JP2007183056A - 貯湯式給湯装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】貯湯タンクを小型化した場合でも必要最小限の湯量を確保し、かつ電力料金の高い昼間時間帯での沸き上げの比率を小さくしてランニングコストの低減を図ることを目的とする。
【解決手段】貯湯タンク1内の残湯量を算出する残湯量算出手段31と、湯切れ沸き上げ運転の開始を判断する起動残湯量を時間別に任意の値に設定する残湯量設定手段38を有し、前記残湯量設定手段38で設定された起動残湯量と前記残湯量算出手段31で算出された残湯量に基づいて加熱手段14の起動制御を行うようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力を利用して湯を沸かす貯湯式給湯装置、特に冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプサイクルを利用した貯湯式給湯装置に関する。
従来より、深夜電力を使用してタンク全量の沸き上げを行う貯湯式給湯装置にあっては、貯湯タンク内に満たした水を電力料金の安価な深夜時間帯でを全量沸き上げて、昼間時間帯に使用する湯をまかなうという考え方が一般的であった。そのため、貯湯タンクの容量は、一日に使用する湯の使用量の上限に合せた大きさのものを選択するようになっていた。
しかし、近年においては、機器の小型化や使用形態の多様化等の理由で、深夜時間帯の全量沸き上げ運転以外に昼間時間帯にも湯切れ沸き上げ運転等を行い、全量沸き上げ運転で不足する湯量を補うための沸き上げ動作を行うようにしたものが提案されている。(例えば特許文献1参照)。
特開2003−161545号公報
しかしながら、上記従来の貯湯式給湯装置では、湯の使用量の上限に合せた大型の貯湯タンクが必要なため、商品の外形も大きくなり、広い設置スペースが必要であり、さらに、イニシャルコストもアップするという課題があった。この課題を解決するために、貯湯タンクを小型化した場合、湯切れに対する対応が必要になり、風呂湯張り等の大量の出湯に備え、前記特許文献1に記載されているように昼間時間帯において頻繁に湯切れ沸き上げ運転を行うことにより、ある程度の湯を確保しておく必要がある。このため、貯湯タンク内は常に沸き上がった状態に近い貯湯形態となるため、電力料金の安価な深夜時間帯に沸かすべき水が貯湯タンク内に少量しか残っていないので、結果的に、電力料金の高い昼間時間帯に沸かす比率が大きくなり、ランニングコストがアップするという課題が発生する。
本発明は上記課題を解決するもので、風呂湯張り時の使用量を基準にタンク容量を選択し、貯湯タンクの小型化を図るとともに、風呂湯張り動作の有無に応じて昼間の電力供給時間帯における沸き上げ開始の残湯量を変更することで、貯湯タンクを小型化した場合でも必要最小限の湯量を確保し、かつ電力料金の高い昼間時間帯での沸き上げの比率を小さくしてランニングコストの低減を図ることを目的としたものである。
本発明は上記目的を達成するために、貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部に設けた出湯管と、前記貯湯タンクの下部に設けた給水管と、前記貯湯タンクの下部の水を上部に導く沸き上げ配管と、前記沸き上げ配管に設けた沸き上げポンプと、前記沸き上げ配管の途中に配設して前記沸き上げポンプで供給される水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内の残湯量を算出する残湯量算出手段とを備え、全量沸き上げ運転を行う時間帯を設定するとともに、前記残湯量算出手段で所定残湯量を算出した場合に湯切れ沸き上げ運転を行うことを設定した貯湯式給湯装置であって、前記湯切れ沸き上げ運転の開始を判断する起動残湯量を時間別に任意の値に設定する残湯量設定手段を有し、前記残湯量設定手段で設定された起動残湯量と前記残湯量算出手段で算出された残湯量に基づいて前記加熱手段の起動制御を行うようにし、残湯量設定手段は、所定の時間における前記貯湯タンク内の過
去の残湯量に応じて前記所定の時間以前の起動残湯量を変更するようにしたものである。
上記発明によれば、昼間時間帯に行われる湯切れ沸き上げ運転の開始条件として起動残湯量を設定し、この起動残湯量を湯切れ沸き上げ運転が行われる時間帯において、その時間別にそれぞれ任意の値に設定するようにしているため、設置スペース、イニシャルコストを低減するために貯湯タンクを小型化した場合でも、一日の湯量の使用形態に応じた最適な残湯湯量の確保を実現することができ、無駄な湯切れ沸き上げ運転を行うことなく、効率的な沸き上げ動作を確保することができ、かつ、湯量を大量に使用する湯張り動作に対応して事前に必要湯量を確保することができると共に、湯張り動作中における湯切れ沸き上げ運転を早期に開始することで湯張り動作後の湯切れ現象を解消することができる。つまり、昼間の電力供給時間帯の沸き上げは湯切れを防止するための最小限に抑え、深夜時間帯に沸かすべき水を貯湯タンク内に確保できるため、ランニングコストアップを必要最小限に抑えることができる。そして、設置スペース、イニシャルコスト、ランニングコストの最適化を図るときに、貯湯タンクの小型化によるランニングコストアップを低減できるため、貯湯タンクの容量をより小さいものにすることができ、トータルのコストダウンおよび設置性の向上が図れる。
本発明によれば、昼間時間帯に行われる湯切れ沸き上げ運転の開始条件である起動残湯量を時間によって変化させて設定するようにしているため、貯湯タンクを小型化した場合でも湯量の使用形態に応じた最適な残湯湯量を確保する沸き上げ運転を実現することができ、湯切れ現象がなく、かつ電力料金の高い昼間時間帯における沸き上げ比率が小さくランニングコストの低廉な貯湯式給湯装置を提供することができる。
第1の発明は、貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部に設けた出湯管と、前記貯湯タンクの下部に設けた給水管と、前記貯湯タンクの下部の水を上部に導く沸き上げ配管と、前記沸き上げ配管に設けた沸き上げポンプと、前記沸き上げ配管の途中に配設して前記沸き上げポンプで供給される水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内の残湯量を算出する残湯量算出手段とを備え、全量沸き上げ運転を行う時間帯を設定するとともに、前記残湯量算出手段で所定残湯量を算出した場合に湯切れ沸き上げ運転を行うことを設定した貯湯式給湯装置であって、前記湯切れ沸き上げ運転の開始を判断する起動残湯量を時間別に任意の値に設定する残湯量設定手段を有し、前記残湯量設定手段で設定された起動残湯量と前記残湯量算出手段で算出された残湯量に基づいて前記加熱手段の起動制御を行うようにし、残湯量設定手段は、所定の時間における前記貯湯タンク内の過去の残湯量に応じて前記所定の時間以前の起動残湯量を変更するようにしたことを特徴とするものである。
そして、昼間時間帯に行われる湯切れ沸き上げ運転の開始条件として起動残湯量を設定し、この起動残湯量を湯切れ沸き上げ運転が行われる時間帯において、その時間別にそれぞれ任意の値に設定するようにしているため、設置スペース、イニシャルコストを低減するために貯湯タンクを小型化した場合でも、一日の湯量の使用形態に応じた最適な残湯湯量の確保を実現することができ、無駄な湯切れ沸き上げ運転を行うことなく、効率的な沸き上げ動作を確保することができ、かつ、湯量を大量に使用する湯張り動作に対応して事前に必要湯量を確保することができると共に、湯張り動作中における湯切れ沸き上げ運転を早期に開始することで湯張り動作後の湯切れ現象を解消することができる。つまり、昼間の電力供給時間帯の沸き上げは湯切れを防止するための最小限に抑え、深夜時間帯に沸かすべき水を貯湯タンク内に確保できるため、ランニングコストアップを必要最小限に抑えることができる。そして、設置スペース、イニシャルコスト、ランニングコストの最適化を図るときに、貯湯タンクの小型化によるランニングコストアップを低減できるため、貯湯タンクの容量をより小さいものにすることができ、トータルのコストダウンおよび設
置性の向上が図れる。
また、第2の発明において、残湯量設定手段は、所定の時間における貯湯タンク内の過去の残湯量が起動残湯量を下回る頻度が多いほど、起動残湯量が多くなるように変更するものである。
これによれば、使用者の使用状況に応じて沸き上げ運転の起動及び停止を行うので、湯張り動作中における湯切れ沸き上げ運転を早期に開始することで湯切れ現象を解消することができる。
また、第3の発明において、残湯量設定手段は、所定の時間における貯湯タンク内の過去の残湯量が起動残湯量を下回る頻度が多いほど、所定の時間より以前の起動残湯量を変更するようにしたものである。
これによれば、使用者の使用状況に応じて沸き上げ運転の起動及び停止を行うので、湯張り動作中における湯切れ沸き上げ運転を早期に開始することで湯張り動作後の湯切れ現象を解消することができる。また、本発明の制御によれば、湯張り動作中における湯切れ沸き上げ運転を早期に開始することで湯切れ現象を解消することができる。
また、第4の発明において、残湯量設定手段は、風呂湯張り動作が行われる時間帯において起動残湯量及び停止残湯量が最も多くなるように設定したものである。
これによれば、湯が大量に使用される風呂湯張り動作が行われる時間帯において湯切れ沸き上げ運転の開始条件である起動残湯量を最大値に設定し、沸き上げ運転に入り易い条件に設定するとともに、その時の停止条件である停止残湯量は最大の湯量を確保できる値に設定することで、湯張り動作に必要な湯量を確保することができ、かつ、湯張り動作中の湯切れ沸き上げ運転を確実に行うことで、湯張り動作終了後の湯切れ現象を解消することができる。
また、第5の発明によれば、加熱手段は、圧縮機、放熱器、膨張弁、及び蒸発器を配管で接続したヒートポンプサイクルとし、前記ヒートポンプサイクルに用いる冷媒を二酸化炭素とし、高圧側では臨界圧を越える状態で運転することを特徴とするものである。
そして、90℃に近い高温水を貯湯することができるとともに、レジオネラ菌などを考慮した65℃程度の温水の貯湯を高いCOPで行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施例による貯湯式給湯装置の構成図である。
貯湯タンク1の上部には出湯管2を、貯湯タンク1の下部には給水管3を有している。貯湯タンク1の下部と上部とは、沸き上げ配管4によって連通され、貯湯タンク1下部の水は、沸き上げポンプ5によって熱交換器6に導かれ、その熱交換器6によって加熱されて湯となり、貯湯タンク1上部に導かれる。出湯管2から給湯されると、それに伴い給水管3から貯湯タンク1内に水が給水され、貯湯タンク1内では、比重差から湯が上部、水が下部に分離し、湯が押し下げられる形で層を成して蓄積される。貯湯タンク1には、貯湯タンク1下部から上部の湯温を検出する複数の残湯温検出器7が設けられている。ここでは、貯湯タンク1の最下部に配置された残湯温検出器7aと、その残湯温検出器7aの
上方に配置された残湯温検出器7bと、貯湯タンク1の最上部に配置された残湯温検出器7eと、その残湯温検出器7eの下方に順に配置された残湯温検出器7d、7cを設けている。例えば、貯湯タンク1の全容量を150Lとすると、残湯温度検出器7aは130Lの位置に配置し、この残湯温度検出器7aが所定温度以上の湯温を検出している場合は貯湯タンク1内に使用可能な湯量として130L以上が貯留されていると判断する残湯量検出機能を有している。同様に残湯温度検出器7bは100Lの位置に配置し、この残湯温度検出器7bが所定温度以上の湯温を検出している場合は貯湯タンク1内に使用可能な湯量として100L以上が貯留されていると判断する。また、残湯温度検出器7cは80L、残湯温度検出器7dは50L、残湯温度検出器7eは20Lの位置に配置し、それぞれ残湯量として80L、50L、20Lが貯留されているか否かを判断する信号を出力する。そして、有効残湯量の判断基準としては、例えば、それぞれの残湯温検出器7a、7b、7c、7d,7eが45℃を下回った時点で残湯量なしと判断し湯切れ沸き上げが必要と判断する。また、検出温度が例えば60℃以上または設定温度になると残湯量ありと判断して沸き上げを停止する。つまり、残湯温検出器7a、7b、7c、7d、7eは、検出温度が例えば60℃以上または設定温度の時はそれぞれの位置に配置された残湯量検出器7e、7d、7c、7b、7aの設置位置まで湯があり、45℃を下回った時点で湯がなしと判断する。45℃と60℃または設定温度とを判断温度とすることでチャタリングを防止している。
加熱手段14は、圧縮機10、放熱器6、膨張弁12、及び蒸発器11を配管によって接続したヒートポンプサイクルで構成されている。このヒートポンプサイクルは、冷媒として二酸化炭素を用い、高圧側では臨界圧を越える状態で運転することが好ましい。このようなヒートポンプサイクルを用いることで、90℃に近い高温水を貯湯することができるとともに、レジオネラ菌などを考慮した65℃程度の温水の貯湯は高いCOPで行うことができる。
熱交換器6に至るまでの沸き上げ配管4には入水温検出器13aが設けられ、熱交換器6の出口側の沸き上げ配管4には出湯温検出器13bが設けられている。また、本実施例による貯湯式給湯装置は、外気温度を検出する外気温検出器13cを備えている。
上記構成において、沸き上げ運転時には、沸き上げポンプ5及び圧縮機10を運転する。
例えば、沸き上げ温度が90℃の場合は、出湯温検出器13bの温度が90℃になるように沸き上げポンプ5を適切な流量に調節して制御する。また、出湯温度の制御は、圧縮機10の回転数や膨張弁12の開度などのヒートポンプサイクルでの制御によって行うこともできる。上記動作により貯湯タンク1には、上部から順に90℃の湯が貯留され、入水温検出器13aが所定温度、例えば60℃を検出すると、90℃の湯が貯湯タンク1の下部まで達したと判断し、沸き上げポンプ5及び圧縮機10を停止し、沸き上げ運転を終了する。
本実施例による貯湯式給湯装置では、第1の所定時間帯と第2の所定時間帯とを設定している。第1の所定時間帯は、例えば23時から7時までの深夜時間帯で、熱交換器6を動作させて全量沸き上げ運転を行う時間を含む時間帯であり、ピークシフト時間帯を含んでいる。ピークシフト時間帯は、全量沸き上げ運転を待機させている時間帯である。第2の所定時間帯は、例えば7時から23時までの昼間時間帯で、全量沸き上げ運転を行わない時間帯である。このピークシフト時間帯と第2の所定時間帯では、全量沸き上げ運転では湯量が足りないと判断された場合に湯切れ沸き上げ運転を行う。
本実施例の貯湯式給湯装置は、残湯量算出手段31と残湯量設定手段38からの情報を
比較し湯切れ沸き上げ運転の開始及び停止を判断する湯切れ沸き上げ運転判別手段39と、温度検出手段32とを備えている。湯温・能力レベル変更手段33は、湯切れ沸き上げ運転判別手段39と温度検出手段32からの信号に基づいて沸き上げ湯温の設定や、ポンプ5及び圧縮機10の能力設定を行う。沸き上げ運転制御手段34は、湯温・能力レベル変更手段33での設定内容に基づいて、ポンプ5及び圧縮機10の能力を制御する。操作部35は、風呂自動設定手段を有しており、風呂自動設定手段によって設定が入力されると、湯温・能力レベル変更手段33に設定信号を出力するとともに、風呂自動湯張り手段36に対して動作開始信号を出力する。風呂自動湯張り手段36では、あらかじめ設定された湯温となるように、貯湯タンク1の上部からの貯湯水と、給水管3からの冷水とを混合し、あらかじめ設定した湯量を浴槽37に供給する。
残湯量算出手段31は、残湯温検出器7で検出した貯湯タンク1内のそれぞれの位置における湯温から残湯量を算出するようにしており、具体的方法としては上記した如く、予め定めた上下の基準温度(例えば45℃と60℃以上)と残湯温度検出器7で検出した温度とを比較し、下の基準温度以下の場合は各位置における残湯量がないと判断し、上の基準温度以上の場合は各位置における残湯量があると判断して、現在の残湯量がいくらであるかの信号を出力するようにしている。
残湯量設定手段38は、起動残湯量あるいは停止残湯量あるいは起動残湯量と停止残湯量を時間別に任意に設定し、昼間時間帯及びピークシフト時間帯に行われる湯切れ沸き上げ運転の開始条件と停止条件をパターン化して設定するようにしたものである。ここで起動残湯量とは、湯切れ沸き上げ運転を開始する残湯量の設定値であり、貯湯タンク1内の残湯量がこの起動残湯量を下回ると湯切れ沸き上げ運転を開始する。具体的には上記残湯量算出手段31から出力される残湯量信号が残湯量設定手段38で設定された起動残湯量信号を下回ると沸き上げ開始信号が出力される。また、停止残湯量とは、湯切れ沸き上げ運転を停止する残湯量の設定値であり、沸き上げ運転により貯湯タンク1内の残湯量がこの停止残湯量を上回ると湯切れ沸き上げ運転を停止する。具体的には上記残湯量算出手段31から出力される残湯量信号が残湯量設定手段38で設定された停止残湯量信号を上回ると沸き上げ停止信号が出力される。そして、起動残湯量と停止残湯量は図2に示すように、時間別に任意の値に設定され、生活パターンに応じた湯水の使用状況に対応して効率的な沸き上げ運転により適正な湯量を確保するようにしている。図2を用いてさらに詳細に説明すると、例えば、朝の7時から10時頃までは比較的湯水の使用量が多い時間帯ではあるが、前夜の全量沸き上げ運転により貯湯タンク1内に多くの湯量が確保されており、この湯を利用することが可能であるため、この時間帯における起動残湯量は低めに設定し、湯切れ沸き上げ運転に入りにくい状態に設定する。湯の使用量が多くなって万一湯切れ沸き上げ運転に入った場合でも、その後の時間帯においてあまり湯が使われないことを考慮すると多くの沸き上げ湯量は必要がない。そこで、この時間帯における停止残湯量は少な目に設定し、沸き上げ湯量を控えるようにする。次に、10時から17時頃までは一日のうちで最も湯水の使用量が少ない時間帯であり、この時間帯は7時から10時頃までの起動残湯量よりさらに低めに設定し、より湯切れ沸き上げ運転に入りにくい状態に設定する。そして、停止残湯量もさらに少な目に設定することで、電力料金の高い昼間時間帯の沸き上げ運転を制限することができる。そして、17時から入浴時間帯を含む20時頃までの一日のうちで最も湯水の使用量が多い時間帯にあっては、起動残湯量を最高に設定し、入浴時間帯に備えるために事前に沸き上げ運転を開始させ、必要湯量を確保するように運転を行うとともに、湯張り動作開始により貯湯タンク1内の湯量が少し減っただけでも湯切れ沸き上げ動作を開始するようにして、湯張り動作中に沸き上げ動作を行うことで、その後のシャワー使用時の湯量確保を行うようにしている。また、この時間帯の停止残湯量も貯湯タンク1の略全量が沸き上がるように最高の設定としている。そして、入浴時間帯が終了する20時以降は起動残湯量と停止残湯量を少な目に設定し、沸き上げ湯量を控えることで、電力料金の安い深夜時間帯の沸き上げ比率を高めるようにしている。そし
て、23時以降は深夜時間帯となりピークシフト時間帯を経過して全量沸き上げ運転を開始するようにしている。このピークシフト時間帯も当然、起動残湯量と停止残湯量を少な目に設定し、沸き上げ湯量を控えるようにしている。なお、起動残湯量と停止残湯量は全量沸き上げ運転時間帯を除く時間帯において、少なくとも1時間単位で設定することが可能な構成とし、使用実態に合わせて任意の値に設定することで、湯切れ沸き上げ運転に入りにくい時間帯及び湯切れ沸き上げ運転やすい時間帯を容易に設定することができる。
以上のように、時間別に細かく起動残湯量と停止残湯量を任意に設定することで、生活パターンに応じた湯水の使用状況に対応して効率的な沸き上げ運転により適正な湯量を確保することができる。
湯切れ沸き上げ運転判別手段39は、残湯量設定手段38により上記の如く時間帯別に細かく設定された起動残湯量及び停止残湯量と残湯量算出手段31で算出された貯湯タンク1内の残湯量とを比較し、湯切れ沸き上げ運転の開始が必要か、あるいは湯切れ沸き上げ運転を停止させるべきかを判断して、湯温・能力レベル変更手段33と沸き上げ運転制御手段34に信号を出力する。温度検出手段32は、入水温検出器13a、出湯温検出器13b、及び外気温検出器13cで検出した温度信号を湯温・能力レベル変更手段33と沸き上げ運転制御手段34に出力する。
以上の構成により、例えば、残湯量設定手段38で設定された起動残湯量の設定値に対応する残湯温検出器7が45℃を下回ったことを残湯量算出手段31で検出した場合には、湯温・能力レベル変更手段33によって、全量沸き上げ運転時と同じ沸き上げ温度(例えば85℃)に設定され、湯切れ沸き上げ運転を行う。そして、この湯切れ沸き上げ運転では、設定温度に基づき、沸き上げ運転制御手段34から、ポンプ5及び圧縮機10に動作信号が出力される。また、温度検出手段32によって出湯温検出器13bでの出湯温度が検出され、この出湯温度が目標の沸き上げ温度(例えば85℃)となるように、湯温・能力レベル変更手段33によってポンプ5及び圧縮機10の能力が変更される。上記沸き上げ動作により沸き上げ湯量が増加し、残湯量設定手段38で設定された停止残湯量の設定値に対応する残湯温検出器7が設定温度を上回ったことを残湯量算出手段31で検出した場合には、沸き上げ運転制御手段34によってポンプ5及び圧縮機10の運転を停止する。なお、停止残湯量を最高に設定する場合は、最下部の残湯温度検出器7aの温度が設定温度に到達したときとしてもよく、また、全量沸き上げ時の停止条件である、温度検出手段32によって入水温検出器13aでの入水温度が検出され、この入水温度が目標の沸き上げ温度(例えば85℃)になると、沸き上げ運転制御手段34によってポンプ5及び圧縮機10の運転を停止するようにしてもよい。なお、温度検出手段32によって外気温検出器13cでの外気温度が検出され、この外気温度に応じて目標の沸き上げ温度を設定変更するように構成されている。
次に、図3を用いて本実施例の貯湯式給湯装置の制御フローを説明する。
まず、湯温・能力レベル変更手段33によって沸き上げ湯温・能力を決定する(ステップ1)。そして現在の時刻から、昼間時間帯(第2の所定時間帯)か否かを判断する(ステップ2)。現在が第2の所定時間帯であれば、残湯温検出器7a、7b、7c、7d、7eでの検出温度から残湯量算出手段31で算出されるタンク残湯量が残湯量設定手段38で時間帯別に設定された起動残湯量を下回っているか否かを判断する(ステップ3)。
ステップ3において、残湯量算出手段31で算出されるタンク残湯量が起動残湯量を下回っていない場合には、残湯監視を継続する(ステップ4)。ステップ3において、タンク残湯量が起動残湯量を下回った場合には、湯温・能力レベル変更手段33によって、圧縮機10の能力を全量沸き上げ運転時の能力(例えば4.5kW)よりも高い能力(例えば9kW)に変更し(ステップ5)、湯切れ沸き上げ運転を行う(ステップ6)。
そして、残湯温検出器7a、7b、7c、7d、7eでの検出温度から残湯量算出手段31で算出されるタンク残湯量が残湯量設定手段38で時間帯別に設定された停止残湯量を上回っているか否かを判断する(ステップ7)。
ステップ7において、タンク残湯量が停止残湯量を上回っていない場合には、湯切れ沸き上げ運転を継続する(ステップ6)。ステップ7において、タンク残湯量が停止残湯量を上回ったと判断された場合には、湯切れ沸き上げ運転を停止する(ステップ8)。
ステップ2において、第2の所定時間帯でないと判断された場合には、ピークシフト時間帯であるか否かが判断される(ステップ9)。
ステップ9において、ピークシフト時間帯であると判断された場合には、上記昼間時間帯の場合と同様に、残湯温検出器7a、7b、7c、7d、7eでの検出温度から残湯量算出手段31で算出されるタンク残湯量が残湯量設定手段38で時間帯別に設定された起動残湯量を下回っているか否かを判断する(ステップ10)。
ステップ10において、タンク残湯量が起動残湯量を下回っていないには残湯監視を継続する(ステップ11)。ステップ10において、タンク残湯量が起動残湯量を下回った場合には、湯温・能力レベル変更手段33によって、圧縮機10の能力を全量沸き上げ運転時の能力(例えば4.5kW)よりも高い能力(例えば9kW)に変更し(ステップ12)、湯切れ沸き上げ運転を行う(ステップ13)。
そして、タンク残湯量が残湯量設定手段38で設定した停止残湯量を越えたか否かを判断する(ステップ14)。
ステップ14において、タンク残湯量が停止残湯量を越えていない場合には、湯切れ沸き上げ運転を継続する(ステップ13)。ステップ14において、タンク残湯量が停止残湯量を越えたと判断された場合には、湯切れ沸き上げ運転を停止する(ステップ15)。
ステップ9において、ピークシフト時間帯でないと判断された場合には、第2の所定時間帯終了時に、入水温度検出手段13aでの検出温度が所定温度に達しているか否かを判断する(ステップ16)。
ステップ16において、入水温度検出手段13aでの検出温度が所定温度に達していないと判断した場合には、予定通り全量沸き上げ運転を行う(ステップ17)。またステップ16において、入水温度検出手段13aでの検出温度が所定温度以上であると判断した場合には、全量沸き上げ運転を行わない(ステップ18)。
(実施の形態2)
実施の形態1における残湯量設定手段38では、事前に起動残湯量あるいは停止残湯量、起動残湯量、停止残湯量を時間別に任意に設定し、昼間時間帯及びピークシフト時間帯に行われる湯切れ沸き上げ運転の開始条件と停止条件をパターン化して設定するようにしていた。
しかし、使用者の湯水使用パターンは必ずしも統計的に決められるものではなく、例えば、一般的な家庭においては浴槽に湯水を張る時間は17時から19時の間であると考えられるが、実際には17時以前であったり、21時以降に浴槽に湯水を張る家庭もある。そして、現実的にこのような場合を想定して沸き上げ運転の開始条件と停止条件をパターン化して残湯量設定手段38へ事前に記憶しておくことは困難である。
そこで、本実施の形態では、各使用者の過去の残湯量の履歴を記憶しておき、その履歴に応じて沸き上げ運転の開始条件と停止条件を変化させる形態について、以下説明を行う。
まず、残湯量設定手段38は所定時間(1時間)間隔で残湯量を算出する。そして、算出した残湯量が予め残湯量設定手段38に記憶されている起動残湯量を下回っていた場合は、以下の処理を行う、
残湯量設定手段38はある時点(例えば図2の13:00とする)の貯湯タンク1の残湯量を算出後、過去1週間におけるその時点(13:00)の残湯量を調べ、過去1週間のうち4回以上(例えば1週間の半数以上の回数であればよい)現在残湯量設定手段38に記憶されている起動残湯量(図2では20Lに設定)を下回れば、残湯量設定手段38は現在設定されている13:00より1時間前の12:00の起動残湯量と停止残湯量とを増加させる。
これによれば、過去に頻繁に沸き上げ運転を行っている時間帯に対して、その一つ前(1時間前)の時間帯の起動残湯量と停止残湯量の設定値を増加するので、使用者の使用状況に応じた沸き上げ運転が可能となり、貯湯タンク1内はある程度の残湯量を常に保つことができるので、湯切れの発生が解消される。
なお、本実施の形態では、過去の履歴を調べる上で、調査期間を過去1週間として説明したが、過去10日間や過去1ヶ月のように長期間の間でモニターしてもよいし、あるいは前日1日のみとしてもよい。
また、1週間の半数以上の回数だけ起動残湯量を下回れば、起動残湯量と停止残湯量の設定値を増加するとしたが、例えば1週間のうち2日下回ったときや、あるいは6日下回ったときに設定値を増加するようにしてもよく、これらは設計者が使用状況や環境に応じて、任意に決めることができる。
また、1週間のうち2日下回ったときと、1週間のうち6日下回ったときの起動残湯量と停止残湯量の設定値の増加率を異なるようにしてもよい。具体的には、1週間のうち2日下回ったときよりも6日下回ったときの方が、増加率が高くなるように設定するとよい。
また、上記例では過去に頻繁に沸き上げ運転を行っている時間帯に対して、その一つ前(1時間前)の時間帯の起動残湯量と停止残湯量の設定値を増加するようにしたが、一つ前の時間帯に限らずの起動残湯量と停止残湯量の設定値を増加してもよい。また、1週間のうち2日起動残湯量を下回ったときは、その一つ前(1時間前)の時間帯の起動残湯量と停止残湯量の設定値を増加し、週間のうち6日起動残湯量を下回ったときは、より多くの湯量を貯湯タンク1に蓄えるために2つ前(2時間前)の時間帯の起動残湯量と停止残湯量の設定値を増加するようにしてもよい。
本発明の貯湯式給湯装置は、特に冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプサイクルを利用した貯湯式給湯装置に有用であり、その他ヒータやガスを熱源とする貯湯式給湯装置にも適用できる。
本発明の第1の実施の形態よる貯湯式給湯装置の構成図 同貯湯式給湯装置の湯切れ沸き上げ運転の動作を示す図 同貯湯式給湯装置の制御フロー図 本発明の第2の実施の形態による貯湯式給湯装置の構成図
符号の説明
1 貯湯タンク
2 出湯管
3 給水管
4 沸き上げ配管
5 沸き上げポンプ
6 熱交換器
7a 残湯温検出器
7b 残湯温検出器
7c 残湯温検出器
7d 残湯温検出器
7e 残湯温検出器
10 圧縮機
11 蒸発器
12 膨張弁
14 ヒートポンプサイクル(加熱手段)
31 残湯量算出手段
32 温度検出手段
33 湯温・能力レベル変更手段
34 沸き上げ運転制御手段
35 操作部
36 風呂自動湯張り手段
37 浴槽
38 残湯量設定手段
39 湯切れ沸き上げ運転判別手段

Claims (5)

  1. 貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部に設けた出湯管と、前記貯湯タンクの下部に設けた給水管と、前記貯湯タンクの下部の水を上部に導く沸き上げ配管と、前記沸き上げ配管に設けた沸き上げポンプと、前記沸き上げ配管の途中に配設して前記沸き上げポンプで供給される水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内の残湯量を算出する残湯量算出手段とを備え、全量沸き上げ運転を行う時間帯を設定するとともに、前記残湯量算出手段で所定残湯量を算出した場合に湯切れ沸き上げ運転を行うことを設定した貯湯式給湯装置であって、前記湯切れ沸き上げ運転の開始を判断する起動残湯量を時間別に任意の値に設定する残湯量設定手段を有し、前記残湯量設定手段で設定された起動残湯量と前記残湯量算出手段で算出された残湯量に基づいて前記加熱手段の起動制御を行うようにし、
    前記残湯量設定手段は、所定の時間における前記貯湯タンク内の過去の残湯量に応じて前記所定の時間以前の起動残湯量を変更するようにした貯湯式給湯装置。
  2. 残湯量設定手段は、所定の時間における貯湯タンク内の過去の残湯量が起動残湯量を下回る頻度が多いほど、起動残湯量が多くなるように変更する請求項1記載の貯湯式給湯装置。
  3. 残湯量設定手段は、所定の時間における貯湯タンク内の過去の残湯量が起動残湯量を下回る頻度が多いほど、前記所定の時間より前の起動残湯量を変更するようにした請求項1記載の貯湯式給湯装置。
  4. 残湯量設定手段は、風呂湯張り動作が行われる時間帯において起動残湯量及び停止残湯量が最も多くなるように設定した請求項1から3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
  5. 加熱手段は、圧縮機、放熱器、膨張弁、及び蒸発器を配管で接続したヒートポンプサイクルとし、前記ヒートポンプサイクルに用いる冷媒を二酸化炭素とし、高圧側では臨界圧を越える状態で運転することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
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