JP2007171930A - 揺動体装置、光偏向器、及びその制御方法 - Google Patents

揺動体装置、光偏向器、及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特別な加熱素子を設けることなく振動系の共振周波数などを調整・制御可能とできる光偏向器などの揺動体装置を提供する。
【解決手段】揺動体装置は、振動系160と、振動系を保持する固定体150と、振動系を駆動するためのコイル152と永久磁石151を含む。振動系は、可動子11と、支持体15と、弾性支持部14を有し、可動子11は、支持体15に対して、弾性支持部14で所定振動軸17の回りに振動自在に弾性支持され、支持体15は固定体150に固定される。コイル152に、振動系が有する固有振動モードの周波数と異なる周波数の加熱用電流を通電することで、コイル152の発熱量を制御でき、振動系の温度を調整できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動自在に弾性支持された可動子を有する揺動体装置、これを用いた光偏向器、その制御方法などに関する。この光偏向器は、例えば、光の偏向走査によって画像を投影するプロジェクションディスプレイや、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ、デジタル複写機等の画像形成装置に好適に用いられるものである。
従来から、光偏向器として、反射面を正弦振動させて光を偏向する光走査系ないし光走査装置が種々提案されている。ここにおいて、共振現象を利用して正弦振動を行う光偏向器を使用した光走査系は、ポリゴンミラー等の回転多面鏡を使用した光走査光学系に比べて、次の様な特徴を有する。すなわち、光偏向器を大幅に小型化することが可能であること、消費電力が少ないこと、特に半導体製造プロセスによって製造されるSi単結晶からなる光偏向器は理論上金属疲労が無く耐久性にも優れていること、等の特徴がある。
この様な共振現象を利用した光偏向器は、用途によって一定周波数の駆動が望ましいものがあり、環境温度変化に対して共振周波数を一定に保つ方法が幾つか提案されている。
1つの提案では、一対の弾性ねじり梁で可動板が弾性支持された振動系をその部材より熱膨張率が大きい部材に固定し、温度上昇と共に起こる剛性の変化を打ち消す向きに弾性ねじり梁に応力を生じさせ、共振周波数の安定化を図るものがある(特許文献1参照)。また、これと同じ様な手法を開示する提案もある(特許文献2参照)。
他の提案では、一対の弾性ねじり梁で可動板が弾性支持された振動系があり、この振動系に発熱部を設けて弾性ねじり梁を温度調整することで、環境温度が変化しても弾性ねじり梁の温度を一定に保ち、共振周波数の安定化を図っている(特許文献3参照)。また、同じ様な手法を開示する他の提案もある(特許文献4参照)。
特開2002−321195号公報 米国特許第5557444号 特開2004−69731号公報 特開平9−197334号公報
しかしながら、従来は加熱素子を付加的に設ける必要があった。
上記課題に鑑み、本発明の揺動体装置は、次の構成要素を有する。すなわち、可動子と、支持体と、弾性支持部と、前記可動子を駆動するためのコイルと、前記コイルと接続しており前記コイルに電流を供給する駆動回路とを有する。そして、前記可動子は、前記支持体に対して、前記弾性支持部で所定振動軸の回りに振動自在に弾性支持され、前記駆動回路は前記可動子を駆動するための駆動電流と、前記可動子が有する固有振動モードの周波数と異なる周波数の加熱用電流とを、前記コイルに重畳して供給する回路であることを特徴とする。
また、上記課題に鑑み、画像表示装置、画像形成装置などとして構成される本発明の光学機器は、光源と、入射した光の反射方向を変える光偏向器として構成された揺動体装置とを有し、光源からの光を揺動体装置により偏向し、該光の少なくとも一部を画像表示体、または感光体上に照射することを特徴とする。
また、上記課題に鑑み、本発明の揺動体装置の制御方法は、可動子と、支持体と、弾性支持部と、前記可動子を駆動するためのコイルと、前記コイルと接続しており前記コイルに電流を供給する駆動回路とを有する揺動体装置の制御方法である。そして、可動子を駆動する電流を前記コイルに供給すると共に、前記可動子のねじり振動の変位角をセンサで検出し、前記センサの情報をもとに前記可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるために必要な加熱温度に対応した電流値を算出し、前記コイルに前記可動子の固有振動モードの周波数とは異なる周波数の加熱用電流であり、前記電流値に従って電流を前記コイルに供給することを特徴とする。
また、上記課題に鑑み、本発明の揺動体装置の制御方法は、可動子と、支持体と、弾性支持部と、前記可動子を駆動するためのコイルと、前記コイルと接続しており前記コイルに電流を供給する駆動回路とを有する揺動体装置の制御方法である。そして、可動子を駆動する電流を前記コイルに供給すると共に、前記揺動体装置の温度を温度センサで検出し、前記温度センサの情報をもとに前記可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるために必要な加熱温度に対応した電流値を算出し、前記コイルに前記可動子の固有振動モードの周波数とは異なる周波数の加熱用電流であり、前記電流値に従って電流を前記コイルに供給することを特徴とする。
本発明による光走査を行う光偏向器などの揺動体装置ないしその制御方法においては、コイルが加熱素子を兼ねるので、特別な加熱素子を付設することなく可動子の共振周波数などを調整・制御できる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
光源からの光を偏向走査する本実施形態の揺動体装置は、振動系と、振動系を保持する固定体と、振動系を駆動するためのコイルを含む駆動手段と、前記コイルを含む駆動手段に電流を供給する駆動回路を有する。本実施形態の振動系は、可動子と、支持体と、1本または2本のねじりバネである弾性支持部を有する。可動子は、支持体に対して、ねじりバネである弾性支持部で所定振動軸であるねじり軸の回りにねじり振動自在に弾性支持され、支持体は、固定体に固定される。可動子は、複数個、入れ子式に、或いは弾性支持部を介して直列的に設けることもできる。本実施形態では、前記駆動手段のコイルに、可動子を駆動するために固有振動モードの周波数の電流を供給すると共に、振動系が有する固有振動モードの周波数と異なる周波数の加熱用電流を供給する。そして、コイルに流す加熱用電流の値を調整することで、コイルの発熱量を制御して振動系の温度を調整することができる。より詳細には、前記駆動手段のコイルに、振動系が有する固有振動モードの周波数と異なる周波数の加熱用電流を通電し、コイルの発熱量を制御することで、前記所定振動軸の回りの固有振動モードの周波数を目標周波数へ調整できる様に構成されている。
本実施形態では、前記コイルは、固定体に設置され、前記駆動手段は、コイルと振動系に設置された永久磁石とで構成される。反対に、コイルが可動子に設置され、駆動手段が、コイルと振動系の外側に設置された永久磁石で構成されてもよい。熱を生じるコイルを可動子上に直接設置する場合、外的条件の変化に応じてねじりバネの温度を効率的に調節できて、駆動対象となる固有振動モードの周波数を所望の値に調整し、安定とできる。
上記構成において、反射面を有する可動子の前記ねじり軸回りのねじり振動の調整、安定化を、コイルを制御することで温度調整して実行する方法には種々の方法がある。本実施形態では、温度センサで振動系の温度をモニターし、この温度センサの情報をもとに、可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるために必要な加熱温度に対応した電流値を駆動回路で算出する。そして、コイルにこの電流値に相当する加熱用電流を駆動回路を用いて供給して、揺動体装置を所定の温度または周波数に調整する。温度センサは、例えば熱電対を振動系付近に設置すればよい。
また、位置センサを用いる場合は、位置センサで可動子のねじり振動の変位角を検知して、この変位角の情報をもとに、可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるために必要な加熱温度に対応した電流値を駆動回路で算出する。そして、コイルにこの電流値に相当する加熱用電流を駆動回路を用いて供給して、前記固有振動モードの周波数を調整する。これにより、駆動手段の振動系用駆動信号の駆動周波数が、固有振動モード付近の周波数に調整されて、可動子の駆動が安定化される。周波数のずれの検知は、例えば、可動子の振動における或る変位角の通過タイミングを適当な検知手段で検知して、これから可動子の位相を見出し、これが所望値からずれていることを検知して行われる。可動子の位置検出は、ピエゾ抵抗体を弾性支持部に設け、このピエゾ抵抗体から出力される信号に基づき可動子の変位角を算出することで実現できる。他の位置検知手段としては、可動子により反射される光を受光素子で検出し、受光素子の信号から可動子の変位角を算出する方法がある。また、コイルで温度を少しずつ調整して、変位角の極値としての所望調整位置を見出す制御方法でもよい。
本実施形態において、予めコイルに加熱用電流を注入しておいて振動系を加熱し、駆動時の温度を周囲温度より十分高い状態にしておくことにより、固有振動モードの周波数を調整することはコイルの発熱量を減じることで行う方法もある。
また上記構成では、駆動手段は、振動系をねじり軸回りに固有振動モードでねじり振動させているが、振動系を所定軸の回りに撓み振動させる様な態様も可能である。この場合、例えば、図3の構成において、接続部分を通り且つ撓みバネと垂直な図3面内のたわみ振動軸の回りに、この面と垂直な方向に可動子が撓み振動する。この場合、例えば、振動系側のコイルと固定体側の磁石で駆動手段を構成するとして、磁石からの磁場は片持ち梁構造の振動系の先端部付近で図3の面内で図3上下方向に発生させ、振動系の先端部に配置されコイル(図3のコイル参照)に作用させる。
更に、本実施形態の偏向器は、光偏向に限らず、赤外線、紫外線などの電磁波の偏向に用いることも可能である。
次に、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
図1(a)、(b)は本発明の光偏向器の第1の実施例を示す上面図である。図1(a)に示す様に、本実施例の光偏向器は、光偏向を行う反射面22を有する可動子11と機械的な接地部である支持体15、それらを連結して可動子11をねじり軸17回りにねじり振動自在に弾性支持する1対のねじりバネ14を有する。ここで、反射面22、可動子11、支持体15、ねじりバネ14を振動系160と呼ぶ。振動系160は、駆動周波数と略同一のねじり方向の固有振動モードをねじり軸17回りに有している。
本実施例の振動系160は、半導体製造プロセスで一般的に行われるフォトリソグラフィとドライエッチングにより単結晶シリコン基板から一体的に形成されている。したがって、加工精度が高く、小型の振動系を形成することが可能となる。また、単結晶シリコンはヤング率が高く、密度が小さいため、駆動時の可動子11の自重による変形が少なく、且つ、固有振動モードの周波数で振動時に振幅増幅率が高い振動系を形成できる。ここでは、可動子11は、ねじり軸17に垂直方向のサイズが3mm、平行方向のサイズが4mmである。
可動子11に形成された反射面22は、可動子11のねじり振動によって、光源(不図示)からの光を偏向走査する。ここでは、反射面22の材料はアルミニウムで、真空蒸着で成膜されている。反射面22は別の材質、例えば金、銅等でもよく、最表面に保護膜が形成されてもよい。また、ねじりバネ14には、ピエゾ抵抗体16が設けられている。ピエゾ抵抗体は、例えばp型の単結晶シリコンにリンを拡散して作製することができる。
図1(b)、図2は、本実施例の固定体150と駆動手段を示している。図1(b)は上面図(振動系160も重ねて描かれている)、図2は、図1(b)のQ−Q’線での断面図である。図示の様に、本実施例の駆動手段は、可動子11に接着された2つの永久磁石151(反射面22が形成される面の裏面に接着されている)と、固定体150に固定された固定コイル152によって構成されている。各永久磁石151は、長さ約1mm、断面150μm×150μmの角柱の金属磁石である。各永久磁石151の着磁方向は長手方向(ねじり軸17とほぼ直角な方向)であり、これらは接着剤により可動子11に固定してある。図2に示す様に、固定体150は、振動系160、永久磁石151と固定コイル152の位置を適切に保持している。ここでは、固定体150の材質は、アルミニウムである。この材質は、一般的な他の金属材料、例えば、鉄を含む合金、銅を含む合金で形成することもできる。
駆動時において、固定コイル152は駆動用の交流電流を駆動回路156から通電され、図1(b)の紙面にほぼ垂直な方向に磁場を発生する。この磁場により永久磁石151にねじり軸17回りのトルクが発生し、振動系160を駆動できる。図示例ではコイル152の中心に鉄芯が導入されていないが、鉄芯を用いることで磁束密度を増大させ、さらに固定コイル152と固定体150との熱伝導性を高められる。
一方、図1(b)、図2に示す様に、支持体15は、斜線部の接着部分155において固定体150へ固定されている。したがって、振動系160は、支持体15が固定される固定体150に対して両持ち梁状に構成されている。接着部分155は、特に熱伝導性の高い接着剤で接着されているため、支持体15と固定体150は良好な熱的な接触を有している。
次に、本実施例の光偏向器の駆動原理、周波数調整原理を更に詳細に説明する。本実施例の振動系160は、ねじり軸17を中心としたねじり振動について、1自由度振動系として取り扱うことができる。図4にはこの振動系の周波数応答特性を示した。図4の横軸が周波数、縦軸が振幅増幅比を示しており、曲線73は可動子11のねじり振動の振幅が共振駆動されない場合に比べ何倍に増幅されるかを示している。図示の通り、曲線73は典型的な1自由度振動系の周波数特性を示しており、周波数f0において固有振動モードが存在しピークPが現れる。曲線73は、説明のため減衰比を大きし、固有振動モードの周波数f0におけるピークPの増幅比が10程度となる場合の曲線を示したが、本実施例の振動系160では、増幅比は250程度となる。
また、図4において、周波数fcは、光偏向器が光学機器などに利用される時に必要仕様とされる駆動周波数である。図4では、加工誤差、環境温度の変化等の原因によって固有振動モードの周波数f0と目標駆動周波数fcが僅かにずれている状態を示している。
駆動回路156は、目標駆動周波数fcの交流電流を固定コイル152に通電し、振動系160を駆動する。他方、駆動回路156は、上記駆動用の交流電流とは別の周波数fhなる交流電流を発生し、固定コイル152に通電する。周波数fhは、周波数f0よりも十分高周波であり、ねじり軸17回りの上記固有振動モード以外の固有振動モードとも一致しない周波数である。具体的には、fhはf0の約5倍から10倍程度が好ましい。この電流によっては、図4に示す通り、振動系160はピークPと比べて殆ど駆動されない(点R参照)。しかし、固定コイル152の直流抵抗成分によって、周波数fhの交流電流の振幅に伴った量のジュール熱が固定コイル152に発生する。したがって、周波数fhの交流電流の振幅を制御することによって、振動系160の駆動には影響を与えないで、固定コイル152の発熱量を制御できる。
ここにおいて、固有振動モードの周波数f0は、振動系160と固定体150の温度上昇に伴って減少する性質を有している。したがって、周波数fhの交流電流の振幅を増加させて通電することによって、固定コイル152の発熱量を増加させ、振動系160と固定体150を加熱すれば、点Pを周波数fcに近づけられる。本実施例においては、ピエゾ抵抗体16を用いて可動子の変位角を検出し、この値から目標駆動周波数fcと固有振動モードの周波数f0を殆ど一致させるような加熱用電流の値を駆動回路156で算出する。この場合、fcはf0の約±0.1%の範囲内に入ることが好ましい。ここで、加熱用電流の値は、最適な周波数fhの交流電流振幅値である。そして、算出された電流値に相当する周波数fhの電流を、駆動回路156を用いて供給する。この様な制御により、小さなトルクで大きな光偏向角を得られる。加えて、消費電力も小さくできる。
この様にして、駆動回路156と固定コイル152によって周波数、振幅を調整・制御可能となる。図4では、僅かに周波数f0が周波数fcに比べて高い場合を説明した。しかし、予め固定コイル152で振動系160と固定体150を加熱し、駆動時の温度を周囲温度より十分高い状態にしておくことにより、周波数f0が周波数fcより低い場合でも、固定コイル152の発熱量を減ずることで周波数f0を周波数fcに調整できる。
また、温度に対する周波数f0の変化は、ねじりバネ14を構成する部材のヤング率の変化と、固定体150と振動系160の熱膨張率の差によるねじりバネ14へのねじり軸17方向の引張りまたは圧縮応力との関係で主に決定される。したがって、周波数f0が温度上昇に対して増加する性質を有している場合もあるが、この場合でも、固定コイル152の発熱量を上記説明の関係とは逆に調整することで、周波数f0を調整できる。
周波数fhについては、周波数f0と比べて十分高周波側である方が、駆動への影響がより小さくなる。これに対して、周波数f0と比べて低周波側とすると(この場合、若干駆動への影響が増えるが)、コイル152のインダクタンス特性により小さい電圧で通電可能となる。
本実施例では、駆動手段である固定コイル152によって加熱を行うことで、ヒータ線などの周波数調整用の加熱素子を作製する工程を省くことができ、光偏向器を安価に製造可能となる。そして、ねじりバネ14には加熱素子が形成されないため、振動系160の駆動による繰り返し応力の負荷を回避できて、加熱素子の断線や変質といった故障を回避でき光偏向器を長寿命にできる。同時に、ねじりバネ14のねじり剛性や破断特性にも影響を与えないため、振動系160を更に長寿命とできる。
また、振動系160に対して熱膨張係数に大きな差のある材料を固定体150に用いることで、温度による周波数の変化率を更に増加できる。この場合、大きな周波数変化を少ない消費電力で達成できる。更に、本実施例では、振動系160は単結晶シリコンで形成されるため、熱伝導性に優れており、固定コイル152の発熱により、振動系160の温度上昇を均一とし易い。
(実施例2)
図3は本発明の光偏向器の第2の実施例を示す上面図である。図面では、第1の実施例と同じ機能を有する個所には同じ符号を付して、説明を省略し、特に、異なる箇所について詳細に説明する。
図3に示す様に、本実施例の光偏向器では、振動系160の可動子11、ねじりバネ14、支持体15、反射面22、及びピエゾ抵抗体16は第1の実施例と同様の材質・構造・機能を有している。しかし、ねじりバネ14は、第1の実施例では2本で1対であったのに対して、本実施例では1本のみとなっている。また図示の様に、振動系160の支持体15は、固定体150と接着部分155において固定されており、振動系160は、支持体15が固定される固定体150に対して片持ち梁構造となっている。接着部分155には、断熱性の高い接着剤が用いられており、振動系160と固定体150とは良好な断熱特性を示している。
更に、本実施例が第1の実施例と異なるのは、駆動手段が、図示の様に可動子11に固定されている可動コイル18と、固定体150側に固定され振動系160の横に図3の様な磁極を有して設置されている永久磁石153によって構成されている点である。可動コイル18は、銅の電気メッキにより可動子11上に形成することが可能である。可動コイル18の配線の厚さは5μm、幅は10μmで、各配線の間隔は5μmである。また図3では、模式的にコイル18の巻き数を減じて表記してあるが、これは5回巻きである。可動子11の駆動については、2つの永久磁石153が形成する図3紙面内でねじり軸17に垂直方向の一様な磁場が、可動コイル18を流れる交流電流に作用し、ねじり軸17回りにトルクを発生することにより行われる。
本実施例の駆動手段においても、第1の実施例と基本的に同様に、環境温度の変化などに応じて、図4で説明した周波数調整を行うことができる。すなわち、本実施例では、固定コイル152の代わりに可動コイル18に、駆動回路156から電極パッド154を介して温度調整用交流電流を流すことで、図4で説明した周波数調整を行える。
本実施例でも、駆動手段である可動コイル18によって加熱を行うことで、ヒータ線などの周波数調整用の加熱素子を別個に作製する工程を省くことができ、光偏向器を安価に製造可能となる。
更に、本実施例では、振動系160が、固定体150に接着された支持体15に対して片持ち梁の構造を有している。したがって、固定体150から応力が振動系160に殆ど伝達されないため、これによる可動子11の変形を抑えられる。また、第1の実施例で説明したところの固有振動モードの周波数f0の温度変化をもたらす主要因のうち、ねじり軸17方向の応力が殆ど加わらないため、固定体150の物性に影響されずに振動系160の周波数調整を行うことが可能となる。
更に、本実施例では、加熱源である可動コイル18は振動系160に設置されている。したがって、可動コイル18の発熱を効果的に伝導し、振動系160の温度上昇に利用でき、消費電力を更に小さくできる。特に、ねじりバネ14上に可動コイル18の配線が設置されているため、固有振動モードの周波数f0の温度変化に最も影響のあるねじりバネ部の温度を更に効果的に変化させられる。
また、振動系160が、固定体150に接着された支持体15に対して片持ち梁の構造であるため、熱伝導によって熱が放熱される経路が、1本のねじりバネ14のみとなっている。したがって、2本の場合と比べて熱抵抗が大きく可動コイル18の温度調節のための消費電力を更に小さくできる。更に、支持体15もねじりバネ14が1本になることに伴って小さくてよいため、熱容量が益々小さくなり、温度調節のための消費電力を更に小さくできる。加えて、接着部分155も1箇所であるため(本実施例では更に、断熱性の高い接着剤を用いているので)、良好な断熱が得られ、温度調節のための消費電力を更に小さくでき、温度調節に要する時間を短くできる。
本実施例でも、振動系160は単結晶シリコンで形成されるため、熱伝導性に優れており、可動コイル18の発熱により、振動系160の温度上昇を均一とし易い。
(実施例3)
図5は、本発明の光偏向器を用いた光学機器の実施例を示す概略斜視図である。ここでは光学機器として画像表示装置を示している。
図5において、2001は、光偏向器を2個組みわせた光偏向器群であり、夫々、本発明の光偏向器の制御方法で制御されている。光偏向器群2001は、投影面2005にラスタスキャン状に入射光を偏向走査する。2002はレーザ光源である。2003はレンズ或いはレンズ群であり、2004は書き込みレンズまたはレンズ群である。レーザ光源2002から出射されたレーザ光は光走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けており、光偏向器群2001により2次元的に走査される。この走査されたレーザ光は、書き込みレンズ2004により投影面2005上に画像を形成する。
ここにおいて、本発明の光偏向器を用いることによって、小型で省電力な共振を利用した光偏向器でありながら、光をラスタスキャン状に偏向走査できる。こうして、本発明の光偏向器を用いることで、小型の光偏向器を用いて光学機器を小型・省電力化できると共に、温度などの外的要因に係らず安定な画像表示を行うことができる。
(実施例4)
図6は、本発明の光偏向器を用いた光学機器の他の実施例を示す概略斜視図である。ここでは、光学機器として画像形成装置を示している。
図6において、3003は、本発明の上記実施例で示した制御方法によって周波数調整される光偏向器であり、本実施例では入射光を1次元に走査する。3001はレーザ光源である。3002はレンズ或いはレンズ群であり、3004は書き込みレンズ或いはレンズ群、3005はドラム状の感光体である。レーザ光源から射出されたレーザ光は、光の偏向走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けていて、光走査系(光偏向器)3003により1次元的に走査される。この走査されたレーザ光は、書き込みレンズ3004により、感光体3005上に画像を形成する。
走査方向と直角な方向に回転軸の回りに回転される感光体3005は、図示しない帯電器により一様に帯電されており、この上に光を走査することによりその走査部分に静電潜像が形成される。次に、図示しない現像器により静電潜像の画像部分にトナー像が形成され、これを、例えば、図示しない用紙に転写・定着することで用紙上に画像が形成される。
本発明の光偏向器ないしその制御方法を用いることにより、小型の光偏向器を用いて光学機器を小型・省電力化できると共に、温度などの外的要因に係らず安定な画像形成を行うことができる。
(a)は本発明の第1の実施例の光偏向器を示す上面図であり、(b)は本発明の第1の実施例の光偏向器の駆動手段を示す上面図である。 本発明の第1の実施例の光偏向器の図1(b)Q−Q’線における断面図である。 本発明の第2の実施例の光偏向器を示す上面図である。 本発明の光偏向器の駆動と周波数調整原理を説明するグラフである。 本発明の光偏向器を用いた光学機器の実施例を示す概略斜視図である。 本発明の光偏向器を用いた光学機器の他の実施例を示す概略斜視図である。
符号の説明
11 可動子
14 弾性支持部(ねじりバネ)
15 支持体
16 ピエゾ抵抗体
17 所定の振動軸(ねじり軸)
150 固定体(実装部材)
17 所定振動軸(ねじり軸)
18、151、152、153 駆動手段(可動コイル、永久磁石、固定コイル)
18、152 コイル(可動コイル、固定コイル)
156 駆動回路
160 振動系
2001、3003 光偏向器(光偏向器群)
2002、3001 光源(レーザ光源)
2005 画像表示体(投影面)
3005 感光体

Claims (12)

  1. 可動子と、支持体と、弾性支持部と、前記可動子を駆動するためのコイルと、前記コイルと接続しており前記コイルに電流を供給する駆動回路とを有し、
    前記可動子は、前記支持体に対して、前記弾性支持部で所定振動軸の回りに振動自在に弾性支持され、
    前記駆動回路は前記可動子を駆動するための駆動電流と、前記可動子が有する固有振動モードの周波数と異なる周波数の加熱用電流とを、前記コイルに重畳して供給する回路であることを特徴とする揺動体装置。
  2. 前記揺動体装置は前記可動子の変位角を検知するセンサを有し、前記駆動回路は前記センサの信号に基づいて前記可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるように前記コイルに前記加熱用電流を供給する回路であることを特徴とする請求項1に記載の揺動体装置。
  3. 前記揺動体装置は前記揺動体装置の温度を測定する温度センサを有し、前記駆動回路は前記温度センサの信号に基づいて前記可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるように前記コイルに前記加熱用電流を供給する回路であることを特徴とする請求項1に記載の揺動体装置。
  4. 前記弾性支持部は、1本または2本のねじりバネであり、
    前記可動子は、前記支持体に対して、前記ねじりバネによって、前記所定振動軸であるねじり軸の回りに、ねじり振動自在に弾性支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の揺動体装置。
  5. 前記支持体は、片持ち梁構造で前記支持体を固定する固定体上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の揺動体装置。
  6. 前記コイルは前記可動子に設置され、
    前記可動子は、前記コイルと、前記支持体を保持する固定体に設置された永久磁石とで駆動されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の揺動体装置。
  7. 前記コイルは前記支持体を固定する固定体に設置され、
    前記可動子は、前記コイルと、前記可動子に設置された永久磁石とで駆動されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の揺動体装置。
  8. 前記可動子、前記弾性支持部、前記支持体は、単結晶シリコンで一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の揺動体装置。
  9. 前記可動子は反射面を有し、入射した光の反射方向を変える光偏向器であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の揺動体装置。
  10. 光源と、請求項9に記載の揺動体装置とを有し、光源からの光を揺動体装置により偏向し、該光の少なくとも一部を画像表示体、または感光体上に照射することを特徴とする光学機器。
  11. 可動子と、支持体と、弾性支持部と、前記可動子を駆動するためのコイルと、前記コイルと接続しており前記コイルに電流を供給する駆動回路とを有する揺動体装置の制御方法であって、
    前記可動子を駆動する電流を前記コイルに供給すると共に、前記可動子のねじり振動の変位角をセンサで検出し、
    前記センサの情報をもとに前記可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるために必要な加熱温度に対応した電流値を算出し、
    前記コイルに前記可動子の固有振動モードの周波数とは異なる周波数の加熱用電流であり、前記電流値に従って電流を前記コイルに供給することを特徴とする揺動体装置の制御方法。
  12. 可動子と、支持体と、弾性支持部と、前記可動子を駆動するためのコイルと、前記コイルと接続しており前記コイルに電流を供給する駆動回路とを有する揺動体装置の制御方法であって、
    前記可動子を駆動する電流を前記コイルに供給すると共に、前記揺動体装置の温度を温度センサで検出し、
    前記温度センサの情報をもとに前記可動子の振動周波数を目標の振動周波数に近づけるために必要な加熱温度に対応した電流値を算出し、
    前記コイルに前記可動子の固有振動モードの周波数とは異なる周波数の加熱用電流であり、前記電流値に従って電流を前記コイルに供給することを特徴とする揺動体装置の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009053633A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Canon Inc 光偏向装置及び光学走査装置
JP2009098390A (ja) * 2007-10-17 2009-05-07 Canon Inc 光偏向装置及び光学走査装置
WO2013121581A1 (ja) * 2012-02-17 2013-08-22 パイオニア株式会社 ミラー駆動装置

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