JP2007178292A - 破壊リスク評価装置およびその評価方法、記録媒体並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】原子力プラントにおいて欠陥が検出された場合、破壊することなく、欠陥に起因する各機器の破壊確率を計算し、その破壊確率に基づいて破壊リスクを計算し、各機器を評価することができるようにする。
【解決手段】ステップS11乃至S27において、制御部11は、外部記録媒体21からき裂データを取得し、そのき裂データに基づいて機器に生じているき裂が検出されたか否かを判定し、き裂が検出されたと判定された場合、制御部11は、機器に生じているき裂の寸法を測定し、測定されたき裂の寸法に基づいてモンテカルロシミュレーションを行う。また、制御部11は、モンテカルロシミュレーションによる解析結果に基づいて、破壊するケースか否かを設定し、設定された破壊するケースの数と破壊しないケースの数に基づいて、機器の破壊確率を計算する。本発明は、破壊リスク評価装置に適用することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】ステップS11乃至S27において、制御部11は、外部記録媒体21からき裂データを取得し、そのき裂データに基づいて機器に生じているき裂が検出されたか否かを判定し、き裂が検出されたと判定された場合、制御部11は、機器に生じているき裂の寸法を測定し、測定されたき裂の寸法に基づいてモンテカルロシミュレーションを行う。また、制御部11は、モンテカルロシミュレーションによる解析結果に基づいて、破壊するケースか否かを設定し、設定された破壊するケースの数と破壊しないケースの数に基づいて、機器の破壊確率を計算する。本発明は、破壊リスク評価装置に適用することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は破壊リスク評価装置およびその評価方法、記録媒体並びにプログラムに係り、特に、プラントにおいて欠陥が検出された場合、破壊することなく、欠陥に起因する各機器の破壊確率を計算し、その破壊確率に基づいて破壊リスクを計算し、各機器を評価することができるようにした破壊リスク評価装置およびその評価方法、記録媒体並びにプログラムに関する。
プラントなどにおいては、応力腐食割れ(SCC(Stress Corrosion Cracking))により生じた欠陥(例えば、き裂など)による破壊(損傷)事例が多数報告されている。そのため、このような破壊が起こらないように、プラントなどにおいては定期的に欠陥の有無についての検査を行い、検査により欠陥が検出された場合には、補修や部材の交換など行うようにしている。
ところで、プラントなどにおいて定期的に欠陥の有無についての検査を行う場合、一般に、プラントなどの維持を安全かつ効率的に実施するための1つの指標として「破壊リスク」という指標が用いられている。この「破壊リスク」という指標は、プラントなどで応力腐食割れ(SCC(Stress Corrosion Cracking))により生じた欠陥が検出された場合に、プラント稼動時にその欠陥が進展し、さらに地震などの過大荷重が作用することにより破壊が起きる確率(以下、「破壊確率」という。)と、応力腐食割れ(SCC(Stress Corrosion Cracking))により生じた欠陥により実際に破壊が起きた場合の破壊による損害額(復旧費用を含む)と、プラントを運転させるときにかかる運転コスト(検査や保全にかかる費用も含む)を用いて、[数1]に従い、定義される。
[数1]
(破壊リスク)=(破壊確率)×(損害額)+(1−破壊確率)×(運転コスト)
なお、上記で用いた「欠陥が進展する」とは、プラントなどにおいて検出された欠陥がさらに成長することを意味し、以下、同様に用いる。
(破壊リスク)=(破壊確率)×(損害額)+(1−破壊確率)×(運転コスト)
なお、上記で用いた「欠陥が進展する」とは、プラントなどにおいて検出された欠陥がさらに成長することを意味し、以下、同様に用いる。
そこで、プラントなどの維持を安全かつ効率的に実施するために、破壊リスクを評価することによりプラントの安全性評価などを行う方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1では、予防保全の対象となる各機器についてのプラントなどにおける重要度ランキングを計算・表示し、さらに、予防保全の効果をグラフとして画像表示させることにより、原子力プラント、化学プラントなどでどの機器の保全が効果的かつ経済的かを簡便に把握することができる方法が提案されている。
また、特許文献2では、現時点でのプラント全体としての破壊確率と、運用診断対象が破壊してプラントへの影響を生じる程度の期待値を示すプラントリスク評価値を計算し、プラントの短期的運転条件の変更をすることができる方法が提案されている。
特開平8−115108号公報
特開2002−73155号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に提案されている方法では、プラント全体の安全性に影響するような過酷な稼働状況における破壊リスクの評価をすることはできるが、プラント内の個々の機器についての破壊リスクの評価をすることは困難であるという課題があった。
また、一般に、破壊リスク評価に基づく運営維持がすでに行われている火力プラントと、破壊リスク評価に基づく運営維持がそれほど行われていない原子力プラントとでは、プラントの維持規格、体系的な法規、および基準などという点において大きく異なっている。さらに、火力プラントにおいて欠陥の進展評価を行う場合、多くのプラントデータに基づく破壊の傾向に基づいた予測による手法が用いられており、破壊力学に基づいた予測による手法は用いられていない。従って、火力プラントに用いられる破壊リスク評価方法を、原子力プラントにそのまま用いることができないという課題があった。
さらに、従来、原子力プラントの保全は厳格な設計・建設規格に従っていたため、原子力プラントなどにおいて欠陥が検出された場合、検出された欠陥が生じている機器だけでなく、その原子力プラント全体として稼動することができなかった。そのため、原子力プラントなどにおいて検出された欠陥は、完全に廃棄されていた。その結果、原子力プラントに生じた欠陥による破壊確率を定量的に評価するために必要な欠陥の分布、欠陥の荷重条件、および材料特性などに対する統計的なデータは、ほとんど蓄積されてこなかった。また、破壊リスクの評価に必要な費用なども個々のプラントにより大きく異なり、その情報も入手し難いため、破壊確率や破壊リスクの評価は困難であるという課題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされてものであり、原子力プラントにおいて欠陥が検出された場合、破壊することなく、欠陥に起因する各機器の破壊確率を計算し、その破壊確率に基づいて破壊リスクを計算し、各機器を評価することで、原子力プラントの運営維持の信頼性を向上させることができるようにすることを目的としている。
本発明の破壊リスク評価装置は、上述した課題を解決するために、被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得手段と、取得手段により取得された欠陥データに基づいて、披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段により被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定手段と、測定手段により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、被評価物に生じている欠陥を解析する解析手段と、解析手段により解析された解析結果に基づいて、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算手段とを備えることを特徴とする。
予め作成された解析条件には、少なくとも、被評価物に加えられる荷重である運転荷重、被評価物の材料の性質を数値化した値である材料特性、地震によって誘起される加速度によって被評価物にかかる力である地震荷重、被評価物が破壊するときに示す力である材料特性、および被評価物に生じている欠陥が進展し破壊に至るときの応力拡大係数の限界値である破壊靭性が含まれるようにすることができる。
予め作成された解析条件には、少なくとも、測定手段により欠陥の寸法を測定するときのばらつき度合いを示す欠陥寸法測定ばらつき値が含まれるようにすることができる。
予め作成された解析条件には、少なくとも、被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が含まれるようにすることができる。
解析手段は、被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が所定の値より大きいか否かを判定する欠陥進展限界値判定手段をさらに備え、欠陥限界値判定手段により被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が所定の値より大きいと判定された場合、解析手段は、破壊するケースと設定し、欠陥限界値判定手段により被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が所定の値より大きくないと判定された場合、解析手段は、破壊しないケースと設定し、破壊確率計算手段は、解析手段により設定された破壊するケースの数である破壊ケース数と、解析手段により設定された破壊しないケースの数である破壊しないケース数の比から、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算するようにすることができる。
予め作成された解析条件には、少なくとも、被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が含まれるようにすることができる。
解析手段は、被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が所定の値より大きいか否かを判定する破壊部位判定手段をさらに備え、破壊部位判定手段により被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が所定の値より大きいと判定された場合、解析手段は、破壊するケースと設定し、破壊部位判定手段により被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が所定の値より大きくないと判定された場合、解析手段は、破壊しないケースと設定し、破壊確率計算手段は、解析手段により設定された破壊するケースの数である破壊ケース数と、解析手段により設定された破壊しないケースの数である破壊しないケース数の比から、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算するようにすることができる。
この破壊リスク評価装置は、破壊確率計算手段により計算された破壊確率と、被評価物が欠陥により破壊された場合の損害額、および被評価物の破壊確率を計算するまでの一連の検査に伴うコストに基づいて、被評価物が欠陥により破壊されるリスクである破壊リスクを計算する破壊リスク計算手段をさらに備えるようにすることができる。
この破壊リスク評価装置は、解析手段により解析された解析結果、破壊確率計算手段により計算された破壊確率、および破壊リスク計算手段により計算された破壊リスクのデータである破壊リスクデータに基づいて、被評価物を次回検査する時期である次回検査時期を計算する時期計算手段をさらに備えるようにすることができる。
この破壊リスク評価装置は、解析手段により解析された解析結果に基づいて、被評価物を次回検査する場合の、被評価物に生じている欠陥の寸法の予測値を計算する寸法予測値計算手段をさらに備えるようにすることができる。
この破壊リスク評価装置は、寸法予測値計算手段により計算された欠陥の寸法の予測値を記憶する予測値記憶手段と、予測値記憶手段により予め記憶されている欠陥の寸法の予測値と、測定手段により測定された欠陥の寸法とを比較して、予測値記憶手段により予め記憶されている欠陥の寸法の予測値と測定手段により測定された欠陥の寸法の差が所定の値よりも大きいか否かを判定する寸法判定手段と、寸法判定手段により、予測値記憶手段により予め記憶されている欠陥の寸法の予測値と測定手段により測定された欠陥の寸法の差が所定の値よりも大きいと判定された場合、解析手段により解析するときに用いられる予め作成された解析条件を更新する更新手段とをさらに備えるようにすることができる。
解析手段は、乱数を用いたモンテカルロシミュレーションにより解析するようにすることができる。
この破壊リスク評価装置は、欠陥判定手段により被評価物に欠陥が生じていないと判定された場合、欠陥判定手段により被評価物に欠陥が生じていないと判定された被評価物の部位について、被評価物に生じている欠陥が検出される確率である検出確率を計算する検出確率計算手段をさらに備え、測定手段は、検出確率計算手段により計算された検出確率に基づいて、欠陥判定手段により被評価物に欠陥が生じていないと判定された部位での、被評価物に生じている欠陥の寸法を測定するようにすることができる。
この破壊リスク評価装置は、欠陥判定手段により被評価物に欠陥が生じていないと判定された被評価物の部位が、被評価物における所定の領域であるか否かを判定する領域判定手段をさらに備え、検出確率計算手段は、領域判定手段により判定された判定結果に基づいて、被評価物に生じている欠陥が検出される確率である検出確率を計算するようにすることができる。
被評価物は、被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子に基づいて、少なくとも3つの領域に予め分類されるようにすることができる。
被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子のうち、少なくとも1つの因子も有さない被評価物の部位は、第1の領域に分類され、被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子のうち、3つとも有しており、かつ、欠陥がまだ生じていない部位は、第2の領域に分類され、被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子のうち、3つとも有しており、かつ、欠陥がすでに生じている部位は、第3の領域に分類されるようにすることができる。
本発明の破壊リスク評価方法は、上述した課題を解決するために、被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得ステップと、取得ステップの処理により取得された欠陥データに基づいて、披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定ステップと、欠陥判定ステップの処理により被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定ステップと、測定ステップの処理により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、被評価物に生じている欠陥を解析する解析ステップと、解析ステップの処理により解析された解析結果に基づいて、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算ステップとを含むことを特徴とする。
本発明の記録媒体のプログラムは、上述した課題を解決するために、被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得ステップと、取得ステップの処理により取得された欠陥データに基づいて、披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定ステップと、欠陥判定ステップの処理により被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定ステップと、測定ステップの処理により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、被評価物に生じている欠陥を解析する解析ステップと、解析ステップの処理により解析された解析結果に基づいて、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、上述した課題を解決するために、被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得ステップと、取得ステップの処理により取得された欠陥データに基づいて、披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定ステップと、欠陥判定ステップの処理により被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定ステップと、測定ステップの処理により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、被評価物に生じている欠陥を解析する解析ステップと、解析ステップの処理により解析された解析結果に基づいて、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明の破壊リスク評価装置およびその評価方法、記録媒体並びにプログラムにおいては、被評価物の欠陥に関する欠陥データが取得され、取得された欠陥データに基づいて、披評価物に欠陥が生じているか否かが判定され、被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、被評価物に生じている欠陥の寸法が測定され、測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、被評価物に生じている欠陥が解析され、解析された解析結果に基づいて、被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率が計算される。
本発明によれば、原子力プラントの各機器に生じている欠陥の寸法を、破壊することなく測定し、測定された欠陥についてモンテカルロシミュレーションにより解析し、その解析結果に基づいて破壊確率を計算することができる。また、計算された破壊確率に基づいて破壊リスクを計算することができる。これにより、原子力プラントの各機器の評価をすることができる。従って、原子力プラントの運営維持の信頼性を向上させることができる。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用した破壊リスク評価装置1の内部の構成を表している。
図1に示されるように、破壊リスク評価装置1は、制御部11、記憶部12、入力部13、および出力部14により構成されている。
制御部11は、欠陥データの取得手段として機能し、ユーザの操作により図示せぬドライブに挿入された外部記録媒体21(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)など)から、破壊リスクの評価対象である原子力プラントに生じたき裂に関するデータであるき裂データを取得する。
ここで、「き裂データ」には、ユーザが破壊リスクの評価を所望する機器におけるき裂に関する種々のデータ、例えば、非破壊で機器に生じているき裂を検出可能な機器についての画像データなどが含まれている。
制御部11は、取得されたき裂データに基づいて、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの各機器に生じているき裂を検出する。破壊リスクの評価対象である原子力プラントの各機器に生じているき裂が検出された場合、制御部11は、検出されたき裂の寸法であるき裂寸法を測定する。制御部11は、測定されたき裂寸法に対して、予め設定された解析条件でモンテカルロシミュレーション(乱数を用いたシミュレーション)を行い、解析する。制御部11は、モンテカルロシミュレーションにより示された値が所定の値より大きいか否かを判定し、モンテカルロシミュレーションにより示された値が所定の値より大きいと判定された場合、検出されたき裂により機器が破壊するケースと設定する。また、モンテカルロシミュレーションにより示された値が所定の値より大きくないと判定された場合、制御部11は、検出されたき裂により機器が破壊しないケースと設定し、モンテカルロシミュレーションによる解析結果とともに、解析データとして記憶部12に供給する。
制御部11、記憶部12に記憶されているデータベースから解析データを読み出し、読み出された解析データに基づいて、き裂により機器の破壊が起きる確率である破壊確率を計算し、計算された破壊確率のデータである破壊確率データを記憶部12に供給する。
制御部11は、記憶部12に記憶されているデータベースから破壊確率データを読み出す。また、制御部11は、記憶部12から予め記憶されている、原子力プラントに生じた各機器のき裂により破壊が実際に起きた場合の破壊による損害額のデータである損害額データと、プラントを運転させるときにかかる運転コストのデータである運転コストデータを読み出す。制御部11は、読み出された破壊確率データ、損害額データ、および運転コストデータに基づいて、破壊リスクを計算する。制御部1は、計算された破壊リスクのデータである破壊リスクデータを記憶部12に供給する。
記憶部12は、制御部11から供給された解析データを、記憶部12に記憶されているデータベースに対応付けて登録する。また、記憶部12は、制御部11から供給された破壊確率データを、記憶部12に記憶されているデータベースに対応付けて登録する。記憶部12は、制御部11から供給された破壊リスクデータを、記憶部12に記憶されているデータベースに対応付けて登録する。
入力部13は、き裂データを入力するための種々のキーボード(図示せず)やマウス(図示せず)を有しており、ユーザの操作により入力されたき裂データを制御部11に供給する。
出力部14は、図示せぬLCD(Liquid Crystal Display)や図示せぬCRT(CathodeRay Tube)、あるいはデータを印刷する印刷部(図示せず)が設けられており、制御部11を介して記憶部12から供給された解析データ、破壊確率データ、および破壊リスクデータなどを取得し、取得された解析データ、破壊確率データ、および破壊リスクデータなどを図示せぬLCDや図示せぬCRTに表示し、あるいは図示せぬ印刷部に出力する。
なお、本発明の実施形態に示されている破壊リスク評価装置1における破壊リスクの評価対象(すなわち、被評価物)は、例えば、原子力プラントに備えられた機器などである。
図2のフローチャートを参照して、図1の破壊リスク評価装置1の破壊リスク評価処理について説明する。
ステップS1において、破壊リスク評価装置1は、破壊確率計算処理を実行する。この破壊確率計算処理の詳細は、図3に示されている。
図3のフローチャートを参照して、図1の破壊リスク評価装置1の破壊確率計算処理について説明する。
ステップS11において、制御部11は、ユーザの操作により図示せぬドライブに挿入された外部記録媒体21(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)など)から、ユーザが破壊リスクの評価を所望する機器におけるき裂データを取得する。
ステップS12において、制御部11は、ユーザが入力部13のキーボード(図示せず)やマウス(図示せず)を操作することにより、破壊確率計算処理を開始するとの指示がなされたか否かを判定し、破壊確率計算処理を開始するとの指示がなされたと判定するまで待機する。
ステップS12において破壊確率計算処理を開始するとの指示がなされた場合、制御部11はステップS13で、取得されたき裂データに基づいて、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が検出されたか否かを判定する。
ステップS13において破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が検出されたと判定された場合、制御部11はステップS14で、モンテカルロシミュレーションにより解析を行う際の試行回数を示す試行回数変数kの初期値を「1」に設定する。
ステップS15において、制御部11は、取得されたき裂データに基づいて、検出されたき裂の寸法であるき裂寸法を測定する。例えば、き裂寸法がXmmと測定される。ステップS16において、制御部11は、測定されたき裂寸法に対して、予め設定された解析条件でモンテカルロシミュレーションを行い、解析する。
図4は、き裂寸法、試行回数、およびモンテカルロシミュレーションにより示された各解析条件の値との対応関係を表している。
図4のテーブルの第1列目乃至第7列目には、左から順に、「き裂寸法」、「試行回数」、「運転荷重」、「材料特性」、「地震荷重」、「材料強度」、および「破壊靭性」が記載されており、それぞれ、測定されたき裂の寸法、モンテカルロシミュレーションにより解析を行う際の試行回数、原子力プラントの運転中に機器に加えられる荷重、機器の材料の性質(例えば、応力が歪みに比例する材料であるという性質など)を数値化した値、地震によって誘起される加速度によって機器にかかる力、機器が破壊するときに示す力、および機器に生じているき裂が進展し破壊に至るときの応力拡大係数の限界値を示している。
図4の第1行目の場合、「き裂寸法」は例えば「X」であり、測定されたき裂の寸法が「X」であることを示している。「試行回数」は「1」であり、モンテカルロシミュレーションにより解析を行う際の試行回数が1回目であることを示している。「運転荷重」は「a1」であり、原子力プラントの運転中に機器に加えられる荷重の乱数による値が「a1」であることを示している。「材料特性」は「b1」であり、機器の材料の性質の数値化した値の乱数による値が「b1」であることを示している。「地震荷重」は「c1」であり、地震によって誘起される加速度によって機器にかかる力が「c1」であることを示している。「材料強度」は「d1」であり、機器が破壊するときに示す力が「d1」であることを示している。「破壊靭性」は「e1」であり、機器に生じているき裂が進展し破壊に至るときの応力拡大係数の限界値が「e1」であることを示している。
このように、測定されたき裂寸法に対して、予め設定された解析条件についてモンテカルロシミュレーションが行われ、各解析条件について乱数による値が示される。
ステップS17において、制御部11は、モンテカルロシミュレーションにより示された値が所定の値より大きいか否かが判定される。すなわち、モンテカルロシミュレーションにより各解析条件について示された乱数による値(図4の「a1」、「b1」、「c1」、「d1」、および「e1」)に基づいて、所定の特徴量が所定の計算式により計算され、計算された所定の特徴量が予め設定された所定の値よりも大きいか否かが判定される。
ステップS17においてモンテカルロシミュレーションにより示された値が所定の値より大きいと判定された場合、制御部11はステップS18で、モンテカルロシミュレーションを用いた現時点での試行についての解析において、き裂が生じている機器がそのき裂によって供用期間内に破壊するケースと設定する。
図5は、き裂寸法、試行回数、モンテカルロシミュレーションにより示された各解析条件の値、および破壊するか否かのケースとの対応関係を表している。なお、図5の第1列目乃至第7列目の「き裂寸法」、「試行回数」、「運転荷重」、「材料特性」、「地震荷重」、「材料強度」、および「破壊靭性」は、図4の第1列目乃至第7列目の「き裂寸法」、「試行回数」、「運転荷重」、「材料特性」、「地震荷重」、「材料強度」、および「破壊靭性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。また、図5の第1行目の場合については、図4の第1行目の場合と基本的には同様であり、重複する部分についての説明は繰り返しになるので省略する。
図5の第8列目には、「ケース」が記載されており、き裂が生じている機器がそのき裂によって破壊するか否かのケースが示されている。
図5の第1行目の場合、「ケース」は「破壊するケース」であり、き裂が生じている機器がそのき裂によって供用期間内に破壊することを示している。
一方、ステップS17においてモンテカルロシミュレーションにより示された値が所定の値より大きくないと判定された場合、制御部11はステップS19で、モンテカルロシミュレーションを用いた現時点での試行についての解析において、き裂が生じている機器がそのき裂によって供用期間内に破壊しないケースと設定する。
ステップS20において、制御部11は、図3のステップS15の処理により測定されたき裂寸法と、図3のステップS16の処理におけるモンテカルロシミュレーションによる解析結果と、図3のステップS17乃至S19の処理により設定された破壊するか否かのケースを1つの解析データとして対応付けて記憶部12に供給する。記憶部12は、制御部11から供給された解析データを、記憶部12に記憶されているデータベースに登録する。
具体的には、図6に示されるように、記憶部12に記憶されているデータベースの第1行目の「き裂寸法」欄、「試行回数」欄、「運転荷重」欄、「材料特性」欄、「地震荷重」欄、「材料強度」欄、「破壊靭性」欄、および「ケース」欄に、それぞれ、「X」、「1」、「a1」、「b1」、「c1」、「d1」、および「e1」が登録される。
ステップS21において、制御部11は、現時点での試行回数変数kが、予め設定された試行回数変数kの最大値(例えば、100など。試行回数変数kの最大値が100の場合、モンテカルロシミュレーションは、検出されたき裂1つに対して100回行われる。)よりも小さいか否かを判定する。
ステップS21において現時点での試行回数変数kが予め設定された試行回数変数kの最大値よりも小さいと判定された場合、制御部11はステップS22で、現時点の試行回数変数kの値を1だけインクリメントする。その後、処理はステップS15に戻り、ステップS15以降の処理が繰り返される。これにより、記憶部12に記憶されているデータベースは、図7に示されるように更新される。なお、図7の第1行目の場合については、図6の第1行目の場合と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
具体的には、図7に示されるように、記憶部12に記憶されているデータベースの第2行目の「き裂寸法」欄、「試行回数」欄、「運転荷重」欄、「材料特性」欄、「地震荷重」欄、「材料強度」欄、「破壊靭性」欄、および「ケース」欄に、それぞれ、「X」、「2」、「a2」、「b2」、「c2」、「d2」、および「e2」が登録される。図7の第2行目の場合、「き裂寸法」は「X」であり、測定されたき裂の寸法が「X」であることを示している。「試行回数」は「2」であり、モンテカルロシミュレーションにより解析を行う際の試行回数が2回目であることを示している。「運転荷重」は「a2」であり、原子力プラントの運転中に機器に加えられる荷重の乱数による値が「a2」であることを示している。「材料特性」は「b2」であり、機器の材料の性質の数値化した値の乱数による値が「b2」であることを示している。「地震荷重」は「c2」であり、地震によって誘起される加速度によって機器にかかる力が「c2」であることを示している。「材料強度」は「d2」であり、機器が破壊するときに示す力が「d2」であることを示している。「破壊靭性」は「e2」であり、機器に生じているき裂が進展し破壊に至るときの応力拡大係数の限界値が「e2」であることを示している。「ケース」は「破壊しないケース」であり、き裂が生じている機器がそのき裂によって供用期間内に破壊することを示している。
また、図7に示されるように、記憶部12に記憶されているデータベースの第k行目の「き裂寸法」欄、「試行回数」欄、「運転荷重」欄、「材料特性」欄、「地震荷重」欄、「材料強度」欄、「破壊靭性」欄、および「ケース」欄に、それぞれ、「X」、「k」、「ak」、「bk」、「ck」、「dk」、および「ek」が登録される。図7の第k行目の場合、「き裂寸法」は「X」であり、測定されたき裂の寸法が「X」であることを示している。「試行回数」は「k」であり、モンテカルロシミュレーションにより解析を行う際の試行回数がk回目であることを示している。「運転荷重」は「ak」であり、原子力プラントの運転中に機器に加えられる荷重の乱数による値が「ak」であることを示している。「材料特性」は「bk」であり、機器の材料の性質の数値化した値の乱数による値が「bk」であることを示している。「地震荷重」は「ck」であり、地震によって誘起される加速度によって機器にかかる力が「ck」であることを示している。「材料強度」は「dk」であり、機器が破壊するときに示す力が「dk」であることを示している。「破壊靭性」は「ek」であり、機器に生じているき裂が進展し破壊に至るときの応力拡大係数の限界値が「ek」であることを示している。「ケース」は「破壊するケース」であり、き裂が生じている機器がそのき裂によって供用期間内に破壊することを示している。
このように、予め設定された試行回数変数kの最大値が示す回数、1つのき裂に対してモンテカルロシミュレーションによる解析を行うことができる。
ステップS13において破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が検出されないと判定された場合、制御部11は、ステップS14乃至S22の処理をスキップする。すなわち、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が検出されない場合、モンテカルロシミュレーションによる解析は行われない。
ステップS21において現時点での試行回数変数kが予め設定された試行回数変数kの最大値よりも小さくないと判定された場合(すなわち、現時点での試行回数変数kが予め設定された試行回数変数kの最大値であると判定された場合)、制御部11はステップS23で、き裂データに含まれるすべてのき裂について検出したか否かを判定する。
ステップS23においてき裂データに含まれるすべてのき裂について検出していないと判定された場合、その後、処理はステップS13に戻り、ステップS13以降の処理が繰り返される。これにより、き裂データに複数のき裂が検出された場合に、1つのき裂だけでなく、き裂データに含まれるすべてのき裂について、それぞれ、上述した場合と同様に、き裂寸法の測定を行い、予め設定された解析条件についてモンテカルロシミュレーションを用いて解析を行うことができる。
ステップS23においてき裂データに含まれるすべてのき裂について検出したと判定された場合、制御部11はステップS24において、記憶部12に管理されているデータベースに登録されている解析データを読み出す。
ステップS25において、制御部11は、読み出された解析データに基づいて、き裂により機器の破壊が起きる確率である破壊確率を計算し、計算された破壊確率のデータである破壊確率データを記憶部12に供給する。具体的には、図7に示されるように、第1行目乃至第k行目の「ケース」欄に登録されている「ケース」に基づいて破壊確率が計算される。例えば、試行回数k回のうち、「破壊するケース」が30%を占めている場合、破壊確率は30%として計算される。なお、き裂により機器の破壊が起きる確率である破壊確率は、百分率で表される。但し、ステップS13において破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が検出されない場合には、モンテカルロシミュレーションによる解析は行われないため、予め設定された無使用状態の機器の破壊確率(例えば、破壊確率10%など)が破壊確率として用いられる。
ステップS26において、記憶部12は、制御部11から供給された破壊確率データを、解析データと対応付けて記憶部12に記憶されているデータベースに登録する。これにより、記憶部12に記憶されているデータベースは、図8に示されるように更新される。具体的には、図8のデータベースの「破壊確率」欄に「破壊確率」として「30%」が登録される。この場合、き裂により機器の破壊が起きる確率である破壊確率が30%であることを示している。
なお、き裂データに複数のき裂が検出された場合、それぞれのき裂の解析データに基づいて破壊確率が計算される。このような場合、計算された複数の破壊確率のうち、最も高い値の破壊確率を、評価対象である原子力プラントの機器の破壊確率とするようにしてもよいし、あるいは、複数の破壊確率の平均値を計算し、計算された平均値を評価対象である原子力プラントの機器の破壊確率とするようにしてもよい。
ステップS27において、制御部11は、記憶部12に記憶されているデータベースを読み出し、読み出されたデータベースを出力部14に供給する。出力部14は、制御部11から供給されたデータベースを出力する。
このように、測定されたき裂寸法に対して、予め設定された解析条件についてモンテカルロシミュレーションを用いて解析が行われ、各解析条件について乱数による値が示される。これにより、ユーザは、評価対象である原子力プラントの機器を破壊することなく、機器に生じているき裂により機器の破壊が起こる破壊確率などを知ることができる。 図2に戻り、ステップS2において、破壊リスク評価装置1は、破壊リスク計算処理を実行する。この破壊リスク評価処理の詳細については、図9に示されている。
図9のフローチャートを参照して、図1の破壊リスク評価装置1の破壊リスク計算処理を説明する。
ステップS31において、制御部11は、ユーザが入力部13のキーボード(図示せず)やマウス(図示せず)を操作することにより、破壊リスク計算処理を開始するとの指示がなされたか否かを判定し、破壊リスク計算処理を開始するとの指示がなされたと判定するまで待機する。
ステップS31において破壊リスク計算処理を開始するとの指示がなされたと判定された場合、制御部11はステップS32で、記憶部12に記憶されているデータベースから破壊確率データを読み出す。
ステップS33において、制御部1は、機器に生じているき裂により機器の破壊が実際に起きた場合の破壊による損害額のデータである損害額データと、プラントを運転させるときにかかる運転コストのデータである運転コストデータを記憶部12から読み出す。
ステップS34において、制御部11は、読み出された破壊確率データ、損害額データ、および運転コストデータに基づいて、プラントなどの維持を安全かつ効率的に実施するための1つの指標である破壊リスクを、上述した[数1]に従い、計算する。制御部11は、計算された破壊リスクのデータである破壊リスクデータを記憶部12に供給する。
ステップS35において、記憶部12は、制御部11から供給された破壊リスクデータを取得し、取得された破壊リスクデータをデータベースに対応付けて登録する。これにより、記憶部12に記憶されているデータベースは、図10に示されるように更新される。具体的には、図10のデータベースの「破壊リスク」欄に「破壊リスク」として「y」が登録される。この場合、プラントなどの維持を安全かつ効率的に実施するための1つの指標である破壊リスクが「y」であることを示している。なお、この破壊リスクは、低いほど、機器に生じているき裂によりその機器が破壊しにくいことを示している。
ステップS36において、制御部11は、記憶部12に記憶されているデータベースを読み出す。ステップS37において、制御部11は、読み出されたデータベースを参照して、ユーザが破壊リスクの評価を所望する機器の次回の検査時期である次回検査時期を計算する。制御部11は、計算された次回検査時期のデータである次回検査時期データを記憶部12に供給する。
ステップS38において、記憶部12は、制御部11から供給された次回検査時期データを取得し、取得された次回検査時期データをデータベースに対応付けて記憶する。これにより、記憶部12に記憶されているデータベースは、図11に示されるように更新される。具体的には、図11のデータベースの「次回検査時期」欄に「次回検査時期」として「12月11日」が登録される。この場合、ユーザが破壊リスクの評価を所望する機器の次回の検査時期である次回検査時期が「12月11日」であることを示している。
ステップS39において、制御部11は、記憶部12に記憶されているデータベースから、次回検査時期データを読み出す。
ステップS40において、制御部11は、読み出された次回検査時期データに基づいて、次回検査時期データにおける次回検査時期が、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器の供用期間内であるか否かを判定する。
ステップS40において次回検査時期データにおける次回検査時期が、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器の供用期間内であると判定された場合、制御部11はステップS41で、次回検査時期データを出力部14に供給する。
ステップS42において、出力部14は、制御部11から供給された次回検査時期データを取得し、取得された次回検査時期データを出力する。
ステップS40において次回検査時期における次回検査時期が破壊リスクの評価対象である原子力プラントの各機器の供用期間内ではないと判定された場合、制御部11はステップS43で、供用期間内において以降検査が不要である旨の表示をさせるための供用期間内検査不要表示制御信号を生成し、出力部14に供給する。
ステップS44において、出力部34は、制御部11から供給された供用期間内検査不要表示制御信号に基づいて、供用期間内に検査は不要である旨のダイアログを出力する。例えば、「供用期間内に検査は以降、必要ありません。」などのようなダイアログが出力される。
図12は、き裂寸法と運転時間の対応関係を表している。
図12に示されるように、横軸は運転時間であり、縦軸はき裂寸法であり、実線22は、き裂により機器の破壊が起こる限界値を示している。また、I回目の検査における点線23と実線22の2つの交点は、I回目の検査時点における機器の寿命分布Iを示しており、I+1回目の検査における実線24と実線22の2つの交点は、I+1回目の検査時点における機器の寿命分布I+1を示している。ここで、I回目の検査時点における機器の寿命分布Iよりも、I+1回目の検査時点における機器の寿命分布I+1の方が、運転時間が長くなる右側方向にスライドしていることが分かる。すなわち、これは、ユーザが破壊リスクの評価を所望する機器の寿命が延長されたことを意味している。
このように、本発明の実施形態に示された破壊リスク評価装置1においては、破壊することなく、機器に生じているき裂の寸法を検査ごとに測定し、モンテカルロシミュレーションにより解析を行い、破壊確率や破壊リスクを計算するようにしたので、原子力プラントの機器の残りの寿命を精度よく評価することができる。
図2に戻り、その後、破壊リスク評価処理は終了する。
本発明の実施形態に示された破壊リスク評価装置1においては、原子力プラントの機器ごとに破壊確率、破壊リスク、および次回検査時期を計算するようにしたので、機器ごとの状態を精度よく把握することができる。これにより、原子力プラントの運営維持の信頼性を向上させることができる。
なお、計算された次回検査時期ごとに、原子力プラントの各機器を分類し、次回検査時期ごとにまとめて検査を行うようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態に示された破壊リスク評価装置1においては、外部記録媒体から取得されたき裂データに基づいて、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂の寸法を測定するようにしているが、き裂の寸法を測定する場合、一般に、その測定値は、測定する手法や測定者などにより少なからず影響を受ける。従って、図3のステップS15の処理において測定されたき裂寸法も、解析条件として用いることで、より正確に破壊確率や破壊リスクを計算することができる。
図13は、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器を破壊することなく測定されたき裂寸法(以下、「非破壊検査によるき裂寸法」)と、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器を実際に破壊して測定されたき裂寸法(以下、「実測き裂寸法」)との対応関係を表している。
図13に示されるように、横軸は非破壊検査によるき裂寸法であり、縦軸は実測き裂寸法であり、図13の実線25は、非破壊検査によるき裂寸法と実測き裂寸法とのばらつきの平均値を表している。
従って、この実線25に基づいて、き裂寸法の測定におけるばらつき度合いを示すき裂寸法測定ばらつき値を解析条件に用いるようにしてもよい。その場合のデータベースの例は、図14に示されている。
図14に示されるように、第1行目、第2行目、および第k行目の「き裂寸法測定ばらつき値」欄に「き裂寸法測定ばらつき値」として、それぞれ、「f1」、「f2」、・・・「fk」が登録されている。図14の第1行目の場合、「き裂寸法測定ばらつき値」は「f1」であり、き裂寸法測定ばらつき値が「f1」であることを示している。図14の第2行目の場合、「き裂寸法測定ばらつき値」は「f2」であり、き裂寸法測定ばらつき値が「f2」であることを示している。図14の第k行目の場合、「き裂寸法測定ばらつき値」は「fk」であり、き裂寸法測定ばらつき値が「fk」であることを示している。なお、図14と図7の重複部分の説明については、繰り返しになるので省略する。
このように、本発明の実施形態に示された破壊リスク評価装置1においては、き裂寸法の測定におけるばらつき度合いを示すき裂寸法測定ばらつき値を解析条件として用いて、モンテカルロシミュレーションにより解析を行うようにしているので、より正確に破壊確率や破壊リスクを計算することができる。
また、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が進展することにより破壊に至る限界値であるき裂進展限界値を解析条件に用いるようにしてもよい。
図15は、き裂の進展により破壊に至るき裂破壊曲線を表している。
図15に示されるように、横軸は各機器のもつ長さwとき裂のもつ長さlとの比l/w(以下、「き裂長さ比」という。)であり、縦軸は各機器のもつ深さtとき裂のもつ深さaとの比a/t(以下、「き裂深さ比」という。)であり、図15の実線26は、予めモンテカルロシミュレーションによる破壊解析で求められた限界曲線を表している。例えば、き裂長さ比l/wが0.5で、き裂深さ比a/tが0.9である場合、限界曲線を超えるため、後述するように、生じているき裂により機器が破壊すると判定される。ここで、き裂長さ比l/wとき裂深さ比a/tの2つの値をまとめてき裂進展限界値と定義する。この場合の記憶部12に記憶されているデータベースの例は、図16に示されている。
図16に示されるように、第1行目、第2行目、・・・第k行目の「き裂進展限界値」欄に「き裂進展限界値」として、それぞれ、「g1」、「g2」、・・・「gk」が登録されている。図16の第1行目の場合、「き裂進展限界値」は「g1」であり、き裂進展限界値が「g1」であることを示している。図16の第2目の場合、「き裂進展限界値」は「g2」であり、き裂進展限界値が「g2」であることを示している。図16の第k行目の場合、「き裂進展限界値」は「gk」であり、き裂進展限界値が「gk」であることを示している。なお、図16と図7の重複部分の説明については、繰り返しになるので省略する。
ここで、図3のステップS17乃至S19の処理においては、上述したように、モンテカルロシミュレーションにより各解析条件について示された乱数による値に基づいて、所定の計算式により計算された所定の特徴量が予め設定された所定の値よりも大きいか否かが判定されるようにしているが、図16のデータベースの場合、き裂進展限界値が限界曲線を超えるか否かにより破壊するケースか否かを判定する。
このように、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂が進展することにより破壊に至る限界値であるき裂進展限界値を解析条件に用いるようにしているので、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に生じているき裂の進展度合に基づいて、破壊確率と破壊リスクを計算することができる。
さらに、機器に生じているき裂により、機器が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値を解析条件に用いるようにしてもよい。
図17は、破壊部位評価曲線を表している。
図17に示されるように、横軸はモンテカルロシミュレーションにより各解析条件について示された乱数による値に基づいて所定の計算式により計算された所定の特徴量Lrであり、縦軸はモンテカルロシミュレーションにより各解析条件について示された乱数による値に基づいて所定の計算式により計算された所定の特徴量Krであり、図17の実線27は、材料の応力―ひずみ曲線のばらつきから統計的に求められた破壊部位評価曲線を表している。例えば、最深点について特徴量Lrが0.75で、特徴量Krが0.5である場合、破壊部位評価曲線を超えるため、後述するように、最深点に生じているき裂により機器が破壊すると判定される。ここで、特徴量Lrと特徴量Krの2つの値をまとめて破壊部位評価値と定義する。この場合の記憶部12に記憶されているデータベースの例は、図18に示されている。
図18に示されるように、第1行目、第2行目、および第k行目の「破壊部位評価値」欄に「破壊部位評価値」として、それぞれ、「h1」、「h2」、および「hk」が登録されている。図18の第1行目の場合、「破壊部位評価値」は「h1」であり、破壊部位評価値が「h1」であることを示している。図18の第2行目の場合、「破壊部位評価値」は「h2」であり、破壊部位評価値が「h2」であることを示している。図18の第k行目の場合、「破壊部位評価値」は「hk」であり、破壊部位評価値が「hk」であることを示している。なお、図18と図7の重複部分の説明については、繰り返しになるので省略する。
ここで、図3のステップS17乃至S19の処理においては、上述したように、モンテカルロシミュレーションにより各解析条件について示された乱数による値に基づいて、所定の計算式により計算された所定の特徴量が予め設定された所定の値よりも大きいか否かが判定されるようにしているが、例えば、図18のデータベースの場合、破壊部位評価値が破壊部位評価曲線を超えるか否かにより破壊するケースか否かを判定する。これにより、機器が最深点と表面点のいずれから破壊するか否かを評価することができる。
ところで、図3のフローチャートを参照して説明した破壊確率計算処理において、破壊リスクの評価対象である原子力プラントに生じているき裂を検出することができなかった場合、図3のステップS14乃至S22の処理はスキップされ、モンテカルロシミュレーションによる解析は行われない。しかし、き裂データに基づいてき裂が検出されない場合には、実際にき裂がないために検出することができないときと、実際にき裂があるにもかかわらず検出に失敗してしまったときの2つが含まれている。従って、実際にき裂があるにもかかわらず検出に失敗してしまったときには、実際にき裂があるにもかかわらず、その事実は全く考慮されずに、き裂がないものとして破壊確率などが計算されてしまう。このようなことは、原子力プラントの各機器の評価を正確に行う上においては、好ましいことではない。
また、破壊リスクの評価対象である原子力プラントに生じているき裂を検出する場合、実際には機器にき裂が生じているにもかかわらず、生じているき裂が小さすぎるため、検出することができないことがある。このように、実際には検出することができない微小なき裂があるにもかかわらず、き裂がないときと同様に扱われてしまうことは好ましいことではない。なお、以下、検出することができる限界以下のき裂の寸法を「検出限界寸法」と定義する。
そこで、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率(以下、「検出確率」という。)を考慮して、破壊確率を計算するようにしてもよい。以下に、検出確率を考慮した破壊確率計算処理について説明する。
ところで、検出確率は、き裂の検出を行う機器の部位がどのような部位であるかにより大きく異なる。そこで、破壊確率計算処理を行う前に、き裂の検出を行う機器を所定の数の部位に分け、その部位がどのような部位であるかを示す3つの領域に予め分類する。
ここで、評価対象である原子力プラントの各機器にき裂を生じさせる因子として3つの因子があげられる。1つ目の因子は材料因子であり、オーステナイト系ステンレス鋼が溶接入熱などで粒界が鋭敏化したり、強加工を受けたりすることにより、ステンレス鋼の硬度がHv300以上に硬化している状態であるか否かを示す因子である。2つ目の因子は環境因子であり、炉水環境下で通常より導電率や溶存酸素濃度が高い状態であるか否かを示す因子である。3つ目の因子は応力因子であり、100MPa程度以上の引っ張り残留応力が存在する状態であるか否かを示す因子である。
次に、各機器にき裂を生じさせる3つの因子に基づいて、3つの領域(領域A、領域B、および領域C)を予め定義する。すなわち、3つの因子が全く揃っていないか、少なくとも1つの因子が揃っていない領域を領域Aと定義し、3つの因子がすべて揃っているが、まだき裂が検出されていない領域を領域Bと定義し、3つの因子がすべて揃っており、すでにき裂が検出された領域を領域Cと定義する。付言すると、定義された領域Aは、き裂が生じる可能性が低い領域であることを示しており、領域Bは、き裂が生じる可能性が比較的高い領域であることを示しており、領域Cは、すでにき裂が生じている領域であることを示している。そして、所定の数に分けられた各機器の各部位を、予め定義された3つの領域に分類し、検出確率と対応付けて領域データベースに登録しておく。
図19は、記憶部12に記憶されている領域データベースの例を表している。
図19の第1列目乃至第3列目には、「機器番号」、「部位番号」、「領域」、および「検出確率」が記述されており、それぞれ、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号、機器におけて予め設定された部位の番号、現時点での領域の種類、および実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率を示している。
なお、上から最初の二重線までのデータが1つのまとまりZ1であり、次の二重線までのデータが次のまとまりZ2であり、以降、順次同様なデータのまとまりが記述されている。これらのデータのまとまりは、各機器のデータのまとまりである。以下、このようなデータのまとまりを上から第1段落Z1、第2段落Z2などのように呼ぶ。
図19の第1段落の第1行目Z1の場合、「機器番号」は「1」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「1」であることを示している。「部位番号」は「1」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「1」であることを示している。「領域」は「A」であり、現時点での領域の種類が領域Aであることを示している。「検出確率」は「20%乃至30%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「20%乃至30%」であることを示している。なお、図21のフローチャートを参照して後述するが、検出確率は乱数により所定の範囲内(例えば、20%乃至30%など)においてランダムに決定される(例えば、検出確率が「20%乃至30%」である場合、乱数により27%などの値に決定される)。以下、同様に検出確率は所定の範囲内において乱数により決定される。
図19の第1段落Z1の第2行目の場合、「機器番号」は「1」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「1」であることを示している。「部位番号」は「2」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「2」であることを示している。「領域」は「B」であり、現時点での領域の種類が領域Bであることを示している。「検出確率」は「50%乃至60%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「50%乃至60%」であることを示している。
図19の第1段落Z1の第3行目の場合、「機器番号」は「1」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「1」であることを示している。「部位番号」は「3」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「3」であることを示している。「領域」は「A」であり、現時点での領域の種類が領域Aであることを示している。「検出確率」は「20%乃至30%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「20%乃至30%」であることを示している。
図19の第1段落Z1の第L行目の場合、「機器番号」は「1」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「1」であることを示している。「部位番号」は「L」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「L」であることを示している。「領域」は「C」であり、現時点での領域の種類が領域Cであることを示している。「検出確率」は「80%乃至90%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「80%乃至90%」であることを示している。
図19の第2段落Z2の第1行目の場合、「機器番号」は「2」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「2」であることを示している。「部位番号」は「1」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「1」であることを示している。「領域」は「C」であり、現時点での領域の種類が領域Cであることを示している。「検出確率」は「80%乃至90%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「80%乃至90%」であることを示している。
図19の第2段落Z2の第2行目の場合、「機器番号」は「2」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「2」であることを示している。「部位番号」は「2」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「2」であることを示している。「領域」は「B」であり、現時点での領域の種類が領域Bであることを示している。「検出確率」は「50%乃至60%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「50%乃至60%」であることを示している。
図19の第2段落Z2の第3行目の場合、「機器番号」は「2」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「2」であることを示している。「部位番号」は「3」であり、機器において予め設定された部位の番号が「1」であることを示している。「領域」は「A」であり、現時点での領域の種類が領域Aであることを示している。「検出確率」は「20%乃至30%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「20%乃至30%」であることを示している。
図19の第2段落Z2の第L行目の場合、「機器番号」は「2」であり、評価対象となる原子力プラントの各機器に対応する機器の番号が「2」であることを示している。「部位番号」は「L」であり、機器におけて予め設定された部位の番号が「L」であることを示している。「領域」は「C」であり、現時点での領域の種類が領域Cであることを示している。「検出確率」は「80%乃至90%」であり、実際にき裂が生じている場合においてき裂を検出することができる確率が「80%乃至90%」であることを示している。
図20のフローチャートを参照して、図2のステップS1の他の破壊確率計算処理について説明する。なお、図19のステップS51乃至S62、ステップS65、ステップS67、およびステップS68の処理は、図3のステップS11乃至S22、ステップS24、ステップS26、およびステップS27の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS53においてき裂が検出されないと判定された場合、破壊リスク評価装置1はステップS63で、未検出き裂寸法測定処理を実行する。この未検出き裂寸法測定処理の詳細は、図21に示されている。
図21のフローチャートを参照して、図1の破壊リスク評価装置1の未検出き裂寸法測定処理について説明する。
ステップS71において、制御部11は、記憶部12に記憶されている領域データベースを読み出し、読み出された領域データベースを参照して、現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Aであるか否かを判定する。
ステップS71において現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Aであると判定された場合、制御部11はステップS72で、読み出された領域データベースを参照して、現在き裂の検出を行っている機器の部位の検出確率を乱数により決定する。
ステップS73において、制御部11は、決定された検出確率に基づいて、現在き裂の検出を行っている機器の部位のき裂の寸法を測定する。具体的には、領域Aに属する現在の部位には検出限界寸法のき裂が(100%−決定された検出確率)により求められる確率で存在するとした上で、{(100%−決定された検出確率)/100%}により求められた値に検出限界寸法を乗じて算出し、算出された値を、測定されたき裂寸法として用いる。例えば、図21のステップS72の処理で決定された検出確率が25%であり、検出限界寸法が1mmである場合、き裂寸法は、{(100−25)/100}×1により0.75mmと算出され、算出された0.75mmが測定されたき裂寸法として用いられる。
ステップS74において、制御部11は、評価対象である原子力プラントの機器のすべての部位についてき裂の寸法を測定したか否かを判定する。ステップS74において評価対象である原子力プラントの機器のすべての部位についてき裂の寸法を測定していないと判定された場合、その後、処理はステップS71に戻り、ステップS71以降の処理が繰り返される。
ステップS74において評価対象である原子力プラントの機器のすべての部位についてき裂の寸法を測定したと判定された場合、未検出き裂寸法測定処理は終了し、図20のステップS56に進む。
ステップS71において現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Aではないと判定された場合、制御部11はステップS75で、憶部12に記憶されている領域データベースを読み出し、読み出された領域データベースを参照して、現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Bであるか否かを判定する。
ステップS75において現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Bであると判定された場合、制御部11はステップS76で、読み出された領域データベースを参照して、現在き裂の検出を行っている機器の部位の検出確率を乱数により決定する。
ステップS77において、制御部11は、決定された検出確率に基づいて、現在き裂の検出を行っている機器の部位のき裂の寸法を測定する。具体的には、領域Bに属する現在の部位には検出限界寸法のき裂が(100%−決定された検出確率)により求められる確率で存在し、かつ、領域Bに属する現在の部位には領域Cにおいて検出される寸法の平均値を寸法(以下、「検出平均寸法」という。)にもつき裂が検出確率で存在するとした上で、{(100%−決定された検出確率)/100%}により求められた値に検出限界寸法を乗じて算出した値と、検出確率に検出平均寸法を乗じて算出した値を加算し、加算された値を、測定されたき裂寸法として用いる。例えば、図21のステップS75の処理で決定された検出確率が55%であり、検出限界寸法と検出平均寸法がそれぞれ1mmと5mmである場合、き裂寸法は、{(100−25)/100}×1+(55/100)×5により算出され、算出された3.5mmが測定されたき裂寸法として用いられる。その後、処理はステップS74に進む。
なお、検出平均寸法は、すでに検出されているき裂寸法から予め計算され、記憶部12に記憶されている。
ステップS75において現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Bではないと判定された場合、制御部11はステップS78で、現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Cであるか否かを判定する。ステップS78において現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Cであると判定された場合、制御部11はステップS79で、読み出された領域データベースを参照して、現在き裂の検出を行っている機器の部位の検出確率を乱数により決定する。
ステップS80において、制御部11は、決定された検出確率に基づいて、現在き裂の検出を行っている機器の部位のき裂の寸法を測定する。具体的には、領域Cに属する現在の部位には検出限界寸法のき裂が(100%−決定された検出確率)により求められる確率で存在し、かつ、領域Bに属する現在の部位には領域Cにおいて検出される寸法の平均値を寸法(以下、「検出平均寸法」という。)にもつき裂が検出確率で存在するとした上で、{(100%−決定された検出確率)/100%}により求められた値に検出限界寸法を乗じて算出した値と、検出確率に検出平均寸法を乗じて算出した値を加算し、加算された値を、測定されたき裂寸法として用いる。例えば、図21のステップS79の処理で決定された検出確率が85%であり、検出限界寸法と検出平均寸法がそれぞれ1mmと5mmである場合、き裂寸法は、{(100−85)/100}×1+(85/100)×3により算出され、算出された4.4mmが測定されたき裂寸法として用いられる。その後、処理はステップS74に進む。
ステップS78において現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域Cではないと判定された場合、制御部11はステップS81で、エラー処理を実行する。すなわち、現在き裂の検出を行っている機器の部位の領域が領域A、領域B、および領域Cのいずれでもないと判定され、エラー処理がなされる。その後、処理は、ステップS74に進む。
図20に戻り、ステップS63において現時点での試行回数変数kが予め設定された試行回数変数kの最大値よりも小さくないと判定された場合(すなわち、現時点での試行回数変数kが予め設定された試行回数変数kの最大値であると判定された場合)、制御部11はステップS64で、き裂データに含まれるすべての部位についてき裂を検出したか否かを判定する。
ステップS64においてき裂データに含まれるすべての部位についてき裂を検出したと判定された場合、処理はステップS65に進む。
一方、ステップS64においてき裂データに含まれるすべての部位についてき裂を検出していないと判定された場合、処理はステップS53に進み、ステップS53以降の処理が繰り返される。
ステップS66において、制御部11は、読み出された各部位の解析データに基づいて部位ごとに破壊確率を計算する。制御部11は、計算された部位ごとの破壊確率のうち、最も高い値をその機器の破壊確率とし、計算された破壊確率のデータである破壊確率データを記憶部12に供給する。なお、各部位の破壊確率の平均値を計算し、計算された平均値をその機器の破壊確率とするようにしてもよい。
ステップS69において、制御部11は、記憶部12からデータベースを読み出し、読み出されたデータベースを参照して、領域データベースを更新する。具体的には、領域Bに属する部位において、き裂が検出された場合、その部位の領域を領域Cに更新するとともに、検出確率を領域Cの検出確率に更新する。なお、この検出確率については、予め領域ごとに所定の範囲で設定しておくようにしてもよいが、例えば、すでに行われた検査の結果データに基づいて、領域ごとの検出確率を計算し、更新するようにしてもよい。
なお、図20のステップS66においては部位ごとの破壊確率のうち、最も高い値をその機器の破壊確率とし、破壊リスクと次回検査時期を計算するようにしているが、例えば、部位ごとの破壊確率の平均値に基づいて、破壊リスクと次回検査時期を計算するようにしてもよい。
図22の一点鎖線31、点線32、および実線33に示されるように、一般に、領域Aにおいて最も破壊確率と破壊リスクの増加が緩やかであり、領域Bそして領域Cとなるにつれて破壊確率と破壊リスクの増加が急激になる。そこで、部位ごとの破壊確率に基づいて部位ごとに破壊リスクと次回検査時期(図22の検査間隔A乃至C)を計算することにより、評価対象となる原子力プラントの機器全体として同程度の破壊確率と破壊リスクになるように、原子力プラントの機器を維持することができる。付言すれば、図22の場合、原子力プラントの機器については、領域Aでは、供用期間内において2回検査を実施し、領域Bでは、供用期間内において3回検査を実施し、領域Cでは、供用期間内において5回検査を実施すればよい。
図23のフローチャートを参照して、図1の破壊リスク評価装置1の他の破壊リスク評価処理について説明する。なお、図23のステップS91とステップS92の処理は、図2のステップS1とステップS2の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS93において、破壊リスク評価装置1は、解析条件更新処理を実行する。この解析条件更新処理の詳細は、図24に示されている。
図24のフローチャートを参照して、解析条件更新処理について説明する。
ステップS101において、制御部11は、記憶部12に記憶されているデータベースから解析データ、破壊確率データ、および次回検査時期データを読み出す。
ステップS102において、制御部11は、読み出された解析データ、破壊確率データ、および次回検査時期データに基づいて、次回の検査での測定におけるき裂寸法の予測値を計算する。制御部11は、計算された予測値のデータである予測値データを記憶部12に供給する。
ステップS103において、記憶部12は、制御部11から供給された予測値データを、記憶部12に記憶されているデータベースに対応付けて登録する。これにより、記憶部12に記憶されているデータベースは、図25から図26に示されるように更新される。具体的には、図26のデータベースの第12列目の「予測値」欄に「予測値」として「Xa」が登録される。この場合、次回の検査での測定におけるき裂寸法の予測値が「Xa」であることを示している。
ステップS104において、制御部11は、今回の検査が最初の検査であるか否かを判定する。ステップS104において今回の検査が最初の検査ではないと判定された場合(すなわち、今回の検査が少なくとも2回目以上であると判定された場合)、制御部11はステップS105で、記憶部12に記憶されているデータベースから解析データと予測値データを読み出す。
ステップS106において、制御部11は、読み出された予測値データに基づいて、今回測定されたき裂寸法と前回測定されたき裂寸法との差が所定の値より大きいか否かを判定する。
図27のデータベースの場合、前回測定されたき裂寸法がX(1)であり、今回測定されたき裂寸法がX(2)である。前回測定されたき裂寸法と今回測定されたき裂寸法との差はX(2)−X(1)であり、前回の検査の際に予測された予測値Xa1よりもき裂が進展している。この場合、例えば、前回測定されたき裂寸法と今回測定されたき裂寸法との差であるX(2)−X(1)が予め設定された所定の値(例えば、所定の値として{Xa1―X(1)}×1.5など予め設定される)よりも大きいときには、ステップS106の処理において所定の値より大きいと判定される。
ステップS106において今回測定されたき裂寸法と前回測定されたき裂寸法との差が所定の値より大きいと判定された場合、制御部11はステップS107で、解析条件を更新する。具体的には、今回測定されたき裂寸法と前回測定されたき裂寸法との差が小さくなるように解析条件(例えば、運転荷重、材料特性、地震荷重などの条件)を更新する。これにより、検査における解析データに基づいて検査ごと解析条件を絞り込むことができ、より精度の高い解析を行うことができ、その結果、信頼性の高い破壊確率と破壊リスクを計算することができる。なお、最初の検査の場合でも、最初の検査の解析データと、き裂発生の予測とを比較することにより、ある程度解析条件を絞り込み、2回目の検査に反映させることができる。
ステップS108において、制御部11は、記憶部12に記憶されているデータベースを読み出し、読み出されたデータベースを出力部14に供給する。出力部14は、制御部11から供給されたデータベースを出力する。
ステップS106において今回測定されたき裂寸法と前回測定されたき裂寸法との差が所定の値より大きくないと判定された場合、ステップS107の処理はスキップされる。すなわち、解析条件は更新されない。その後、処理はステップS108に進む。
一方、ステップS104において今回の検査が最初の検査であると判定された場合、ステップS105乃至S107の処理はスキップされ、処理はステップS108に進む。
なお、本発明の実施形態に示された破壊リスク評価装置1においては、原子力プラントを破壊リスクの評価対象としたが、他のプラント(例えば、火力プラントや化学プラントなど)を破壊リスクの評価対象とすることができる。
また、本発明の実施形態に示された破壊リスク評価装置1においては、破壊リスクの評価対象である原子力プラントの機器に発生したき裂を検出し、破壊確率や破壊リスクを計算するようにしたが、本発明は機器に発生したき裂に限られず、その機器に生じているあらゆる欠陥に適用することができる。
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、破壊リスク評価装置1は、図28に示されるようなパーソナルコンピュータにより構成される。
図28において、CPU41は、ROM42に記憶されているプログラム、または記憶部48からRAM43にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM43にはまた、CPU41が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU41、ROM42、およびRAM43には、バス44を介して相互に接続されている。このバス44にはまた、入出力インタフェース45が接続されている。
入出力インタフェース45には、キーボード、マウスなどによりなる入力部46、CRT(CathodeRay Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部47、ハードディスクなどより構成される記憶部48、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部49が接続されている。通信部49は、インターネット(図示せず)を含むネットワークを介しての通信処理を行う。
入出力インタフェース45にはまた、必要に応じてドライブ50が接続され、磁気ディスク51、光ディスク52、光磁気ディスク53、あるいは半導体メモリ54などが適宜装着され、それから読み出しコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部48にインストールされる。
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム格納記録媒体は、図28に示されるように、磁気ディスク51(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)を含む)52、光磁気ディスク53(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリ54などよりなるパッケージメディア、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM42や、記憶部48を構成するハードディスクなどより構成される。プログラム格納媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースを介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、ディジタル衛星放送といった、有線または無線の通信記録媒体を利用して行われる。
なお、本明細書において、プログラム格納記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
1 破壊リスク評価装置
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
21 外部記録媒体
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
21 外部記録媒体
Claims (19)
- 被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記欠陥データに基づいて、前記披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定手段と、
前記欠陥判定手段により前記被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、前記被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、前記被評価物に生じている欠陥を解析する解析手段と、
前記解析手段により解析された解析結果に基づいて、前記被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算手段と
を備えることを特徴とする破壊リスク評価装置。 - 予め作成された解析条件には、少なくとも、前記被評価物に加えられる荷重である運転荷重、前記被評価物の材料の性質を数値化した値である材料特性、地震によって誘起される加速度によって前記被評価物にかかる力である地震荷重、前記被評価物が破壊するときに示す力である材料特性、および前記被評価物に生じている欠陥が進展し破壊に至るときの応力拡大係数の限界値である破壊靭性が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 予め作成された解析条件には、少なくとも、前記測定手段により欠陥の寸法を測定するときのばらつき度合いを示す欠陥寸法測定ばらつき値が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 予め作成された解析条件には、少なくとも、前記被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記解析手段は、
前記被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が所定の値より大きいか否かを判定する欠陥進展限界値判定手段をさらに備え、
前記欠陥限界値判定手段により前記被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が所定の値より大きいと判定された場合、前記解析手段は、破壊するケースと設定し、
前記欠陥限界値判定手段により前記被評価物に生じている欠陥が進展することにより破壊に至る限界値である欠陥進展限界値が所定の値より大きくないと判定された場合、前記解析手段は、破壊しないケースと設定し、
前記破壊確率計算手段は、前記解析手段により設定された破壊するケースの数である破壊ケース数と、前記解析手段により設定された破壊しないケースの数である破壊しないケース数の比から、前記被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 予め作成された解析条件には、少なくとも、前記被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記解析手段は、
前記被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が所定の値より大きいか否かを判定する破壊部位判定手段をさらに備え、
前記破壊部位判定手段により前記被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が所定の値より大きいと判定された場合、前記解析手段は、破壊するケースと設定し、
前記破壊部位判定手段により前記被評価物が最深点と表面点のいずれから破壊するかを評価するための破壊部位評価値が所定の値より大きくないと判定された場合、前記解析手段は、破壊しないケースと設定し、
前記破壊確率計算手段は、前記解析手段により設定された破壊するケースの数である破壊ケース数と、前記解析手段により設定された破壊しないケースの数である破壊しないケース数の比から、前記被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記破壊確率計算手段により計算された破壊確率と、前記被評価物が欠陥により破壊された場合の損害額、および被評価物の破壊確率を計算するまでの一連の検査に伴うコストに基づいて、前記被評価物が欠陥により破壊されるリスクである破壊リスクを計算する破壊リスク計算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。
- 前記解析手段により解析された解析結果、前記破壊確率計算手段により計算された破壊確率、および前記破壊リスク計算手段により計算された破壊リスクのデータである破壊リスクデータに基づいて、前記被評価物を次回検査する時期である次回検査時期を計算する時期計算手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の破壊リスク評価装置。
- 前記解析手段により解析された解析結果に基づいて、前記被評価物を次回検査する場合の、前記被評価物に生じている欠陥の寸法の予測値を計算する寸法予測値計算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。
- 前記寸法予測値計算手段により計算された欠陥の寸法の予測値を記憶する予測値記憶手段と、
前記予測値記憶手段により予め記憶されている欠陥の寸法の予測値と、前記測定手段により測定された欠陥の寸法とを比較して、前記予測値記憶手段により予め記憶されている欠陥の寸法の予測値と前記測定手段により測定された欠陥の寸法の差が所定の値よりも大きいか否かを判定する寸法判定手段と、
前記寸法判定手段により、前記予測値記憶手段により予め記憶されている欠陥の寸法の予測値と前記測定手段により測定された欠陥の寸法の差が所定の値よりも大きいと判定された場合、前記解析手段により解析するときに用いられる予め作成された解析条件を更新する更新手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記解析手段は、乱数を用いたモンテカルロシミュレーションにより解析する
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記欠陥判定手段により前記被評価物に欠陥が生じていないと判定された場合、前記欠陥判定手段により前記被評価物に欠陥が生じていないと判定された前記被評価物の部位について、前記被評価物に生じている欠陥が検出される確率である検出確率を計算する検出確率計算手段をさらに備え、
前記測定手段は、
前記検出確率計算手段により計算された検出確率に基づいて、前記欠陥判定手段により前記被評価物に欠陥が生じていないと判定された部位での、前記被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記欠陥判定手段により前記被評価物に欠陥が生じていないと判定された前記被評価物の部位が、前記被評価物における所定の領域であるか否かを判定する領域判定手段をさらに備え、
前記検出確率計算手段は、前記領域判定手段により判定された判定結果に基づいて、前記被評価物に生じている欠陥が検出される確率である検出確率を計算する
ことを特徴とする請求項13に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記被評価物は、前記被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子に基づいて、少なくとも3つの領域に予め分類される
ことを特徴とする請求項14に記載の破壊リスク評価装置。 - 前記被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子のうち、少なくとも1つの因子も有さない前記被評価物の部位は、第1の領域に分類され、
前記被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子のうち、3つとも有しており、かつ、欠陥がまだ生じていない部位は、第2の領域に分類され、
前記被評価物に欠陥を生じさせる3つの因子のうち、3つとも有しており、かつ、欠陥がすでに生じている部位は、第3の領域に分類される
ことを特徴とする請求項15に記載の破壊リスク評価装置。 - 被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップの処理により取得された前記欠陥データに基づいて、前記披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定ステップと、
前記欠陥判定ステップの処理により前記被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、前記被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定ステップと、
前記測定ステップの処理により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、前記被評価物に生じている欠陥を解析する解析ステップと、
前記解析ステップの処理により解析された解析結果に基づいて、前記被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算ステップと
を含むことを特徴とする破壊リスク評価方法。 - 被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップの処理により取得された前記欠陥データに基づいて、前記披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定ステップと、
前記欠陥判定ステップの処理により前記被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、前記被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定ステップと、
前記測定ステップの処理により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、前記被評価物に生じている欠陥を解析する解析ステップと、
前記解析ステップの処理により解析された解析結果に基づいて、前記被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算ステップと
を含むことを特徴とするコンピュータに読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。 - 被評価物の欠陥に関する欠陥データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップの処理により取得された前記欠陥データに基づいて、前記披評価物に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定ステップと、
前記欠陥判定ステップの処理により前記被評価物に欠陥が生じていると判定された場合、前記被評価物に生じている欠陥の寸法を測定する測定ステップと、
前記測定ステップの処理により測定された欠陥の寸法と、予め作成され解析条件に基づいて、前記被評価物に生じている欠陥を解析する解析ステップと、
前記解析ステップの処理により解析された解析結果に基づいて、前記被評価物が所定の期間内に破壊する確率である破壊確率を計算する破壊確率計算ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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2005
- 2005-12-28 JP JP2005377767A patent/JP2007178292A/ja active Pending
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