JP2007176841A - 土壌病害抑制材、脂質含有廃棄物再利用方法および脂質含有廃棄物再利用システム - Google Patents
土壌病害抑制材、脂質含有廃棄物再利用方法および脂質含有廃棄物再利用システム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】脂質含有廃棄物と牛糞尿と牛舎の敷料との混合物を発酵させて得られ、上記発酵が脂質含有廃棄物と牛糞尿とを少なくとも含む原料を発酵装置で発酵させると共に、該発酵させた原料の一部を牛舎の敷料中に混合し、該牛舎の中で所定期間牛を飼育した後、該飼育した牛舎の中より採取した、敷料と牛糞尿と脂質含有廃棄物との混合物を発酵装置に再投入して発酵させ、この土壌病害抑制材は、外部から菌体を添加することなく、枯草菌が 1.0×106/g 以上含まれる。
【選択図】図1
Description
しかしながら、微生物農薬として利用するためには、菌数を増やすため、土壌にこれらの菌体を加えるか、あるいは菌体を植物の種子にコーティングしたり他の有機物や無機物の土壌改良剤に添加する必要がある。
しかしながら、この堆肥化法では、発酵槽内での熱量が不足して効率的な堆肥化が促進できないという問題がある。
また、この土壌病害抑制材は、外部から菌体を添加することなく、枯草菌が 1.0×106/g 以上含まれることを特徴とする。
また、上記脂質含有廃棄物が脱色油さい、または脱酸油さいであることを特徴とする。
本発明の脂質含有廃棄物再利用方法および再利用システムは、脂質含有廃棄物を排出する製油工場と畜産農家とを連携させることにより、従来廃棄処理が困難であった脂質含有廃棄物と牛糞尿とを利用可能な農業資材に変化させることができる。
原油の脱色工程に使用された後の廃白土には分離することが困難な10〜40重量%の油分と10重量%未満の水分とが含まれており、従来、これら廃白土は脂質含有廃棄物として処理が困難であった。
脱酸油さい(アルカリフーツ)は、廃白土に比べて、発熱量が約2倍あるので、発酵の立ち上がりが速く、堆肥化の副資材として有効に利用できる。また、pHが高く有機酸等の発生等脱臭効果が高い特徴がある。
製油工場1から脂質含有廃棄物2が排出される。一方、牛が飼育されている牛舎3には新しい敷料4が敷き詰められる。または既に敷き詰められている敷料に、新しい敷料4が追加される。この中で牛が飼育されることにより、牛糞尿と敷料とが混合されて、牛糞尿と敷料との混合物5が牛舎3内に蓄積される。混合物5内には飼料カスが含まれる場合がある。
この混合物5と脂質含有廃棄物2とを混合して発酵槽6で発酵させる。混合比率は脂質含有廃棄物2の種類等によって適宜選択される。牛糞尿の水分量を約80重量%として、脱酸油さいと、脱色油さいの例を以下に挙げる。
好ましい例としては、脂質含有廃棄物として脱酸油さい(アルカリフーツ)を用いる場合、重量比で(牛糞尿)/(脱酸油さい(アルカリフーツ))=(70〜95)/(30〜5)である。最適量としては(牛糞尿)/(脱酸油さい(アルカリフーツ))=80/20である。
また、脂質含有廃棄物として脱色油さい(廃白土)を用いる場合、重量比で(牛糞尿)/脱色油さい(廃白土)=(70〜95)/(30〜5)である。最適量としては(牛糞尿)/脱色油さい(廃白土)=80/20である。
本発明に使用できる発酵槽6は、投入される原料を好気的に発酵させる発酵装置であり、例えば縦型発酵装置が挙げられる。
縦型発酵装置は、牛糞尿と敷料と脂質含有廃棄物との混合物を投入する原料投入口と、この原料を撹拌するための撹拌装置と、撹拌されている原料に酸素または空気を供給できる送気装置と、空気等の吹き込みにより好気性雰囲気下で発酵された上記混合物を取出す取出し口とを備えている。また、発酵装置には必要に応じて加熱装置、排出される水蒸気等の排出口等を付設することができる。
枯草菌が増殖した混合物5は、新しい脂質含有廃棄物2と共に発酵槽に投入される。このサイクルを繰り返すことにより、外部から菌体を添加することなく、枯草菌が増殖し、 1.0×106/g 以上の菌濃度を維持することができる。
得られた土壌病害抑制材は、枯草菌が 1.0×106/g 以上であるので、イネ紋枯病、ケイトウ立枯病、芝のいろいろな病気の原因となるRhizoctonia solani菌、イネいもち病の原因となるPyricularia oryzae菌、キュウリやトマト萎ちょう病の原因となるFusarium oxysporum菌、トウモロコシ立枯病の原因となるFusarium roseum菌、トマト半身萎ちょう病の原因となるVerticillium dahliae菌、アブラナ科野菜根こぶ病の原因となるPlasmodiophora brassicae菌(以上、糸状菌類)、トマト青枯病の原因となるPseudomonas solanacearum菌、キュウリ斑点細菌病の原因となるPseudomonas syringae菌、イネ白葉枯病の原因となるXanthomonas oryzae菌(以上、細菌類)が引き起こす病害に対して抑制効果を有する。
ポット試験1
Fusarium oxysporumを1×104/gになるように土壌(黒ボク土)に接種し、上記試料A、試料Bおよび試料Cをそれぞれ10アール当たり500kgとなるように添加し、タアサイ(中国野菜)を栽培した。なお、資材無施用区も設けた。栽培の過程での土壌病害発病度を調査した。発病度は、0:無発病、1:軽度、2:中度、3:萎縮枯死として、加重平均の値で示した。結果を表2に示す。
Plasmodiophora brassicaeを1×105/gになるように土壌(黒ボク土)に接種し、上記試料A、試料Bおよび試料Cをそれぞれ10アール当たり500kgとなるように添加し、タアサイ(中国野菜)を栽培した。なお、資材無施用区も設けた。発病度は、0:無発病、1:軽度、2:中度、3:激発として、加重平均の値で示した。結果を表2に示す。
発酵装置で発酵させる工程等は上記土壌病害抑制材製造方法で記載した方法を用いることができる。
特に脱酸油さいを用いた場合、優れた消臭効果が得られた。
実施例として、牛糞尿(水分濃度80重量%)に籾殻、おがくず、脱酸油さい、ゼオライトをそれぞれ15重量%となるように配合した原料を脂質含有廃棄物再利用システムにより発酵装置と牛舎とをサイクルさせた。その後牛舎内の臭気強度を官能試験により測定した。臭気強度は(+)の数が多い程強いことを示し、5人のパネラーの平均値をとった。結果を表3に示す。
2 脂質含有廃棄物
3 牛舎
4 敷料
5 混合物
6 発酵槽
7 発酵物の一部
8 土壌病害抑制材
Claims (6)
- 脂質含有廃棄物と牛糞尿と牛舎の敷料との混合物を発酵させて得られる土壌病害抑制材であって、
前記発酵は、脂質含有廃棄物と牛糞尿とを少なくとも含む原料を発酵装置で発酵させると共に、該発酵させた前記原料の一部を牛舎の敷料に混合し、該牛舎の中で所定期間牛を飼育した後、該飼育した牛舎の中より採取した、敷料と牛糞尿と脂質含有廃棄物との混合物を前記発酵装置に再投入して発酵させることを特徴とする土壌病害抑制材。 - 前記土壌病害抑制材は、外部から菌体を添加することなく、枯草菌が 1.0×106/g 以上含まれることを特徴とする請求項1記載の土壌病害抑制材。
- 前記脂質含有廃棄物が脱色油さいであることを特徴とする請求項2記載の土壌病害抑制材。
- 前記脂質含有廃棄物が脱酸油さいであることを特徴とする請求項2記載の土壌病害抑制材。
- 脂質含有廃棄物と牛糞尿とを少なくとも含む原料を発酵装置で発酵させる発酵工程と、該発酵工程で発酵された前記原料の一部を牛舎の敷料に混合して、該牛舎の中で所定期間牛を飼育する工程と、所定期間経過後に前記原料と前記敷料中の牛糞尿とを、前記発酵装置に投入して再度発酵させる再発酵工程とを備えてなることを特徴とする脂質含有廃棄物再利用方法。
- 脂質含有廃棄物を含有する原料を好気的に発酵させる発酵装置と、該発酵装置で得られた発酵原料を牛舎の敷料の一部として使用する牛舎とからなる脂質含有廃棄物再利用システムであって、
前記発酵装置は、脂質含有廃棄物と牛糞尿とを少なくとも含む原料を発酵させると共に、該発酵させた前記原料の一部を牛舎の敷料に混合し、該牛舎の中で所定期間牛を飼育した後、該飼育した牛舎の中より採取した脂質含有廃棄物と牛糞尿と敷料との混合物を前記発酵装置に再投入して発酵させることを特徴とする脂質含有廃棄物再利用システム。
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