JP2007181893A - 研磨装置における圧力制御装置 - Google Patents

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岳彦 松田
Hidetoshi Takeda
英俊 武田
Hiroyuki Tokunaga
裕之 徳永
Yasuhiro Kobiki
康弘 小引
Ryoichi Yamada
良一 山田
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Abstract

【課題】 従来技術に比して確実かつ簡易な方法をもって、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャックおよびリテーナを加圧する圧力の変化率をほぼ同等なものとして、ほぼ同じ時期に変更後の設定圧力に到達させる。
【解決手段】 研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、下エアバッグ15および上エアバッグ16内の圧力P1、P2を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行う。この制御は、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまでの圧力変化幅を、分割して、分割した各圧力指令値L41b、L42bを生成し、変更前の圧力指令値から変更後の圧力指令値に至るまで、分割した各圧力指令値L41b、L42bを順次出力することで、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャック13およびリテーナ14を加圧する圧力を段階的に変化させるようにして行う。
【選択図】 図8

Description

本発明は、半導体ウェーハなどの研磨対象物を研磨する研磨装置に関し、特に、研磨装置の加圧機構の圧力を制御する装置に関するものである。
図1(a)、(b)は、研磨装置1の外観を上面図および側面図にて示している。
同図1に示すように、研磨装置1は、半導体ウェーハWを研磨する装置であり、円盤状の定盤2が設置されたテーブル3と、定盤2の上方に位置する研磨ヘッド10とを備えている。テーブル3の定盤2には、その上面に研磨用クロス4が貼設されており、定盤2は、駆動スピンドル5によって水平面内を回転駆動される。
研磨ヘッド10は、上部支持体11によって支持されて回転駆動する。研磨ヘッド10は、ヘッド本体12と、ヘッド本体12によって支持されたチャック13を中心に構成されている。チャック13によって半導体ウェーハWが保持されるとともに、ヘッド本体12とともにチャック13が回転駆動する。そして、駆動スピンドル5の回転駆動によって定盤2を回転させつつ、チャック13を加圧して半導体ウェーハWを定盤2上の研磨用クロス4上に押し付けることで、半導体ウェーハWの表面の研磨が行われる。
チャック13による半導体ウェーハWの保持は、加圧機構によって行われる。加圧機構は、エアバッグを中心に構成されている。エアバッグに加圧エアを導入することで、チャック13が加圧される。
研磨加工において、研磨用クロス4の粘弾性の影響によってウェーハWの外周部分で過研磨が発生することがある。そこで、ウェーハWの外方にリテーナ14(リテーナリング)を設けて、リテーナ14を加圧してウェーハWの外方の研磨用クロス4を押圧してウェーハ外周部の過研磨を低減させるという技術が一般に使われている。リテーナ14を加圧する加圧機構についても、エアバッグを中心に構成されている。エアバッグに加圧エアを導入することで、リテーナ14が加圧される。
このように研磨装置1には、一般的に、チャック13を加圧するためのエアバッグ、リテーナ14を加圧するためのエアバッグが備えられている。
エアバッグは、研磨ヘッド10内に設けられている。研磨ヘッド10内のエアバッグの配列には、大きく分類すると、並列型と直列型とがある。
並列型のエアバッグ配列とは、研磨ヘッド10の横方向にエアバッグを配置したものであり、チャック13を加圧するためのエアバッグが、研磨ヘッド10のほぼ中心に配置され、リテーナ14を加圧するためのエアバッグが研磨ヘッド10の中心に対してリング状に配置されたものである。
並列型のエアバッグ配列の研磨ヘッドは、たとえば後掲する特許文献1に開示されている。
これに対して直列型のエアバッグ配列の研磨ヘッドは、たとえば後掲する特許文献2に開示されている。
図2は、直列型のエアバッグ配列の構成を例示している。
図2は、研磨ヘッド10の構成を断面図にて示すとともに、加圧機構の構成を示している。
研磨ヘッド10は、回転駆動されるヘッド本体12と、ワーク保持面Cwに半導体ウェーハWを保持する円盤状のチャック13と、チャック13を取り囲むようにチャック13の外周に環状に設けられたリテーナ14とを備えている。チャック13とリテーナ14は、ヘッド本体12と一体に回転動作するように連結されている。
研磨ヘッド10の上下には、上エアバッグ16、下エアバッグ15が設けられている。
上エアバッグ16には、レギュレータ19を介してエアポンプ20が接続されている。
同様に下エアバッグ15には、レギュレータ17を介してエアポンプ18が接続されている。
レギュレータ17には、コントローラ30から第1の圧力指令値が与えられる。レギュレータ19には、コントローラ30から第2の圧力指令値が与えられる。
これにより下エアバッグ15内の圧力は、第1の圧力指令値に応じた圧力P1となって、チャック13が加圧されて、チャック13が半導体ウェーハWを押圧する。また上エアバッグ16内の圧力は、第2の圧力指令値に応じた圧力P2となって、リテーナ14が加圧されて、リテーナ14がチャック13と同じ下方向に、研磨用クロス4を押圧する。
チャック13に作用する押力Fcは、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S1によって定まり、次式(1)で表される。チャック13の加圧力は、下エアバッグ15内のエア圧によって制御することができる。
Fc=P1・S1 …(1)
リテーナ14に作用する押力Frは、上エアバッグ16内の圧力P2と上エアバッグ16内圧力P2の受圧面積S2とによって定まる押力F2から、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S3によって定まる押力F1を差し引いた押力であり、次式(2)で表される。つまりリテーナ14の加圧力は、上エアバッグ16の下方向への押力F2(=P2・S2)から、下エアバッグ15の上方向への力F1(=P1・S3)を差し引いたものであり、リテーナ14の加圧力は、2つのエアバッグ15、16による力のバランスで定まる。
Fr=P2・S2−P1・S3 …(2)
コントローラ30は、たとえば図3に示す研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、下エアバッグ15および上エアバッグ16内の圧力P1、P2を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行う。研磨加工は、図3の研磨レシピに示すように、研磨ヘッド10が定盤2上に降りてから、加圧力を低圧から徐々に高めていき、最大の設定圧力(加工ステップ(3))に達すると、所望の研磨加圧力で所定時間研磨加工し、その後徐々に圧力を低下させていくというレシピで行われる。昇圧時、降圧時ともに、圧力を段階的に変更して、変更後の圧力を所定時間維持する制御が行われる。これは、急激に圧力をかけると半導体ウェーハWへダメージを与えやすく、また研磨装置1の負担も大きくなり、その後の安定した研磨加工ができなるなるおそれがあるからである。また研磨用クロス4に研磨用スラリをなじませる必要があるからである。
図3に示すように、たとえば、加工ステップ(1)から加工ステップ(2)に移行する際には、上エアバッグ16内の圧力P2は、変更前の設定圧力80g/cm2から変更後の120g/cm2に昇圧され、下エアバッグ15内の圧力P1は、変更前の圧力50g/cm2から変更後の圧力100g/cm2に昇圧される。加工ステップ(2)は、20秒間に設定されている。すなわち、加工ステップ(2)では、変更後の圧力(たとえば上エアバッグ16の場合は120g/cm2)が、圧力変更(80g/cm2→120g/cm2)に要した時間を除き、約20秒間、維持されて研磨加工が行われる。
レギュレータ17、19は、エアバッグ15、16内のエア圧力を制御する機器であり、電空レギュレータが一般的に用いられている。電空レギュレータは、指令電圧(電流)を与えると、2次側の圧力を、指令電圧に応じた圧力に調整する機器である。電空レギュレータの圧力精度(リニアリティ)は良く、研磨レシピ上の設定圧力とほぼ同じ値の圧力に調整することができる。このようにして研磨装置1を安定して稼動させることができ、研磨加工後のウェーハの品質が安定する。
特許第3158934号公報 特開2001−38604号公報
以上のようにレギュレータ17、19の圧力精度は十分であるが、変更前の設定圧から変更後の設定圧に移行する過渡状態では、応答遅れが生じる。しかも、この応答遅れは、エアバッグ(エアバッグの容量)毎に異なったり、変更前の設定圧力と変更後の設定圧力との圧力変化幅によって異なったりする。これを図4を用いて説明する。
図4は、横軸に時間をとり縦軸に圧力をとった圧力変化のカーブを示している。
図4において、L1は、レギュレータ17に与えられる第1の圧力指令値を示すカーブである。L2は、レギュレータ19に与えられる第2の圧力指令値を示すカーブである。L3は、L1で示す第1の圧力指令値に応じて、下エアバッグ15内の圧力P1が実際に変化する様子を示すカーブである。L4は、L2で示す第2の圧力指令値に応じて、上エアバッグ16内の圧力P2が実際に変化する様子を示すカーブである。L5は、L1で示す第1の圧力指令値が与えられたときの下エアバッグ15内の圧力P1の理想的な変化を示すカーブである。L6は、L2で示す第2の圧力指令値が与えられたときの上エアバッグ16内の圧力P2の理想的な変化を示すカーブである。
同図4のL1、L2で示すように、第1および第2の圧力指令値をステップ状に変化させたとしても、L3、L4で示すように、実際のエアバッグ15、16内の圧力P1、P2は即座に、変更後の設定圧力に到達せず所定の応答遅れをもって設定圧力に達する。応答遅れの大きさは、レギュレータ17、19の機器自身の特性による応答遅れと、レギュレータ17、19から研磨ヘッド10までの配管容量とエアバッグ室内の空間容量とに起因する応答遅れと、圧力変化幅に起因する応答遅れによって定まる。
図5は、エアバッグの容量と応答時間との関係を示している。図5の横軸は時間であり縦軸は圧力である。図5において、L11は、レギュレータ17、19に与えられる圧力指令値(第1および第2の圧力指令値)を示すカーブである。L12は、エアバッグの容量が500mLであるときの応答遅れを示すカーブであり、L11で示す圧力指令値に応じて、エアバッグ内の圧力が実際に変化する様子を示している。L13は、エアバッグの容量が1500mLであるときの応答遅れを示すカーブであり、L11で示す圧力指令値に応じて、エアバッグ内の圧力が実際に変化する様子を示している。
図5からわかるように、設定圧力に到達するまでの時間は、エアバッグの容量が1500mLであるとき(L13)の方が、エアバッグの容量が500mLであるとき(L12)よりも遅くなっている。すなわち、エアバッグの容量が大きい程、圧力変化が遅く、応答遅れが大きくなることがわかる。
同様に、レギュレータ17、19から研磨ヘッド10までの配管長さが長くなる程、圧力変化が遅く、応答遅れが大きくなる。
またレギュレータ17、19自身にも、電圧指令値が入力されてから圧力が変化し始めるまでに、約0.1秒程度のタイムラグがあるといわれている。
図6は、変更前の設定圧力と変更後の設定圧力との圧力変化幅と応答時間との関係を示している。図6の横軸は時間(応答時間)であり縦軸は圧力(圧力変化幅)である。
図6において、L21は、レギュレータ17、19に与えられる圧力指令値(第1および第2の圧力指令値)を示すカーブである。L22は、圧力変化幅が10(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L21で示す圧力指令値に応じて、エアバッグ内の圧力が実際に変化する様子を示してる。同様に、L23は、圧力変化幅が20(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L24は、圧力変化幅が30(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L25は、圧力変化幅が40(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L26は、圧力変化幅が50(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L27は、圧力変化幅が60(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L28は、圧力変化幅が70(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブであり、L29は、圧力変化幅が80(KPa)であるときの応答遅れを示すカーブである。
同図6からわかるように、圧力変化幅が大きくなる程、設定圧に達するまでの時間が長くなり、応答遅れが大きくなる。また、圧力変化幅の大きさによって、圧力変化率も異なる。
以上のように、応答遅れや圧力変化率があるため、図4のL2、L3で示すように、下エアバッグ15内の圧力P1の実際の変化率と、上エアバッグ16内の圧力P2の実際の変化率は、異なるとともに、それぞれが設定圧力に到達するまでの時間に違いが生じる。場合によっては、ある加工ステップからつぎの加工ステップに切り替わる間に、上エアバッグ16内の圧力P2と下エアバッグ15内の圧力P1が同じ値になったり、下エアバッグ15内の圧力P1の方が高くなるという逆転現象が生じる。
一方で、直列型のエアバッグ配列の研磨ヘッド10では、上記(1)、(2)式で示すように、加圧力が連動するため、上エアバッグ16内の圧力が設定値に対してずれると、リテーナ14の加圧力がずれてしまい、下エアバッグ15内の圧力が設定値に対してずれると、チャック13とリテーナ14の両方の加圧力がずれてしまう。このため、設定圧力に到達するまでの圧力変化中に、チャック13の加圧力に比してリテーナ14の加圧力が極端に低下したり(場合によっては負の加圧力になったり)、チャック13の加圧力に比してリテーナ14の加圧力が極端に増大したりすることがある。
リテーナ14には、チャック13によって保持されている半導体ウェーハWが外方に飛び出してしまうことを防止するというガイド機能がある。しかし、上述したように。リテーナ14の加圧力が極端に低下すると、リテーナ14の下面が半導体ウェーハWよりも高くなり、リテーナ14が持ち上がり、半導体ウェーハWがチャック13から外れて、外方に飛び出してしまい、ガイド機能を補償できなくなるおそれがある。また、研磨用クロス4を破くなどして研磨装置1に被害を与えるおそれがある。また、リテーナ14の加圧力が極端に増大すると、リテーナ14の摩耗が早くなったり、リテーナ14の支持機構にダメージを与えるおそれがある。
上述した現象は、研磨装置1で研磨加工する度に毎回起こるというものではなく、たまに起こる現象である。このため研磨レシピを、つぎの加工ステップに移行する際の圧力変化幅を極力小さく抑えるように作成することで、ウェーハの飛び出し等の不具合を回避しているのが現状である。
また、上エアバッグ16と下エアバッグ15の容量を同じにしたり、配管長さを同じにすることで、改善が可能であるが、実際には、設計上の制約があり、そのように設計することは困難である。
また、ウェーハ飛び出し現象を防止するための方策として、図7(b)に示すものがある。図7(a)のL31は、図4のL1と同様に、ステップ状に変化させた圧力指令値を示すカーブであり、L32は、図4のL2、L3と同様にエアバッグ内の実際の圧力変化を示すカーブである。これに対して、図7(b)のL33は、ステップ状ではなく所定の傾きをもって設定圧力まで変化させる圧力指令値を示すカーブであり、L34は、L33で示す圧力指令値が与えられたときのエアバッグ内の実際の圧力変化を示すカーブである。
しかし、ウェーハ飛び出し現象を回避するための圧力指令値L33の圧力の傾き具合の調整が難しく、ウェーハ飛び出し現象には、効果が少ないという実験結果を得ている。
その原因の大部分は、上述したエアバッグ容量と、圧力変化幅に起因する応答遅れにある。上下エアバッグの容量が異なる場合には、上述したように応答遅れ時間が異なり、設定圧力に到達するまでの時間が異なり、設定圧力に達する途中の圧力変化率が異なる。圧力指令値L33の圧力傾き具合によって、これらをマッチングさせるには、高度な制御が必要となる。また、研磨レシピの各加工ステップ毎の設定圧力値は、ユーザ毎に任意に定められる。これは、ユーザ毎に、使用する研磨用クロス4の種類、研磨用スラリの種類、研磨取り代の大きさ等が異なり、研磨条件が異なるためである。よって、圧力変化幅は、ユーザ毎に、また研磨しようとするウェーハの種類毎に、まちまちである。このため無数の圧力変化幅毎に、図7(b)に示す圧力指令値L33の傾き具合を個別に調整しなければならず、マッチングは、一層困難なものとなる。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、従来技術に比して確実かつ簡易な方法をもって、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャックおよびリテーナを加圧する圧力の変化率をほぼ同等なものとするとともに、ほぼ同じ時期に変更後の設定圧力に到達させることを解決課題とするものである。
第1発明は、
ヘッド本体と、研磨対象物を保持するチャックと、チャックの外周に設けられたリテーナとを有する研磨ヘッドと、
第1の圧力指令値に応じた圧力でチャックを加圧して、チャックを研磨対象物方向に押圧する第1の加圧機構と、
第2の圧力指令値に応じた圧力でリテーナを加圧して、リテーナをチャックと同じ方向に押圧する第2の加圧機構と
を備えてなる研磨装置の圧力制御装置であって、
研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、第1および第2の加圧機構に与える圧力を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行うに際して、
変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまでの圧力変化幅を、分割して、分割した各圧力指令値を生成し、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、分割した各圧力指令値を順次出力することで、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャックおよびリテーナを加圧する圧力を段階的に変化させる制御手段
を備えた研磨装置における圧力制御装置であることを特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
研磨ヘッドの上下にエアバッグが設けられた研磨装置であって、
第1の加圧機構は、下エアバッグ内の圧力と当該下エアバッグ内圧力の受圧面積によって定まる押力をチャックに作用させる加圧機構であり、
第2の加圧機構は、上エアバッグ内の圧力と当該上エアバッグ内圧力の受圧面積とによって定まる押力から、下エアバッグ内の圧力と当該下エアバッグ内圧力の受圧面積によって定まる押力を差し引いた押力をリテーナに作用させる加圧機構であること
を特徴とする。
第3発明は、第1発明において、
分割した圧力指令値は、第1の加圧機構と第2の加圧機構に対して交互に出力されること
を特徴とする。
第4発明は、第3発明において、
設定圧力を昇圧する側に変更する際には、第2の加圧機構に対して先に分割した圧力指令値を出力すること
を特徴とする。
第5発明は、第3発明において、
設定圧力を降圧する側に変更する際には、第1の加圧機構に対して先に圧力指令値を出力すること
を特徴とする。
第1発明の研磨装置1は、図2に示すように、ヘッド本体12と、研磨対象物Wを保持するチャック13と、チャック13の外周に設けられたリテーナ14とを有する研磨ヘッド10と、第1の加圧機構41と、第2の加圧機構42とを備えた研磨装置である。第1の加圧機構41は、第1の圧力指令値に応じた圧力P1でチャック13を加圧して、チャック13を半導体ウェーハWの方向に押圧するものである。第2の加圧機構42は、第2の圧力指令値に応じた圧力P2(および第1の圧力指令値に応じた圧力P1)でリテーナ14を加圧して、リテーナ14をチャック13と同じウェーハW方向に押圧するものである。
第2発明の研磨装置1は、図2に示すように、研磨ヘッド10の上下にエアバッグ16、15が設けられた研磨装置である。第1の加圧機構41は、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S1によって定まる押力Fcをチャック13に作用させる加圧機構である。第2の加圧機構42は、上エアバッグ16内の圧力P2と上エアバッグ16内圧力P2の受圧面積S2とによって定まる押力F2(=P2・S2)から、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S3によって定まる押力F1(=P1・S3)を差し引いた押力Frをリテーナ14に作用させる加圧機構である。
第1発明、第2発明では、コントローラ30は、たとえば図3に示す研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、下エアバッグ15および上エアバッグ16内の圧力P1、P2を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行う。この制御は、図8(a)に示すように、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまでの圧力変化幅を、分割して、分割した各圧力指令値L41b、L42bを生成し、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、分割した各圧力指令値L41b、L42bを順次出力することで、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャック13およびリテーナ14を加圧する圧力を段階的に変化させるようにして行う。
この結果、図8(b)にL43、L44で示すように、下エアバッグ15内の圧力P1と、上エアバッグ16内の圧力P2は、図4に示す理想の圧力変化カーブL5、L6と同様に、圧力変化率をほぼ一定に維持しつつ変化し、両者はほぼ同じ時期に変更後の設定圧力に到達する。比較例L3、L4のように、圧力変化率がばらつき、変更後の設定圧力に到達する時期が大きく異なることはない。このため、本発明によれば、従来技術に比して確実かつ簡易な方法をもって、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャック13およびリテーナ14を加圧する圧力の変化率をほぼ同等なものとすることができるとともに、ほぼ同じ時期に変更後の設定圧力に到達させることができる。これにより、設定圧力に到達するまでの圧力変化中に、チャック13の加圧力に比してリテーナ14の加圧力が極端に低下したり(場合によっては負の加圧力になったり)、チャック13の加圧力に比してリテーナ14の加圧力が極端に増大したりするようなことがなくなり、半導体ウェーハWの飛び出し現象等の不具合を回避することができる。
図8(a)では、分割した第1の圧力指令値L41b、分割した第2の圧力指令値L42bを同じタイミングで、第1の加圧機構41のレギュレータ17、第2の加圧機構42のレギュレータ19に出力しているが、図10に示すように、分割した第1の圧力指令値L41b、分割した第2の圧力指令値L42bを出力するタイミングをずらして、第1の加圧機構41のレギュレータ17、第2の加圧機構42のレギュレータ19に対して交互に出力させてもよい(第3発明)。すなわち、直列型のエアバッグ配列の場合には、前述したように2つのエアバッグ15、16による力のバランスでリテーナ14の押力が定まる。仮に、2つのエアバッグ15、16のエア圧を同時に変化させたとすると、リテーナ14の押力は、両エアバッグの両エア圧の圧力指令値からのずれの影響を受けてしまう。これに対して、2つのエアバッグ15、16のエア圧を交互に変化させれば、リテーナ14の押力は、一方のエアバッグのエア圧の圧力指令値からのずれの影響を受けるだけで済み、圧力指令値と実際の圧力値のずれの影響を低減させて、リテーナ14の押力を精度よく変化させることができる。
また、分割圧力指令値L41b、L42bを交互に出力する場合であって設定圧力を昇圧する側に変更する際には、図10に示すように、分割した第2の圧力指令値L42bの方を先に出力して、第2の加圧機構42のレギュレータ19に先に圧力指令値を与えることが望ましい(第4発明)。すなわち、仮に、分割した第1の圧力指令値L41bを先に出力すると、上記(2)式からわかるように、リテーナ14の加圧力Frが小さくなり、相対的にチャック13の加圧力Fcがリテーナ14の加圧力Frよりも大きくなり、半導体ウェーハWがチャック13の外方へ飛び出すおそれがある。これに対して、図10に示すように、分割した第2の圧力指令値L42bを先に出力すれば、リテーナ14の加圧力Frが小さくなることを抑制でき、ウェーハ飛び出し現象を回避することができる。
同様に、分割圧力指令値L41b、L42bを交互に出力する場合であって設定圧力を降圧する側に変更する際には、図11に示すように、分割した第1の圧力指令値L41bの方を先に出力して、第1の加圧機構41のレギュレータ17に先に圧力指令値を与えることが望ましい(第5発明)。すなわち、仮に、分割した第2の圧力指令値L42bを先に出力すると、上記(2)式からわかるように、リテーナ14の加圧力Frが小さくなり、相対的にチャック13の加圧力Fcがリテーナ14の加圧力Frよりも大きくなり、半導体ウェーハWがチャック13の外方へ飛び出すおそれがある。これに対して、図11に示すように、分割した第1の圧力指令値L41bを先に出力すれば、リテーナ14の加圧力Frが小さくなることを抑制でき、ウェーハ飛び出し現象を回避することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る研磨装置における圧力制御装置の実施の形態について説明する。
図1(a)、(b)は、実施例の研磨装置1の外観を上面図および側面図にて示している。
同図1に示すように、研磨装置1は、半導体ウェーハWを研磨する装置であり、円盤状の定盤2が設置されたテーブル3と、定盤2の上方に位置する研磨ヘッド10とを備えている。テーブル3上の定盤2には、その上面に研磨用クロス4が貼設されており、定盤2は、駆動スピンドル5によって水平面内を回転駆動される。
研磨ヘッド10は、上部支持体11によって支持されて回転駆動する。研磨ヘッド10は、ヘッド本体12と、ヘッド本体12によって支持されたチャック13を中心に構成されている。チャック13によって半導体ウェーハWが保持されるとともに、ヘッド本体12とともにチャック13が回転駆動する。そして、駆動スピンドル5の回転駆動によって半導体ウェーハWを回転させつつ、チャック13を加圧して半導体ウェーハWを定盤S上の研磨用クロス4上に押し付けることで、半導体ウェーハWの表面の研磨が行われる。
チャック13による半導体ウェーハWの保持は、加圧機構によって行われる。加圧機構は、エアバッグを中心に構成されている。エアバッグに加圧エアを導入することで、チャック13が加圧される。
研磨用クロス4の粘弾性の影響によってウェーハWの外周部分で過研磨が発生することを防止するために、ウェーハWの外方には、リテーナ14(リテーナリング)が設けられている。リテーナ14を加圧する加圧機構についても、エアバッグを中心に構成されている。エアバッグに加圧エアを導入することで、リテーナ14が加圧される。
エアバッグは、研磨ヘッド10内に設けられている。
本実施例では、直列型のエアバッグ配列の研磨ヘッド10を想定している。
図2は、実施例の直列型のエアバッグ配列の構成を例示している。
図2は、研磨ヘッド10の構成を断面図にて示すとともに、加圧機構の構成を示している。
研磨ヘッド10は、回転駆動されるヘッド本体12と、ワーク保持面Cwに半導体ウェーハWを保持する円盤状のチャック13と、チャック13を取り囲むようにチャック13の外周に環状に設けられたリテーナ14とを備えている。チャック13とリテーナ14は、ヘッド本体12と一体に回転動作するように連結されている。
研磨ヘッド10の上下には、上エアバッグ16、下エアバッグ15が設けられている。
上エアバッグ16には、レギュレータ19を介してエアポンプ20が接続されている。
同様に下エアバッグ15には、レギュレータ17を介してエアポンプ18が接続されている。
レギュレータ17には、コントローラ30から第1の圧力指令値が与えられる。レギュレータ19には、コントローラ30から第2の圧力指令値が与えられる。
これにより下エアバッグ15内の圧力は、第1の圧力指令値に応じた圧力P1となって、チャック13が加圧されて、チャック13が半導体ウェーハWを押圧する。また上エアバッグ16内の圧力は、第2の圧力指令値に応じた圧力P2となって、リテーナ14が加圧されて、リテーナ14がチャック13と同じ下方向に、研磨用クロス4を押圧する。
チャック13に作用する押力Fcは、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S1によって定まり、次式(1)で表される。チャック13の加圧力は、下エアバッグ15内のエア圧によって制御することができる。
Fc=P1・S1 …(1)
リテーナ14に作用する押力Frは、上エアバッグ16内の圧力P2と上エアバッグ16内圧力P2の受圧面積S2とによって定まる押力F2から、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S3によって定まる押力F1を差し引いた押力であり、次式(2)で表される。つまりリテーナ14の加圧力は、上エアバッグ16の下方向への押力F2(=P2・S2)から、下エアバッグ15の上方向への力F1(=P1・S3)を差し引いたものであり、リテーナ14の加圧力は、2つのエアバッグ15、16による力のバランスで定まる。
Fr=P2・S2−P1・S3 …(2)
以上のように、エアポンプ18、レギュレータ17、下エアバッグ15によって第1の加圧機構41が構成される。第1の加圧機構41は、第1の圧力指令値に応じた圧力P1でチャック13を加圧して、チャック13を半導体ウェーハWの方向に押圧するものである。
また、エアポンプ18、20、レギュレータ17、19、下エアバッグ15、上エアバッグ16によって第2の加圧機構42が構成される。第2の加圧機構42は、第2の圧力指令値に応じた圧力P2(および第1の圧力指令値に応じた圧力P1)でリテーナ14を加圧して、リテーナ14をチャック13と同じウェーハW方向に押圧するものである。
第1の加圧機構41は、上記(1)式からわかるように、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S1によって定まる押力Fcをチャック13に作用させる加圧機構である。
第2の加圧機構42は、上記(2)式からわかるように、上エアバッグ16内の圧力P2と上エアバッグ16内圧力P2の受圧面積S2とによって定まる押力F2(=P2・S2)から、下エアバッグ15内の圧力P1と下エアバッグ15内圧力P1の受圧面積S3によって定まる押力F1(=P1・S3)を差し引いた押力Frをリテーナ14に作用させる加圧機構である。
コントローラ30は、たとえば図3に示す研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、下エアバッグ15および上エアバッグ16内の圧力P1、P2を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行う。研磨加工は、図3に示すように、研磨ヘッド10が定盤2上に降りてから、加圧力を低圧から徐々に高めていき、最大の設定圧力(加工ステップ(3))に達すると、所望の研磨加圧力で所定時間研磨加工し、その後徐々に圧力を低下させていくというレシピで行われる。
図3に示すように、たとえば、加工ステップ(1)から加工ステップ(2)に移行する際には、上エアバッグ16内の圧力P2は、変更前の設定圧力80g/cm2から変更後の120g/cm2に昇圧され、下エアバッグ15内の圧力P1は、変更前の圧力50g/cm2から変更後の圧力100g/cm2に昇圧される。加工ステップ(2)は、20秒間に設定されている。すなわち、加工ステップ(2)では、変更後の圧力(たとえば上エアバッグ16の場合は120g/cm2)が、圧力変更(80g/cm2→120g/cm2)に要した時間を除き、約20秒間、維持されて研磨加工が行われる。
レギュレータ17、19は、エアバッグ15、16内のエア圧力を制御する機器であり、本実施例では、電空レギュレータを想定している。
図8(a)のL41、L42は、コントローラ30からレギュレータ17、19に与えられる第1の圧力指令値、第2の圧力指令値を示すカーブである。図8では、図4と同様に、横軸に時間を、縦軸に圧力をとっている。図8(a)では、図3に示す研磨レシピ上で加工ステップ(1)から加工ステップ(2)に移行して加工ステップ(2)から加工ステップ(3)に移行する過程を示している。なお、図8(a)中、比較例として、図4に示す、ステップ状に変化させた第1の圧力指令値L1、同第2の圧力指令値L2を破線にて図示している。
図8(b)は、図8(a)に対応させた図であり、L43は、L41bで示す分割した第1の圧力指令値に応じて、下エアバッグ15内の圧力P1が実際に変化する様子を示すカーブである。L44は、L42bで示す第2の圧力指令値に応じて、上エアバッグ16内の圧力P2が実際に変化する様子を示すカーブである。なお、図8(b)中、比較例として、図4に示す、従来のステップ状の第1の圧力指令値L1に応じた圧力P1の実際の変化L3、同じく従来のステップ状の第2の圧力指令値L1に応じた圧力P2の実際の変化L4を図示している。
コントローラ30は、研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、第1および第2の加圧機構41、42に与える圧力P1、P2を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行う。この制御は、図8(a)に示すように、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまでの圧力変化幅を、分割して、分割した各圧力指令値L41b、L42bを生成し、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、分割した各圧力指令値L41b、L42bを順次出力することで、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャック13およびリテーナ14を加圧する圧力を段階的に変化させるようにして行われる。
図8(a)に示すように、第1の圧力指令値L41と、第2の圧力指令値L42は、加工ステップ(1)の設定圧力と加工ステップ(2)の設定圧力との圧力変化幅が、同じn1個の個数となるように、分割されるとともに、加工ステップ(2)の設定圧力と加工ステップ(3)の設定圧力との圧力変化幅が、同じn2個の個数となるように、等分割される。また第1の圧力指令値L41の圧力変化幅は、分割幅が同じ幅ΔP1となるように等分割され、同様に、第2の圧力指令値L42の圧力変化幅は、分割幅が同じ幅ΔP2となるように等分割される。分割した各圧力指令値L41b、L42bは、ステップ状の圧力指令値として、コントローラ30から出力される。なお、図8(a)では、設定圧力を昇圧させる場合を示しているが、設定圧力を降圧させる場合も同様にして分割される。
以上のような分割を行った理由について述べる。
本実施例では、圧力変化幅を複数に分割し、各分割した第1の圧力指令値L41b、各分割した第2の圧力指令値L42bをステップ状に変化させて、変更前の設定圧から変更後の設定圧に昇圧させるようにしている。ここで、圧力変化幅の分割数n1、n2は、応答遅れが生じないように、できる限り細かい個数に調整することが望ましい。圧力変化幅の分割数n1、n2を細かくすることで、圧力指令値と実際の圧力とのずれを小さくすることができる。
また本実施例では、圧力変化幅を同じ幅ΔP1、ΔP2に等分割している。等分割することで、圧力指令値と実際の圧力とのずれ量を安定させることができる。
また本実施例では、両方の圧力指令値L41、L42の圧力変化幅を同じ個数n1(n2)に分割するようにしている。この分割方法による効果について図9を用いて説明する。
図9(a)は、比較例であり、同じ個数ではなくて、同じ圧力幅ΔPで分割した場合を示している。L51は、第1の圧力指令値を所定の圧力幅ΔPで分割した場合の圧力指令値を示しており、L52は、第2の圧力指令値を同じ圧力幅ΔPで分割した場合の圧力指令値を示している。L53は、圧力指令値L51が与えられたときの実際の圧力の変化を示し、L54は、圧力指令値L52が与えられたときの実際の圧力の変化を示している。
このように同じ圧力幅ΔPで分割すると、圧力変化幅が小さい方(図9(a)の場合には第1の圧力指令値)が、先に設定圧力に達してしまい、図中、Aで示すように、その後、実際の圧力が急激に変化してしまうことになる。
これに対して、図9(b)は、同じ個数nで分割した場合を示している。L61は、第1の圧力指令値を所定の個数nで分割した場合の圧力指令値を示しており、L62は、第2の圧力指令値を同じ個数nで分割した場合の圧力指令値を示している。L63は、圧力指令値L61が与えられたときの実際の圧力の変化を示し、L64は、圧力指令値L62が与えられたときの実際の圧力の変化を示している。
このように同じ個数nで分割すると、第1の圧力指令値と第2の圧力指令値とで圧力変化幅が異なっていたとしても、両エアバッグ15、16は、ほぼ同じ圧力変化率を維持したまま、ほぼ同時に設定圧力に達することになる。
この結果、図8(b)にL43、L44で示すように、下エアバッグ15内の圧力P1と、上エアバッグ16内の圧力P2は、図4に示す理想の圧力変化L5、L6と同様に、圧力変化率をほぼ一定に維持しつつ変化し、両者はほぼ同じ時期に変更後の設定圧力に到達する。比較例L3、L4のように、圧力変化率がばらつき、変更後の設定圧力に到達する時期が大きく異なることはない。このため、本実施例によれば、従来技術に比して確実かつ簡易な方法をもって、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャック13およびリテーナ14を加圧する圧力の変化率をほぼ同等なものとすることができるとともに、ほぼ同じ時期に変更後の設定圧力に到達させることができる。これにより、設定圧力に到達するまでの圧力変化中に、チャック13の加圧力に比してリテーナ14の加圧力が極端に低下したり(場合によっては負の加圧力になったり)、チャック13の加圧力に比してリテーナ14の加圧力が極端に増大したりするようなことがなくなり、半導体ウェーハWの飛び出し現象等の不具合を回避することができる。
図8(a)では、分割した第1の圧力指令値L41b、分割した第2の圧力指令値L42bを同じタイミングで、第1の加圧機構41のレギュレータ17、第2の加圧機構42のレギュレータ19に出力しているが、図10に示すように、分割した第1の圧力指令値L41b、分割した第2の圧力指令値L42bを出力するタイミングをずらして、第1の加圧機構41のレギュレータ17、第2の加圧機構42のレギュレータ19に対して交互に出力させてもよい。すなわち、直列型のエアバッグ配列の場合には、前述したように2つのエアバッグ15、16による力のバランスでリテーナ14の押力が定まる。仮に、2つのエアバッグ15、16のエア圧を同時に変化させたとすると、リテーナ14の押力は、両エアバッグの両エア圧の圧力指令値からのずれの影響を受けてしまう。これに対して、2つのエアバッグ15、16のエア圧を交互に変化させれば、リテーナ14の押力は、一方のエアバッグのエア圧の圧力指令値からのずれの影響を受けるだけで済み、圧力指令値と実際の圧力値のずれの影響を低減させて、リテーナ14の押力を精度よく変化させることができる。
また、分割圧力指令値L41b、L42bを交互に出力する場合であって設定圧力を昇圧する側に変更する際には、図10に示すように、分割した第2の圧力指令値L42bの方を先に出力して、第2の加圧機構42のレギュレータ19に先に圧力指令値を与えることが望ましい。すなわち、仮に、分割した第1の圧力指令値L41bを先に出力すると、上記(2)式からわかるように、リテーナ14の加圧力Frが小さくなり、相対的にチャック13の加圧力Fcがリテーナ14の加圧力Frよりも大きくなり、半導体ウェーハWがチャック13の外方へ飛び出すおそれがある。これに対して、図10に示すように、分割した第2の圧力指令値L42bを先に出力すれば、リテーナ14の加圧力Frが小さくなることを抑制でき、ウェーハ飛び出し現象を回避することができる。
同様に、分割圧力指令値L41b、L42bを交互に出力する場合であって設定圧力を降圧する側に変更する際には、図11に示すように、分割した第1の圧力指令値L41bの方を先に出力して、第1の加圧機構41のレギュレータ17に先に圧力指令値を与えることが望ましい。すなわち、仮に、分割した第2の圧力指令値L42bを先に出力すると、上記(2)式からわかるように、リテーナ14の加圧力Frが小さくなり、相対的にチャック13の加圧力Fcがリテーナ14の加圧力Frよりも大きくなり、半導体ウェーハWがチャック13の外方へ飛び出すおそれがある。これに対して、図11に示すように、分割した第1の圧力指令値L41bを先に出力すれば、リテーナ14の加圧力Frが小さくなることを抑制でき、ウェーハ飛び出し現象を回避することができる。
なお、上述した実施例では、直列型のエアバッグ配列の研磨ヘッド10の構成(図2)を前提として説明したが、本発明は、並列型のエアバッグ配列の研磨ヘッドの構成に対しても同様に適用することができる。
また、本実施例では、半導体ウェーハを研磨する場合を想定して説明したが、本発明の研磨装置が研磨する対象物は任意であり、ガラス、液晶基板など半導体ウェーハ以外を研磨する場合にも本発明を適用することができる。
図1(a)、(b)はそれぞれ、研磨装置の外観の上面図、側面図である。 図2は、直列型のエアバッグ配列の研磨ヘッドの構成を断面にて示した図である。 図3は、研磨加工の研磨レシピを例示した表である。 図4は、従来技術を説明する図で、圧力変化を示すカーブを示す図で、圧力指令値をステップ状に変化させたときの実際の圧力変化、理想的な圧力変化を示す図である。 図5は、エアバッグ容量と応答時間との関係を示す図である。 図6は、圧力変化幅と応答時間との関係を示す図である。 図7(a)、(b)は、従来技術を説明する図で、圧力指令値をステップ状に変化させた場合と、圧力指令値を所定の傾きをもって変化させた与えた場合とを対比して説明する図である。 図8(a)、(b)は、実施例の圧力指令値と、実施例の圧力指令値を与えたときの圧力の実際の変化を示す図である。 図9(a)、(b)はそれぞれ、第1の圧力指令値、第2の圧力指令値を同じ圧力幅で分割した場合と、第1の圧力指令値、第2の圧力指令値を同じ個数で分割した場合とを対比して説明する図である。 図10は、分割した第1の圧力指令値、第2の圧力指令値を交互に出力して、設定圧力を昇圧するに際して、分割した第2の圧力指令値を先に出力する場合を示した図である。 図11は、分割した第1の圧力指令値、第2の圧力指令値を交互に出力して、設定圧力を降圧するに際して、分割した第1の圧力指令値を先に出力する場合を示した図である。
符号の説明
1 研磨装置 10 研磨ヘッド 12 ヘッド本体 13 チャック 14 リテーナ 15、16 エアバッグ 17、19 レギュレータ、30 コントローラ、41 第1の加圧機構、42 第2の加圧機構

Claims (5)

  1. ヘッド本体と、研磨対象物を保持するチャックと、チャックの外周に設けられたリテーナとを有する研磨ヘッドと、
    第1の圧力指令値に応じた圧力でチャックを加圧して、チャックを研磨対象物方向に押圧する第1の加圧機構と、
    第2の圧力指令値に応じた圧力でリテーナを加圧して、リテーナをチャックと同じ方向に押圧する第2の加圧機構と
    を備えてなる研磨装置の圧力制御装置であって、
    研磨レシピに従い、第1の圧力指令値および第2の圧力指令値を順次変更して、第1および第2の加圧機構に与える圧力を、各設定圧力に変更するとともに、各変更された設定圧力を所定時間保持する制御を行うに際して、
    変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまでの圧力変化幅を、分割して、分割した各圧力指令値を生成し、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、分割した各圧力指令値を順次出力することで、変更前の設定圧力から変更後の設定圧力に至るまで、チャックおよびリテーナを加圧する圧力を段階的に変化させる制御手段
    を備えたことを特徴とする研磨装置における圧力制御装置。
  2. 研磨ヘッドの上下にエアバッグが設けられた研磨装置であって、
    第1の加圧機構は、下エアバッグ内の圧力と当該下エアバッグ内圧力の受圧面積によって定まる押力をチャックに作用させる加圧機構であり、
    第2の加圧機構は、上エアバッグ内の圧力と当該上エアバッグ内圧力の受圧面積とによって定まる押力から、下エアバッグ内の圧力と当該下エアバッグ内圧力の受圧面積によって定まる押力を差し引いた押力をリテーナに作用させる加圧機構であること
    を特徴とする請求項1記載の研磨装置における圧力制御装置。
  3. 分割した圧力指令値は、第1の加圧機構と第2の加圧機構に対して交互に出力されること
    を特徴とする請求項1記載の研磨装置における圧力制御装置。
  4. 設定圧力を昇圧する側に変更する際には、第2の加圧機構に対して先に分割した圧力指令値を出力すること
    を特徴とする請求項3記載の研磨装置における圧力制御装置。
  5. 設定圧力を降圧する側に変更する際には、第1の加圧機構に対して先に圧力指令値を出力すること
    を特徴とする請求項3記載の研磨装置における圧力制御装置。
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