JP2007172870A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Yoshinori Iwabuchi
芳典 岩淵
Hideki Kitano
秀樹 北野
Masahito Yoshikawa
雅人 吉川
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【課題】エネルギー効率が良好で、温度分布が生じ難く、誘電体前駆層を均一に焼成することが可能なプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板2と、該ガラス基板2上に配設された誘電体層とを備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、(i)前記ガラス基板2上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層1を形成する工程と、(ii)前記ガラス基板上に形成された前記誘電体前駆層に300MHz〜300GHzのマイクロ波を照射して、該誘電体前駆層から誘電体層を生成させる工程とを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関し、特にエネルギー効率が良好で、温度分布が生じ難く均一に焼成することが可能なプラズマディスプレイパネルの製造方法に関するものである。
昨今、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイが注目されており、これらフラットパネルディスプレイの中でも、特に大画面のディスプレイとして、プラズマディスプレイが注目されている。該プラズマディスプレイは、一般に、対向配置された2枚のガラス基板と、該ガラス基板間に配置された隔壁とで形成されたセルを複数備え、該セル内に蛍光物質が保持されている。また、2枚のガラス基板の内の一方のガラス基板の内面にはバス電極が固定されており、もう一方のガラス基板の内面にはアドレス電極が固定されている。更に、上記一方のガラス基板の内面には、上記バス電極を覆うように誘電体層が配置されており、また、該誘電体層の上には通常保護膜が配置されている。ここで、上記誘電体層は、一般にガラスフリットの焼結体からなり、一方、保護膜は、酸化マグネシウム等からなる。
従来、上記誘電体層の形成方法としては、ガラスフリット、有機樹脂バインダー及び溶剤を含む塗工液を調製し、該塗工液をスクリーン印刷法、コータ法等によってガラス基板の表面に塗工し乾燥して誘電体前駆層を形成した後、該誘電体前駆層を電気ヒーターや赤外線放射ヒーター等を用いて外部加熱して焼成して、有機物質を除去する共にガラスフリットを焼結させて誘電体層を形成する方法が知られている。
また、他の誘電体層の形成方法として、グリーンシート法が知られており(下記特許文献1参照)、該グリーンシート法は、ガラスフリット、有機樹脂バインダー及び溶剤を含む塗工液を支持フィルム上に塗工し乾燥して、支持フィルム上に誘電体前駆層(グリーンシート)を形成し、該誘電体前駆層(グリーンシート)をバス電極が固定されたガラス基板の表面に70℃程度の熱ロールを用いて熱圧着して支持フィルムからガラス基板に転写し、転写された誘電体前駆層(グリーンシート)を電気ヒーターや赤外線放射ヒーター等を用いて外部加熱して焼成することにより、有機物質を除去する共にガラスフリットを焼結させて、ガラス基板の表面に誘電体層を形成する方法である。該グリーンシート法は、誘電体前駆層及び誘電体層の厚さの管理が容易であり、上記したスクリーン印刷法やコータ法等に比べて、形成される誘電体層の表面平滑性が優れる等の利点を有している。
特開平9−102273号公報
しかしながら、上述したいずれの方法も、外部加熱により誘電体前駆層を焼成して誘電体層を形成するため、目的とする誘電体前駆層以外に周囲の雰囲気の全てを加熱してしまい、また、加熱以外に装置全体からの放熱も大きいため、エネルギー効率が悪いという問題を有する。また、上述したいずれの方法も、大面積サンプルでは温度分布が生じ易く、均一な焼成が難しいという問題を有し、更には、バッチ処理装置の場合には、装置の起動(加温)及び停止(冷却)に時間がかかるといった問題を有する。
加えて、グリーンシート法の場合、外部加熱方式によるグリーンシートの加温は、基本的に熱伝導、熱伝達に頼るため、グリーンシートが表面から加熱される結果、グリーンシートの膜厚方向の温度分布としては、最表面が最も高温となる。一般に、バインダーが分解、気化しながら焼成プロセスが進行するため、外部加熱方式では、グリーンシートの表面から焼成が進行していくこととなる。そのため、焼成による体積収縮や、表面よりも遅れて進行する内部の焼成時にガスが発生することにより、誘電体層にボイドやクラック等の欠陥が生じやすいという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、エネルギー効率が良好で、温度分布が生じ難く、誘電体前駆層を均一に焼成することが可能なプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ガラス基板上に形成された誘電体前駆層にマイクロ波を照射することで、誘電体前駆層がマイクロ波を吸収して自己発熱するため、高効率且つ迅速に加熱することができ、また、該加熱により、有機物質が焼成・除去される共にガラスフリットが焼結されて、ガラス基板の表面に誘電体層が効率的に形成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、ガラス基板と、該ガラス基板上に配設された誘電体層とを備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
(i)前記ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成する工程と、
(ii)前記ガラス基板上に形成された前記誘電体前駆層に300MHz〜300GHzのマイクロ波を照射して、該誘電体前駆層から誘電体層を生成させる工程と
を含むことを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の好適例においては、前記マイクロ波の周波数が28GHzである。この場合、誘電体前駆層がマイクロ波(ミリ波)を効率よく吸収するため、効率よく焼成することができ、また、ガラス基板上に金属のパターニング配線等が施されていても、アーキングが起こらない。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の他の好適例においては、前記有機樹脂バインダーがメタクリル樹脂からなる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の他の好適例においては、前記有機樹脂バインダーのガラス転移点が45℃以下である。この場合、有機樹脂バインダーが400〜650℃で完全に燃焼するため、誘電体層に有機物が残留するのを防止できる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法においては、前記誘電体前駆層が鉛及び鉛化合物を含有しないことが好ましい。この場合、製造されるプラズマディスプレイパネルが環境を汚染することが無い。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の他の好適例においては、前記ガラスフリットが酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素を含む。この場合、600℃以下の焼成温度で、ガラスフリットを焼結させて、誘電体層を形成することができる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の他の好適例においては、支持フィルム上に、ガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む塗工液を塗工及び乾燥して誘電体前駆層を形成し、該支持フィルム上の誘電体前駆層を前記ガラス基板に転写して、ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成する。この場合、誘電体前駆層及び誘電体層の厚さの管理が容易であり、また、形成される誘電体層の表面平滑性が高い。
本発明によれは、ガラス基板上に形成された誘電体前駆層にマイクロ波を照射することで、誘電体前駆層を均一に焼成して誘電体層とし、良好なエネルギー効率でプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、ガラス基板と、該ガラス基板上に配設された誘電体層とを備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、(i)前記ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成する工程と、(ii)前記ガラス基板上に形成された前記誘電体前駆層に300MHz〜300GHzの周波数のマイクロ波を照射して、該誘電体前駆層から誘電体層を生成させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法では、ガラス基板上に形成された誘電体前駆層にマイクロ波を照射することにより、誘電体前駆層がマイクロ波を吸収して自己発熱することで、高い効率で誘電体前駆層を加熱することができる。また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、熱源からの熱伝導、熱伝達に頼らないために、短時間での昇温が可能である。更に、本発明で利用するマイクロ波加熱は、温度の制御性にも優れ、応答性が高いという利点もある。本発明の製造方法では、マイクロ波で誘電体前駆層を加熱するため、外部加熱とは異なり、マイクロ波を吸収する部分のみを効率的に加熱することができる。また、マイクロ波加熱は、材料の自己発熱、いわば内部加熱であるため、ヒーター等の外部加熱の場合と異なり、温度分布はサンプル内部が高く、最表面が低い傾向となる。その結果、焼成プロセスが相対的に内部から進行し、表面が遅れて進行することとなる。なお、誘電体前駆層のように薄い材料の場合は、内部と表面との差は小さいものの、傾向は同一である。そのため、本発明の製造方法によれば、焼成による体積収縮やガス発生によるボイド、クラックの問題が発生しない。従って、本発明の製造方法によれば、外観に優れ、均一で且つ緻密な誘電体層を形成することができる。なお、本発明で用いるマイクロ波加熱は、ここに記載された誘電体層の形成の他に、プラズマディスプレイパネルの前面板及び裏面板、更には、リブの形成にも適用することが可能である。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、(i)工程で、ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成する。ここで、ガラス基板上への誘電体前駆層の形成は、例えば、(I)ガラスフリット及び有機樹脂バインダーを溶剤等に溶解又は分散させて調製した塗工液をガラス基板上に直接塗工し乾燥して、ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成してもよいが、(II)支持フィルム上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを溶剤等に溶解又は分散させて調製した塗工液を塗工及び乾燥して誘電体前駆層を形成し、該支持フィルム上の誘電体前駆層をガラス基板に転写して、ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成することが好ましい。(II)の方法の場合、誘電体前駆層及び誘電体層の厚さの管理が容易であり、また、誘電体層の表面平滑性を向上させることもできる。
ここで、塗工液の塗工には、ロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ワイヤーコーター、ダイコーター等を用いることができる。また、ガラスフリット及び有機樹脂バインダーを溶解又は分散させるために用いる溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノン、n-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、シクロヘキサノール、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。更に、塗工後の塗工液の乾燥は、80〜130℃で行うことが好ましい。なお、形成される誘電体前駆層の厚さは、20〜100μmの範囲が好ましく、50〜100μmの範囲が更に好ましい。
上記(II)の方法で使用する支持フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリフルオロエチレン、ナイロン、セルロース等が挙げられ、これらの中でも、PETが特に好ましい。また、支持フィルムの厚さは、20〜100μmの範囲であることが好ましく、更に、支持フィルムの表面には、作業性の観点から、離型処理が施されていることが好ましい。上記(II)の方法における転写は、ガラス基板の表面に誘電体前駆層の表面が接触するように重ね合わせ、例えば、70〜110℃に熱せられた加熱ローラ等により熱圧着した後、誘電体前駆層から支持フィルムを剥離除去すればよい。
上記ガラス基板の材質として、ガラスである限り特に限定されず、石英ガラス、軟ガラス、硬質ガラス等が挙げられる。
上記誘電体前駆層に用いるガラスフリットの成分としては、SiO2、Bi23、ZnO、BaO、CaO、MgO、B23、Li2O、Na2O、K2O、Al23、La23、Y23、Gd23、TiO2、SnO2、ZrO2、Nb25、Ta25、V25、P25、WO3、NaF等を挙げることができる。これらの中でも、ZnO、B23、SiO2を含むガラスフリットが好ましく、該ガラスフリットは、600℃以下の焼成温度で焼結させることができる。なお、上記ガラスフリットは、環境への配慮の観点から、鉛及び鉛化合物を含有しないことが好ましい。
上記ガラスフリットは、示差熱分析(DTA)で測定した軟化点が400〜650℃の範囲であることが好ましい。ガラスフリットの軟化点が400℃未満では、誘電体前駆層を焼成する際に、有機樹脂バインダーが分解除去される前にガラスフリットが溶融して、誘電体層中に有機物質が残留し易くなり、一方、650℃を超えると、焼成温度が高くなるため、ガラス基板に歪みが発生し易くなる。
上記ガラスフリットの平均粒径は、0.5〜3μmの範囲が好ましい。ガラスフリットの平均粒径が0.5μm未満では、誘電体前駆層を焼成する際に有機樹脂バインダーが分解除去され難くなり、一方、3μmを超えると、マイクロ波加熱で形成される誘電体層の表面平滑性が低下することがある。
上記誘電体前駆層に用いる有機樹脂バインダーの材質としては、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらの中でも、メタクリル樹脂が好ましい。該メタクリル樹脂は、一種又は二種以上のメタクリレートを重合又は共重合させて合成することができる。ここで、メタクリル樹脂の合成に使用するメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、へキシルメタクリレート、へプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
上記有機樹脂バインダーは、ガラス転移点(Tg)が45℃以下であることが好ましく、-30〜30℃の範囲であることが更に好ましい。有機樹脂バインダーのTgが45℃以下であれば、400〜650℃で有機樹脂バインダーを完全に燃焼することができ、誘電体層に有機物が残留するのを防止できる。また、特に限定されるものではないが、上記有機樹脂バインダーは、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が3,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
上記有機樹脂バインダーの配合量は、上記ガラスフリット100質量部に対して、10〜50質量部の範囲が好ましい。有機樹脂バインダーの配合量がガラスフリット100質量部に対して10質量部未満では、ガラスフリットを十分に結着できないことがあり、一方、50質量部を超えると、焼成に長時間を要したり、誘電体層の強度や膜厚が不十分になることがある。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、次に、(ii)工程で、ガラス基板上に形成された誘電体前駆層に300MHz〜300GHzの周波数のマイクロ波を照射して、該誘電体前駆層から誘電体層を生成させる。ここで、(ii)工程には、例えば、図1に示すような焼成装置を使用することができる。
図1に示す焼成装置は、誘電体前駆層1が表面に配設されたガラス基板2を収容するマイクロ波加熱チャンバー3と、誘電体前駆層1が表面に配設されたガラス基板2にマイクロ波を照射するためのマイクロ波発生装置4と、マイクロ波加熱チャンバー3とマイクロ波発生装置4とを連結し、マイクロ波発生装置4で発生したマイクロ波をマイクロ波加熱チャンバー3に導くための導波管5とを備える。なお、図1に示す焼成装置は、更に、マイクロ波加熱チャンバー3に連結された、不活性ガス等を導入するための導入ライン6と、排ガスを排気するための排気ライン7とを備える。
図1に示す焼成装置においては、マイクロ波加熱チャンバー3内に誘電体前駆層1付きのガラス基板2を配置し、マイクロ波発生装置4で発生させたマイクロ波を導波管5を通してマイクロ波加熱チャンバー3に導き、ガラス基板2上の誘電体前駆層1にマイクロ波を照射することで、誘電体前駆層1が自己発熱し、有機樹脂バインダーが焼成・除去される共に、ガラスフリットが焼結されて誘電体層が形成される。ここで、焼成は、大気雰囲気下で行うことができるが、所望により、不活性ガス雰囲気下や真空下で行うこともできる。なお、焼成を大気雰囲気下で行う場合、導入ライン6及び排気ライン7を閉じ、不活性ガス雰囲気下で行う場合は、導入ライン6からヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスを導入すると共に排気ライン7から排気し、真空下で行う場合は、導入ライン6を閉じると共に排気ライン7を真空ポンプ等に連結してマイクロ波加熱チャンバー3内を真空にすればよい。
上記マイクロ波とは、通常、300MHz〜300GHzの周波数の電磁波として定義される。マイクロ波としては、電子レンジに代表される周波数2.45GHzのものが広く普及しているが、2.45GHzのマイクロ波を用いた場合は、以下のような問題がある。(1)2.45GHzのマイクロ波を吸収する材料が限られている。(2)サンプルが複雑な形状を有する場合に、突起部に電界が集中し、熱暴走して均一な加熱が難しい。(3)導電性材料ではアーキングが発生する(電子レンジでアルミホイルから火花が飛ぶ現象)。ここで、誘電体前駆層1の場合には、(1)により、2.45GHzのマイクロ波をほとんど吸収しないため、マイクロ波加熱の効率が悪い。また、マイクロ波加熱チャンバー3の形状を2.45GHzのマイクロ波が共振モードとなる寸法に設計することで、マイクロ波の電界、磁界を増大させて、加熱効率を向上させることも可能であるが、この場合、焼成装置が複雑化する点や、処理ゾーンの大きさが限られる等の問題が有る。また、誘電体前駆層1を貼り合せるガラス基板2に金属のパターニング配線等が施されている場合には、アーキングの問題が発生する。
本発明者らは、これらのデメリットを解決すべく鋭意検討した結果、マイクロ波の周波数を高めることで上記問題を解決することができ、28GHzのマイクロ波(ミリ波)が特に好適であることが分った。なお、28GHzのマイクロ波は、現状では常温で発振できる最高周波数のマイクロ波である。誘電体前駆層1は、28GHzのミリ波を効率よく吸収して、自己発熱によって温度上昇することが可能で、効率よく焼成することが可能である。また、28GHzのマイクロ波を用いた場合、導電性材料であってもアーキングが極めて生じ難く、即ち、金属のパターニング配線等が施されているガラス基板上に誘電体前駆層を形成した後に焼成する場合でも、アーキングが起こらない安定したプロセスを実現することができる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法では、図1に示すように、ガラス基板2上に配設された誘電体前駆層1の近傍に温度計8を設置し、誘電体前駆層1の焼成領域(即ち、誘電体層の生成領域)の温度を計測し、該領域の温度情報をマイクロ波発生装置4にフィードバックしてマイクロ波電力を制御することで、焼成領域の温度制御を行うことが可能となり、ここで、制御に対する応答速度が速いこともマイクロ波加熱の特長の一つである。なお、温度計8としては、特に制限は無く、接触式温度計(熱電対)や非接触式温度計を使用することができる。また、誘電体前駆層1の近傍の温度(即ち、焼成温度)は、400〜650℃の範囲が好ましい。
なお、被加熱体である誘電体前駆層1が高温になった場合、幅射による放熱によって、温度上昇が限定されることがあるが、図1に示すように、誘電体前駆層1付きのガラス基板2の周囲を断熱材9で囲むことで放熱を抑制することが可能となる。ここで、断熱材9としては、マイクロ波を透過できれる材料が使用され、具体的には、アルミナ等を使用することが好ましい。
上記のようにして製造されたプラズマディスプレイパネルは、少なくともガラス基板と、該ガラス基板上に配設された誘電体層とを備え、更に、プラズマディスプレイパネルが通常備える他の部材を備えることができる。以下に、本発明の方法で製造されるプラズマディスプレイパネルを図2を参照しながら詳細に説明する。図2に示すプラズマディスプレイパネルは、対向配置された2枚のガラス基板10A,10Bを有し、ガラス基板10Aの一方の面には、バス電極11が配線されており、ガラス基板10Bの一方の面には、アドレス電極12が配線されている。また、ガラス基板10Aのバス電極11が配線された面には、バス電極11を覆うように誘電体層13が配置されており、該誘電体層13の上には、更に、保護膜14が配置されている。そして、ガラス基板10Aのバス電極11、誘電体層13、保護膜14が配置された側と、ガラス基板10Bのアドレス電極12が配線された側とを対向させ、その間に隔壁15を配置して、セル16を形成し、該セル16内に蛍光物質17を保持する。ここで、本発明の方法で製造されたプラズマディスプレイパネルは、均一で緻密な誘電体層13を備え、該誘電体層13にボイドやクラックが存在しないため、良好な画像を長期に渡って安定して表示することが可能となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管を有する反応装置に、ラウリルメタクリレート 60質量部、n-ブチルメタクリレート 40質量部、トルエン 80質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部を仕込み、窒素雰囲気下にて70℃で8時間重合を行い、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液中のポリマー(メタクリル樹脂)は、ガラス転移点(Tg)が-10℃で、重量平均分子量(Mw)が16万であった。
次に、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素からなるガラスフリット[酸化亜鉛/酸化ホウ素/酸化ケイ素(質量比)=60/20/20、DTA軟化点=540℃、平均粒径=3μm]100質量部に対して、上記ポリマー溶液を50質量部加え、ビーズミルで混練することにより、誘電体前駆層形成用塗工液を調製した。
次に、予め離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[厚さ50μm;No.23;藤森工業(株)製]に、上記誘電体前駆層形成用塗工液を塗工し、100℃で5分間乾燥して、PETフィルム上にグリーンシート[誘電体前駆層、膜厚75μm]を形成した。
得られたグリーンシート付きPETフィルムからグリーンシート部分を石英ガラス上に70℃の熱ロールで転写させ、グリーンシート付き石英ガラスサンプルを作製した。次に、該サンプルを図1に示す焼成装置のマイクロ波加熱チャンバー3にセットし、マイクロ波発生装置4に電力を印加して、約20分にて600℃まで昇温し、該温度で20分間保持して焼成を行った。なお、導入ライン6及び排気ライン7を閉じ、大気雰囲気下で焼成処理を行った。その結果、石英ガラス上に、ボイド及びクラックのない均一な誘電体層が得られ、目視の結果、欠陥は確認されなかった。
(比較例1)
実施例1と同様にして、グリーンシート付き石英ガラスサンプルを作製し、電気炉にセットした。次に、電気炉にて、約40分で430℃まで昇温し、該温度を25分間保持した後、約20分で600℃まで昇温し、該温度で30分間焼成処理を行った。なお、焼成処理は、大気雰囲気下で行った。その結果、石英ガラス上に形成された誘電体層には、数個/100cm2程度の目視で判別できるボイドやクラックが存在していた。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法に好適に使用できる焼成装置の一例の概略図である。 本発明の方法で製造されるプラズマディスプレイパネルの一例の部分断面図である。
符号の説明
1 誘電体前駆層
2 ガラス基板
3 マイクロ波加熱チャンバー
4 マイクロ波発生装置
5 導波管
6 導入ライン
7 排気ライン
8 温度計
9 断熱材
10A,10B ガラス基板
11 バス電極
12 アドレス電極
13 誘電体層
14 保護膜
15 隔壁
16 セル
17 蛍光物質

Claims (7)

  1. ガラス基板と、該ガラス基板上に配設された誘電体層とを備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
    (i)前記ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成する工程と、
    (ii)前記ガラス基板上に形成された前記誘電体前駆層に300MHz〜300GHzのマイクロ波を照射して、該誘電体前駆層から誘電体層を生成させる工程と
    を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記マイクロ波の周波数が28GHzであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記有機樹脂バインダーがメタクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 前記有機樹脂バインダーのガラス転移点が45℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記誘電体前駆層が鉛及び鉛化合物を含有しないことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 前記ガラスフリットが、酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 支持フィルム上に、ガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む塗工液を塗工及び乾燥して誘電体前駆層を形成し、該支持フィルム上の誘電体前駆層を前記ガラス基板に転写して、ガラス基板上にガラスフリット及び有機樹脂バインダーを含む誘電体前駆層を形成することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009040971A1 (ja) * 2007-09-26 2009-04-02 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. 無機構造物の作製方法および無機物含有ペースト
JP2009091382A (ja) * 2007-10-03 2009-04-30 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 無機物含有ペースト
WO2010041278A1 (en) * 2008-10-06 2010-04-15 Indian Institute Of Science A method for obtaining a coating of a metal compound onto a substrate, an apparatus and a substrate thereof

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