JP2007170280A - 可変容量ピストンポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】斜板を支持する傾転支持部の支持部材に安価で耐久性を備えたセラミックボールの真球を潤滑油の油膜を有する部材で支持して斜板の傾転による摩耗の発生を回避する。
【解決手段】シャフト13に回転自在に支持されたシリンダバレル14の軸心方向に複数のピストン15が摺動可能に挿入される。ピストン15には、シュー16を介して該ピストン15の出入りによって傾動する斜板18が接触している。斜板18にはシャフト13の回転軸心線38に直交方向する軸線36に2個のボール19が傾転可能にされている。ボール19は斜板18の裏面とシャフト側ハジング内面39とに設けられた半球状穴40、41に嵌挿した支持部材42、43内に挿入されている。支持部材42、43の内周面には潤滑油の油膜を形成する油溝44、45が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は一般産業機械に使用され、斜板の傾斜角を変化させてポンプ容量を変化させることのできる可変容量ピストンポンプの改良に関する。
従来、この種の可変容量ピストンポンプは、斜板を傾転させてその一回転当たりの吐出量を変化させている。また、可変容量ピストンポンプはその構造上、斜板の傾転支持部にはポンプ圧力とピストン断面積の積に相当する荷重が作用するため、該傾転支持部の支持部材は高い面圧に耐え、かつ摩耗量を小さくする必要がある。
さらには、その摺動抵抗を小さくし斜板が滑らかに作用できることが必要であり、この点が可変容量ピストンポンプの最大の技術的問題点であった。
そこで、前記傾転支持部の支持部材として、特許文献1に示すようにアルミナ純度99.5重量%以上のセラミックスボールを使用して高い面圧に耐え、摩耗量を小さくすることができる技術が本出願人によって提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、相手部品に高い加工精度が要求され、セラミックスボールの真球の表面粗さを向上させる必要があり、該セラミックスボールの真球のコストが高い、或いは球穴部に潤滑の為の油溝加工を施すことが困難である等の問題点があった。
特開平4−194374号公報
本発明は、前記出願人に係る可変容量ピストンポンプに関連して成されたもので、傾転支持部の支持部材に安価で耐久性を備えた真球のセラミックボールを有する可変容量ピストンポンプを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1記載の本発明は、駆動軸と共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、前記シリンダバレルに軸心方向に摺動自在に嵌挿された複数個のピストンの頭部と摺接可能にされかつ前記駆動軸の回転に対して相対回転不能に前記ハウジング内に支持された斜板とを有し、前記斜板は前記ハウジングに設けた駆動装置に押圧されて前記駆動軸の回転軸線に直交する軸線を形成する2個のボール又は円筒状体の回りを傾転させて、斜板の傾斜角を変えるようにされた可変容量ピストンポンプにおいて、
前記2個のボール又は円筒状体をセラミック材料で形成し、該セラミック材料は、重量%で92〜99.5%の酸化アルミニウム(Al)と、残部を不可避な不純物として、SiO、CaO、MgO及びそれぞれ微量の酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)及びFeを含み、
前記ボール又は円筒状体はプレス加工を施した板厚0.2〜3.0mmの支持部材で支持したことを特徴とする。
本発明によれば、複雑な形状の油溝が形成することができるので、支持部材との摺動部に容易に油膜を形成することができ、ボールと支持部材との摺動抵抗を軽減することが可能である。さらに、セラミック材料の酸化アルミニウムの純度を下げることが出来るため、セラミック材料のコストを低減することが可能である。
請求項2記載の発明では、前記支持部材は、プレス加工材料として、銅合金、機械用構造用鋼及び合金鋼を使用したので、球形状の安定した寸法精度が確保され、熱処理、表面処理コストが最低質量の部品において熱処理できるため、コストを低減することが可能である。
請求項3記載の発明では、前記支持部材には、前記ボール又は円筒状体の摺動部に潤滑油を導くための油溝が形成されているので、ボール又は円筒状体と支持部材との摺動抵抗を軽減することできるので、好適である。
請求項4記載の発明では、前記摺動部には、外部から潤滑油を導くと共に、該潤滑油の漏れ流量を小さくするOリングなどのシール部材が設けられていることにより、摺動部への潤滑油の供給時及び摺動部内での潤滑油の漏れを防止できるのでよい。
請求項5記載の発明によれば、前記支持部材が前記斜板の傾転に伴い、摺動抵抗により供回りを防止するための突起を設け、本体及び斜板との摺動を防止できるのでよい。
本発明は、ボールの球形状の安定した寸法精度が得られ、かつ部品の熱処理、表面処理コストが最低質量の部品において処理できるため、コストを低く抑制できる。
次に本発明の実施の形態に係る可変容量ピストンポンプを示す図1乃至図3を参照して説明する。図1は可変容量ピストンポンプ10の概略構造を示す縦断面図である。図1において、シャフト(駆動軸)13と共に回転可能にハウジング11、12内に支持されたシリンダバレル14と、前記シリンダバレル14に軸方向摺接可能に挿入された複数個のピストン15の頭部とシュー16とシューホルダ31を介して摺接可能にされかつシャフト13の回転に対して相対回転不能にハウジング11、12内に支持された斜板18と、を有する。
斜板18は、シャフト13に隣接して該シャフト13の回転軸線38に直交する軸線36(図2参照)を形成する2個のボール19の回りを傾転可能にされており、該斜板18の傾斜角を変えるようにされている。シューホルダ31は、スプリング35の弾発力をリング37、ピン34及びバレルホルダ32を介して、シュー16を軸心方向に押圧する。
なお、前記ボール19は円筒状体でもよい。
図1に示す可変容量ピストンポンプ10では、ボール19の中心を結ぶ軸線36は、図2に示すようにシャフト13の回転軸心線38より上方にずらされている。よって、スプリング35がシューホルダ31を押圧する押圧力及びピストン15に導入された圧油の押圧力によりシャフト13の軸心方向に平行な偏らない力で押圧するので、斜板18は図2(A)に示すように時計方向に回転力を受けるが、斜板18の一端23から伸長したアーム24を押すスプリング21に阻止されて図1の位置に確保されるため、斜板18の傾斜角αは最大にされており、可変容量ピストンポンプ10は最大容量位置にある。
ピストン15に導入された圧油の押圧力が上昇すると、前記時計方向の回転力は増大し、斜板18を傾転させるモーメントは、スプリング21の押圧力より大きくなるので、斜板18はシャフト13の回転軸心線38に直交する軸線36を形成する二個のボール19の中心付近を中心にして傾転され、斜板18を傾転させるモーメントと、スプリング21の弾発力とが均衡した位置で斜板18が停止し、油圧ポンプ(図示しない)は小容量位置になる。即ちこの実施の形態では、ボール19の中心を結ぶ軸線36がシャフト13の回転軸心線38より上方にずらされていることによるピストン15の押圧力が、斜板18の傾動駆動装置を形成する。
この実施の形態では2個のボール19をセラミック材料で形成したものである。好ましくは、ボール19のセラミック材料は、重量%で、92〜99.5%の酸化アルミニウム(Al)と、残部を不可避な不純物として、シリカ(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)及びそれぞれ微量の酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、及び鉄(Fe)を含む。
2個のボール19は斜板18の裏面とシャフト側ハジング内面39とに設けられた半球状穴40、41に嵌挿した支持部材42、43内の球状穴28に挿入されている。前記支持部材42、43は、図3(A)乃至(C)に示すようにプレス加工を施した板厚0.2〜3.0mmの銅合金、機械用構造鋼及び合金鋼により成形されている。
支持部材42、43は、内周面にボール19が球状穴28を摺動する摺動部を有し、かつ摺動部に潤滑油を導くために円周方向に等ピッチで複数個の油溝44、略中心部の直交方向に油溝45及び穴46が画成されている。これにより、ボール19は、その球形状の外周面が支持部材42、43の内周面に密着し、かつ摺動自在に支持されている。なお、支持部材42、43の鍔には回り止めの突起47が設けられている。
本実施の形態に係る可変容量ピストンポンプ10では、ボール19を支持する支持部材42、43をプレス成形してハウジング11、12及び斜板18に嵌挿することで複雑な形状の油溝が形成することができるので、ボール19と支持部材42、43との摺動部に容易に油膜を形成することが可能である。
ボール19はセラミックを使用した場合に説明したが、特殊処理を施した金属球でもよい。さらに、支持部材42、43を嵌挿する穴形状は、図4(A)に示すように球形状50に密着でもよいし、図4(B)に示す該支持部材42、43の外周面の一部と当接した穴51でもよく、又は図4(C)のように支持部材42、43の底部と当接させたドリル穴52でもよい。
図5は他の実施の形態に係る支持部材概略構造を示す縦断面図で、図5中、図1乃至図3の構成要素と同一の構要素については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図5において、支持部材42、43の外周面には半球状穴40、41に設けられたシール部材であるOリング48、49が密着することにより、支持部材42、43内の潤滑油の漏れを防止している。
さらに、ボールの球形状の安定した寸法精度が得られ、かつ部品の熱処理、表面処理コストが最低質量の部品において処理できるため、コストを低く抑制できる。
本発明の実施の形態に係る可変容量ピストンポンプの略縦断面図である。 (A)は図1の斜板のポンプ正面図、(B)は図1の斜板の側面図である。 (A)は図1の鍔つき支持部材の縦断面図、(B)は図1の鍔つき支持部材の側面図、(C)は図1の鍔つき支持部材の正面図である。 (A)乃至(C)は図1の斜板裏面の補合形状の穴のそれぞれ異なる部分断面図である。 図1の支持部材の他の実施の形態を示す縦断面図である。
符号の説明
10 可変容量ピストンポンプ
13 シャフト
14 シリンダバレル
15 ピストン
16 シュー
18 斜板
31 シューホルダ

Claims (5)

  1. 駆動軸と共に回転可能にハウジング内に支持されたシリンダバレルと、前記シリンダバレルに軸心方向に摺動自在に嵌挿された複数個のピストンの頭部と摺接可能にされかつ前記駆動軸の回転に対して相対回転不能に前記ハウジング内に支持された斜板とを有し、前記斜板は前記ハウジングに設けた駆動装置に押圧されて前記駆動軸の回転軸線に直交する軸線を形成する2個のボール又は円筒状体の回りを傾転させて、斜板の傾斜角を変えるようにされた可変容量ピストンポンプにおいて、
    前記2個のボール又は円筒状体をセラミック材料で形成し、該セラミック材料は、重量%で92〜99.5%の酸化アルミニウム(Al)と、残部を不可避な不純物として、SiO、CaO、MgO及びそれぞれ微量の酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)及びFeを含み、
    前記ボールはプレス加工を施した板厚0.2〜3.0mmの支持部材で支持したことを特徴とする可変容量ピストンポンプ。
  2. 請求項1記載の可変容量ピストンポンプにおいて、
    前記支持部材は、プレス加工材料として、銅合金、機械用構造用鋼及び合金鋼を使用したことを特徴とする可変容量ピストンポンプ。
  3. 請求項1又は2記載の可変容量ピストンポンプにおいて、
    前記支持部材には、前記ボール又は円筒状体の摺動部に潤滑油を導くための油溝が形成されていることを特徴とする可変容量ピストンポンプ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可変容量ピストンポンプにおいて、
    前記摺動部には、外部から潤滑油を導くと共に、該潤滑油の漏れ流量を小さくするOリングなどのシール部材が設けられていることを特徴とする可変容量ピストンポンプ。
  5. 請求項3記載の可変容量ピストンポンプにおいて、
    前記支持部材が前記斜板の傾転に伴い、摺動抵抗により供回りを防止するための突起を設け、斜板との摺動を防止したことを特徴とする可変容量ピストンポンプ。
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