JP2007181895A - 研磨装置における圧力制御装置 - Google Patents

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英俊 武田
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裕之 徳永
Yasuhiro Kobiki
康弘 小引
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Abstract

【課題】半導体ウェーハWの面圧を均一に安定化させ、高い平坦度及びよい表面粗さを実現できる圧力制御装置を実現する。
【解決手段】供給路21、供給路17に水が供給されることで、チャック13のウェーハ保持面Cwに水を供給して、チャック13のウェーハ保持面CwとウェーハWとの間に、液体ベアリング層が形成される。圧力制御弁30(減圧弁30)は、供給路21のうち水ベアリング層よりも上流の箇所30Aに設置されており、コントローラ40は、圧力制御弁30に圧力指令信号を出力する。圧力指令信号に応じて、当該供給路21の圧力制御弁設置箇所30Aにおける水の圧力Pvが調整されることによって、水ベアリング層におけるバックプレス圧Pwが制御される。
【選択図】図8

Description

本発明は、半導体ウェーハなどの研磨対象物を研磨する研磨装置に関し、特に、研磨装置のチャックの保持面と研磨対象物との間に形成される液体ベアリング層のバックプレス圧を制御する装置に関するものである。
研磨装置は、半導体ウェーハを研磨する装置であり、半導体ウェーハを所定のチャック圧で保持するチャックを有する研磨ヘッドが備えられている。
この場合、半導体ウェーハの表面の平坦度等の精度を高めるために、チャックのウェーハ保持面に水を供給して、チャックのウェーハ保持面とウェーハとの間に、水ベアリング層を形成して、研磨加工を行うという技術が従来より採用されている。
この技術には、ハードチャック、ソフトチャックと呼ばれるものがある。
ハードチャック、ソフトチャックは、チャック面に設けた孔に純水を供給して(バックプレス)、半導体ウェーハとチャック間に水膜(水ベアリング層)を形成して、半導体ウェーハの面圧分布を均一にし、リテーナリングの内周における半導体ウェーハの回転を自由にさせることで、半導体ウェーハを高平坦度に研磨加工するものである。
(従来技術1)
後掲する特許文献1には、ハードチャックに関する発明が記載されている。
すなわち、図1に示すように、チャック13の孔13aから水を供給して、チャック13と半導体ウェーハWとの間に水ベアリング層を形成して、半導体ウェーハWを自由に回転できる状態にしてウェーハWを平坦に研磨加工するという発明が記載されている。この特許文献1には、直径6インチの半導体ウェーハWを研磨する場合には、純水の供給量を2〜20mL/min程度にするが、水の供給量はウェーハ基板の大きさや孔の径、個数に依存する旨の記載がある(特許文献1の段落0021)。
(従来技術2)
また、後掲する特許文献2には、ソフトチャックに関する技術が記載されている。
すなわち、図2(a)に示すように、チャック13の下面には、バッキングパッド(弾性膜)15が貼着されるとともに、バッキングパッド15の下面外周部は、テンプレート16によって圧縮された上で接着剤にて接着されている。研磨加工前には、バッキングパッド15に、チャック13に形成した供給路17を介して水が供給されて、バッキングパッド15に水が含浸される。その後、水の供給が停止されて、供給路17が真空ポンプによって真空引きされて、半導体ウェーハWがチャック13によって真空吸着される。その後、チャック13が定盤2の研磨用クロス4上に下降されて、チャック13に加圧力が作用すると、真空吸着が停止されて、研磨加工中にバッキングパッド15から水が供給路17に逆流することを防止するために、低圧のエアが供給路17に供給される。研磨加工中、水の逆流が防止されるため、バッキングパッド15内の水分は、研磨加工前の含浸状態と同様に均一な状態を維持する。これによりチャック13と半導体ウェーハWとの間に水ベアリング層が形成される。これにより研磨ヘッドの回転数と半導体ウェーハWの回転数との間にずれが生じて、半導体ウェーハWとバッキングパッド15との密着力が弱まり、バッキングパッド15のウェーハWとの界面で滑りが生じて、ウェーハWへのバッキングパッド15の形状転写が防止される。この結果、半導体ウェーハWの加工面の研磨圧分布が均一となり、半導体ウェーハWを高精度に研磨加工することができる。
(従来技術3)
後掲する特許文献3には、図3に示すように、各テーブル3の中心に、割り出し軸20を設けて、この割り出し軸20を中心に、複数(たとえば4つ)の研磨ヘッド10、10…を配置して、割り出し軸20に上部支持体22を介して各研磨ヘッド10、10…を連結して、割り出し軸20を回転させることで、各研磨ヘッド10、10…を回転させて、各テーブル3、3…に順次移動させて、粗研磨、仕上げ研磨等の各段階の研磨加工を順次行わせるという発明が記載されている。
各研磨ヘッド10内には、バッキングパッド15に連通する供給路17が形成されている。一方、減圧弁30は、テーブル3の上方に配置されている。減圧弁30は、割り出し軸20内の供給路21に連通している。そして、割り出し軸20内の供給路21は、ヘッド本体12の上方に設けられたロータリジョイント18を介して、研磨ヘッド10内の供給路17に連通している。バッキングパッド15には、減圧弁30のちすち、供給路21、供給路17を介して所定のバックプレス圧Pwの水が供給される。
特許第2933488号公報 特許2527232号公報 特開2001−38616号公報
図2(a)に示すように、水分を含浸しているバッキングパッド15は、研磨加工に必要な加圧力が、チャック13に作用すると、パッキングパッド15の内部の水分が圧縮されて、水分が矢印Aに示すようにバッキングパッド15の外部に出ようとする。しかし、バッキングパッド15の下面外周部は、テンプレート16によって圧縮された上で接着剤にて接着されており、しかも、テンプレート16の横幅も大きいため(約20mm)、バッキングパッド15から外部に水が染み出すことは殆どない(図中×印)。また、テンプレート16の内径と半導体ウェーハWの外径は、ほぼ同一であるため、矢印Bに示すような半導体ウェーハWの外周からの水の染み出し量も少ない。
ところで、研磨加工において、研磨用クロス4の粘弾性の影響によって半導体ウェーハWの外周部分で過研磨が発生することがある。そこで、図2(b)に示すように、ウェーハWの外方にリテーナ(リテーナリング)14を設けて、チャック13を所定のチャック圧Pc(加圧力Fc)で加圧するとともにリテーナ14を所定のリテーナ圧Pr(加圧力Fr)で加圧することでウェーハWの外方の研磨用クロス4を押圧してウェーハ外周部の過研磨を低減させるという技術が一般に使われている。
このようなリテーナ加圧式の研磨ヘッド10では、図2(a)のようなテンプレート16が存在しない。このため、矢印A′で示すように、バッキングパッド15の外周部からの水の染み出しが生じ、その染み出し量が多いという問題が発生するおそれがある。
ここで、バッキングパッド15への水の供給停止後に、半導体ウェーハWを真空吸着すると、チャック13内の供給路17内の水の殆どは真空ポンプによって吸われてしまい、供給路17内には、きわめて小量の水しか残らない。しかも、研磨加工中は、上述したように、矢印A′に示すようなバッキングパッド15から外方への水の染み出しが発生する。このため、供給路17内に残った小量の水では、バッキングパッド15から染み出る水を十分に補給できなくなる。加えて、研磨加工中は、低圧エアがバッキングパッド15に流れ込む。このためバッキングパッド15内の水の分布が不均一となり、半導体ウェーハWの面形状が不均一になるおそれがある。
このため、図2(b)に示すリテーナ加圧式の研磨ヘッド10を使用するときには、研磨加工中に、水分を補給して、バッキングパッド15における水圧を、チャック圧Pcとほぼ同じ圧力に維持することが必要となる。
なお、上述した特許文献1(従来技術1)には、水の供給量に関する記述はあるが、不足した水分を補給することや、水圧に関する記述はない。
同様に、上述した特許文献2(従来技術2)には、低圧のエアを供給する記述はあるが、水分を補給することや、水圧に関する記述はない。
つぎに、バッキングパッド15における水圧(以下バックプレス圧という)がウェーハWの面形状に及ぼす影響について説明する。
図4(a)は、図2(b)に示すリテーナ加圧式の研磨ヘッド10のチャック13とバッキングパッド15の部分断面を、拡大して概念的に示している。
図4(b)は、図4(a)に対応させて、半導体ウェーハWの研磨取り代の分布を示している。図4(b)は、横軸の目盛り0を、半導体ウェーハWの中心位置として、半導体ウェーハWの直径方向各部における研磨取り代を示している。
図4(a)、(b)は、バックプレス圧Pwが、チャック圧Pcに比して高い場合を示している。たとえばチャック圧Pcが20kPaで、バックプレス圧Pwが25kPaの場合である。
同図4(a)、(b)に示すように、チャック13(バッキングパッド15)の中央部では、バックプレス圧Pwは一定であるが、チャック13(バッキングパッド15)の外周部には、外方へ向かう水の流れが形成されるため、ウェーハWの面圧は低くなりバックプレス圧Pwが低下する。このため、研磨取り代は、半導体ウェーハWの中央部が平坦となって、ウェーハ外周に向かうにつれて取り代が低下するという台形形状の分布を呈する。このようにバックプレス圧Pwがチャック圧Pcに比して高いと、ウェーハ面内を一定の研磨取り代で研磨加工することができなくなる。
これに対して、図4(c)は、バックプレス圧Pwが、チャック圧Pcに比して低い場合の研磨取り代の分布を示している。たとえばチャック圧Pcが20kPaで、バックプレス圧Pwが10kPaの場合である。
同図4(c)に示すように、バックプレス圧Pwがチャック圧Pcに比して低い場合には、バッキングパッド15の中央部に水の含浸量の不均一な分布が形成されるため、半導体ウェーハWの中央部分に、研磨取り代の凹凸の分布Cが形成される。
つぎに、図4(d)は、バックプレス圧Pwが、チャック圧Pcと同等である場合の研磨取り代の分布を示している。たとえばチャック圧Pcが20kPaで、バックプレス圧Pwが20kPaの場合である。
同図4(d)に示すように、バックプレス圧Pwがチャック圧Pcと同じ場合には、半導体ウェーハWの直径方向各部で研磨取り代が均一となる分布を呈することになり、半導体ウェーハWの面形状が均一となり、半導体ウェーハWを高平坦度で、かつ粗さ精度を高く、研磨加工することができる。
研磨加工中、チャック圧Pcは、研磨レシピに従って逐次、変化する。シリコンウェーハを研磨加工する場合には、チャック13の加圧面圧Pcは、概ね5〜30kPaの範囲となる。このチャック圧Pcの値は、使用される研磨用クロス4、研磨用スラリ、ウェーハWの研磨取り代の大きさ等によって異なるが、概ね、この範囲に収まる。よって、バックプレス圧Pwも、研磨レシピに従い、チャック圧Pcに連動して、概ね5〜30kPaの範囲で、変化させる必要がある。
バックプレス圧Pwの制御には、通常、図3の従来技術3で示したような減圧弁30が使用される。
しかし、市販されている減圧弁30は、以下のような問題がある。
1)不感帯
減圧弁30の内部には、弁体とバネがあり、減圧弁30は、1次側(元圧)と2次側(出口圧)との圧力差によって、2次側の圧力を制御するものである。
しかし、減圧弁30は、バネを使用しているため、低圧側に不感帯が存在する。この不感帯の幅は、使用範囲によって異なるが、図5(a)に示すように、概ね10kPa以上あるのが一般的である。したがって、一般的な減圧弁30では、10kPa以下の圧力制御は不可能である。
2)減圧弁高さ
図6は、従来技術3(特許文献3)の図3に示す研磨装置1のうち、減圧弁30と、チャック13、バッキングパッド15に係る部分を取りだして示した図である。
研磨加工中に、供給路21、17の配管各部の水圧は、大気圧の影響を受ける。配管のうち高い場所にある部分では、水圧が低くなり、配管のうち低い場所にある部分では、水圧が高くなる。配管の高低差1m当たり、10kPaの圧力差が生じる。一般的には、次式で表される。
バックプレス圧Pw(チャック13の面圧)
=減圧弁30の設定圧力Pv+高低差分の圧力 …(1)
たとえば、同図6に示すように、減圧弁30を、バッキングパッド15よりも1m高い場所に設置すると、減圧弁30の設定圧力Pvを5kPaに調整したとしても、バックプレス圧Pwは、15kPaになってしまう。このため、減圧弁30が5kPa以上の範囲で調整可能であるとしても、バックプレス圧Pwを最低圧が15kPa以上となる範囲でしか制御できなくなり、チャック圧Pcが15kPa以下となる研磨レシピで行われる研磨加工には、対応できなくなってしまう。
3)減圧弁の圧変動
減圧弁30は、1次側(元圧)の圧力変動によって、2次側の圧力も変動する。半導体ウェーハ製造工場では、多数の研磨装置に対して、1つのポンプで純水を供給しているのが現状である。このため、ある研磨装置の水圧は、他の研磨装置の稼動状況によって、変動してしまう。また、図3で示したように、同じ研磨装置1の中でも研磨ヘッド10は多数あり、純水の用途は、バックプレス圧Pwの生成以外にもチャック13の洗浄などの別用途がある。よって、同じ研磨装置1内の他の研磨ヘッド10の稼動状況によって、減圧弁30の2次側圧力が変動してしまう。
4)減圧弁の低圧範囲での流量不足
バックプレス圧Pcに必要な5〜30kPaという圧力範囲は、低圧であり、減圧弁30で圧力調整した場合に、流量が極端に少なくなり流量が不足するおそれがある。
よって、従来技術3に示すごとく、単純に減圧弁30を、研磨ヘッド10の高所に配置しただけでは、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwを、精度よく安定して供給することができない。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、研磨加工を行う際に、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwを、精度よく安定して供給することで、チャック13と半導体ウェーハWとの間に均一で安定した水ベアリング層を形成して、もって半導体ウェーハWの面圧を均一に安定化させ、面形状が均一で安定している高平坦度、低い面粗さの半導体ウェーハWを製造することを解決課題とするものである。
第1発明は、
研磨対象物を所定のチャック圧で保持するチャックを有する研磨ヘッドが備えられた研磨装置に適用される圧力制御装置であって、
チャックのウェーハ保持面に液体を供給して、チャックの保持面と研磨対象物との間に、液体ベアリング層を形成する液体供給路と、
液体供給路のうち液体ベアリング層よりも上流の箇所に設置され、圧力指令信号に応じて、当該液体供給路の圧力制御弁設置箇所における液体の圧力を調整することによって、液体ベアリング層における液体のバックプレス圧を制御する圧力制御弁と
が備えられ、
液体供給路のうち圧力制御弁設置箇所は、
液体ベアリング層よりも下方の位置に配置される、
研磨装置における圧力制御装置であることを特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
バックプレス圧を、チャック圧と同じ若しくはほぼ同じの圧力となるように制御すること
を特徴とする。
第3発明は、第1発明において、
圧力制御弁は、減圧弁であること
を特徴とする。
第4発明は、第1発明において、
圧力制御弁は、圧力調整範囲に不感帯を有するものであって、
液体ベアリング層と、液体供給路の圧力制御弁設置箇所との高低差を、不感帯に対応する高低差以上とすること
を特徴とする。
第5発明は、第1発明において、
圧力制御弁は、圧力調整範囲に不感帯を有するものであって、
バックプレス圧を、最低圧から所定の圧力までの範囲で制御するに際して、
バックプレス圧の最低圧に対応する圧力制御弁の調整圧力値が、不感帯から外れるような位置に、液体供給路の圧力制御弁設置箇所が配置されること
を特徴とする。
第6発明は、第1発明または第4発明または第5発明において、
液体供給路は、圧力制御弁設置箇所から、液体ベアリング層よりも上方の中継箇所を介して、液体ベアリング層に液体が供給されるものであって、
当該中継箇所は、
バックプレス圧の制御最低圧に対応する高さ以下の箇所に配置されること
を特徴とする。
第7発明は、
研磨対象物を所定のチャック圧で保持するチャックを有する研磨ヘッドが備えられた研磨装置に適用される圧力制御装置であって、
チャックのウェーハ保持面に液体を供給して、チャックの保持面と研磨対象物との間に、液体ベアリング層を形成する液体供給路と、
液体供給路に連通され、液体が貯留されたタンクと、
タンクを上下方向に移動させる上下移動機構と、
タンクの移動位置を調整することによって、液体ベアリング層における液体のバックプレス圧を制御する制御手段と
を備えた研磨装置における圧力制御装置であることを特徴とする。
第8発明は、第7発明において、
タンクの移動位置を調整して、バックプレス圧を負圧にすること
を特徴とする。
第1発明では、図8に示すように、圧力制御弁30(減圧弁)から、供給路21、供給路17に水が供給されることで、チャック13のウェーハ保持面Cwに水を供給されて、チャック13のウェーハ保持面CwとウェーハWとの間に、液体ベアリング層が形成される。圧力制御弁30(減圧弁30)は、供給路21のうち水ベアリング層(テーブル3の位置3A)よりも上流の箇所30Aに設置されており、コントローラ40は、圧力制御弁30に圧力指令信号を出力する。圧力指令信号に応じて、供給路21の圧力制御弁設置箇所30Aにおける水の圧力Pvが調整されることによって、水ベアリング層におけるバックプレス圧Pwが制御される。ここで、供給路21のうち圧力制御弁設置箇所30Aは、水ベアリング層(テーブル3の位置3A)よりも下方の位置に配置される。
第2発明では、研磨レシピに従い、バックプレス圧Pwが、チャック圧Pcと同じ若しくはほぼ同じの圧力となるように制御される。
第3発明では、圧力制御弁30として、減圧弁が用いられる。
第4発明では、図8または図9に示すように、基準となるテーブル3(バッキングパッド15における水ベアリング層)の位置3Aと、供給路21のうち減圧弁30の設置箇所30Aとの高低差が、不感帯(10kPa)に対応する高低差(1m;100cm)以上の値(図8、図9の例では、1m;100cm)に設定される。
第5発明では、バックプレス圧Pwを、図5(b)に示すように、たとえば最低圧の7kPaから所定の圧力30kPaまでの範囲で制御するに際して、図8、図9に示すように、バックプレス圧Pwの最低圧7kPaに対応する減圧弁30の調整設定圧力値(17kPa)が、不感帯0〜10kPaから外れるような位置30Aに、減圧弁30が配置される。
第6発明では、図8に示すように、テーブル3(バッキングパッド15における水ベアリング層)の位置3Aよりも下方の減圧弁30の箇所30Aから、供給路21、バッキングパッド15よりも上方にあるロータリジョイント18の箇所18A(中継箇所18A)、供給路17を介して、バッキングパッド15に水が供給される。ロータリジョイント18は、バックプレス圧Pwの制御最低圧(7kPa)に対応する高さ(70cm)以下の高さの箇所(中継箇所)18Aに配置される。たとえば、余裕をみて、ロータリジョイント18は、テーブル3の位置3Aから50cmだけ上方の位置18Aに配置される。
第7発明では、図10(a)に示すように、タンク50から供給路21、供給路17に水が供給されることで、チャック13のウェーハ保持面Cwに水を供給されて、チャック13のウェーハ保持面CwとウェーハWとの間に、水ベアリング層が形成される。タンク50には、水が貯留されており、タンク50は、供給路21に連通されている。タンク50は、上下移動機構60によって、を上下方向に移動される。コントローラ40は、タンク50の移動位置Sを調整することによって、水ベアリング層におけるバックプレス圧Pwを制御する。
第8発明では、図10(b)に示すように、コントローラ40は、タンク50の移動位置Sを、テーブル3の下方の移動位置、たとえばテーブル3よりも30cm以上下方となる位置に調整する。タンク50がテーブル3よりも下方に移動すると、バッキングパッド15およびチャック13から供給路17、供給路21を介してタンク50に向かう水の流れが形成され、バックプレス圧Pwが負圧となり、半導体ウェーハWを研磨用クロス4から引き離して、チャック13が半導体ウェーハWを保持する保持力が発生する。本来、バッキングパッド15は、水貼りで半導体ウェーハWを保持している。タンク50をテーブル3よりも約30cm以上下方となる位置Sに調整すれば、チャック13と半導体ウェーハWとの貼り付き力が、研磨用クロス4と半導体ウェーハWとの貼り付き力を上回り、チャック13は、半導体ウェーハWを研磨用クロス4から離脱させて、半導体ウェーハWを保持することができる。
本発明によれば、減圧弁30を、供給路21のうちテーブル3(水ベアリング層)よりも下方の箇所30Aに配置して、減圧弁30の設定圧Pvを調整することでバックプレス圧Pwを制御するようにしたので、研磨加工を行う際に、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwを、精度よく安定して供給することができる。また、別の実施例によれば、タンク50の移動位置Sを調整することによって、バックプレス圧Pwを制御するようにしたので、研磨加工を行う際に、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwを、精度よく安定して供給することができる。これにより、チャック13と半導体ウェーハWとの間に均一で安定した水ベアリング層が形成され、もって半導体ウェーハWの面圧を均一に安定化し、、面形状が均一で安定している高平坦度、低い面粗さの半導体ウェーハWを製造することができる。
特に、第6発明のように、タンク50の移動位置Sを調整することでバックプレス圧Pwを制御する場合には、水の元圧の影響を受けないため、極めて安定した精度の高い圧力制御を行うことができる。たとえば、減圧弁30の設定圧を調整する場合の圧力変動幅は、±0.5kPaであるのに対して、タンク50の移動位置を調整する場合の圧力変動幅は、±0.05kPaとなり、圧力変動幅は極めて低くなる。
また、研磨レシピに従いチャック圧Pcに応じてバックプレス圧Pwを変更するに際して、減圧弁30の設定圧を調整することで変更する場合には、圧力変更時に、制御上のオーバーシュートが生じるおそれがある。オーバーシュートが生じると、半導体ウェーハWに対する加圧力が部分的に大きくなり研磨用クロス4への沈み込みが大きくなり、半導体ウェーハWがリテーナ14の下面から滑り出すおそれがある。この点、タンク50の移動位置を調整してバックプレス圧Pwを変更する場合には、タンク50は、モータ61、ボールネジ62によって構成された上下移動機構60によって移動位置Sが滑らかに変化するため、圧力変化を滑らかにすることができ、上述したウェーハWの滑り出しを回避することができる。
また、第7発明によれば、タンク50の移動位置Sを調整して、バックプレス圧Pwを負圧にして、チャック13によって半導体ウェーハWを吸着するようにしている。このため、研磨加工後の洗浄工程を簡素化できたり、真空ポンプや真空ポンプに付随する真空引きするための装置構成を省略することができる。すなわち、従来のように真空ポンプを用いてチャック13に半導体ウェーハWを真空吸着させた場合には、バッキングパッド15に含浸している水分が空気とともに真空ポンプに吸い上げられてしまう。このため、チャック13のウェーハ保持面Cw(バッキングパッド15)の水分が減少し半導体ウェーハWの裏面が乾燥してしまい、研磨加工後に残留していた研磨用スラリが半導体ウェーハWに固着するおそれがある。このように半導体ウェーハWに研磨用スラリが固着すると、研磨加工後に十分に時間をかけて半導体ウェーハWの洗浄を行う必要がある。また、研磨加工後に洗浄工程を実施したとしても、半導体ウェーハWに固着した研磨用スラリを除去しきれないおそれがある。この点、本発明によれば、チャック13のウェーハ保持面Cw(バッキングパッド15)が負圧になったとしても、供給路17には水分が満たされており、チャック13のウェーハ保持面Cw(バッキングパッド15)には十分に水分が含浸されている状態を維持している。よって、半導体ウェーハWの裏面が乾燥することはない。このため、ウェーハ面上の水分によって、半導体ウェーハWへの研磨用スラリの固着を回避することができる。これにより、研磨加工後に、十分に時間をかけて洗浄工程を実施する必要がなくなり、洗浄工程を簡素化することができる。また、研磨加工中にバックプレス圧Pwの制御を行うための装置構成(タンク50、上下移動機構60)を利用して、研磨加工の前後では半導体ウェーハWの吸着をも行うことができるため、別途に、真空吸着に必要な真空ポンプや、真空ポンプに付随する機器(レギュレータ等)を用意する必要がない。この結果、装置構成を簡略化でき装置コストを抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る研磨装置における圧力制御装置の実施の形態について説明する。
図7は、図3に対応する研磨装置1を示している。
同図7に示すように、研磨装置1は、半導体ウェーハWを研磨する装置であり、円盤状の定盤2が設置されたテーブル3と、定盤2の上方に位置する研磨ヘッド10とを備えている。テーブル3上の定盤2には、その上面に研磨用クロス4が貼設されており、定盤2は、駆動スピンドル5によって水平面内を回転駆動される。研磨ヘッド10は、上部支持体22によって支持されて回転駆動する。
各研磨テーブル3の中心には、割り出し軸20が設けられている。複数(たとえば4つ)の研磨ヘッド10、10…は、割り出し軸20を中心に配置されている。割り出し軸20には、上部支持体22を介して各研磨ヘッド10、10…が連結されている。割り出し軸20は、図示しない駆動源によって、回転する。割り出し軸20の回転に伴い、各研磨ヘッド10、10…が回転されて、研磨ヘッド10が各テーブル3、3…上に順次移動されて、粗研磨、仕上げ研磨等の各段階の研磨加工が順次、行われる。
研磨ヘッド10は、ヘッド本体12と、ヘッド本体12によって支持されたチャック13を中心に構成されている。ヘッド本体12は、研磨ヘッド昇降用シリンダ19によって、研磨テーブル3の上方へ上昇されるとともに、研磨テーブル3に向けて下降される。またチャック13によって半導体ウェーハWが保持されるとともに、ヘッド本体12とともにチャック13が回転駆動する。そして、駆動スピンドル5の回転駆動によって定盤2を回転させつつ、チャック13を加圧して半導体ウェーハWを定盤2上の研磨用クロス4上に押し付けることで、半導体ウェーハWの表面の研磨が行われる。
チャック13による半導体ウェーハWの保持は、図示しない加圧機構によって行われる。加圧機構は、エアバッグを中心に構成されている。エアバッグに加圧エアを導入することで、チャック13が所定のチャック圧Pc(加圧力Fc)で加圧される。
図8は、図7に示す研磨装置1のうち、減圧弁30と、チャック13、リテーナ14、バッキングパッド15に係る部分を取りだして示した図である。以下、図7に図8を併せ参照して説明する。
研磨用クロス4の粘弾性の影響によってウェーハWの外周部分で過研磨が発生することを防止するために、ウェーハWの外方には、リテーナ14(リテーナリング)が設けられている。リテーナ14を加圧する加圧機構についても、エアバッグを中心に構成されている。エアバッグに加圧エアを導入することで、リテーナ14が所定のリテーナ加圧力Frで加圧される。
研磨ヘッド10は、回転駆動されるヘッド本体12と、ワーク保持面Cwに半導体ウェーハWを保持する円盤状のチャック13と、チャック13を取り囲むようにチャック13の外周に環状に設けられたリテーナ14とを備えている。チャック13とリテーナ14は、ヘッド本体12と一体に回転動作するように連結されている。
チャック13の下面には、バッキングパッド(弾性膜)15が貼着されている。
ヘッド本体12、チャック13内には、バッキングパッド15に連通する供給路17が形成されている。一方、減圧弁30は、研磨テーブル3の下方に配置されている。減圧弁30は、割り出し軸20内の供給路21に連通している。そして、割り出し軸20内の供給路21は、ヘッド本体12の上方に設けられたロータリジョイント18を介して、研磨ヘッド10内の供給路17に連通している。バッキングパッド15には、減圧弁30から、供給路21、供給路17を介して、所定のバックプレス圧Pwの水(純水)が供給される。
研磨加工前には、バッキングパッド15に、供給路17を介して水が供給されて、バッキングパッド15に水が含浸される。その後、供給路17内の圧力が負圧となり、半導体ウェーハWがチャック13によって真空吸着される。その後、チャック13が定盤2の研磨クロス4上に下降されて、チャック13に加圧力が作用すると、真空吸着を停止して、研磨加工が開始され、研磨加工中には、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwの水が、バッキングパッド15に供給されて、チャック13と半導体ウェーハWとの間に水ベアリング層が形成される。これにより、研磨ヘッドの回転数と半導体ウェーハWの回転数との間にずれが生じて、半導体ウェーハWとバッキングパッド15との密着力が弱まり、バッキングパッド15のウェーハWとの界面で滑りが生じて、ウェーハWへのバッキングパッド15の形状転写が防止される。この結果、半導体ウェーハWの加工面の研磨圧分布が均一となり、半導体ウェーハWを高精度に研磨加工することができる。
チャック13のチャック圧Pc、減圧弁30の設定圧Pvは、コントローラ40によって調整される。減圧弁30は、電磁ソレノイドに加えられる圧力指令信号(電流)に応じて設定圧が可変するものが使用される。
コントローラ40は、研磨レシピに従い、研磨加工中、チャック13のチャック圧Pcを変更するとともに、減圧弁30の設定圧Pvを調整して、バックプレス圧Pwがチャック圧Pcと同じ圧力になるようにバックプレス圧Pwを制御する。
研磨加工中に、供給路21、17の配管各部の水圧は、大気圧の影響を受ける。配管のうち高い場所にある部分では、水圧が低くなり、配管のうち低い場所にある部分では、水圧が高くなる。配管の高低差1m当たり、10kPaの圧力差が生じる。一般的には、次式で表される。
バックプレス圧Pw(チャック13の面圧)
=減圧弁30の設定圧力Pv+高低差分の圧力 …(1)
本実施例では、バックプレス圧Pwを最低圧の7kPaから30kPaまでの範囲で制御する場合を想定する。なお、正確には、高低差の基準位置は、バックプレス圧Pwが発生する水ベアリング層、つまりバッキングパッド15の位置を基準とするが、本実施例では、バッキングパッド15とほぼ同位置となるテーブル3の位置を基準としている。
減圧弁30は、圧力調整範囲に不感帯を有する減圧弁である。減圧弁30は、バネを使用しているため、低圧側に不感帯が存在する。この不感帯の幅は、図5(a)に示すように、0〜10kPaの範囲である。図5(a)において、横軸は、減圧弁30に加えられる圧力指令信号(電流)に対応する設定圧Pvであり、縦軸は、減圧弁30の2次側の圧力である。0〜10kPaに対応する圧力指令信号を減圧弁30に加えたとしても、減圧弁30の2次側圧力は、圧力指令信号に対応する圧力にはならない。
そこで、基準となるテーブル3(バッキングパッド15)の位置3Aと、供給路21のうち減圧弁30の設置箇所30Aとの高低差が、不感帯(10kPa)に対応する高低差(1m;100cm)以上の値(この例では、1m;100cm)に設定される。いいかえれば、バックプレス圧Pwを、最低圧の7kPaから所定の圧力30kPaまでの範囲で制御するに際して、バックプレス圧Pwの最低圧7kPaに対応する減圧弁30の調整設定圧力値(17kPa)が、不感帯0〜10kPaから外れるような位置30Aに、減圧弁30が配置される。
本実施例では、テーブル3(バッキングパッド15)よりも下方の減圧弁30の箇所30Aから、供給路21、バッキングパッド15よりも上方にあるロータリジョイント18が配置される中継箇所18A、供給路17を介して、バッキングパッド15に水が供給される。
そこで、ロータリジョイント18は、バックプレス圧Pwの制御最低圧(7kPa)に対応する高さ(70cm)以下の高さの箇所18Aに配置される。本実施例では、余裕をみて、ロータリジョイント18は、テーブル3の位置3Aから50cmだけ上方の位置18Aに配置される。
減圧弁17の設定圧力Pvと、バックプレス圧Pw(チャック13の面圧)との関係は、図5(b)で表される。
同図5(b)に示すように、減圧弁30の設定圧Pvを、17kPaに調整すると、バックプレス圧Pwは、7kPa(ロータリジョイント18の箇所18Aにおける圧力は2kPa)となり、以後、減圧弁30の設定圧Pvが上昇するに伴いバックプレス圧Pwは増大し、減圧弁30の設定圧Pvを、40kPaに調整すると、バックプレス圧Pwは、30kPa(ロータリジョイント18の箇所18Aにおける圧力は25kPa)となる。
なお、上述した実施例では、ロータリジョイント18を介して供給路17と供給路21が連通する構成を想定して説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
図9は、図8に対応する研磨装置1の構成を示しており、ロータリジョイント18を介することなく、供給路17、21が減圧弁30に接続している構成を示している。
本実施例では、バックプレス圧Pwを最低圧の0kPaから30kPaまでの範囲で制御する場合を想定する。
本実施例では、基準となるテーブル3(バッキングパッド15)の位置3Aと、供給路17のうち減圧弁30の設置箇所30Aとの高低差が、不感帯(10kPa)に対応する高低差(1m;100cm)以上の値(この例では1m;100cm)に設定される。いいかえれば、バックプレス圧Pwを、最低圧の0kPaから所定の圧力30kPaまでの範囲で制御するに際して、バックプレス圧Pwの最低圧0kPaに対応する減圧弁30の調整設定圧力値(10kPa)が、不感帯0〜10kPaから外れるような位置30Aに、減圧弁30が配置される。
減圧弁17の設定圧力Pvと、バックプレス圧Pw(チャック13の面圧)との関係は、図5(c)で表される。
同図5(c)に示すように、減圧弁30の設定圧Pvを、10kPaに調整すると、バックプレス圧Pwは、0kPaとなり、以後、減圧弁30の設定圧Pvが上昇するに伴いバックプレス圧Pwは増大し、減圧弁30の設定圧Pvを、40kPaに調整すると、バックプレス圧Pwは、30kPaとなる。
図10(a)は、上述した各実施例と同様に、バックプレス圧Pwを、減圧弁30の不感帯と重なる範囲で制御することができる実施例を示している。
すなわち、図8と同様に、変化ヘッド10内の供給路17は、ロータリジョイント18を介して、外部の供給路21に連通されている。供給路21は、タンク50に連通している。タンク50には、水(純水)が貯留されている。タンク50の上方は、大気に解放されており、タンク50の下部に供給路21が連通されている。
タンク50は、上下移動機構60に、上下方向移動自在に連結されている。この上下移動機構60は、たとえばモータ61、ボールネジ62を用いて構成することができる。
上下移動機構60は、コントローラ40から出力される移動指令信号に応じて、タンク50を上下方向に移動される。
コントローラ40は、研磨レシピに従い、研磨加工中、チャック13のチャック圧Pcを変更するとともに、タンク50の移動位置Sを調整することによって、バックプレス圧Pwがチャック圧Pcと同じ圧力になるようにバックプレス圧Pwを制御する。本実施例では、バックプレス圧Pwを最低圧の7kPaから30kPaまでの範囲で制御する場合を想定する。
タンク50の移動位置Sを、テーブル3から70cmの高さに調整すると、バックプレス圧Pwは、7kPa(ロータリジョイント18の箇所18Aにおける圧力は2kPa)となり、以後、タンク50が上昇するに伴いバックプレス圧Pwは増大し、タンク50の移動位置Sを、テーブル3から400cmの高さに調整すると、バックプレス圧Pwは、30kPa(ロータリジョイント18の箇所18Aにおける圧力は25kPa)となる。
図10(a)では、タンク50を、テーブル3よりも高い位置で上下動させることで、バックプレス圧Pwを制御するようにしている。しかし、図10(b)に示すように、タンク50をテーブル3よりも低い位置に移動させることができる上下移動機構60を設けて、タンク50をテーブル3よりも低い位置に移動させて、バックプレス圧Pwを負圧にして、チャック13に半導体ウェーハWを吸着させるようにしてもよい。
半導体ウェーハWの吸着は、研磨加工の前後で、研磨ヘッド10を、チャック13によって半導体ウェーハWを保持したままテーブル3から上方へ上昇させるときや、チャック13によって半導体ウェーハWを保持したまま研磨ヘッド10を他のテーブル3上に移動搬送するときに、行われる。
コントローラ40は、研磨加工中、図10(a)に示すのと同様に、研磨レシピに従い、タンク50の移動位置Sを、テーブル3上方の各移動位置に調整して、バックプレス圧Pwを、7〜30kPaの範囲に制御する。
研磨加工の前後では、コントローラ40は、図10(b)に示すように、タンク50の移動位置Sを、テーブル3下方の移動位置、たとえばテーブル3よりも30cm以上下方となる位置に調整する。タンク50がテーブル3よりも下方に移動すると、バッキングパッド15およびチャック13から供給路17、供給路21を介してタンク50に向かう水の流れが形成され、バックプレス圧Pwが負圧となり、半導体ウェーハWを研磨用クロス4から引き離して、チャック13により半導体ウェーハWを保持する保持力が発生する。本来、バッキングパッド15は、水貼りで半導体ウェーハWを保持している。タンク50をテーブル3よりも約30cm以上下方となる位置Sに調整すれば、チャック13と半導体ウェーハWとの貼り付き力が、研磨用クロス4と半導体ウェーハWとの貼り付き力を上回り、半導体ウェーハWを研磨用クロス4から離脱させて、チャック13により半導体ウェーハWを保持することができる。
なお、上述した各実施例では、バッキングパッド15によって水ベアリング層が形成されるソフトチャックの研磨ヘッド10に適用される場合を想定して説明したが、本発明は、図1に示すようにハードチャックの研磨ヘッド10にも適用することができる
つぎに、以上説明した各実施例の効果について説明する。
実施例によれば、減圧弁30を、供給路21のうちテーブル3(水ベアリング層)の位置3Aよりも下方の箇所30Aに配置して、減圧弁30の設定圧Pvを調整することでバックプレス圧Pwを制御するようにしたので、研磨加工を行う際に、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwを、精度よく安定して供給することができる。また、別の実施例によれば、タンク50の移動位置Sを調整することによってバックプレス圧Pwを制御するようにしたので、研磨加工を行う際に、チャック圧Pcとほぼ近傍のバックプレス圧Pwを、精度よく安定して供給することができる。これにより、チャック13と半導体ウェーハWとの間に均一で安定した水ベアリング層が形成され、もって半導体ウェーハWの面圧を均一に安定化でき、面形状が均一で安定している高平坦度、低い面粗さの半導体ウェーハWを製造することができる。
特に、タンク50の移動位置Sを調整することでバックプレス圧Pwを制御する場合には、水の元圧の影響を受けないため、極めて安定した精度の高い圧力制御を行うことができる。たとえば、減圧弁30の設定圧を調整する場合の圧力変動幅は、±0.5kPaであるのに対して、タンク50の移動位置を調整する場合の圧力変動幅は、±0.05kPaとなり、圧力変動幅は極めて低くなる。
また、研磨レシピに従いチャック圧Pcに応じてバックプレス圧Pwを変更するに際して、減圧弁30の設定圧を調整することで行う実施例(図8、図9)の場合には、圧力変更時に、制御上オーバーシュートが生じるおそれがある。オーバーシュートが生じると、半導体ウェーハWに対する加圧力が部分的に大きくなり研磨用クロス4への沈み込みが大きくなり、半導体ウェーハWがリテーナ14の下面から滑り出すおそれがある。この点、タンク50の移動位置を調整してバックプレス圧Pwを変更する実施例(図10)の場合には、タンク50は、モータ61、ボールネジ62によって構成された上下移動機構60によって移動位置Sが滑らかに変化するため、圧力変化を滑らかにすることができ、上述したウェーハWの滑り出しを回避することができる。
また、図10(b)に示す実施例によれば、タンク50の移動位置Sを調整してバックプレス圧Pwを負圧にして、チャック13によって半導体ウェーハWを吸着するようにしている。このため、研磨加工後の洗浄工程を簡素化できたり、真空ポンプや真空ポンプに付随する真空引きさせるための装置構成を省略することができる。すなわち、従来のように真空ポンプを用いてチャック13に半導体ウェーハWを真空吸着させた場合には、バッキングパッド15に含浸している水分が空気とともに真空ポンプに吸い上げられてしまう。このため、チャック13のウェーハ保持面Cw(バッキングパッド15)の水分が減少し半導体ウェーハWの裏面が乾燥してしまい、研磨加工後に残留していた研磨用スラリが半導体ウェーハWに固着するおそれがある。このように半導体ウェーハWに研磨用スラリが固着すると、研磨加工後に十分に時間をかけて半導体ウェーハWの洗浄を行う必要がある。また、研磨加工後に洗浄工程を実施したとしても、半導体ウェーハWに固着した研磨用スラリを除去しきれないおそれがある。この点、本実施例によれば、チャック13のウェーハ保持面Cw(バッキングパッド15)が負圧になったとしても、供給路17には水分が満たされており、チャック13のウェーハ保持面Cw(バッキングパッド15)には十分に水分が含浸されている状態を維持している。よって、半導体ウェーハWの裏面が乾燥することはない。このため、ウェーハ面上の水分によって、半導体ウェーハWへの研磨用スラリの固着を回避することができる。これにより、研磨加工後に、十分に時間をかけて洗浄工程を実施する必要がなく、洗浄工程を簡素化することができる。また、研磨加工中にバックプレス圧Pwの制御を行うための装置構成(タンク50、上下移動機構60)を利用して、研磨加工の前後では、半導体ウェーハWの吸着をも行うことができるため、別途に、真空吸着に必要な真空ポンプや、真空ポンプに付随する真空引きのための機器(レギュレータ等)を用意する必要がない。この結果、装置構成を簡略化でき装置コストを抑制することができる。
なお、本実施例では、水(純水)を供給する場合を想定して説明したが、チャック13のウェーハ保持面Cwと半導体ウェーハWとの間に、液体のベアリング層を形成することができる液体であれば、任意の液体を使用することができる。
また、本実施例では、減圧弁30の設定圧力を調整してバックプレス圧を制御する場合を想定して説明したが、供給路の上流側で、圧力を調整する弁としては、減圧弁以外の圧力制御弁を使用してもよい。
なお、また、本実施例では、半導体ウェーハを研磨する場合を想定して説明したが、本発明の研磨装置が研磨する対象物は任意であり、ガラス、液晶基板など半導体ウェーハ以外を研磨する場合にも本発明を適用することができる。
図1は従来技術1を説明するために用いた図である。 図2(a)は、従来技術2を説明するために用いた図で、図2(b)は、図2(a)の構成にリテーナを加えた場合の装置構成を示した図である。 図3は、従来技術3を説明するために用いた図である。 図4(a)は、図2(b)に示すリテーナ加圧式の研磨ヘッドのチャックとバッキングパッドの部分の断面を、拡大して概念的に示した図で、図4(b)、(c)、(d)は、図4(a)に対応して、半導体ウェーハの研磨取り代の分布を示す図である。 図5(a)は、減圧弁の不感帯を示したグラフで、図5(b)、(c)は本実施例における減圧弁の設定圧とバックプレス圧(チャック面圧)との対応関係を示した図である。 図6は、図3に従来技術3として示す研磨装置のうち、一部の構成部分を取りだして示した図である。 図7は、本実施例の研磨装置の全体構成図である。 図8は、図7に示す研磨装置のうち、一部の構成部分を取りだして示した図である。 図9は、図8とは別の実施例を示す図で、図8に示す研磨装置の構成から、ロータリジョイントを除去した構成を例示した図である。 図10(a)、(b)は、図8、図9とは別の実施例を示す図で、図8、図9に示す減圧弁の代わりにタンク、上下移動機構を設けた構成例を例示した図である。
符号の説明
1 研磨装置 10 研磨ヘッド 12 ヘッド本体 13 チャック 14 リテーナ 15 バッキングパッド 17 供給路 18 ロータリジョイント 18A ロータリジョイント設置個所(供給路の中継箇所) 21 供給路 30 減圧弁 40 コントローラ 50 タンク 60 上下移動機構

Claims (8)

  1. 研磨対象物を所定のチャック圧で保持するチャックを有する研磨ヘッドが備えられた研磨装置に適用される圧力制御装置であって、
    チャックのウェーハ保持面に液体を供給して、チャックの保持面と研磨対象物との間に、液体ベアリング層を形成する液体供給路と、
    液体供給路のうち液体ベアリング層よりも上流の箇所に設置され、圧力指令信号に応じて、当該液体供給路の圧力制御弁設置箇所における液体の圧力を調整することによって、液体ベアリング層における液体のバックプレス圧を制御する圧力制御弁と
    が備えられ、
    液体供給路のうち圧力制御弁設置箇所は、
    液体ベアリング層よりも下方の位置に配置されること
    を特徴とする研磨装置における圧力制御装置。
  2. バックプレス圧を、チャック圧と同じ若しくはほぼ同じの圧力となるように制御すること
    を特徴とする請求項1記載の研磨装置における圧力制御装置。
  3. 圧力制御弁は、減圧弁であること
    を特徴とする請求項1記載の研磨装置における圧力制御装置。
  4. 圧力制御弁は、圧力調整範囲に不感帯を有するものであって、
    液体ベアリング層と、液体供給路の圧力制御弁設置箇所との高低差を、不感帯に対応する高低差以上とすること
    を特徴とする請求項1記載の研磨装置における圧力制御装置。
  5. 圧力制御弁は、圧力調整範囲に不感帯を有するものであって、
    バックプレス圧を、最低圧から所定の圧力までの範囲で制御するに際して、
    バックプレス圧の最低圧に対応する圧力制御弁の調整圧力値が、不感帯から外れるような位置に、液体供給路の圧力制御弁設置箇所が配置されること
    を特徴とする請求項1記載の研磨装置における圧力制御装置。
  6. 液体供給路は、圧力制御弁設置箇所から、液体ベアリング層よりも上方の中継箇所を介して、液体ベアリング層に液体が供給されるものであって、
    当該中継箇所は、
    バックプレス圧の制御最低圧に対応する高さ以下の箇所に配置されること
    を特徴とする請求項1または4または5記載の研磨装置における圧力制御装置。
  7. 研磨対象物を所定のチャック圧で保持するチャックを有する研磨ヘッドが備えられた研磨装置に適用される圧力制御装置であって、
    チャックのウェーハ保持面に液体を供給して、チャックの保持面と研磨対象物との間に、液体ベアリング層を形成する液体供給路と、
    液体供給路に連通され、液体が貯留されたタンクと、
    タンクを上下方向に移動させる上下移動機構と、
    タンクの移動位置を調整することによって、液体ベアリング層における液体のバックプレス圧を制御する制御手段と
    を備えたこと
    を特徴とする研磨装置における圧力制御装置。
  8. タンクの移動位置を調整して、バックプレス圧を負圧にすること
    を特徴とする請求項7記載の研磨装置における圧力制御装置。
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