JP2007181638A - 針を皮膚に刺しても痛みを和らげ、鮮明な超音波画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針およびその製造方法 - Google Patents

針を皮膚に刺しても痛みを和らげ、鮮明な超音波画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】皮膚に刺しても傷みを和らげるとともに、超音波画像を用いてモニターした場合においても、鮮明な画像が得られる医療用セラミック被覆穿刺針を提供する。
【解決手段】針の最表面にSiNxの混合層4、次いでSiNxのセラミック膜3を被覆、さらに、その上にSiNxとDLC膜の複合層2を被覆、最上層としてDLC1を被覆することにより、低摩耗で密着性に優れた医療用セラミック被覆穿刺針および針を用いる。これらの針の使用により皮膚に針を刺した場合には傷みを和らげることが可能である。さらにこれらの針を用いて超音波画像をモニターした場合には、鮮明な画像の提供が可能で患者の検査・治療を容易に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用セラミック被覆穿刺針および針に関するもので、特に、針を皮膚に刺しても傷みを和らげるとともに、針の使用部を超音波画像でモニターした場合鮮明な画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針およびその製造方法に関するものである。
現在我が国は世界一の長寿国を達成しているが、これは最近の医療技術の進歩に支えられたものであると言っても過言ではない。そうした医療技術の中で、例えば、肝臓、膵臓あるいは腎臓等の検査においては、患者の血液検査で得られないデータを得るために、エコーを利用した超音波検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査、強い磁気と電波を使用して各種臓器の断面像を写し出すMRI(磁気共鳴画像)検査、細い管(カテーテル)を介して造営剤を注入し、血管の状態を画像化する血管造営検査等が広く用いられている。
これらの血液検査や各種画像診断によって、癌の病巣の存在は診断できるけれども、確定診断のためには、肝生検等により病変部の病理学的な検査が必要となる。通常、かような検査においては、特殊な穿刺針を直接病変部に刺して組織を採取して調査する方法が採用されている。
しかしながら、現行のステンレス鋼製の穿刺針を用いた場合、針の基材の電気抵抗が小さい導体金属(抵抗率ρ:10−6〜10−8Ω・m)であることから、病変部から採取した組織や病変部に刺した穿刺針のまわりの細胞に悪影響を及ぼすことが指摘されている。
また、生体患部の特定位置に薬液を注入する際の注射針としても、従来、導体金属製(主にステンレス鋼製)の医療針が使用されていたが、この場合にも、上述したところと同様の問題があった。
最近、本発明者らは、セラミックを被覆した穿刺針の使用中に折損等を生じることがなく、また採取した組織および病変部に刺した穿刺針のまわりの細胞に悪影響を全く及ぼすことのない画期的な医療用セラミック被覆針を開発した。
特開2003−210579号公報 特開2003−310759号公報
この新たに開発された医療用セラミック被覆穿刺針は、ラットの肝臓実験に使用した場合極めて有効であることが実証された。すなわち、セラミック被覆穿刺針を使用してラットの肝臓組織を採取した場合には、通常のステンレス鋼製の穿刺針に比較して切れ味が極めてシャープでまわりの細胞に悪影響を全く及ぼさないことが判明した。
森博太郎、井口征夫、福田裕之、江原正明:人に優しい医療用セラミック被覆穿刺針の開発、まてりあ、42(2003)、No.2、p.151−153。
ラットに加えてひき続き、イヌ、サル、ブタの肝臓についても同様のセラミック被覆穿刺針を用いて動物実験を行った。その結果、ラットの肝臓実験の場合と同様極めて有効であることが実証された。
井口征夫、小松原道郎、大石政治、小林吉彦、岩崎稔、長谷川紀昭、森博太郎:医療用セラミック被覆穿刺針の動物実験、2005年春季(第136回)日本金属学会講演概要、p.313、2005年3月29日−3月31日(横浜国立大学で開催)。
発明が解決しようをする課題
上記の動物実験は、肝臓に直接セラミック被覆穿刺針を刺して肝臓の組織を採取した実験結果である。しかしながら、患者への治療・検査の際にはこれらのセラミック被覆穿刺針は、皮膚から刺して肝臓、膵臓あるいは腎臓等の内蔵の組織を採取する方法も採用される。この場合皮膚の組織と内蔵の細胞組織は大きく異なり、前者の皮膚の細胞組織は、ウレタン系のシートに類似しており、後者の内臓の細胞組織のように水分を多量に含んでいない。
穿刺針あるいは針を患者の皮膚から刺した場合には、痛みを和らげることが最重要課題である。最近、穿刺針あるいは針を患者の皮膚から刺した際の痛みを評価する場合には、前もってポリウレタン系のシート(このシートは皮膚組織に似ている。)を用いて摩擦係数を測定する模擬実験を行って痛みの程度を推定する方法が採用されるようになって来ている。その中でも特に、現在使用されている腎臓透析用の針は高圧中で流量を多くすることが不可欠であり、このため針の径も大きく太くなるため針を皮膚から刺した場合患者への痛みも大きくなる。また、大きく太い針を用いて皮膚から刺したときには、まわりの皮膚組織に悪影響を与えることも懸念されている。このため通常は、ステンレス鋼製の針の先端部附近(ベベルと呼ぶ。)にSi系油脂を薄く塗布して皮膚の細胞組織との摩擦抵抗を小さくすることにより、患者への痛みを和らげる方法が採用されている。
しかしながら、Si系油脂を塗布した針の使用は、患者に有害(一部では、癌を誘発するとの情報がある。)とされているため、Si系油脂を塗布しない針の使用、すなわち、皮膚の細胞組織と摩擦抵抗の小さい針の開発が急務で重要な開発課題となって来ている。特に、腎臓透析の際には、皮膚から針を刺した部位を長時間使用するため同じ位置での数回以上の使用が困難となる。このため、人の手、胴体、足、足の裏にまでも、針を刺す位置の変更を余儀なくされ、患者に有害であるSi系油脂を塗布しない針の開発が緊急かつ急務の極めて重要な開発課題となっている。
課題を解決するための手段
このような状況下で、上記の条件を満足するためのセラミック被覆穿刺針は、摩擦係数が小さく、基板との密着性に優れ、耐磨耗特性に優れ、化学的に不活生な特性を同時に満足させる針の開発が緊急の課題となっている。
本発明者は、これらの条件を満足させることが可能、その中でも特に摩擦係数が小さく、密着性の優れたセラミック被覆穿刺針の開発に関して再度根本的な検討を行った。
その結果、最終的に図1の模式図で示すような最表面にDLC膜を被覆した複層のセラミック被覆穿刺針およびその製造方法を採用することにより、上記の目的を達成することが可能であることを発見し、本発明を完成するに至ったものである。
さらに、本発明の穿刺針あるいは針を使用して超音波画像でモニターした場合、セラミック被覆穿刺針は、複層のセラミック被覆のため、より鮮明な画像の提供が可能であることも同時に発見したものである。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)金属および合金穿刺針に絶縁性・密着性の優れたセラミック被覆し、さらにその上に70%以上(at%)のDLC(Diamond Like Carbon)を主成分とする0.01−3μm厚の複層を被覆することを特長とする針を皮膚に刺しても痛みを和らげ、かつ複層のセラミック被覆による鮮明な超音波画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針。
(2)請求項1において、金属および合金穿刺針に絶縁性・密着性の優れたセラミック被覆し、さらにその上に70%以上(at%)のDLC(Diamond Like Carbon)を主成分とする0.01−3μm厚の複層を被覆し、穿刺針との密着性の向上のため膜厚方向に傾斜機能を具備した複層のセラミック膜を製造することを特長とする針を皮膚に刺しても痛みを和らげ、かつ複層のセラミック被覆による鮮明な超音波画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針の製造方法。
発明の効果
以下、本発明の効果を具体的に順次説明する。
図1の(a)は、本発明の複層のセラミック被覆した穿刺針の被膜断面図を、また、図1の(b)は、通常のセラミック被膜の断面と比較して模式的に示したものである。
図2は、本発明のDLC膜中のSi含有量と摩擦係数の関係を示す。このセラミック膜は、マグネトロン・スパッタ法を用いて、基板とSiNxの混合層を含む(図1の(a)中の4参照)SiNxのセラミック膜(0.6μm厚)を被覆、さらに、その上にSiNx膜とDLC膜の複合層(図1の(a)中の2参照)を被覆(合計で1.0μm厚を被覆)した穿刺針の被膜断面を示したものである。
図2から明らかなように、DLC膜中のSi含有量が本発明の範囲30%以下で、摩擦係数が0.1以下、好ましくはDLC膜中のSi含有量が20%以下において摩擦係数が0.05の小さな値を示すことが注目される。
図3は、本発明の図1の(a)および図2の中のDLC膜中のSi含有量が2%の領域でのコーティング処理した後、ポリウレタン系のシート(0.3mm厚)を用いて摩擦抵抗値を測定し、患者への痛みを推定する模擬実験を行った結果を纏めて示す。
図3から明らかなように、ステンレス鋼製の穿刺針を使用した場合の摩擦抵抗は、0.18 Kgfを示した。このステンレス鋼製の穿刺針のベベルにSi系樹脂を薄く塗布した穿刺針を使用した場合の摩擦抵抗は、0.07 Kgfの小さな値を示した。
次のステンレス鋼製の穿刺針にSiNxのセラミック被覆した場合の摩擦抵抗は、0.20 Kgfを示した。
さらに、本発明のDLC+SiNx被覆した複合膜を有する穿刺針を使用した場合の摩擦抵抗は、0.05 Kgfの小さな値(最良の値)を示したのが注目される。
図3から明らかなように、本発明のDLC+SiNx複合セラミック膜を被覆した穿刺針を使用した場合の摩擦抵抗値は、0.05 Kgfの小さな値を示すとともに、ポリウレタン系のシートに刺した後のDLC膜の剥離も無く密着性にも優れていることが判明したものである。
通常Siを含有しない100%DLC膜は、本発明と同様膜中に水分を含むために低摩擦係数を示して表面の活性を低下させ、化学的にも安定であることが報告されている。
三宅正三郎:ダイヤモンドライクカーボン膜の最近動向と展望、真空、47(2004)、No.12,p.811−819. 田中章浩:最近のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の機械的特性、真空、47(2004)、No.12,p.820−827.
しかしながら、100%の高純度DLC膜は、基板との密着性に問題があり、例えば、ガラス基板上に100%の高純度DLC膜をコーティングした場合、特に、1.0−3.0μm程度の膜厚で容易に剥離することが難点として指摘されている。
本発明者は、上述したようにSiNx被覆した穿刺針を開示しているが、その場合針を皮膚から刺した場合に患者に痛みを伴うのが難点であった。しかし、本発明により最大の懸案事項が解決されるとともに下地がSiNxの膜を使用しているので、混合層中にSiを含有しているためDLC膜との密着性にも優れたセラミック被覆穿刺針の提供がはじめて可能となったものである。
本発明のDLC膜は、特定領域でのSiNxと混合層を介してDLCを主成分とする複層を被成させた場合において、大気中の湿度によりもたらされた水分を吸着させることによる低摩擦挙動と優れた密着性を同時に達成できたことが注目される。すなわち、上述したような現行のSi系油脂を塗布した穿刺針あるいは針の使用による患者に有害(既に上記したように、癌を誘発するとの情報がある。)な方法とは全く異なるメカニズムによって針を皮膚から刺した場合に痛みを和らげる効果を有するのが特長である。
次に、本発明の複層のセラミック被覆した穿刺針を用いて超音波画像のモニターを行った場合、鮮明な画像の提供が可能である理由について述べる。
超音波画像をモニターとして利用する場合、超音波パルスを対象物(この場合は穿刺針と検査したい部位)に向けて送信し、対象物表面からの反射パルスを受信し、送信・受信パルスの到達時間間隔tを測定し、対象物までの距離dを求めて。超音波画像としてCRT上に写し出す。
従って、穿刺針が通常のステンレス鋼製の場合には、距離dは次式(1)
d = V・t/2 (1)
(ここで、Vは音波であり、超音波伝搬媒体や温度によって変化する。)
で求められる。
これに対して、本発明の複層のセラミック被覆穿刺針(図1の(a)の断面
模式図を参照)は、単層のセラミック被覆穿刺針(図1の(b)の断面模式図
を参照)や上記の(1)式の場合と違って、次式
d・d’・d”=V・t・t’・t”/2 (2)
(ここで、d、d’およびd”は、それぞれステンレス鋼製穿刺針までの距離、SiNx膜被覆穿刺針およびDLC膜被覆穿刺針までの距離を示す。また、t、t’およびt”は、それぞれステンレス鋼製穿刺針の送信・受信パルスの到達時間間隔、SiNx膜被覆穿刺針の送信・受信パルスの到達時間間隔およびDLC膜被覆穿刺針の送信・受信パルスの到達時間間隔として観察できるため、複層のセラミック被覆穿刺針の方がより鮮明な超音波画像としてCRT上に写し出すことが可能となるのである。
本発明のDLC+SiNx複層膜のセラミック被覆穿刺針と現行のSiNx単層膜のセラミック被覆穿刺針を用いて超音波画像を同じ撮影条件で同時にモニターした場合、本発明のDLC+SiNx複層膜のセラミック被覆穿刺針を使用した方がより鮮明な超音波画像の提供が可能であることが判明したものである。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、穿刺針あるいは針の最表面にDLCを主体とする被膜を被成、その下には特定の複層のセラミック膜を被覆することが必須条件である。もちろん、これらの膜中には、低摩擦や高密着、高絶縁が達成可能な範囲でのN,B,O,Ti,Cr,Mo,Al等を少量含有しても発明を妨げるものではない。例えば、下地のセラミック膜がTiN,Tio,CrN,BN,Al等の薄膜を被成させた最表面にDLCを主体とする被膜を使用することも可能である。
穿刺針あるいは針の材料としては、金属材料であれば何でも使用可能であるが、特に好ましくはステンレス鋼である。というのは、ステンレス鋼は、表面が錆びず、かつ精密加工処理が容易だからである。
例えば、ステンレス鋼によって穿刺針の基体を製造する場合、ステンレス鋼素材を連続鋳造し、熱間圧延−冷間圧延−光輝焼鈍を行った後、精密加工により外径:0.05−3.0mm、長さ:30−300mm程度の目的に応じた種々の針形状に加工処理する。なお、この際の処理工程は、従来の技術に従って行えば良い。
ついで、得られた穿刺針あるいは針の表面を、超音波洗浄や電解研磨等により清浄にしたのちセラミック膜を被覆するわけであるが、本発明においても、まわりの細胞組織に悪影響を及ぼさないことが重要である。本発明者らが、既に特開2003−210579号公報や特開2003−310759号公報にて公開したように、電気抵抗率ρ:10Ω・m以上の絶縁性を有するセラミック膜を被覆することが重要である。そのためには、Si,B,Al,Ti系の窒化物、炭化物、酸化物のセラミック膜を用いると安定で、安価に製造可能なセラミック膜のコーティングが可能である。この場合、窒化物と炭化物、窒化物と酸化物の複合セラミック膜を用いても良い。
さらに、本発明においては、これらのセラミック膜上にDLC膜を0.01−3.0μm(好ましくは0.05−0.5μm)厚を成膜することが必須条件である。DLC膜は、低摩耗の達成が可能であるが基板との密着性が問題であることが指摘されている。本発明では、図2に示したように、DLC膜中に30%までのSiを含有させても、低摩耗で密着性が確保できることを開示している。
穿刺針あるいは針の表面のコーティングには、薄い膜厚制御が容易で、比較的高速成膜が可能なマグネトロン・スパッタ法が最適である。また、イオン化率を上げるためにアンバランスド・マグネトロン・スパッタ法も有効に使用可能である。このほかのドライコーティングには、アーク放電、HCD(Hol low Cathode Discharge、中空陰極放電)、EB+RF法、イオン注入、レーザーアブレーション、プラズマCVD、減圧CVD、熱CVD法、マイクロ波法等従来公知の手法の適用も可能である。
本発明では、穿刺針あるいは針表面との密着性に優れたセラミック膜を用いることが重要であるため、膜厚方向のセラミック薄膜の濃度差(傾斜機能性の具備)の役割が大きくなる。従って、コーティングの初期段階において針の極表面は、金属・半金属的なセラミック成分組成で成膜後コーティングの後半段階においてセラミック膜の成分組成あるいは絶縁性に優れた成分組成にコーティングすることが重要である。
上述したように、本発明では、針を皮膚に刺した際に痛みを和らげるために、低摩耗のDLC膜を主成分とする膜を最表面に被覆すること、さらにこのような複層のセラミック膜の使用は、鮮明な超音波画像の提供が可能であることの利点があるのが特徴である。このDLC膜の使用は膜中に大気中の湿度によりもたらされた水分の吸着により低磨耗の達成が可能で、現行のSi系の油脂の塗布による代替が可能となることである。このDLC膜は、上述したように密着性に問題があるので、膜中に30%までのSiを含有させること、さらに、第一層目のセラミック膜との密着性に優れたセラミック膜を用いることが重要であるため、二層目の成膜の際には、膜厚方向にセラミック薄膜の濃度差(この場合においても、第一層目のコーティングと同様、傾斜機能の具備)の役割が大きくなる。従って、第二層目のコーティングの初期段階において金属・半金属的なセラミック成分組成で成膜後、コーティングの後半段階においてDLCを主成分とするセラミック膜の成分組成で、かつ絶縁性に優れた成分組成にコーティングすることが重要である。
最後に、本発明の複層のセラミック被覆(例えば、DLC+SiNxの複層膜の被覆)を用いた場合の超音波画像装置について述べる。この超音波装置は、特に限定されるものではないが、例えば、既知論文(福田裕之ら:IEEE Transactions on Biomedical Engineering,vol.45(1998),No.3,p.396−400.参照)に開示されたものと同じタイプのリアルタイム超音波装置(東芝製、SSA−270A)で凸型プローブ(Convex Type Prove (3.75 MHz))をそなえるものは、特に有利に適合する。なお、この超音波画像装置には、パーソナルコンピュータを搭載して、得られた情報をデジタル情報に変換できるようにすることがより好適である。
C:0.05 mass%,Si:0.12 mass%,Mn:0.22mass%,Cr:17.9 mass%,Ni:10.2 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるオーステナイト系ステンレス鋼の素材を、連続鋳造し、その後、熱間圧延、冷間圧延、光輝焼鈍し、さらに精密加工により外径:2.0mm、長さ:100mmの穿刺針に仕上げた。
その後、このステンレス鋼製の穿刺針は、針表面を超音波洗浄した後、マグネトロン・スパッタ法を用いて第一層目は、SiNx、BN、Al、SiO、TiOの薄膜のセラミックコーティング(0.6μm厚)、さらにその上の第二層目はDLC膜をセラミックコーティング(0.4μm厚)した。
なお、DLC膜中のSi含有量は、1.5%の領域でコーティング処理した。その後、ポリウレタン系のシート(0.3mm厚)を用いて摩擦抵抗値を測定し、患者への痛みを推定する模擬実験を行った結果を纏めて表1に示す。
また、比較のため第一層目の各セラミック膜(1μm厚)をコーティング処理した後、ポリウレタン系のシート(0.3mm厚)を用いて摩擦抵抗値を測定し、患者への痛みを推定する模擬実験を行った結果も同時に表1に示す。
さらに、一部の試料は、超音波画像観察を行って鮮明度を比較し表1に示した。
表1から明らかなように、本発明のDLC膜を使用した穿刺針の場合においては、摩擦抵抗値が0.04−0.06 Kgfの小さな値を示す。
産業上の利用の可能性
本発明の最表面(第二層目)にDLCを主成分とする薄膜とさらにその下に混合層を介して特定のセラミックコーティング膜を複層被覆した穿刺針および針を使用することにより、患者にこれらの針を皮膚から刺しても痛みを和らげることが可能で、また、直接内蔵の臓器にも使用可能であり、かつ鮮明な超音波画像の提供が可能であるのでこれらの針を用いた治療、生検も容易に出来るのが特長である。
本発明の断面のセラミック積層の比較を模式的に示す図である。図中の1はDLC膜、2は混合層、3,3‘はセラミック膜、4,4’は混合層、5,5‘は基板を示す。 DLC膜中のSi含有量と摩擦抵抗の関係を示す図である。 各種の処理した穿刺針と摩擦抵抗の関係を示す図である。 表1 種々のセラミック被覆穿刺針の上にDLC膜を被成したときの摩擦抵抗値を比較して示す。
Figure 2007181638

Claims (2)

  1. 金属および合金穿刺針に絶縁性・密着性の優れたセラミック被覆し、さらにその上に70%以上(at%)のDLC(Diamond Like Carbon)を主成分とする0.01−3μm厚の複層を被覆することを特長とする針を皮膚に刺しても痛みを和らげ、かつ複層のセラミック被覆による鮮明な超音波画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針。
  2. 請求項1において、金属および合金穿刺針に絶縁性・密着性の優れたセラミック被覆し、さらにその上に70%以上(at%)のDLC(Diamond Like Carbon)を主成分とする0.01−3μm厚の複層を被覆し、穿刺針との密着性の向上のため膜厚方向に傾斜機能を具備した複層のセラミック膜を製造することを特長とする針を皮膚に刺しても痛みを和らげ、かつ複層のセラミック被覆による鮮明な超音波画像の提供可能なセラミック被覆穿刺針の製造方法。
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