JP2007177295A - 溶鉄の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種湯の存在する溶解炉に還元鉄を炭材、酸素とともに供給して溶鉄を得る溶鉄の製造方法において、二次燃焼率を高位に維持しつつ着熱効率を向上する方法を提供する。
【解決手段】酸化鉄を含有する粉体に炭材を内装させて塊成化し、予備還元炉8で高温加熱して内装炭材を還元材とした予備還元を行い、生成した還元鉄を炭材、酸素とともに種湯の存在する溶解炉1に供給し、溶鉄の上に生成するスラグ組成を質量%で、Al23:12〜18%、MgO:12〜18%とするとともに、生成するスラグの塩基度Bと溶解後溶鉄温度T(K)に関する下記式のAを5未満とする。また、還元鉄は炭素含有量が2〜10質量%であり、溶解炉1に供給する全炭素と全酸素の割合(全炭素(kg)/全酸素(Nm3))を0.9〜1.5とする。 A=7×10-7・exp(−6.2143・B)×exp((20663・B+7655.1)/T)
【選択図】図7

Description

本発明は、酸化鉄を含有する粉体を予備還元して還元鉄とし、この還元鉄を炭材、酸素とともに種湯の存在する溶解炉に供給して溶鉄を製造する方法に関するものである。
粒銑、型銑、製鉄所発生スクラップ等の固形含鉄冷材を原料とする転炉製鋼法として、従来、種湯の存在する溶解専用転炉に含鉄冷材、炭材、酸素を供給して、溶解専用転炉での所要種湯量と別の精錬専用転炉での所要精錬量の合計量の高炭素溶鉄を得、この高炭素溶鉄を原料として精錬専用転炉で酸素精錬することにより所要成分の溶鋼を得る転炉製鋼法が知られており、また、溶解専用転炉で使用する炭材の硫黄含有量が高くて、高炭素溶鉄の硫黄含有量が高い場合、精錬専用転炉で酸素精錬前に、取鍋で脱硫処理することも知られている(特許文献1)。
このような全量含鉄冷材を原料とする溶解専用転炉と精錬専用転炉からなる製鋼法において、溶解専用転炉と精錬専用転炉で鉄分を主成分するダストの発生を皆無にできない。従って、溶解専用転炉と精錬専用転炉で発生する鉄分を主成分するダストを効率的にリサイクルすることにより、ダストの処理問題を解決すると共に鉄歩留りを向上させる必要がある。
特許文献2には、溶解専用転炉と精錬専用転炉で発生するダストと15%までの石灰分あるいは、35%までの炭材を複合させて皿型造粒法、圧縮成形法等で塊成化し、転炉上方より自然落下により装入、再使用するに際し、転炉内ガス発生による上昇ガス流のために転炉外に逸散を防止するため、溶解専用転炉では粒度10mm以上、精錬専用転炉では粒度5mm以上の塊成化ダストを再使用する方法が提案されている。この方法によれば、発生ダストの処理の問題を解決できると共に発生ダストを鉄分として効率的に回収可能であり、有益である。
溶解専用転炉や精錬専用転炉で発生するダストは純酸素を供給、例えば上吹きを行っていることから、鉄分の大部分は酸化されている。酸化鉄、例えば酸化第一鉄を還元して溶融するには、純鉄の約4倍の熱量が理論的に必要となる。従って、酸化鉄を含む塊成化ダストを、例えば溶解専用転炉にリサイクルすると、溶鉄を製造するために必要な熱量は、塊成化ダストをリサイクルしない場合に比べて増加する。
一方、酸素供給設備能力、炭材供給設備能力、集塵排ガス処理設備能力によって、溶解専用転炉の炉内熱供給速度(酸素供給速度、炭材供給速度)の上限は固定されているので、溶鉄を製造するために必要な熱量の増加により溶鉄の生産速度は低下してくる、という問題点がある。また、上述の還元に必要な熱源として純酸素と炭材、例えば石炭との燃焼熱を用いるために、その分だけ酸素、炭材原単位が増加し、炭材例えば石炭中のSによる製造溶鉄中〔S〕の増加が問題となる。
特許文献3には、図7にフローを示すように、溶解専用転炉1及び精錬専用転炉3で発生するダストに炭材を内装させて塊成化し、予備還元炉8で高温加熱して内装炭材を還元材として予備還元後、高温状態で含鉄冷材の一部として種湯の存在する溶解専用転炉1に供給し再使用するダスト利用方法が開示されている。これにより、塊成化ダストを予備還元後、高温状態で溶解専用転炉に供給するため、溶解専用転炉1に還元熱源としての酸素と炭材の供給量が低減され、酸素、炭材原単位が低減されるので、溶鉄の生産性の低下を抑制でき、また製造溶鉄中〔S〕の増加を抑制できる。
上記のような、炭材を供給しつつ炉内の炭素分を酸素で燃焼させてその燃焼熱により含鉄冷材を溶解する方法においては、できるだけ炭素分を完全燃焼に近いところまで燃焼させ、大きな燃焼熱を得て、かつその熱を効率よく含鉄冷材に伝えることが、少ない炭材・酸素原単位で効率よく含鉄冷材を溶解するための鍵となる。すなわち、下式で定義される二次燃焼率と着熱効率をできるだけ高い値とすることが重要である。
二次燃焼率=[(CO2)+(H2O)]/[(CO2)+(CO)+(H2O)+(H2)]×100 (3)
着熱効率=[1−(排ガススーパーヒート)/(二次燃焼発熱)]×100 (4)
ただし、(CO2)、(CO)、(H2O)、(H2)はいずれも排ガス中の各成分濃度(容量%)を表す。また、排ガススーパーヒートは排ガス顕熱のうちのメタル温度以上の分を表し、二次燃焼発熱はCO+1/2O2→CO2による発熱量を示す。
特許文献4においては、上底吹き転炉型の容器を用い、炉内のスラグ量を炉内の溶融鉄1t当たり100〜1000kgとし、上吹き酸素ジェットによるスラグ凹み深さLSと酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ厚みLS0との比LS/LS0が0.5〜1の範囲内になるように吹酸しつつ、さらにスラグ内の炭材量をスラグ量の5〜200%に保つことにより、二次燃焼率と着熱効率をいずれも高い値に保持することができるとしている。
転炉の内張り耐火物としては塩基性耐火物が用いられ、最近は特にMgO−C系の煉瓦が用いられる。このようなMgO系耐火物の溶損速度を抑えて耐火物寿命を延長するため、スラグ中にドロマイト等を添加してスラグ中のMgO濃度を飽和濃度近くに保持する技術が知られている(例えば非特許文献1)。
特公平4−11603号公報 特公平4−38813号公報 特開2000−45012号公報 特開平8−325621号公報 第3版鉄鋼便覧II製銑・製鋼 第487〜488頁
特許文献3に記載の方法において、予備還元したダストの金属化率は100%ではない。特許文献3には、還元温度を上げることで金属化率を上げられることが記載されているが、還元温度を上げることは予備還元炉の生産性低下や予備還元に要するエネルギー原単位の悪化を引き起こす。予備還元炉の生産性を確保するには、原料ダスト成分にもよるが、金属化率を80〜85%程度とすることが好ましい。そうすると、たとえ80〜85%まで金属化されているとはいっても、還元鉄をスクラップなどの含鉄冷材とともに溶解専用転炉に供給して溶解するに際し、金属化されていない残りの15〜20%分を金属化しかつ必要な熱を確保するために余剰の酸素と炭材を供給することが必要となり、溶鉄の生産速度を低下させる要因となる。
このように金属化率が80〜85%程度である還元鉄を溶解する上においては、スクラップなどの含鉄冷材を溶解する溶解炉とは別に、還元鉄を溶解する溶解炉を専用に設けた方が、全体として高い生産性を確保することができるので好ましい。未還元の酸化鉄分については、溶銑中に供給した炭材との反応によって還元し、還元時に必要な熱量は同じく供給した炭材と酸素との燃焼熱によって補うこととなる。
そこで、含鉄冷材として予備還元した還元鉄を用い、種湯が存在する溶解炉に装入し、炭材と酸素を供給して溶解を行ったところ、含鉄冷材としてスクラップを用いて溶解する場合と比較し、前記(4)式で示す着熱効率が低下することが判明した。着熱効率が低いと、還元鉄を溶解するために必要とする酸素原単位・炭材原単位が増大し、生産性が悪化するとともに、着熱効率が低いということは排ガス温度が上昇するということを意味するため、耐火物負荷を増大させる。
本発明は、種湯の存在する溶解炉に還元鉄を炭材、酸素とともに供給して溶鉄を得る溶鉄の製造方法において、二次燃焼率を高位に維持しつつ着熱効率を向上する方法を提供することを第1の目的とする。
溶解炉への炭材の供給方法として、転炉炉底からキャリアガスとともに微粉炭を底吹きする方法及び塊状の石炭を上方から添加する方法とが併用される。ところが、添加した炭材の一部は溶銑中に溶解せず、炉内空間中に飛散する。飛散した粉状の炭素分が存在すると炉内でソリューションロス反応(C+CO2 → 2CO)を起こし、二次燃焼率を十分に上げることができない。
本発明は、炉内に添加した炭材を効率よく溶銑中に溶解させ、炉内空間に飛散してソリューションロスを起こさせず、高い二次燃焼率をあげる方法を提供することを第2の目的とする。
第1の発明について説明する。
溶解炉の内張り耐火物にはMgO−C系耐火物が用いられており、この耐火物の溶損を防止するため、溶解炉内のスラグ中に軽焼ドロマイトや軽焼マグネサイトを投入してスラグのMgO濃度を飽和濃度付近の値(12〜18質量%)まで高めることが行われる。
含鉄冷材を原料とする溶解専用転炉と精錬専用転炉からから発生するダストを原料として予備還元を行い、還元鉄を生成すると、還元鉄中のAl23濃度が高い値となる。このようにして製造した還元鉄を含鉄冷材として用い、溶解炉で溶解すると、還元鉄中のAl23がスラグ中に溶解し、さらに炭材中に含まれるAl23もスラグに溶解するので、スラグのAl23成分が12〜18質量%と高い値となる。
このように、スラグ中のMgO濃度とAl23濃度がともに高い値を示すスラグにおいては、含鉄冷材を溶解する従来の溶解方法で採用されているスラグ組成制御ではスラグの滓化を十分に進行させることができず、スラグの流動性が十分には得られない。
炉内空間での二次燃焼率を高位に保持して発熱を得たとしても、スラグの流動性が悪い場合には、炉内空間からスラグを通しての溶銑への着熱が十分に行われず、着熱効率が低下することがわかった。含鉄冷材として還元鉄を用いた場合に着熱効率が低下するのは、上記スラグ成分に起因してスラグの流動性が悪化することがその原因であると判明した。そして、スラグ中のMgO濃度とAl23濃度がともに高い値を示すスラグにおいて、スラグの流動性を確保するためのスラグ成分と温度との関係について明らかにした。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、酸化鉄を含有する粉体に炭材を内装させて塊成化し、予備還元炉で高温加熱して内装炭材を還元材とした予備還元を行い、生成した還元鉄を炭材、酸素とともに種湯の存在する溶解炉に供給し、溶鉄の上に生成するスラグ組成を質量%で、Al23:12〜18%、MgO:12〜18%とするとともに、生成するスラグの塩基度Bと溶解後溶鉄温度T(K)に関する下記(1)式のAを5未満とすることを特徴とする溶鉄の製造方法である。
A=7×10-7・exp(−6.2143・B)×exp((20663・B+7655.1)/T) (1)
B=CaO(質量%)/SiO2(質量%)
上記(1)式のAを5未満とすることにより、スラグ中のAl23とMgO濃度が高いにもかかわらず十分に良好なスラグ流動性を確保することができ、その結果着熱効率を高い値として、溶解に必要とする炭材及び酸素原単位を低減させることができる。
次に第2の発明について説明する。
溶解炉に供給する炭材として、通常は石炭が用いられる。底吹きでは微粉炭、上方からの投入では塊状炭である。石炭はスラグとは濡れず、しかも比重がスラグよりも小さいため、炉内に供給した過剰の炭材は溶銑やスラグ中に留まらず、炉内空間に放散される。炉内空間に放散された炭素分は、ソリューションロス反応を起こす原因となり、二次燃焼率が低下することとなる。
一方、酸化鉄を含有する粉体に炭材を内装させて塊成化し、予備還元して還元鉄を製造するに際し、炭材を余剰に添加させると、還元鉄中に余剰の炭素が含有されることとなる。このように炭素を余剰に含有した還元鉄を用いて溶解を行うと、還元鉄の比重はスラグよりも大きいため、還元鉄中の炭素は炉内空間に飛散せずにスラグや溶銑に溶解することとなる。そのため、溶解炉に供給する炭材の供給源の一部を還元鉄中の炭素とすることにより、二次燃焼率の向上を図ることができ、また二次燃焼率を良好に保つことのできる炭素投入量範囲を拡大することができる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、上記第1の発明に加え、前記還元鉄は炭素含有量が2〜10質量%であり、溶解炉に供給する全炭素と全酸素の割合(全炭素(kg)/全酸素(Nm3))を0.9〜1.5とすることを特徴とする溶鉄の製造方法である。
全炭素(kg)=供給炭材中の炭素(kg)+供給還元鉄中の炭素(kg)
全酸素(Nm3)=上吹き酸素量(Nm3)+還元鉄中のFeO量(kg)×0.156+還元鉄中のFe23(kg)×0.210 (2)
本発明の第1は、種湯の存在する溶解炉に還元鉄を炭材、酸素とともに供給して溶鉄を得る溶鉄の製造方法において、前記(1)式のAを5未満とすることにより、スラグ中のAl23とMgO濃度が高いにもかかわらず十分に良好なスラグ流動性を確保することができ、その結果着熱効率を高い値として、溶解に必要とする炭材及び酸素原単位を低減させることができる。
本発明の第2は、上記第1の発明に加え、還元鉄中の炭素含有量を2%以上とすることにより、二次燃焼率の向上を図ることができ、また二次燃焼率を良好に保つことのできる炭素投入量範囲を拡大することができる。
図1に本発明の実施の形態の一例を示すプロセスフローを示す。スクラップ溶解炉と精錬専用転炉の他に、予備還元炉と還元鉄溶解炉を有している。
種湯が存在しているスクラップ溶解炉1の炉内に、粒銑、型銑、製鉄所発生スクラップ等の固形含鉄冷材を供給し、例えば酸素上吹きランスから酸素が、底吹きノズルから非酸化性ガス、例えば窒素ガスをキャリアーガスとして石炭が吹き込まれ、これによって供給した固形含鉄冷材を溶解する。
スクラップ溶解炉1から取鍋に出湯された高炭素溶鉄は、還元鉄溶解炉9で溶解した高炭素溶鉄とともに、KR、インジェクション等の脱硫設備2にて脱硫される。脱硫後の高炭素溶鉄は、精錬専用転炉3に装入されて酸素供給され脱炭処理する。この精錬専用転炉3は、例えば一般的な上底吹き転炉を用いている。
このようなスクラップ溶解炉1、精錬専用転炉3(、さらに後述する還元鉄溶解炉9)でそれぞれ発生するダストは、図1のプロセスフローに示すように、OG方式の湿式集塵装置4にて回収され、ダストスラリーとなり、さらにフィルタープレス5による脱水後、塊成化装置6、例えばパンペレタイザーにバインダーとして石灰、還元材として石炭を追加混合して供給し、これによって、ペレット化される。この際、後述する還元鉄溶解炉に装入する際、炉内上昇ガス流で飛散してロスとならない粒径、例えば10mm以上にする。製造ペレットは、乾燥炉7に装入される。乾燥後、引き続き、例えば、予備還元炉8として回転炉床型予備還元炉を用い、空気−LNGバーナー加熱雰囲気で内装石炭を還元材として加熱還元され、還元鉄が製造される。
例えば、ダスト組成:T.Fe=62%、M.Fe=21%、FeO=34%,Fe23 =22%のダストを用い、石炭内装量を10%、バインダー(石灰)量:10%、粒径:10〜15mm、水分:1%以下のダストペレットとし、回転炉床型予備還元炉にて1200〜1300℃で予備還元すれば、金属化率80〜85%前後に予備還元された還元鉄を製造することができる。
スクラップ溶解炉や精錬専用転炉で発生して回収されたダストには、Al23が2〜3%程度含まれている。また、炭材としての石炭中にはAl23が3%程度含まれている。そのため、以上のようにして製造した還元鉄中には、Al23が3〜4%程度含まれることとなる。
本発明では、以上のようにして製造した還元鉄を、種湯の存在する還元鉄溶解炉9に炭材、酸素とともに供給し、高炭素溶鉄を製造する。この還元鉄溶解炉9について、以下単に溶解炉と呼ぶ。
第1の発明について説明する。
溶解炉では、供給する還元鉄1t当たり、スラグを200〜300kg程度生成する。スラグを生成する副材として、生石灰の他、軽焼ドロマイトや軽焼マグネサイトが用いられる。これらMgO源を投入してスラグ中のMgO濃度を12〜18%まで高めることにより、溶解炉の内張り耐火物であるMgO−C耐火物の寿命を延長している。また上述のとおり、還元鉄中にはAl23が3〜4%程度含まれるため、同時に供給する炭材中のAl23とあいまって、スラグ中のAl23濃度が12〜18%程度となる。
スラグ中に上記のように高濃度のMgOとAl23を含有する場合において、溶解炉の溶解温度付近でスラグが十分に流動性を保持するためには、スラグ成分としてどのような条件を具備すればいいのか、という点については従来知られていなかった。そこで、スラグ成分と温度とスラグ粘性の関係について、実スラグの粘度を測定することによって評価を行った。
スラグ中のMgOとAl23濃度をともに12〜18%に固定し、スラグ塩基度B(=CaO(質量%)/SiO2(質量%))を1.59、1.67、1.89と変化させ、スラグ温度を1380〜1520℃と変化させ、スラグの粘度を測定した。図2中のプロットが測定結果を示す。スラグの粘度は、温度と塩基度Bの関数で表されることがわかる。
粘度は、一般的にアレニウスの式η=C・exp(E/RT)で表される。ここでTは絶対温度(K)、Cは定数、Eは見かけの活性化エネルギーであり、C、Eはともにスラグ組成が決まれば一義的に定まる。ここでMgOとAl23濃度をともに12〜18%に固定すると、C、Eは塩基度Bの関数となる。
一般に、塩基度が大きくなるとスラグの固相率が増えるため、粘度は指数関数的に急激に大きくなる。そのため、定数C及びEのスラグ組成依存性は、塩基度Bの指数関数で表すこととすると実粘度と合致することが多い。このような考え方で、図2に示す実粘度と合うように定数C、Eを定めたところ、粘度(Pa・S)は以下の(1)式のAで表されることがわかった。
A=7×10-7・exp(−6.2143・B)×exp((20663・B+7655.1)/T) (1)
ただし、B=CaO(質量%)/SiO2(質量%)、T:絶対温度(K)である。
上記(1)式から定まるAの値を図2に実線で示した。実測値のプロットとよく合致していることがわかる。
次に、100t規模の上底吹き転炉型の溶解炉を用いて、予備還元炉で還元した還元鉄の溶解を行った。炉内に存在する種湯量は50トン、装入する還元鉄量は40トン、生成スラグ量は10トン、上吹き酸素の送酸速度は7000Nm3/h、底吹き羽口からは窒素ガスをキャリアガスとして石炭粉を吹き込んだ。全炭素、全酸素を前記(2)式でさだめたときの(全炭素(kg)/全酸素(Nm3))を1.1とし、二次燃焼率が25%となるように吹錬を行った。
スラグ中の塩基度と溶解終了時の溶鉄温度を調整し、上記(1)式で計算するAの値を0.3から6.3まで変化させ、Aの値と着熱効率との関係を評価した。その結果、図3に示すように、Aの値が5以上になると、急速に着熱効率が低下することが判明した。即ち、スラグ中のMgOとAl23濃度がともに12〜18%の条件下では、(1)式で計算されるAの値が5未満となるようにスラグの塩基度を調整することにより、スラグの流動性を確保し、炉内空間から溶鉄への着熱効率を高い値に保持することが可能となる。
従って、Aを5未満としてスラグの流動性を良好に保ちつつ、上吹きランス先端と溶銑面との間の距離を適正に保って二次燃焼率を高位に保持すれば、着熱効率が高いので、安定した着熱が達成される。
また、Aを5未満としてスラグの流動性を良好に保てば、スラグによる溶鉄面のカバーリング効果が発揮され、鉄ダスト発生量の低減による歩留り向上が期待できる。さらに底吹きによる炭材の飛散量低減による二次燃焼率の安定化が期待できる。流動性の悪いスラグでは溶鉄面がカバーされず、炭材が飛散しやすいが、流動性の良いスラグの場合、溶銑面がスラグでカバーされ、炭材の飛散が低減すると考えられるからである。
なお、スラグ成分範囲(質量%)が、T.Fe:0.1〜3.0%、MnO:0.1〜4.0%、MgO:12〜18%、Al23:12〜18%、塩基度:1.2〜2.0の範囲内にあれば、上記(1)式が妥当性を有し、(1)式のAを5未満とすることでスラグの流動性を良好に確保することができる。
第2の発明について説明する。
種湯の存在する溶解炉には、含鉄冷材とともに炭素源としての炭材及び酸素が供給される。含鉄冷材は、溶銑からの浸炭によって溶解するので、含鉄冷材の溶解に伴って溶銑中の炭素分が不足する。そこで炭材の供給によって溶銑に不足分の炭素を補う。また、炭素と酸素との燃焼により、溶解に要する熱を供給する。さらに含鉄冷材が未還元の酸化鉄分を含む還元鉄である場合は、酸化鉄分を還元するために炭素が消費され、さらに還元時の熱ロスを補償するために炭素と酸素の燃焼熱が必要となるので必要炭素量が増大する。
還元鉄中に含まれる炭素や酸素も溶解炉内に供給されるので、ここでは以下の(2)式によって全炭素、全酸素を定義する。
全炭素(kg)=供給炭材中の炭素(kg)+供給還元鉄中の炭素(kg)
全酸素(Nm3)=上吹き酸素量(Nm3)+還元鉄中のFeO量(kg)×0.156+還元鉄中のFe23(kg)×0.210 (2)
ここで、全酸素の右辺に登場する係数は、それぞれ
0.156=1/71.85/2×22.4
0.210=48/159.7/32×22.4
として求められた係数である。
前述のとおり、溶解炉に供給する炭材として、通常は石炭が用いられる。底吹きでは微粉炭、上方からの投入では塊状炭である。石炭はスラグとは濡れず、しかも比重がスラグよりも小さいため、炉内に供給した過剰の炭材は溶銑やスラグ中に留まらず、炉内空間に放散される。炉内空間に放散された炭素分は、ソリューションロス反応を起こす原因となり、二次燃焼率が低下することとなる。
溶解対象の含鉄冷材として未還元の酸化鉄分を含有する還元鉄を用いたときには、上述のとおり酸化鉄分の還元用及び還元時の熱ロスを補償する燃焼用として、必要炭素量が増大し、炉内空間に放散する炭素による二次燃焼率の低下はより顕著になる。
ところで、酸化鉄を含有する粉体に炭材を内装させて塊成化し、予備還元して還元鉄を製造するに際し、炭材を余剰に添加させると、還元鉄中に余剰の炭素を含有させることができる。このように炭素を余剰に含有した還元鉄を用いて溶解を行うと、還元鉄中に含まれる炭素分も、溶銑中炭素濃度上昇及び燃焼用の炭素として機能することができる。さらに、還元鉄の比重はスラグよりも大きいため、還元鉄中の炭素は炉内空間に飛散せずにスラグや溶銑に留まるため、炭材として従来から用いられる石炭に比較してより効率よく溶解することとなる。そのため、溶解炉に供給する炭材の供給源の一部を還元鉄中の炭素とすることにより、二次燃焼率の向上を図ることができ、また二次燃焼率を良好に保つことのできる炭素投入量範囲を拡大することができる。
また、予備還元炉で還元した還元鉄は、予備還元炉から抽出した直後には高温に保たれている。高温の還元鉄を冷却せずに溶解炉に装入すれば、溶解に要する熱量を低減することができる。さらに、還元鉄中に含有した炭素も高温で溶解炉に供給されるので、底吹きあるいは上方添加で供給される炭材(これらは常温で供給される)に比較して、溶解に要する熱量をさらに低減できるという効果をも有する。
図4には、還元鉄中の炭素含有量を1%から15%まで変化させた際の還元鉄の金属化率と、この還元鉄を含鉄冷材として用いて溶解を行った際の二次燃焼率を示している。還元鉄の金属化率は約60〜80%、(2)式に基づく全炭素(kg)/全酸素(Nm3)は1.2とした。底吹き炭材の量を調整することによって全炭素を一定に保持した。図4から明らかなように、還元鉄中の炭素含有量を2%以上とすることにより、二次燃焼率を良好に保つことができる。還元鉄中の炭素含有量を3%以上とするとより好ましい。
なお、還元鉄中の炭素含有量が少なすぎる場合は、予備還元前に酸化鉄に内装させる炭材の量が少ないことを意味し、予備還元炉での還元が不十分で還元後の金属化率が十分に高くならないこととなる。還元鉄中の炭素含有量が2%以上であれば、金属化率70%以上を確保することができ、溶解原料としての含鉄冷材として問題なく用いることができる。
また、還元鉄中の炭素含有量が多すぎると、還元鉄の強度が低下し、取り扱いあるいは溶解炉への装入時に粉化しやすくなる。還元鉄が粉化すると、還元鉄中の炭素分が炉内空間に拡散してソリューションロス反応を起こし、二次燃焼率が低下する。還元鉄中の炭素含有量が10%以下であれば、粉化の問題を起こすことなく、安定して使用することができる。
次に、溶解炉に供給する全炭素と全酸素の割合(全炭素(kg)/全酸素(Nm3))の好ましい範囲について説明する。
全酸素に比較して全炭素の供給量が多すぎると、過剰の炭材が炉内空間に舞うことになる。二次燃焼により生成したCO2は、炉内空間に浮遊する炭素と以下のソリューションロス反応を起こし、分解するので、結果として二次燃焼率が低下する。
C+CO2 → 2CO
また、過剰の炭素分はダストとして系外に排出されるので、顕熱ロスが増加し、生産性が悪化することとなる。
100t規模の上底吹き転炉型容器を用いて、予備還元炉で還元した還元鉄を溶解した。還元鉄の金属化率は80%、還元鉄中の炭素含有量は4%である。上吹きランスからの送酸速度は7000Nm3/hで、底吹き羽口からは窒素ガスをキャリアーガスとして石炭粉を吹き込んだ。吹き込み石炭量を変化させることで全炭素/全酸素の値を0.8〜1.7kg/Nm3の範囲で変化させ、二次燃焼率の評価を行った。結果を図5に示す。図5から明らかなように、全炭素/全酸素の値が1.5kg/Nm3以下であれば、二次燃焼率25%を確保することができるが、全炭素/全酸素の値が1.5kg/Nm3を超えると、二次燃焼率が低下することがわかる。
なお、還元鉄中の炭素含有量が2%未満となると、二次燃焼率25%を確保できる全炭素/全酸素の上限は低下する。これは、還元鉄中の炭素含有量が低いと、その分、吹き込み石炭量の割合が多くなり、炉内空間に舞う炭材量が増し、二次燃焼率が低下しやすくなるためである。
次に、図5の場合と同様の条件において、全炭素/全酸素の値を0.78〜1.03kg/Nm3の範囲で変化させ、製造した溶銑中の炭素濃度を評価した。溶解終了時の溶鉄温度についても1300〜1450℃の範囲で変化させた。結果を図6に示す。図6から明らかなように、同じ全炭素/全酸素の値でも溶鉄温度が低くなるほど溶銑中炭素濃度は低くなる。溶鉄温度が通常の操業下限である1300℃において溶銑中炭素濃度が4.0%を確保できる範囲を評価すると、全炭素/全酸素の値が0.9kg/Nm3以上であれば、4.0%以上の炭素濃度を確保できることがわかる。
全炭素/全酸素の値が低すぎるため、溶鉄中炭素濃度が低下して4.0%未満となると、底吹き羽口閉塞、地金付き、スロッピングなどの操業トラブルが発生する原因となる。底吹き羽口が閉塞すると炭材の供給ができなくなるので、羽口交換が必要となり、操業停止に追い込まれる。炉口に地金付きが発生すると、出銑、排滓が困難となり、地金除去のために非稼動時間が増加することとなる。上吹きランスに地金付きが発生すると、ランスがランスコーンから抜けなくなるというトラブルの原因となる。溶鉄中炭素濃度が低下すると、還元鉄中の酸化鉄の還元速度が低下し、その結果スラグ中のT.Fe濃度が上昇し、スロッピングしやすくなる。
以上の結果に基づき、炭素含有量が2%以上である還元鉄を溶解する本発明における全炭素/全酸素の値を0.9〜1.5の範囲と規定した。
本発明の図1に示す実施の形態においては、スクラップ溶解炉1とは別に還元鉄溶解炉9を用意し、還元鉄はこの還元鉄溶解炉9において溶解する。スクラップ溶解炉1では還元鉄を溶解しないため、還元鉄に含まれる酸化鉄起因の酸素原単位の増大及び石炭原単位の増大を防止することができるので、スクラップ溶解炉1での溶鉄生産性を向上することが可能となる。
さらに、溶鉄の生産をスクラップ溶解炉1と還元鉄溶解炉9の2つで分担し、還元鉄以外の含鉄冷材についてはスクラップ溶解炉1で溶解し、還元鉄はもっぱら還元鉄溶解炉9で溶解するので、スクラップ溶解炉1のみで還元鉄を含む含鉄冷材のすべてを溶解する特許文献3に記載の方法と比較し、溶鉄の生産能力を増大する結果を得ることができる。
スクラップ溶解炉1と精錬専用転炉3として、同じ炉容の転炉を用いる場合が一般的である。同一炉容の転炉を3基有する転炉工場において、そのうちの2基をスクラップ溶解炉1として用い、残りの1基を精錬専用転炉3として用いた場合、2基のスクラップ溶解炉1を用いての溶鉄の生産能力は、1基の精錬専用転炉3をフル生産した場合の溶鉄所要量を賄う能力に足りない。従って、特許文献3に記載の方法においては、精錬専用転炉3が生産余力を残した状態での製造を余儀なくされる。このような場合、本発明のように還元鉄溶解炉9を用意して還元鉄の溶解を還元鉄溶解炉9に任せることとすると、スクラップ溶解炉2基のみで溶鉄を生産した場合と比較して合計溶鉄生産量を増大することができ、それでも精錬専用転炉3については生産余力を用いることによってすべての生産溶鉄を原料として精錬を行うことが可能である。結果として、既存の3基転炉を保有する転炉工場において3基の転炉をより有効活用して溶鋼生産能力を増大することが可能となる。
溶解炉や精錬炉から回収したダストを予備還元炉で還元し、表1に示す成分組成の還元鉄を製造した。還元鉄中の炭素濃度は4.0%、金属化率は80%であった。この還元鉄を、100t規模の上底吹き転炉型容器を用いた溶解炉で溶解した。上吹きランスからの送酸速度は7000Nm3/hで、底吹き羽口からは窒素ガスをキャリアーガスとして石炭粉を吹き込んだ。また、スラグ組成コントロール用の生石灰、軽焼マグネシアを上部ホッパーから、還元鉄とともに炉内に添加した。副原料の組成を表1に、石炭の組成を表2に示す。溶解炉のライニングはMgO−Cレンガであるので、溶解炉耐火物保護のため、スラグ中MgO濃度を12〜18%の範囲とした。また、還元鉄中にAl23が含まれるため、スラグ中Al23濃度は12〜18%の範囲となった。
Figure 2007177295
Figure 2007177295
全炭素/全酸素の値を0.9〜1.5の適正範囲内とし、さらにランスと溶鉄面間距離を3.2mとすることにより、二次燃焼率を25〜26%に調整した。この条件で副材投入量を調整して塩基度Bを調整すると同時に溶鉄温度を調整し、(1)式で計算されるAの値を変化させた。
二次燃焼率については、前述の(3)式で定義されるが、実際には煙道ガスの分析値に基づいて、炉口での浸入空気による燃焼の影響を差し引いた下記(5)式によって計算する。
二次燃焼率=[ (CO2%)i + (H2O%)i - { (O2%)a / (N2%)a ×2・((N2%)i - QN2 / Qi ×100) - 2・(O2%)i } / [ (CO2%)i +(CO%)i + (H2O%)i +(H2%)i ] ×100 (%) (5)
Qi : 煙道ガス風量 (Nm3/h)
QN2:炉内窒素ガス吹き込み量 (Nm3/h)
(X%):炉内ガス中X成分の濃度 (vol%)
(X)a:空気中X成分の濃度 (vol%)
(X%)i:煙道ガス中のX成分の濃度 (vol%)
煙道ガスの分析は、CO、CO2、N2、H2、O2はガスクロマトグラフィーで、H2Oは吸収法(JIS Z8808)で行った。
鉄ダストの発生原単位については、集塵水中の鉄ダスト濃度を測定し、その積算値と生産量から算出した。
着熱効率は前記(4)式により計算する。計算に際し、物質収支に基づく各種の反応熱および顕熱などを計算し、熱収支をとってアウトプット側の不明熱量を求めた。この不明熱量が、排ガスがスラグ温度以上に加熱される熱量(排ガススーパーヒート)に等しいとおいて、(4)式の計算を行った。なお、溶鉄温度とスラグ温度は等しいとする。
結果を表3に示す。なお、スラグ成分のうち表3に示した以外の成分については、質量%で、T.Fe:0.1〜3%、MnO:0.1〜4%の範囲であった。また、溶解後のスラグ量は12〜16トンであった。
Figure 2007177295
表3の本発明例No.1〜7が本発明例である。いずれもAの値が5未満であり、スラグの流動性を確保することができ、結果として着熱効率が90%以上の良好な結果を得ることができた。鉄ダスト発生原単位も少なく、良好であった。
それに対し、比較例No.8〜11は、Aの値が5以上となり、スラグの流動性が悪化したため、着熱効率が90%未満となり、また鉄ダスト発生原単位が増大する結果となった。
上記実施例1と同一の炉を用い、以下に特記する場合を除いて同一の条件で還元鉄の溶解を行った。
送酸速度を一定に保つことにより、全酸素を5000Nm3と一定値とし、底吹き微粉炭の供給速度を変化させて全炭素を変動させ、これによって全炭素/全酸素の値を変動させた。目標二次燃焼率を25%とした。ランス先端と溶鉄面間距離については、一部を除いて3.2mとした。
表4に示すNo.12〜30については、いずれも(1)式のAの値を5未満とし、スラグ流動性は良好に保持した。一方、「本発明1+2」と表示したNo.12〜21は第1の発明、第2の発明の範囲内にあるのに対し、「本発明1」と表示したNo.22〜30については、第1の発明範囲内にはあるものの第2の発明の範囲からは外れた条件である。
Figure 2007177295
No.12〜21については、還元鉄中の炭素含有量が4.0%であり、全炭素/全酸素の値も0.9〜1.5kg/Nm3の良好範囲にあるため、二次燃焼率、着熱効率ともに良好であり、溶解後の溶鉄中炭素濃度も4.0%以上の良好な値であった。
No.22、23については、全炭素/全酸素の値が低すぎ、全炭素供給量が不足したため、溶解後の溶鉄中炭素濃度が4.0%未満となった。No.24〜26については、全炭素/全酸素の値が高すぎ、余剰の炭素分が炉内空間に浮遊したために二次燃焼率が低下する結果となった。No.27、28については、全炭素/全酸素の値が高いため、二次燃焼率を改善する目的でランス高さを適正値よりも高くした水準であり、二次燃焼率は向上したものの着熱効率が低下する結果となった。
No.29については、還元鉄中の炭素濃度が高すぎ、還元鉄の粉化が発生し、粉化した還元鉄中の炭素が炉内空間に浮遊したため、二次燃焼率が低下する結果となった。No.30については、還元鉄中の炭素濃度が低いため、全炭素を確保するために微粉炭供給量が増大した水準である。微粉炭は炉内空間に浮遊しやすいため、二次燃焼率が低下する結果となった。
本発明のプロセスフローの一例を示す図である。 スラグ温度、スラグ塩基度と粘度との関係を示す図である。 (1)式のAの値と着熱効率の関係を示す図である。 還元鉄中の炭素濃度と二次燃焼率の関係及び還元鉄中の炭素濃度と還元鉄の金属化率の関係を示す図である。 全炭素/全酸素の値と二次燃焼率の関係を示す図である。 全炭素/全酸素の値と溶鉄中炭素濃度の関係を示す図である。 従来のプロセスフローの一例を示す図である。
符号の説明
1 スクラップ溶解炉(溶解専用転炉)
2 脱硫設備
3 精錬専用転炉
4 湿式集塵装置
5 フィルタープレス
6 塊成化装置
7 乾燥炉
8 予備還元炉
9 還元鉄溶解炉

Claims (2)

  1. 酸化鉄を含有する粉体に炭材を内装させて塊成化し、予備還元炉で高温加熱して内装炭材を還元材とした予備還元を行い、生成した還元鉄を炭材、酸素とともに種湯の存在する溶解炉に供給し、溶鉄の上に生成するスラグ組成を質量%で、Al23:12〜18%、MgO:12〜18%とするとともに、生成するスラグの塩基度Bと溶解後溶鉄温度T(K)に関する下記(1)式のAを5未満とすることを特徴とする溶鉄の製造方法。
    A=7×10-7・exp(−6.2143・B)×exp((20663・B+7655.1)/T) (1)
    B=CaO(質量%)/SiO2(質量%)
  2. 前記還元鉄は炭素含有量が2〜10質量%であり、溶解炉に供給する全炭素と全酸素の割合(全炭素(kg)/全酸素(Nm3))を0.9〜1.5とすることを特徴とする請求項1に記載の溶鉄の製造方法。
    全炭素(kg)=供給炭材中の炭素(kg)+供給還元鉄中の炭素(kg)
    全酸素(Nm3)=上吹き酸素量(Nm3)+還元鉄中のFeO量(kg)×0.156+還元鉄中のFe23(kg)×0.210
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