以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.遊技機の制御内容:
C−1.電源投入直後の動作:
C−2.制御開始準備動作:
C−3.遊技制御処理:
C−3−1.特別図柄遊技処理:
C−3−2.特別電動役物遊技処理:
C−4.変数データの書き込み、および読み込み:
E.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。演出表示装置27で行われる各種演出の詳細な内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201やRAM202のみが図示されており、主制御基板200に搭載されているROMやPIO、サブ制御基板220などのその他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM,ROMなどについては図示が省略されている。また、本明細書でいうRAMとは、CPUの動作に必要な各種データを一時的に記憶する一時的記憶手段を指すもので、CPU内蔵RAMやレジスタなどを含んでいる。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して表示内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
また、上述した各種の制御基板がそれぞれの処理を行う際には、各制御基板に搭載されたCPUがRAMに対してデータを読み書きする動作を行っている。以下では、主制御基板200を例にとって、CPU201がRAM202に対して各種データを読み書きする動作の概要について説明する。図6は、主制御基板200のCPU201が、各種データを一時的にRAM202に記憶する様子と、記憶したデータの参照や読み込みを行う様子とを概念的に示した説明図である。本実施例のCPU201は、制御プログラムの実行中に、現在の設定条件や遊技の状態を記憶する場合には、RAM202にフラグを設定するようになっている。ここでフラグとは、RAM202の所定のアドレスに設定されたビット領域であり、「0」あるいは「1」を書き込むことで、設定条件や遊技の状態を表すビット領域を指している。そして、設定条件や遊技の状態を確認する必要が生じると、CPU201は、RAM202上に設定された所定のフラグが「0」または「1」の何れであるかを参照することによって、現在の設定条件や遊技の状態を判断することが可能となっている。図6では、RAM202上でフラグを設定されたビットが、ハッチングを付した領域で表されており、CPU201がRAM202に対してフラグの設定、およびフラグの参照を行う様子が、実線の矢印によって模式的に表されている。
また、CPU201は、制御プログラムを実行する中で、種々の変数(例えば、いわゆる回数切りを行うための特別図柄の抽選回数や、特別図柄の当否判定に用いる乱数値など)を設定する場合には、RAM202上のメモリ領域に変数の値(すなわち、変数データ)を記憶する。このメモリ領域は、RAM202上の所定のアドレスに、予め変数データのデータ長に応じた領域を確保して設定されている。詳しくは後述するが、CPU201は、変数データを対応するメモリ領域に書き込んで変数を設定し、その後、制御処理の進行に応じて、記憶しておいた変数データをメモリ領域から読み込んで演算や判定を実行する。図6には、RAM202に設定された所定のメモリ領域が太線で囲まれた領域で表されており、また白抜きの矢印は、CPU201がメモリ領域に対して変数データの記憶および読み込みを行う様子を、模式的に表している。このように、RAM202のメモリ領域に変数データを記憶させるため、主制御基板200のCPU201が実行する制御処理の詳細については後述する。
以上に説明したように、各種の制御基板に搭載されたCPUは、RAMに設定されているフラグを参照して、遊技の状態などを確認しながら、RAMに対してデータの読み書きを行っている。また、詳細には後述するが、本実施例の遊技機1では、遊技の制御に用いられる各種の変数(制御変数)のデータ長に関するフラグを設けておくことにより、適切なデータ長で制御変数の読み書きを行って、不正行為の発生を回避することが可能となっている。このような処理の詳細については、後ほど詳しく説明する。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部29aと、右普通図柄表示部29bとが設けられている。左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部29a,29bが点滅表示を行う。
図7は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図7(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図7(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図7(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図7(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図7(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図8は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、「Y」、「−」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができ、左特別図柄表示部30aの「−」は、赤色、または緑色のいずれかの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図8に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
停止表示された図柄が「−」である場合は、特別図柄は外れとなるが、それ以外の図柄の組合せが停止表示された場合は特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。すなわち、特別図柄が当りとなる図柄の組合せは、図8に示した12種類の図柄から、「−」を除いた10種類の組合せが存在することになる。また、本実施例の特別遊技状態は、大入賞口31が開放状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31は大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球することとなる。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
また、図8に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、実線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「確変図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら確変図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技が終了後、特別図柄が所定の回数だけ変動表示されるか、あるいは次の特別遊技が開始されるまでの間、当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確率変動状態(若しくは、確変状態)と呼ばれる。
更に、図8に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、破線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「通常図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら通常図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定の回数だけ変動表示されるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開放時間が若干長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。尚、本実施例の遊技機1においては、こうした時短機能は、通常図柄で停止表示された場合だけでなく、確変図柄で停止表示された場合にも作動するようになっている。結局、特別図柄が、図8に示した10種類の当り図柄のいずれかで停止表示された場合は、特別遊技状態の終了後、必ず時短機能が作動することになる。
上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図9は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図9(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
C.遊技機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例の遊技機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
C−1.電源投入直後の動作 :
図10は、遊技機1に電源を投入後、主制御基板200によって遊技の制御が開始されるまでの大きな流れを示した説明図である。図5を用いて前述したように、遊技機1の制御回路は主制御基板200の他にも多くの制御基板が搭載されているが、これら制御基板についても、電源投入後はほぼ同様の動作が行われた後、それぞれの制御が開始される。図10に示されているように、遊技機1に電源が投入されると、先ず初めにCPUが初期化される。かかる動作は、システム初期化動作(あるいはシステムリセット)と呼ばれ、図示しない電源回路から各制御基板のCPUに向かって初期化信号が供給されることによって行われる。CPUの初期化を行うと、今度はセキュリティチェックが行われる。セキュリティチェックとは、各制御基板に搭載されたCPUが制御を開始するに当たって、プログラムや各種制御パラメータの格納された領域を含むメモリの内容をチェックして、プログラムや制御パラメータなどが不正に改変されていないかどうかを確認する作業である。遊技機1は、メーカーからの出荷後に不正に改造されるようなことがあってはならないため、遊技の制御を開始する前にセキュリティチェックを行うのである。尚、セキュリティチェックは、広いメモリ領域をチェックするため、チェック完了までにはある程度の時間が必要となる。
セキュリティチェックが終了すると、各制御基板に搭載されたCPUは、それぞれの制御プログラムを開始する。制御プログラムは、各制御基板に搭載されたROMの所定のメモリ領域に記憶されており、大きくは、制御を開始するための準備を行う処理(制御開始準備処理)と、制御開始準備処理の終了後に起動されて遊技中に実行される処理とから構成されている。主制御基板200に搭載されたCPU201では、図10に示したように、制御開始準備処理の終了後は遊技制御処理が開始されるが、他の各種制御基板に搭載されたCPUについてもほぼ同様な処理を行う。また、遊技中に行われる制御は、各制御基板に搭載されたタイマからの割込信号を受けて、一定の時間間隔で周期的に遊技機の状態(例えば、各入球口への入球や作動ゲートへの通過など)を検出していることから、各制御基板で行われる制御開始準備処理では、タイマ割込を発生させるための準備動作も行われる。
C−2.制御開始準備動作 :
図11は、主制御基板200に搭載されたCPU201が起動直後に実施する制御開始準備処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って、説明する。制御準備処理を開始すると、先ず初めにCPU201は、割込を受け付けない状態に設定する(S10)。以下に行う制御準備処理は、適切な制御を行うための準備として実施するものであり、準備動作が完了する前は、例え割込が発生しても制御を適切に実行することができないので、準備動作が完了するまでは割込を受け付けない設定にしておくのである。
次いで、スタックポインタを設定する(S12)。スタックポインタとは、簡単に言えば、現在の処理を中断して別の処理を実施するときに、処理中のデータを一時的に退避するためのメモリ領域を指示する変数である。遊技制御が開始されると、割込が発生して処理が中断されることがあるので、そのときに中断した処理を再開するための各種データを退避しておくメモリ領域を設定しておくのである。
次いで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、周辺ディバイスの初期設定を行う(S14)。ここでは、CTC(カウンター・タイマー・サーキット)やPIO(周辺機器インターフェース)などの各種ディバイスの初期設定を行う。遊技制御が実施されると、CTCを用いて定期的に(代表的には2msec毎)にタイマ割込を発生させ、各種スイッチの状態を検出したり、各種の乱数値を更新している。従って、CTCに、こうしたタイマ割込を発生させるための設定も、制御開始準備処理のS14において行う。
CPU201は、周辺ディバイスの設定に続いて、RAMクリアスイッチがONになっているか否かを検出する(S16)。電源投入時にRAMクリアスイッチがONになっていれば、遊技店の開店時に、店員がRAMクリアスイッチをONにしながら電源を投入したものと推測される。しかし、RAMクリアスイッチがONでない場合は(S16:no)、停電などの理由で電源が切断された後、電源投入された可能性があるので、バックアップフラグがONになっているか否かを検出する(S18)。そして、バックアップフラグがONになっている場合は(S18:yes)、停電などの理由で電源が切断されたため遊技が正常に終了されておらず、切断前の遊技状態を復旧する必要があると考えられる。そこで、以下のような、復旧動作を行う。
復旧動作を開始すると、初めにチェックサムを算出する(S20)。チェックサムは、大まかには次のようにして算出される。予め、所定のチェックサムデータを設定しておく。そして、RAM202上の対象領域に記憶されているデータについて、順次データを読み出してチェックサムデータとの排他的論理和を算出し、得られた値をチェックサムデータエリアに順次書き込んでいく。こうしてRAM202の対象領域に記憶されている全データについての排他的論理和を書き込んだら、書き込んだ領域の各ビットの値を反転させ、得られたデータをチェックサムとする。停電などの電源切断時に行われる電源断処理では、バックアップRAM領域のデータについてチェックサムが算出されて保存されている。従って、バックアップRAM領域に記憶されているデータが変更されていなければ、復旧動作時に算出したチェックサムは、電源断時に算出したチェックサムと同じ値になるはずである。
そこで、S20で算出したチェックサムと電源断時に保存しておいたチェックサムとが一致するか否かを判断する(S22)。両者が一致していれば(S22:yes)、バックアップRAM領域のデータは正しく保存されていると考えられる。この場合は、保存されているデータを読み出して電源断時の遊技状態を取得した後(S24)、バックアップフラグをOFFに設定する(S26)。そして、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などを電源断前の遊技状態に復旧させるべく、これら各種制御基板に対して電源断復旧時のコマンドを送信する(S28)。その結果、電源断前の遊技状態が復元され、以降、遊技が継続される。
一方、S16においてRAMクリアスイッチがONであることが検出された場合は(S16:yes)、通常の電源投入動作であると考えられるので、以下に示す通常の初期化動作を行う。また、RAMクリアスイッチはONになっていないが、バックアップフラグがONになっていない場合(S18:no)は、バックアップデータが存在しないと思われる。従って、この場合は、通常の電源投入動作ではないと考えられるが、やはり通常の初期化動作を行う。更に、バックアップフラグがONであり、バックアップデータが存在する場合でも、チェックサムが一致していない場合は(S22:no)、もはや、そのバックアップデータを使用することはできないでの、やはりこの場合も通常の初期化動作を行うことになる。
通常の初期化動作では、先ず初めにRAM202の初期化を行う(S30)。すなわち、RAM202の全データ領域に一旦「0」を書き込んだ後、RAM202上の所定のアドレスに初期データを設定する処理を行う。また、初期データを設定する処理(S30)では、図6を用いて前述したフラグを設定する処理も行われる。すなわち、後述する遊技制御処理を実行するに際しては、主制御基板200のCPU201は、RAM202に設けられたフラグの状態に応じてデータのやり取りを行う必要がある。そこで、遊技制御処理の開始に先立って行われる初期値データ設定処理では、初期条件に対応するフラグを設定する処理も行われる。更に、本実施例の遊技機1では、各種制御変数のデータ長に関連した特別なフラグ(バイト数切換フラグ)が設けられており、バイト数切換フラグの設定に応じて制御変数のデータ長(バイト数)を切り換えている。このことと対応して、初期値データ設定処理では、バイト数切換フラグの設定に応じたデータ長の領域を、RAM上に確保する処理も行われる。
次いで、サブ制御基板220に向かって、初期コマンドを送信する(S32)。すなわち、主制御基板200で新たな遊技制御が開始されることに合わせて、演出表示装置27の表示画面や、効果音、ランプ類の点灯・点滅などによる各種の演出制御も新たな制御を開始するべく、サブ制御基板220に向かって制御状態を初期化するコマンドを送信するのである。
前述したように、制御開始準備処理では初めに割込が禁止状態に設定されているので、以上に説明した一連の動作を、確実に実施することができる。そして、全ての準備動作が終了したら、割込を許可状態に設定して(S34)、制御開始準備処理を終了し、遊技制御を開始する。
C−3.遊技制御処理 :
図12は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されるように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行することになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。
主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取ると、払出制御基板240はコマンドの内容を解釈する。そして、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過したか否か、あるいは普通図柄の保留数(図3参照)が設定されているか否かを検出することによって行う。遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過したか、あるいは普通図柄の保留数が設定されていれば普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、何れでもなければ普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合に、普通図柄の保留数が上限値「4」に達するまで加算する操作も、この判断とともに行われる。
そして、普通図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S150)では、次のような処理を行う。先ず、普通図柄の当否判定を行って、普通図柄を当り図柄(図7(c)参照)で停止表示させるか、それ以外の何れの外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる。普通図柄遊技処理では、以上のようにして、普通図柄の動停止表示を行い、普通図柄が当り図柄で停止表示された場合には、普通電動役物を作動させる処理を行う。普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図13は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。普通電動役物停止処理では、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図12に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図13に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図13に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図12に示した遊技制御処理に復帰する。
図12に示すように、遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S300)。かかる判断は、遊技球が始動口17に入球したか否か、あるいは特別図柄の保留数(図3参照)が設定されているか否か、更には、条件装置が作動しているか否かを検出することによって行う。ここで条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が図8に示した当り図柄で停止表示されると作動を開始する装置である。条件装置は役物連続作動装置を作動させ、これによって、大入賞口31dが連続して開口する大当り遊技状態が開始される。そして、遊技球が始動口17に入球したか、あるいは特別図柄の保留数が設定されており、且つ、条件装置が作動中でなければ特別図柄遊技処理を行うものと判断し(S300:yes)、それ以外の場合は、特別図柄遊技処理は行わないものと判断する(S300:no)。尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合に、特別図柄の保留数が上限値「4」に達するまで加算する操作も、この判断とともに行われる。
以上のような判断の結果、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
C−3−1.特別図柄遊技処理 :
図14および図15は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、遊技者が停止図柄を確認するための表示時間が設けられているので、この表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。そして特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を開始する。
本実施例の遊技機1では、特別図柄の当否判定に先立って、大当りの発生確率が高確率状態(確変状態)となっているか否かを判断する(S328)。確変状態は、特別図柄表示部30に表示される特別図柄が、図8に示した「確変当り図柄」で停止した場合に、特別遊技が終了後、特別図柄が所定の回数だけ変動表示されるか、または次の特別遊技が開始されるまで継続される。このことから、S328では、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを判断して、確変中であれば(S328:yes)、大当りの確率が高めに設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S330)。逆に、確変中でなければ(S328:no)、大当りの確率が通常の値に設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S332)。
特別図柄の当否判定は、次のような当否判定テーブルおよび当り態様判定テーブルを参照することによって行う。図16は、本実施例の特別図柄遊技処理において特別図柄の当否判定を行うために参照する当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定テーブルには、図16(b)に示す確変用のテーブルと図16(a)に示す非確変用のテーブルとが用意されており、それぞれのテーブルには、特別図柄当否判定用乱数に対して、「当り」または「外れ」の何れかの当否判定結果が対応付けて記憶されている。また、図16(a)と図16(b)とを比較すれば明らかなように、確変用の当否判定テーブルは、非確変用の当否判定テーブルよりも当りの確率が高くなっている。ここで特別図柄当否判定用乱数とは、遊技球が始動口17に入球したときに取得されて、主制御基板200上のRAM202に記憶される乱数である。特別図柄当否判定用乱数から当否判定テーブルを引くことによって特別図柄の当否判定を行い、その結果、「当り」と判定された場合は、更に、当り態様判定テーブルを参照することで、特別図柄の当り態様を決定する。
図17は、特別図柄の当否判定結果が当りの場合に、当り態様を判定するために参照される当り態様判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されるように、当り態様判定テーブルには、当り態様判定用乱数に対して、「通常当り」または「確変当り」の何れかの当り態様が対応付けて記憶されている。ここで当り態様判定用乱数は、特別図柄の当否判定結果が「当り」であった場合に取得される乱数である。
図14に示した特別図柄遊技処理のS328〜S332では、特別図柄の当否判定に先立って確変中か否かを判断し、確変中であれば、図16(b)に示した当否判定テーブルおよび図17の当り態様判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行い、確変中でなければ、図16(a)の当否判定テーブルおよび図17の当り態様判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行うのである。以上のようにして、特別図柄の当否を判断したら、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を行う(S338)。
図18は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、当否判定の結果が確変当りであったか否かを判断する(S3381)。そして、確変当りであった場合には(S3381:yes)、確変当り用の停止図柄と特別図柄の変動パターンを決定する(S3383)。図8に示したように、確変当り図柄としては5通りの図柄が設定されているから、抽選を行って何れか1つの図柄を決定し、また、複数種類設定されている変動パターンの中から抽選によって1つの変動パターンを決定する。
一方、当否判定の結果が確変当りでなかった場合には(S3381:no)、通常当りであったか否かを判断する(S3387)。そして、通常当りであったと判断された場合には(S3387:yes)、抽選を行うことにより、図8に示した5通りの通常当り図柄の中から何れか1つの停止図柄と、特別図柄変動パターンとを決定する(S3389)。
また、当否判定の結果が通常当りでもなかった場合には(S3387:no)、「確変当り」または「通常当り」の何れでもないから、当否の判定結果が「外れ」であると判断できるので、外れ用の停止図柄と変動パターンとを決定すればよい。もっとも、「外れ」の場合には、リーチ演出の後に外れとなる場合と、リーチ演出とならずに外れる場合とが存在する。そこで、停止図柄および変動パターンを決定する前に、先ず、抽選を行って、リーチ演出を行うか否かを決定する(S3403)。そして、リーチ演出の有無に応じて、停止図柄と特別図柄の変動パターンとを、それぞれ抽選によって決定する(S3405)。
以上のような処理を行うことにより、当否判定結果に応じて、特別図柄の停止図柄と変動パターンとを決定したら、図18に示した特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図14の特別図柄遊技処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始した後(S340)、特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S342)。前述したように、本実施例の図柄表示装置28は、図8に示した12種類の特別図柄を表示可能であり、これら図柄の表示を次々と切り換えることによって変動表示を行う。また、特別図柄の変動表示が開始されると特別図柄の保留数が1つ消化されるので、主制御基板200上のRAMに記憶されている特別図柄保留数のデータから1を減算しておくのである。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄保留数から1を減算すると、サブ制御基板220に向かって変動パターン指定コマンドを出力した後(S344)、特別図柄停止情報指定コマンドを出力する(S346)。ここで、変動パターン指定コマンドは、演出表示装置27でキャラクタ図柄27a,27b,27cの変動表示を開始させるとともに、図15に示した特別図柄変動パターン設定処理で決定された特別図柄変動パターン(特別図柄の変動時間)に従ってキャラクタ図柄27a,27b,27cを変動表示させるためのコマンドである。また、特別図柄停止情報指定コマンドは、図15に示した特別図柄変動パターン設定処理で決定された特別図柄の停止図柄に従って、サブ制御基板220のCPU221がキャラクタ図柄27a,27b,27cの停止図柄を決定するためのコマンドである。
サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ると、演出表示装置27での演出態様を決定する。そして、決定された演出態様を演出制御基板230へ出力するとともに、各種ランプや効果音を用いた演出を行う。本実施例の遊技機1では、このように主制御基板200から出力された各種コマンドに基づいて、サブ制御基板220で具体的な演出内容が決定されて種々の演出が行われるようになっている。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと特別図柄の停止図柄とを決定し、変動パターン指定コマンドと特別図柄停止情報指定コマンドとをサブ制御基板220に向けて出力したら、図14に示した特別図柄遊技処理を終了して、図12に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄遊技処理を開始した直後のS322の処理で、特別図柄表示部30の特別図柄が変動中であると判断された場合は(S322:yes)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図12に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、サブ制御基板220に向かって演出表示装置27で変動表示されているキャラクタ図柄の図柄停止コマンドを出力する(S350)とともに、図柄表示装置28において変動表示している特別図柄表示部30の特別図柄を停止表示する(S352)。そして、図柄表示装置28上で特別図柄を停止表示させる表示時間を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図12に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図15のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、図8に示した通常当り図柄または確変当り図柄の何れかの図柄(すなわち、当り図柄)である。図15のS358では、図柄表示装置28の特別図柄表示部30に停止表示された図柄が、これら当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が前述した「確変当り図柄」または「通常当り図柄」の何れかで停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置である。詳細には後述するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図12の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、図柄表示装置28および演出表示装置27で図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図15のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これら機能を停止させる(S364)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S370)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、普通電動役物の開口時間を延長する機能も働いているので、S364あるいはS370において時短機能を停止したら、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S366)、図14および図15に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図11の遊技制御処理に復帰する。一方、S360で条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
先ず、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S372)。前述したように本実施例の遊技機1では、確変状態は、次の特別遊技状態が発生するか、あるいは特別図柄の変動回数が所定の回数に達するまで継続される設定(いわゆる回数切りの設定)となっている。そこで、現在の遊技状態が確変状態であると判断された場合は(S372:yes)、確変状態の開始後に行われた特別図柄の変動回数を計数する処理を行う(S374)。
図19は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動回数を計数する処理(図柄変動回数計数処理)の流れを示すフローチャートである。図柄変動回数計数処理を開始すると、先ず初めに、バイト数切換フラグがONにセットされているか否かを判断する(S3741)。ここで、バイト数切換フラグとは、特別図柄の変動回数を、1バイトデータとして計数するか、あるいは2バイトデータとして計数するかの設定を表すフラグである。すなわち、本実施例の遊技機1では、確変状態における回数切りの設定回数(確変状態から通常の遊技状態に復帰するように設定された特別図柄の変動回数)をスペックに応じて変更することが可能であり、設定回数が255以下の値であれば1バイトデータとして計数すればよいが、256以上の値になると1バイトでは計数することができず2バイト必要である。こうした点に鑑みて、本実施例の遊技機1では、スペックに応じて、何れのバイト数で計数するかがバイト数切換フラグに予め設定されており、フラグの設定を参照することで、1バイトデータとして計数すればよいのか、あるいは2バイトデータで計数するのかを確認することが可能となっている。そこで、特別図柄の変動回数を計数するに際して、まず初めに、バイト数切換フラグを参照することにより、1バイト、あるいは2バイトの何れのバイト数で変動回数を計数するかを判断するのである。尚、本実施例の遊技機1では、確変時の回数切りの回数が10000回に設定されている機種と、5回に設定されている機種とが設けられている。そして、確変時の回数切りが10000回の機種では、バイト数切換フラグが「ON」にセットされており、確変時の回数切りが5回の機種では、バイト数切換フラグが「OFF」にセットされている。また、このようにバイト数切換フラグを設定する処理は、電源投入後にRAMを初期化する処理の中で行われる(図11のS30参照)。尚、バイト数切換フラグは、特別図柄の変動回数のデータ長に関する設定を表していることから、本実施例のバイト数切換フラグは、本発明の「切換フラグ」の一態様を構成している。
S3741においてバイト数切換フラグがONにセットされている場合は(S3741:yes)、確変状態における回数切りの設定回数が10000回(2バイトデータ)であるため、特別図柄変動回数を2バイトで読み込む処理を行う(S3743)。図6を用いて前述したように、特別図柄変動回数は、CPU201が制御プログラムの実行中に用いる様々な変数データと同様に、RAM202上の対応するメモリ領域に記憶されている。そこで、このメモリ領域から、特別図柄変動回数を表す2バイトデータを読み込む処理を行う。こうして特別図柄変動回数を2バイトで読み込むと、読み込んだ特別図柄変動回数から1を減算する処理を行う(S3745)。ここで読み込んだ特別図柄の変動回数は、確変状態が終了となるまでの残りの変動回数を表しており、特別図柄の変動表示が行われると、確変状態における変動回数が1回消化されるので、読み込んだ特別図柄変動回数から1を減算するのである。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動回数を読み込んで1を減算すると、続いて、特別図柄変動回数が「0」となったか否かを判断する。そして、特別図柄変動回数が「0」ではないと判断された場合は(S3747:no)、減算した特別図柄変動回数をRAM202上の所定のメモリ領域へ2バイトで書き込む処理を行った後(S3749)、図柄変動回数計数処理を終了して図15に示す特別図柄遊技処理に復帰する。尚、主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動回数を更新していることから、本実施例のCPU201は、本発明の「制御変数更新手段」の一態様を構成している。
これに対して、S3747において、特別図柄変動回数が「0」となった場合は(S3747:yes)、設定回数達成フラグをONにセットする(S3751)。ここで、設定回数達成フラグとは、特別図柄変動回数が「0」となったこと、換言すれば、確変中に行われた特別図柄の変動回数が設定回数に達したことを記憶しておくために設定されるフラグである。こうして、設定回数達成フラグを設定すると、図柄変動回数計数処理を終了して図15に示す特別図柄遊技処理に復帰する。
一方、図柄変動回数集計処理の開始直後のS3741において、バイト数切換フラグがOFFにセットされている場合は(S3741:no)、確変状態における回数切りの設定回数が5回(1バイトのデータ)であると判断されるため、RAM202から特別図柄変動回数を1バイトで読み込んだ後(S3753)、読み込んだ特別図柄変動回数から1を減算する処理を行い(S3755)、続いて、特別図柄変動回数が「0」となったか否かを判断する。そして、特別図柄変動回数が「0」ではない場合は(S3757:no)、減算した特別図柄変動回数をRAM202上のメモリ領域に1バイトで書き込んだ後(S3759)、図柄変動回数計数処理を終了して図15に示す特別図柄遊技処理に復帰する。一方、特別図柄変動回数が「0」となった場合は(S3757:yes)、設定回数達成フラグをONにセットした後(S3751)、図柄変動回数計数処理を終了して図15に示す特別図柄遊技処理に復帰する。
こうして、図19に示す図柄変動回数計数処理から復帰すると、主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動回数が回数切りの設定回数に達したか否かを判断する(S376)。上述した設定回数達成フラグを参照して、「ON」にセットされていれば、特別図柄の変動回数が回数切りの設定回数に達したと判断することができる。そして、フラグが「ON」にセットされており、特別図柄の変動回数が設定回数に達している場合は(S376:yes)、確変状態を終了させるため、確変機能および時短機能を停止させ(S378)、続いて普通電動役物開口時間の延長機能を停止させた後(S380)、図14および図15に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図12の遊技制御処理に復帰する。一方、参照した設定回数達成フラグがOFFにセットされている場合は、特別図柄の変動回数が設定回数に達していないので(S374:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。尚、主制御基板200のCPU201は、確変状態を終了させ、遊技状態の切り換えを行うとともに、通常の遊技状態に復帰させていることから、本実施例のCPU201は、本発明の「遊技状態切換手段」および「遊技状態復帰手段」の一態様を構成している。
一方、S372において現在の遊技状態が確変中ではないと判断された場合は(S372:no)、続いて、時短中か否かを判断する(S382)。本実施例の遊技機1では、確変状態だけでなく時短状態についても、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定の回数だけ変動表示するまでは継続する設定(回数切り設定)となっている。そこで、時短中と判断された場合は(S382:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数する処理を行う(S384)。時短状態における図柄変動回数計数処理(S384)においても、図19を用いて上述した確変状態における図柄変動回数計数処理(S374)と同様に処理が行われる。すなわち、S374の処理では、図19に示した図柄変動回数計数処理を実行するプログラムが読み出されて、確変中の図柄変動回数が計数されたが、S384では、時短中の図柄変動回数を、同じプログラムを読み出して計数する処理が行われる。以下、処理の内容について簡単に説明すると、まず、RAM202に設定されている時短用のバイト数切換フラグを参照して、時短回数切りの設定回数が2バイトデータまたは1バイトデータの何れであるかを判断した後、判断したバイト数で特別図柄変動回数を読み込む処理を行う(図19のS3741,S3743,S3753参照)。この時、時短中の特別図柄変動回数は、RAM202上の時短用に指定されたメモリ領域から読み込まれる。そして、読み込んだ特別図柄変動回数から1を減算し、その結果が「0」でなければ、バイト数切換フラグに応じたバイト数で、特別図柄変動回数の書き込みを行い(S3749,S3759)、逆に「0」であれば、時短用の設定回数達成フラグをONにセットする(S3751)。S384では、以上のように時短中の図柄変動回数を書き込む(更新する)処理か、あるいは時短中の図柄変動回数が設定回数に達した場合に時短用の設定回数達成フラグをONにセットする処理を行う。こうして時短中の図柄変動回数計数処理(S384)を終了すると、時短用の設定回数達成フラグを参照して、時短中の特別図柄の変動回数が設定回数に達したか否かを判断する(S386)。そして、設定回数達成フラグがONにセットされており、従って設定回数に達していれば(S386:yes)、時短機能を停止させ(S388)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S366)、図14および図15に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図12の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ設定回数に達していなければ(S386:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図12の遊技制御処理に復帰する。
C−3−2.特別電動役物遊技処理 :
図12に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
図20は、特別電動役物遊技処理の一部の流れを示すフローチャートである。また、図21は、特別電動役物遊技処理の残りの部分の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図20および図21を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを開口状態とする装置である。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。本明細書中で言う「役物連続作動装置」とは、大入賞口31dを再び開口状態とする装置である。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技状態が終了する。尚、特別遊技状態は、遊技者にとって有利な遊技状態であることから、本実施例の特別遊技状態は、本発明の「大当り遊技」の一態様を構成している。
以上に説明した特別遊技は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図20および図21に示す特別電動役物遊技処理を行うことによって実現されている。以下、図20および図21を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。尚、主制御基板200のCPU201は、特別遊技状態(大当り状態)を開始することから、本実施例のCPU201は、本発明の「大当り遊技開始手段」の一態様を構成している。
CPU201は、特別電動役物遊技処理を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って、特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように特別電動役物とは、大入賞口31dを開口させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断するのである(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口の閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図20に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図12の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図12に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図12に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図20に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図20の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS406において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断するのである。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図20に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図12の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図20に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図12の遊技制御処理に復帰する。
図12の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(図20のS410:yes)、もしくは大入賞口31dに所定数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。
一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技状態を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止させる(S416)。
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「通常当り図柄」のいずれであったかを判断する(図21のS418)。前述したように本実施例の遊技機1では、特別遊技状態が終了した後、「確変状態」または「時短状態」のいずれかの遊技状態が開始されるようになっており、加えて、これらの遊技状態は、次の特別遊技状態が発生するか、あるいは特別図柄の変動回数が所定の回数に達するまで継続する設定(いわゆる回数切りの設定)となっている。尚、「確変状態」および「時短状態」は、特別遊技状態(大当り遊技)の終了後に開始されることから、本実施例の「確変状態」および「時短状態」は、本発明の「特定の遊技状態」の一態様を構成している。
そこで、条件装置の作動が「確変当り図柄」によるものであった場合は(S418:yes)、「確変状態」を開始するために、まず、確変回数切りの設定回数(確変状態から通常の遊技状態に復帰するように設定された特別図柄の変動回数)を設定する処理を行う(S420)。
図22は、特別電動役物遊技処理の中で特別図柄の変動回数を設定する処理(図柄変動回数設定処理)の流れを示すフローチャートである。図柄変動回数設定処理を開始すると、先ず初めに、設定回数達成フラグをOFFにセットする(S4201)。前述したように設定回数達成フラグは、特別図柄の変動回数が設定回数に達して、確変状態の終了条件が成立するとONにセットされるフラグである(図19のS3749参照)。ここでは、確変状態を開始するために、特別図柄の変動回数を設定するのに先立って、設定回数達成フラグをOFFにセットするのである。
主制御基板200のCPU201は、設定回数達成フラグをOFFにセットすると、続いて、バイト数切換フラグがONにセットされているか否かを判断する(S4203)。前述したように、ここで参照するバイト数切換フラグは、特別図柄の変動回数を、1バイトデータ、あるいは2バイトデータの何れで設定するかを判断するためのフラグであり、図柄変動回数計数処理中に参照するフラグ(図19のS3741参照)と同一のフラグである。そして、バイト数切換フラグがONにセットされている場合は(S4203:yes)、確変回数切りの設定回数が2バイトデータ(例えば10000回)であるため、回数切りの設定回数を2バイトで、RAM202上の所定のメモリ領域に書き込む処理を行った後(S4205)、図柄変動回数設定処理を終了して図21に示す特別電動役物遊技処理に復帰する。
一方、S4203において、バイト数切換フラグがOFFにセットされている場合は(S4203:no)、回数切りの設定回数が1バイトデータ(例えば5回)であると判断されるため、回数切りの設定回数を表す1バイトデータを、RAM202上の対応する1バイトのメモリ領域に書き込む処理を行う(S4207)。こうして、確変回数切りの設定回数をRAM202に書き込むと、図22に示す図柄変動回数設定処理を抜けて、図21に示す特別電動役物遊技処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は、図柄変動回数設定処理から復帰すると、確変機能の作動を開始した後(S420)、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始して(S428、S430)、図20および図21に示す特別電動役物遊技処理を終了する。尚、主制御基板200のCPU201は、確変状態(特定の遊技状態)を開始することから、本実施例のCPU201は、本発明の「大当り遊技手段」の一態様を構成している。
一方、S418において、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」ではないと判断された場合は(S418:no)、条件装置は「通常当り図柄」によって作動したことになるので、「時短状態」を開始するにあたって、時短回数切りの設定回数(時短状態から通常の遊技状態に復帰するように設定された特別図柄の変動回数)を設定する処理(図柄変動回数設定処理)を行う(S424)。時短状態における図柄変動回数設定処理(S424)においても、図22を用いて上述した確変状態における図柄変動回数設定処理(S420)と同様に処理が行われる。まず、時短用の設定回数達成フラグをOFFにセットした後(図22のS4201参照)、時短用のバイト数切換フラグの設定に応じたバイト数で、時短回数切りの設定回数をRAM202上の時短用のメモリ領域に書き込む処理を行う(S4203,S4205,S4207)。こうして、時短中の特別図柄の変動回数を設定すると、普通電動役物開口時間延長機能の作動を開始し(S428)、続いて時短機能の作動も開始した後(S430)、図20および図21に示す特別電動役物遊技処理を終了する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させる。そして、遊技制御処理中の特別図柄遊技処理の中で特別図柄の当否判定が行われ(図14のS328ないしS332)、当否判定結果が「当り」であった場合には、条件装置および役物連続作動装置が作動して(図15のS360)、特別遊技状態が開始される。また、遊技制御処理中で行われる特別電動役物遊技処理(図20および図21)においては、所定の態様で特別遊技を行い、特別遊技の終了後は、当り態様に応じて、確変機能、普通電動役物の開口時間延長機能、時短機能を作動させる処理が行われる。
以上に説明したように、主制御基板200に搭載されたCPU201は、図12に示した遊技制御処理を繰り返し行うとともに、遊技制御処理の中で様々な変数データの書き込み、および読み込みをRAM202に対して行って、遊技状態を切り換えながら遊技を進行させている。以下では、主制御基板200のCPU201が、確変時の特別図柄の変動回数を表す変数データの書き込み、および読み込みをRAM202に対して行う様子について詳細に説明する。
C−4.変数データの書き込み、および読み込み :
図23は、主制御基板200のCPU201が、確変時の特別図柄の変動回数を表す変数データの書き込み、および読み込みをRAM202に対して行う様子を示す説明図である。前述したように本実施例の遊技機1では、確変時の回数切りの設定回数(確変状態から通常の遊技状態に復帰するように設定された特別図柄の変動回数)をスペックに応じて変更することが可能であり、回数切りの設定回数が10000回の機種と、5回の機種とが設けられている。図23の左側に示すように、設定回数が10000回の機種では、特別図柄変動回数を表す変数データが2バイトであり、CPU201は、「ON」にセットされているバイト数切換フラグを参照して、変数データを2バイトで処理を行うと判断する(図19のS3741、図22のS4203)。そこで、RAM202上の2バイトのメモリ領域に対して、2バイトの変数データを書き込む、あるいは読み込む処理を行う。一方、設定回数が5回の機種では、図23の右側に示すように、特別図柄変動回数を表す変数データが1バイトである。CPU201は、「OFF」にセットされているバイト数切換フラグによって、変数データを1バイトで処理すると判断し、RAM202上の1バイトのメモリ領域に対して、1バイトの変数データを書き込む、あるいは読み込む処理を行っている。図23では、バイト数切換フラグの設定に応じたバイト数で、CPU201が書き込み、あるいは読み込みを行う様子を白抜きの矢印で表している。
このように、本実施例の遊技機1では、バイト数切換フラグを予め設定しておき、このフラグの設定を参照することによって、特別図柄の変動回数を表す変数データの処理(書き込み、および読み込み)を1バイトで行うか、あるいは2バイトで行うかを判断している。このため、特別図柄の変動回数を表す変数データのデータ長(バイト数)がスペック間で異なる場合でも、変数データが1バイトの機種であれば1バイトで処理を行い、変数データが2バイトの機種であれば2バイトで処理を行うことが可能となっている。
これに対して、上述したようなバイト数切換フラグを設けることなく、特別図柄の変動回数を表す変数データが1バイト、あるいは2バイトの何れであっても、全て2バイトで書き込み、あるいは読み込みを行うこととした場合には、いわゆる不正行為が行われるおそれが生じる。すなわち、回数切りの設定回数が5回(1バイトデータ)の機種では、「5」を表す1バイトデータを、2バイトで処理(書き込み、および読み込み)することになるため、RAM202上の2バイトのメモリ領域のうち、下位の1バイトのみを使用し、上位の1バイトは、すべて「0」が書き込まれた変動することのないバイト(使われないバイト)となってしまう。このため、この使われない上位バイトを不正に書き換える(何れかのビットを「1」に書き換える)だけで、確変回数切りの設定回数を大幅に増加させる不正行為が行われる可能性がある。図23では、1バイトデータを2バイトで処理する様子が実線の矢印で表されており、また、変動しない上位1バイトが白抜きの領域で表されている。
しかし、本実施例の遊技機1では、バイト数切換フラグの設定に応じて、特別図柄の変動回数を表す変数データが適切なバイト数で処理(書き込みや、読み込み)され、変数データが1バイトデータであれば1バイトで処理される。このため、回数切りの設定回数を変更して、特別図柄の変動回数を表す変数データが1バイトの機種と、2バイトの機種とを設けても、1バイトの機種において、使われない上位バイトがRAM202上に存在することはない。その結果、使われない上位バイトを不正に書き換えて、遊技を有利に進行させる不正行為が行われることを回避することが可能となる。
また、本実施例の遊技機1では、バイト数切換フラグを予め適切に設定しておけば、このフラグの設定に応じて、適切なバイト数で特別図柄の変動回数を表す変数データを処理することが可能になる。例えば、確変回数切りの設定回数を変更して、10000回(2バイトデータ)から、5回(1バイトデータ)とする場合でも、バイト数切換フラグの設定を予め「OFF」にセットしておけば、特別図柄の変動回数を表す変数データを1バイトで処理することが可能である。このため、回数切りの設定回数を変更して、遊技性が異なる機種を容易に設定することが可能となる。
E.変形例 :
以上に説明した実施例では、「確変状態」及び「時短状態」における特別図柄の変動回数を設定あるいは計数する場合に、バイト数切換フラグを参照して、フラグに応じたバイト数で処理を行うものとして説明した。しかし、このような場合に限られるものではなく、例えば、当否判定に用いる特別図柄当否判定用乱数をRAM202上に記憶する場合にも、予めバイト数切換フラグを設定しておくことにより、フラグに応じたバイト数で乱数を記憶することが可能となる。以下では、特別図柄当否判定用乱数をRAM202上に記憶する場合について説明する。
前述したように特別図柄当否判定用乱数とは、遊技球が始動口17に入球したときに取得されて、主制御基板200のRAM202上に記憶される乱数である。また、主制御基板200のCPU201は、この乱数と当否判定テーブルとを参照することによって特別図柄の当否判定を行い(図14のS328からS332参照)、判定結果が「当り」であれば、特別遊技状態を開始する。変形例の遊技機1では、当選確率をスペックに応じて変更することが可能であり、当選確率が高い設定の機種と、低い設定の機種とが設けられている。当選確率が高い設定の機種では、0から99までの何れかの数値を乱数値として取得し、この乱数値は1バイトで表現可能であるのに対して、当選確率が低い設定の機種では、乱数値として0から299までの何れかを取得し、この乱数値の表現には2バイトが必要となる値が含まれる。そこで、変形例の遊技機1では、乱数値バイト数切換フラグを予め設定しておき、乱数値を1バイトで表現可能な機種では、乱数値バイト数切換フラグが「OFF」にセットされており、乱数値の表現に2バイト必要な機種では、乱数値バイト数切換フラグが「ON」にセットされている。このため、特別図柄当否判定用乱数の記憶や参照をするに際して、乱数値バイト数切換フラグの設定を参照することによって、当選確率が高い設定の機種では、1バイトで乱数値の記憶および参照を行い、低い設定の機種では、2バイトで乱数値の記憶および参照を行うことが可能である。尚、乱数値バイト数切換フラグは、乱数値のデータ長に関する設定を表していることから、本変形例の乱数値バイト数切換フラグは、本発明の「切換フラグ」の一態様を構成している。
このように、変形例の遊技機1では、当選確率を大幅に変更して、乱数値を表す変数データのデータ長(バイト数)が異なる場合でも、乱数値バイト数切換フラグを予め適切に設定しておくことによって、適切なバイト数で乱数値の記憶および参照を行うことができる。このため、前述した使用されない上位バイトが生じることを回避でき、しかも当選確率が異なる機種を容易に設定することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。