JP2018059863A - 破壊評価解析装置、破壊評価システム、および破壊評価方法 - Google Patents

破壊評価解析装置、破壊評価システム、および破壊評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】破壊靱性値の分布およびばらつき、あるいは外部からの荷重のばらつき、時間経過および非破壊検査の影響を考慮した確率論的破壊解析を可能とする。
【解決手段】本実施形態の破壊評価解析装置100は、繰り返し回数記憶部111と、時間情報記憶部113と、非破壊検査情報記憶部112と、中性子照射量情報記憶部114と、構造物情報記憶部115と、き裂進展情報記憶部116と、演算結果記憶部118と、破壊靭性値導出部127と、破壊判定部128と、き裂進展量算出部123と、時間情報と繰り返し回数による分割期間の総和が破壊評価時間に達したかを判定する評価時間判定部124と、繰り返し判定部129と、破壊確率算出部130と、分割期間の総和が非破壊検査情報記憶部112に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて破壊確率を再計算するき裂検出判定部125と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、中性子照射を受ける構造物の破壊評価解析装置、破壊評価システム、および破壊評価方法に関する。
中性子照射を受ける構造物としては、たとえば原子力発電プラントの原子炉圧力容器内に設置された炉内構造物がある。この炉内構造物の一例であるシュラウドは、炉心で発生する中性子の照射により材料の劣化が生じて破壊靱性値が低下する。
シュラウドの外表面は、中性子の照射の影響が内表面に比べて小さいため、破壊靱性値の低下は内表面より小さい。その結果、シュラウドには、内表面から外表面にかけて破壊靱性値の分布が存在することになる。このシュラウドの内表面にき裂が生じたと仮定し、外部からの荷重によってシュラウドが破壊するか否かを解析で評価する場合、き裂先端の破壊靱性値の分布を考慮して評価する必要がある。
しかし、現状の解析手法では、破壊靱性値の分布を考慮することができない課題がある。また、解析での破壊評価においては非破壊検査によるき裂の検出後の補修などを考慮する必要がある。
特開2015−512526号公報 特開2007−198838号公報 特開2011−38778号公報
前述したように、破壊靱性値の低下は、構造物全体に均一に生じるのではなく、中性子の照射を直接受ける面が最も顕著に表れ、その面から離れるに伴い減衰する。また、同一箇所でも、中性子の照射にばらつきが生じるため、破壊靱性値にもばらつきが生じる。
従来、このような構造物の破壊評価を行う際は、演算の煩雑さを避けるために、また中性子照射量について安全側の評価、すなわち厳しい側の評価としていた。そのため、中性子照射の時間的積算量である中性子照射量は、板厚方向に一定であると近似して、中性子照射量が最も大きな内面での値を用いていた。
シュラウドのように板厚寸法が大きな構造物の場合は、中性子照射量の板厚方向の減衰による分布は顕著である。このような場合、中性子照射量が板厚方向に一定とした場合、解析上はすでに破壊条件に至っているものの、現実には破壊に対して大きな余裕を有しているという事態が生じることも考えられる。
したがって、現実的にはむしろ、中性子照射量の板厚方向の分布を考慮し、その上で適正な余裕をとることが望ましい。また、非破壊検査においてき裂が検出された場合に補修工事を行うため、非破壊検査によるき裂の補修の影響を評価に加えることが望ましい。
本実施形態が解決しようとする課題は、破壊靱性値の分布およびばらつき、あるいは外部からの荷重のばらつき、時間経過および非破壊検査の影響を考慮した確率論的破壊解析が可能な破壊評価解析装置、破壊評価システム、および破壊評価方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本実施形態に係る破壊評価解析装置は、 中性子照射を受ける構造物の破壊確率を評価し、記憶部、演算部、および入力部を具備する破壊評価解析装置であって、前記記憶部は、前記入力部に外部入力されたき裂進展解析が繰り返し実行される繰り返し回数に関する情報を受け入れて記憶する繰り返し回数記憶部と、前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報を記憶する時間情報記憶部と、前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の前記破壊評価期間内における非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の非破壊検査情報を受け入れて記憶する非破壊検査情報記憶部と、前記入力部に外部入力された前記構造物内の板厚方向の中性子照射量の分布および前記構造物内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきに関する中性子照射量情報を受け入れて記憶する中性子照射量情報記憶部と、前記入力部に外部入力された前記構造物のポアソン比および縦弾性係数を含む構造物情報を受け入れて記憶する構造物情報記憶部と、前記入力部に外部入力された前記構造物に生じているき裂およびき裂進展速度式に関するき裂進展情報を受け入れて記憶するき裂進展情報記憶部と、前記演算部での演算結果を記憶する演算結果記憶部と、を備え、前記演算部は、前記構造物情報記憶部に記憶された前記構造物情報と前記中性子照射量情報記憶部に記憶された前記中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値を算出する破壊靭性値導出部と、前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力と前記き裂進展情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて算出された応力拡大係数と前記破壊靭性値とを比較して破壊の有無を判定する破壊判定部と、前記き裂進展情報記憶部に記憶された前記き裂進展情報と前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報とに基づいてき裂進展量を算出するき裂進展量算出部と、前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報と前記き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和が前記破壊評価期間に達したかを判定する評価期間判定部と、前記非破壊検査期間および最後の非破壊検査の終了から前記破壊評価期間の終了までの期間に前記非破壊検査の有無の回数が、前記繰り返し回数記憶部に記憶されているき裂進展解析の繰り返し回数に達したかを判定する繰り返し判定部と、前記破壊判定部で破壊と判定された回数と前記き裂進展解析の繰り返し回数との比から前記構造物の破壊確率を算出する破壊確率算出部と、前記分割期間の総和が前記非破壊検査情報記憶部に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて前記破壊確率を再計算するき裂検出判定部と、を備えることを特徴とする。
本実施形態に係る破壊評価システムは、中性子照射を受ける構造物の破壊確率を評価する破壊評価システムであって、前記構造物の表面における放射線量を測定する放射線検出器と、前記構造物に生じたき裂を計測する探傷装置と、演算部、記憶部、および入力部を具備し、中性子照射量情報およびき裂情報に基づいて、前記構造物の破壊確率を算出する破壊評価解析装置と、を備え、前記記憶部は、前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の繰り返し実行される繰り返し回数に関する情報を受け入れて記憶する繰り返し回数記憶部と、前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報を記憶する時間情報記憶部と、前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の破壊評価期間内における非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の情報を受け入れて記憶する非破壊検査情報記憶部と、前記入力部に外部入力された前記構造物内の板厚方向の中性子照射量の分布および前記構造物内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきに関する中性子照射量情報を受け入れて記憶する中性子照射量情報記憶部と、前記入力部に外部入力された前記構造物のポアソン比および縦弾性係数を含む構造物情報を受け入れて記憶する構造物情報記憶部と、前記入力部に外部入力された前記構造物に生じているき裂およびき裂進展速度式に関するき裂進展情報を受け入れて記憶するき裂進展情報記憶部と、前記演算部での演算結果を記憶する演算結果記憶部と、を備え、前記演算部は、前記構造物情報記憶部に記憶された前記構造物情報と前記中性子照射量情報記憶部に記憶された前記中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値を算出する破壊靭性値導出部と、前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力と前記き裂進展情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて算出された応力拡大係数と前記破壊靭性値とを比較して破壊の有無を判定する破壊判定部と、前記き裂進展情報記憶部に記憶された前記き裂進展情報と前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報とに基づいてき裂進展量を算出するき裂進展量算出部と、前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報と前記き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和が前記破壊評価期間に達したかを判定する評価期間判定部と、前記非破壊検査期間および最後の非破壊検査終了から前記破壊評価期間終了までの期間に前記非破壊検査の有無の回数が、前記繰り返し回数記憶部に記憶されているき裂進展解析の繰り返し回数に達したかを判定する繰り返し判定部と、前記破壊判定部で破壊と判定された回数と前記き裂進展解析の繰り返し回数との比から前記構造物の破壊確率を算出する破壊確率算出部と、前記分割期間の総和が前記非破壊検査情報記憶部に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて前記破壊確率を再計算するき裂検出判定部と、を備えることを特徴とする。
本実施形態の破壊評価方法は、中性子照射を受ける構造物の破壊確率を非破壊検査の影響を考慮して破壊評価する破壊評価方法であって、入力部が、き裂進展解析の繰り返し回数に関する情報、前記き裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報、前記き裂進展解析の破壊評価期間内における非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の非破壊検査情報、前記構造物内の板厚方向の中性子照射量の分布および前記構造物内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきに関する中性子照射量情報、前記構造物のポアソン比および縦弾性係数を含む構造物情報、および前記構造物に生じているき裂およびき裂進展速度式に関するき裂進展情報を読み込む読み込みステップと、破壊靭性値導出部が、前記構造物情報と前記中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値を算出する破壊靭性値導出ステップと、破壊判定部が、前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力とき裂情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて算出された応力拡大係数と前記破壊靭性値とを比較して破壊の有無を判定する破壊判定ステップと、き裂進展量算出部が、前記き裂進展情報と前記時間情報とに基づいてき裂進展量を算出するき裂進展量算出ステップと、評価期間判定部が、前記時間情報と前記き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和が前記破壊評価期間に達したかを判定する評価期間判定ステップと、繰り返し判定部が、前記非破壊検査期間および最後の非破壊検査の終了から前記破壊評価期間の終了までの期間に前記非破壊検査の有無の回数が、前記き裂進展解析の繰り返し回数に達したかを判定する繰り返し判定ステップと、破壊確率算出部が、前記破壊判定ステップで破壊と判定された回数と前記き裂進展解析の繰り返し回数との比から前記構造物の破壊確率を算出する破壊確率算出ステップと、き裂検出判定部が、前記分割期間の総和が非破壊検査情報記憶部に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて前記破壊確率を再計算するき裂検出判定ステップと、を有することを特徴とする。
本実施形態によれば、破壊靱性値の分布およびばらつき、あるいは外部からの荷重のばらつき、時間経過および非破壊検査の影響を考慮した確率論的破壊解析が可能になる。
実施形態に係る破壊評価システムの構成を示すブロック図である。 実施形態に係る破壊評価解析装置の構成を示すブロック図である。 解析対象の例としての二次元き裂を有する平板の概念図である。 中性子照射量分布の例を示すグラフである。 中性子照射量のばらつきの確率密度関数の例を示すグラフである。 中性子照射量のばらつきの累積確率の例を示すグラフである。 実施形態に係る破壊評価解析方法の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る破壊評価解析装置、破壊評価システム、および破壊評価方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
図1は、実施形態に係る破壊評価システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、破壊評価システム500は、対象とする炉内構造物などの構造物(以下、構造物と記す。)10に生じたき裂15に関連して構造物10が破壊に至るか否かを評価する。破壊評価システム500は、破壊評価解析装置100、放射線検出器200、および探傷装置300を有する。
探傷装置300は、プラントが停止しメンテナンス状態に移行した後に、構造物10の近傍に持ち込まれて、構造物10に生じたき裂深さを含むき裂15の形状、寸法を測定する。
放射線検出器200は、プラント運転中に、構造物10の表面の中性子の強度、すなわち中性子束レベルを測定する。放射線検出器200は、プラント運転中に炉心内の出力分布を測定する局所出力領域モニタ(LPRM:Local Power Range Monitor)のうち、最も近いものを用いてもよい。あるいは、これらのLPRMの出力から算出される原子炉の炉心内の中性子束の分布に基づいて、構造物10の内壁における中性子束を推定することができる。
放射線検出器200による測定結果、あるいは炉心内の中性子束分布に基づく推定結果を、照射時間で累積することにより、構造物10の内壁の中性子照射量を求めることができる。
破壊評価解析装置100は、計算機システムであり、構造物10の内壁の中性子照射量、探傷装置300の測定結果によるき裂15の深さ、および計算機システムの入力部からの外部情報に基づいて、構造物10が破壊に至るか否かの破壊評価を行う。
本実施形態の破壊評価解析装置100は、非破壊検査を実施する場合、き裂検出確率算出式の情報からき裂15が検出されるかを判定し、き裂15が検出された場合にはき裂15を補修し、非破壊検査の有無を判定した回数があらかじめ設定された所定の繰り返し回数に達した場合、き裂検出判定部125(図2参照)によって破壊確率の再計算を行う。
図2は、実施形態に係る破壊評価解析装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、破壊評価解析装置100は、記憶部110、演算部120、入力部140および出力部150を有する。
入力部140は、外部から入力される少なくとも、次の複数の情報を受け入れる。これらの情報は、繰り返し回数Nに関する情報、構造物情報、時間情報、非破壊検査情報、き裂進展情報、中性子照射量情報、および外荷重情報である。
上記繰り返し回数Nに関する情報は、あらかじめ設定され、き裂進展解析が繰り返し実行される繰り返し回数Nに関する情報である。
上記構造物情報は、構造物10の厚さ・材質に応じてあらかじめ設定された形状・寸法、ポアソン比および縦弾性係数、使用温度条件を含む情報である。
上記時間情報は、あらかじめ設定されたき裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する情報である。
上記非破壊検査情報は、上記破壊評価期間内においてあらかじめ設定された非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の情報である。
上記き裂進展情報は、き裂15の形状・寸法およびき裂進展速度式を含むき裂15に関する情報である。このき裂15の形状・寸法は、探傷装置300によって測定され、き裂進展速度式の情報は、構造物10の材質に基づいてあらかじめ設定されている。
上記中性子照射量情報は、構造物10内の板厚方向の中性子照射量の分布および構造物10内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきを含む中性子照射量に関する情報である。上記中性子照射量情報は、放射線検出器300によって検出される。
上記外荷重情報は、構造物10に付加される外荷重およびそのばらつきに関する情報である。上記外荷重情報は、構造物10の使用状況に応じてあらかじめ設定されている。
記憶部110は、繰り返し回数記憶部111、非破壊検査情報記憶部112、時間情報記憶部113、中性子照射量情報記憶部114、構造物情報記憶部115、き裂進展情報記憶部116、外荷重情報記憶部117、および演算結果記憶部118を有する。
繰り返し回数記憶部111は、入力部140が受け入れた、あらかじめ設定されたき裂進展解析が繰り返し実行される繰り返し回数Nに関する情報を記憶する。
非破壊検査情報記憶部112は、入力部140が受け入れたき裂進展解析の破壊評価期間内においてあらかじめ設定された非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式に関する非破壊検査情報を記憶する。すなわち、非破壊検査情報記憶部112は、破壊評価期間内において非破壊検査期間から非破壊検査時期も記憶される。
時間情報記憶部113は、入力部140が受け入れたき裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報を記憶する。ここで、破壊評価期間とは、構造物10が破壊するかどうかを評価する全体の期間をいう。破壊評価期間内の分割期間とは、破壊評価期間内で細かく均等に分割した期間であって、その分割した期間の度に構造物10全体のサンプルが破壊するかどうかを評価する。破壊評価期間をたとえば10年とし、1年ずつに分割したとすると、分割期間の数は10となる。この場合、構造物10全体のサンプルが破壊するかどうかを評価する破壊評価時期は、1年ごとになる。
中性子照射量情報記憶部114は、入力部140が受け入れた構造物10内の板厚方向の中性子照射量の分布および構造物10内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきを含む中性子照射量に関する中性子照射量情報を記憶する。
構造物情報記憶部115は、入力部140が受け入れた構造物10の厚さ・材質に応じてあらかじめ設定された形状・寸法、ポアソン比および縦弾性係数、使用温度条件を含む構造物情報を記憶する。構造物情報には、前記の構造物10の形状・寸法、ポアソン比および縦弾性係数、使用温度条件の他に、使用温度条件および中性子照射量に依存する当該構造物10の材料の破壊靭性値も含まれる。
き裂進展情報記憶部116は、入力部140が受け入れた構造物10に生じているき裂15の形状・寸法およびき裂進展速度式を含むき裂15に関するき裂進展情報を記憶する。このき裂進展速度式は、応力拡大係数と中性子照射量の少なくとも一方に依存している。外荷重情報記憶部117は、構造物10に付加される引張荷重FおよびモーメントM(図3参照)を含む外荷重情報を記憶する。演算結果記憶部118は、演算部120で演算された結果を記憶する。
演算部120は、応力算出部121、応力拡大係数算出部122、き裂進展量算出部123、評価期間判定部124、き裂検出判定部125、中性子照射量設定部126、破壊靭性値導出部127、破壊判定部128、繰り返し判定部129、および破壊確率算出部130を有する。
図3は、解析対象の例としての二次元き裂を有する平板の概念図である。図3は、構造物10に、引張荷重Fと、曲げモーメントMが付加されている場合を示している。曲げモーメントMは、き裂15に垂直の方向に付加されている。き裂15に対する荷重の作用の形式は、モードIの引張形式、モードIIのせん断形式、モードIIIの面外せん断形式に分類される。図3は、引張形式の場合を示している。
図2に示す応力算出部121は、構造物10のき裂15の先端近傍の応力を算出する。具体的には、応力算出部121は、外荷重情報記憶部117に記憶された引張荷重Fおよび曲げモーメントMを含む外荷重情報と、き裂進展情報記憶部116に記憶されたき裂の形状・寸法に関するき裂進展情報に基づいて、き裂先端近傍の応力として、引張荷重Fに起因する膜応力σおよび曲げモーメントMに起因する曲げ応力σを算出する。
ここで、外荷重情報には、引張荷重Fおよび曲げモーメントMの負荷の条件に起因して引張荷重Fおよび曲げモーメントMの値にばらつきが存在する場合がある。このような場合には、引張荷重Fに起因する膜応力σおよび曲げモーメントMに起因する曲げ応力σにもばらつきが付帯する。このばらつきの確率密度関数は、たとえば正規分布で近似することができ、膜応力σおよび曲げ応力σはそれぞれ中央値と標準偏差により表現することができる。
ここで、ばらつきを考慮して確率的に膜応力σおよび曲げ応力σを設定するには、乱数を用いる方法がある。例として、膜応力σの算出式を式(1)に示す。
Figure 2018059863
式(1)において、膜応力σmは式(1)を満たす値として決定され、F(σ)は膜応力がσとなる際の確率密度関数、σは標準偏差、μは中央値である。
応力拡大係数算出部122は、応力算出部121において算出された膜応力σおよび曲げ応力σと、構造物情報記憶部115に記憶された構造物情報と、き裂進展情報記憶部116に記憶されたき裂進展情報とに基づいて、次の式(2)によりき裂先端の応力拡大係数Kを算出する。
K=(Fσ+Fσ)√(πa) …(2)
ただし、式(2)において、aはき裂の深さ、Fは膜応力に対する重み係数、Fは曲げ応力に対する重み係数である。
ここで、膜応力σおよび曲げ応力σは、ばらつきを考慮して確率的に求められた値であるので、これに基づいて導出された応力拡大係数Kもまた、確率的な値である。
膜応力に対する補正係数Fおよび曲げ応力に対する補正係数Fを、次の式(3)、(4)のように、(a/t)の関数として求めてもよい。ただし、tは構造物10の板厚である。
=fm(a/t) …(3)
=fb(a/t) …(4)
さらに具体的には、次の式(5)、(6)により膜応力に対する補正係数Fおよび曲げ応力に対する補正係数Fをそれぞれ求めてもよい。
Figure 2018059863
Figure 2018059863
図4は、中性子照射量分布の例を示すグラフである。図4において、横軸は構造物10の板厚方向の距離a、縦軸は、中性子照射量Φtである。また、図5は、中性子照射量のばらつきの確率密度関数の例を示すグラフである。図5において、横軸は、中性子照射量Φt[n/m]、縦軸は、ばらつきの確率密度関数p(Φt)の値である。
中性子照射量Φtは、中性子束Φの中性子照射の時間に関する積算量である。中性子照射の時間は板厚方向の各部に共通であるから、中性子照射量Φtは、中性子束Φに比例する。中性子束Φは、板厚方向に進むにつれて減衰する。したがって、中性子照射量Φtも、図4の曲線Aに示すように板厚方向に進むにつれて低減するような分布を有している。
ここで、中性子照射量の板厚方向の分布は、通常、次の式(7)のように指数関数で与えられる。あるいは、次の式(8)を用いてもよい。ただし、aは板厚方向の深さ、aの係数は、長さの逆数の次元をもつ定数である。
Φt=Φt×exp(−ha) …(7)
Figure 2018059863
構造物10の板厚方向における中性子束の減衰は、中性子と構造物10との相互作用の結果により生ずるものである。構造物10の構成は結晶粒などの影響により微視的には非均質である。また、中性子と構造物10との相互作用も確率的なものである。これらの結果、中性子照射量は、曲線Aに沿って減衰するものの、曲線Aの近傍でばらつきが存在する。
たとえば、板厚方向の距離がaの位置においては、曲線Aによれば中性子照射量Φtは、Φtであるが、ばらつきを考慮すると、たとえばΦtを中央値として、図5に示す例のように、その近傍にばらついている。このばらつきは、たとえば正規分布で近似することができ、中央値と標準偏差により表現することができる。
き裂検出判定部125は、非破壊検査情報記憶部112に記憶された非破壊検査期間による非破壊検査時期にき裂15の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて破壊確率を再計算する。具体的には、き裂検出判定部125は、き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の数の総和が非破壊検査情報記憶部112で入力した検査間隔の期間に達した際にき裂15が検出されるかを判定する。き裂15の検出確率算出式は、き裂長さの関数とする。0以上1未満の乱数を用いて、求めた検出確率が乱数の値よりも大きければ、き裂15は検出されたものと判定する。
き裂15の検出判定を受けたサンプルのき裂長さおよび中性子照射量の情報は、演算結果記憶部118に記憶され、次のサンプルの計算を行う。1回目の非破壊検査期間までのき裂進展解析の全繰返し数の計算を終了したら、次の非破壊検査期間まで再度き裂進展解析の全繰り返し数の計算を行う。
ある非破壊検査期間におけるき裂進展解析の全繰返し数の計算が終了した時点で、繰り返し数に対するき裂が検出された回数の比と1の差を算出し、この値を破壊確率に乗じることにより、破壊確率を再計算する。次の非破壊検査期間までの計算の再開時において、検出されたき裂15のき裂長さは初期き裂長さとし、検出されなかったき裂15は演算結果記憶部118に記憶されたき裂長さから計算を行う。
中性子照射量設定部126は、き裂先端の位置における中性子照射量を確率的に設定する。すなわち、中性子照射量設定部126は、中性子照射量情報記憶部114に記憶された中性子照射量分布情報に基づいて構造物10の板厚方向の中性子照射量分布およびばらつきを設定する。
図6は、中性子照射量のばらつきの累積確率の例を示すグラフである。図6において、横軸は、中性子照射量Φt[n/m]、縦軸は、ばらつきの累積確率P(Φt)であり、最小値0から最大値1までの値をとる。
ここで、累積確率P(Φt)は確率密度関数p(Φt)を用いて次の式(9)により得られる。
Figure 2018059863
中性子照射量設定部126は、累積確率P(Φt)として0から1の間の任意の数値Xを与え、図6を用いて、この数値Xに対応する中性子照射量Φtを設定する。0から1の間の任意の数値Xを確率的に与えるには、たとえば、乱数発生器を用いて乱数として与える方法がある。
き裂進展量算出部123は、き裂進展情報記憶部116に記憶されたき裂進展情報と時間情報記憶部113に記憶された時間情報とに基づいてき裂進展量を算出する。具体的には、き裂進展量算出部123は、応力拡大係数算出部122で算出された応力拡大係数と中性子照射量設定部126で設定された中性子照射量の少なくとも一方の関数としたき裂進展速度式と、時間情報記憶部113に記憶された分割期間の数との積により、き裂進展量を算出する。
破壊靭性値導出部127は、中性子照射量設定部126で設定されたき裂15の先端部a1における中性子照射量Φtに基づいて、き裂15の先端部近傍の破壊靭性値KICを導出する。破壊靭性値KICは、構造物10の材料、環境温度および中性子照射を含む環境条件に依存する。
したがって、破壊靭性値導出部127は、構造物情報記憶部115に記憶された構造物10に関する材料、材料使用温度と、中性子照射量設定部126で設定された中性子照射量とから、き裂15の先端近傍の破壊靭性値KICを導出する。すなわち、破壊靭性値導出部127は、構造物情報記憶部115に記憶された構造物情報と、中性子照射量情報記憶部114に記憶された中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値KICを算出する。
なお、破壊靭性値KICを、次の式(10)を用いて算出してもよい。
Figure 2018059863
ただし、式(10)において、Eは縦弾性率、νはポアソン比を示す。
中性子照射量Φtが前記のようにばらつきを考慮して確率的に設定されるので、これに基づいて算出された破壊靭性値KICも、ばらつきを考慮した値であり、かつ確率的な値である。
破壊判定部128は、応力拡大係数算出部122で算出された確率的な値である応力拡大係数Kと、破壊靱性値導出部127で導出された確率的な値である破壊靭性値KICとを受け入れて、両者を比較し、破壊の有無を評価する。すなわち、応力拡大係数Kが破壊靭性値KICを上回っていれば、破壊すると判定する。この判定結果は、演算結果記憶部118に記憶される。この演算結果記憶部118に記憶された判定結果は、破壊確率算出部130において繰り返し回数が所定の繰り返し回数Nになった後に破壊確率を算出するために用いられる。この破壊確率は、非破壊検査時期にき裂15の検出確率に応じて再計算される。
評価期間判定部124は、時間情報記憶部113に記憶された破壊評価期間と、き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和とを比較し、分割期間の総和が破壊評価期間に達したかを判定する。分割期間の総和が破壊評価期間に達した場合は、非破壊と判定する。この判定結果は、演算結果記憶部118に記憶される。
繰り返し判定部129は、非破壊検査期間および最後の非破壊検査終了から評価期間終了までの期間にき裂検出判定部125において判定されたき裂15の有無の回数が、繰り返し回数記憶部111に記憶されている所定の繰り返し回数Nに達したかを判定する。
破壊確率算出部130は、破壊判定部128で破壊と判定された回数と外部入力されたき裂進展解析の繰り返し回数との比から構造物10の破壊確率を算出する。具体的には、破壊確率算出部130は、非破壊検査期間および最後の非破壊検査終了から評価期間終了までの期間に繰り返し回数が所定の繰り返し回数Nとなった後に、演算結果記憶部118に記憶された破壊判定部128での判定結果に基づいて、破壊確率を算出する。
今、繰り返し回数Nのうち、破壊判定部128が破壊すると判定した回数をDとすると、破壊確率dは、d=D/Nにより与えられる。ただし、非破壊検査期間における破壊確率dは、非破壊検査時期にき裂15の検出確率に応じて再計算される。繰り返し回数が所定の繰り返し数Nとならなかった場合は、分割期間とき裂増分の総和を0とする。この結果は、演算結果記憶部118に記憶される。
出力部150は、演算結果記憶部118に記憶された破壊確率を含む主要な情報と、記憶部110のその他の部分に記憶された主要な情報を出力する。
なお、本実施形態では、破壊評価解析装置100に、破壊確率算出部130およびき裂検出判定部125により算出された破壊確率に基づいて、構造物10の健全性を評価する健全性評価部をさらに設けてもよい。
この場合、評価全体として正規分布を仮定すると、たとえば、標準偏差の3倍をカバーする確率で破壊しないとする場合には、破壊確率dの判定値を0.0015程度にすればよい。あるいは、標準偏差の6倍をカバーする確率で破損しないとする場合には、破壊確率dの判定値を3.4×10−6程度にすればよい。この場合、繰り返し回数Nは、十分に判定できるための繰り返し回数とする必要がある。
図7は、実施形態に係る破壊評価解析方法の手順を示すフローチャートである。
本実施形態に係る破壊評価解析方法は、非破壊検査期間の間隔とき裂検出確率算出式に基づいて非破壊検査を実施するかを判定する。実施する場合には、き裂検出確率算出式の情報からき裂15が検出されるかを判定する。き裂15が検出された場合にはき裂15を補修する。き裂15を補修したことで、破壊確率が変化する。そして、非破壊検査の有無を判定した回数があらかじめ設定された所定の繰り返し回数に達した場合に破壊確率の再計算を行う。以下、具体的に説明する。
図7に示すように、まず、入力部140が、き裂進展解析の繰り返し回数Nに関する情報、構造物情報、き裂進展情報、時間情報、非破壊検査情報、中性子照射量情報、外荷重情報などを受け入れる(ステップS01)。これらの情報は、それぞれ記憶部110内の各部に記憶される(ステップS02)。
次に、応力算出部121により、確率的な応力の設定が行われる(ステップS03)。具体的には、き裂先端部での膜応力σおよび曲げ応力σについてのばらつきの分布のそれぞれの累積確率に基づいて、たとえば、乱数発生器から発せられた0から1の範囲の乱数に基づいて、膜応力σおよび曲げ応力σの値が設定される。
次に、応力拡大係数算出部122が、応力算出部121により確率的に設定された膜応力σおよび曲げ応力σの値に基づいて、前述の式(2)を用いて応力拡大係数Kを算出する(ステップS04)。
また、中性子照射量設定部126が、き裂15の先端部近傍における中性子照射量Φtについてのばらつきの分布の累積確率に基づいて、たとえば乱数発生器から発せられた0から1の範囲の乱数に基づいて、中性子照射量Φtを設定する(ステップS05)。
次に、破壊靭性値導出部127が、構造物情報記憶部115に記憶された構造物10に関する材料のポアソン比および縦弾性係数と、中性子照射量設定部126で設定された中性子照射量とから、き裂15の先端近傍の破壊靭性値KICを導出する(ステップS06)。
次に、き裂進展量算出部123が、き裂進展情報記憶部116に記憶されたき裂進展情報と時間情報記憶部113に記憶された時間情報に基づいて、き裂進展量を算出する(ステップS07)。
ここで、ステップS04はステップS03の後に、また、ステップS06はステップS05の後に行うという条件のもとに、ステップS03およびステップS04は、ステップS05およびステップS06の後に行うことでもよい。
次に、破壊判定部128は、応力拡大係数算出部122で算出された応力拡大係数Kと、破壊靱性値導出部127で導出された破壊靭性値KICとを比較し、応力拡大係数Kが破壊靭性値KICを上回っていれば、破壊すると判定し(ステップS08)、この判定結果は、演算結果記憶部118により記憶される(ステップS09)。
破壊確率算出部130は、演算結果記憶部118に記憶された破壊判定部128での判定結果に基づいて、破壊確率を算出する(ステップS10)。この結果は、演算結果記憶部118に記憶され、出力部150により出力される。
き裂検出判定部125は、非破壊検査情報記憶部112に記憶された非破壊検査期間(時期)とき裂検出確率算出式に関する情報に基づき、非破壊検査を実施するか否かの判定を行う(ステップS11)。非破壊検査が無い場合(ステップS11:NO)は、ステップS13へ移行し、非破壊検査がある場合(ステップS11:YES)はステップS12へ移行する。ステップS12では、分割期間の総和が非破壊検査期間(時期)に到達したかを判定し、非破壊検査時期に到達していない場合(ステップS12:NO)は、ステップS03に戻る。非破壊検査期間に到達している場合(ステップS12:YES)はステップS14へ移行する。このステップS14では、非破壊検査を行ってき裂の検出確率を算出し、き裂検出確率算出式に関する情報からき裂15が検出されるか否かの判定を行う。このステップS14でき裂15が検出された場合には、き裂15の補修を行う。なお、き裂15の補修を行えば、破壊確率が低下するように変化するため、後述するステップS16で破壊確率を再計算する。
ステップS13では、時間情報記憶部113に記憶された破壊評価期間と、繰返し計算による分割期間の総和を比較し、分割期間が破壊評価期間に達したか判定する。分割期間の総和が評価期間に達した場合(ステップS13:YES)は、ステップS15に移行する。分割期間の総和が評価期間に達していない場合(ステップS13:NO)は、ステップS03に戻る。
ステップS15では、非破壊検査期間および最後の非破壊検査終了から評価期間終了までの期間にステップS11において非破壊検査の有無を判定した回数が、ステップS01で入力された所定の繰り返し回数Nに到達したか否かを判定する。繰り返し数に達していない場合(ステップS15:NO)はステップS03に戻る。繰り返し数に達している場合(ステップS15:YES)は、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、き裂検出判定部125が繰り返し数に対するき裂が検出された回数の比と1の差を算出し、破壊確率に乗じることにより、破壊確率を再計算する。非破壊検査が無い場合は検出回数を0とする。
ステップS17では、上述したステップS13と同様に、時間情報記憶部113に記憶された破壊評価期間と、繰返し計算による分割期間の総和を比較し、分割期間が破壊評価期間に達したか判定する。分割期間の総和が破壊評価期間に達した場合(ステップS17:YES)は、全体の処理を終了する。分割期間の総和が破壊評価期間に達していない場合(ステップS17:NO)は、ステップS03に戻る。
以上の過程は、たとえば乱数発生器により発せられた乱数に基づき導出された応力拡大係数Kと、同様に乱数発生器により発せられた乱数に基づき導出された破壊靭性値KICとを、繰り返しの都度、導出して比較することから、モンテカルロ法の手法によっているといえる。
以上のように、本実施形態によれば、破壊靱性値の分布およびばらつき、あるいは外部からの荷重による応力のばらつき、時間経過および非破壊検査の影響を考慮した確率論的破壊解析が可能となる。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
たとえば、き裂に対する荷重の作用の仕方として分類される、モードIの引張形式、モードIIのせん断形式、モードIIIの面外せん断形式のうち、実施形態では、モードIの場合を例に示したが、モードIに限定されるものではない。本発明は、他のモードIIおよびモードIIIの場合にも、それぞれのモードに対応した応力および破壊靭性値を用いることにより同様の構成および方法により適用可能である。
10…構造物、15…き裂、100…破壊評価解析装置、110…記憶部、111…繰り返し回数記憶部、112…非破壊検査情報記憶部、113…時間情報記憶部、114…中性子照射量情報記憶部、115…構造物情報記憶部、116…き裂進展情報記憶部、117…外荷重情報記憶部、118…演算結果記憶部、120…演算部、121…応力算出部、122…応力拡大係数算出部、123…き裂進展量算出部、124…評価期間判定部、125…き裂検出判定部、126…中性子照射量設定部、127…破壊靭性値導出部、128…破壊判定部、129…繰り返し判定部、130…破壊確率算出部、140…入力部、150…出力部、200…放射線検出器、300…探傷装置、500…破壊評価システム

Claims (15)

  1. 中性子照射を受ける構造物の破壊確率を評価し、記憶部、演算部、および入力部を具備する破壊評価解析装置であって、
    前記記憶部は、
    前記入力部に外部入力されたき裂進展解析が繰り返し実行される繰り返し回数に関する情報を受け入れて記憶する繰り返し回数記憶部と、
    前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報を記憶する時間情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の前記破壊評価期間内における非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の非破壊検査情報を受け入れて記憶する非破壊検査情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力された前記構造物内の板厚方向の中性子照射量の分布および前記構造物内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきに関する中性子照射量情報を受け入れて記憶する中性子照射量情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力された前記構造物のポアソン比および縦弾性係数を含む構造物情報を受け入れて記憶する構造物情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力された前記構造物に生じているき裂およびき裂進展速度式に関するき裂進展情報を受け入れて記憶するき裂進展情報記憶部と、
    前記演算部での演算結果を記憶する演算結果記憶部と、を備え、
    前記演算部は、
    前記構造物情報記憶部に記憶された前記構造物情報と前記中性子照射量情報記憶部に記憶された前記中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値を算出する破壊靭性値導出部と、
    前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力と前記き裂進展情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて算出された応力拡大係数と前記破壊靭性値とを比較して破壊の有無を判定する破壊判定部と、
    前記き裂進展情報記憶部に記憶された前記き裂進展情報と前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報とに基づいてき裂進展量を算出するき裂進展量算出部と、
    前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報と前記き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和が前記破壊評価期間に達したかを判定する評価期間判定部と、
    前記非破壊検査期間および最後の非破壊検査の終了から前記破壊評価期間の終了までの期間に前記非破壊検査の有無の回数が、前記繰り返し回数記憶部に記憶されているき裂進展解析の繰り返し回数に達したかを判定する繰り返し判定部と、
    前記破壊判定部で破壊と判定された回数と前記き裂進展解析の繰り返し回数との比から前記構造物の破壊確率を算出する破壊確率算出部と、
    前記分割期間の総和が前記非破壊検査情報記憶部に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて前記破壊確率を再計算するき裂検出判定部と、
    を備えることを特徴とする破壊評価解析装置。
  2. 前記中性子照射量情報記憶部に記憶された前記中性子照射量情報に基づいて前記構造物の板厚方向の中性子照射量分布およびばらつきを設定する中性子照射量設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の破壊評価解析装置。
  3. 前記中性子照射量設定部は、前記構造物の板厚方向の各位置においての中性子照射量のばらつきが正規分布しているものとして扱うことを特徴とする請求項2に記載の破壊評価解析装置。
  4. 前記中性子照射量設定部は、前記正規分布の中央値および標準偏差が前記構造物の板厚方向の深さの関数であるものとして扱うことを特徴とする請求項3に記載の破壊評価解析装置。
  5. 前記中性子照射量設定部は、前記き裂の先端近傍の中性子照射量のばらつきの前記正規分布の標準偏差が前記き裂の先端近傍の中性子照射量の中央値に比例するものとして扱うことを特徴とする請求項3に記載の破壊評価解析装置。
  6. 前記中性子照射量設定部は、前記き裂の先端近傍の中性子照射量のばらつきの前記正規分布の標準偏差が一定値であるものとして扱うことを特徴とする請求項3に記載の破壊評価解析装置。
  7. 前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力を算出する応力算出部をさらに備え、
    前記応力算出部は、前記き裂の先端近傍の応力のばらつきが正規分布しているものとして扱うことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか一項に記載の破壊評価解析装置。
  8. 前記応力と前記き裂進展情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて応力拡大係数を算出する応力拡大係数算出部をさらに備え、
    前記応力拡大係数算出部は、次の式により前記応力拡大係数Kを算出することを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか一項に記載の破壊評価解析装置。
    K=(Fσ+Fσ)√(πa)
    ただし、Fは膜応力分の重み係数、σは膜応力、Fは曲げ応力分の重み係数、σは曲げ応力、aはき裂深さ、πは円周率を示す。
  9. 前記応力拡大係数算出部は、a/t(tは構造物の板厚)の関数として、膜応力分の重み係数F、および曲げ応力分の重み係数Fを算出することを特徴とする請求項8に記載の破壊評価解析装置。
  10. 前記き裂検出判定部は、前記非破壊検査情報記憶部に入力するき裂検出確率算出式の情報をき裂長さの関数とし、ある検査期間における全繰返し数の計算が終了した時点で、繰り返し回数に対するき裂が検出された回数の比と1の差を算出し、この値を破壊確率に乗じ、前記破壊確率を再計算することを特徴とする請求項2ないし請求項9のいずれか一項に記載の破壊評価解析装置。
  11. 中性子照射を受ける構造物の破壊確率を評価する破壊評価システムであって、
    前記構造物の表面における放射線量を測定する放射線検出器と、
    前記構造物に生じたき裂を計測する探傷装置と、
    演算部、記憶部、および入力部を具備し、中性子照射量情報およびき裂情報に基づいて、前記構造物の破壊確率を算出する破壊評価解析装置と、を備え、
    前記記憶部は、
    前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の繰り返し実行される繰り返し回数に関する情報を受け入れて記憶する繰り返し回数記憶部と、
    前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報を記憶する時間情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力されたき裂進展解析の破壊評価期間内における非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の情報を受け入れて記憶する非破壊検査情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力された前記構造物内の板厚方向の中性子照射量の分布および前記構造物内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきに関する中性子照射量情報を受け入れて記憶する中性子照射量情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力された前記構造物のポアソン比および縦弾性係数を含む構造物情報を受け入れて記憶する構造物情報記憶部と、
    前記入力部に外部入力された前記構造物に生じているき裂およびき裂進展速度式に関するき裂進展情報を受け入れて記憶するき裂進展情報記憶部と、
    前記演算部での演算結果を記憶する演算結果記憶部と、を備え、
    前記演算部は、
    前記構造物情報記憶部に記憶された前記構造物情報と前記中性子照射量情報記憶部に記憶された前記中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値を算出する破壊靭性値導出部と、
    前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力と前記き裂進展情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて算出された応力拡大係数と前記破壊靭性値とを比較して破壊の有無を判定する破壊判定部と、
    前記き裂進展情報記憶部に記憶された前記き裂進展情報と前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報とに基づいてき裂進展量を算出するき裂進展量算出部と、
    前記時間情報記憶部に記憶された前記時間情報と前記き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和が前記破壊評価期間に達したかを判定する評価期間判定部と、
    前記非破壊検査期間および最後の非破壊検査終了から前記破壊評価期間終了までの期間に前記非破壊検査の有無の回数が、前記繰り返し回数記憶部に記憶されているき裂進展解析の繰り返し回数に達したかを判定する繰り返し判定部と、
    前記破壊判定部で破壊と判定された回数と前記き裂進展解析の繰り返し回数との比から前記構造物の破壊確率を算出する破壊確率算出部と、
    前記分割期間の総和が前記非破壊検査情報記憶部に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて前記破壊確率を再計算するき裂検出判定部と、
    を備えることを特徴とする破壊評価システム。
  12. 中性子照射を受ける構造物の破壊確率を非破壊検査の影響を考慮して破壊評価する破壊評価方法であって、
    入力部が、き裂進展解析の繰り返し回数に関する情報、前記き裂進展解析の破壊評価期間および破壊評価期間内の分割期間に関する時間情報、前記き裂進展解析の破壊評価期間内における非破壊検査期間およびき裂検出確率算出式の非破壊検査情報、前記構造物内の板厚方向の中性子照射量の分布および前記構造物内の板厚方向の各位置における中性子照射量のばらつきに関する中性子照射量情報、前記構造物のポアソン比および縦弾性係数を含む構造物情報、および前記構造物に生じているき裂およびき裂進展速度式に関するき裂進展情報を読み込む読み込みステップと、
    破壊靭性値導出部が、前記構造物情報と前記中性子照射量情報とに基づいて破壊靭性値を算出する破壊靭性値導出ステップと、
    破壊判定部が、前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力とき裂情報記憶部に記憶されたき裂進展情報とに基づいて算出された応力拡大係数と前記破壊靭性値とを比較して破壊の有無を判定する破壊判定ステップと、
    き裂進展量算出部が、前記き裂進展情報と前記時間情報とに基づいてき裂進展量を算出するき裂進展量算出ステップと、
    評価期間判定部が、前記時間情報と前記き裂進展解析の繰り返し回数による分割期間の総和が前記破壊評価期間に達したかを判定する評価期間判定ステップと、
    繰り返し判定部が、前記非破壊検査期間および最後の非破壊検査の終了から前記破壊評価期間の終了までの期間に前記非破壊検査の有無の回数が、前記き裂進展解析の繰り返し回数に達したかを判定する繰り返し判定ステップと、
    破壊確率算出部が、前記破壊判定ステップで破壊と判定された回数と前記き裂進展解析の繰り返し回数との比から前記構造物の破壊確率を算出する破壊確率算出ステップと、
    き裂検出判定部が、前記分割期間の総和が非破壊検査情報記憶部に入力した検査期間に達した際にき裂の検出確率を算出し、この検出確率の値に応じて前記破壊確率を再計算するき裂検出判定ステップと、
    を有することを特徴とする破壊評価方法。
  13. 中性子照射量設定部が、前記中性子照射量情報に基づいて前記構造物の板厚方向の中性子照射量分布およびばらつきを設定する中性子照射量設定ステップをさらに有し、
    前記中性子照射量設定ステップは、前記構造物の板厚方向の各位置においての前記中性子照射量のばらつきが正規分布しているものとして、前記繰り返し判定ステップごとに前記中性子照射量を確率的に求めることを特徴とする請求項12に記載の破壊評価方法。
  14. 応力算出部が、前記構造物の前記き裂の先端近傍の応力を算出する応力算出ステップをさらに有し、
    前記応力算出ステップは、前記構造物の板厚方向の各位置においての前記応力のばらつきが正規分布しているものとして、前記繰り返し判定ステップごとに前記応力を確率的に求めることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の破壊評価方法。
  15. 前記き裂検出判定ステップは、ある検査期間における全繰返し数の計算が終了した時点で、繰り返し数に対するき裂が検出された回数の比と1の差を算出し、前記破壊確率に乗じることにより、前記破壊確率を再計算することを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれか一項に記載の破壊評価方法。
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