JP2007191397A - 充填材 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌作用が発揮される微生物の種類が多く効率的な抗菌作用を発揮し人体や環境に影響のない抗菌性充填材を提供する。
【解決手段】イミダゾール系の有機系抗菌剤のみから選ばれた2種と無機系抗菌剤とを含む抗菌性組成物と、シリコーンやセメントあるいはウレタン系重合体またはアクリル系重合体などの湿気硬化型部材とを適宜混合して、タイルの目地や窓枠の隙間、建造物の外壁の亀裂などの隙間に充填し、空気中の水分にて硬化させる。著しく広い抗菌スペクトルを示し皮膚刺激性が認められず、人体や環境に影響がない抗菌性組成物を含有し、水滴や湿気により特に微生物が発生する箇所で利用する充填剤として効率よく高い抗菌作用を良好に発現できる。
【選択図】なし
【解決手段】イミダゾール系の有機系抗菌剤のみから選ばれた2種と無機系抗菌剤とを含む抗菌性組成物と、シリコーンやセメントあるいはウレタン系重合体またはアクリル系重合体などの湿気硬化型部材とを適宜混合して、タイルの目地や窓枠の隙間、建造物の外壁の亀裂などの隙間に充填し、空気中の水分にて硬化させる。著しく広い抗菌スペクトルを示し皮膚刺激性が認められず、人体や環境に影響がない抗菌性組成物を含有し、水滴や湿気により特に微生物が発生する箇所で利用する充填剤として効率よく高い抗菌作用を良好に発現できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機系抗菌剤および無機系抗菌剤を含有した抗菌性の充填材に関する。
細菌などの原核生物、カビ、酵母などの真核生物、さらには藻類などの微生物を除去や忌避する抗菌性組成物として、各微生物に対して2種類以上の薬剤を組み合わせることで、相乗効果が得られることが知られている。すなわち、2種類以上の薬剤を併用することで、抗菌スペクトルが拡大したり、最小生育阻止濃度(MIC値:Minimum Inhibitory Concentrationの略)(ppm)が各薬剤を単独使用する場合に比して減少したりするといった相乗効果を奏する。そして、異なる種類の薬剤を併用する方法として、有機系抗菌剤および無機系抗菌剤を用いる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、銀、銅、亜鉛などの金属成分と、この金属成分以外の無機酸化物とからなり抗菌・防黴・防藻性作用を有する無機酸化物微粒子と、チアゾール系化合物およびイミダゾール系化合物のうちの少なくともいずれか一方の有機系抗菌・防黴・防藻剤と、を含有している。そして、無機酸化物微粒子は、分散性や被処理物の表面色調などに及ぼす影響により、平均粒子径を500nm以下としている。また、無機酸化物微粒子の含有量は、併用する効果のために0.001重量%以上としている。
ところで、抗菌性組成物は、生活環境中に使用されるものであることから、例えば、被処理物に抗菌性組成物を塗布するなどの際に皮膚に付着したり、抗菌性組成物を塗布あるいは含有した成形体に利用者が接触したりしても、かぶれるなどの人体に影響がない薬剤を用いる必要がある。また、抗菌性組成物を塗布あるいは含有した成形体を例えば焼却処理する際に、ダイオキシンなどの有害物質が発生しない薬剤を用いる必要がある。
一方、抗菌性組成物を調製する際、混合する際の容器や製造設備の腐食を生じさせない薬剤が望ましい。すなわち、製造設備に耐腐食性の材料を用いるなど、製造設備に特別な装置が必要となって製造設備の構築性が低下したりコストが増大したりするなどの不都合が生じない薬剤を対象とすることが望ましい。
しかしながら、上述した特許文献1に記載のような従来の有機系および無機系を併用して効果を得る抗菌性組成物は、組み合わせによって十分な相乗効果が発揮できず、限られた微生物にのみしか相乗効果が得られない。すなわち、抗菌スペクトルを大きく拡大できない。さらには、抗菌スペクトルが拡大する抗菌性を発揮させるためには、MIC値が増大、すなわち添加量が増大し、効率的な抗菌作用が得られないとともに、添加量の増大による成形体の成形性が困難となるなどの不都合も生じるおそれがある。また、2−(n−オクチル)−4−イソチアゾール−3−オン(略称OIT)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(略称BIT)などのアレルギ性物質も用いられている。
本発明の目的は、抗菌作用が発揮される微生物の種類が多く効率的な抗菌作用が得られ人体や環境に悪影響が小さい充填材、例えば風呂場、台所、洗面所、トイレなどの水周りや建物内外装に生ずる隙間を埋める充填材を提供する。このような隙間は多種多様な微生物が発生、増殖する可能性が高く、本願充填材の価値が高い用途である。
本発明に記載の充填材は、湿気硬化型または反応硬化型部材と、イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた少なくとも2種、および無機系抗菌剤を含有する抗菌性組成物と、を含有し、間隙に充填可能な流動性に調製されたことを特徴とする。
この発明では、湿気硬化型または反応硬化型部材に、少なくとも2種のイミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤とを併用して含有し、隙間に充填可能な流動性に調製されている。すなわち、抗菌スペクトルを広げるために化学的に異種な抗菌剤を用いるという従来の公知知見からは全く予想できないイミダゾール系単一の有機系抗菌剤の組み合わせにより、著しく広い抗菌スペクトルを達成でき、かつ皮膚刺激性が陰性で安全性が高く、人体や環境に悪影響が極めて小さい本発明の抗菌性組成物を含有させ、流動性に適宜調製して、例えばタイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間などの隙間に充填して空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、湿気や水滴などによりカビなどが発生しやすい目地や窓枠の隙間などの充填部材に、皮膚刺激性が認められず、人体や環境に悪影響が小さく、かつ、相乗効果による低い最小育成素子濃度(MIC値)でも格段に広い抗菌スペクトルが得られ、効率よく高い抗菌作用を発現させることができる。
なお、本発明において、「抗菌性(抗菌効果)」とは、真菌や細菌などの菌類の生育や繁殖を阻止するといった抗菌効果そのものに加え、防カビ・抗カビ効果や、防藻効果といったものも含むものである。
そして、湿気硬化型部材としては、例えばシリコーンやウレタン系重合体あるいはアクリル系重合体などの湿気硬化型の合成樹脂や、セメントまたはモルタルあるいは石膏などの湿気硬化型の無機材料などが例示できる。反応硬化型部材としては、液状モノマまたはモノマを含む溶液同士や、前記モノマと架橋剤などの反応助剤を2種以上混合し、必要により加熱、放射線、紫外線、電子線などを照射することで、反応硬化する樹脂、エラストマからなる部材を言う。例えば、ポリオールとイソシアネート系架橋剤とを混合して反応硬化させたウレタン系樹脂の部材が挙げられる。
この発明では、湿気硬化型または反応硬化型部材に、少なくとも2種のイミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤とを併用して含有し、隙間に充填可能な流動性に調製されている。すなわち、抗菌スペクトルを広げるために化学的に異種な抗菌剤を用いるという従来の公知知見からは全く予想できないイミダゾール系単一の有機系抗菌剤の組み合わせにより、著しく広い抗菌スペクトルを達成でき、かつ皮膚刺激性が陰性で安全性が高く、人体や環境に悪影響が極めて小さい本発明の抗菌性組成物を含有させ、流動性に適宜調製して、例えばタイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間などの隙間に充填して空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、湿気や水滴などによりカビなどが発生しやすい目地や窓枠の隙間などの充填部材に、皮膚刺激性が認められず、人体や環境に悪影響が小さく、かつ、相乗効果による低い最小育成素子濃度(MIC値)でも格段に広い抗菌スペクトルが得られ、効率よく高い抗菌作用を発現させることができる。
なお、本発明において、「抗菌性(抗菌効果)」とは、真菌や細菌などの菌類の生育や繁殖を阻止するといった抗菌効果そのものに加え、防カビ・抗カビ効果や、防藻効果といったものも含むものである。
そして、湿気硬化型部材としては、例えばシリコーンやウレタン系重合体あるいはアクリル系重合体などの湿気硬化型の合成樹脂や、セメントまたはモルタルあるいは石膏などの湿気硬化型の無機材料などが例示できる。反応硬化型部材としては、液状モノマまたはモノマを含む溶液同士や、前記モノマと架橋剤などの反応助剤を2種以上混合し、必要により加熱、放射線、紫外線、電子線などを照射することで、反応硬化する樹脂、エラストマからなる部材を言う。例えば、ポリオールとイソシアネート系架橋剤とを混合して反応硬化させたウレタン系樹脂の部材が挙げられる。
また、湿気硬化型または反応硬化型部材中に抗菌性組成物を0.01質量%以上10.0質量%以下で含有されたことが好ましい。抗菌性組成物の含有量を0.01質量%以上10.0質量%以下とすることで、例えば強度や外観などの特性を損なうことなく顕著な抗菌性を発揮する成形体として提供できる。
ここで、抗菌性組成物の含有量が0.01質量%より少なくなると、少ないMIC値での抗菌スペクトルの拡大が得られにくくなり、十分な抗菌性を発揮できなくなるおそれがある。一方、抗菌性組成物の含有量が10.0質量%より多くなると、充填材の特性が損なわれたり、流動性が損なわれて隙間に充填する際の作業性が低下したりするなどの不都合を生じるおそれがある。したがって、抗菌性組成物の含有量を0.01質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。特に、0.05質量%以上2質量%以下とすることが好ましい。
ここで、抗菌性組成物の含有量が0.01質量%より少なくなると、少ないMIC値での抗菌スペクトルの拡大が得られにくくなり、十分な抗菌性を発揮できなくなるおそれがある。一方、抗菌性組成物の含有量が10.0質量%より多くなると、充填材の特性が損なわれたり、流動性が損なわれて隙間に充填する際の作業性が低下したりするなどの不都合を生じるおそれがある。したがって、抗菌性組成物の含有量を0.01質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。特に、0.05質量%以上2質量%以下とすることが好ましい。
さらに、充填材全質量に対して無機系抗菌剤が0.5質量%未満の割合で含有される状態に抗菌性組成物を含有し、社団法人繊維評価技術協議会で規定された殺菌活性値(一般用途)を、以下の条件としていることが好ましい。
log(A/C)≧0
A:接種直後の標準布の菌数
C:18時間培養後の加工布の生菌数
菌種:黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌
本発明では、湿気硬化型または反応硬化型部材中に本発明の抗菌性組成物を配合したときに、充填材中に含まれる無機系抗菌剤が0.5質量%未満であっても、社団法人繊維評価技術協議会で規定された殺菌活性値がlog(A/C)≧0を満たし、広い抗菌スペクトルを示し低いMIC値の抗菌効果を発揮する。
特に、無機系抗菌剤が0.03質量%以上、好ましくは0.1質量%以上とすることで、この抗菌効果が良好に発揮される。このような抗菌性組成物が低濃度でも、本発明の抗菌性組成物は、従来の抗菌性組成物では到底得られない広い抗菌スペクトルを示し低いMIC値の優れた抗菌効果を示す。
log(A/C)≧0
A:接種直後の標準布の菌数
C:18時間培養後の加工布の生菌数
菌種:黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌
本発明では、湿気硬化型または反応硬化型部材中に本発明の抗菌性組成物を配合したときに、充填材中に含まれる無機系抗菌剤が0.5質量%未満であっても、社団法人繊維評価技術協議会で規定された殺菌活性値がlog(A/C)≧0を満たし、広い抗菌スペクトルを示し低いMIC値の抗菌効果を発揮する。
特に、無機系抗菌剤が0.03質量%以上、好ましくは0.1質量%以上とすることで、この抗菌効果が良好に発揮される。このような抗菌性組成物が低濃度でも、本発明の抗菌性組成物は、従来の抗菌性組成物では到底得られない広い抗菌スペクトルを示し低いMIC値の優れた抗菌効果を示す。
そして、本発明では、前記湿気硬化型部材は、シリコーン、セメント、ウレタン系重合体、および、アクリル系重合体のうちのいずれかであることが好ましい。
本発明では、湿気硬化型材料として、例えばタイル目地や窓枠の隙間などの充填部材として広く利用されているシリコーン、セメント、ウレタン系重合体、および、アクリル系重合体のうちのいずれかであることから、本発明における抗菌性組成物を適宜混合するのみで、隙間への充填作業性やシール性などの充填部材としての機能を損なうことなく、製造性の向上が得られ、効率よく高い抗菌作用を付与できる。
なお、抗菌性組成物は、1μm以下の平均粒径に粒度調整された構成とすることが好ましい。抗菌性組成物として、1μm以下の平均粒径に粒度調整しておくことで、湿気硬化型材料に対する分散性が向上するとともに、充填時の良好な流動性や充填して硬化後の表面の平滑性が得られるなど、良好な抗菌性組成物の含有状態が容易に得られる。したがって、安定した高い抗菌作用を発揮させることが容易に得られる。
本発明では、湿気硬化型材料として、例えばタイル目地や窓枠の隙間などの充填部材として広く利用されているシリコーン、セメント、ウレタン系重合体、および、アクリル系重合体のうちのいずれかであることから、本発明における抗菌性組成物を適宜混合するのみで、隙間への充填作業性やシール性などの充填部材としての機能を損なうことなく、製造性の向上が得られ、効率よく高い抗菌作用を付与できる。
なお、抗菌性組成物は、1μm以下の平均粒径に粒度調整された構成とすることが好ましい。抗菌性組成物として、1μm以下の平均粒径に粒度調整しておくことで、湿気硬化型材料に対する分散性が向上するとともに、充填時の良好な流動性や充填して硬化後の表面の平滑性が得られるなど、良好な抗菌性組成物の含有状態が容易に得られる。したがって、安定した高い抗菌作用を発揮させることが容易に得られる。
また、本発明では、前記イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた2種は、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものと、ベンゾイミダゾール環にカーバメート基を有するものとであることが好ましい。
本発明では、イミダゾール系の有機系抗菌剤として、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものとカーバメート基を有するものとの2種、特に2種のみを併用することで、同一のイミダゾール系でも、人体や環境に悪影響が小さく、かつ、相乗効果による低いMIC値でも格段に広い抗菌スペクトルが得られるという抗菌作用が容易に得られ、特にこれらの併用により顕著な抗菌性が得られる。
なお、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものは、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールであり、前記ベンゾイミダゾール環にカーバメート基を有するものは、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルであることが好ましい。これらベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有する2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、カーバメート基を有する2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの2種を併用することで、特に併用による相乗効果にて顕著な抗菌性が得られる。さらに、これら2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとは、比較的に製造しやすく入手が容易で、既に利用されている材料で安全性が認められたものであることから、容易に利用できる。
本発明では、イミダゾール系の有機系抗菌剤として、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものとカーバメート基を有するものとの2種、特に2種のみを併用することで、同一のイミダゾール系でも、人体や環境に悪影響が小さく、かつ、相乗効果による低いMIC値でも格段に広い抗菌スペクトルが得られるという抗菌作用が容易に得られ、特にこれらの併用により顕著な抗菌性が得られる。
なお、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものは、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールであり、前記ベンゾイミダゾール環にカーバメート基を有するものは、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルであることが好ましい。これらベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有する2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、カーバメート基を有する2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの2種を併用することで、特に併用による相乗効果にて顕著な抗菌性が得られる。さらに、これら2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとは、比較的に製造しやすく入手が容易で、既に利用されている材料で安全性が認められたものであることから、容易に利用できる。
また、本発明では、前記無機系抗菌剤は、銀系抗菌剤と酸化亜鉛とのうちの少なくともいずれか一方であることが好ましい。
本発明では、無機系抗菌剤として、銀系抗菌剤と酸化亜鉛とのうちの少なくともいずれか一方を用いるので、顕著な抗菌性が容易に得られる。そして、銀系抗菌剤と酸化亜鉛とを併用することにより、銀系抗菌剤および酸化亜鉛自体による抗菌作用とともに、これら同一の無機系抗菌剤でも併用することで抗菌作用の相乗効果も得られ、より顕著な抗菌性が容易に得られる。
なお、銀系抗菌剤は、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトであることが好ましい。銀系抗菌剤として銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトを用いることで、貴金属である銀が抗菌作用を発揮する必要最小限の量となり、効率よく無機系抗菌剤による抗菌作用が得られるとともに有機系抗菌剤との抗菌作用の相乗効果が得られ、コストの低減も容易に図れる。
また、無機系抗菌剤としては、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が、質量比で1:1〜1:10であることが好ましい。銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと、酸化亜鉛とを併用することで、同一の無機系抗菌剤でも併用による抗菌作用の相乗効果が得られ、より顕著な抗菌性が得られる。さらに、無機系抗菌剤自体による抗菌作用と、無機系抗菌剤の併用による抗菌作用の相乗効果と、有機系抗菌剤との抗菌作用の相乗効果とが損なわれることなく、貴金属である銀の使用量が低減し、コストの低減がより容易に図れる。そして、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が、質量比で1:1〜1:10であることから、抗菌性が損なわれることなく適切に銀の使用量が低減する。
ここで、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が、質量比で1:1より酸化亜鉛が少なくなると、銀の使用量の低減による十分なコストの低減が得られにくくなる。また、銀の酸化による変色が問題となるおそれもある。一方、質量比で1:10より酸化亜鉛が多くなると、銀による十分な抗菌作用が得られにくくなるおそれがある。したがって、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合を質量比で1:1〜1:10とすることが好ましい。
さらに、イミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合は、質量比で1:1〜5:1であることが好ましい。イミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1とすることで、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤自体の抗菌作用とともに、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との併用による顕著な抗菌作用の相乗効果が適切に得られる。
ここで、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合が、質量比で1:1より有機系抗菌剤が少なくなると、少ないMIC値での抗菌スペクトルの拡大が得られなくなるおそれがある。一方、質量比で5:1より有機系抗菌剤が多くなると、無機系抗菌剤に比して初期抗菌性能が遅く抗菌性能の持続性が低減しやすい有機系抗菌剤の割合が多くなり、使用当初から長期間に亘って安定した顕著な抗菌性が得られなくなるおそれがある。したがって、ベンゾイミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1とすることが好ましい。
本発明では、無機系抗菌剤として、銀系抗菌剤と酸化亜鉛とのうちの少なくともいずれか一方を用いるので、顕著な抗菌性が容易に得られる。そして、銀系抗菌剤と酸化亜鉛とを併用することにより、銀系抗菌剤および酸化亜鉛自体による抗菌作用とともに、これら同一の無機系抗菌剤でも併用することで抗菌作用の相乗効果も得られ、より顕著な抗菌性が容易に得られる。
なお、銀系抗菌剤は、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトであることが好ましい。銀系抗菌剤として銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトを用いることで、貴金属である銀が抗菌作用を発揮する必要最小限の量となり、効率よく無機系抗菌剤による抗菌作用が得られるとともに有機系抗菌剤との抗菌作用の相乗効果が得られ、コストの低減も容易に図れる。
また、無機系抗菌剤としては、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が、質量比で1:1〜1:10であることが好ましい。銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと、酸化亜鉛とを併用することで、同一の無機系抗菌剤でも併用による抗菌作用の相乗効果が得られ、より顕著な抗菌性が得られる。さらに、無機系抗菌剤自体による抗菌作用と、無機系抗菌剤の併用による抗菌作用の相乗効果と、有機系抗菌剤との抗菌作用の相乗効果とが損なわれることなく、貴金属である銀の使用量が低減し、コストの低減がより容易に図れる。そして、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が、質量比で1:1〜1:10であることから、抗菌性が損なわれることなく適切に銀の使用量が低減する。
ここで、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が、質量比で1:1より酸化亜鉛が少なくなると、銀の使用量の低減による十分なコストの低減が得られにくくなる。また、銀の酸化による変色が問題となるおそれもある。一方、質量比で1:10より酸化亜鉛が多くなると、銀による十分な抗菌作用が得られにくくなるおそれがある。したがって、銀を担持したジルコニウムまたはその塩あるいはゼオライトと酸化亜鉛との配合割合を質量比で1:1〜1:10とすることが好ましい。
さらに、イミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合は、質量比で1:1〜5:1であることが好ましい。イミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1とすることで、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤自体の抗菌作用とともに、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との併用による顕著な抗菌作用の相乗効果が適切に得られる。
ここで、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合が、質量比で1:1より有機系抗菌剤が少なくなると、少ないMIC値での抗菌スペクトルの拡大が得られなくなるおそれがある。一方、質量比で5:1より有機系抗菌剤が多くなると、無機系抗菌剤に比して初期抗菌性能が遅く抗菌性能の持続性が低減しやすい有機系抗菌剤の割合が多くなり、使用当初から長期間に亘って安定した顕著な抗菌性が得られなくなるおそれがある。したがって、ベンゾイミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1とすることが好ましい。
そして、本発明では、タイルの目地に充填されることが好ましい。
本発明では、タイルの目地に充填し、例えば空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、湿気や水滴などにより特にカビなどが発生しやすく人体の接触する場所に利用されるタイルの目地として、効率よく高い抗菌作用を発現できる。
本発明では、タイルの目地に充填し、例えば空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、湿気や水滴などにより特にカビなどが発生しやすく人体の接触する場所に利用されるタイルの目地として、効率よく高い抗菌作用を発現できる。
また、本発明では、窓枠と窓ガラスとの間に充填されることが好ましい。
本発明では、窓枠と窓ガラスとの間に充填し、例えば空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、湿気や水滴などにより特にカビなどが発生しやすく人体の接触する場所に利用される窓枠と窓ガラスとの間の充填部材として、効率よく高い抗菌作用を発現できる。
本発明では、窓枠と窓ガラスとの間に充填し、例えば空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、湿気や水滴などにより特にカビなどが発生しやすく人体の接触する場所に利用される窓枠と窓ガラスとの間の充填部材として、効率よく高い抗菌作用を発現できる。
さらに、本発明では、建造物に生じる隙間に充填されることが好ましい。
本発明では、建造物に生じる隙間、例えば外壁の隙間や亀裂、窓枠と建造物との隙間などに充填し、例えば空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、降雨に曝され特にカビなどが発生しやすい場所に利用される外壁などの建造物の外面における充填部材として、効率よく高い抗菌作用を発現できる。
本発明では、建造物に生じる隙間、例えば外壁の隙間や亀裂、窓枠と建造物との隙間などに充填し、例えば空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させる。
このことにより、降雨に曝され特にカビなどが発生しやすい場所に利用される外壁などの建造物の外面における充填部材として、効率よく高い抗菌作用を発現できる。
以下、本発明の充填材に係る一実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態では、本発明の充填材としてタイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間、建造物の外壁の隙間や亀裂、建造物と窓枠との隙間などに充填される建材である抗菌性充填材を例示して説明するが、本発明の充填材としては建材としての用途に限らず、電気機器における部品や機器、あるいは車両における部品、または家具の隙間などの充填材やシール材など、各種用途に適用できる。また、適宜発泡させてもよい。
なお、本実施の形態では、本発明の充填材としてタイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間、建造物の外壁の隙間や亀裂、建造物と窓枠との隙間などに充填される建材である抗菌性充填材を例示して説明するが、本発明の充填材としては建材としての用途に限らず、電気機器における部品や機器、あるいは車両における部品、または家具の隙間などの充填材やシール材など、各種用途に適用できる。また、適宜発泡させてもよい。
〔抗菌性充填材の構成〕
抗菌性充填材は、特に適用制限はないが、例えば、微生物である菌類(真菌類、細菌類、藻類など)が繁殖しやすい環境に使われる部品や部位、具体的には、水回り目地、タイルの目地、窓枠と窓ガラスとの間、建造物の内装、外壁の隙間や亀裂、建造物と窓枠との隙間などに充填される。
この抗菌性充填材は、例えば、密封容器内に充填されて押し出しにより被施工部位に充填され、空気中の水分により硬化することで、被施工部位をシールするものである。
そして、抗菌性充填材は、湿気硬化型または反応硬化型材料と、イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた少なくとも2種、および無機系抗菌剤を含有する抗菌性組成物と、を含有する。
抗菌性充填材は、特に適用制限はないが、例えば、微生物である菌類(真菌類、細菌類、藻類など)が繁殖しやすい環境に使われる部品や部位、具体的には、水回り目地、タイルの目地、窓枠と窓ガラスとの間、建造物の内装、外壁の隙間や亀裂、建造物と窓枠との隙間などに充填される。
この抗菌性充填材は、例えば、密封容器内に充填されて押し出しにより被施工部位に充填され、空気中の水分により硬化することで、被施工部位をシールするものである。
そして、抗菌性充填材は、湿気硬化型または反応硬化型材料と、イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた少なくとも2種、および無機系抗菌剤を含有する抗菌性組成物と、を含有する。
湿気硬化型部材としては、例えばシリコーンやウレタン系重合体あるいはアクリル系重合体などの湿気硬化型の合成樹脂や、セメントまたはモルタルあるいは石膏などの湿気硬化型の無機材料などが例示でき、これらを単独で利用する場合に限らず、適宜組み合わせて使用することも可能である。
反応硬化型部材料としては、液状モノマまたはモノマを含む溶液同士や、前記モノマと架橋剤などの反応助剤を2種以上混合し、必要により加熱、放射線、紫外線、電子線などを照射することで、反応硬化する樹脂、エラストマからなる部材を言う。例えば、ポリオールとイソシアネート系架橋剤を混合して反応硬化させたウレタン系樹脂の部材が挙げられる。
また、湿気硬化型または反応硬化型部材としては、結晶性樹脂であれば、結晶化度が比較的に低い樹脂材料を用いることが好ましい。すなわち、結晶化度が低い樹脂材料の方が、湿気硬化型または反応硬化型部材中に存在する抗菌性組成物による抗菌作用が発揮されやすくなるためである。
反応硬化型部材料としては、液状モノマまたはモノマを含む溶液同士や、前記モノマと架橋剤などの反応助剤を2種以上混合し、必要により加熱、放射線、紫外線、電子線などを照射することで、反応硬化する樹脂、エラストマからなる部材を言う。例えば、ポリオールとイソシアネート系架橋剤を混合して反応硬化させたウレタン系樹脂の部材が挙げられる。
また、湿気硬化型または反応硬化型部材としては、結晶性樹脂であれば、結晶化度が比較的に低い樹脂材料を用いることが好ましい。すなわち、結晶化度が低い樹脂材料の方が、湿気硬化型または反応硬化型部材中に存在する抗菌性組成物による抗菌作用が発揮されやすくなるためである。
抗菌性組成物は、イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた2種と、無機系抗菌剤と、を含有、特にイミダゾール系の有機系抗菌剤のみから選ばれた2種と、無機系抗菌剤と、のみからなるものが好ましい。
この抗菌性組成物は、表1ないし表6に示す微生物である菌類(真菌類、細菌類、藻類など)に対して、低いMIC値でも抗菌効果を奏し格段に広い抗菌スペクトルを示す。
すなわち、MIC値を50ppm以下と厳しいレベルとしても、真菌類214種、細菌類131種、藻類27種(現時点で確認済み)を示す。なお、表1ないし表3に真菌類、表4および表5に細菌類、表6に藻類を示す。
なお、表1ないし表6において、実施例1は、後述する実施例1で用いた抗菌組成物の、Aはチアベンダゾールとカルベンダジムとが1:1で混合された抗菌性組成物、Bは銀担持リン酸ジルコニウム(東亞合成社製 商品名 ノバロン)と酸化亜鉛(関東化学株式会社試薬)が18:82で混合された抗菌性組成物のMIC値のデータである。また、表1ないし表6において、比較例における空白部分は、抗菌効果が認められなかったことを意味する。
この抗菌性組成物は、表1ないし表6に示す微生物である菌類(真菌類、細菌類、藻類など)に対して、低いMIC値でも抗菌効果を奏し格段に広い抗菌スペクトルを示す。
すなわち、MIC値を50ppm以下と厳しいレベルとしても、真菌類214種、細菌類131種、藻類27種(現時点で確認済み)を示す。なお、表1ないし表3に真菌類、表4および表5に細菌類、表6に藻類を示す。
なお、表1ないし表6において、実施例1は、後述する実施例1で用いた抗菌組成物の、Aはチアベンダゾールとカルベンダジムとが1:1で混合された抗菌性組成物、Bは銀担持リン酸ジルコニウム(東亞合成社製 商品名 ノバロン)と酸化亜鉛(関東化学株式会社試薬)が18:82で混合された抗菌性組成物のMIC値のデータである。また、表1ないし表6において、比較例における空白部分は、抗菌効果が認められなかったことを意味する。
イミダゾール系の有機系抗菌剤としては、例えばベンゾイミダゾールカルバミン酸化合物、イオウ原子含有ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾールの環式化合物誘導体などが例示できる。
ベンゾイミダゾールカルバミン酸化合物としては、1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、1−ブチルカルバモイル−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、6−ベンゾイル−1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、6−(2−チオフェンカルボニル)−1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルなどが例示できる。
イオウ原子含有ベンゾイミダゾール化合物としては、1H−2−チオシアノメチルチオベンゾイミダゾール、1−ジメチルアミノスルフォニル−2−シアノ−4−ブロモ−6−トリフロロメチルベンゾイミダゾールなどが例示できる。
ベンゾイミダゾールの環式化合物誘導体としては、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(2−クロロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(1−(3,5−ジメチルピラゾリル))−1H−ベンゾイミダゾール、2−(2−フリル)−1H−ベンゾイミダゾールなどが例示できる。
イオウ原子含有ベンゾイミダゾール化合物としては、1H−2−チオシアノメチルチオベンゾイミダゾール、1−ジメチルアミノスルフォニル−2−シアノ−4−ブロモ−6−トリフロロメチルベンゾイミダゾールなどが例示できる。
ベンゾイミダゾールの環式化合物誘導体としては、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(2−クロロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(1−(3,5−ジメチルピラゾリル))−1H−ベンゾイミダゾール、2−(2−フリル)−1H−ベンゾイミダゾールなどが例示できる。
そして、イミダゾール系の有機抗菌剤としては、イミダゾール系の有機系抗菌剤のみから選ばれた少なくとも2種のみを併用する。同一のイミダゾール系でも、異なる2種を併用することにより、微生物に対して抗菌作用の相乗効果が得られ、特に、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものと、ベンゾイミダゾール環にカーバメート基を有するものと、を使用することが、顕著な相乗効果が得られることから好ましい。
チアゾリル基としては、例えば2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリルなどが例示できる。また、カーバメート基としては、このカーバメート基における炭化水素基が、例えば、メチル、エチル、n−2プロピル、iso−プロピル、などのアルキル基が好ましく、特にメチル基あるいはエチル基を有するものが特に好ましい。
具体的には、チアゾリル基を有するものとして、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール(チアベンダゾール:Thiabendazole(TBZ))などが例示できる。また、カーバメート基を有するものとして、メチル−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル(カルベンダジム:Carbendazim(BCM))、エチル−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルなどが例示できる。特に、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとは、熱的安定性が比較的に高く、特に樹脂成形体として利用することが容易であり、また例えばグレープフルーツやオレンジ、バナナなどの防かび剤(食品添加物)としても既に利用され、人体への影響が比較的に小さい材料として確認されたものであることから、特に好ましい。
チアゾリル基としては、例えば2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリルなどが例示できる。また、カーバメート基としては、このカーバメート基における炭化水素基が、例えば、メチル、エチル、n−2プロピル、iso−プロピル、などのアルキル基が好ましく、特にメチル基あるいはエチル基を有するものが特に好ましい。
具体的には、チアゾリル基を有するものとして、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール(チアベンダゾール:Thiabendazole(TBZ))などが例示できる。また、カーバメート基を有するものとして、メチル−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル(カルベンダジム:Carbendazim(BCM))、エチル−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルなどが例示できる。特に、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとは、熱的安定性が比較的に高く、特に樹脂成形体として利用することが容易であり、また例えばグレープフルーツやオレンジ、バナナなどの防かび剤(食品添加物)としても既に利用され、人体への影響が比較的に小さい材料として確認されたものであることから、特に好ましい。
そして、これらイミダゾール系の有機系抗菌剤はハロゲンを含まないため、例えば焼却処理した場合であってもダイオキシンなどの有害物質が生成せず、環境への影響がなく好ましい。また、抗菌性組成物を樹脂材料に含有させて成形する場合に成形金型などの製造ラインにおける金属部品を腐食するなどの不都合が生じず、製造設備に特別な材料を用いた装置が不要で製造設備の簡略化や製造性の向上、装置コストの低減なども容易に得ることができるので好ましい。
また、これらイミダゾール系の有機系抗菌剤は実質的に水に不溶であるため、例えば雨露に曝されるなどの使用条件でも流れ落ちて長期間安定した抗菌性を提供できなくなるなどの不都合がない。さらに、水に分散質の基材と良好に混合されて抗菌性を有したエマルジョンとして提供することが容易となり、汎用性の向上も容易に図ることができる。
また、これらイミダゾール系の有機系抗菌剤は実質的に水に不溶であるため、例えば雨露に曝されるなどの使用条件でも流れ落ちて長期間安定した抗菌性を提供できなくなるなどの不都合がない。さらに、水に分散質の基材と良好に混合されて抗菌性を有したエマルジョンとして提供することが容易となり、汎用性の向上も容易に図ることができる。
一方、無機系抗菌剤としては、亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸銅、炭酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル、銅−ニッケル合金などの無機金属化合物や、リン酸ジルコニウム、金属を担持したゼオライト、またはその塩であるリン酸ジルコニウムなどを使用することができる。特に、金属として銀または銅を担持したリン酸ジルコニウムが好ましく、より好ましくは抗菌性の高い銀系抗菌剤である銀を担持したリン酸ジルコニウムを使用する。なお、銀系抗菌剤としては、担持した形態に限らず、金属単体の銀なども対象とすることができる。
銀や銅といった金属を担持したリン酸ジルコニウムやゼオライトは、人体への安全性に優れ、抗菌速度も速く抗菌性能に優れているとともに、リン酸ジルコニウムやゼオライトに貴金属である銀を担持させることによるコストの低減などが得られるために好ましい。
特に、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトを利用する場合、酸化亜鉛を併用することがより好ましい。銀担持リン酸ジルコニウムと酸化亜鉛との併用により、銀担持リン酸ジルコニウム自体および酸化亜鉛自体の抗菌作用とともに、同一の無機系である無機系抗菌剤でも併用による抗菌作用の相乗効果が得られ、より顕著な抗菌性が得られることから好ましい。さらに、酸化亜鉛との併用により、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトの含有量を低減でき、貴金属である銀の使用量の低減によりコストの低減も容易に得られるので好ましい。また、銀の酸化による変色を防ぐこともできる。
銀や銅といった金属を担持したリン酸ジルコニウムやゼオライトは、人体への安全性に優れ、抗菌速度も速く抗菌性能に優れているとともに、リン酸ジルコニウムやゼオライトに貴金属である銀を担持させることによるコストの低減などが得られるために好ましい。
特に、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトを利用する場合、酸化亜鉛を併用することがより好ましい。銀担持リン酸ジルコニウムと酸化亜鉛との併用により、銀担持リン酸ジルコニウム自体および酸化亜鉛自体の抗菌作用とともに、同一の無機系である無機系抗菌剤でも併用による抗菌作用の相乗効果が得られ、より顕著な抗菌性が得られることから好ましい。さらに、酸化亜鉛との併用により、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトの含有量を低減でき、貴金属である銀の使用量の低減によりコストの低減も容易に得られるので好ましい。また、銀の酸化による変色を防ぐこともできる。
そして、抗菌性組成物は、イミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1、特に2:1とすることが好ましい。
ここで、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合が質量比で1:1より有機系抗菌剤が少なくなると、少ないMIC値での抗菌スペクトルの拡大が得られなくなるおそれがある。一方、質量比で5:1より有機系抗菌剤が多くなると、無機系抗菌剤に比して初期抗菌性能が遅くなるおそれがある。このことから、ベンゾイミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1とし、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤自体の抗菌作用とともに、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との併用による顕著な抗菌作用の相乗効果を適切に発揮させることが好ましい。
ここで、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合が質量比で1:1より有機系抗菌剤が少なくなると、少ないMIC値での抗菌スペクトルの拡大が得られなくなるおそれがある。一方、質量比で5:1より有機系抗菌剤が多くなると、無機系抗菌剤に比して初期抗菌性能が遅くなるおそれがある。このことから、ベンゾイミダゾール系の有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との配合割合を、質量比で1:1〜5:1とし、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤自体の抗菌作用とともに、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との併用による顕著な抗菌作用の相乗効果を適切に発揮させることが好ましい。
また、イミダゾール系の有機系抗菌剤として、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとを併用する場合、これらの配合割合を質量比で1:1〜5:1とすることが好ましい。
ここで、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの配合割合が質量比で1:1より2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールが少なくなる、あるいは5:1より2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールが多くなると、低いMIC値で抗菌作用を示す抗菌スペクトルの数が減少、すなわち抗菌性組成物の添加量が増大するおそれがある。このことから、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの配合割合を質量比で1:1〜5:1とすることが好ましい。
ここで、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの配合割合が質量比で1:1より2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールが少なくなる、あるいは5:1より2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールが多くなると、低いMIC値で抗菌作用を示す抗菌スペクトルの数が減少、すなわち抗菌性組成物の添加量が増大するおそれがある。このことから、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの配合割合を質量比で1:1〜5:1とすることが好ましい。
さらに、無機系抗菌剤として、銀を担持したリン酸ジルコニウムやゼオライトと酸化亜鉛とを併用する場合、これらの配合割合を質量比で好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは約1:2とする。
ここで、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が質量比で1:1より酸化亜鉛が少なくなると、貴金属である銀の使用量の低減による十分なコストの低減が得られにくくなる。また、銀の酸化による変色のおそれも考えられる。一方、質量比で1:10より酸化亜鉛が多くなると、銀による十分な抗菌作用が得られにくくなって、抗菌性組成物の添加量が増大するおそれがある。このことから、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトと酸化亜鉛との配合割合を質量比で1:1〜1:10として、併用による顕著な抗菌作用の相乗効果を適切に発揮させることが好ましい。
ここで、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトと酸化亜鉛との配合割合が質量比で1:1より酸化亜鉛が少なくなると、貴金属である銀の使用量の低減による十分なコストの低減が得られにくくなる。また、銀の酸化による変色のおそれも考えられる。一方、質量比で1:10より酸化亜鉛が多くなると、銀による十分な抗菌作用が得られにくくなって、抗菌性組成物の添加量が増大するおそれがある。このことから、銀担持リン酸ジルコニウムやゼオライトと酸化亜鉛との配合割合を質量比で1:1〜1:10として、併用による顕著な抗菌作用の相乗効果を適切に発揮させることが好ましい。
そして、抗菌性充填材は、抗菌性組成物を0.01質量%以上10.0質量%以下で含有することが好ましく、0.05質量%以上2.0質量%以下で含有することが特に好ましい。
ここで、抗菌性組成物の含有量が0.01質量%より少なくなると、十分な抗菌性を発揮できなくなるおそれがある。一方、抗菌性組成物の含有量を10.0質量%より多くしても、抗菌性能はほとんど変化がない一方、例えば充填材として流動性や強度などが低下したり、表面の平滑性などの外観が損なわれるなどの充填材の特性に影響を及ぼすなどの不都合を生じるおそれがある。このように、必要最小限の含有量で十分な抗菌性を発揮させつつ、抗菌性組成物の含有量の増大によるコストの増大を抑えるため、抗菌性組成物の含有量を0.01質量%以上10.0質量%以下にすることが好ましい。
ここで、抗菌性組成物の含有量が0.01質量%より少なくなると、十分な抗菌性を発揮できなくなるおそれがある。一方、抗菌性組成物の含有量を10.0質量%より多くしても、抗菌性能はほとんど変化がない一方、例えば充填材として流動性や強度などが低下したり、表面の平滑性などの外観が損なわれるなどの充填材の特性に影響を及ぼすなどの不都合を生じるおそれがある。このように、必要最小限の含有量で十分な抗菌性を発揮させつつ、抗菌性組成物の含有量の増大によるコストの増大を抑えるため、抗菌性組成物の含有量を0.01質量%以上10.0質量%以下にすることが好ましい。
また、抗菌性充填材に含有させる抗菌性組成物としては、1μm以下の平均粒径に粒度調整したものを用いる。
このことにより、硬化性材料に対する分散性が向上するとともに、湿気硬化型または反応硬化型材料に対する分散性が向上するとともに、充填時の良好な流動性や充填して硬化後の表面の平滑性が得られるなど、良好な抗菌性組成物の含有状態が容易に得られる。したがって、安定した高い抗菌作用を発揮させることが容易に得られる。
このことにより、硬化性材料に対する分散性が向上するとともに、湿気硬化型または反応硬化型材料に対する分散性が向上するとともに、充填時の良好な流動性や充填して硬化後の表面の平滑性が得られるなど、良好な抗菌性組成物の含有状態が容易に得られる。したがって、安定した高い抗菌作用を発揮させることが容易に得られる。
〔実施の形態の作用効果〕
上述した抗菌性充填材では、ハロゲン基を有さず皮膚刺激性が認められない少なくとも2種のイミダゾール系の有機系抗菌剤と、無機系抗菌剤とを併用した抗菌性組成物を含有している。このことにより、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との併用による相乗効果に加え、同一のイミダゾール系でも2種の有機系抗菌剤、特に2種のみを併用することによる相乗効果を得ることができる。
このため、この抗菌性組成物を含有する抗菌性充填材では、湿気硬化型または反応硬化型部材を基材として、抗菌スペクトルを広げるために化学的に異種な抗菌剤を用いるという従来の公知知見からは全く予想できないイミダゾール系単一の有機系抗菌剤の組み合わせにより著しく広い抗菌スペクトルを達成でき、かつ皮膚刺激性が陰性で安全性が高く、人体や環境に悪影響が小さい本発明の抗菌性組成物を含有させ、流動性に適宜調製、例えば抗菌性組成物を0.01質量%以上10.0質量%以下で含有させ、タイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間などの隙間に充填して空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させればよい。したがって、湿気や水滴などによりカビなどが発生しやすい目地や窓枠の隙間などの充填材として、皮膚刺激性が認められず、人体や環境に悪影響が小さく、かつ、相乗効果による低い最小育成素子濃度(MIC値)でも格段に広い抗菌スペクトルが得られ、効率よく高い抗菌作用を発現させることができる。
上述した抗菌性充填材では、ハロゲン基を有さず皮膚刺激性が認められない少なくとも2種のイミダゾール系の有機系抗菌剤と、無機系抗菌剤とを併用した抗菌性組成物を含有している。このことにより、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤との併用による相乗効果に加え、同一のイミダゾール系でも2種の有機系抗菌剤、特に2種のみを併用することによる相乗効果を得ることができる。
このため、この抗菌性組成物を含有する抗菌性充填材では、湿気硬化型または反応硬化型部材を基材として、抗菌スペクトルを広げるために化学的に異種な抗菌剤を用いるという従来の公知知見からは全く予想できないイミダゾール系単一の有機系抗菌剤の組み合わせにより著しく広い抗菌スペクトルを達成でき、かつ皮膚刺激性が陰性で安全性が高く、人体や環境に悪影響が小さい本発明の抗菌性組成物を含有させ、流動性に適宜調製、例えば抗菌性組成物を0.01質量%以上10.0質量%以下で含有させ、タイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間などの隙間に充填して空気中の水分や適宜添加した水などにより硬化させればよい。したがって、湿気や水滴などによりカビなどが発生しやすい目地や窓枠の隙間などの充填材として、皮膚刺激性が認められず、人体や環境に悪影響が小さく、かつ、相乗効果による低い最小育成素子濃度(MIC値)でも格段に広い抗菌スペクトルが得られ、効率よく高い抗菌作用を発現させることができる。
そして、抗菌性組成物のイミダゾール系の有機系抗菌剤として、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものとカーバメート基を有するものとの2種を併用するので、同一のイミダゾール系でも、人体や環境に影響がなく、かつ、相乗効果による低いMIC値でも格段に広い抗菌スペクトルが得られるという抗菌作用が容易に得られ、特にこれらの併用により顕著な抗菌性が得られる。
特に、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有する2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、カーバメート基を有する2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの2種を併用するので、併用による相乗効果にて顕著な抗菌性を発揮できる。さらに、これら2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールおよび2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルは、比較的に製造しやすく入手が容易で、既に利用されている材料で安全性が認められたものであることから、容易に利用でき、汎用性を向上できる。
特に、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有する2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、カーバメート基を有する2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとの2種を併用するので、併用による相乗効果にて顕著な抗菌性を発揮できる。さらに、これら2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールおよび2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルは、比較的に製造しやすく入手が容易で、既に利用されている材料で安全性が認められたものであることから、容易に利用でき、汎用性を向上できる。
また、無機系抗菌剤として、イミダゾール系の有機系抗菌剤との相乗効果が得られる銀担持リン酸ジルコニウムと酸化亜鉛とのうちの少なくともいずれか一方を用いるので、顕著な抗菌性が容易に得られる。特に、銀担持リン酸ジルコニウムと酸化亜鉛とを併用することにより、銀担持リン酸ジルコニウム自体および酸化亜鉛自体による抗菌作用とともに、これら同一系である無機系抗菌剤でも、併用することで抗菌作用の相乗効果も得られ、より顕著な抗菌性を発揮できる。また、銀担持リン酸ジルコニウムと酸化亜鉛との併用により、抗菌性を損なうことなく、貴金属である銀の使用量を低減でき、コストをより容易に低減できる。
さらに、高い抗菌性を示す銀の使用形態として、リン酸ジルコニウムに銀を担持させた形態としている。このため、必要最小限の量で貴金属である銀による抗菌作用を発揮でき、無機系抗菌剤による抗菌作用および有機系抗菌剤との抗菌作用の相乗効果を効率よく発揮でき、コストをより容易に低減できる。
さらに、高い抗菌性を示す銀の使用形態として、リン酸ジルコニウムに銀を担持させた形態としている。このため、必要最小限の量で貴金属である銀による抗菌作用を発揮でき、無機系抗菌剤による抗菌作用および有機系抗菌剤との抗菌作用の相乗効果を効率よく発揮でき、コストをより容易に低減できる。
そして、湿気硬化型材料として、例えばタイル目地や窓枠の隙間などの充填部材として広く利用されているシリコーン、セメント、ウレタン系重合体、および、アクリル系重合体のうちのいずれかを用いることで、本発明における抗菌性組成物を適宜混合するのみで、隙間への充填作業性やシール性などの充填部材としての機能を損なうことなく、製造性の向上が得られ、効率よく高い抗菌作用を付与できる。
〔実施の形態の変形例〕
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、耐候剤などを適宜配合しても良い。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、耐候剤などを適宜配合しても良い。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
すなわち、本発明の抗菌性充填材として、タイルの目地や窓枠と窓ガラスとの間、建造物の外壁の隙間や亀裂、建造物と窓枠との隙間などに充填される建材としての用途を例示したが、上述したように、電気機器における部品や機器、あるいは車両における部品、または家具の隙間などの充填材やシール材など、各種用途に適用できる。具体的には、洗濯機や冷蔵庫、食器洗浄機、浄水器などの台所用品のシール材、便座やタンクなどのトレイ用品のシール材、浴槽と内壁との隙間や洗面台と壁面との隙間などの水回り、空調装置の空調風路を構成する空調風路部材間のシール材、屋根材の充填材やシール材、発泡剤などを加えて発泡させて硬化させる断熱シール材など、各種用途に適用できる。
また、密封容器内に充填されて押し出しにより被施工部位に充填する構成について説明したが、例えばセメントなどのように施工時に水を適宜加えて混練し、コテ塗りなどにより施工するなど、空気中の水分により硬化する構成に限らず、適宜水を添加して硬化させる構成としたり、押し出しやコテ塗りなどに限らず、各種施工方法を適用できる。さらには、湿気硬化型または反応硬化型部材と抗菌性組成物とをそれぞれ別体として、施工時に混合して施工するなどしてもよい。
また、密封容器内に充填されて押し出しにより被施工部位に充填する構成について説明したが、例えばセメントなどのように施工時に水を適宜加えて混練し、コテ塗りなどにより施工するなど、空気中の水分により硬化する構成に限らず、適宜水を添加して硬化させる構成としたり、押し出しやコテ塗りなどに限らず、各種施工方法を適用できる。さらには、湿気硬化型または反応硬化型部材と抗菌性組成物とをそれぞれ別体として、施工時に混合して施工するなどしてもよい。
また、イミダゾール系の有機系抗菌剤としては、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾールと、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルとに限らず、上述した各種ベンゾイミダゾール系の組成物を組み合わせた構成として適用することができる。
さらに、各配合割合についても、利用部位や用途などに対応して適宜設定することができる。
さらに、各配合割合についても、利用部位や用途などに対応して適宜設定することができる。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
〔実施例1,2、比較例1〜5〕
以下、実施例および比較例などを挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
以下、実施例および比較例などを挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
〔実験1〕
(シリコーン充填材)
本発明の充填材として、湿気硬化型部材としてシリコーンを用いたシリコーン充填材について、各成分で調製して、抗菌作用を確認した。
(シリコーン充填材)
本発明の充填材として、湿気硬化型部材としてシリコーンを用いたシリコーン充填材について、各成分で調製して、抗菌作用を確認した。
イミダゾール系の有機系抗菌剤として市販のチアベンダゾール(関東化学株式会社より試薬として入手)およびカルベンダジム(関東化学株式会社より試薬として入手)、無機系抗菌剤として銀担持リン酸ジルコニウム(東亞合成株式会社製 商品名;ノバロン)および酸化亜鉛(関東化学株式会社より試薬として入手)を、それぞれ33:33:6:28の割合で配合して攪拌混合し、抗菌性組成物を調製した。
さらに、調製した抗菌性組成物を、市販のシリコーン(株式会社カンペハピオ社製 商品名;ハピオシールプロHGクリヤー…実施例1、株式会社カンペハピオ社製 商品名;変性シリコーンLMホワイト…実施例2)に対して0.25質量%となる条件で添加して攪拌混合後、さらに混練機(株式会社シンキー製、商品名;泡取り練太郎)にて5分間混合し、シリコーン充填材を調製した。このシリコーン充填材を、0.4mm厚のポリプロピレン(PP)シート上に、べーカーアプリケータにより0.4mmの厚みに塗布し、25℃12時間の条件で硬化させて試験片とした。この試験片は、ユニットバスの風呂場の隙間を埋める充填剤と同様な素材であった。
また、比較例1として実施例1のシリコーンに抗菌性組成物を添加せずに作製したもの、比較例2として実施例2のシリコーンに抗菌性組成物を添加せずに作製したもの、比較例3として実施例1の抗菌性組成物に代えて実施例1のチアベンダゾールを用いて作製したもの、比較例4として実施例1の抗菌性組成物に代えて実施例1のカルベンダジムを用いて作製したもの、比較例5として実施例1の抗菌性組成物に代えて、実施例1の銀担持リン酸ジルコニウムを0.08質量%と実施例1の酸化亜鉛を0.17質量%とを用いて作製したものとした。
さらに、調製した抗菌性組成物を、市販のシリコーン(株式会社カンペハピオ社製 商品名;ハピオシールプロHGクリヤー…実施例1、株式会社カンペハピオ社製 商品名;変性シリコーンLMホワイト…実施例2)に対して0.25質量%となる条件で添加して攪拌混合後、さらに混練機(株式会社シンキー製、商品名;泡取り練太郎)にて5分間混合し、シリコーン充填材を調製した。このシリコーン充填材を、0.4mm厚のポリプロピレン(PP)シート上に、べーカーアプリケータにより0.4mmの厚みに塗布し、25℃12時間の条件で硬化させて試験片とした。この試験片は、ユニットバスの風呂場の隙間を埋める充填剤と同様な素材であった。
また、比較例1として実施例1のシリコーンに抗菌性組成物を添加せずに作製したもの、比較例2として実施例2のシリコーンに抗菌性組成物を添加せずに作製したもの、比較例3として実施例1の抗菌性組成物に代えて実施例1のチアベンダゾールを用いて作製したもの、比較例4として実施例1の抗菌性組成物に代えて実施例1のカルベンダジムを用いて作製したもの、比較例5として実施例1の抗菌性組成物に代えて、実施例1の銀担持リン酸ジルコニウムを0.08質量%と実施例1の酸化亜鉛を0.17質量%とを用いて作製したものとした。
(評価方法)
(1)無機塩培地の調製
表7に示す無機塩培地を調製し、これを121℃で20分間オートクレーブ殺菌後、苛性ソーダ水溶液(NaOH水溶液)によりpHが6.0〜6.5となるように調整した。
(1)無機塩培地の調製
表7に示す無機塩培地を調製し、これを121℃で20分間オートクレーブ殺菌後、苛性ソーダ水溶液(NaOH水溶液)によりpHが6.0〜6.5となるように調整した。
(2)混合胞子液の調製
以下の表8に示した菌株(77混合菌種)からなるカビの胞子を減菌水に懸濁させ、ろ過して濃度が約1×106cell/mlの混合胞子液を調製した。なお、胞子の懸濁には、ラウリル硫酸ナトリウムを用いて分散を行うようにした。
以下の表8に示した菌株(77混合菌種)からなるカビの胞子を減菌水に懸濁させ、ろ過して濃度が約1×106cell/mlの混合胞子液を調製した。なお、胞子の懸濁には、ラウリル硫酸ナトリウムを用いて分散を行うようにした。
(3)評価の方法
(1)で調製した無機塩培地に(2)で調製した混合胞子液をまいた後、その上からあらかじめ作製した試験片を乗せ、それぞれを載せた後、温度を28℃、湿度を85%RH以上とした状態で28日間カビを培養させた。そして、カビの生育状況を目視で確認し、表9に示す判定基準を用いて評価した。その結果を表10に示す。
(1)で調製した無機塩培地に(2)で調製した混合胞子液をまいた後、その上からあらかじめ作製した試験片を乗せ、それぞれを載せた後、温度を28℃、湿度を85%RH以上とした状態で28日間カビを培養させた。そして、カビの生育状況を目視で確認し、表9に示す判定基準を用いて評価した。その結果を表10に示す。
(評価結果)
表10に示すように、2週間の培養後では、有機系抗菌剤を用いた比較例3および比較例4は、無機抗菌剤を用いた比較例5より多少の抗菌作用が認められ、抗菌剤を用いない比較例1および比較例2より抗菌作用が認められるものの、4週間の培養後では、比較例1、比較例2および無機抗菌剤を用いた比較例5が試験片の全面に対して60%以上、比較例3および比較例4でも試験片の全面に対して30%〜60%で菌が繁殖しており、有機系抗菌剤のみや無機系抗菌剤のみでは十分に防カビ性が認められなかった。一方、本発明の抗菌性組成物を含有する実施例1および実施例2のものでは、4週間の培養後でもカビの発育は全く見られず、明確に強い防かび性を発揮することが認められた。
表10に示すように、2週間の培養後では、有機系抗菌剤を用いた比較例3および比較例4は、無機抗菌剤を用いた比較例5より多少の抗菌作用が認められ、抗菌剤を用いない比較例1および比較例2より抗菌作用が認められるものの、4週間の培養後では、比較例1、比較例2および無機抗菌剤を用いた比較例5が試験片の全面に対して60%以上、比較例3および比較例4でも試験片の全面に対して30%〜60%で菌が繁殖しており、有機系抗菌剤のみや無機系抗菌剤のみでは十分に防カビ性が認められなかった。一方、本発明の抗菌性組成物を含有する実施例1および実施例2のものでは、4週間の培養後でもカビの発育は全く見られず、明確に強い防かび性を発揮することが認められた。
〔実験2〕
(抗菌スペクトル評価)
実験1における実施例1、実施例2および比較例1〜5について、表8に示した77混合菌種の菌株を各菌株毎に用い、各実施例1、実施例2および比較例1〜5で100mg/m2の濃度で効果があった菌種を計数した。その結果を表11に示す。
(抗菌スペクトル評価)
実験1における実施例1、実施例2および比較例1〜5について、表8に示した77混合菌種の菌株を各菌株毎に用い、各実施例1、実施例2および比較例1〜5で100mg/m2の濃度で効果があった菌種を計数した。その結果を表11に示す。
この表11に示すように、比較例3および比較例4で一部の菌種に対して抗菌作用が認められた程度で、抗菌剤を用いない比較例1および比較例2と無機抗菌剤を用いた比較例5とでは効果が認められなかった。一方、本発明の抗菌組成物を含有するシリコーン充填材の実施例1および実施例2では、77菌種(カビ)の全てに抗菌作用が認められた。
Claims (7)
- 湿気硬化型部材または反応硬化型部材と、
イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた少なくとも2種、および無機系抗菌剤を含有する抗菌性組成物と、を含有し、
間隙に充填可能な流動性に調製された
ことを特徴とした充填材。 - 請求項1に記載の充填材であって、
前記湿気硬化型部材は、シリコーン、セメント、ウレタン系重合体、および、アクリル系重合体のうちのいずれかである
ことを特徴とした充填材。 - 請求項1または請求項2に記載の充填材であって、
前記イミダゾール系の有機系抗菌剤から選ばれた2種は、ベンゾイミダゾール環にチアゾリル基を有するものと、ベンゾイミダゾール環にカーバメート基を有するものとである
ことを特徴とした充填材。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の充填材であって、
前記無機系抗菌剤は、銀系抗菌剤と酸化亜鉛とのうちの少なくともいずれか一方である
ことを特徴とした充填材。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の充填材であって、
タイルの目地に充填される
ことを特徴とした充填材。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の充填材であって、
窓枠と窓ガラスとの間に充填される
ことを特徴とした充填材。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の充填材であって、
建造物に生じる隙間に充填される
ことを特徴とした充填材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006008084A JP2007191397A (ja) | 2006-01-16 | 2006-01-16 | 充填材 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN110352982A (zh) * | 2019-07-16 | 2019-10-22 | 陕西科技大学 | 一种季鏻盐改性蒙脱土负载钴掺杂氧化锌量子点纳米复合抗菌剂及其制备方法 |
CN110521733A (zh) * | 2019-09-18 | 2019-12-03 | 陕西科技大学 | 一种Co掺杂ZnO量子点/凹凸棒石纳米复合抗菌剂及其制备方法 |
-
2006
- 2006-01-16 JP JP2006008084A patent/JP2007191397A/ja not_active Withdrawn
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