホルマリンと、アンモニア水とからなる通称PEXULと呼ばれる液を上記RFL液と混合してなる液を塗布する。また特開昭60−72972号公報において開示されている多価フェノールポリサルファイドと、レゾルシン及びホリマリンの縮合物とをアルカリ下で熟成した液と、上記RFL液とを混合した液を塗布する。また、特開昭63−12503号公報における実施例1に記載の塗布方法等が具体的に挙げられる。
乾燥処理条件としては、温度が160〜170℃程度が好ましく、時間が60〜120秒間程度が好ましい。また熱固定処理及びノルマライジング処理の条件としては、温度が250〜260℃程度が好ましく、時間が60〜120秒間程度が好ましい。
空気入りラジアルタイヤは通常、クラウン部に配設されるベルト層のタイヤ半径方向外側に配置される。ベルト層を補強するキャップ・レイヤー(ベルト補強層)を有する。キャップ・レイヤーが本発明のタイヤ用補強材で形成されている限り、他の構成としては特に制限はなく、公知のものを採用することができる。
本発明の空気入りタイヤの具体的な構造としては、例えば、1対のビード部、該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部をたが締めするベルト層、該ベルト層を補強するキャップ・レイヤー、及びトレッドを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる構造などが挙げられる。なお、構造において、該キャップ・レイヤーは、本発明のタイヤ用補強材によって形成されている。
各実施例1、2及び比較例1〜3における各空気入りタイヤ(ラジアルタイヤ)は、ビードコアの周りにタイヤ内側から外側に折返して係止されるカーカスと、このカーカスのクラウン部に位置するトレッド部と、カーカスのサイドウォール部と、トレッド部の内側に配置された二層のベルト層と、このベルト層の外周側にベルト層の両端部にキャップ・レイヤーと、を備える。
各実施例及び比較例に用いられる空気入りラジアルタイヤは、205/65R15のチューブレス構造であり、製造は、加硫条件170℃×13分、ポストキュアインフレーション条件内圧2.5kg/cm2、26分で行った。空気入りラジアルタイヤにおけるカーカスとしては、1100dtex/2(1100デシテックス2本撚り)の撚り数(下撚り×上撚り)47×47(回/10cm)のポリエチレンテレフタレートコードをゴム引きしてシート状にしたもの(打込み数が55.0本/5cm)を2枚用いた。カーカスは、実質的にタイヤ周方向と直交する方向に配列されており、一枚の層から構成されている。
空気入りラジアルタイヤにおけるベルト層は、1×5×0.23構造のスチールコードをゴム引きしてシート状にしたもの(打込み角度が周方向に対して左右それぞれ26°、打込み数が40.0本/5cm)を2枚配置した。なお、ベルト層は、スチールコードに代表される非伸長性コードがタイヤ周方向(またはタイヤの赤道面)に対し10°〜30°の傾斜角度で配列されており、2枚、コードが異なる方向に交差するように重ね合わされている。
キャップ・レイヤーは、周方向に対して0〜5°に上記ベルト層の外側にラセン状に巻きつけられた。キャップ・レイヤーは、上記ベルト層上全体にわたって一層、上記ベルト層の両端から5mm広くなるようにストリップを巻きつけて形成されたキャップ層と、更に該ベルト層の外周側の両端部に該ストリップを一層、各30mm幅になるように巻き付けて形成されたレイヤー層とから構成されている。このストリップは、5〜20mm程度の狭幅であった。
塗布処理においては、撚糸コードを、接着剤としての、特開昭63−12503号公報の実施例1における1液非反応系接着剤を収容する液中にコードを浸漬した。乾燥処理を170℃で85秒間行い、熱固定処理及びノルマライジング処理を250〜260℃で85秒間とし、熱固定処理及びノルマライジング処理における張力を0.55〜1.30g/dtex、熱固定処理における張力(H)とノルマライジング処理における張力(N)との比(H/N)を0.9〜1.2とした。
<空気透過性試験>
キャップ・レイヤーに用いた上記タイヤ用補強材をゴム中に埋没させた後で加硫し、一定の空気量がタイヤ用補強材中を透過した時間を測定した。この測定に使用した機器及び材料は、以下の通りである。
(1)ベック式空気透過測定機
タイヤ用補強材の試料中を透過した空気量を380mmの高さから水銀が落下した量とし、その水銀柱が落下するのに要する時間を測定した。なお、該ベック式空気透過測定機における水銀封入缶は、材質がガラスであり、内径が3.0mmであり、長さが400mm以上である。また、該ベック式空気透過測定機の計測精度は、0.1秒である。
2種のゴムシート1及びゴムシート2を作製した。ゴムシート1は、厚みが1.7±0.1mmであり、ゴムシート2は、厚みが0.5±0.1mmである。
(3)試料の準備
上記タイヤ用補強材のコード10本を、図1に示すように、サンプル作成プレートに弛みのない程度の張力{約10N}で装填し、タイヤ用補強材のコード10本の両面を上記ゴムシート2でコーティングし、38×25mm(長さ×幅):(コード数10本、1枚)に示す規定の寸法に裁断し、これを試験片とした。
ここで、上記ゴムシート1を、表2に示す寸法に裁断し、表2に示す枚数用意した。
、上記ゴム部材Cは、図2に示す形状に裁断した。
モールド面圧={(シリンダー半径)2×π×シリンダー圧}÷モールド面積(21.6×21.6)・・・式2
加硫後、速やかに上記試験片を上記加硫モールドから取り出し、4時間以上放冷した。上記試験片からはみ出したゴムを取り除き、図4に示すように両端(斜線部)を切り取り、切断面にコードが全数露出していることを確認した。そして、厚さ0.5mmの生ゴムシート(上記ゴムシート1)をシール材として、図5に示すように該試験片に貼り付けて、これを試料とした。
上記ベック式空気透過測定機の試料ホルダー下部に、上記試料から突出した部分(12mm突出)を差し込み、他方に上部ホルダーを差し込んだ。次いで、加圧レバーを下ろし軽く絞め付け、水平を取った。水銀を380mmの高さに引き上げて、その水銀柱が降下して370mmの高さに降下するまでに要した秒数を測定した。なお、測定条件としては、初期水銀柱高さを380mmとし、測定長さを10mm(容量:70.68mm)とした。そして、測定した秒数について、4つの測定値の平均値をとり、小数点第1位を四捨五入し正数位の秒数で丸め、その正数位の秒数を表3に記載した。
(1)各実施例及び比較例のキャップ・レイヤーを有したタイヤを準備する。タイヤのインナーライナー側(図6のa)から該レイヤーに達する穴を、キリ(木ネジ:φ5mm)を用いてあける。但し、穴はレイヤーを突き通るまでに留まり、貫通はしない。
(2)インナー穴を形成した位置からタイヤ周長方向3cmの位置に、トレッド側からカッターを用いてレイヤーを切断する(図6のb)。尚、刃先がスチールベルトに到達するまでの位置を切断しても構わない。
(3)上記(2)でカットしたトレッド位置に、直径40mmの漏斗を逆さまに被せ、周囲を粘土で埋めてカット部から漏れてくるエアが漏斗の口に集まるようにする。
(4)上記漏斗口にエア流量計を接続して、漏れ出てくるエア量を測定する。
尚、(1)の突き通し処理において、レイヤーコードの切断は2本を前提とする。もし、3本のコードの切断が生じた場合は、その評価においては、流量×2/3の値を適用換算する。)
及び空気入りタイヤは、
Claims (5)
- ナイロン繊維を接着剤で接着処理してなるナイロンコードからなり、空気透過性が100秒/10mmHg以上であるタイヤ用補強材。
- 上記ナイロンコードが片撚りである請求項1に記載のタイヤ用補強材。
- 上記ナイロンコードの織度が800〜2200dtexで、下記式1で表される撚り係数Rが0.1〜0.3である請求項1記載のタイヤ用補強材。
R=N×{0.139×D×(0.9/ρ)}1/2×10−3・・・(式1)
但し、上記式中、Nは、コードの撚り数(回/10cm)を表す。Dは、コードにおける総表示デシテックス数を表し、ρはコードを構成する原糸の比重を表す。 - 請求項1記載のタイヤ用補強材が、タイヤの周方向に連続して螺旋状に巻回するキャップ・レイヤーに使用することを特徴とする空気入りタイヤ。
- 請求項1記載のタイヤ用補強材の製造方法において、ナイロン繊維に接着剤を塗布し、乾燥し、熱固定し、更にノルマライジング処理したナイロンコードを得る際に、該熱固定工程での該コードの張力(H)及びノルマライジング処理工程での該コード張力(N)がそれぞれ0.55〜1.30g/dtexの範囲にあり、且つ各コード張力の比(H/N)が0.9〜1.2の範囲にあることを特徴とするタイヤ用補強材の製造方法。
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