JP2007181304A - 電動機及び回転子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁鋼板を積層してなる回転子鉄心2と、この回転子鉄心2の周方向に沿って配置される希土類で作られた複数の永久磁石3と、回転子鉄心2と永久磁石3を埋め込むように一体にモールド成形された合成樹脂部5と、を有して構成される電動機の回転子において、回転子鉄心2の構造を改良し、大きな回転駆動力が得られる電動機を提供するとともに鉄心材料の材料取りを改善する。
【解決手段】回転子鉄心2において、永久磁石3より回転子側に凸となるように配置される磁極片14を、全て回転子鉄心2の本体から分離させた構造とし、これにより磁束の漏れを抑えて誘起電圧を増加させるようにするとともに磁極片を回転子鉄心の内径側より構成した。
【選択図】図22
【解決手段】回転子鉄心2において、永久磁石3より回転子側に凸となるように配置される磁極片14を、全て回転子鉄心2の本体から分離させた構造とし、これにより磁束の漏れを抑えて誘起電圧を増加させるようにするとともに磁極片を回転子鉄心の内径側より構成した。
【選択図】図22
Description
本発明は、洗濯機等に使用される電動機の回転子、この回転子を備えた電動機及び回転子の製造方法に関する。
一般に洗濯機等に使用される電動機として、ブラシレス電動機がある。このブラシレス電動機は、電磁コイルを有する固定子(ステータ)と、鉄心及び永久磁石を内蔵した回転子(ロータ)と、を備えて構成される。
この種の電動機において用いられる回転子は、回転子鉄心と、この回転子鉄心の周方向に沿って配置される希土類で作られた複数の永久磁石と、回転子鉄心と永久磁石を埋め込むように一体にモールド成形された合成樹脂部と、を有して構成されている。ここで回転子鉄心は多数枚の電磁鋼板を積層して構成され、その周方向に沿って形成された複数の穴部に永久磁石を埋め込むように配置したものがある(例えば下記の特許文献1参照)。そしてこの永久磁石が埋め込まれた回転子鉄心は、永久磁石より固定子側に凸となる磁極片部が固定子側の電磁コイルと対向し、その間の電磁作用によって固定子に対し回転子が回転駆動されるようになっている。また、特許文献2には分割されたヨーク部とティース部を結合固定してなる固定子鉄心が示されている。
このように構成される従来の回転子において、その内部に埋め込まれる回転子鉄心の構造を見ると、ここで回転子鉄心は、永久磁石より固定子側に凸となる磁極片部が、永久磁石の両側の脚部で回転子鉄心の本体に接続された構造となっている。このような回転子鉄心の構造では、永久磁石の両側の脚部の部分から磁束の漏れが生じ易く、そのため固定子側の誘起電圧が低下して、大きな回転駆動力を必要とする場合に充分な回転駆動力が得られなくなるという問題がある。また、鉄心の材料歩留まりを上げる方法としては分割により個々の部品で行っている。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、回転子に内蔵される回転子鉄心の構造を改良し、大きな回転駆動力が得られるとともに鉄心材料の材料歩留まりを同一部品内で改善した電動機を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために本発明は、固定子とこの固定子に対向して設けられた回転子とを有する電動機において、前記回転子が、電磁鋼板を積層してなる回転子鉄心と、この回転子鉄心にその回転方向に沿って組み込まれる希土類で作られた複数の永久磁石と、前記回転子鉄心と前記永久磁石を埋め込むように一体にモールド成形された合成樹脂部と、を有して構成され、前記回転子鉄心は、前記永久磁石より前記固定子側に凸となるように配置される磁極片を有し、この磁極片を全て回転子鉄心の本体から分離させた構造とするとともに磁極片を回転子鉄心の内径側材料により構成したものである。
また、本発明の回転子の製造方法は、電動機の固定子に対向して設けられ、電磁鋼板を積層してなる回転子鉄心とこの回転子鉄心の周方向に沿って配置される希土類で作られた複数の永久磁石と前記回転子鉄心と前記永久磁石を埋め込むように一体にモールド成形された合成樹脂部とを有すると共に、前記回転子鉄心が前記永久磁石より前記固定子側に凸となるように配置される磁極片を有する回転子の製造方法であって、前記磁極片を、全て回転子鉄心の本体から分離した構造とし、回転子鉄心の内径側材料から打抜き加工するものである。
このように構成される本発明の電動機の回転子は、永久磁石より固定子側に凸となるように配置される磁極片を、全て回転子鉄心の本体から分離させた構造としたことにより、永久磁石からの磁束の漏れが抑えられるので、固定子側の誘起電圧が増加し、大きな回転駆動力を得ることができるとともに回転子鉄心の材料利用率を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
先ず、本発明が適用される電動機の構成を図17で簡単に説明する。この電動機30は、回転軸34に結合される回転子1と、この回転子1の外周面に対向して固定配置される固定子32と、を有して構成される。この電動機は、固定子32を外側に配置し、回転子1を内側に配置した内転型の電動機である。この電動機において回転子1には、その回転方向に沿って複数の永久磁石3を組み込んだ回転子鉄心2が内蔵され、一方固定子32には電磁コイル32aが備えられており、この電磁コイル32aと回転子鉄心2との間の電磁作用によって固定子32に対し回転子1が回転し、これと一体に回転軸34が回転駆動される。本発明は、このような電動機30に用いられる回転子1の構造に係るものである。
図1〜図3に示すように、本例の回転子1は、回転子鉄心2,永久磁石3,回転軸支持板4,合成樹脂部5を有して構成される。ここで回転子鉄心2,永久磁石3,回転軸支持板4は、合成樹脂部5に埋め込まれるように合成樹脂部5と一体にモールド成形されて回転子1を構成する。またこの回転子1は、合成樹脂部5の端面から回転軸心線方向に突き出る複数の冷却ファン用の突起部7を有する。さらにこの回転子1の合成樹脂部5には、回転子1を電動機に組み付ける際に治具を挿入するための作業用の孔8を有すると共に、合成樹脂部5の内周面には、電動機から回転子1を取り外す際に治具で挟んで引き出すためのリブ9が形成されている。
回転子鉄心2は、図5〜図7に示すように多数枚の電磁鋼板を積層して形成される。ここで回転子鉄心2を構成する電磁鋼板としては、図8,図9,図10に示すような3種類の電磁鋼板が用いられる。すなわち、回転子1内で回転軸支持板4と対応する第1の電磁鋼板10(図8)と、回転子鉄心2の大部分を占める主部としての第2の電磁鋼板11
(図9)と、永久磁石の押さえ部材としての第3の電磁鋼板12(図10)と、を積層して回転子鉄心2が構成される。
(図9)と、永久磁石の押さえ部材としての第3の電磁鋼板12(図10)と、を積層して回転子鉄心2が構成される。
押さえ部材としての第3の電磁鋼板12は、一枚で足りるが複数枚にすることも可能である。回転軸支持板4と対応する第1の電磁鋼板10は、回転軸支持板4との連結で大きな力がかかるので、複数枚を必要とする。回転子鉄心2におけるその他の部分は、多数枚の第2の電磁鋼板11で占められる。
このように多数枚の電磁鋼板を積層して構成される回転子鉄心2の外周に沿って、複数(本例では10個)の永久磁石3が配置される。この永久磁石3は、図4に示すように平板の形状を有し、その板厚を半分に分けるようにN極とS極の着磁が施されており、このN極とS極が回転子鉄心2の回転軸心を通る放射方向線に沿って内外方向に並ぶように永久磁石3を配置する。ここで複数の永久磁石3は、隣接間では磁極の並びが逆になるように配置される。
この構成において回転子鉄心2を構成する各電磁鋼板10,11,12は、永久磁石3より固定子側(外周側)に凸となるように配置される複数の磁極片14を有し、ここでこの磁極片14は、全て各電磁鋼板10,11,12の本体から分離した構造となっている。すなわち、従来の回転子鉄心の構成では図11(A)に示す如く、磁極片14の内側に永久磁石を埋め込むための穴部15を有し、この穴部15の両側の脚部16a,16bによって磁極片14が回転子鉄心2の本体に接続された構造となっていたが、本例ではこの両側の脚部16a,16bを打抜いて除去することで、同図(B)に示すように磁極片
14を回転子鉄心2の本体から完全に切り離したものである。
14を回転子鉄心2の本体から完全に切り離したものである。
このように本例の回転子1は、磁極片14を全て回転子鉄心2の本体から分離させた構造としたことにより、永久磁石3の両側での磁束の漏れを抑えることができるので、固定子側の誘起電圧(起磁力)が増加し、大きな回転駆動力が得られることになる。ここで本発明者らが実際に試作実験を行った結果、図11(A)のように磁極片14を接続する脚部16a,16bを有する構成から、同図(B)のように脚部を除去して磁極片14を分離した構成とすることで、誘起電圧が約10%増加することが確認された。
本例の回転子鉄心2において第1の電磁鋼板10と第2の電磁鋼板11とは、磁極片
14を含む外周側が同じ形状に形成されている。第1の電磁鋼板10の内周側には、凹凸を有する穴が形成され、第2の電磁鋼板11の内周側には、第1の電磁鋼板10の穴より径大な円形穴が形成されている。一方、押さえ部材としての第3の電磁鋼板12は、磁極片14の部分は他の電磁鋼板と同じであるが、本体部の外周が他の電磁鋼板よりもやや径大に形成されている。またこの第3の電磁鋼板12の内周側には、第2の電磁鋼板11の円形穴と同径の円形穴が形成されている。
14を含む外周側が同じ形状に形成されている。第1の電磁鋼板10の内周側には、凹凸を有する穴が形成され、第2の電磁鋼板11の内周側には、第1の電磁鋼板10の穴より径大な円形穴が形成されている。一方、押さえ部材としての第3の電磁鋼板12は、磁極片14の部分は他の電磁鋼板と同じであるが、本体部の外周が他の電磁鋼板よりもやや径大に形成されている。またこの第3の電磁鋼板12の内周側には、第2の電磁鋼板11の円形穴と同径の円形穴が形成されている。
さらに各電磁鋼板10,11,12には、これを積層したときに互いに結合し合う結合ポンチ部18が形成されている。この結合ポンチ部18は、永久磁石3と対応する位置に打出し形成されるもので、各電磁鋼板10,11,12の本体部と磁極片14とに夫々設けられている。そして各電磁鋼板10,11,12を積層した状態では、この結合ポンチ部18が互いに結合し合って一体の回転子鉄心2になる。ここで特に本例の結合ポンチ部18は、図12に示すようなV字形の断面形状に打出し形成されているため、互いに強く食い込むように結合されて充分な結合強度が得られるものである。このように各電磁鋼板10,11,12が結合ポンチ部18で結合されて一体の回転子鉄心2となることで、各電磁鋼板がバラバラになることはなく、取り扱い易い。また、この回転子鉄心2は、合成樹脂部5に埋め込まれるようにモールド成形されるが、予め一体になっているので成形金型への組み込みが容易である。
図19は磁極片14が回転子鉄心2の外周側に位置しているときの打抜き工程を示している。工程は全部で13工程あり、各工程は送りピッチ穴60の間隔で移動する。この間隔が材料の長さ方向となる。使用材料はこれと材料の高さを乗じたものが使用材料の面積となる。本工程では磁極片14と回転子鉄心2は最後の工程で同時に抜き落とされる。図20は磁極片14及び回転子鉄心2の打抜き構成時の平面図を示す。
図21は磁極片14が回転子鉄心2の内側に位置しているときの打抜き工程を示している。工程は全部で15工程あり、各工程は送りピッチ穴60の間隔で移動する。この間隔が材料の長さ方向となる。使用材料はこれと材料の高さを乗じたものが使用材料の面積となる。本工程では磁極片14は最初の工程で抜き落とされる。回転子鉄心2は最後の工程で抜き落とされる。
図22は磁極片14及び回転子鉄心2の打抜き構成時の平面図を示す。磁極片14は回転子鉄心2の内径の空間部で構成されており、本来は使用されず捨てられる部分であったが磁極片14を打抜き積層することにより有効に利用できる。本実施例では90×91
(送りピッチ×高さ)の材料面積となり変更前の99×99に比較して約83.5% に材料を低減できる。
(送りピッチ×高さ)の材料面積となり変更前の99×99に比較して約83.5% に材料を低減できる。
磁極片14が外形側に位置していると、結合ポンチ部18と周囲の外形部分との距離が小さいため、側圧を充分に加えることができない為、上下方向の加圧が不十分となり積層力が低下し、剥がれやすくなるとともに占積率が低下するため、再加圧が必要となる。これに対して、本実施例では第1の電磁鋼板10の内側で磁極片14を打抜いているため、結合ポンチ部18から外形までの距離を大きくとることが出来るので、側圧を充分に加えることができ、占積率を向上することができ、再加圧をする必要がない。このため、積層された状態で金型からシュートをへて磁極片14が取り出されるときは積層された磁極片
14自身がバラケルことなく取り出すことができる。また、磁極片14が外側に配置され、第1の電磁鋼板10,第2の電磁鋼板11,第3の電磁鋼板12が内側にあるときは両者を同時に抜き落とすため各部品の分離に手間がかかるが本実施例での工程では先に磁極片14を抜き落としてから回転子鉄心2を抜き落とすため分離が容易となる。
14自身がバラケルことなく取り出すことができる。また、磁極片14が外側に配置され、第1の電磁鋼板10,第2の電磁鋼板11,第3の電磁鋼板12が内側にあるときは両者を同時に抜き落とすため各部品の分離に手間がかかるが本実施例での工程では先に磁極片14を抜き落としてから回転子鉄心2を抜き落とすため分離が容易となる。
回転子鉄心2の外周に沿って配置された永久磁石3は、図5及び図7に示すように、押さえ部材である第3の電磁鋼板12に一端面が当接し、この第3の電磁鋼板12によって押さえられる状態で回転子鉄心2に組み込まれる。ここで第3の電磁鋼板12は、N極またはS極の一方(内周側となる方)にのみ当接して永久磁石3を押さえるようにしてあり、すなわちN極とS極に跨って第3の電磁鋼板12が当接されることはない。このため、永久磁石3の端面では、磁気の通り易い電磁鋼板を介して磁束が短絡してしまうことはなく、電動機としての性能が損なわれることはない。
永久磁石3は、希土類の素材を用いて作られるもので、ここでは表面がメッキ等の防錆処理を施されていない防錆未処理の永久磁石を用いる。回転子鉄心2に組み込まれた永久磁石3は隙間のない状態で合成樹脂部5にて完全に被覆されるので、防錆未処理でも発錆が起き難く、防錆未処理のものを好適に使用できる。防錆未処理の永久磁石3を使用することにより、コスト低減を図ることができる。
またこの回転子1では、回転子鉄心2と永久磁石3が隙間なく配置されているので、回転子1の外径精度は永久磁石3の厚み精度で決まることになるが、永久磁石3は研磨等で厚み精度を出し易く、かつメッキ等による防錆被膜がないため、回転子の外径精度のバラツキを極めて少なく抑えることができる。この場合、永久磁石にメッキによる防錆被膜があると精度のバラツキを抑えるのは±0.05mm 程度が限界であったが、メッキによる防錆被膜をなくした永久磁石を用いることで、回転子の外径精度のバラツキを±0.01mm 程度に抑えることができる。
図2に示すように、回転軸支持板4は、合成樹脂部5により回転子鉄心2と一体にモールド成形されて結合される。この回転軸支持板4は鋼板で形成され、図13に示す如く中心部には電動機の回転軸と結合する結合孔4dを有し、外周には凹部4aと凸部4b,
4cが形成されている。ここで凸部4b,4cはそれぞれ対称的に突出形成されており、凸部4bが凸部4cよりも大きく突出して形成されている。
4cが形成されている。ここで凸部4b,4cはそれぞれ対称的に突出形成されており、凸部4bが凸部4cよりも大きく突出して形成されている。
一方、回転子鉄心2において回転軸支持板4と対応する第1の電磁鋼板10は、内周側に凹部10aと凸部10bが交互に設けられた穴を有する。そして、合成樹脂部5内において回転軸支持板4と回転子鉄心2とは、図14に示すように組み合わされる。すなわち、第1の電磁鋼板10の凹部10aに回転軸支持板4の凸部4bが入り込む状態で回転軸支持板4と回転子鉄心2とが組み合わされる。
合成樹脂部5により一体にモールド成形された回転子1は、回転子鉄心2の凹部10aと回転軸支持板4の凸部4b,4cとの間に合成樹脂が充填されて、強い結合構造になる。特に回転子鉄心2の凹部10aと回転軸支持板4の凸部4bとの間に充填された合成樹脂層の部分には、圧縮力の作用しか働かないので、丈夫な結合構造を提供できる。また回転軸支持板4と回転子鉄心2とは合成樹脂部5を介して電気的に絶縁されているので、回転軸から回転子鉄心2を電気的に分離させることができる。
合成樹脂による回転子のモールド成形は、図示しない成形用金型内で行われる。このモールド成形では、永久磁石3を組み込んだ回転子鉄心2を金型内にセットし、その状態で金型内に合成樹脂材を注入して成形を行う。この場合、回転子鉄心2が所定の位置で保持されるように、金型内に複数の支持ピンを設け、この支持ピンで回転子鉄心2を押さえた状態で金型内に合成樹脂材を注入するようにしている。この支持ピンは、モールド成形後には抜き外すので、図2及び図3に示すように、回転子1の合成樹脂部5にはこの支持ピンの抜き跡である複数の抜き穴20が形成される。
成形用金型にセットされた回転子鉄心2は、支持ピンが押さえ部材としての第3の電磁鋼板12に突き当てられた状態に置かれ、第3の電磁鋼板12の反対側(第1の電磁鋼板10側)に設けられた合成樹脂注入ゲートより樹脂の注入が行われる。ここで回転子鉄心2は樹脂の強い注入圧により第3の電磁鋼板12側に押されるが、その注入圧に抗して第3の電磁鋼板12が支持ピンで押さえられることで回転子鉄心2は所定位置で確実に保持され、これによって合成樹脂で一体にモールド成形される回転子1は所定寸法・所定形状に形成される。
こうして成形される回転子1において押さえ部材としての第3の電磁鋼板12は、支持ピンの跡である抜き穴20の部分に樹脂の被覆がないので、外部に露出する。しかし、永久磁石3の端面は、第3の電磁鋼板12により外部とは閉ざされているので、防錆未処理の永久磁石3でも錆が発生することはない。その結果、電動機の性能を損ねることはなく、長寿命の電動機を提供することができるものである。
さらに本例の回転子1では、図15に示すように、合成樹脂部5の外周面から磁極片
14の一部を露出させてあり、ここでは合成樹脂部5の外周面が磁極片14の露出面より外側に突き出た構造となっている。この場合、合成樹脂部5の外周面と磁極片14の露出面との間の段差aは0.5mm程度とされる。
14の一部を露出させてあり、ここでは合成樹脂部5の外周面が磁極片14の露出面より外側に突き出た構造となっている。この場合、合成樹脂部5の外周面と磁極片14の露出面との間の段差aは0.5mm程度とされる。
このように本例の回転子1は、合成樹脂部5の外周面が磁極片14の露出面より外側に突き出た構造となっていることにより、この回転子1を電動機に組み込む際には、磁極片14が固定子に接触して完全に磁気吸着されてしまうようなことがなく、固定子との間にギャップを持たせながらスムーズに組み込むことができる。
さらに本例の回転子1では、磁極片14の露出面側の両端部分に切り欠き状の段部14a,14bが形成されており、この段部14a,14bに合成樹脂部5が食い込む構造となっている。このような構造としたことで合成樹脂部5と磁極片14の結合がより強固なものとなり、このため磁極片14は、回転子1の高速回転による遠心力が加わっても合成樹脂部5から脱落することがなく、合成樹脂部5内で磁極片14と永久磁石3がしっかりと保持されるので、回転子1は常に安定した状態で確実に回転駆動される。さらに図16に示す如く磁極片14の形状を、その両側端縁14c,14dが回転子1の内側に向って大きく傾斜した扇型形状に形成することにより、回転子1の遠心力に対して一段と脱落しにくい構造とすることができる。
なお、以上の如く構成される回転子1は、上述したように磁極片14の一部が合成樹脂部5の外周面から露出する構造となっているが、本例の回転子1は内転型(インナーロータ)であるため、磁極片14の露出面に水滴が付着しても、この水滴は回転子1の高速回転による遠心力で外側に弾かれるので、磁極片14の露出面から回転子1の内部に水が浸入するおそれはない。
図17は本発明による回転子が組み込まれる電動機の構成例を示す。この電動機30は例えば洗濯機に用いられるもので、減速機構31と一体にユニット化されている。ここで電動機30は、上述した回転子1,固定子32,ハウジング33,回転軸34,エンドブラケット35,軸受部36を有して構成される。ハウジング33は固定子32を内側に固定し、回転軸34はエンドブラケット35に設けた軸受部36に回転自在に支持され、回転子1の回転軸支持板4に結合される。固定子32は、回転子1の外周面に対向して配置され、この固定子32に巻装される電磁コイル32aと回転子1の回転子鉄心2との間の電磁作用によって固定子32に対し回転子1が回転し、これと一体に回転軸34が回転駆動される。
電動機の回転軸34は、減速機構31の入力側に噛み合わされる。減速機構31の入力側は遊星歯車を有し、回転軸34に形成したピニオンが噛み合わされる。減速機構31の出力側には、洗濯機駆動軸38が設けられる。この洗濯機駆動軸38は減速機構31の内側軸受部39に回転自在に支持され、回転子1の回転がこの洗濯機駆動軸38から減速して出力される。さらに洗濯機駆動軸38の外側には中空回転軸40が設けられる。この中空回転軸40は減速機構31のケース41に結合され、回転軸34と一体に回転して回転子1の回転を減速せずに出力するものである。
このような電動機を備えた洗濯機の構成例を図18に示す。この洗濯機は、筐体50の内部にサスペンション51を介して懸架支持される水槽52と、この水槽52の内部に回転可能に配置され、洗濯物が投入される洗濯槽53と、この洗濯槽53内の底部に配置され、洗濯槽53内の洗濯物を攪拌する回転翼54と、を有して構成されており、この洗濯機において水槽52の底部に設けられた固定板55に、図17に示した電動機30が取り付けられている。
そしてこの電動機30の出力軸である洗濯機回転軸38が回転翼54に連結されると共に、中空回転軸40が洗濯槽53に連結されている。従ってこの洗濯機では、洗濯時には電動機30の回転子1の回転が減速機構31を介して減速されて回転翼54に伝達され、これによって回転翼54が回転して洗濯槽53内の洗濯物を攪拌する洗濯動作が行われると共に、脱水時には電動機30の回転子1の回転が減速されずに洗濯槽53に伝達されて洗濯槽53が高速回転して脱水動作が行われる。この動作の切り換えは、電動機に備えられるクラッチ機構によって行われる。
1…回転子、2…回転子鉄心、3…永久磁石、5…合成樹脂部、10…第1の電磁鋼板、11…第2の電磁鋼板、12…第3の電磁鋼板。14…磁極片、14a,14b…段部、18…結合ポンチ部。
Claims (7)
- 固定子とこの固定子に対向して設けられた回転子とを有する電動機において、
前記回転子は、電磁鋼板を積層してなる回転子鉄心と、この回転子鉄心の周方向に沿って配置される希土類で作られた複数の永久磁石と、前記回転子鉄心と前記永久磁石を埋め込むように一体にモールド成形された合成樹脂部と、を有して構成され、
前記回転子鉄心は、前記永久磁石より前記固定子側に凸となるように配置される磁極片を有し、この磁極片が、全て回転子鉄心の本体から分離した構造とし、前記磁極片は回転子鉄心の内径側材料により構成したことを特徴とする電動機。 - 請求項1に記載の電動機において、前記磁極片の一部が前記合成樹脂部の周面から露出される構造としたことを特徴とする電動機。
- 請求項2に記載の電動機において、前記磁極片の露出面より前記合成樹脂部の周面が突き出た構造としたことを特徴とする電動機。
- 請求項2に記載の電動機において、前記磁極片は、その露出面側の両端部分に、前記合成樹脂部が食い込む段部を有することを特徴とする電動機。
- 請求項1に記載の電動機において、前記電磁鋼板は、互いに重なり合って結合する結合ポンチ部を有することを特徴とする電動機。
- 請求項1に記載の電動機において、前記永久磁石は、表面が防錆未処理であることを特徴とする電動機。
- 電動機の固定子に対向して設けられ、電磁鋼板を積層してなる回転子鉄心とこの回転子鉄心の周方向に沿って配置される希土類で作られた複数の永久磁石と前記回転子鉄心と前記永久磁石を埋め込むように一体にモールド成形された合成樹脂部とを有すると共に、前記回転子鉄心が前記永久磁石より前記固定子側に凸となるように配置される磁極片を有する回転子の製造方法であって、
前記磁極片を、全て回転子鉄心の本体から分離した構造とし、回転子鉄心の内径側材料から打抜き加工することを特徴とする回転子の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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