JP2007174486A - 携帯電子機器用アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】 可撓性のエレメントを約90°まで傾動して水平面内で回転できる小型かつ耐久性に優れた傾動機構と回転機構とする。
【解決手段】 ベース部4内に回動可能に球状部8が、球受部13を介してコイルスプリング14により付勢されて収納されている。可撓性のエレメント部3を伸張して傾動させると球状部8がベース部4の球保持部7に形成された摺動溝内に嵌入され、エレメント部3をベース部4に対して約90°まで傾動可能とすることができる。エレメント部3を傾動した状態において回動させると、摺動バネ12により弾性的に保持されているベース部4が、ホルダー部5内において回動するようになって、エレメント部3を水平面内において回転させることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、少なくとも受信機能を有する電子機器、特に地上波デジタルテレビ放送を受信することのできる携帯電話機等の携帯電子機器に備えられる携帯電子機器用アンテナに関するものである。
携帯電話機が普及しているが、この携帯電話機においては通話や情報を送受信するためにアンテナが備えられている。このアンテナは、待ち受け時には携帯に便利なように、携帯電話機の筐体に収納できるリトラクティブなアンテナとされているのが一般的である。このような携帯電話機用のアンテナの構成の一例を図22に示す。図22に示すアンテナ100は、可撓性とされたエレメント101を備え、エレメント101の先端にはトップ部103が設けられている。また、エレメント101はホルダー部102に対して摺動可能に保持されている。そして、ホルダー部102が携帯電話機の筐体に取り付けられることにより、エレメント101をホルダー部102に対して下方に摺動することにより、筐体内にエレメント101を収納することができるようになる。また、この状態においてトップ部103を把持してエレメント101をホルダー部102から引き出すことにより、エレメント101を伸張状態とすることができる。なお、エレメント101は可撓性を有し図示するように復元可能に撓むようになるため、エレメント101が障害物に当たっても折損することを防止することができる。
ところで、近年地上波デジタルテレビ放送が開始されて、地上波デジタルテレビ放送を受信することのできる携帯電話機も知られている。地上波デジタルテレビ放送を効率よく受信するには、アンテナの指向特性を電波の到来方向に合致させて受信することが必要となる。このため、地上波デジタルテレビ放送を受信するアンテナには、筐体に対して傾動可能かつ回転可能としてアンテナの指向特性を調整することができるアンテナが好適となる。
傾動可能かつ回転可能な従来のアンテナとして、いわゆるラジカセに多く使用されている多段式伸縮アンテナ(ロッドアンテナ)を用いるアンテナが知られている。このようなアンテナの構成の一例を図23に示す。図23に示すアンテナ200は、多段式構造とされている伸縮エレメント201を備え、伸縮エレメント201はアンテナ取付部202に対して傾動可能とされていると共に、アンテナ取付部202に対して回転可能に固着されている。そこで、このアンテナ取付部202を図示しない携帯電子機器の筐体に固着することにより、アンテナ200は筐体に対して傾動可能かつ回転可能に取り付けられるようになる。この伸縮エレメント201は、伸縮を実現するために多段とされている各エレメントがパイプ構造とされている。このため、伸縮エレメント201における最終段の外径が大きくなることから、これに起因して傾動機構と回転機構を作り出す機構部品の径として5mmないし8mmの径が必要とされている。
ここで、アンテナ200における傾動機構を図24に示す。図24に示すように伸縮エレメント201の下端からは平板状のエレメント基部201aが突出して形成されている。このエレメント基部201aは回転保持部203の上部に挟持され、固着用ビス204によりエレメント基部201aが回転保持部203に対して回転可能に固着されている。これにより、伸縮エレメント201は回転保持部203に対して傾動可能に取り付けられるようになる。次に、アンテナ200における回転機構について説明すると、回転保持部203の断面は円形とされており、この回転保持部203は図23に示すアンテナ取付部202に形成されている断面円形の嵌挿孔に弾性的に嵌挿されている。このため、アンテナ取付部202に対して回転保持部203を回転できるようになることから、結局の所、伸縮エレメント201はアンテナ取付部202に対して回転可能に固着される。
傾動可能かつ回転可能な従来のアンテナの他の構成例を図25、図26に示す。ただし、図25は従来のアンテナ300の構成を示す斜視図であり、図26はその構成を示す断面図である。
これらの図に示すアンテナ300において、先端にトップ部304を有するエレメント301の下端は球状部302に固着されている。球状部302は、その半分以上がホルダー部303内に摺動可能に保持されており、ホルダー部302の下部に収納されているコイルスプリング305により上方に付勢されている。これにより、球状部302はコイルスプリング305の付勢力によりホルダー部303に対して傾動可能かつ回転可能に保持されるようになる。このアンテナ300においては、球状部302とホルダー部303との摩擦力によりエレメント301が所定の角度を維持することができることから、球状部の径として5mmないし8mmの径が必要となる。
実開昭63−26108号公報 実開昭60−103914号公報
図22に示す従来の携帯電話機用のアンテナ100は、リトラクタブルアンテナとされており、伸張時に衝撃を受けたときに衝撃を吸収するようエレメント101は復元可能に撓むようにされている。しかしながら、任意の位置にエレメント101を傾けて保持する傾動機構と、傾けたエレメント101を水平面内において回転させる回転機構を有していないことから、アンテナの指向特性を調整することができないという問題点があった。
また、図23に示す従来のアンテナ200における傾動機構は平板状のエレメント基部201aを回転保持部203の上部に挟持する構造とされている。この場合、傾動させた伸縮エレメント201を保持するための摩擦力は、平板状のエレメント基部201aが挟持される面の面積と回転保持部203の挟持力に依存するため、傾動した際の耐久力を数万回以上可能にするにはエレメント基部201aおよび回転保持部203の径や幅を5mmないし8mmの寸法とする必要が生じる。この場合、エレメント基部201aおよび回転保持部203の径や幅を2mm程度にしたときは傾動回数の耐久性は数百回程度になってしまい、傾動を繰り返し行うと伸縮エレメント201の自重が傾動保持力を超えてしまい、任意の位置に伸縮エレメント201を固定・保持できなくなってしまうようになる。
さらに、アンテナ200における回転機構は、回転保持部203をアンテナ取付部202に形成されている嵌挿孔に弾性的に嵌挿する機構とされている。このため、回転保持部203やアンテナ取付部202の径として5mmないし8mmの径が必要となり、仮に回転保持部203やアンテナ取付部202の径を2mm程度とすると回転耐久性が極端に落ちてしまい、伸縮エレメント201の自重により回転してしまうようになる。
したがって、アンテナ200においては傾動機構と回転機構を作り出す機構部品の径や幅として5mmないし8mmの径や幅が必要となることから、アンテナ200を携帯電話機等の携帯電子機器に取り付ける際に、携帯電子機器の筐体の寸法に比較して大きすぎて(太すぎて)、アンテナ200を携帯電子機器に適用することができないという問題点があった。
さらにまた、図25および図26に示すアンテナ300では、球状部302の半分を超えてホルダー部303で保持しなければ抜け出てしまうことから、エレメント301をホルダー部303に対して90°まで傾動することができないようになる。さらに、球状部302とホルダー部303とにより傾動かつ回転可能としているため、その耐久性から球状部302の径として8mmないし10mmが必要になる。したがって、アンテナ300を携帯電話機等の携帯電子機器に取り付ける際に、携帯電子機器の筐体の寸法に比較して大きすぎて、アンテナ300を携帯電子機器に適用することができないという問題点があった。
そこで、本発明は可撓性のエレメントを約90°まで傾動して水平面内で回転することのできる小型かつ耐久性に優れた傾動機構と回転機構を有する携帯電子機器用アンテナを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の携帯電子機器用アンテナは、球状部が固着されたエレメント部を傾動可能とする傾動溝が縦方向に形成され、貫通孔内に回動可能に保持されるよう球状部を下から付勢する弾性手段が、貫通孔の下部に嵌着されているストッパー部と球状部との間に設けられているベース部が、ホルダー部に弾性的に保持されることを最も主要な特徴としている。
本発明によれば、球状部が固着されたエレメント部を傾動可能とする傾動溝が縦方向に形成され、貫通孔内に回動可能に保持されるよう球状部を下から付勢する弾性手段が、貫通孔の下部に嵌着されているストッパー部と球状部との間に設けられているベース部が、ホルダー部に弾性的に保持されることから、可撓性の伸縮可能なエレメントを約90°まで傾動して水平面内で回転することができると共に、小型かつ耐久性に優れた傾動機構と回転機構を有する電子機器用アンテナとすることができる。
本発明の携帯電子機器用アンテナの実施例とされるアンテナ1を備える携帯電子機器の構成の一例を図1に示す。
本発明にかかるアンテナ1は、携帯電子機器である携帯電話機100を構成している筐体101の上面に取り付けられている。筐体101には、テンキーや操作ボタンからなる操作部102と液晶等からなる表示部103とが設けられている。アンテナ1は、筐体101に対して傾動可能とされていると共に傾動した状態において水平面内で回転可能とされている。これにより、携帯電話機100に取り付けられているアンテナ1の指向特性を所望の方向に向けることができるようになり、地上波デジタル放送等のテレビ放送を受信することのできる携帯電話機100とした際に好適なアンテナとすることができる。
次に、本発明の携帯電子機器用アンテナの実施例であるアンテナ1の構成を図2に示す。
図2に示す本発明にかかるアンテナ1は、先端にトップ部2が設けられている超弾性合金製の可撓性を有するエレメント部3を備え、このエレメント部3はベース部4に傾動可能に保持されている。ベース部4は、ホルダー部5に対して上下方向に摺動可能に保持されており、ホルダー部5は上部に鍔部が形成された円筒状の本体部5iを備えている。円筒状の本体部5iの外周面にはネジ部が形成されており、この本体部5iを電子機器の筐体に形成した孔部に挿通してそのネジ部にナットを締着することにより、ホルダー部5の鍔部とナットとで筐体が挟持されて、アンテナ1が電子機器に取り付けられるようになる。図2には、エレメント部3がホルダー部5から上方向に摺動されて伸張されたアンテナ1の構成が示されており、このようにエレメント部3が伸張された状態においては、ホルダー部5にベース部4が弾性的に保持され、ベース部4に対してエレメント部3を破線で図示するようにほぼ90°まで傾動することができる。
後述するがエレメント部3の下端には破線で示すように球状部8が装着され、球状部8が弾性的にベース部4に保持されることにより、エレメント部3がベース部4に対して傾動可能となされている。これにより、エレメント部3をベース部4に対して90°までの任意の角度で傾動することができるようになる。また、ベース部4は弾性的にホルダー部5に対して保持されていることから、エレメント部3をベース部4に対して任意の角度で傾動した状態において、エレメント部3を水平面内においてホルダー部5に対して回転することができる。トップ部2は、エレメント部3を伸縮する際に把持される摘みとなる合成樹脂製の円盤状の形状とされているアンテナトップ10と、エレメント部3の先端に固着された金属製のトップ取付軸11とを有している。アンテナトップ10は、トップ取付軸11の上部に成形あるいは嵌着されることにより固着されている。
図3は、エレメント部3がホルダー部5に対して縮納されているアンテナ1の構成を示す図である。図3に示すように、エレメント部3をホルダー部5に対して縮納した際には、アンテナトップ10におけるトップ取付軸11がホルダー部5内に上から挿入されて弾性的に保持されるようになる。この際に、円盤状のアンテナトップ10の下面がホルダー部5の鍔部の上面に当接するようになる。図示するように、エレメント部3の下部には金属製のベース部4が固着されており、ベース部4の上部がエレメント部3の下端に固着されている球状部を傾動可能に保持する球保持部7とされ、上部より下の部分が摺動部6とされている。なお、エレメント部3をホルダー部5に対して図2に示すように伸張した際に、摺動部6がホルダー部5内に下から挿入されて弾性的に保持されるようになる。摺動部6の下部には摺動部の外径より若干径が大きくされている係止部を備えるストッパー部9が固着されており、ストッパー部9の係止部の上部がホルダー部5の下面に当接した際に、エレメント部3が伸張された状態となる。
次に、本発明にかかるアンテナ1の詳細構成の一部を示す断面図を図4に示す。図4はエレメント部3をホルダー部5に対して伸張した状態のエレメント部3とベース部4とホルダー部5との構成を示す図であり、伸張したエレメント部3をベース部4に対して所定角度傾動した状態のエレメント部3が示されている。
図4に示す構成について説明する前に、本発明にかかるアンテナ1を構成している各部の構成を説明する。
まず、図8ないし図10にホルダー部5の構成を示す。図8は、ホルダー部5の構成を示す正面図であり、図9はホルダー部5の構成を示す上面図であり、図10はホルダー部5の構成を示す断面図である。
これらの図に示すように、金属製のホルダー部5はほぼ円筒状に形成されており、ホルダー部5の上端部には最大径を有する円盤状の鍔部5bが形成されており、下部には本体部5iより径が若干細くされた下部延伸部5cが形成されている。そして、鍔部5bと下部延伸部5cとの間が円筒状の本体部5iとされている。本体部5iの外周面にはネジ部5aが形成されている。また、ホルダー部5の全体にわたり貫通孔5eが形成されており、鍔部5bの上面には図9に示すように十字状の切溝5dが形成されている。切溝5dは、ホルダー部5を電子機器の筐体に取り付ける際にドライバーや専用工具が嵌着される溝とされている。
ホルダー部5の内周面には上部に第1段部5fが、下部に第2段部5gが形成され、第1段部5fと第2段部5gとの間の内径が若干大きくされている。この第1段部5fと第2段部5gとの間に摺動バネ12が嵌挿され、摺動バネ12が嵌挿された際に自らの弾性によりホルダー部5の内周面に摺動バネ12が密着するようになる。そして、摺動バネ12の上端が第1段部5fに係合し、下端が第2段部5gに係合することから、摺動バネ12は貫通孔5e内から抜け出ないようになる。この摺動バネ12は、上方向からホルダー部5の貫通孔5e内にトップ取付軸11が挿入された際に、トップ取付軸11を弾性的に保持して容易に貫通孔5e内から抜け出ないようにしている。また、下方向から貫通孔5e内にベース部4が挿入された際に、ベース部4を弾性的に保持して自重により貫通孔5e内から抜け落ちないようにしている。なお、下部延伸部5cの下端内周面にはテーパ部5hが形成されて、下方向から貫通孔5e内に挿入されるベース部4が容易に挿入できる形状とされている。
次に、球状部8の構成を示す断面図を図11に示す。金属製とされる球状部8は、図11に示すように、下部にほぼ球状の球部8aが形成されており球部8aから上方に円筒状の挿通部8bが延伸するよう形成されている。挿通部8bの内部には挿通孔8cが形成されており、球部8aには挿通孔8cに連通する径が若干細くされた圧入孔8dが形成されている。圧入孔8dの内径は、エレメント導体3aの外径よりやや小さくされて、エレメント導体3aが圧入孔8dに圧入されることによりエレメント導体3aの下端に球状部8が固着される。なお、挿通孔8cの内径は絶縁チューブ3cで被覆したエレメント導体3aが挿通可能な内径とされる。すなわち、挿通孔8c内に絶縁チューブ3cで被覆されたエレメント導体3aが挿通される。
次に、トップ取付軸11の構成を示す断面図を図12に示す。金属製とされるトップ取付軸11は、下部の径が滑らかにすぼまるようテーパ部11bが形成された円筒状に形成されており、その上部に2段のリング部11aが形成されている。2段のリング部2aの間にリング状溝11cが形成されている。トップ取付軸11の全体にわたり貫通孔が形成されているが、ほぼ上半分に形成された貫通孔は径の細い第1貫通孔11dとされ、ほぼ下半分に形成された貫通孔は第1貫通孔11dより径が大きくされた第2貫通孔11eとされている。第1貫通孔11dの内径は、エレメント導体3aの外径よりやや小さくされて、エレメント導体3aが第1貫通孔11dに圧入されることによりエレメント導体3aの上端にトップ取付軸11が固着される。なお、第2貫通孔11eの内径は絶縁チューブ3cで被覆したエレメント導体3aが挿通可能な内径とされる。すなわち、第2貫通孔11e内に絶縁チューブ3cで被覆されたエレメント導体3aが挿通される。また、下部の外周面に形成されたテーパ部11bにより、ホルダー部5の上からトップ取付軸11を挿入する際に容易に挿入することができるようになる。トップ取付軸11の上端にはアンテナトップ10が固着されるが、アンテナトップ10は2段のリング部11aに樹脂成形により形成されたり、キャップ状に形成されたアンテナトップ10を2段のリング部11aに嵌着して接着剤により固着されるようになる。
次に、球受部13の構成を示す断面図を図13に示す。例えば、耐疲労性に優れたポリアセタール等の樹脂製とされる球受部13は、図13に示すように断面円形に形成されて円盤状とされている。球受部13は、ベース部4内に収納された球状部8における球部8aを受けるようベース部4内に収納される。球受部13の上面には凹部13aが形成されており、凹部13aの上縁にテーパ部13bが形成されている。球部8aを受けるテーパ部13bの断面は円弧状とされて、球部8aが滑らかに回動できるようになる。
次に、ストッパー部9の構成を図14に示す。図14に示すストッパー部9は、金属棒を加工して形成されており、ストッパー部9の下端部に係止部9aが形成されている。係止部9aは、エレメント部3が伸張された際にホルダー部5の下面に当接できるようストッパー部9における最大径とされており、その上部にベース部4内に嵌着される嵌着部9bが形成されている。嵌着部9bの上部には若干径が小さくされた導入部9dが形成されており、嵌着部9bと導入部9dとの境界に段部9eが形成されている。導入部9dは、ベース部4内にストッパー部9を圧入して固着する際に、嵌着部9bをベース部4内に導く役割を担っている。導入部9dの上面からは径の細くされた延伸部9cが形成されている。延伸部9cは、コイルスプリング14内に挿通されてコイルスプリング14を保持するようにしている。係止部9a、嵌着部9b、導入部9dおよび延伸部9cの各部の断面の形状は円形とされている。
次に、ベース部4の構成を図15ないし図17に示す。図15はベース部4の構成を示す正面図であり、図16はベース部4の構成を示す上面図であり、図17はベース部4の構成を示す断面図である。
これらの図に示すように、金属製のベース部4はほぼ円筒状に形成されており、ベース部4の上部がエレメント部3の下端に固着されている球状部8を傾動可能に保持する球保持部7とされ、上部より下の部分が摺動部6とされている。球保持部7は、上部の外形が球状部8における球部8aの外形に合わせた円弧状のテーパ状とされ、内部には挿通孔7bが形成されており、挿通孔7bの上端から縦方向に傾動溝7aが形成されている。挿通孔7bの径は、球状部8における挿通部8bが挿通できる径とされ、傾動溝7aは球状部8における挿通部8bが摺動できる幅とされていると共に、球状部8が固着されたエレメント部3を約90°まで傾動することのできる長さとされている。また、傾動溝7aの下端は断面円形とされる挿通部8bの形状に合わせた半円形に形成されている。
球保持部7に形成されている挿通孔7bに連通する貫通孔4aが摺動部6の全体にわたり形成されており、挿通孔7bと貫通孔4aとの境界にテーパ部7cが形成されている。球状部8における球部8aの上部が当接されるテーパ部7cの断面は円弧状とされて、球部8aがベース部4から抜け出ないと共に滑らかに回動できるようにしている。摺動部6は、エレメント部3を伸張した際にホルダー部5内に挿入されて弾性的に保持される部位とされる。そして、エレメント部3の下端に固着されている球状部8を傾動溝7a内に嵌入して傾動した状態において、水平面内に回動させた際に摺動部6がホルダー部5に対して水平面内で摺動することにより、エレメント部3が水平面内において回動できるようになる。なお、摺動部6の下端にはリング部4bが形成されてその上にカシメ部6aが形成されており、ベース部4の貫通孔4a内に下からストッパー部9が圧入された際にカシメ部6aをカシメ加工することにより、ベース部4に確実にストッパー部9を固着することができる。
次に、コイルスプリング14の構成を図18に示す。コイルスプリング14は、リン青銅やステンレス等の弾性金属を巻回することにより形成されている。コイルスプリング14の内径は、例えば約1.5mmとされている。
次に、摺動バネ12の構成を図19ないし図21に示す。図19は摺動バネ12の構成を示す展開図であり、図20は摺動バネ12の構成を示す上面図であり、図21は摺動バネ12の構成を示す断面図である。これらの図に示すように、リン青銅等の弾性を有する矩形の金属板に複数の矩形の切欠部12bが所定間隔で形成された本体部12aを円形になるよう加工することにより摺動バネ12が形成されている。そして、切欠部12bの間を内側に絞るように複数の絞り部12cが形成されている。この複数の絞り部12cは、摺動バネ12が収納されたホルダー部5内にトップ取付軸11あるいはベース部4が挿入された際に、その外周面に接触して絞り部12c間に保持するようになり、絞り部12cが弾性を有していることからトップ取付軸11あるいはベース部4が弾性的に保持されるようになる。
図4に戻ると、エレメント部3をホルダー部5に対して伸張して、所定角度傾動した状態が示されている。ニッケル−チタン合金等とされた超弾性金属製のエレメント導体3aをビニル等の柔軟な絶縁チューブ3bで被覆することによりエレメント部3が構成されている。エレメント部3をホルダー部5に対して伸張すると、エレメント部3の下端に固着されているベース部4がホルダー部5に下から挿通されるようになる。そして、ベース部4の下端に固着されているストッパー部9における係止部9aがホルダー部5の下端に当接されて伸張が停止されるようになる。これにより、ベース部4における球保持部7がホルダー部5から上方へ突出するようになる。この伸張状態において、ベース部4はホルダー部5の本体部5i内に収納されている摺動バネ12により保持され、エレメント部3は自重により下方へ抜け出ないようになる。ここで、エレメント部3に横方向に荷重を加えて球状部8における挿通部8bを球保持部7に形成されている傾動溝7a内に嵌入させていくと、図4に示すようにエレメント部3はホルダー部5に保持されているベース部4に対して傾動していくようになる。そして、断面円形の挿通部8bが傾動溝7aの半円形の下端に当接した際にそれ以上傾動できなくなり、その傾動角度は約90°となる。
ベース部4内の上部に球状部8が収納され、この球状部8における球部8aを球受部13が受けるようベース部4内に収納されている。さらに、ベース部4の下端から圧入されて固着されたストッパー部9と球受部13との間にコイルスプリング14が配置されている。コイルスプリング14は、ストッパー部9における延伸部9cに挿入されて変形してもその位置がずれないようにされている。この構成において、エレメント部3が自重に抗して傾動した状態を保持するための付勢力をコイルスプリング14が球受部13に下から印加している。また、エレメント部3を傾動した状態において、水平面内に回動させた際にベース部4における摺動部6が、摺動バネ12により弾性的に保持されながらホルダー部5に対して回動することにより、エレメント部3が水平面内において回動できるようになる。この場合、エレメント部3を回動させても、その自重に抗してその位置を保持するための付勢力が摺動バネ12によりベース部4に印加されている。
上記したように、本発明にかかるアンテナ1において、傾動機構は傾動溝7aとテーパ部7cが形成されたベース部4と球状部8とにより主に構成されており、球状部8に付勢力を与える球受部13、コイルスプリング14およびストッパー部9がこの構成を補充している。また、回転機構はホルダー部5と摺動部6を備えるベース部4とにより主に構成されており、摺動バネ12がこの構成を補充している。この傾動機構において、エレメント導体3aの下端に固着されている球状部8における球部8aの径を、例えば約2.7mmまで小さくしても十分な保持力をコイルスプリング14により与えることができると共に、十分な耐久性を得ることができるようになる。この場合、ベース部4の最大径を約3.7mm程度に長さを約13mmとすることができ、ホルダー部5の本体部5iの外径を約5mm程度にすることができる。このように、本発明にかかるアンテナ1は従来の携帯電話機に用いられる傾動機構を備えていないアンテナとほぼ同様の大きさとすることができ、回転機構において摺動バネ12によりベース部4に十分な摩擦力を与えることができることから、十分な回転保持力が得られると共に十分な耐久性を得ることができる。なお、アンテナ1における傾動機構と回転機構とによりアンテナ1を任意の角度に傾動して水平面内において回転可能とすることができることから、電子機器の筐体に取り付けたアンテナ1を任意の電波到来方向に向けることができるようになる。また、アンテナ1のエレメント部3は衝撃を受けた際に復元可能に撓む可撓性を有していると共に筐体に収納可能となる。
次に、本発明にかかるアンテナ1を組み立てる工程を図5ないし図7に示す。
図5はエレメント部3とベース部4とを組み立てる行程を示す分解組立図であり、エレメント部3、ベース部4、球状部8および球受部13は断面図で示されている。エレメント導体3aの下端には、予め球状部8が固着されていると共に、エレメント導体3aに絶縁チューブ3bが挿通されて被覆されたエレメント部3とされている。絶縁チューブ3bの下部は、球状部8における挿通部8b内に収納されている。このエレメント部3の上からベース部4を挿通していき、エレメント部3が挿通されていくベース部4における貫通孔4aの上端のテーパ部7cに球状部8における球部8aの上面が当接するまで挿通する。次いで、貫通孔4a内に下から樹脂製の球受部13を挿入して、その凹部13aが球状部8における球部8aの下面を受けるようにする。さらに、ストッパー部9の延伸部9cにコイルスプリング14を挿通した状態のストッパー部9を貫通孔4a内に下から圧入し、ベース部4におけるカシメ部6aをかしめるようにする。これにより、コイルスプリング14により球受部13が上方へ付勢されて、球状部8における球部8aが球受部8とテーパ部7c間に弾性的に保持されるようになる。
図6はベース部4を取り付けたエレメント部3にホルダー部5を取り付ける行程を示す図である。図6において、各部は断面図で示されており、エレメント部3の下端にベース部4が取り付けられており、エレメント部3の上からホルダー部5を挿入する。ホルダー部5の貫通孔5e内には、摺動バネ12が抜け出ないように収納されている。
図7は組み立てられたアンテナ1を示す図であり、エレメント部3の下部から下の構成が断面図で示されている。エレメント部3の上端には、トップ部2が固着されてアンテナ1の組み立ては終了する。この場合、エレメント導体3aの上端がトップ取付軸11の第1貫通孔11dに圧入されることにより、エレメント導体3aにトップ取付軸11が固着される。この際に、エレメント導体3aを被覆している絶縁チューブ3bの上部がトップ取付軸11の第2貫通孔11e内に収納される。また、トップ取付軸11の上端にはアンテナトップ10が固着される。アンテナトップ10は、2段のリング部11aに樹脂成形により形成されたり、キャップ状に形成されたアンテナトップ10を2段のリング部11aに嵌着して接着剤により固着される。図7においては、エレメント部3が伸張された状態とされ、ベース部4がホルダー部5内に下から挿通されて摺動バネ12により弾性的に保持されている。
以上の説明では、テレビ放送を受信することのできる携帯電話機等の携帯電子機器用アンテナとして説明したが、これに限るものではなく伸張して水平面内において回転することが必要とされるアンテナ一般に適用することができるものである。
本発明の携帯電子機器用アンテナの実施例とされるアンテナを備える携帯電子機器の構成の一例を図である。 本発明の携帯電子機器用アンテナの実施例であるアンテナの伸張状態の構成を示す図である。 本発明の携帯電子機器用アンテナの実施例であるアンテナの縮納状態の構成を示す図である。 本発明の実施例であるアンテナのエレメント部をベース部に対して伸張して傾動した状態のエレメント部とベース部との構成を示す断面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるエレメント部とベース部とを組み立てる行程を示す分解組立図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるベース部を取り付けたエレメント部にホルダー部を取り付ける行程を示す図である。 本発明の実施例であるアンテナを組み立てた状態を示す図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるホルダー部の構成を示す正面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるホルダー部の構成を示す上面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるホルダー部の構成を示す断面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおける球状部の構成を示す断面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるトップ取付軸の構成を示す断面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおける球受部の構成を示す断面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるストッパー部の構成を示す正面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるベース部の構成を示す正面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるベース部の構成を示す上面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるベース部の構成を示す断面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおけるコイルスプリングの構成を示す正面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおける摺動バネの構成を示す展開図である。 本発明の実施例であるアンテナにおける摺動バネの構成を示す上面図である。 本発明の実施例であるアンテナにおける摺動バネの構成を示す断面図である。 従来の携帯電話機用のアンテナの一例の構成を示す図である。 従来のロッドアンテナを用いるアンテナの一例の構成を示す図である。 従来のロッドアンテナを用いるアンテナにおける傾動機構の構成を示す図である。 従来の傾動可能かつ回転可能な従来のアンテナの他の例の構成を示す図である。 従来の傾動可能かつ回転可能な従来のアンテナの他の例の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 アンテナ、2 トップ部、2a リング部、3 エレメント部、3a エレメント導体、3b 絶縁チューブ、3c 絶縁チューブ、4 ベース部、4a 貫通孔、4b リング部、5 ホルダー部、5a ネジ部、5b 鍔部、5c 下部延伸部、5d 切溝、5e 貫通孔、5f 第1段部、5g 第2段部、5h テーパ部、5i 本体部、6 摺動部、6a カシメ部、7 球保持部、7a 傾動溝、7b 挿通孔、7c テーパ部、8 球状部、8a 球部、8b 挿通部、8c 挿通孔、8d 圧入孔、9 ストッパー部、9a 係止部、9b 嵌着部、9c 延伸部、9d 導入部、9e 段部、10 アンテナトップ、11 トップ取付軸、11a リング部、11b テーパ部、11c リング状溝、11d 第1貫通孔、11e 第2貫通孔、12 摺動バネ、12a 本体部、12b 切欠部、12c 絞り部、13 球受部、13a 凹部、13b テーパ部、14 コイルスプリング、100 アンテナ、100 携帯電話機、101 エレメント、101 筐体、102 ホルダー部、102 操作部、103 トップ部、103 表示部、200 アンテナ、201 伸縮エレメント、201a エレメント基部、202 アンテナ取付部、203 回転保持部、204 固着用ビス、300 アンテナ、301 エレメント、302 ホルダー部、302 球状部、303 ホルダー部、304 トップ部、305 コイルスプリング

Claims (3)

  1. 可撓性を有する線状のエレメントの先端が固着されるトップ取付軸を備えるトップ部が上端に取り付けられていると共に、下端に球状部が固着されているエレメント部と、
    前記エレメント部における前記球状部を弾性的に保持することにより、前記エレメント部を傾動可能かつ水平面内において回転可能に保持するベース部と、
    前記エレメント部が摺動可能とされ、前記エレメント部を伸張した際に前記ベース部が弾性的に保持されると共に、前記エレメント部を縮納した際に前記トップ取付軸が弾性的に保持されるホルダー部とを備え、
    前記ベース部の上部に、前記球状部が固着された前記エレメント部を傾動可能とする傾動溝が縦方向に形成され、前記ベース部に形成された貫通孔内に回動可能に保持されるよう前記球状部を下から付勢する弾性手段が、前記貫通孔の下部に嵌着されているストッパー部と前記球状部との間に設けられており、前記ベース部が前記ホルダー部に弾性的に保持されることにより、前記エレメント部を前記ベース部に対して傾動させた状態において、前記ホルダー部に対して水平面内において回動可能になることを特徴とする携帯電子機器用アンテナ。
  2. 前記球状部を受ける球受部が前記ベース部内に収納されており、前記弾性手段とされるコイルスプリングが前記球受部と前記ストッパー部との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器用アンテナ。
  3. 前記ホルダー部の内周面に沿って摺動バネが配置されて、該摺動バネの作用により前記ベース部あるいは前記トップ取付軸が弾性的に保持されることを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器用アンテナ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200452593Y1 (ko) 2008-06-02 2011-03-07 주식회사 두리정밀 회전결합형 로드안테나
WO2016197462A1 (zh) * 2015-06-08 2016-12-15 西安中兴新软件有限责任公司 一种多用途可拆卸天线
CN111370839A (zh) * 2020-03-23 2020-07-03 赵永瑞 一种抗干扰室内5g网络通讯装置

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