JP2007184918A - 平衡増幅器 - Google Patents

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Abstract

【課題】特性改善のために真空管を備えた電力増幅器に使用可能な新規の平衡増幅器を提供する。
【解決手段】第2段と接続されるとともに第2段に信号を出力する第1段を有し、第1段は、平衡入力信号を受信する第1の差動増幅器を含むとともに、2組のフィードバックループを備える。フィードバックループの少なくとも1組は、第2段により出力された信号の一部を第1の差動増幅器にフィードバックする。第2段は、第1段から受信された信号を増幅するための第2の差動増幅器を含むとともに平衡信号を保持する。
【選択図】図1

Description

本発明は平衡増幅器に関し、特に、複数のフィードバックループを有する平衡増幅器に関する。
半導体を使用したオーディオ電力増幅器は、1960年代後期からずっとオーディオ市場で普及してきている。オーディオ信号の増幅に半導体装置を使用する利点としては、コンパクトなサイズであること、コスト的に効率のよい電力操作と高出力の電力が得られることである。しかしながら、半導体オーディオ増幅器の音質は真空管オーディオ増幅器の音質と異なっており、多くのオーディオ消費者は半導体を使用したものよりも真空管を使用した増幅器の音声を好んでいる。高級品領域のオーディオ市場では、真空管を使用したオーディオシステムが、1980年代後期におけるその復帰以降は非常に高い市場占有率を得ている。
高級品領域のオーディオの適用形態では、電力及び低レベルの増幅器(即ち、前置増幅器と線路増幅器)のどちらの半導体増幅器においても、平衡型トポロジーが使用されることがよくある。平衡型トポロジーを使用する利点は、同相(コモンモード)ノイズ及びひずみを出力段階で完全に抹消できることである。これにより、平衡型トポロジーを使用していない増幅器の場合と比較して低ノイズでひずみの小さい増幅器が得られる。しかしながら、真空管を使用した形態の平衡電力増幅器の開発は殆どなされていない。真空管増幅器ではシングルエンド(非平衡終端)の入力部が一般に使用されている。
現在では、真空管電力増幅器の設計において平衡型トポロジーが使用されるようになっている。この平衡型トポロジーは3つの異なる増幅段階、即ち、入力段(「第1段」とも呼ぶ)と第2段(「駆動段」とも呼ぶ)と電力出力段(単に「出力段」とも呼ぶ)を有するような電力増幅器であると見なして説明することができる。このようなトポロジーでは、一組のフィードバックループが電力出力段から入力段に接続されている。
例えば図7と図8に、一組のフィードバック経路を備えた従来の平衡増幅器の機能的ブロック図と回路構成図をそれぞれ示す。また、図9と図10に、プッシュプル構成の従来の完全な平衡オーディオ電力増幅器の機能的ブロック図と回路構成図をそれぞれ示す。
図9と図10から、一組だけのフィードバックループが出力段と入力段の間に接続されていることが容易に分かる。フィードバックを利用することにより、通常は電力増幅器の性能を改善、即ち、出力インピーダンスより低くし、帯域幅をより広域とし、ひずみをより小さくする。しかしながら、フィードバック量が多すぎると増幅器を不安定にすることが知られている。
フィードバックによりひずみと出力インピーダンスが減少し、電力増幅器全体の帯域幅は増大することは、フィードバック理論からよく知られている。これらは全て望ましい特徴であるが、前述のように、印加するフィードバック量が多すぎると増幅器は不安定となり、その反対に、印加するフィードバック量が少なすぎると、上記望ましい結果は得られない。従って、設計者は、一組だけのフィードバックループを使用して全電力に渡る性能を最適にすることに、常に困難を強いられている。
したがって、本発明の目的は、上記欠点を低減できる平衡増幅器、または少なくとも有用な代替構成を提供することである。特に、本発明は、特性改善のために真空管電力増幅器の適用形態に使用可能な新規の平衡増幅器トポロジーを提供するものである。
本発明による平衡増幅器は、第2段と接続されるとともに該第2段に信号を出力するように構成された少なくとも1つの入力段である第1段を有し、前記第1段は、平衡入力信号を受信する第1の差動増幅器を含むとともに、2組のフィードバックループを備える。該フィードバックループの少なくとも一組は、前記第2段により出力された信号の一部を前記第1の差動増幅器にフィードバックする。前記第2段は、前記第1段から受信された信号を増幅する第2の差動増幅器を含み、前記平衡信号を保持するように構成されたことを特徴とする。
以下、添付の図面を参照して本発明の詳細な説明をする。ただし、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、本発明の意図する概念から逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
図1は本発明の実施形態1に係る真空管平衡増幅器の機能的ブロック図を示し、その詳細な回路構成を図2Aに示す。
図1に示すように、第1段の構成は特有の形態の差動増幅器を形成し、増幅装置7及び8と、抵抗1〜4と、電流源11を備える。第1段は平衡入力信号(+INPUTと−INPUT)を受信し、次段における信号用として2組のフィードバック信号を、この第1段へ出力される信号のフィードバック部に供給している。
第2段の構成はまた別の特有の形態の差動増幅器を形成し、増幅装置9と10、抵抗5と6、電流源12を備える。第2段は第1段からの平衡信号を増幅し、次工程の単数または必要に応じ複数の増幅段のための平衡信号を保持する。
その詳細を図2Aに示す。平衡増幅器は4組のデュアル真空管36と37,38と39,49と50,51と52を備える。これらの真空管としては、12AT7,12AU7,12AX7,6DJ8,6SN7,6SL7等々、任意の汎用の小信号真空管が使用できる。
入力段は真空管36と37及び38と39で構成された特有の差動増幅器である。抵抗34と35は、電圧利得を低減させ、この入力段での無歪性(線形性)を高めるための局所的フィードバック抵抗である。これらの抵抗は、また、DCバイアス時における真空管38と39のミスマッチを最小限にしている。負のDC電源電圧VS2に接続された定電流源40が、入力段のためのDCバイアス電流全体を設定するために使用されている。定電流源40は、相補的要素のツェナーダイオードと抵抗とともに、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)または金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を使用することで、容易に実現できる。実際の場面では、電流源は簡単な抵抗で置き換えられる。抵抗30と31,32と33は、真空管36と37のグリッドにそれぞれ正確なDCバイアス電圧を設定する分圧器を形成している。入力段の出力端は抵抗43と44を介して第2段に直接接続されている。
第2段は、真空管49〜52により形成される別の差動増幅器を備える。この差動増幅器は低出力インピーダンスを有し、電力増幅器の電力出力段を駆動する。第2の定電流源53が第2段のDCバイアス電流を設定するために使用されている。
2組のフィードバック経路が入力段に形成されていることが図1及び図2Aから容易に分かる。電力出力段がこの平衡増幅器に接続されて完全な平衡オーディオ電力増幅器を形成する場合、これら2組のフィードバックループを接続する2通りの方法がある。
図2Bに示す平衡増幅器は図2Aに示す平衡増幅器の簡略化した形態である。図2Bの構成は図2Aの構成に基づくものであるが、第2段における一組の真空管49と50は削除されている。図2Bの平衡増幅器は、図2Aのものと同様の電気的特徴を有し、即ち、第1と第2の2組のフィードバック経路が設けられている。主な相違点は、図2Bの回路構成の駆動能力は図2Aのものより低いことである。殆どの適用例では、この相違点は重大ではない。
図3及び図4は、2個のオーディオ電力増幅器が2個のフィードバック接続構成を備えた新規の平衡増幅器回路を使用可能とする方法を示す機能的ブロック図を示す。図5A及び図6Aは、それぞれ図3及び図4に示す機能的ブロック図による2個の完全な平衡オーディオ電力増幅器を示す。
図1の平衡増幅器と更に付加された電力出力段を使用した平衡オーディオ電力増幅器を図3に示している。電力出力段はコンデンサ13と14を介して第2段により駆動される。一旦信号が出力段に供給されると、信号の電圧と電流は、(電力三極管、四極管、五極管等の)パワーデバイス(電力増幅器)15と16で更に増幅され、最終的には、増幅された信号は出力整合トランス17によって出力側負荷に供給される。
図4に示す平衡オーディオ電力増幅器は、2組のフィードバックループが図3の構成とは異なった仕方で接続されていること以外は、図3の構成と全く同じである。
図5A及び6Aに示すように、電力出力段は公知のプッシュプル「超線形」状に接続された一組の電力管71と72を備える。これらの電力管としては、6L6,6V6,EL34,EL84,KT88,KT90,6550等々の任意の汎用電力管が使用できる。電力管71と72は、カソード抵抗69と70及びバイパスコンデンサ67と68を介してカソード・バイアスされている。このようなバイアス技術のことを「セルフバイアス」と呼んでいる。または、セルフバイアスの代わりに固定バイアス方式も使用可能である。電力管からの出力は出力トランス75を介して出力側負荷に整合される。図5A及び6Aは、それぞれ図3及び図4に示す構成による2組のフィードバックループを接続する2通りの異なる方法を示している。
図5Bと図6Bに示す構成はそれぞれ図5Aと図6Aに示す回路構成の簡略化した形態であるが、第2段における一組の真空管49と50は削除されている。図5A及び図5Bから明らかなように、バイアス抵抗30と33は回路から削除してもよい。その場合、図5Aのフィードバック抵抗76と80及び図5Bの抵抗84と88は、バイアス抵抗とフィードバック抵抗の両方の機能を有する。
本発明に係る新規の真空管平衡増幅器では、2組のフィードバックループが設けられていることが明らかである。第1の組のフィードバックループは入力段(第1段)と第2段間に適用され、第2の組のフィードバックループは入力段(第1段)と電力出力段間に適用される。2組のフィードバックループが使用されているので、フィードバック信号の総量は、複数の異なる仕方で該2組のフィードバックループにおいて配分することができる。従って、各組のフィードバックループは小量のフィードバック信号量のみを搬送することができる。各組のフィードバックループに正確な量のフィードバック信号を印加することにより、設計者は最適な特性を有する平衡増幅器を得ることが可能となる。
2組のフィードバックループを用いた本発明に係る新規の平衡増幅器は下記の利点を有する。即ち:
(a)第1の組のフィードバックループが入力段と第2段間に接続されているので、線形性(無歪み性)と帯域幅が増大し、これらの入力段と第2段に対する出力インピーダンスは低減される。このことは、特に、信号が電力出力段で増幅される前の段階では非常に望ましい効果を奏するものである。
(b)各組のフィードバックループは小量のフィードバック信号のみを搬送するので、増幅器全体の安定性を容易に制御することができる。2組のフィードバックループを備えることで、設計者は電力増幅器全体の特性の最適化において遙かに大きな自由度を有し、増幅器の安定性を脅かすことなく、望ましい特性を得ることができる。
以上説明した本発明の特徴に関しては、本発明を明瞭にするために各実施形態で別々に記載した特徴を、1つの実施形態の特徴として組み合わせてもよいし、また反対に、簡略化のために1つの実施形態で記載した種々の特徴を各々別々の実施形態として分離してもよいし、または、任意の好ましい組合せの形態としてもよいことに留意すべきである。
本発明の第1の実施形態に係る真空管平衡増幅器の機能的ブロック図である。 図1に示す真空管平衡増幅器の詳細な回路構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る真空管平衡増幅器の詳細な回路構成を示し、図2Aに示す構成の簡略版である。 本発明の第3の実施形態に係るプッシュプル構成の平衡オーディオ電力増幅器の機能的ブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る平衡増幅器の機能的ブロック図である。 図3に示す真空管平衡電力増幅器の詳細な回路構成図である。 図3に係る真空管平衡電力増幅器の詳細な回路構成を示し、図2Bと同じ原理で簡略化された構成を示す図である。 図4に示す真空管平衡電力増幅器の詳細な回路構成図である。 図4に係る真空管平衡電力増幅器の詳細な回路構成を示し、図2Bと同じ原理で簡略化された構成を示す図である。 1組のフィードバック経路を用いた従来の平衡増幅器の機能的ブロック図である。 図7に示す従来の平衡増幅器の詳細な回路構成図である。 最初の2段用に従来の平衡増幅器トポロジーを使用したプッシュプル構成の従来の平衡オーディオ電力増幅器の機能的ブロック図である。 図9に示す従来の平衡増幅器の詳細な回路構成図である。

Claims (20)

  1. 少なくとも1つの入力段である第1段と第2段を有し、該第1段は第2段と接続されて該第2段に信号を出力し、
    前記第1段は、平衡入力信号を受信する第1の差動増幅器を含むとともに、2組のフィードバックループを備え、
    該フィードバックループの少なくとも一組は、前記第2段により出力された信号の一部を前記第1の差動増幅器にフィードバックするように構成され、
    前記第2段は、前記第1段から受信された平衡信号を増幅する第2の差動増幅器を含むとともに、前記平衡信号を保持するように構成されたことを特徴とする平衡増幅器。
  2. 前記第1段は前記第1の差動増幅器を構成する第1及び第2の組の真空管を含み、前記第1の組の真空管は前記入力信号を増幅し、前記第1の組の真空管はそれぞれのカソード間が2個の抵抗を介して互いに接続され、抵抗または実質定電流源が前記2個の抵抗の接合点から負のDC電源に接続されている請求項1に記載の平衡増幅器。
  3. 前記電流源は、ジャンクション電界効果トランジスタと、MOS電界効果トランジスタと、バイポーラ接合トランジスタと、相補形ツェナーダイオードを備えた真空管デバイスと、1つ又は複数の抵抗を備える請求項2に記載の平衡増幅器。
  4. 前記第1段の前記第2の組の真空管はそれぞれ前記第1の組の真空管のプレートに接続され、分圧器が正のDC電源と接地間に接続された請求項2に記載の平衡増幅器。
  5. 前記分圧器は4つの抵抗を有する請求項4に記載の平衡増幅器。
  6. 前記分圧器は、前記第2の組の真空管のグリッドにDCバイアス電圧を設定するように構成された請求項4に記載の平衡増幅器。
  7. 前記第1段の出力は、前記第2の組の真空管のプレートと正のDC電源間に接続された2個の負荷抵抗を介して供給される請求項2に記載の平衡増幅器。
  8. 前記第1段の出力信号は、前記第1段の前記第2の組の真空管のプレートと前記第2段の一組の真空管との間に接続された2個の抵抗を介して前記第2段に直接供給される請求項7に記載の平衡増幅器。
  9. 前記第2段は第1及び第2の組の真空管を備えた差動増幅器を有し、該第2段の前記第1の組の真空管は前記第1段からの入力を増幅し、該第2段の前記第1の組の真空管は、それぞれのカソード間が2個の抵抗を介して互いに接続され、実質定電流源が前記2個の抵抗の接合点から接地側に接続された請求項1に記載の平衡増幅器。
  10. 前記電流源は、ジャンクション電界効果トランジスタと、MOS電界効果トランジスタと、バイポーラ接合トランジスタと、相補形要素のツェナーダイオードを備えた真空管デバイスと、1つ又は複数の抵抗とを備える請求項9に記載の平衡増幅器。
  11. 前記第2段の前記第2の組の真空管のカソードはそれぞれ前記第2段の前記第1の組の真空管のプレートに接続され、前記第2段の前記第2の組の真空管のグリッドは前記第2段の前記第1の組の真空管のプレートに接続された請求項9に記載の平衡増幅器。
  12. 正のDC電源の出力が前記第2段の前記第2の組の真空管のプレートに供給される請求項11に記載の平衡増幅器。
  13. 平衡増幅器の全出力が前記第2段の前記第2の組の真空管のカソードを介して供給されるように構成された請求項11に記載の平衡増幅器。
  14. 前記第2段は、それぞれのカソード間が2個の抵抗を介して互いに接続された一組の真空管を含み、抵抗または実質定電流源が前記2個の抵抗の接合点から接地側に接続された請求項1に記載の平衡増幅器。
  15. 前記電流源は、ジャンクション電界効果トランジスタと、MOS電界効果トランジスタと、バイポーラ接合トランジスタと、相補形要素のツェナーダイオードを備えた真空管デバイスと、1つ又は複数の抵抗とを備える請求項14に記載の平衡増幅器。
  16. 正のDC電源が2個の負荷抵抗を介して前記第2段の前記一組の真空管のプレートに供給される請求項14に記載の平衡増幅器。
  17. 電力出力段を更に含む平衡型オーディオ電力増幅器を有する請求項1に記載の平衡増幅器。
  18. 前記2組のうちの第1の組のフィードバックループは前記第2段の出力端を前記第1段の前記第2の組のフィードバックループに接続し、前記2組のうちの第2の組のフィードバックループは前記電力出力段の出力端を前記第1段のフィードバックループに接続する請求項17に記載の平衡増幅器。
  19. 前記2組のうちの第1の組のフィードバックループは前記第2段の交差出力を前記入力段の前記第1の組のフィードバックループに接続し、前記2組のうちの第2の組のフィードバックループは前記電力出力段の交差出力を前記第1段の第2の組のフィードバックループに接続する請求項17に記載の平衡増幅器。
  20. 前記電力出力段は、セルフバイアスまたは固定バイアスにおける一組の電力用三極管、四極管又は五極管を備え、出力整合トランスを駆動する請求項17に記載の平衡増幅器。
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