JP2007179732A - 光記録方法、光記録媒体、及び多層型光記録媒体の光記録装置 - Google Patents

光記録方法、光記録媒体、及び多層型光記録媒体の光記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】書き換え可能なDVD等の相変化型光記録層を有する高密度記録が可能な光記録媒体、並びに該光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置の提供。
【解決手段】光記録媒体にレーザ光を照射して、記録マークの時間的長さがnT(ただし、nは自然数、Tは基本クロック周期である)で表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、
前記記録マークの形成は、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルス(ただし、Pp>Pb)を交互にm回照射することにより行い、次式、m≦(n/2+1)を満たし、先頭の冷却パルスの照射時間が、0.2T〜0.4Tであることを特徴とする光記録方法である。
【選択図】図8

Description

本発明は、書き換え可能なDVD等の相変化型光記録層を有する高密度記録が可能な光記録媒体(以下、「光情報記録媒体」、「光ディスク」と称することもある)並びに該光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置に関する。
本発明は、レーザ光線を照射することにより記録層材料に光学的な変化を生じさせて情報の記録再生を行い、かつ書き換えが可能で情報を記録し得る記録層を含む情報層を2層以上有する多層型光記録媒体並びに該多層型光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置に関する。
近年、光記録媒体の高速記録の需要が高まっている。特に、ディスク状の光記録媒体の場合、回転速度を高くすることで記録及び再生速度を上げることが可能なため、高速化が進んでいる。光ディスクの中でも記録時に照射する光の強度変調のみで記録が可能である光記録媒体は、その記録機構が単純であるため媒体と記録装置の低価格化が可能であると同時に、再生も強度変調された光を用いているため再生専用装置との高い互換性が確保できることから普及が進み、近年の電子情報の大容量化により、更に高密度化・高速記録化の需要が高くなっている。
このような光ディスクのうち、多数回の書換えが可能であることから相変化材料を用いたものが主流となってきている。相変化材料を用いた光ディスクの場合、照射する光ビームの強度変調により、記録層材料を急冷状態と徐冷状態を作ることによって記録を行う。急冷状態になると、記録層材料は非晶質(アモルファス)となり、徐冷状態になると結晶となる。非晶質と結晶では光学的な物性が異なるため、情報を記録することができる。 即ち、相変化型光記録媒体は、基板上の記録層薄膜にレーザ光を照射して記録層を加熱し、記録層構造を結晶と非晶質間で相変化させることによりディスク反射率を変えて情報を記録・消去するものである。通常は未記録状態を高反射率の結晶相とし、これに低反射率の非晶質相からなるマークと高反射率の結晶相からなるスペースを形成することにより情報を記録する。
記録原理が、このような記録層材料の「急冷」と「徐冷」という複雑な機構を用いているため、高速での記録には周知のように、パルス分割され3値に強度変調された記録光を媒体に照射することで行う。
マークとスペースとからなるデータを繰返し記録するための波形発光パターン(記録ストラテジ)としては、図7に示すような、DVD+RW等で使用されているものがある。非晶質からなるマークはピークパワー(Pw=Pp)光とバイアスパワー(Pb)光との交互繰返しによるパルス照射によって形成され、結晶からなるスペースはこれらの中間レベルの消去パワー(Pe)光を連続的に照射することにより形成される。もっとも、スペースは消去パワー光を2値化し、パルス状に照射しても良い。
ピークパワー光とバイアスパワー光とからなるパルス列が照射されると、記録層は溶融と急冷を繰返し非晶質マークが形成される。消去パワー光が照射されると記録層は溶融後徐冷、或いは、固相状態のままアニールされて結晶化し、スペースが形成される。ピークパワー光とバイアスパワー光とからなるパルス列は通常、先頭パルス、中間パルス、最終パルスとに分けられ、最短の3Tマークは先頭パルスと最終パルスのみで記録され、4T以上のマークを形成するときは中間パルスも使用される。中間パルスはマルチパルスとも呼ばれ、1T周期で設けられ、マーク長が1T長くなる毎にパルスの数を1つずつ増やす。即ち、パルス列の数は長さnTに対して(n−1)個となる。
ところで、DVDの4倍速を超えるような高速記録時は、基本クロック周期Tの時間が短くなるために、光源駆動部への負荷が大きくなる。また、1T周期のパルス列を照射すると、加熱時間、冷却時間ともに短くなってしまい、十分な大きさの非晶質マークが形成できないという問題を生じる。この問題を回避するために、非晶質マークを形成するパルスの数を減らして(パルスの周期を1Tより長くする)、加熱、冷却共に充分な時間を確保し、充分な大きさの非晶質マークを形成できるようにした提案が各種なされている(例えば、特許文献1〜3参照、他多数)。
更に、高速記録時には、初回は低いジッタで記録できても、繰り返し記録すると急激にジッタが上昇してしまうという減少が顕著になる。図1に、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッタの変動例を示した。1回目の繰り返し記録により急激に上昇したジッタは、その後、10回程度までの繰り返し記録により次第に低下して落ち着き、数千回から数万回の繰り返し記録により膜質が劣化して再びジッタが上昇するまでの間の変動は小さい。繰り返し記録初期のジッタ上昇は1〜2倍速程度の低速記録時にも見られるが、それほど顕著ではなく、ジッタが上昇したとしても規格値を満たすことができる。しかし、記録線速が高速になるに従い、初回記録、あるいは、繰り返し記録10回以降は良好な記録が可能であっても、特に1回目の繰り返し記録のジッタが大きく、規格値を超えてしまう場合がしばしば発生する。
このような繰り返し記録初期のジッタ上昇は、初期化工程により形成された初期結晶相と、記録時に形成される結晶相の状態に何らかの違いが生じてしまっていることによるものと推定される。そのため、初期結晶相と記録時に形成される結晶相とが混在している繰り返し記録初期においては、マークの形状にばらつきが生じてしまい、ジッタが大きくなってしまう。10回程度の繰り返しにより、記録トッラクのほぼ全体が記録時に形成された結晶相になったため、マーク形状のばらつきも軽減され、ジッタは低くなるものと推定される。
従って、繰り返し記録初期のジッタは初期結晶の状態によっても大きく異なる。初期結晶相を記録時に形成される結晶と同等の状態にすることにより、繰り返し記録初期のジッタは低減可能である。具体的には、高速記録用の記録層の初期化を行うにあたり、より速い線速で大口径ビームを走査して溶融結晶化することにより繰り返し記録初期のジッタは低減する傾向にある。
しかし、高速記録時に形成される結晶状態は一般的に不安定であり、初期化工程の直後は良好な特性を示すものであっても経時変化を生じ、同じ記録条件では良好な記録が行えなくなってしまう傾向がある。図2にこの様子を示す。初期化直後は繰り返し記録初期においても低ジッタで記録できていたものが、1ヵ月後に未記録部に同じ条件で再記録すると、ジッタが上昇してしまっている例である。従って、初期結晶の状態が記録時に形成される結晶と同等ではない場合であっても、繰り返し記録初期のジッタを低減する必要がある。
繰り返し記録1回目のジッタ低減に有効な記録方法として、特許文献4には、先頭部の加熱パルスの開始時間を1T以上遅らせることが記載されている。この記録方法は、本発明者らの検討によれば、パルス列が1T周期で設定される場合には有効な方法である。しかし、前記記録方法は、より高速記録に対応させるために、パルスの周期を1Tより長くした場合には、効果がないものである。
また、特許文献5には、先頭部の加熱パルスの照射時間を長くすることにより、良好な記録を行えることが開示されている。この記録方法も、繰り返し記録初期のジッタ上昇の低減に有効である。しかし、前記記録方法は、高速記録の場合には、一般的にピークパワーの値が高いため、照射時間を長くすると膜質の劣化が進み易く、繰り返し記録耐久性が劣化してしまうという問題があり、更に、隣接したトラックに記録されているマークを部分的に消去してしまい、クロスイレースが大きくなってしまうという問題がある。
また、CD−RW等の相変化型光記録媒体は、一般的にプラスチック基板上に、相変化材料を含む記録層を設け、該記録層上に該記録層の光吸収率を向上させ、かつ熱拡散効果を有する反射層を形成したものを基本構成とし、基板面側からレーザ光を照射して、情報の記録再生を行うものである。
相変化型光記録媒体の記録層に用いられる相変化型記録材料は、レーザ光照射による加熱と冷却を繰り返すことによって、結晶状態とアモルファス状態の間を相変化し、急速加熱後に急冷するとアモルファスとなり、徐冷すると結晶化するものである。相変化型光記録媒体は、この性質を情報の記録に応用したものであり、情報の再生は、結晶状態とアモルファス状態の光学定数の違いから生じる反射率の差を利用している。
相変化型光記録媒体は、光照射による加熱によって起こる、記録層の酸化、蒸散あるいは変形を阻止する目的で、通常、基板と記録層との間に上部保護層(以下、「下部誘電体層」と称することもある)、及び記録層と反射層との間に下部保護層(以下、「下部誘電体層」と称することもある)が設けられている。また、これらの保護層は、その厚みを調節することによって、記録媒体の光学特性の調節機能を有するものである。更に、上部保層は、記録層への記録時の熱によって基板が軟化するのを防止する機能を併せ持つのである。
近年、コンピュータ等で扱う情報量が増加したことに伴って、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWのような、書き換え型光ディスクの信号記録容量が増大し、信号情報の高密度化が進んでいる。現在のCDの記録容量は650MB程度であり、DVDは4.7GB程度であるが、今後、更に高記録密度化の要求が高まることが予想されている。
このような光記録媒体を用いて高記録密度化する方法として、例えば、使用するレーザ波長を青色領域まで短波長化すること、あるいは記録再生を行うピックアップに用いられる対物レンズの開口数(NA)を大きくして、光記録媒体に照射されるレーザ光のスポットサイズを小さくすることが提案され、研究開発が進み、実用化されるところまで来ている。
一方、光記録媒体自体を改良して記録容量を高める方法として、基板の片面側に少なくとも記録層と反射層からなる情報層を2つ重ねて、これら情報層間を紫外線硬化樹脂等で接着して作製される2層型光記録媒体が各種提案されている。この情報層間の接着部分である中間層は、2つの情報層を光学的に分離する機能を有するもので、記録再生に用いるレーザ光がなるべく奥側の情報層に到達する必要があるため、その光をなるべく吸収しないような材料から構成されている。しかし、この2層型光記録媒体については、未だ多くの課題が存在している。例えば、レーザ光照射側から見て手前側にある情報層(第1情報層)をレーザ光が十分に透過しなければ、奥側にある情報層(第2情報層)の記録層に情報を記録しそれを再生できないために、第1情報層を構成する反射層は極めて薄い半透明反射層としなければならない。
相変化型光記録媒体への記録は、記録層の相変化型材料にレーザ光を照射して融点以上に加熱及び急冷することによって、結晶状態をアモルファス状態に変化させることによりマークを形成して行われる。また、情報の消去は、結晶化温度以上に昇温し徐冷することによりアモルファス状態を結晶状態に変化させることにより行われる。
従来の単層型光記録媒体では、反射層は充分に厚く成膜できるため、照射されたレーザ光の余熱を素早く逃がすことができる。そのため、急冷効果が促進してアモルファス状態を形成し易くなっている。同様に、2層型光記録媒体の第2情報層は光を透過させる必要が無いため、第2反射層や第2記録層は従来の単層型光記録媒体のような厚みの構成でよく、第1情報層の透過率が高ければ、良好な記録特性が得られ、再生も容易に行うことができる。
しかし、2層型光記録媒体の第1情報層へ記録を行う際には、厚みが10nm程度の非常に薄い半透明反射層の場合には、放熱効果が小さくなるため、アモルファスマークを形成することが困難となる。また、第2情報層の記録層に情報を記録し再生できるようにするため、第1情報層は光透過率が高いことが望ましい。そこで、2層型光記録媒体における第1情報層のアモルファスマークの記録や消去を行うには、反射層を厚くすることができる単層型光記録媒体よりも記録あるいは消去パワーを高く照射する必要性がある。例えば、従来のDVDの単層型光記録媒体の消去パワーPeは、記録線速が3.5m/s〜27.9m/sの範囲においては、約6〜9mW程度で特性が良好となることが分かっている。これに対し、DVDの2層型光記録媒体の第1情報層に照射される消去パワーPeは、記録線速が3.5〜14m/sの範囲において約6〜9mW必要であり、単層型よりも記録線速が遅い状況でエネルギー密度の高い消去パワーを要する。
また、2層型光記録媒体では、高い消去パワーPeが必要なだけでなく、第1反射層の厚みも薄いため、第1情報層は単層の光記録媒体に比べて放熱性がかなり悪く、極薄である第1記録層にかかる熱的影響が問題となる。また、記録パワーPpは、記録線速が3.5〜14m/sの範囲において記録を行う際には、消去パワーよりも2倍程度又はそれ以上のパワーを要し、このような高い記録パワーによって生じる余熱により、更に第1記録層への熱的なダメージがかかり、これを防がなければならないという課題がある。
例えば、特許文献6には、スペースを形成する際に消去パワー光を2値化しパルス状に照射する方法が提案されている。しかし、この提案では、マークを形成するためのピークパワーPpをもつ先頭パルスの直前がバイアスパワーPbのレベルにまで下がっておらず、この記録方法で記録した場合、余熱の影響で熱のかかり過ぎが問題となる。
また、特許文献7のように、記録マークを形成する直前の消去パワーを一時的に大きくする光記録媒体への記録方法により記録した場合にも熱のかかり過ぎが問題となる。
また、特許文献8〜10のように、先頭パルスの直前にバイアスパワーPbのみを設定している方法では、単層型光記録媒体では充分に効果を発揮することができるが、2層型光記録媒体のように放熱性の悪い第1情報層に記録及び消去を行う場合は効果が充分ではなく、良好な記録特性が得られ難いという問題がある。
したがってレーザ光線を照射することにより記録層材料に光学的な変化を生じさせて情報の記録再生を行い、かつ書き換えが可能で情報を記録し得る相変化記録層を含む情報層を2層以上有する多層型光記録媒体のレーザ光束が照射される側から見て手前の第1情報層にある第1記録層に記録する場合に、該記録層が受ける熱的なダメージを抑制し、記録や消去を的確に行い、記録特性を良好にできる多層型光記録媒体の記録方法は未だ提供されておらず、その速やかな開発が望まれているのが現状である。
特開2002−237051号公報 特開2002−288837号公報 特開2001−331936号公報 特開2004−46956号公報 特許第3223907号公報 特開2004−63005号公報 特開2002−288830号公報 特開2001−273638号公報 特開2004−47053号公報 特開2005−63586号公報
本発明は、DVDの6〜8倍速相当以上の高速記録時にも、繰り返し記録耐久性の劣化やクロストークの増大を招くことなく、初期結晶状態によらず繰り返し記録初期のジッタ上昇を低減することが可能な光記録媒体並びに該光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置を提供することを目的とする。
本発明は、相変化記録層を含む情報層を2層以上有する多層型光記録媒体のレーザ光束が照射される側から見て手前の第1情報層にある第1記録層に記録する場合に、該記録層が受ける熱的なダメージを抑制でき、記録及び消去を的確に行え、繰り返し記録特性が良好であり、また、2層目以上の記録層の記録感度が良好な多層型光記録媒体並びに該多層型光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様においては、相変化記録層をM層(M≧2)有する多層型光記録媒体に記録を行うに際し、第1番目の記録層をレーザ光側から見て最も手前の記録層とし、M番目の記録層を前記レーザ光側から見て最も奥側の記録層とし、Tをクロック周期として、K番目の記録層に複数のレーザ光パルスからなる記録パルス列を用いてレーザ光を照射してマークを記録する際の記録パルス列の周期をt(K)[T]とした時、次式、t(1)<t(M)の関係を満たし、かつ前記記録パルス列の周期は、レーザ光照射の方向において第1番目の記録層から次の記録層へと減少しないことを特徴とする多層型光記録媒体の光記録方法を提供する。
本発明の第1の態様においては、レーザ照射側から見て手前側の記録層の繰り返し記録特性と、奥側の記録層の記録感度を良好なものとすることができる。
この場合、手前側を1Tストラテジ、奥側を2Tストラテジとすることによって、以下の効果が得られる。
(1)手前側のジッタ特性が良い。
(2)奥側の記録感度を向上できる(低いパワーで記録できる)。
その他の考えられる効果として、
(3)奥側の変調度の最大値を向上させる効果(図32で示すように、高パワー側の変調度の飽和値が2%程度高くなっている)が得られる。
ここで、1Tストラテジは、図34に示すように、長さnTのマークを記録するのに、(n−1)個のパルスを用いる。
2Tストラテジは、図35に示すように、m個のパルスを用いて長さnTのマークを記録するとき、nが偶数の場合はn=2m、nが奇数の場合はn=2m+1が成り立つ(m≧1)。
3Tストラテジは、図36に示すように、m個(m≧1)のパルスを用いて長さnTのマークを記録するとき、以下の関係が成り立つ。
nが3で割って1余る数の時は、n=3m−2である。
nが3で割って2余る数の時は、n=3m−1である。
nが3の倍数の時は、n=3mである。
本発明においては、第1番目と第2番目の記録層に用いる記録パルスに対して、次式、t(1)<t(2)の関係を満たす多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
本発明においては、第1番目の記録層に1T周期の記録パルス列を用いてマークを記録し、第2番目の記録層に2T周期の記録パルス列を用いてマークを記録することを特徴とする。
本発明においては、第1番目の記録層に1T周期の記録パルス列を用いてマークを記録し、その他の記録層に2T周期の記録パルス列を用いてマークを記録することを特徴とする。
本発明においては、M層の相変化記録層においてM番目の記録層以外の記録層に長さnTのマークを記録する際に、次式を満たすことを特徴とする多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。ただし、nは1以上の整数であり、Trは先頭パルスの先端と最終パルスの後端との間隔を表す。
本発明においては、次式、0.12T≦Tmp≦0.3T(ただし、Tmpは記録パルス幅を表す)を満たす多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
本発明においては、レーザ光照射側から見て一番奥側以外の記録層への記録方法であって、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後の少なくとも一方のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすような記録パルス列によりマークを形成する多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
本発明においては、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすような記録パルス列により形成する多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
本発明においては、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすような記録パルス列により形成する多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
本発明においては、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすようなパルス列により形成する多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
この場合、冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNにおいて、Nの値は1〜3の整数のいずれかである。
2層以上の各相変化記録層に記録することが可能であり、また、記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率e(=Pe/Pp)、記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNの比率d1、・・・、dN(=Pc1/Pp、・・・、PcN/Pp)のうち少なくとも一方を、記録層ごとに変えて記録を行うことが可能である。
本発明においては、長さnT(ただし、nは1以上の整数、Tはクロック周期を表す)の記録マークを記録する際の記録パワーレベルPpの照射パルスの個数をm(ただし、mは1以上の整数である)としたとき、nが偶数のときはn=2m、nが奇数のときはn=2m+1の関係を満たす多層型光記録媒体の光記録方法を提供できる。
本発明においては、消去パワーレベルPeに対し、Peよりも低い消去パワーレベルPeのパルス状の構造が消去パワーレベルPe照射中に含まれている多層型光記録媒体の記録方法を提供できる。
本発明においては、多層型光記録媒体の各情報層に記録する際に、レーザ光束を照射する側から見て手前側の情報層から順番に記録していく多層型光記録媒体の記録方法を提供できる。
この場合、Tは、各記録層に対し、同一のクロック周期となり得る。
本発明の第2の態様においては、多層型光記録媒体の光記録装置を提供する。該光記録装置は、相変化記録層をM層(M≧2)有する多層型光記録媒体に記録を行うに際し、第1番目の記録層をレーザ光側から見て最も手前の記録層とし、M番目の記録層を前記レーザ光側から見て最も奥側の記録層とし、Tをクロック周期として、K番目の記録層(ただし1≦K≦M)に複数のレーザ光パルスからなる記録パルス列を用いてレーザ光を照射してマークを記録する際の記録パルス列の周期をt(K)[T]とした時、次式、t(1)<t(M)の関係を満たし、かつ前記記録パルス列の周期は、レーザ光照射の方向において第1番目の記録層から次の記録層へと減少しないよう構成したことを特徴とする多層型光記録媒体の光記録装置である。
このような光記録装置であれば、レーザ光側から見て手前側の記録層の繰り返し記録特性と、最も奥側の記録層の記録感度を良好なものにすることができる。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、第1番目と第2番目の記録層に用いる記録パルスに対して、t(1)<t(2)の関係を満たすように設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、第1番目の記録層に1T周期の記録パルス列を用いてマークを記録し、第2番目の記録層に2T周期の記録パルス列を用いてマークを記録するように設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、第1番目の記録層に1T周期の記録パルス列を用いてマークを記録し、その他の記録層に2T周期の記録パルス列を用いてマークを記録するように設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、M層の相変化記録層においてM番目の記録層以外の記録層に長さnTのマークを記録する際に、下記式を満たすように設定される。
(n−1.5)T≦Tr≦(n−1)T
ただし、nは1以上の整数であり、Trは先頭パルスの先端と最終パルスの後端との間隔を表す。
本発明においては、多層型光記録媒体の記録装置は、次式、0.12T≦Tmp≦0.3T(ただし、Tmpは記録パルス幅を表す)を満たすよう設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、レーザ光照射側から見て一番奥側以外の記録層へ記録する際に、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後の少なくとも一方のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすような記録パルス列によりマークを形成するよう設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすような記録パルス列により形成するよう設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすような記録パルス列により形成するよう設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすようなパルス列により形成するよう設定される。
この場合、冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNにおいて、Nの値は、1〜3の整数のいずれかである。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、2層以上の各相変化記録層に記録する際に、記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率e(=Pe/Pp)、記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNの比率d1、・・・、dN(=Pc1/Pp、・・・、PcN/Pp)のうち少なくとも一方を、記録層ごとに変えて記録を行うように設定される。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、長さnT(ただし、nは1以上の整数、Tはクロック周期を表す)の記録マークを記録する際の記録パワーレベルPpの照射パルスの個数をm(ただし、mは1以上の整数である)としたとき、nが偶数のときはn=2m、nが奇数のときはn=2m+1の関係を満たすよう設定される。最短マークのみ1パルス多くしてマークを記録する。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、消去パワーレベルPeに対し、Peよりも低い消去パワーレベルPeのパルス状の構造が消去パワーレベルPe照射中に含まれている。
本発明においては、多層型光記録媒体の光記録装置は、多層型光記録媒体の各情報層に記録する際に、レーザ光束を照射する側から見て手前側の情報層から順番に記録していくように設定される。
この場合、Tは、各記録層に対し、同一のクロック周期となり得る。
(光記録媒体、並びに光記録方法及び光記録装置)
本発明の光記録方法は、光記録媒体にレーザ光を照射して、記録マークの時間的長さがnT(ただし、Tは基本クロック周期、nは自然数である)で表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、
前記記録マークの形成は、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルス(ただし、Pp>Pb)を交互にm回照射することにより行い、次式、m≦(n/2+1)を満たし、先頭の冷却パルスの照射時間が、0.2T〜0.4Tである。
本発明の光記録媒体は、本発明の前記光記録方法に用いられ、基板と、該基板上に少なくとも第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層を有し、かつ該相変化記録層は、Sbと、Ge、Ga、In、Zn、Mn、Sn、Ag、Mg、Ca、Bi、Se、及びTeから選ばれる少なくとも1種の元素を含む。
本発明の光記録装置は、光記録媒体にレーザ光を照射して、記録マークの時間的長さがnT(ただし、Tは基本クロック周期、nは自然数である)で表されるマーク長記録方式により情報を記録し、
前記光記録媒体を回転させる回転駆動機構と、
前記光記録媒体に照射するレーザ光を発するレーザ光源と、
該レーザ光源を発光させる光源駆動手段と、
レーザ光源が発する光ビームの発光波形に関する記録ストラテジが設定されて光源駆動手段を制御する発光波形制御手段と、を備え、
前記記録ストラテジは、記録マークの形成が、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルス(ただし、Pp>Pb)を交互にm回照射することにより行われ、m≦(n/2+1)であり、1回目の冷却パルスの照射時間が0.2T〜0.4Tとなるように設定されている。
本発明は、照射光の強度変調によって記録、消去或いは書換えが可能な光記録媒体、特に相変化型光記録媒体に対して、例えばDVDの6〜8倍速相当以上の高速で記録を行う光記録方法及び光記録装置(光情報再生装置を含む)に適用できる。
まず、本発明の光記録方法に適したDVD仕様かつ高速仕様の相変化型光記録媒体の一例を図3に示す。
この相変化型光記録媒体106は、案内溝を有する透明基板101上に、少なくとも第1保護層102、相変化記録層103、第2保護層104、反射層105を有する。107は硫化防止層、108は有機保護層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有していてもよい。
前記透明基板101の材料は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐熱性、耐衝撃性、低吸水性などの点から、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
前記基板101の屈折率は1.5〜1.65が好ましい。前記屈折率が1.65より大きいとディスク全体の反射率低下が起こり、1.5より小さいと反射率の増加により変調度が不足してしまうことがある。前記基板101の厚みは、0.59〜0.62mmが好ましい。前記厚みが0.62mmを超えると、ピックアップのフォーカス性能に問題を生じることがあり、0.59mmより薄いと記録再生装置のクランプの甘さから回転数が不安定になるという問題が生じることがあり、更に、円周方向の厚みムラがこの範囲を超える場合には、信号強度が周内で変動してしまうという問題も生じることがある。
前記相変化記録層103には、少なくともSbとGe、Ga、In、Zn、Mn、Sn、Ag、Mg、Ca、Ag、Bi、Se、Teの中から選ばれる一種以上の元素を含む材料を用いる。
Sbをベースとし、Sbとの2元系で融点が約600℃以下の共晶点を有するか、或いは、固溶体を形成するような元素と組合せると、アモルファスと結晶の繰返し記録を行うのに適した記録層を形成することができる。組合わせる元素の種類や量によって、結晶化速度、記録特性、保存安定性、初期化の容易性等の特性を調整する。Sbと組合わせる元素は1種類以上で、必要に応じて何種類でもよい。また、上述した元素とSbとの2元以上の合金に更に別な元素を添加してもよい。
高速で繰返し記録を行う場合、非晶質マークを高速結晶化する必要があるため、特に、DVDの6〜8倍速相当以上の記録を行う場合には、Sbは50〜90原子%、好ましくは60〜85原子%とする。50原子%より少ないと、結晶化速度が遅すぎて繰返し記録の際にアモルファスマークの消し残りを生じ、ジッタやエラーの上昇を招く。90原子%より多いと、アモルファスの形成が困難となる。
前記相変化記録層103の厚みは、8nmより薄いと変調度が小さく、また再生光安定性も低下してしまうし、22nmより厚いと繰返し記録によるジッタの上昇が大きいため、8〜22nmとする。好ましくは11〜16nmとすると、特に繰返し記録耐久性が向上する。
前記反射層105には、従来からAlを主成分とした合金が使用されている。Alは反射率が高く、熱伝導率も高いことに加え、ディスク化した場合の経時安定性にも優れている。しかし、記録層材料の結晶化速度が速い場合には、反射層にAl合金を用いたディスクでは、記録マークが細くなり易く、十分な変調度を有する記録を行うことは困難な場合がある。この理由としては、結晶化速度が速いと記録時に溶融領域の再結晶化領域が大きくなってしまい、形成される非晶質領域が小さくなってしまうことが挙げられる。再結晶化領域を小さくするためには、第2保護層104を薄くして急冷構造とすればよいが、単純に第2保護層を薄くしただけでは、記録層が十分に昇温されず、溶融領域が小さくなってしまうため、再結晶化領域を小さくできたとしても、結局、形成される非晶質領域は小さくなってしまう。しかし、波長650〜670nmにおける屈折率(n+ik)の、n、k共にAlより小さい金属を反射層に用いると、記録層の吸収率は向上し、変調度も大きくすることができる。n、k共にAlより小さい金属としてはAu、Ag、Cu、及びそれらを主成分とした合金が挙げられる。ここで、主成分とするとは、90原子%以上含有することを意味し、好ましくは95原子%以上である。
Au、Ag、CuはいずれもAlより熱伝導率が高く、これらを反射層として用いると、記録層の光吸収率を向上させて、記録層の温度を上昇させ溶融領域を大きくする効果があるのと同時に、冷却速度も向上させるため冷却時の再結晶化領域が小さくなり、Al合金を用いた場合よりも大きな非晶質領域を形成することが可能になる。記録マークの変調度は光学的な変調度とマークの大きさによって決まり、光学的な変調度が大きく、マークが大きい程大きくなる。従って、記録層として、結晶化速度が速い材料を用いて、高線速記録を行う場合でもこのような反射層を用いれば、吸収率が大きく冷却速度が速いことから大きな記録マークが形成でき、また、結晶と非晶質の反射率差も大きいことから変調度の大きい記録が可能になる。
Au、Ag、Cu、及びそれらを主成分とする合金の中でも、特に、Ag及びAg合金は比較的安価であり、また、同様に安価なCu及びCu合金に比べて酸化しにくいため、経時安定性に優れた媒体を形成することができ、反射層として好ましい。
前記反射層の厚みは90nm以上であれば透過光が殆どなくなり、光を効率的に利用できるので、90nm以上とする。反射層の厚みは厚い程冷却速度が速くなり、結晶化速度の速い記録層を使用する場合には有利であるが、200nm以下で冷却速度は飽和し、200nmより厚くしても記録特性に変化がなく、成膜に時間がかかるだけなので、200nm以下とすることが好ましい。
前記反射層105としてAg又はAg合金を用いた場合には、第2保護層にSを含むような材料を用いる場合には、硫化防止層107が必要となる。該硫化防止層に要求される性質としては、Sを含まないこと、Sを透過しないこと等が挙げられる。本発明者らは、種々の酸化膜や窒化膜等を硫化防止層として形成し、記録特性や保存信頼性の評価を行ったところ、SiC、Si、又はそれらのいずれかを主成分とする材料が優れた機能を持つことが判った。ここで、主成分とするとは、材料中にSiC又はSiを90モル%以上含有することを意味し、好ましくは95モル%以上である。
前記硫化防止層107の厚みは3〜22nmとすることが好ましい。前記厚みが3nm以上あれば、スパッタにより形成された膜がほぼ均一になるので硫化防止機能を発揮するが、これよりも薄いと、部分的に欠陥を生じる確率が急に高くなってしまう。また、22nmを超えると厚みの増加と共に反射率が低下してしまうし、成膜速度は大きく見積もっても記録層と同程度であるため、記録層よりも厚みが厚いと生産効率が落ちてしまうことから、最大でも記録層の厚みを超えないようにすることが望ましく、結局好ましい上限は22nmとなる。
前記第1保護層102及び第2保護層104としては耐熱性等の保護膜としての機能の他、屈折率が高いこと、断熱性が高いことから、厚みの調整により入射光を効率的に利用できるモル比が8:2近傍のZnSとSiOの混合物を用いる。
前記第1保護層102の厚みは40〜220nmが好ましく、40〜80nmがより好ましい。これは、主として反射率から決められる値である。この範囲内で、十分な反射率と記録感度を両立できる厚みを選ぶ。40nmより薄い場合には耐熱性が悪く、基板1へ与えるダメージが大きくなってしまい、繰返し記録によるジッタ上昇が大きくなってしまう。また220nmより厚いと反射率が高くなり過ぎて記録感度が低下してしまう。
前記第2保護層104の厚みは、2〜20nmが好ましく、6〜14nmがより好ましい。これは主として熱伝導から決められる値である。第2保護層の上に更に反射層が設けられているため、記録層で吸収された熱は第2保護層を通じて反射層へ拡散して冷却される。従って、薄すぎると熱拡散が速過ぎて記録層は充分昇温されず、記録感度が低下してしまう。厚すぎると冷却速度が不足するため非晶質マークが形成されにくくなる。
上述のような膜を基板1上に第1保護層102、相変化記録層103、第2保護層104、硫化防止層107、反射層105の順にスパッタにより形成した後、反射層上に有機保護膜108をスピンコートにより形成する。この状態で、或いは更に貼合せ工程を経た後、初期化工程を経て光記録媒体6として使用される。貼合せは、有機保護膜を介して基板と同じ大きさで通常は材質も同じである板を接着する工程である。
初期化は1×(数10〜数100)μm程度に成形された1〜2W程度のレーザ光を照射して、成膜直後は非晶質状態である相変化記録層103を結晶化する工程である。
次に、上述したような高速仕様の光記録媒体6に対する本発明の光記録方法、特にその記録ストラテジについて説明する。
ここでは、PWM(Pulse Width Modulation)を光記録媒体106に応用した記録マーク長、マーク間長変調方式で情報を記録するものとする。この記録方式では記録マークの長さと記録マーク間の長さとを基本クロック周期Tを単位として制御することにより情報を記録することができる。光記録媒体の記録方法の一つであるマーク位置変調方式よりも記録密度を高くすることが可能なため、高密度化できることが特徴であり、CD、DD(Double Density)CDで採用されるEFM、DVDで採用されるEFM+などの光ディスクに採用されている変調方式である。記録マーク長、マーク間長変調方式は記録マーク長とマーク間長(以下、スペース長という)とを正確に制御することが重要である。これらの変調方式では記録マーク長、スペース長ともに、基本クロック周期Tに対してnT(nは3以上の自然数)の時間的長さとする。
本発明では、ピークパワーPp、消去パワーPe、バイアスパワーPbの3値を用いる記録ストラテジに関しても、高速仕様として、充分な加熱と冷却を行えるようにパルス数を減らす方式、即ち、ピークパワーPp光とバイアスパワーPb光との繰返しによるm≦(n/2+1)であるm個(mは整数)のパルス照射により、長さnTの非晶質マークを形成し、消去パワーPe光の照射により、非晶質マーク間の長さnTの結晶スペースを形成する方式を前提とする。従って、EFM+変調方式に従って形成される最小マークである3Tは2パルス以下、4T、5Tは3パルス以下、6T、7Tは4パルス以下、8T、9Tは5パルス以下、10T、11Tは6パルス以下、14Tは8パルス以下で形成する。パルスの数は主に記録線速によって決まり、記録線速が速い程、パルスの数を減らした方がよい。
このような高速仕様条件下において、非晶質マークを形成する加熱パルスと冷却パルスのパルス列の、最初の冷却パルス時間を0.2T〜0.4Tとする。更に、3組以上の加熱パルスと冷却パルスの照射によってマークを形成する場合は、2回目の冷却パルス時間を1.0T〜2.5Tとする。また、このときの消去パワーとピークパワーの比を0.1≦Pe/Pp≦0.4とする。
これらの工夫により、非晶質マーク先端部を太く形成することが可能となるため、先端形状が周囲の結晶の状態に左右されにくくなり、繰り返し記録初期のジッタ上昇を抑制できると共に、繰り返し記録耐久性を劣化させず、クロスイレースも抑制できる。
マーク先端部が細い場合には、結晶状態の違いをジッタの増大として反映し易く、繰り返し記録初期のジッタ上昇が大きくなってしまう。これは、Sbを主成分とする記録層の場合には、結晶との境界から結晶成長により結晶化が進行するためである。
一般的に、高温になるほど結晶成長速度は速い。このため結晶と非晶質との境界がより高温であるトラック中心部にあると結晶化が進行し易く、結晶状態に差がある場合には、パルス列が照射される過程でマーク先端部の形状にばらつきを生じ易い。マーク先端部が太く、結晶と非晶質との境界がよりトラック中心部から離れたところに存在すれば、温度は低く結晶成長速度も遅いため、結晶状態に差があったとしても、形状にばらつきを生じにくい。
更に、記録再生ビームは通常ガウス分布を持つので、再生時には、トッラク中心部から離れたところのマーク形状変化による反射率変化よりも、トラック中心部のマーク形状の変化の影響をより多く受けることになる。以上の理由より、マーク先端の形状が元々太い場合には、結晶状態の差の影響を受けにくく、細い場合には、影響を受け易いと言える。従って、マーク先端を太く記録するのは有効な方法である。
高速記録に使用される相変化記録層の結晶化速度は一般的に速いため、本発明の先頭の冷却パルスの設定のように冷却パルス照射時間を短くすることは殆ど検討されていない。冷却パルス照射時間を短くすると、直前の加熱パルスで形成した非晶質マークが再結晶化してしまい、充分大きな非晶質マークを形成できなくなり、ジッタが上昇してしまうからである。しかし、本発明者らは、あえて先頭の冷却パルス時間を短くすることにより、マーク先端部を大きく形成できることを見出した。シミュレーション、TEM写真の観察等により検討した結果、最初の加熱パルスで形成された非晶質部は再結晶化によって消失してしまうものの、1番目の加熱パルスの予熱効果により2番目の加熱パルスの照射時の温度が高くなって溶融領域が広がり、結果としてマーク先端部が大きくなるということが分かった。この様子を模式的に図4に示す。
最初の冷却パルスを設けず、1番目と2番目の加熱パルスを連続したような形で、最初の加熱パルスを長くする場合にも、同様に、マーク先端を大きく形成することが可能である。しかし、この場合には、ピークパワーを連続照射するために、温度が上がりすぎてしまい、膜質の劣化が進み、繰り返し記録耐久性が劣化してしまう。また、隣接するトラックまで昇温してしまうため、隣接するトラックに既に記録されている非晶質マークを部分的に消去してしまうクロスイレースも生じてしまう。
先頭の冷却パルスは0.2T〜0.4Tの間に設定する。0.2Tより短いと冷却効果が殆ど得られず、先頭の加熱パルスを長くした場合と類似の挙動を示し、繰り返し記録耐久性の劣化やクロストークの増大を招く。0.4Tより長く設定すると、1番目の加熱パルスで形成された非晶質部が残るため、結果として、先端部が細いマークとなり、繰り返し記録初期のジッタが上昇してしまう。
また、3個以上のパルス列でマークが形成される場合の2番目の冷却パルスは従来検討されているように、十分長くする必要がある。これにより3番目の加熱パルスによる再結晶化を防止し、マーク先端を大きく形成できる。2番目の冷却パルスは1.0T〜2.5Tの間に設定する。1.0Tより短いと、3番目の加熱パルスの影響により2番目の冷却パルスの照射する過程で形成済みの非晶質部の再結晶化が進行し、ジッタが大きくなってしまう。2.5Tより長いと連続したマークが形成できない。
また、このような記録ストラテジは、消去パワーPeとピークパワーPpの比が0.4以下である場合に有効性を発揮する。本発明者らが検討した結果、DVD6倍速以上で記録する場合に、消去パワーPeとピークパワーPpの比を0.4より大きくすると、初回記録でもジッタが大きくなってしまう。理由は明らかではないが、高速記録の場合記録時間が短くなるため、Ppの値は大きくしないと記録層を十分加熱できないが、Peまで大きくすると冷却不足となり、逆にジッタは大きくなってしまうと考えられる。しかし、Peが低いと先頭のピークパワーによる昇温が不十分になり易い。このような場合には繰り返し記録初期のジッタは上昇してしまう傾向にあるが、本発明のように、先頭の加熱パルスを予熱パルス的に使うことによって、この不具合を解消できる。ただし、Pe/Ppが0.1より小さいと、消去不足となり易く、初回記録は良好であっても、繰り返し記録全般に渡ってジッタが上昇してしまう。
次に、前述した記録ストラテジによる光記録方法を実現するための光記録装置の構成例について、図5を参照して説明する。
この装置には、光記録媒体106を回転駆動させるスピンドルモータ121を含む回転制御機構122が設けられていると共に、光記録媒体106に対してレーザ光を集光照射させる対物レンズや半導体レーザLD123等のレーザ光源を備えた光ヘッド124がディスク半径方向にシーク移動自在に設けられている。光ヘッド124の対物レンズ駆動装置や出力系に対してはアクチュエータ制御機構25が接続されている。このアクチュエータ制御機構25にはプログラマブルBPF26を含むウォブル検出部27が接続されている。ウォブル検出部27には検出されたウォブル信号からアドレスを復調するアドレス復調回路28が接続されている。このアドレス復調回路28にはPLLシンセサイザ回路29を含む記録クロック生成部30が接続されている。PLLシンセサイザ回路29にはドライブコントローラ31が接続されている。システムコントローラ32に接続されたこのドライブコントローラ31には、回転制御機構122、アクチュエータ制御機構25、ウォブル検出部27及びアドレス復調回路28も接続されている。
また、システムコントローラ32はCPU等を備えた、いわゆるマイコン構成のものである。また、このシステムコントローラ32には、EFMエンコーダ34、マーク長カウンタ35、パルス数制御部36が接続されている。これらのEFMエンコーダ34、マーク長カウンタ35、パルス数制御部36及びシステムコントローラ32には、発光波形制御手段となる記録パルス列制御部37が接続されている。この記録パルス列制御部37は、記録ストラテジにより規定されるマルチパルス(ピークパワーPp用のオンパルス、バイアスパワーPb用のオフパルス)を生成するマルチパルス生成部38と、エッジセレクタ39と、パルスエッジ生成部40とが含まれている。
この記録パルス列制御部37の出力側には、記録パワーPw(ピークパワーPp)、消去パワーPe、バイアスパワーPbの各々の駆動電流源41をスイッチングすることで光ヘッド124中の半導体レーザLD123を駆動させる光源駆動手段としてのLDドライバ部42が接続されている。
このような構成において光記録媒体106に記録するためには、目的の記録速度に対応する記録線速度となるようにスピンドルモータ121の回転数をドライブコントローラ31による制御の下、回転制御機構122により制御した後に、光ヘッド124で得られるプッシュプル信号からプログラマブルBPF26によって分離検出されたウォブル信号によりアドレス復調するとともに、PLLシンセサイザ回路29によって記録チャネルクロックを生成する。次に、半導体レーザLD123による記録パルス列を発生させるため、記録パルス列制御部37には記録チャネルクロックと記録情報であるEFM+データが入力され、記録パルス列制御部37中のマルチパルス生成部38により、図7に示したような記録ストラテジに従うマルチパルスを生成し、LDドライバ部42で前述のPp、Pe、Pbに該当する各々の照射パワーとなるように設定された駆動電流源41をスイッチングすることで、記録パルス列に従うLD発光波形を得ることができる。
また、この図5のような構成の記録パルス列制御部37では、EFMエンコーダ34から得られるEFM+信号のマーク長を計数するためのマーク長カウンタ35が配置されており、そのマークカウント値が2T増加する毎に1組のパルス(記録パワーPw=ピークパワーPpによるオンパルスとバイアスパワーPbによるオフパルス)とが生成されるようにパルス数制御部36を介してマルチパルスを生成するようにしている。
別のマルチパルス生成部の構成としては、記録チャネルクロックを2分周した記録分周クロックを生成し、これから多段遅延回路を用いてエッジパルスを生成し、エッジセレクタで前後のエッジを選択することにより記録チャネルクロックが2T増加する毎に1組のパルス(記録パワーPw=ピークパワーPpによるオンパルスとバイアスパワーPbによるオフパルス)を生成することもできる。この構成の場合、マルチパルス生成部の実質的な動作周波数は1/2となり、更に高速記録動作が可能となる。
本発明によれば、DVDの6〜8倍速相当以上の高速記録時にマーク先端部を太く形成できるため、繰り返し記録耐久性の劣化やクロストークの増大を招くことなく、初期結晶状態によらず繰り返し記録初期のジッタ上昇を低減することが可能な光記録方法及び光記録装置を提供できる。
(多層型光記録媒体の光記録方法及び光記録装置)
本発明の多層型光記録媒体の光記録方法は、基板上に少なくとも相変化記録層をM層(ただし、Mは2以上の整数を表す)有する多層型光記録媒体にレーザ光線を照射して記録マークを形成するに際し、該レーザ光線の発光波形を複数のパルスからなる記録パルス列とし、該記録パルス列を変調することによって記録を行い、
レーザ光照射側から見てK番目(ただし、1≦K≦Mを満たす整数である)の記録層にクロック周期Tの下で記録を行う際の記録パルス列の周期をt(K)[T]とした時、次式、1≦t(1)≦t(2)≦・・・t(K)≦t(K+1)とする(ただし、全てが等号である場合は除く)。この場合、次式、t(1)<t(2)とすることが好ましい。
その他の実施態様としては、相変化記録層をM層(M≧2)有する多層型光記録媒体の光記録方法において、第1番目の記録層をレーザ光側から見て最も手前の記録層とし、M番目の記録層を前記レーザ光側から見て最も奥側の記録層とし、Tをクロック周期として、K番目の記録層に複数のレーザ光パルスからなる記録パルス列を用いてレーザ光を照射してマークを記録する際の記録パルス列の周期をt(K)[T]とした時、次式、t(1)<t(M)の関係を満たし、かつ前記記録パルス列の周期は、レーザ光照射の方向において第1番目の記録層から次の記録層へと減少しないことを特徴とする。
ここで、多くの場合、T1=1とする。そして、T1=1の場合に、2層目以降へ記録を行う際には1.5T以上の周期を持たせて記録すると効果が現れる。また、一般的には3T周期のストラテジで記録することも可能である。つまり、K≧2とした場合はT(K)の範囲として1.5≦T(K)≦3が好ましい。しかし、実用上は、記録ストラテジのパラメータの個数が多くなることを避けるために2T周期で記録するのが好ましい。したがって、特に、一番手前側へ記録する際には1T周期ストラテジを用い、それ以外の記録層へ記録する際には2T周期ストラテジを用いることが好ましい。
一番手前側の記録層へ記録する際に、記録パルス列を1T周期とするとオーバーライト特性がよくなる。仮に2T周期とした場合、記録は可能であるが、主に最短マークの長さのずれが影響するため、繰り返し記録回数が多くなると1T周期の場合に比べてジッタが悪くなる(図25参照)。なお、この事例は、後述する実施例B−17で用いた2層型光記録媒体で実験を行ったものである。
また、それ以外の記録層へ記録する際に、記録パルス列を2T周期とした場合、記録パルス列のパルス幅を広く取ることができ、かつ冷却時間を長く取ることができるため、記録感度をよくすることができる。仮に1T周期とした場合、記録は可能であるが記録感度が約15%程度悪くなる(図26及び図27参照)。
本発明の光記録方法において、レーザ光照射側から見てM番目(ただし、Mは2以上の整数を表す)以外の記録層に長さnT(ただし、Tはクロック周期、nは2以上の整数である)の記録マークを形成する際には、先頭パルスと最終パルスの立ち上がりの間隔Trを、次式、(n−1.5)T≦Tr≦(n−1)Tを満たすように設定することによって、相変化記録層を2層以上有する多層型光記録媒体の光照射側から見て一番奥側以外の記録層の記録特性を良好とすることができる。
図24に示すように、DVD+RWのような従来の単層型の書き換え型光記録媒体では、例えば1T周期ストラテジを用いる場合、データに対して1Tだけ遅れた時間位置から記録し始める記録方法が主な方法であった(図24の(1))。しかしながら、相変化記録層を2層以上有する多層型光記録媒体の光照射側から見て一番奥側以外の記録層に対する記録方法としては、図24−B及び図24−Cのように、長さnTのマークを形成する際には先頭パルスと最終パルスの立ち上がり時間幅Trを広くする記録方法を用いた方がよい。
なぜならば、多層型光記録媒体の光照射側から見て一番奥側以外の情報層では透過率を高く確保する必要があるため、厚い金属層を成膜することができず、透明誘電体を用いることで放熱効果を補っているためである。金属層を厚くすると充分な放熱性が得られ記録マークが形成され易いが、透明誘電体を用いると熱伝導率が金属よりも下がるため充分な放熱効果が得られず非晶質マークの再結晶化が起こり易い。そのため、Trを広く設定することによって所望のマーク長を得ることを狙っている。
この光記録方法では図24の(2)のように先頭パルスを時間的に早く立ち上がらせて最終パルスを時間的に遅く立ち上がらせる方法でもよいし、図24の(3)のように先頭パルスのみを早く立ち上がらせるだけでもよい。Trの値の範囲は(n−1.5)T≦Tr≦(n−1)Tとするのがよい。例えば、8Tマークを記録する場合は、6.5T≦Tr≦7Tを満たすTrを用いる。更に非晶質マークの形成領域をできるだけ大きく(太く)するために、加熱後の冷却時間を長く取る必要がある。したがって記録パルスの幅Tmpはできるだけ小さくすることが好ましい。クロック周期をTとした場合、記録速度に関係なく、0.12T≦Tmp≦0.3Tとするのがよい。Tmpを0.12Tよりも短くすると高い記録パワーを必要とし、特に、記録速度が9.2m/sなどと速い場合は、クロック周期T=15.9nsecであるためTmp=0.12T=1.9nsecとなり、記録装置においてLD(レーザダイオード)から出射されるレーザの応答時間(立ち上がり及び立下り時間)が間に合わずに、所望の記録パワーで記録することが困難となる。また、Tmpを0.3Tよりも長くすると冷却時間が足りないために次のパルスの余熱によって再結晶化が生じ、所望の変調度が確保できなくなる不具合が生じる。
一般的には、上記Trの範囲を保ちつつ、図28に示すような記録パルスストラテジのパラメータを用いるのが好ましいが、この限りではない。例えばDVDではデータの変調方式がEFM+方式であり、3Tマーク及び4Tマークは、他の長いマークに比べて出現個数が多いため、最も記録特性(ジッタ)に影響が及ぶことが挙げられる。そのため、3T,4Tの記録に限っては、(dTtop3)、(dTtop4)、(dTlp3)、(dTlp4)、(dTera3)、(dTera4)のようなパラメータを個別に設定することも可能である。図19及び図20はパラメータの個数を変えたときの記録特性(ジッタ)を比較したものである。3T及び4Tの最終パルスを個別に設定した場合、記録特性が良くなっていることが分かる。記録は、図21のパラメータで表される記録ストラテジで行った。パラメータ中の「−」は、クロックの基準(立ち上がり)から見て時間的に遅れていることを意味する。
本発明の光記録方法によれば、多層型光記録媒体の記録特性は良好となる。更にレーザ光照射側から見て一番奥側以外の記録層へ適用する記録方法として、基板上に少なくとも相変化記録層を2層以上有する多層型光記録媒体にレーザ光線を照射して記録マークを形成するに際し、該レーザ光線の発光波形を複数のパルスからなる記録パルス列とし、該記録パルス列を変調することによって記録を行い、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後の少なくとも一方のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbで表される関係を満たすようなパルス列により形成する。
本発明の多層型光記録媒体の光記録装置は、本発明の多層型光記録媒体の光記録方法を実施することができるように設定されたものであり、レーザ光源から出射されたレーザ光を光学素子により集光レンズに導き、該集光レンズによりレーザ光を多層型光記録媒体に集光照射して該光記録媒体に記録を行う。このとき、光記録装置は、レーザ光源から出射されたレーザ光の一部をレーザ光検出器に導き、レーザ光検出器のレーザ光の検出量に基づきレーザ光源の光量を制御する。レーザ光検出器は、検出したレーザ光の検出量を電圧又は電流に変換し検出量信号として出力する。
光記録装置には更に必要に応じて種々の制御手段等を設ける。制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の多層型光記録媒体の光記録方法は、以下の第1形態から第3形態のいずれかを備えたものである。
第1形態では、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすようなパルス列により形成するものである。
第2形態では、前記記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすようなパルス列により形成するものである。
第3形態では、前記記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbの関係を満たすようなパルス列により形成するものである。
上記第1形態から第3形態において、冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNにおけるNが、1〜3のいずれかであることが好ましい。
ここで、具体的なレーザ波形発光パターンとしては、例えば、図15及び図16に示されているようなDVD+RW等で使用されているものがある。アモルファス状態からなるマークは、ピークパワー(Pp)光と、バイアスパワー(Pb)光との交互繰り返しによるパルス照射によって形成される。一方、結晶状態からなるスペースは、PpとPbとの中間レベルのイレースパワー(Pe)光を連続的に照射することにより形成される。
ピークパワー(Pp)光とバイアスパワー(Pb)光とからなる記録パルス列が照射されると、記録層は溶融と急冷を繰り返してアモルファスマークが形成される。一方、消去パワー(Pe)光が照射されると記録層は溶融後に徐冷、あるいは固相状態のままアニールされて結晶化し、スペースが形成される。
ピークパワー(Pp)光とバイアスパワー(Pb)光とからなる記録パルス列は、通常、先頭パルス、中間パルス、最終パルスとに分けられる。最短の3Tマークは先頭パルスと最終パルスのみで記録され、4T以上のマークを形成するときは中間パルスも使用される。前記中間パルスはマルチパルスとも呼ばれ、1T周期で設けられ、マーク長が1T長くなるごとにパルスの数を1つずつ増やす方法が用いられる。この記録方法は、1T周期記録ストラテジと言われており、長さnTのマークを形成するときの記録パルスの個数は(n−1)個である。ただし、Tはクロック周期を意味する。ちなみに、DVD+RWでは4倍速を超える速度で記録を行う場合には、クロック周期が短くなるために2T周期での記録方法(2T周期記録ストラテジ)もよく用いられる。
前記第1形態における多層型光記録媒体の光記録方法では、N=1の場合には、図11に示すように、記録マークは、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと先頭パルスの前のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pbの関係を満たす。
また、N=2の場合には、図12に示すように、記録マークは、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと先頭パルスの前のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1及びPc2が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2>Pbの関係を満たす。
前記第2形態における多層型光記録媒体の光記録方法では、N=1の場合には、図13に示すように、記録マークは、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pbの関係を満たすことが明らかである。
前記第3形態における多層型光記録媒体の光記録方法では、N=1の場合には、図14に示すように、記録マークが、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと先頭パルスの前及び最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pbの関係を満たすことが明らかである。
本発明の多層型光記録媒体の光記録方法は、上記第1形態から第3形態のいずれかを満たすことによって、先頭パルスの前及び最終パルスの後の少なくともいずれかの余熱を利用することができるので、更に第1記録層が受ける熱的なダメージを抑制し、記録や消去を的確に行うことができ、記録特性が良好となり、種々の光記録媒体に適用することができるが、特に以下に説明する本発明の多層型光記録媒体に好適に用いられる。
図15及び図16に示したような従来の記録方法においては、記録パワーPpと消去パワーPeの比率ε(=Pe/Pp)を一定にして記録を行う方法がよく用いられている。これは、記録パワーPpと消去パワーPeのバランスによって、より広い記録パワー範囲でジッタやアシンメトリが良好に保たれるために考案された方法である。ここでジッタとは、マークとスペースの反射率レベルをスライスレベルで2値化したとき、その境界とクロックとの時間的なずれをウィンドウ幅で規格化して表したものである。この値が低いほど記録特性はよい。またアシンメトリとは、14Tスペースに相当する結晶質反射率I14Hと14Tマークに相当するアモルファス反射率I14Lの平均値と、3Tスペースに相当する結晶質反射率I3Hと3Tマークに相当するアモルファス反射率I3Lの平均値とがどの程度ずれているかを表す特性値である。式としては、(I14H+I14L)−(I3H+I3L)/2(I14H−I14L)で表現される(図19参照)。反射率信号はスライスレベルにより2値化されるため、アシンメトリは0に近いほどよい。アシンメトリが崩れていると、マークとスペースの境界が正しく認識されない可能性が出てきてしまう。記録パワーPpが高すぎたり低すぎたりするか、又は消去パワーPeが高すぎたり低すぎたりすることによりアシンメトリが崩れ、結果としてジッタが悪くなる。そのため、それらの比率を固定してパワーのバランスをとることで記録特性が悪化するのを防いでいる。
したがって、本発明の光記録方法では、第1記録層と第2記録層に対して個別に設定される記録パワーPpと消去パワーPeの比率εだけではなく、記録パワーPpと冷却パワーPc1、Pc2、・・・、PcNの比率δ1、・・・δN(=Pc1/Pp、・・・PcN/Pp)なるものも、同時に個別に設定されている方が好ましい。
例えば、第1記録層と第2記録層に用いられる相変化記録材料及びその組成が同じである場合を考える。各情報層へ同一の記録速度で、記録マークを、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後の少なくとも一方のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbで表される関係を満たすようなパルス列により形成する光記録方法を用いて記録する場合、ε、及びδ1、・・・δNの値を各情報層で同じにした場合と異ならせた場合で検討した結果、図20のような結果が得られた。図20は実施例B−19に記載した2層相変化型光記録媒体に、図11に示した記録ストラテジを用いて記録したときのデータである(後述する実施例B−28と比較例B−23に相当する)。
図20から分るように、第1情報層での最適なパワー比率(ε=0.18、δ1=0.09)と同一のパワー比率で第2情報層に記録を行った場合よりも、異なったパワー比率(ε=0.38、δ1=0.19)で第2情報層に記録を行った場合の方が記録特性は優れている。特に、最適な記録パワーにおけるジッタ(ボトムジッタと呼ぶ)は、同一のパワー比率で記録した場合が8.7%であるのに対し、異なったパワー比率で記録した場合は8.1%である。このように各情報層ごとに最適なパワー比率が存在することが分かる。
更に、下記表1に示すように、第2情報層への記録を(ε=0.38、δ1=0.09)のパワー比率で行うと、ボトムジッタは8.3%となった。比率εだけでなく、比率δ1の効果も記録特性に影響を与えていることが分かる。
本発明の光記録方法においては、長さnT(ただし、Tはクロック周期、nは1以上の整数)の記録マークを記録する際の記録パワーレベルPpの照射パルスの個数をm(m:1以上の整数)としたとき、nが偶数のときはn=2m、nが奇数のときはn=2m+1の関係を満たすことにより、記録感度を良好とすることができる。
従来、DVD1〜4倍速対応の単層相変化型光記録媒体に記録を行う際には、媒体の走査線速が遅いため、加熱照射パルスと冷却照射パルスの1セットを1クロック周期ごとに繰り返す方法が広く用いられている(1T周期ストラテジ)。この記録方法は、長さnTの非晶質マークを記録する際には、(n−1)個の加熱照射パルスと冷却照射パルスを交互に照射するものである。ところが記録線速の向上に伴いクロック周期が短くなるため、加熱照射パルスと冷却パルス1セットを従来どおり1T周期で行った場合、充分な冷却時間が得られなくなる。つまり、ある加熱パルスと冷却パルスの照射が行われて非晶質マークができても、次の1T周期後の加熱パルスから生じる余熱により一度形成された非晶質マークが再結晶化してしまい、特に長いマークが細くなり変調度が取りづらくなるという問題が生じる。このような問題を解消するには、できるだけ長い冷却パルスの照射時間をとることが必須である。
したがって、DVD4倍速を超える高速記録においては、加熱照射パルスと冷却照射パルスの1セットを2クロック周期ごとに繰り返す記録方法(2T周期ストラテジ)を採用することによって太くて均一な非晶質マークの形成を行うことができ、高い変調度を確保することができる。この記録方法では、長さnTの非晶質マークを記録する際に、加熱照射パルス数をm(ただし、mは1以上の整数)とすると、nが奇数の場合はn=2m+1であり、nが偶数のときn=2mとするのが好ましい。2T周期ストラテジはDVDの1〜4倍速程度の記録線速で用いても容易に記録を行うことができる。更に上記のように冷却時間を長めに取ることができるため、急冷効果を促進するので1T周期ストラテジで記録する場合よりも記録パワーを低くすることができ、感度よく記録を行うことができる。本発明の多層型光記録媒体への記録方法においても、2T周期ストラテジを用いることで第1情報層や第2情報層など、各記録層の記録感度が向上するため好ましい。
この場合、特に最短マークのみ1パルス多くして記録することにより、多層型光記録媒体の繰り返し記録を更に良好に行うことができる。
本発明の光記録方法においては、消去パワーレベルPeに対し、Peよりも低い消去パワーレベルPeのパルス状の構造がPe照射中に含まれていることにより、手前側の情報層の熱的なダメージを更に軽減することができる。
図21に、レーザの発光波形を例示した。このようなレーザの照射波形に類似した公知技術としては、特開2004−63005号公報が挙げられる。この公報の技術は、記録線速が向上するにつれて、スペース部に記録済みのマークが消去できずに残ってしまうのを防ぐために、Pe領域にパルス状にPe+を配置して消去に必要なエネルギーを供給するというものである。これに対し、本発明では比較的高い消去パワーPeを照射することによる多層型記録媒体の手前側の情報層の熱的なダメージを極力軽減させることを目的として、消去パワーPe領域中にPe−なるパルス状の構造を配置する。これにより、手前側の情報層の繰り返し記録特性を向上させることができる。
本発明の光記録方法においては、多層型光記録媒体の各情報層に記録する際に、レーザ光束を照射する側から見て手前側の情報層から順番に記録していくことが好ましい。
前記多層型光記録媒体の記録層に用いられている相変化材料の結晶状態とアモルファス状態では、それぞれの光学定数が異なっており、結晶状態の方がアモルファス状態よりも吸収係数が高い。言い換えると、アモルファス状態の方が光を吸収する度合いが少ないために光透過率が高い。そこで、レーザ光束を照射する側から見て手前側の情報層から順番に記録していくようにすれば、記録により情報層にアモルファスマークができるので、アモルファスマークの領域面積が広い状態が手前側から順番に形成されることになり、レーザ光束を照射する側から見て奥側の情報層に記録を行う際に、光が透過し易くなり奥側の情報層への記録を行い易くなる。
また、実際に記録装置で光記録媒体に情報の記録を行う場合、第1情報層から記録したときの方が、第2情報層から記録したときよりも数パーセント程度低いパワーで記録することができる。第1情報層の光透過率が、第2情報層への記録に必要な記録パワーに作用し、記録感度を比較的よくする効果がある。
ここで、図33は、本発明の一実施形態に係る光記録装置の一例を示す図である。この光記録装置220は、本発明の一実施形態に係る片面多層光記録媒体としての光ディスク215を回転駆動するためのスピンドルモータ222、光ピックアップ装置223、該光ピックアップ装置223をスレッジ方向に駆動するためのシークモータ221、レーザ制御回路224、エンコーダ225、駆動制御回路226、再生信号処理回路228、バッファRAM234、バッファマネージャ237、インターフェース238、フラッシュメモリ239、CPU240、及びRAM241などを備えている。
なお、図33における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、光記録装置220は片面多層光記録媒体に対応している。
(多層型光記録媒体)
本発明の多層型光記録媒体は、本発明の前記多層型光記録媒体の光記録方法に用いられ、レーザ光線の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こすことにより情報を記録する相変化記録層を含む情報層を少なくとも2つ有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。前記多層型光記録媒体は、レーザ光線が照射される側から見て一番奥側の情報層以外の各情報層が、少なくとも上部保護層、相変化記録層、下部保護層、反射層、及び熱拡散層を有する態様が好ましい。
この場合、レーザ光線が照射される側から見て一番奥側の情報層以外の各情報層における光透過率は30〜70%が好ましく、40〜70%がより好ましい。前記光透過率が30%よりも低いと、奥側の第2情報層への記録や消去及び再生が困難となることがあり、70%よりも高いと、第1情報層への記録や消去及び再生が困難となることがある。
ここで、前記光透過率は、例えば、STEAG社製のエタオプティクスにより測定することができる。該光透過率の測定は、2層型光記録媒体の場合には、第1情報層が成膜されている第1基板のみに光を照射して得られる透過光強度や反射光強度から、透過率、反射率、及び吸収率を測定する。つまり、光透過率の測定は、第2基板と貼り合わせる前に行われる。
前記多層型光記録媒体としては、レーザ光線が照射される側から第1情報層と、第2情報層とを有する2層型の光記録媒体が特に好適に用いられる。
ここで図17は、本発明の一実施形態に係る2層型光記録媒体の概略断面図である。この2層型光記録媒体は、第1基板3の上に、第1情報層1、中間層4、第2情報層2、及び第2基板5をこの順に積層してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
第1情報層1は、第1下部保護層11、第1記録層12、第1上部保護層13、第1反射層14、及び熱拡散層15を有している。
第2情報層2は、第2下部保護層21、第2記録層22、第2上部保護層23、及び第2反射層24を有している。
なお、第1上部保護層13と第1反射層14との間、及び第2上部保護層23と第2反射層24との間にバリア層を設けても構わない。
−第1基板−
第1基板は記録再生のために照射する光を十分透過するものであることが必要であり、当該技術分野において従来知られているものの中から適宜選択して用いることができる。
第1基板の材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂等が用いられるが、成形性、コストの点で樹脂が好適である。
このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられるが、これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂が好ましい。
第1基板3の情報層を形成する面には、必要に応じて、レーザ光のトラッキング用のスパイラル状又は同心円状の溝などであって、通常グルーブ部及びランド部と称される凹凸パターンが形成されていてもよく、これは通常射出成形法又はフォトポリマー法などによって成形される。
第1基板の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜600μm程度が好ましい。
第2基板5の材料としては、第1基板3と同様の材料を用いてもよいが、記録再生光に対して不透明な材料を用いてもよく、第1基板とは、材質、溝形状が異なってもよい。
第2基板5の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第1基板5の厚みとの合計が1.2mmになるように第2基板の厚みを選択することが好ましい。
−相変化記録層(第1記録層及び第2記録層)−
相変化記録層については、従来の記録層の材料開発の観点から見ると、大きく分けて二通りの材料開発の流れがある。即ち、追記型の記録層材料であるGeTe、及び可逆的に相変化できるSbとTeとの合金であるSbTe、この2つの材料の固溶体又は共晶組成からGeSbTeの3元合金からなる記録層材料が1つの流れである。もう1つの流れは、同じくSbとTeとの合金であるが、SbとSbTeとの共晶組成であるSb含有量が70%前後となるSbTe系に、微量元素を添加した記録層材料が知られている。
2層記録層を有する光記録媒体では、第1情報層は、第2情報層の記録及び再生のことを考慮すると、透過率が高いことが要求される。そのため、反射層の吸収率を少なくする取り組みと並行して、記録層を薄膜化することが試みられている。記録層を薄くしていくと結晶化速度が低下するので、記録層材料自体を結晶化速度の速いものにすることが有利である。そのため、この材料系列の流れの中では、後者のSb含有量が70%前後となるSbTe共晶組成が好ましい。
しかし、結晶化速度を速くするため、即ち、対応できる線速を速くするためにSb量を増大させていくと、結晶化温度が低下してしまう。たとえ記録が行えたとしても、記録マークの保存特性が悪化していくことが懸念される。そこで、GeSbTe系やSbTe系などと比べて、少ないSb量で結晶化速度が速い、即ち、対応できる線速の速い材料系が検討されている。InSb系において少ないSb量で線速を向上できることが分かった。したがって、薄い記録層厚みが要求される第1情報層の記録層材料として、InSb系を用いるのが好適である。
そして、図28に示すように、アモルファスマークが再結晶化せず、保存状態を安定なものとすることができる。そこで、2層型光記録媒体に用いられる第1情報層に含まれる記録層は、以上のような相変化材料を用いることが好ましい。
第1記録層及び第2記録層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できるが、これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れているので好ましく、特に、パルス波形を有する直流スパッタ法がターゲット組成と実際に形成された記録層膜との組成ズレが少ない点、及び、アーキングや放電の開始の遅延などスパッタリング成膜上の異常放電を軽減できる点で好適である。
第1記録層の厚みは4〜15nmが好ましく、6〜12nmがより好ましい。前記厚みが4nm未満であると、均一な膜にするのが困難となることがあり、15nmを超えると、透過率が低下してしまうことがある。
第2記録層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3〜25nmが好ましい。前記厚みが3nm未満であると、均一な膜にするのが困難となることがあり、25nmを超えると、記録感度が低下してしまうことがある。
−反射層(第1反射層及び第2反射層)−
図17に示すように、記録層が2層含まれる光記録媒体では、第2情報層に記録再生用のレーザ光をできるだけ透過させることが必要となる。したがって、第1反射層にはレーザ光が吸収されにくく、かつ透過し易い材料が好ましい。具体的にはAg、Cuが挙げられる。一方、第2反射層は、第1反射層のように半透明である必要はない。
以上のような第1反射層及び第2反射層の成膜は、各種の気相成長法が挙げられ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパッタリング法が量産性、膜質等に優れている。
−保護層(上部保護層及び下部保護層)−
単層型光記録媒体で上部保護層に用いられる材料は、透明で光をよく通し、かつ融点が記録層よりも高い材料が好ましく、記録層の劣化変質を防ぎ、記録層との接着強度を高め、かつ記録特性を高めるなどの作用を有するもので、金属酸化物、窒化物、硫化物、炭化物などが主に用いられる。具体的には、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta等の金属酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrN等の窒化物;ZnS、In、TaS等の硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物;ダイヤモンド状カーボン(DLC)、又はこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は、単体で保護膜とすることもできるが、互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含んでもよい。例えば、ZnSとSiOとを混合したZnS−SiO、TaとSiOとを混合したTa−SiOが挙げられる。これらの中でも、ZnS−SiOが特に好ましい。この場合の混合モル比としては(ZnS)80(SiO20が最も好ましい。
しかし、多層型光記録媒体の場合、第1記録層に情報の記録を行う際に、第1反射層のみが薄いために放熱性が悪くなり記録しづらくなるという不具合が生じる。そのため、第1上部保護層はできるだけ熱伝導性のよい材料を用いた方がよい。したがって、ZnS−SiOよりも放熱性が高い材料を用いた方がよい。例えばSnの酸化物を用いることが好ましい。また、Snの酸化物に金属系酸化物(例えば、In酸化物、Zn酸化物、Ta酸化物、Al酸化物)が含まれていてもよい。Snの酸化物を用いることによって、比較的第1反射層の厚みが薄くても第1記録層にアモルファスマークを形成させ易くなる。Sn酸化物、Ta酸化物、Al酸化物は、それぞれが反射層に対して劣化を促進しない材料であり、それぞれの組成比率は生産工程及びコスト、生産許容時間などにより選択されていい。ただし、Sn酸化物が多い場合は記録に必要なパワーが大きくなる傾向にある。Ta酸化物が多い場合は成膜速度を低下させない材料ではあるが第1情報層において記録特性が出にくくなる。Al酸化物が多い場合は成膜速度が低下する傾向にある。
なお、第2上部保護層については、従来どおりZnS−SiOを用いてもよいし、Snの酸化物を用いてもよい。その理由は、第2記録層に記録する場合は、第2反射層を充分厚く成膜できるため充分な放熱性が得られるためである。第2上部保護層にZnS−SiOを用いて第2反射層にAgを用いる場合は、第2上部保護層と第2反射層の間にTiC−TiOなどの界面層を挟むとよい。これは、硫黄SとAgが反応することにより光記録媒体に不具合が生じるのを防ぐためである。
第1下部保護層及び第2下部保護層は、透明で光をよく通し、かつ融点が記録層よりも高い材料が好ましく、記録層の劣化変質を防ぎ、記録層との接着強度を高め、かつ記録特性を高めるなどの作用を有するもので、金属酸化物、窒化物、硫化物、炭化物などが主に用いられる。具体的には、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta等の金属酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrN等の窒化物;ZnS、In、TaS等の硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物;ダイヤモンド状カーボン(DLC)、又はこれらの混合物、などが挙げられる。これらの材料は、単体で保護膜とすることもできるが、互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含んでもよい。例えば、ZnSとSiOとを混合したZnS−SiO、TaとSiOとを混合したTa−SiOが挙げられる。これらの中でも、ZnS−SiOが特に好ましい。その場合の混合モル比としては(ZnS)80(SiO20が最も好ましい。ZnS−SiOは屈折率nが高く、消衰係数kがほぼゼロであるために、記録層の光の吸収効率を上げ、かつ、熱伝導率が小さく、光吸収により発生した熱の拡散を適度に抑えることができるため、記録層を溶融可能な温度まで昇温することができる。
以上のような第1上部保護層、第2上部保護層、第1下部保護層及び第2下部保護層の成膜は、各種の気相成長法が挙げられ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。これらの中でも、スパッタリング法が量産性、膜質等の点から優れている。
−熱拡散層−
熱拡散層としては、レーザ照射された第1記録層を急冷させるために、熱伝導率が大きいことが望まれる。また、奥側の第2情報層が記録再生できるよう、レーザ波長での吸収率が小さいことも望まれる。以上のことから、窒化物、酸化物、硫化物、炭化物、弗化物の少なくとも一種を含んでいることが好ましい。例えば、AlN、Al、SiC、SiN、IZO(酸化インジウム−酸化亜鉛)、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、BNなどが挙げられる。これらの中でも、IZO、ITOが最も好ましいと考えている。まず、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)に含まれている酸化スズは、1〜10質量%含まれていることが好ましい。これより少ない、若しくは多いと、熱伝導率及び透過率が低下してしまう。また、保存安定性の向上などを目的に他の元素を添加してもよい。これらの元素は、光学的性質に影響を与えない範囲で添加することができ、0.1〜5質量%含まれていることが好ましい。これよりも少ないと、効果が得られなくなる。多いと、光吸収が大きくなり、透過率が減少してしまう。また、情報の記録再生に用いるレーザ光の波長において、吸収係数が1.0以下であることが好ましい。更には、0.5以下であることが好ましい。1.0よりも大きいと第一情報層での吸収率が増大し、第2情報層の記録再生が困難になる。
また、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)の代わりに、IZO(酸化インジウム−酸化亜鉛)を用いることで、光記録媒体中での内部応力が小さくなるため、極微少な厚みの変化などが起こりにくくなり好ましい。
以上のような熱拡散層は、各種の気相成長法が挙げられ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。これらの中でも、スパッタリング法が量産性、膜質等の点から優れている。
−中間層−
中間層は、記録再生を行うために照射する光の波長における光吸収が小さいことが好ましく、材料としては成形性やコストの点で樹脂が好適であり、紫外線硬化性樹脂、遅効性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。第2基板、中間層には、第1基板と同様な、射出成形法又はフォトポリマー法などによって成形されるグルーブ、案内溝などの凹凸パターンが形成されていてもよい。中間層は、記録再生を行う際に、ピックアップが第1情報層と第2情報層とを識別して光学的に分離可能とするものである。
前記中間層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜70μmが好ましい。前記厚みが10μm未満であると、情報層間クロストークが生じることがあり、70μmより厚いと、第2記録層を記録再生するときに球面収差が発生し、記録再生が困難になることがある。
−バリア層−
本発明の多層型光記録媒体は、上部保護層と反射層との間にバリア層を設けていても構わない。反射層としてはAg合金、上部保護層としては、ZnSとSiOとの混合物が最も好ましいが、この2層が隣接した場合、保護層中の硫黄が反射層のAgを腐食させる可能性があり、保存信頼性が低下するおそれがある。この不具合をなくすために、反射層にAg系を用いた場合には、バリア層を設けるのが好ましい。バリア層は、硫黄を含まず、かつ融点は記録層よりも高い必要があり、具体的には、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO等の金属酸化物;Si、AlN、TiN、ZrN等の窒化物;ZnS、In、TaS等の硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物;あるいは、それらの混合物が挙げられる。これらのバリア層は、レーザ波長での吸収率が小さいことが望まれる。
バリア層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点から優れている。
バリア層の厚みは2〜10nmが好ましい。前記厚みが2nm未満であると、Agの腐食を防止する効果が得られなくなることがあり、保存信頼性が低下する。一方、10nmより厚くなると、放熱効果が得られなくなったり、透過率が低下する傾向がある。
次に、本発明の2層型光記録媒体は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のようにして製造されるのが好ましい。製造方法としては、成膜工程、初期化工程、密着工程からなり、基本的にはこの順に各工程を行う。
成膜工程としては、図17において、第1基板のグルーブが設けられた面に第1情報層を、第2基板のグルーブが設けられた面に第2情報層をそれぞれ成膜する。第1情報層、第2情報層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でもスパッタリング方が、量産性、膜質等に優れている。スパッタリング法は、一般にアルゴンなどの不活性ガスを流しながら成膜を行うが、その際、酸素、窒素などを混入させながら反応スパッタリングさせてもよい。
初期化工程として、第1情報層、第2情報層に対して、レーザ光などのエネルギー光を照射することにより全面を初期化、即ち記録層を結晶化させる。初期化工程の際にレーザ光エネルギーにより膜が浮いてきてしまう恐れのある場合には、初期化工程の前に、第1情報層、第2情報層の上にUV樹脂などをスピンコートし、紫外線を照射して硬化させ、オーバーコートを施してもよい。また、次の密着工程を先に行った後に、第1基板側から第1情報層、第2情報層を初期化させてもかまわない。
密着工程として、第1情報層と第2情報層とを向かい合わせながら、第1基板と第2基板とを中間層を介して貼り合わせる。例えば、いずれか一方の膜面にUV樹脂を塗布し、膜面同士を向かい合わせて両基板を加圧、密着させ、紫外線を照射して樹脂を硬化させることができる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、相変化記録層を含む情報層を2層以上有する多層型光記録媒体のレーザ光束が照射される側から見て一番手前の第1情報層にある第1記録層に記録する場合に、該記録層が受ける熱的なダメージを抑制し、記録や消去を的確に行うことができ、記録特性の良好な多層型光記録媒体及び該多層型光記録媒体の記録方法、並びに該多層型光記録媒体の記録装置を提供できる。また、2層目以上の記録層の記録感度を良好なものとすることも可能となる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例A−1)
直径12cm、厚み0.6mm、トラックピッチ0.74μmの案内溝付きポリカーボネートディスク基板上に、第1保護層としてZnS−SiOを厚み60nm、記録層としてInSb17Te80を厚み15nm、第2保護層としてZnS−SiOを厚み12nm、硫化防止層としてSiCを厚み4nm、反射層としてAgを厚み140nmに順次スパッタ法により形成した。得られた反射層上を有機保護膜でオーバーコートし、更にその上に厚み0.6mmのポリカーボネートディスクを貼り合わせて相変化型光記録媒体を作製した。次いで、大口径LDにより初期結晶化した。
得られた光記録媒体に対し、以下に示すような条件で記録を行い、繰り返し記録のジッタを調べた。
記録には、波長660nm、開口数NA0.65の光ヘッドを用い、EFM+変調方式で、線密度0.267μm/bitのランダムパターンをDVD12倍速に相当する42m/sで記録した。図8に本実施例の各マーク長毎の波形発光パターン(記録ストラテジ)を示した。表2には、マークの開始位置を起点として各パワーに保持する時間を基準クロックTで規格化した値で示した。本実施例では、先頭の冷却パルスを全て0.2Tに設定した。2番目の冷却パルスはマーク長によっても異なるが、1.0T〜1.8Tの間に設定した。
各パワーの設定値を、Pp=38mW、Pb=0.1mW、Pe=6.5mWとしたときのジッタを図6に示す。この図6の結果から分るように、1回目の繰り返し記録でも急激なジッタ上昇はなく、良好な繰り返し記録特性を示している。
図9に、6T以上のマークの2番目の冷却パルスの長さを変えてランダムパターンを記録した場合の初回記録と繰り返し記録10回のマーク先頭のジッタを調べた結果を示す。6T以上のマークの2番目の冷却パルスの長さが1.0Tより小さくなると、マーク先頭部のジッタは急激に上昇してしまった。また、2.5Tより長くなると初回記録のジッタは小さいが、繰り返し記録10回のジッタは急激に上昇してしまった。
図10に、Pp=38mWに固定し、Peの値を変えてPe/Ppの値を変化させ、ランダムパターンを記録した場合の初回記録と繰り返し記録10回のジッタの値を示した。Pe/Pp<0.1の場合、初回記録のジッタは小さいが、繰り返し記録によりジッタ上昇が大きかった。Pe/Pp>0.4の場合、初回記録、繰り返し記録ともにジッタが大きくなってしまった。
(実施例A−2)
実施例A−1と同じ光記録媒体に対し、表3の条件で記録ストラテジを設定した以外は、実施例A−1と同様にして、記録特性を調べた。マーク長が6T以上の場合に、先頭の冷却パルスの照射時間を0.4Tとし、2番目の冷却パルスの照射時間を1.3Tとしたものである。
各パワーの設定値を、Pp=38mW、Pb=0.1mW、Pe=6.5mWとしたときのジッタを図6に示す。この図6の結果から分るように、1回目の繰り返し記録でも急激なジッタ上昇はなく、良好な繰り返し記録特性を示している。
(実施例A−3)
実施例A−1と同じ光記録媒体に対し、表4の条件で記録ストラテジを設定した以外は、実施例A−1と同様にして、記録特性を調べた。マーク長が6T以上の場合に、2番目の冷却パルスの照射時間を2.5Tとし、マーク長がTの偶数倍のときのパルスを実施例A−1の場合より1つ少なくした。
各パワーの設定値を、Pp=38mW、Pb=0.1mW、Pe=6.5mWとしたときのジッタを図6に示す。この図6の結果から分るように、1回目の繰り返し記録でも急激なジッタ上昇はなく、良好な繰り返し記録特性を示している。
(実施例A−4)
実施例A−1において、記録層材料を結晶化速度が少し遅いInSb17Te78に変えた以外は、実施例A−1と同様にして、光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対し、記録速度をDVD8倍速(約27.9m/s)に変えた以外は、実施例A−1と同様にして(即ち、記録ストラテジの設定は表2と同じ)記録特性を調べた。
各パワーの設定値を、Pp=30mW、Pb=0.1mW、Pe=6mWとしたときのジッタを図6に示す。この図6の結果から分るように、1回目の繰り返し記録でも急激なジッタ上昇はなく、良好な繰り返し記録特性を示している。
(比較例A−1)
実施例A−1と同じ光記録媒体に対し、表5の条件で記録ストラテジを設定した以外は、実施例A−1と同様にして、記録特性を調べた。先頭の冷却パルスを全て0.1Tとし、2番目の冷却パルスはマーク長によっても異なるが、1.0T〜1.8Tの間に設定した。
各パワーの設定値を、Pp=38mW、Pb=0.1mW、Pe=6mWとしたときのジッタを図6に示す。この図6の結果から分るように、繰り返し記録初期のジッタ上昇は比較的少なく良好であったが、繰り返し記録耐久性が悪く、1000回目の記録では、ジッタは大きく上昇してしまっている。また、クロスイレースの影響を調べたところ、1トラックのみに記録した場合に比べて、隣接したトラックに記録をすると、既に記録してあったトラックのジッタは約1%上昇し、クロスイレースが大きいことも分った。0.1T以下の設定では高速記録の場合、冷却効果が得られていないことが分かる。
(比較例A−2)
実施例A−1と同じ光記録媒体に対し、表6の条件で記録ストラテジを設定した以外は、実施例A−1と同様にして、記録特性を調べた。マーク長が6T以上の場合、先頭の冷却パルスを0.5Tとし、2番目の冷却パルスを1.2Tとしたものである。
各パワーの設定値を、Pp=38mW、Pb=0.1mW、Pe=6mWとしたときのジッタを図6に示す。この図6の結果から分るように、1回目の繰り返し記録のジッタ上昇が大きくなってしまっている。これは、先頭の冷却パルスが長すぎたために、マーク先端形状が細くなってしまい、マーク前端部のジッタが結晶状態の差に敏感になってしまったためと推定される。
以下の実施例B−1からB−47及び比較例B−1〜B−32の光記録媒体の評価装置としてパルステック社製ODU−1000を用い、記録時に照射するレーザ波長は660nm、対物レンズの開口数(NA)は0.65とした。また再生光パワーは1.4mWとした。
第1記録層の隣接した3トラックに記録を行い、そのうちの真ん中トラックを再生することにより評価した。記録方法は1T周期記録ストラテジを用い、特性評価の判断基準は、3T〜11T及び14Tのマークとスペースをランダムに記録したときのデータ トゥ クロック ジッタ(DCジッタ)が11%以下の場合を合格とした。DCジッタとは、マークとスペースの反射率レベルをスライスレベルで2値化したとき、その境界とクロックとの時間的なずれを表したものである。この値が低いほど記録特性は良好である。
(実施例B−1〜B−4及び比較例B−1〜B−3)
直径12cm、厚み0.6mmで、片面にトラックピッチ0.74μmの蛇行した連続蛇行溝によるトラッキングガイドの凹凸を持つポリカーボネート樹脂からなる第1基板上に、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み70nmの第1下部保護層、Ag0.2In3.5Sb69.8Te22Ge4.5からなる厚み7.5nm第1記録層、In(7.5モル%)−ZnO(22.5モル%)−SnO(60モル%)−Ta(10モル%)からなる厚み5nmの第1上部保護層、Moを1.1質量%含有させたCuからなる厚み7.5nmの第1反射層、In(90モル%)−ZnO(10モル%)からなる厚み65nmの熱拡散層を順にArガス雰囲気中のスパッタリング法で成膜し、第1情報層を形成した。スパッタリングはバルザース社製の8チャンバー枚葉スパッタ装置を用いて行った。
また、第1基板と同様の基板を第2基板として、第2基板上にAgからなる厚み140nmの第2反射層、TiC(70モル%)−TiO(30モル%)からなる厚み4nmの界面層、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み20nmの第2上部保護層、Ag0.2In3.5Sb70.2Te22.6Ge3.5からなる厚み15nmの第2記録層、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み140nmの第2下部保護層を順に、第1情報層の場合と同様にして成膜し、第2情報層を形成した。
次に、第1情報層の膜面側上に紫外線硬化樹脂(日本化薬社製、カヤラッドDVD003M)を塗布し、第2情報層の膜面側を貼り合わせてスピンコートし、第1基板側から紫外線光を照射して紫外線光硬化樹脂を硬化させて、厚み55μmの中間層を形成し、2つの情報層を有する2層相変化型光記録媒体を作製した。
次に、第1情報層、及び第2情報層に対して、第1基板側からレーザ光を照射し、初期化処理を行った。初期化は、半導体レーザ(発光波長810±10nm)から出射されるレーザ光を、光ピックアップ(開口数NA=0.55)により集光することにより行った。第1記録層の初期化条件は、CLV(線速度一定)モードにより光記録媒体を回転させ、線速5m/s、送り量50μm/回転、初期化パワー900mW、半径位置23mm〜59mmとした。第2記録層の初期化条件は、CLV(線速度一定)モードにより光記録媒体を回転させ、線速5m/s、送り量40μm/回転、初期化パワー1250mW、半径位置23mm〜59mmとした。初期化の順番は、第2情報層を初期化してから第1情報層を初期化した。なお、初期化後の第1情報層の光透過率は42.5%となり、充分な光透過率が得られたことを確認した。光透過率の測定は、STEAG社製のエタオプティクスで行った。
上記光記録媒体に対して、記録線速9.2m/sで記録を行った。記録ストラテジは1T周期ストラテジを用い、そのパルス幅は0.188Tとした。
実験結果は表7のようになった。例えば、DOW10は繰り返し記録10回を意味する。表7には、記録パワーを34mWから40mWまで振って(変化させて)記録を行ったうちの最適なジッタ値を示した。
また、第2情報層への記録を1T周期ストラテジ及び2T周期ストラテジで行った。その結果、60%の変調度が得られる記録パワーは、それぞれ約47mW、約40mWとなり、2T周期で記録した方が記録感度が良好であった。なお、実施例A−1〜4のTrの相違による記録パワーの差異は殆どなかった。
(実施例B−5〜B−8及び比較例B−4〜B−6)
実施例B−1において、第1上部保護層をIn(9.2モル%)−ZnO(27.5モル%)−SnO(53.3モル%)−Ta(10モル%)に変えた以外は、実施例B−1と同様にして、2層型光記録媒体を作製し、実施例B−1と同様に記録実験を行った。なお、初期化後の第1情報層の光透過率は42.8%となり、充分な光透過率が得られたことを確認した。光透過率の測定は、STEAG社製のエタオプティクスで行った。
実験結果は表8のようになった。表8には、記録パワーを34mWから40mWまで振って記録を行ったうちの最適なジッタ値を示した。
また、第2情報層への記録を1T周期ストラテジ及び2T周期ストラテジで行った。その結果、60%の変調度が得られる記録パワーは、それぞれ約46mW、約39.5mWとなり、2T周期で記録した方が記録感度が良好であった。なお、実施例B−5〜B−8のTrの相違による記録パワーの差異は殆どなかった。
(実施例B−9〜B−12及び比較例B−7〜B−9)
実施例B−1において、第1記録層の厚みを8nmに変えた以外は、実施例B−1と同様にして、2層型光記録媒体を作製し、実施例B−1と同様に記録実験を行った。なお、初期化後の第1情報層の光透過率は38.5%となり、充分な光透過率が得られたことを確認した。光透過率の測定は、STEAG社製のエタオプティクスで行った。
実験結果は表9のようになった。表9には、記録パワーを34mWから40mWまで振って記録を行ったうちの最適なジッタ値を示した。
また、第2情報層への記録を1T周期ストラテジ及び2T周期ストラテジで行った。その結果、60%の変調度が得られる記録パワーは、それぞれ約54mW、約46mWとなり、2T周期で記録した方が記録感度が良好であった。なお、実施例B−9〜B−12のTrの相違による記録パワーの差異は殆どなかった。
(実施例B−13〜B−16及び比較例B−10〜B−12)
実施例B−1と同じ2層型光記録媒体を用いて記録実験を行った。
記録線速は4.6m/sとし、記録ストラテジは1T周期ストラテジを用い、そのパルス幅は0.125Tとした。
実験結果は表10のようになった。表10には、記録パワーを28mWから34mWまで振って記録を行ったうちの最適なジッタの値を示した。
また、第2情報層への記録を1T周期ストラテジ及び2T周期ストラテジで行った。その結果、60%の変調度が得られる記録パワーは、それぞれ約42mW、約35mWとなり、2T周期で記録した方が記録感度が良好であった。なお、実施例B−13〜B−16のTrの相違による記録パワーの差異は殆どなかった。
(実施例B−17及び比較例B−13)
実施例B−1と同じ2層型光記録媒体を用いて記録実験を行った。
その結果、図25に示すように、第1記録層に1T周期ストラテジで記録した方が繰り返し記録特性が向上した。なお、記録パワーは37mW(1T周期ストラテジ)、31mW(2T周期ストラテジ)とした。
(実施例B−18及び比較例B−14)
実施例B−1と同じ2層型光記録媒体を用いて記録実験を行った。
その結果、図26及び図27に示すように、第2記録層に2T周期ストラテジで記録した方が記録感度が良好となった。
次に、以下の実施例B−19〜B−35及び比較例B−15〜B−28のようにして、図17に示すような構成の2層型光記録媒体を作製し、評価を行った。
直径12cm、厚み0.6mmで、片面にトラックピッチ0.74μmの連続蛇行溝によるトラッキングガイドの凹凸を持つポリカーボネート樹脂からなる第1基板を用意し、その上に、バルザース社製の8チャンバー枚葉スパッタ装置を用いて、Arガス雰囲気中のスパッタリング法により、各層を成膜した。
まず、第1基板上に、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み60nmの第1下部保護層を成膜した。
次に、第1下部保護層上に、Ag0.2InSb69.8GeTe20からなる厚み8nmの第1記録層を成膜した。
次に、第1記録層上に、In(7.5モル%)−ZnO(22.5モル%)−SnO(60モル%)−Ta(10モル%)からなる厚み5nmの第1上部保護層を成膜した。
次に、第1上部保護層上に、Cuからなる厚み8nmの第1反射層を成膜した。
次に、第1反射層上に、In(90モル%)−ZnO(10モル%)からなる厚み140nmの熱拡散層を成膜した。
以上により、第1基板上に第1情報層を形成した。
ここで、第1情報層における光透過率をSTEAG社製のエタオプティクスにより測定したところ、41%であった。
次に、第1基板と同様の基板を第2基板として用意し、その上に、第1基板の場合と同様にして、スパッタリング法により、各層を成膜した。
まず、第2基板上に、Agからなる厚み140nmの第2反射層を成膜した。
次に、第2反射層上に、SnO(80モル%)−Ta(4モル%)−Al(16モル%)からなる厚み11nmの第2上部保護層を成膜した。
次に、第2上部保護層上に、Ag0.2In3.5Sb71.4Te21.4Ge3.5からなる厚み14nmの第2記録層を成膜した。
次に、第2記録層上に、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み120nmの第2下部保護層を成膜した。
以上により、第1基板上に第2情報層を形成した。
次に、第1情報層、第2情報層に対して、それぞれ第1基板側、第2情報層の膜面側からレーザ光を照射させ、初期化処理を行った。初期化は、半導体レーザ(発光波長810±10nm)から出射されるレーザ光を、光ピックアップ(NA=0.55)により集光することにより行った。初期化条件は、CLV(線速度一定)モードにより光記録媒体を回転させ、線速3m/s、送り量36μm/回転、半径位置23mm〜58mm、初期化パワー700mWとした。
次に、第1情報層の膜面側上に紫外線硬化樹脂(日本化薬社製、カヤラッドDVD003M)を塗布し、第2情報層の膜面側と貼り合わせてスピンコートし、第1基板側から紫外線光を照射して紫外線光硬化樹脂を硬化させて、厚み55μmの中間層を形成し、2つの情報層を有する2層型光記録媒体を作製した。
作製した2層型光記録媒体で基板に設けられた連続蛇行溝のプッシュプル信号(PP)評価を行ったところ、第1情報層のプッシュプル信号(以下、PP1)=0.45、第2情報層のプッシュプル信号(以下、PP2)=0.43であった。PPは、連続蛇行溝にトラッキングを行い易くするために必要な物理量である。小さ過ぎたり大き過ぎたりすると、信号を再生する装置側でトラッキングを行い難くなるなどの不具合が生じる。ここで得られたPP1及びPP2の値は良好な値である。また、蛇行している溝(ウォブル:Wobble)のキャリア・トゥ・ノイズ(WCN)を測定したところ、第1情報層の信号(以下、WCN1)=50dB、第2情報層の信号(以下、WCN2)=46dBが得られた。ここで、WCNがある値よりも小さいと、ウォブルの周期性が低く均一性のよくない基板が作製されていることとなり好ましくない。しかし、ここで得られたWCN1及びWCN2の値は、良好な値である。
得られた2層型光記録媒体を用い、以下のように記録条件を変えて記録を行った。
(実施例B−19)
図11に示すパルス波形を用いて、記録線速度14m/s、記録パワーPp=46mW、消去パワーPe=7mW、冷却パワーPc1=4mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
その結果、DCジッタは10.7%となり良好であった。
(比較例B−15)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度14m/s、記録パワーPp=46mW、消去パワーPe=7mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
その結果、DCジッタは13.7%となり、実施例B−19よりも特性が悪化した。
(実施例B−20)
図11に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=38mW、消去パワーPe=6.8mW、冷却パワーPc1=3.9mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
その結果、DCジッタは10.3%となり良好であった。
(比較例B−16)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=38mW、消去パワーPe=6.8mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
その結果、DCジッタは12.5%となり、実施例B−20よりも特性が悪化した。
(実施例B−21)
図11に示すパルス波形を用いて、記録線速度7m/s、記録パワーPp=36mW、消去パワーPe=6.6mW、冷却パワーPc1=3.5mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.18Tとした。
その結果、DCジッタは10.4%となり良好であった。
(比較例B−17)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度7m/s、記録パワーPp=36mW、消去パワーPe=6.6mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.18Tとした。
その結果、DCジッタは12.9%となり、実施例B−21よりも特性が悪化した。
(実施例B−22)
図11に示すパルス波形を用いて、記録線速度3.5m/s、記録パワーPp=33mW、消去パワーPe=6.3mW、冷却パワーPc1=3.4mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.13Tとした。
その結果、DCジッタは9.8%となり良好であった。
(比較例B−18)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度3.5m/s、記録パワーPp=33mW、消去パワーPe=6.3mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.13Tとした。
その結果、DCジッタは11.5%となり、実施例B−22よりも特性が悪化した。
(実施例B−23)
図13に示すパルス波形を用いて、記録線速度14m/s、記録パワーPp=46mW、消去パワーPe=7.2mW、冷却パワーPc1=4.2mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
その結果、DCジッタは10.8%となり良好であった。
(比較例B−19)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度14m/s、記録パワーPp=46mW、消去パワーPe=7.2mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
その結果、DCジッタは13.9%となり、実施例B−23よりも特性が悪化した。
(実施例B−24)
図13に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=40mW、消去パワーPe=7mW、冷却パワーPc1=4mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.4Tとした。
その結果、DCジッタは10.1%となり良好であった。
(比較例B−20)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=40mW、消去パワーPe=7mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.4Tとした。
その結果、DCジッタは12.9%となり、実施例B−24よりも特性が悪化した。
(実施例B−25)
図14に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=40mW、消去パワーPe=7.3mW、冷却パワーPc1=4.3mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
その結果、DCジッタは10.1%となり良好であった。
(比較例B−21)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=40mW、消去パワーPe=7.3mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
その結果、DCジッタは12.1%となり、実施例B−25よりも特性が悪化した。
(実施例B−26)
図14に示すパルス波形を用いて、記録線速度7m/s、記録パワーPp=36mW、消去パワーPe=7.1mW、冷却パワーPc1=4.1mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.18Tとした。
その結果、DCジッタは10.6%となり良好であった。
(比較例B−22)
図16に示すパルス波形を用いて、記録線速度7m/s、記録パワーPp=36mW、消去パワーPe=7.1mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。
マルチパルスの幅は0.18Tとした。
その結果、DCジッタは12.8%となり、実施例B−26よりも特性が悪化した。
(実施例B−27)
図12に示すパルス波形を用いて、記録線速度8.41m/s、記録パワーPp=39mW、消去パワーPe=7mW、冷却パワーPc1=4mW、Pc2=2mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
その結果、DCジッタは10.5%となり良好であった。
(実施例B−28)
直径12cm、厚み0.6mmで、片面にトラックピッチ0.74μmの蛇行した連続蛇行溝によるトラッキングガイドの凹凸を持つポリカーボネート樹脂からなる第1基板上に、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み60nmの第1下部保護層、Ag0.2In3.5Sb71.4Te21.4Ge3.5からなる厚み8nmの第1記録層、In(7.5モル%)−ZnO(22.5モル%)−SnO(60モル%)−Ta(10モル%)からなる厚み5nmの第1上部保護層、Moを1.0質量%含有させたCuからなる厚み8nmの第1反射層、In(90モル%)−ZnO(10モル%)からなる厚み60nmの熱拡散層を順にArガス雰囲気中のスパッタリング法で成膜し、第1情報層を形成した。スパッタリング装置は実施例B−19と同じものを用いた。
また、第1基板と同様の基板を第2基板として、その上にAgからなる厚み140nmの第2反射放熱層、In(7.5モル%)−ZnO(22.5モル%)−SnO(60モル%)−Ta(10モル%)からなる厚み20nmの第2上部保護層、Ag0.2In3.5Sb71.4Te21.4Ge3.5からなる厚み15nmの第2記録層、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)からなる厚み120nmの第2下部保護層を順に、第1情報層の場合と同様にして成膜し、第2情報層を形成した。
次に、第1情報層、及び第2情報層に対して、それぞれ第1基板側、第2情報層の膜面側からレーザ光を照射し、初期化処理を行った。初期化は、半導体レーザ(発光波長810±10nm)から出射されるレーザ光を、光ピックアップ(開口数NA=0.55)により集光することにより行った。第1記録層の初期化条件は、CLV(線速度一定)モードにより光記録媒体を回転させ、線速3m/s、送り量36μm/回転、半径位置23mm〜58mm、初期化パワー700mWとした。第2記録層の初期化条件は、CLV(線速度一定)モードにより光記録媒体を回転させ、線速3m/s、送り量36μm/回転、半径位置23mm〜58mm、初期化パワー500mWとした。
初期化後の第1情報層の光透過率は40%となり、充分な光透過率が得られていることを確認した。光透過率の測定は、STEAG社製のエタオプティクスで行った。
次に、第1情報層の膜面側上に紫外線硬化樹脂(日本化薬社製、カヤラッドDVD003M)を塗布し、第2情報層の膜面側を貼り合わせてスピンコートし、第1基板側から紫外線光を照射して紫外線光硬化樹脂を硬化させて、厚み55μmの中間層を形成し、2つの情報層を有する2層相変化型光記録媒体を作製した。
作製した2層型光記録媒体で基板に設けられた連続蛇行溝の評価を行ったところ、PP1=0.47、PP2=0.42であった。ここで得られたPP1及びPP2の値は、良好な値である。また、WCN1=51dB、WCN2=45dBが得られた。ここで得られたWCN1及びWCN2の値は、良好な値である。
このようにして作製した2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を8.4m/sとし、図11に示す記録波形により記録を行った。第1情報層及び第2情報層へ記録する際のパワー比率は異なっている。結果を表11及び図20に示す。
(比較例B−23)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1記録層及び第2記録層の記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε、及び記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1の比率δ1を同一にした以外は、実施例B−28と同様にして記録を行った。結果を表11及び図20に示す。
(実施例B−29)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を9.9m/sとし、図11に示す記録波形により記録を行った。第1情報層及び第2情報層へ記録する際のパワー比率は異なっている。
(比較例B−24)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1記録層及び第2記録層の記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε、及び記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1の比率δ1を同一にした以外は、実施例B−29と同様にして記録を行った。
(実施例B−30)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を11.5m/sとし、図11に示す記録波形により記録を行った。第1情報層及び第2情報層へ記録する際のパワー比率は異なっている。
(比較例B−25)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1記録層及び第2記録層の記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε、及び記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1の比率δ1を同一にした以外は、実施例B−30と同様にして記録を行った。
(実施例B−31)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を8.4m/sとし、図13に示す記録波形により記録を行った。第1情報層及び第2情報層へ記録する際のパワー比率は異なっている。
(比較例B−26)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1記録層及び第2記録層の記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε、及び記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1の比率δ1を同一にした以外は、実施例B−31と同様にして記録を行った。
(実施例B−32)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を8.4m/sとし、図14に示す記録波形により記録を行った。第1情報層及び第2情報層へ記録する際のパワー比率は異なっている。
(比較例B−27)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1記録層及び第2記録層の記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε、及び記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1の比率δ1を同一にした以外は、実施例B−32と同様にして記録を行った。
(実施例B−33)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を8.4m/sとし、図12に示す記録波形により記録を行った。第1情報層及び第2情報層へ記録する際のパワー比率は異なっている。
(比較例B−28)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1記録層及び第2記録層の記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε、及び記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1の比率δ1を同一にした以外は、実施例B−33と同様にして記録を行った。
上記実施例B−28〜B−33及び比較例B−23〜B−28の記録特性の評価結果を纏めて表11に示す。
(実施例B−34)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録速度を8.4m/sとし、図11に示す記録波形により、第2記録層に2T周期ストラテジで記録を行った。
結果を図22に示すが、1T周期ストラテジで記録を行った実施例B−28よりも記録感度が約10%程度良好であることが分る。
(実施例B−35)
実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、記録線速8.4m/s、記録パワーPp=42mW、消去パワーPe=7mW、Pe=4mWとして1Tストラテジで記録を行った。
結果を表12に示すが、図15や図16に示すような従来の記録方法と比較して、第1情報層の繰り返し記録特性が向上することが分る。なお、従来法の欄の繰り返し記録回数2回以上の場合は、1回の場合よりも悪くなることが明らかであり、数値を示す意味がないため測定しなかった。
(実施例B−36)
実施例B−28において、第1記録層及び第2記録層を共にAg0.5In3.9Sb69.6Te24Geに変え、第2上部保護層をZnS(80モル%)−SiO(20モル%)に変えた以外は、実施例B−28と同じ層構成及び厚みを有する2層型光記録媒体を作製し、図11に示すパルス波形により、記録線速度15.3m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=7mW、冷却パワーPc1=4mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.8%であり良好であった。
(比較例B−29)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図16に示すパルス波形により、記録線速度15.3m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=7mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは11.3%となり、実施例B−36よりも特性が悪化した。
(実施例B−37)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図11に示すパルス波形により、記録線速度9.2m/s、記録パワーPp=28mW、消去パワーPe=6mW、冷却パワーPc1=3mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.6%であり良好であった。
(比較例B−30)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図16に示すパルス波形により、記録線速度9.2m/s、記録パワーPp=28mW、消去パワーPe=6mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは10.9%となり、実施例B−37よりも特性が悪化した。
(実施例B−38)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図11に示すパルス波形により、記録線速度8.4m/s、記録パワーPp=26mW、消去パワーPe=6mW、冷却パワーPc1=3mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは10%であり良好であった。
(比較例B−31)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図16に示すパルス波形により、記録線速度8.4m/s、記録パワーPp=26mW、消去パワーPe=6mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは11.1%となり、実施例B−38よりも特性が悪化した。
(実施例B−39)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図13に示すパルス波形により、記録線速度15.3m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=6.2mW、冷却パワーPc1=2.8mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.5%であり良好であった。
(実施例B−40)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図13に示すパルス波形により、記録線速度9.2m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=6mW、冷却パワーPc1=3mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.6%であり良好であった。
(実施例B−41)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図14に示すパルス波形により、記録線速度15.3m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=6.5mW、冷却パワーPc1=3.2mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.7%であり良好であった。
(実施例B−42)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図14に示すパルス波形により、記録線速度9.2m/s、記録パワーPp=28mW、消去パワーPe=5.9mW、冷却パワーPc1=2.8mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.5%であり良好であった。
(実施例B−43)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図12に示すパルス波形により、記録線速度15.3m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=7mW、冷却パワーPc1=4mW、Pc2=2mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.3%であり良好であった。
(実施例B−44)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図12に示すパルス波形により、記録線速度9.2m/s、記録パワーPp=28mW、消去パワーPe=6.2mW、冷却パワーPc1=4mW、Pc2=2.1mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに100回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.4%であり良好であった。
(実施例B−45)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図21に示すパルス波形により、記録線速度15.3m/s、記録パワーPp=30mW、消去パワーPe=7.2mW、Pe−=4.2mW、冷却パワーPc1=6.6mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.3Tとした。
第1記録層のトラックに1000回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.4%であり良好であった。
(実施例B−46)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、図21に示すパルス波形により、記録線速度9.2m/s、記録パワーPp=28mW、消去パワーPe=6.8mW、Pe−=3.8mW、冷却パワーPc1=3.8mW、バイアスパワーPb=0.1mWに設定して記録を行った。マルチパルスの幅は0.2Tとした。
第1記録層のトラックに1000回繰り返して記録したところ、第1記録層のDCジッタは9.2%であり良好であった。
(実施例B−47)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、初めに第1情報層の半径位置24〜58mmに9.2m/sでの記録を行い、そのあと第2情報層の半径位置40mmに9.2m/sで記録した。
結果は図23のようになった。図23の結果から、実施例B−47の方が比較例B−32よりも低パワーで変調度を高くとることができていることが分る。
(比較例B−32)
実施例B−36と同じ層構成及び厚みを有する2層相変化型光記録媒体に対し、第1情報層には記録せず、第2情報層の半径位置40mmに、9.2m/sで記録した。
結果は図23のようになった。図23の結果から、実施例B−47よりも感度が悪く、高いパワーを要することが分る。
本発明の光記録媒体並びにその光記録方法及び光記録装置は、DVDの6〜8倍速相当以上の高速記録時にも、繰り返し記録耐久性の劣化やクロストークの増大を招くことなく、初期結晶状態によらず繰り返し記録初期のジッタ上昇を低減することが可能であり、各種CD、DVDに適用できる。
本発明の多層型光記録媒体並びにその光記録方法及び光記録装置は、記録層が受ける熱的なダメージを抑制し、記録や消去を的確に行い、繰り返し記録特性を良好にできるので、特に多層型のCD、多層型のDVD、多層型の青色波長対応の光記録媒体などに好適に用いられる。
図1は、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッタの変動例を示す図である。 図2は、初期化直後と1ヵ月後の繰り返し記録後のジッタを示す図である。 図3は、DVD仕様かつ高速仕様の相変化型光記録媒体の一例を示す図である。 図4は、最初の加熱パルスで形成された非晶質部は再結晶化によって消失してしまうものの、1番目の加熱パルスの予熱効果により2番目の加熱パルスの照射時の温度が高くなって溶融領域が広がり、結果としてマーク先端部が大きくなる様子を模式的に示す図である。 図5は、本発明の光記録方法を実現するための光記録装置の一例を示す構成図である。 図6は、実施例及び比較例における繰り返し記録後のジッタを示す図である。 図7は、DVD+RW等で使用されているマークとスペースとからなるデータを繰返し記録するための波形発光パターン(記録ストラテジ)を示す図である。 図8は、実施例の各マーク長毎の波形発光パターン(記録ストラテジ)を示す図である。 図9は、6T以上のマークの2番目の冷却パルスの長さを変えてランダムパターンを記録した場合の初回記録と繰り返し記録10回のマーク先頭のジッタを調べた結果を示す図である。 図10は、Pp=38mWに固定し、Peの値を変えてPe/Ppの値を変化させ、ランダムパターンを記録した場合の初回記録と繰り返し記録10回のジッタの値を示す図。である 図11は、Pc1〜PcNのパワーレベルが設けられた本発明の第1形態に係る記録方法のうち、N=1の場合のレーザ発光パターンの一例を示す図である。 図12は、Pc1〜PcNのパワーレベルが設けられた本発明の第1形態に係る記録方法のうち、N=2の場合のレーザ発光パターンの一例を示す図である。 図13は、Pc1〜PcNのパワーレベルが設けられた本発明の第2形態に係る記録方法のうち、N=1の場合のレーザ発光パターンの一例を示す図である。 図14は、Pc1〜PcNのパワーレベルが設けられた本発明の第3形態に係る記録方法のうち、N=1の場合のレーザ発光パターンの一例を示す図である。 図15は、従来の記録方法でのレーザ発光パターンの一例を示す図である。 図16は、従来の記録方法でのレーザ発光パターンの他の一例を示す図である。 図17は、本発明の2層型光記録媒体の層構成の一例を示す図である。 図18は、記録層におけるSb量と記録線速との関係を示すグラフである。 図19は、アシンメトリについて説明した図である。 図20は、第1情報層及び第2情報層へ図11の記録ストラテジで記録した場合の記録特性を比較した図である。 図21は、Peを含んだ場合のレーザ発光波形を表した図である。 図22は、第2情報層について、実施例B−34の記録特性を実施例B−28の記録特性と比較した図である。 図23は、実施例B−47、比較例B−32の変調度を比較した図である。 図24の(1)は、従来の単層光記録媒体を例示した図であり、図24の(2)は、従来の2層光記録媒体において、光照射側から見て手前側の情報層の記録方法の一例を示した図であり、図24の(3)は、従来の2層光記録媒体において、光照射側から見て手前側の情報層の記録方法の別の例を示した図である。 図25は、実施例B−17について、ジッタを比較した図である。 図26は、実施例B−18について、ジッタを比較した図である。 図27は、実施例B−18について、変調度を比較した図である。 図28は、記録パルスストラテジのパラメータを示した図である。 図29は、手前側の記録層で、繰り返し記録10回の記録特性を比較した図である。 図30は、手前側の記録層で、繰り返し記録500回までの記録特性を比較した図である。 図31は、図29及び図30で実際に用いた記録ストラテジパラメータを示した図である。 図32は、記録パワーと変調度との関係を示すグラフである。 図33は、本発明の片面多層光記録媒体を搭載した光記録装置の一例を示す図である。 図34は、1Tストラテジを示す波形パターンである。 図35は、2Tストラテジを示す波形パターンである。 図36は、3Tストラテジを示す波形パターンである。
符号の説明
1 第1情報層
2 第2情報層
3 第1基板
4 中間層
5 第2基板
11 第1下部保護層
12 第1記録層
13 第1上部保護層
14 第1反射層
15 熱拡散層
21 第2下部保護層
22 第2記録層
23 第2上部保護層
24 第2反射層
25 アクチュエータ制御機構
26 プログラマブルBPF
27 ウォブル検出部
28 アドレス復調回路
101 基板
102 第1保護層
103 相変化記録層
104 第2保護層
105 反射層
106 相変化型光記録媒体
107 硫化防止層
108 有機保護層
121 スピンドルモータ
122 回転制御機構
123 レーザ光源
124 光ヘッド
215 光ディスク
220 光記録装置
221 シークモータ
222 スピンドルモータ
223 光ピックアップ装置
224 レーザ制御回路
225 エンコーダ
226 駆動制御回路
228 再生信号処理回路
234 バッファRAM
237 バッファマネージャ
238 インターフェース
239 フラッシュメモリ
240 CPU

Claims (27)

  1. 光記録媒体にレーザ光を照射して、記録マークの時間的長さがnT(ただし、nは自然数、Tは基本クロック周期である)で表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、
    前記記録マークの形成は、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルス(ただし、Pp>Pb)を交互にm回照射することにより行い、次式、m≦(n/2+1)を満たし、先頭の冷却パルスの照射時間が、0.2T〜0.4Tであることを特徴とする光記録方法。
  2. mの値がm≧3である場合、2番目の冷却パルスの照射時間が、1.0T〜2.5Tである請求項1に記載の光記録方法。
  3. スペース部の形成はパワーPe(ただし、Pp>Pe>Pb)のレーザ光を照射することにより行い、次式、0.1≦Pe/Pp≦0.4の条件を満たす請求項1から2のいずれかに記載の光記録方法。
  4. 光記録媒体が、相変化型光記録媒体である請求項1から3のいずれかに記載の光記録方法。
  5. 相変化光記録媒体が、基板と、該基板上に少なくとも第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層を有する光記録媒体であって、前記相変化記録層は、Sbと、Ge、Ga、In、Zn、Mn、Sn、Ag、Mg、Ca、Bi、Se、及びTeから選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項4に記載の光記録方法。
  6. 相変化記録層のSbの含有量が50〜90原子%である請求項5に記載の光記録方法。
  7. 反射層がAg及びAg合金を含有する請求項5から6のいずれかに記載の光記録方法。
  8. 第1保護層及び第2保護層が、ZnSとSiOの混合物を含有する請求項5から7のいずれかに記載の光記録方法。
  9. 相変化光記録媒体が、反射層と第2保護層との間に更に硫化防止層を有し、反射層がAg及びAg合金のいずれかからなり、第2保護層がZnSとSiOの混合物からなる請求項5から8のいずれかに記載の光記録方法。
  10. 基板と、該基板上に少なくとも第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層を有する光記録媒体であって、前記相変化記録層は、Sbと、Ge、Ga、In、Zn、Mn、Sn、Ag、Mg、Ca、Bi、Se、及びTeから選ばれる少なくとも1種の元素を含み、前記光記録媒体は、請求項1から4のいずれかに記載の光記録方法に用いられることを特徴とする光記録媒体。
  11. 相変化記録層のSbの含有量が50〜90原子%である請求項10に記載の光記録媒体。
  12. 反射層がAg及びAg合金を含有する請求項10から11のいずれかに記載の光記録媒体。
  13. 第1保護層及び第2保護層が、ZnSとSiOの混合物を含有する請求項10から12のいずれかに記載の光記録媒体。
  14. 反射層と第2保護層との間に更に硫化防止層を有し、反射層がAg及びAg合金のいずれかからなり、第2保護層がZnSとSiOの混合物からなる請求項10から13のいずれかに記載の光記録媒体。
  15. 光記録媒体を回転させる回転駆動機構と、前記光記録媒体に照射するレーザ光を発するレーザ光源と、該レーザ光源を発光させる光源駆動手段と、レーザ光源が発する光ビームの発光波形に関する記録ストラテジとして光源駆動手段を制御する発光波形制御手段と、を備える光記録装置であって、
    光記録媒体に、記録マークの時間的長さがnT(ただし、nは自然数、Tは基本クロック周期である)で表されるマーク長記録方式により情報を記録し、前記記録ストラテジは、記録マークの形成が、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルス(ただし、Pp>Pb)を交互にm回照射することにより行われ、次式、m≦(n/2+1)の条件を満たし、先頭の冷却パルスの照射時間が0.2T〜0.4Tとなるように設定されていることを特徴とする光記録装置。
  16. 記録ストラテジは、m≧3である場合、2回目の冷却パルスの照射時間が、1.0T〜2.5Tとなるように設定される請求項15に記載の光記録装置。
  17. 記録ストラテジは、スペース部の形成が、光記録媒体にパワーPe(ただし、Pp>Pe>Pb)のレーザ光を照射することにより行われ、次式、0.1≦Pe/Pp≦0.4の条件を満たすように設定される請求項15から16に記載の光記録装置。
  18. レーザ光線と、基板上に少なくとも相変化記録層を2層以上有する多層型光記録媒体を有する多層型光記録媒体の光記録装置であって、複数のパルスからなる記録パルス列で記録マークを形成する際に、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後の少なくとも一方のバイアスパワーレベルPbとの間における冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbで表される関係を満たすパルス列により記録マークが形成されることを特徴とする多層型光記録媒体の光記録装置。
  19. 記録マークが、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbで表される関係を満たすパルス列により形成される請求項18に記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  20. 記録マークが、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbで表される関係を満たすパルス列により形成される請求項18に記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  21. 記録マークが、バイアスパワーレベルPbと記録パワーレベルPpとの間で変調され、かつ消去パワーレベルPeと、先頭パルスの前及び最終パルスの後のバイアスパワーレベルPbとの間における、冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcN(ただし、Nは1以上の整数を表す)が、次式、Pp>Pe>Pc1>Pc2・・・>PcN>Pbで表される関係を満たすパルス列により形成される請求項18に記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  22. 冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNにおけるNが、1〜3のいずれかの整数である請求項18から21のいずれかに記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  23. 2層以上の各相変化記録層に記録する際に、記録パワーレベルPpと消去パワーレベルPeの比率ε(=Pe/Pp)、記録パワーレベルPpと冷却パワーレベルPc1、Pc2、・・・、PcNの比率δ1、・・・δN(=Pc1/Pp、・・・、PcN/Pp)のうち少なくとも一方を、記録層ごとに変えて記録を行う請求項18から22のいずれかに記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  24. 長さnT(ただし、nは1以上の整数、Tはクロック周期である)の記録マークを記録する際の記録パワーレベルPpの照射パルスの個数をm(ただし、mは1以上の整数である)としたとき、nが偶数のときはn=2m、nが奇数のときはn=2m+1の関係を満たす請求項18から23のいずれかに記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  25. 最短マークのみ1パルス多くして情報が記録される請求項24に記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  26. 消去パワーレベルPeに対し、Peよりも低い消去パワーレベルPeのパルス状の構造が消去パワーレベルPe照射中に含まれる請求項18から24のいずれかに記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
  27. 多層型光記録媒体の各情報層に記録する際に、レーザ光束を照射する側から見て手前側の情報層から順番に記録していく請求項18から26のいずれかに記載の多層型光記録媒体の光記録装置。
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