JP2007185810A - 光情報記録媒体および光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリング・ターゲット - Google Patents

光情報記録媒体および光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリング・ターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】書込み・読み取り特性、C/N特性、低ジッター特性、記録感度特性、反射率特性、耐環境特性に優れており、次世代型の光ディスクに適用可能な光情報記録媒体と、該光情報記録媒体の記録層形成に有用なスパッタリング・ターゲットを提供すること。
【解決手段】レーザ光の照射によって記録マークが形成される記録層を有する光情報記録媒体であって、該記録層の第1の態様は、1〜15原子%の希土類元素を含むSn基合金からなり、第2の態様は、上記元素に加えてInおよび/またはBiを50原子%以下で含有するSn基合金からなる記録層と、該記録層の形成に用いるスパッタリング・ターゲットを開示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光情報記録用の記録媒体と、該記録媒体の製造に用いる記録層形成用のスパッタリング・ターゲットに関するものである。本発明の光情報記録媒体は、現行のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、次世代の光情報記録媒体(HDDVDやBlu-ray Disc)として用いられ、特に、青紫色のレーザを用いる追記型の高密度光情報記録媒体として好適に用いられる。
光情報記録媒体(光ディスク)は、記録再生方式により、再生専用型、書換え型および追記型の3種類に大別される。
このうち追記型の光ディスクでは、主に、レーザ光が照射された記録層材料の物性の変化を利用してデータを記録する。追記型の光ディスクは、情報の記録はできるが消去や書換えを行なうことはできない。この様な特性を利用し、追記型の光ディスクは、例えば文書ファイルや画像ファイルなど、データの改ざん防止が求められるCD−R、DVD−R、DVD+R等に用いられている。
追記型の光ディスクに用いられる記録層材料としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素などの有機色素材料が知られている。この有機色素材料にレーザ光を照射すると、色素の熱吸収によって色素や基板が分解、溶融、蒸発されるなどして記録マークが形成される。ところが有機色素材料を用いる場合、色素を有機溶媒に溶解してから基板上に塗布しなければならず、生産性が低いという問題がある。また、記録信号の長期安定保存性などの点でも問題がある。
こうした有機色素材料の弱点を改善するため、記録層として無機材料薄膜を使用し、この薄膜にレーザ光を照射して、局所的に記録マーク(穴、ピットなど)を形成することにより記録を行なう方法が提案されている(非特許文献1、特許文献1〜7など)。
非特許文献1には、融点および熱伝導率の低いTe薄膜を使用し、低いレーザ・パワーで穴をあける技術が開示されている。
特許文献1,2には、基板上にAlを含むCu基合金からなる反応層と、Siなどを含む反応層とが積層された光情報記録層が開示されている。これらの文献に示された光記録層では、レーザ光の照射によって、基板上に、各反応層に含まれる元素が混合された領域が部分的に形成され、それにより反射率が大きく変化することから、青色レーザなどの短波長レーザを用いて高感度で記録できると記載されている。
特許文献3,4および7は、記録マークによるC/N(carrier-to-noise ratio:キャリアとノイズの出力レベルの比)の低下を防止し、高いC/Nと反射率を備えた光情報記録媒体を開示するもので、記録層としてInを含むCu基合金(特許文献3)、Biなどを含むAg基合金(特許文献4)、Biなどを含むSn基合金(特許文献7)が記載されている。
特許文献5,6はSn基合金を用いた光情報記録媒体に関するもので、特許文献5には、合金層中に、熱処理工程で少なくとも一部が凝集し得る元素を2種以上含有させた光情報記録媒体が開示されている。具体的には、BiやInを含む厚さ1〜8nm程度のSn−Cu基合金層からなり、高融点で熱伝導率の高い光情報記録媒体である。
特許文献6には、記録特性に優れたSn−Bi合金に、SnやBiよりも酸化され易い被酸化性物質を添加した光情報記録層が開示されており、高温多湿環境下においても優れた耐久性を示すことが強調されている。
特開2004−5922号公報 特開2004−234717号公報 特開2002−172861号公報 特開2002−144730号公報 特開平2−117887号公報 特開2001−180114号公報 特開2002−225433号公報 Appl.Phys.Lett.,Vol.34(1979年)p.835
近年、記録情報の高密度化に対応するため、青紫色レーザなどの短波長レーザを用いた光情報の記録と再生技術が開発されており、これに適合する記録層の特性として、(1)高C/N(読取り時の信号が強くバックグラウンドのノイズが小さい)、低ジッター(信号位置のばらつきが少ない)などの高品質の信号書込み・読取り、(2)高記録感度(低パワーのレーザ光で書き込みができる)、(3)記録層からの高反射率、(4)高耐食性、などが要求されている。
しかし発明者らの調査によると、従来の金属系記録層では、上記要求特性の全てを十分に満たすことができず、実用化には難がある。しかし、金属系の記録層は有機系記録層に較べて材料が著しく安定であるという利点があり、金属系材料で上記の要求特性を満足する実用的な記録層を開発することは、信頼性の高い光情報記録媒体であるCD−RやHDDVD−Rをユーザに提供する上で極めて重要となる。
また、光情報記録媒体用の記録層を成膜するには、生産効率の高いスパッタリング法を採用することが望ましく、高品質な記録層を形成することのできるスパッタリング・ターゲットの開発も必要となる。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、上記(1)〜(4)として示した様な要求特性を満たすばかりか、記録精度の信頼性が高く、コスト的にも廉価な金属系材料からなる光情報記録層を備えた記録媒体を提供すると共に、こうした光情報記録層の形成に有用なスパッタリング・ターゲットを提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る光情報記録媒体とは、レーザ光の照射によって記録マークが形成される記録層を有する光情報記録媒体であって、該記録層は、1〜15%(原子%の意味、以下同じ)の希土類元素を含むSn基合金からなり、該記録層と基板の間および/または該記録層の基板とは反対側の表面に保護層を有しているところに特徴を有している。
上記記録層を構成するSn基合金として、更にInおよび/またはBiを50%以下の範囲で含むものを使用すると、記録層の主体となるSnの酸化劣化が抑制され、記録層の耐久性が高められるので好ましい。該記録層の好ましい厚さは1〜50nmであり、またこの記録層は、特に波長が350〜700nmの範囲のレーザ光に対して高い記録感度を示し、優れた光情報の書込み・読取り精度を発揮する光情報記録媒体となる。
また本発明のスパッタリング・ターゲットは、上記光記録層をスパッタリング法によって形成する際に用いるターゲットであって、1〜15%の希土類元素を含み、或は更に、Inおよび/またはBiを50%以下の範囲で含むSn基合金からなるところに特徴を有している。
本発明で用いる第1のSn基合金においては、基本的にSnがその主な特性を担っており、該Sn基合金中に占めるSnの含有量は40%以上であることが望ましく、より好ましいSn含有量は50%以上、更に好ましくは60%以上である。また希土類元素の含有量は1〜15%であり、希土類元素としては、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、ディスプロシウム(Dy)などが挙げられる。
また第2のSn基合金では、他の元素としてInおよび/またはBiが50%以下の範囲で含まれているが、これらの元素の他に、Snよりも酸化され易い他の金属元素が含まれていても構わない。
本発明に係る光情報記録媒体の記録層を構成する上記Sn基合金において、母相となるSnは低融点であり、低いレーザ・パワーで記録マークの形成を可能とし、また、適量の希土類元素は、記録膜の耐食性向上に寄与すると共に、記録膜の平坦性向上や記録マークの形状最適化に有効に作用し、その結果として、ジッターの低減(読取り波形の整形)などに優れた効果を発揮する。また、他の元素としてInおよび/またはBiを含有させると、記録層の反射率を低減させることなく耐環境劣化性を大幅に高めることができる。これは、InやBiがSnよりも酸化され易く、且つ酸化物が安定であることから、Snの酸化による記録層の特性劣化が防止されるためと思われる。
本発明において、まず基金属としてSnを選択した理由は次の通りである。
光情報記録媒体における記録層の反射率の観点からすると、SnよりもAl,Ag,Cuなどの方が優れているが、レーザ光照射による記録マークの形成性はSnの方が格段に優れている。これは、Snの融点が約232℃であり、Al(融点は約660℃)、Ag(融点は約962℃)、Cu(融点は約1085℃)に比べて格段に低いため、Sn基合金の薄膜はレーザ光の照射により低温でも容易に溶融もしくは変形し、低いレーザ・パワーでも優れた記録特性を発揮するためと考えられる。特に本発明では、青紫色レーザを用いる次世代型光ディスクに適用することを1つの目的としており、この場合、Al基合金などでは記録マークの形成が困難になる恐れがあることから、基金属としてSnを選択した。
次に希土類元素は、記録層の耐食性や記録膜の平坦性向上に寄与する他、ジッターを低減する効果を有しており、これらの効果を有効に発揮させるには、Sn基合金中に少なくとも1%以上含有させねばならず、好ましくは1.5%以上、更に好ましくは3%以上含有させるのがよい。しかし、希土類元素量が多過ぎると、記録層の融点が上昇するなど、Snの特性を阻害する原因になるので、多くとも15%以下、好ましくは10%以下に抑えるのがよい。希土類元素としては、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、ディスプロシウム(Dy)などが挙げられ、これらは単独で使用し得るほか、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。希土類元素の中でも特に好ましいのはNdとYである。
また、Sn基合金に含有させることのできる他の元素であるInおよび/またはBiは、何れもSnよりも酸化され易い元素であり、それらが犠牲酸化してSnの酸化劣化を防止する作用を発揮する。こうしたInやBiの効果は少量でも発揮されるが、その効果が実用面で明確に現れてくるのは、総和で3%以上、より確実には8%以上添加したときである。しかしその添加量が多過ぎると、Sn含有量が相対的に少なくなってSn本来の特性が損なわれるので、多くともトータルで50%以下、好ましくは30%以下に抑えるのがよい。
ところで、上記の様に適量の希土類元素を含み、或は更に適量のInやBiを含むSn基合金によって形成される記録層は高い反射率を有し、低ノイズ・高C/N値を示すが、特に低いレーザ・パワーでの光情報記録に適用した場合などを考えると、光情報記録の更なる感度や効率の向上を求める需要者の要望を必ずしも満たせないことがあり得る。
ところが、上記成分構成のSn基合金からなる記録層と基板の間、および/または、該記録層の基板とは反対側の表面側に保護層を形成すれば、該保護層によって反射率が上昇し、低いレーザ・パワーでも、需要者の求める一段と低いレベルのノイズと高いC/N値を確保しつつ、光情報を優れた効率と感度で記録できることが確認された。
すなわち本発明で用いる保護層は、希土類元素、もしくは希土類元素とInおよび/またはBiを含むSn基合金によって形成された記録層の記録効率や記録感度などを更に高め、需要者の要望にも十分応えることのできる性能を確保する上で必須の要素となる。この保護層は、記録層と基板との間、および記録層の基板とは反対側の表面の何れか1方に形成することで、主として保護層の反射率を高めて記録精度の向上に寄与するが、両方に形成すればその効果は一段と高まる。
該保護層の構成素材としては、ZnS−SiO,ZnS,(Si,Al,Zr,Ti,Ta,Cr)などの酸化物や窒化物、(Si,Ti)などの炭化物、BNやC、あるいはそれらの混合物等が挙げられるが、中でも特に好ましいのは、ZnS−SiOやSiC等である。該保護層の厚さは特に制限されないが、記録層の反射率を高め、更には高い信号記録精度などを有効に発揮させるには5nm以上、好ましくは10nm以上とするのがよい。厚さの上限は特に存在しないが、厚過ぎると光情報記録媒体の生産性が低下する等の不利益が生じてくるので、実用性を考慮すると200nm以下、より好ましくは150nm以下に抑えるのがよい。
該保護層の形成手段も特に制限されないが、スパッタリング法が好ましい方法として例示される。
また、前記Sn基合金によって形成される光記録層は、安定した精度で確実な記録層を形成する上で、厚さを1〜50nmの範囲にすることが望ましい。1nm未満では、記録膜が薄過ぎて膜面にポアなどの欠陥が生じ易くなり、記録精度が低下する恐れが生じ、逆に50nmを超えて厚くなり過ぎると、レーザ光照射によって与えられる熱が記録層内で急速に拡散し易くなり、記録マークの形成が困難になる。こうした観点から、記録層のより好ましい厚さは3nm以上、45nm以下、更に好ましくは5nm以上、40nm以下である。
光情報記録のために照射するレーザ光の好ましい波長は350〜700nmの範囲であり、350nm未満では、光情報記録媒体(光ディスク)の基板や保護層による光吸収が顕著となり、記録層への書込み・読出しが困難になる。逆に波長が700nmを超えるとスポットサイズが大きくなり、記録層への微細な記録マークの形成が困難になる。こうした観点から、光情報の記録に用いるレーザ光線のより好ましい波長は380nm以上、660nm以下である。
上記記録層を形成するために用いるスパッタリング・ターゲットの組成は、上述した記録層の合金組成と基本的に同一であり、先に好ましいSn基合金として記載した合金組成に調整することで、スパッタリングによって成膜される記録層についても、同様の成分組成を容易に実現できる。
以下、本発明で光情報記録媒体の記録層形成用として用いられるSn基合金の特性を、先に挙げた特許文献1〜7および非特許文献1に開示の従来技術と対比しつつ説明する。
記録層の反射率の点では、既に述べた様に、本発明で用いる上記Sn基合金よりも、特許文献1〜4に開示されたAl,Ag,Cuの方がやや優れている。しかし、レーザ光照射による記録マークの形成性は、Sn基合金の方が格段に優れている。これは、前掲の如くSnの融点がAl、Ag、Cuの融点に比べて格段に低く、Sn基合金の薄膜はレーザ光の照射によって容易に溶融もしくは変形し、優れた記録特性を発揮するためと思われる。
特に、本発明の如く照射光として青紫色レーザを用いる次世代型の光ディスクに適用する場合、Al薄膜などを記録層として用いた場合は、低レーザ・パワーでは記録マークを形成できない可能性があるが、本発明ではこうした懸念も払拭できる。
他方、本発明者らの研究によると、特許文献5〜7に記載の合金には、次に示す様な問題を有することが判明した。
まず特許文献5には、40質量%Sn−55質量%In−5質量%Cu合金(原子%に換算すると、37.7原子%Sn−53.5原子%In−8.8原子%Cu合金)からなる膜厚2〜4nmの記録層を備えた光情報記録媒体が開示されているが、実用可能なレベルのC/N値は得られ難い。また、この特許文献に開示されている合金層の厚さは2〜4nmであるが、上記合金組成にとっては膜厚が薄過ぎるため、実用化できるレベルの反射率は得られなかった。
また特許文献6には、Sn−Bi合金に、SnやBiよりも酸化され易い被酸化性物質を加えた記録層が開示されている。ところが、それら被酸化性物質の量を制御するには高度の薄膜形成技術を必要とするため、工業的規模での実用化に適した方法とは言い難い。これに対し本発明では、記録層やターゲット材の作製に格別高度な技術は必要なく、単純に合金組成を調整したSn基合金で容易に目的を達成できる。
更に特許文献7には、合金組成が84原子%Sn−10原子%Zn−6原子%SbであるSn基合金製の記録層が開示されている。しかしこのSn基合金でも、本発明のSn基合金を超えるレベルのC/N値、記録感度、反射率は得られなかった。
これらのことからも、本発明の光記録層が従来技術に較べて有益な技術であることは明白である。
図1は、本発明に係る光情報記録媒体(光ディスク)の実施形態の一例を模式的に示した断面説明図であり、波長が約350〜700nmのレーザ光を記録層に照射し、データの記録と再生を行うことのできる追記型の光ディスク10を示している。この光ディスク10は、支持基板1と、反射層(光学調整層)2と、保護層(誘電体層)3,5と、該保護層3と5の間に挟まれた記録層4と、光透過層6とを備えている。保護層3,5は、記録層4を保護するために設けられたもので、これにより記録情報の保存期間を大幅に延長する(耐久性が向上する)他、反射率やC/Nも高める。
なお本発明では、耐久性の基準を「波長405nmの青紫色レーザ光を照射することによって記録マークが形成された記録層を、温度80℃×相対湿度85%RHの環境下で96時間保持した時の反射率の変化率が15%未満(好ましくは10%未満)を満足すること」としている。ちなみに、一般に青紫色レーザは波長が短く、膜劣化に対する反射率の変化が顕著であるため、青紫色レーザを用いて情報の記録や再生を行った光ディスクの耐久性は、赤色レーザを使用した場合よりも劣ることが予想される。そのため青紫色レーザ用の記録層には、従来よりも高レベルの耐久性が要求されるからである。
こうした観点からすると、前掲の特許文献1,6でも光ディスクの耐久性を調べているが、その条件は、上記評価基準よりも緩やかな環境条件である。ちなみに特許文献6では、本発明よりも耐久性試験温度が低く(温度60℃×相対湿度90%RHで120時間保持)、また特許文献1では、本発明よりも耐久性試験時間が短い(温度80℃×相対湿度85%RHで50時間保持)。即ちいずれの場合も、本発明の如く高温・高湿で長時間の耐久性試験は行っていない。
本発明の代表的な実施形態となる光ディスクは、図1に示した様な記録層4の素材として前掲の規定要件を満たすSn基合金を使用し、且つ該記録層4と支持基板1の間、および/または、該記録層4の基板1とは反対側の表面に保護層を設けた点に特徴があり、それら以外の支持基板1や反射層(光学調整層)2などの素材は特に限定されず、通常使用されているものを適宜選択して使用できる。
具体的には、支持基板1の素材としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂など、反射層(光学調整層)2の素材としては、Ag,Au,Cu,Al,Ni,Cr,Ti等の金属やそれらの合金などが例示される。
なお、記録層の好ましい膜厚は1〜50nm、より好ましくは3〜45nm、特に好ましくは5〜40nmであり、反射層(光学調整層)の素材として例えば、Ag,Au,Cu,Al,Ni,Cr,Ti等やそれらの合金を使用すれば、記録層や保護層を含めた全体としての反射率を更に高めることができるので好ましい。
また、支持基板と反射層との間、あるいは支持基板と記録層との間に、熱伝導率の低い薄膜層を装入し、記録マークの形状を制御することも可能である。
上記Sn基合金からなる記録層は、スパッタリング法によって形成することが望ましい。即ち本発明で用いるSn以外の合金元素(希土類元素やIn,Biなど)は、熱平衡状態ではSnに対し固有の固溶限を有しているが、スパッタリング法によって薄膜を形成すると、上記合金元素がSnマトリックス中に均一に分散するので、膜質が均質化し、安定した光学特性や耐環境性などが得られ易いからである。
尚スパッタリングを行う際には、スパッタリング・ターゲットとして、溶解・鋳造法によって作製したSn基合金(以下、「溶製Sn基合金ターゲット」という)を用いることが望ましい。溶製Sn基合金ターゲットの組織は均一であり、スパッタ率が安定していると共に、ターゲットからの原子の出射角度も均一であるため、合金組成の均一な記録層が得られ易く、均質で高性能の光ディスクを製造できるからである。
なお、ターゲットの製造に当っては、雰囲気中のガス成分(窒素、酸素など)や溶解炉成分が微量ながら不純物としてターゲットに混入することがあるが、本発明の記録層やターゲットの成分組成は、これら不可避的に混入してくる微量成分までも規定するものではなく、本発明の上記特性が阻害されない限り、それら不可避不純物の微量の混入は許容される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例はもとより本発明を制限する性質のものではなく、前・後記本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
本例は、光情報記録膜としてSn−希土類元素合金、Sn−希土類元素−In合金を用いた場合の実施例である。なお、Sn−希土類元素−Bi系合金やSn−希土類元素−In−Bi系合金からなる記録膜についても同様の実験を行ったが、得られた結果に実質的な違いは認められなかった。
1)ディスクの作製法
ディスク基板1として、ポリカーボネート基板(厚さ:1.1mm、トラックピッチ:0.32μm、溝幅:0.14〜0.16μm、溝深さ:25nm)を用い、その表面に、DCスパッタリング法によって膜厚10〜25nmの記録層4を成膜した。スパッタリング・ターゲットとしては、6インチのSnターゲット上に添加元素のチップを置いた複合ターゲットを用いた。
光情報記録膜形成のためのスパッタリング条件は、到達真空度:10−5Torr以下(1Torr=133.3Pa)、Arガス圧:4mTorr、DCスパッタ成膜パワー:100Wとした。なお記録膜の厚さは、スパッタリング時間を5〜120秒の間で変え、反射率が40%となる様に調整した。
その記録層の上部に、ZnS−SiOターゲットを用いて高周波スパッタリング法により保護層(誘電体膜)5を形成した。保護層のスパッタリング成膜条件は、到達真空度:10−5Torr以下、Arガス圧:2mTorr、高周波パワー:200Wとし、膜厚は20nmとした。
次いでその上に、紫外線硬化型樹脂(日本化薬社製の商品名「BRD−130」)をスピンコートした後、紫外線硬化させて膜厚100±15μmの光透過層6を形成した。
2)光ディスクの評価法
光ディスク評価装置(パルステック社製の商品名「ODU−1000」、記録レーザ波長:405nm、NA(開口数):0.85)とスペクトラムアナライザー(アドバンテスト社製の商品名「R3131R」)を使用し、レーザ・パワー7mWにおいて線速度5.3m/sで長さ0.13μmの記録マークを繰り返して形成し、レーザ・パワー0.3mWにおける信号読み取り時のC/Nを測定した。
また耐環境性試験としては、ポリカーボネート基板に記録層としてSn基合金膜をスパッタリング成膜し、紫外線硬化性樹脂からなる保護層の形成を省略した以外は前記と同様にして得た光ディスクについて、温度80℃−相対湿度85%RHの恒温恒湿試験槽内で96時間保持し、波長405nmのレーザ光に対する試験前後の反射率の変化を分光光度計(日本分光社製の商品名「V−570」)によって測定した。
結果を表1に纏めて示す。尚、ノイズ(−55dB以下を合格)、C/N(40dB以上を合格)、反射率変化(耐環境性)(15%以下を合格)から実用性を評価し、実用可能な特性(少なくともノイズトC/Nで合格するもの)と認められたものは○(合格)、そうでないものは×(不合格)とした。
Figure 2007185810
表1からも明らかな様に、Snに希土類元素を1〜15%含有させると、ノイズは−55dBm以下にまで低減している。そして、希土類元素の含有量が1%未満ではノイズ低減効果が不十分であり、15%を超えるとC/Nが低下している。
また、上記Sn−希土類元素合金にInを含有させると耐環境性が大幅に向上し、特に3%以上添加すると反射率の変化率を10%以内に抑えることができる。
実施例2
上記実施例1で作製したのと同様の記録膜を作製する際に、その記録膜の上部(記録膜に引き続いて成膜;カバー層と記録層の間)と下部(基板上に成膜し、引き続き記録膜を成膜;基板と記録層の間)に、ZnS−SiOターゲットを用いて高周波スパッタリング法で保護層(誘電体膜)3,5を形成して得たディスクについて、実施例1と同様のディスク評価を行った。保護層のスパッタリング成膜条件は、到達真空度:10−5Torr以下、Arガス圧:2mTorr 、高周波パワー:200Wとした。なお膜厚は、スパッタリング時間を5〜120秒の間で変えることによって制御した。
結果は表2に示す通りであり、保護層(誘電体膜)を記録膜に隣接して設けることにより、記録時のノイズ上昇が抑制され、顕著なC/Nの向上が認められた。
Figure 2007185810
本発明に係る光情報記録媒体の一実施態様を示す断面模式図である。
符号の説明
1 支持基板
2 光反射層(光学調整層)
3,5 保護層(誘電体層)
4 記録層
6 光透過層
10 光ディスク

Claims (6)

  1. レーザ光の照射により記録マークが形成される記録層を有する光情報記録媒体であって、該記録層は、1〜15%(原子%の意味、以下同じ)の希土類元素を含むSn基合金からなり、該記録層と基板の間および/または該記録層の基板とは反対側の表面に保護層を有することを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記Sn基合金は、他の元素としてInおよび/またはBiを50%以下含むものである請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記記録層の厚さが1〜50nmである請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 前記記録層は、波長が350〜700nmのいずれかのレーザ光の照射によって記録マークが形成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  5. 1〜15%の希土類元素を含むSn基合金からなることを特徴とする光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリング・ターゲット。
  6. 前記Sn基合金は、他の元素としてInおよび/またはBiを50%以下含有する請求項5に記載のスパッタリング・ターゲット。
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