JP2007167053A - 家畜消毒方法及び家畜消毒装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 オゾン水からのオゾン脱気を有効阻止することによって、人畜に対して悪影響を与える恐れのない家畜の消毒方法を提供する。
【解決手段】 含有オゾン気泡の粒径Rが、0<R<50nm、かつ、オゾン濃度3〜20ppmのオゾン水を、気液混合方式によって生成するオゾン水生成工程と、当該オゾン水生成工程において生成されたオゾン水を用いて家畜を消毒する工程と、を含めて家畜消毒を行う。粒径Rが、0<R<50nmであるからオゾン気泡はオゾン水の浮力をほとんど受けない。このため、オゾン気泡は水面に上昇せずオゾン水内に滞留する。この結果、オゾン脱気が有効素子される。
【選択図】 図21

Description

この発明は、家畜消毒方法、家畜消毒装置、家畜又は家畜肉に関するものである。
家畜(家禽)を飼育するに当たって問題となるのが、家畜や畜舎から出る悪臭や家畜の病気である。これらの悪臭や病気は、そのほとんどが、家畜の排泄物や食餌残渣に寄生した病原菌やウイルス(以下、適宜「ウイルス等」と総称する)によってもたらされる。このような悪臭は環境上の重大問題であり、病気は家畜の死亡や発育不良の原因となる場合が多い。事実、家畜の死亡が家畜飼育者に大きな打撃を与えている。たとえば、養豚業界における豚の死亡率は、数%から多いときには20%に達する場合もある。サルモネラ、オーエスキー、PRRS、マイコプラズマ豚流行性下痢(PED)、伝染性胃腸炎(TGE)等の発生は増加する傾向にある。養鶏業界においても、鶏インフルエンザが流行し大量の鶏が処分されたことも記憶に新しい。このような事態を防止するためには、家畜や畜舎を消毒(殺菌)して病原菌やウイルスを消毒又は不活化することが不可欠である。
このような病原菌やウイルスを消毒又は不活性化する方法として、オゾン水を散布する方法が特許文献1に開示されている。この特許文献1が開示するオゾン水のオゾン濃度は0.05〜0.10ppmに設定されている。しかしながら、旧厚生労働省予防衛生研究所データ(非特許文献1 表1参照)によれば、主要な微生物を死滅させるために必要なオゾン濃度は1ppm前後であるとされている。したがって、オゾン濃度が上記範囲にあるオゾン水を散布したとしても、その消毒効果に疑問が残る。1999〜2001年に三重県科学技術振興センター農業技術センター(畜産)中小家畜グループが行った実験によれば、噴霧したオゾン水はサルモネラ菌の殺菌効果がない、具体的には、1ppm及び4ppmのオゾン水を噴霧してから5分間でサルモネラ菌を殺菌することができなかった、との報告がなされている(非特許文献2参照)。噴霧によりオゾンが脱気してしまったためであると推測される。他方、特許文献2には、病害防除のためにオゾン水を散布する技術が開示されている。特許文献2によれば、開示する病害防除方法はハウス栽培用植物に対するものではあるが、上記同様、低濃度オゾン水に疑問を呈している。すなわち、低濃度オゾン水で病害虫を駆除することは実用性に疑問があるとして、上記病害防除方法ではオゾン濃度2〜20ppmのオゾン水が用いられている。特許文献2には、さらに、上記高濃度のオゾン水を散布する際にはその散布を行うハウス内に作業員が入らないことが好ましい旨も併せて記載されている。好ましいとする理由を特許文献2は含まないが、高濃度オゾン水の散布により気液分離が生じ、分離によって生じたオゾンがハウス内のオゾン濃度を高め作業員に悪影響を与える場合が考えられるので、そのような場合を考慮したものと推測される。これらに加え、特許文献3には、最大2ppmのオゾン水を生成し噴霧することによって馬を洗浄する技術が開示されている。
特開2002−306086号公報(段落0012〜0016) 特開2002−20211号公報(段落0006、0046) 実用新案登録第3069986号公報(段落0012、0013、0016、0017、図1) 旧厚生労働省予防衛生研究所データ (http://www.gendaikobo.co.jp/ecogoods/ecogoods01/ecogoods01_1.html) 研究課題名:「地域特産鶏肉・鶏卵の安全性確保のためのサルモネラ汚染防止技術の確立」 (http://www.affrc.go.jp/ja/db/seika/data_kan-tou/h12/narc00K240.html)
Figure 2007167053
しかしながら、ハウス栽培用植物には使用可能であるかもしれないが、高濃度オゾン水を家畜に使用することはできないとされていた。なぜなら、オゾン水散布によって生じるオゾンが家畜に悪影響を与えてしまうからである。オゾン水散布時に作業者が畜舎内に立ち入ることも、同様の理由から許されなかった。オゾン水を散布するのであれば、家畜を他の場所に移し畜舎を空にする(オールインオールアウト方式)とともに、作業員が畜舎の外に出てから行わなければならなかった。しかし、スペースを有効活用するために畜舎内には可能な数の家畜が飼育されている。つまり、スペースに余裕がないことがほとんどである。そのような状況下で、飼育している家畜をそっくり他の場所に移すことは、事実上不可能である。これが、オゾン水による家畜や畜舎の消毒が行われてこなかった理由である。さらに、前述した非特許文献2が示すように、噴霧(散布)したオゾン水には殺菌効果がない、と信じられていたことも理由に挙げられる。他方、前述した非特許文献2に記載されているとおり、1ppm及び4ppmのオゾン水を噴霧してもサルモネラ菌を殺菌することができないという技術常識がありながら、特許文献3記載の技術は、オゾン水噴霧に対して何ら対策を行うものではない。したがって、特許文献3記載の技術によれば、生成した時点のオゾン水のオゾン濃度は最大2ppmであったとしても、噴霧後のオゾン濃度は殺菌に充分なものとはいい難い。また、仮に、噴霧後のオゾン濃度が2ppmを確保できたとしても、2ppmのオゾン水では家畜の飼育現場においてウイルス等を殺菌することは極めて難しい。前記した非特許文献1によれば、主要な微生物を死滅させるために必要なオゾン濃度は1ppm前後である。しかしながら、この結果は、研究所実験室内で行われた実験によって得られたものであり、家畜の飼育現場では、少なくとも3倍の3ppmは、必要である。つまり、微生物、具体的にはウイルス等は、家畜の体表に付着した家畜の排泄物や食餌残渣等の有機物に寄生しているわけであり、この有機物もオゾンと反応する。有機物は、家畜周辺の空気中にも塵埃として浮遊しており、この浮遊する有機物もオゾンの反応対象である。噴霧ないし散布されたオゾン水は、これらの有機物に接触した途端に反応してそのほとんどが消滅する。このため、家畜の体についたウイルス等にまでオゾンの殺菌効果が届かないのが実情である。
オゾン水が人体に対して安全であることは、たとえば、医療分野において証明され、実際に、医療機関における手洗い消毒であるとか、歯科における抜歯等に伴う出血時の洗浄や眼科における術前洗眼等とかのためにオゾン水が使用されている。安全であるはずのオゾン水が家畜や畜舎の消毒のために使用できないはずがないと考えた発明者は、オゾン水について鋭意研究を行った結果、家畜や畜舎の消毒のためにオゾン水が使用できないのは、次の理由によるとの知見を得た。それは、第1に上記した医療機関におけるオゾン水の使用量に比べ家畜等を消毒するためのオゾン水の使用量ははるかに大きいためそのオゾン水から脱気(抜け出た)又は分解したオゾンも大量でありこれが大気中に充満することが問題なのであり、第2にオゾン脱気はホース散布する(ホースを用いて浴びさせる)際に圧送状態から開放されたときにその圧力変化によって主として生じるのであり、第3にオゾン脱気はオゾン水をノズル散布するときにそのノズルから散布した瞬間に生じるものが特に顕著であるということである。本発明が解決しようとする課題は、オゾン水からのオゾン脱気を有効阻止することによって、人畜に対して悪影響を与える恐れのない家畜の消毒方法及びその消毒装置、さらに、そのような消毒方法を用いて飼育した家畜又は家畜肉を提供することにある。
上記知見を基に研究を続けた発明者は、オゾン脱気を有効阻止するためにはオゾンの溶解度を高める必要があり、溶解度を高めておけばオゾン脱気を有効に抑制ないし防止できるのでオゾン水を家畜や畜舎に使用可能であること、さらに、上記性質を示すオゾン水であるからこそ3ppm以上のオゾン濃度を安定して得ることができるのでありその濃度は散布によっても容易に低下しないことを、実験によって知得した。すなわち、オゾン脱気は、オゾン水に含有されるオゾン気泡が浮力により液面まで上昇し破裂することによって主に生じる。発明者の認識によれば、オゾン気泡の粒径は50nm以上のものはオゾン水の中で上昇するに足りる浮力を受ける。逆にいえば、50nm未満のオゾン気泡であれば、ほとんど浮力を受けることがないため、脱気する恐れがほとんどなくなる。粒径が50nm未満のオゾン気泡を含有するオゾン水は、これまでは生成することができなかった。発明者らは後述するオゾン水生成方法によって、含有するオゾン気泡の粒径を50nm未満のものとすることに成功した。本発明は、この成功によって得た知見に基づいてなされたものである。その発明についての詳細は、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において、かつ、発明カテゴリーの違いや記載の順番等に関わらず、他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項1の消毒方法」という)は、含有オゾン気泡の粒径Rが、0<R<50nm、かつ、オゾン濃度3〜20ppmのオゾン水を、気液混合方式によって生成するオゾン水生成工程と、当該オゾン水生成工程において生成されたオゾン水を用いて家畜を消毒する工程と、を含むことを特徴とする。オゾン溶解は、原水(被処理水)にオゾンガスを混合させる気液混合方式と呼ばれる方式で行う。電気分解法(電解式)によるオゾン水生成方法は、塩化ナトリウム等の添加物(電解補助剤)を添加する必要があり、この添加物が家畜に悪影響を与えかねないので本願発明の対象外である。ここで原水とは、オゾンを溶解させる直前の水のことをいい、たとえば、水道水や地下水(井戸水)等が好適である。雨水、河川水、湖水等も特段の事情がない限り使用可能である。たとえば、水道水と地下水との混合水のように異なる水源から得た水を混合させたものも、原水に含まれる。原水のpH値は、一般的には中性であるが、地域による違い、また、地下水、水道水、雨水、河川水、湖水等の水源の違いなどによって異なる。中性から外れ酸性側又はアルカリ性側に傾いている原水も存在する。ここで、「中性」とはpH6.5〜7.5のことをいう(日本国食品衛生法、食品添加物の規格基準、1959年12月28日旧厚生省(現厚生労働省)告示第370号)。
請求項1の消毒方法によれば、含有するオゾン気泡の粒径が50nm未満であるからオゾン水の中でほとんど浮力を受けないため、液面まで上昇せずにオゾン水内に滞留する。つまり、上記オゾン水は極めてオゾン溶解度の高いオゾン水である。このため、家畜消毒のためにオゾン水を使用(散布、撒く、塗布、濡らす、浸漬等)しても、その使用によりオゾン水から脱気するオゾンはほとんどない。したがって、オゾンが脱気すれば生じたであろう家畜の呼吸器等に対する悪影響を有効に排除することができる。オゾン溶解度が高ければ、高濃度オゾン水の生成も簡単である。さらに、上記オゾン水は、原水にオゾンを混合させることによりオゾン水を生成する気液混合方式により生成したものであるから、電解方式による生成のような添加物を必要としない。このように本件発明に係るオゾン水は添加物を不要とする点においても、安全性の高いオゾン水である。散布後のオゾン濃度の下限を3ppmとしたのは、前記した背景技術の欄において説明したように家畜の飼育現場で必要なオゾン濃度は3ppmであるからであり、上限を20ppmとしたのは気液混合方式によるオゾン水生成では20ppm程度が限界であり20ppmを超えると生成効率が極端に低下するからである。オゾン濃度は、たとえば、紫外線吸光装置等によって測定することができる。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項2の消毒方法」という)は、請求項1の消毒方法であって、前記オゾン水のpHが、6.5〜7.5であることを特徴とする。
請求項2の消毒方法によれば、請求項1の消毒を、より安全なものとすることができる。すなわち、後述する実験が示すように、本件発明に係るオゾン水は、原水のpHを変化させるものではないので、ほぼ中性を示す。中性のオゾン水はオゾンが溶解しやすいことは知られているところ、本件発明に係るオゾン水によれば、たとえば、酢酸のような添加物を添加してpH調整することなく中性に保つことができる。添加物の添加を不要とする点で、家畜にとって安全性が高い。
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項3の消毒方法」という)は、請求項1又は2の消毒方法であって、前記オゾン水生成工程が、被処理水にオゾンを混合させる際に当該被処理水及びオゾンに磁力を作用させることを特徴とする。
請求項3の消毒方法によれば、請求項1又は2の消毒方法に係るオゾン水が、上記方法によって生成される。被処理水とオゾンとの混合を磁界の中で行うことによって、オゾン溶解度を極めて高いものとすることができる。磁力の作用が被処理水だけでなくオゾンにも及ぶことが、オゾンの高溶解度を実現したものと思われる。
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項4の消毒方法」という)は、請求項3の消毒方法であって、磁界中において、被処理水の水圧を圧力頂点に至るまで増圧させ当該圧力頂点に至った直後に減圧させるとともに当該圧力頂点に至った被処理水にオゾンを供給することを特徴とする。
請求項4の消毒方法によれば、請求項3の消毒方法の作用効果を、被処理水の圧力増減によってより効率的に奏させることができる。圧力増減によって被処理水が不安定常態に置かれることになるが、この不安定状態がオゾン溶解を促進するものと思われる。
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項5の消毒方法」という)は、請求項4の消毒方法であって、小径路を有するベンチュリ管に被処理水を通過させ、当該小径路に臨む位置に開口端を配したオゾン供給パイプを介してオゾンを供給するとともに、当該ベンチュリ管の少なくとも小径路及び/又は小径路近傍に磁力を作用させることを特徴とする。
請求項5の消毒方法によれば、請求項4の消毒方法の作用効果を、上記構成によって具体化することができる。すなわち、ベンチュリ管に流入するときの被処理水の圧力は、小径路に近づくにつれて一気に増加し、小径路通過後に一気に減少する。圧力減少する際のベンチュリ管内部は真空又は真空に近い負圧状態となり、この負圧状態によってオゾン供給パイプによって供給されたオゾンが被処理水内に吸引される。吸引されたオゾンは、上記圧力変化と、小径路通過に伴う被処理水の流れの変化等が複雑に絡み合い、一気に攪拌混合される。ベンチュリ管とオゾン供給パイプとを備えた気液混合構造は、エジェクターと呼ばれることもある。
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項6の消毒方法」という)は、請求項5の消毒方法であって、前記ベンチュリ管を通過した被処理水を循環させ、オゾンを供給しながら前記ベンチュリ管を少なくとも1回再通過させることを特徴とする。
請求項6の消毒方法によれば、請求項5の消毒方法の作用効果に加え、被処理水を循環させることによって、オゾン溶解に有効な磁界の中での圧力の増減やオゾン供給等を、所望回数繰り返すことができる。繰り返しによって、被処理水に対するオゾン溶解度を高めることができる。循環させる回数は、求めるオゾン溶解度やオゾン濃度に応じて装置使用者が決定するとよい。
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項7の消毒方法」という)は、請求項6の消毒方法であって、前記循環させた被処理水を貯留タンクに一旦貯留する
ことを特徴とする。
請求項7の消毒方法によれば、請求項6の消毒方法の作用効果に加え、被処理水を一旦、貯留タンクに貯留することができ、この貯留によって被処理水を安定状態に置き、これによって、被処理水に対するオゾン溶解を熟成類似の作用によって促進させることができる。
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項8の消毒方法」という)は、請求項7の消毒方法であって、前記貯留タンクに貯留した被処理水を、一旦取り出して5〜15℃の範囲に保持することを特徴とする。
請求項8の消毒方法によれば、請求項7の消毒方法の作用効果に加え、被処理水の温度を上記範囲に保持することができる。オゾン水生成に使用する原水は長い配管内を搬送される場合が多く、そのような場合に搬送される原水は天候の影響を受けやすい。特に、夏季における水温上昇が著しい。また、被処理水を循環させるためには循環のためのエネルギーが必要であり、そのようなエネルギー源として、たとえば、ポンプがある。上記したエネルギー源は、一般に発熱を伴いその熱が被処理水の温度を高める場合がある。オゾン溶解は水温の影響を受け、水温が高くなると溶解度の低下が見られる。そこで、被処理水の温度を所定範囲に保つことによって、オゾン溶解を促進させる。オゾン水の温度を15℃以下としたのは、15℃以上となると溶解しているオゾンが脱気したりオゾン溶解の効率が落ちたりしてオゾン水に高い溶解度を期待できないからである。他方、オゾン水の温度を5℃以上としたのは、気候環境や家畜の種類等にもよるが、家畜や畜舎に散布するためのオゾン水の搬送は屋外で行うのが一般的であるから、冬季における寒冷地等においてオゾン水を凍結させないためには5℃必要と考えたからである。被処理水の冷却又は加温を不要とするのであれば、温度を保持する工程自体を省略してもよい。
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項9の消毒方法」という)は、請求項6乃至8いずれかの消毒方法であって、オゾンを混合した後の被処理水を溶解促進槽に一旦貯留してオゾン溶解を促進することを特徴とする。
請求項9の消毒方法によれば、請求項6乃至8いずれかの消毒方法の作用効果に加え、溶解促進槽の働きによって被処理水に対するオゾン溶解が促進される。溶解促進槽に貯留された被処理水は、その貯留によって安定状態に置かれる。安定状態に置かれた被処理水は、それに対するオゾン溶解が熟成類似の作用によって促進される。
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項10の消毒方法」という)は、請求項9の消毒方法であって、前記溶解促進槽に貯留した被処理水から脱気したオゾンを、当該溶解促進槽外部へ排出することを特徴とする。
請求項10の消毒方法によれば、請求項9の消毒方法の作用効果に加え、被処理水を循環する過程において被処理水に溶解しなかったオゾンを溶解促進槽外へ排出することができる。未溶解のオゾンを排出することによって、被処理水が含むオゾンは、溶解度の高いものであって低いものが排除される。したがって、真にオゾン溶解度の高いオゾン水が生成される。
(請求項11記載の発明の特徴)
請求項11記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項10の消毒方法」という)は、請求項1乃至10いずれかの消毒方法であって、家畜に浴びさせるために、生成したオゾン水を所定圧力に加圧してノズル又はノズル群から散布する散布工程を含むことを特徴とする。
請求項11の消毒方法によれば、請求項1乃至10いずれかの消毒方法の作用効果に加え、ノズル散布により家畜の消毒を行うことができる。ノズル散布は細かい部分にまでオゾン水を行き渡らせることができるため、特に家畜の畜体を消毒するために好適である。つまり、たとえば、畜舎床面のように平坦な箇所を消毒するのであればオゾン水を敷き詰めるように撒けば足りるが、畜体を消毒する場合はその表面に凹凸があるため単に撒くだけでは足りずしかも畜体は動き回るものであるからノズル散布することが望まれる。しかし、ノズル散布されたオゾン水は、散布前の圧送状態にあるオゾン水と比べると一気に圧力開放されるため、含有されるオゾン気泡が膨張し破裂しやすい状態になることが推測され、この破裂がオゾン脱気の要因であると考えられる。したがって、オゾン溶解度が低いと、すなわち、オゾン気泡の粒径が大きいと膨張したときに破裂するに十分な大きさになりやすく、その結果、オゾン気泡が破裂してしまうものと考えられる。他方、本発明に係るオゾン水が含有するオゾン気泡は、その粒径が50nm未満という極めて微細なものであるため、仮に膨張してもそのほとんどが破裂に足りる大きさに至らない。したがって、オゾン脱気がほとんど生じない。すなわち、本件発明に係るオゾン水は、ノズル散布に最適である。
(請求項12記載の発明の特徴)
請求項12記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項12の消毒方法」という)は、請求項11の消毒方法であって、前記オゾン水を加圧散布するときのオゾン水の所定圧力が0.2〜0.8MPaであることを特徴とする。
請求項12の消毒方法によれば、請求項11の消毒方法の作用効果に加え、ノズルから散布されるオゾン水の所定圧力が0.2〜0.8MPaの範囲に設定されていることによって、ノズル散布前のオゾン水の濃度低下を効果的に実現することができる。すなわち、上記範囲を下回るとノズルの孔径や孔数等にもよるが圧力不足により十分なオゾン水散布ができない場合が想定される一方、上記範囲を超えた圧力でオゾン水を加圧すると配管内部やノズル内部等における温度上昇や散布時に一気に常圧に戻ることによる圧力差によって脱気が生じる場合が考えられるので、そのようなオゾン脱気を可及的に抑制するための設定である。
(請求項13記載の発明の特徴)
請求項13記載の発明に係る記載の家畜消毒方法(以下、適宜「請求項13の消毒方法」という)は、請求項12の消毒方法であって、前記散布工程において散布するオゾン水の平均粒径が、40〜200μm未満又は200〜1000μmであることを特徴とする。ここで、「平均粒径」の測定は、たとえば、液浸法やレーザー法によって測定可能である。
請求項13の消毒方法によれば、請求項12の消毒方法の作用効果に加え、平均粒径を上記範囲に設定することによって、目的に応じたオゾン水散布を行うことができる。すなわち、平均粒径が40〜200μm未満であるときは、オゾン水が霧に近い状態であるため、たとえば、風邪防止のために家畜を極端に濡れさせたくない場合や畜舎内の広い領域にオゾン水散布を行いたい場合などに好都合である。他方、平均粒径が200〜1000μmであるとき、すなわち、人が日常で使用するシャワーに近い粒径であるときは、たとえば、家畜体の汚れを洗い流したい場合、家畜体の局所(たとえば、陰部)等を集中的に洗浄消毒したい場合、畜舎の床を洗い流しつつ消毒したい場合に使い勝手がよい。何れにしろ、ノズルから散布したオゾン水を効率よく家畜又は畜舎に行き渡らせることが可能になり、また、使用環境や使用目的に合わせて散布オゾン水の粒径を選択することによって、家畜に散布したときに家畜に風邪を引かせる等の恐れが極めて少なくすることができる。なお、平均粒径40μmを下回る粒径のオゾン水は、畜舎の通気性や温度等の環境にもよるが、粒径が小さいため比較的軽く散布後に空気の自然流に流され易い。したがって、たとえば、家畜(蓄体)や畜舎の床面等にまでオゾン水(オゾン細霧)が十分に行き渡らない場合があり得る。一方、平均粒径1000μmを超える粒径のオゾン水は、単にホースでまかれたオゾン水と大差ない。したがって、家畜に直接散布すると、畜舎の環境によって異なるが、たとえば、離乳前の子豚に散布すると粒径が大きすぎるため濡れによって体温が奪われ子豚に風邪を引かせる恐れがある。以上の理由から、散布オゾン水の平均粒径を上記範囲に設定したのである。
(請求項14記載の発明の特徴)
請求項14記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項14の消毒方法」という)は、請求項11乃至13いずれかの消毒方法であって、前記散布工程において散布されずに残った残余オゾン水を、圧送して前記貯留タンク内に戻す工程を含めてあることを特徴とする。
請求項14の消毒方法によれば、請求項11乃至13いずれかの消毒方法の作用効果に加え、残余オゾン水が貯留タンクに戻される。この結果、オゾン水生成の効率化と残余オゾン水の再生利用とを図ることができる。残余オゾン水は、その残余オゾン水が置かれた環境にもよるが、少なくとも原水に比べてオゾンの溶解度が高い。したがって、原水から所定濃度のオゾン水を生成する場合に比べて残余オゾン水を所定濃度のオゾン水に再生成するほうが効率がよい。さらに、残余オゾン水が存在するなら、それを再利用することが水資源や生成エネルギーの効率的利用の観点から好ましい。
(請求項15記載の発明の特徴)
請求項15記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項15の消毒方法」という)は、請求項14の消毒方法であって、前記散布工程におけるオゾン水散布を一端停止した後における再度オゾン水散布を開始する際に、オゾン水散布開始前に前記貯留タンク外にある残余オゾン水を前記貯留タンクに戻した後にオゾン水散布を行う工程を含めてあることを特徴とする。
請求項15の消毒方法によれば、請求項14の消毒方法の作用効果に加え、一旦停止していたオゾン水散布を再開する際に、貯留タンク外にあるオゾン水を貯留タンク内に戻してから行うことになり、これによって、散布するオゾン水のオゾン溶解度(オゾン濃度)を所望レベルに保持しておくことができる。すなわち、貯留タンク外にある残余オゾン水は、それが置かれた環境や置かれた時間の長短等にもよるが、一般的にいってオゾンが脱気した状態にある。つまり、オゾン溶解度(オゾン濃度)が低下している。オゾン溶解度が低下したオゾン水を、そのまま散布しても良好な消毒効果を期待しがたい。そこで、オゾン溶解度が低下した残余オゾン水は、これを一旦貯留タンクに戻すことによってオゾン溶解度の高いオゾン水に混入させて再利用を図るとともに、残余オゾン水を貯留タンクに戻す間はオゾン水散布を控え、残余オゾン水を戻しきってからオゾン溶解度の高いオゾン水を散布する。貯留タンクから取り出したオゾン溶解度の高いものを用いれば、所望レベルのオゾン水を散布することになる。
(請求項16記載の発明の特徴)
請求項16記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項16の消毒方法」という)は、請求項11の消毒方法であって、前記散布工程には、家畜の陰部にオゾン水を直接散布する工程を含めてあることを特徴とする。
請求項16の消毒方法によれば、請求項11の消毒方法の作用効果に加え、家畜の雌雄を問わず陰部には雑菌が繁殖しやすいので陰部消毒は家畜の健康を保つ上で極めて効果的である。特に、出産を控えた雌家畜の陰部が不潔であると、雌家畜の出産障害や生まれてくる子家畜に様々な健康障害が生じる恐れがある。有機物である家畜体に接触したオゾン水は、そこで反応して直ちに普通の水になってしまうものであるから、陰部だけでなく膣や子宮内も副作用なく消毒可能であることが期待できる。これまで薬品を用いた陰部消毒が行われていたが、薬品による安全性や子家畜に対する副作用に疑問がなかったわけではない。この点、オゾン溶解度が高いオゾン水であれば安全性も副作用も、その心配がない。さらに、散布したオゾン水が環境を破壊する恐れもないから、たいへん都合がよい。散布されたが陰部から外れたオゾン水は、その一部が陰部以外の家畜体に到着して当該到着部分を消毒するとともに、他の一部は畜舎の床等に到着して当該到着部分を同じく消毒する。
(請求項17記載の発明の特徴)
請求項17記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項17の消毒方法」という)は、請求項11の消毒方法であって、前記散布工程には、家畜を一列縦列に移動させつつ、家畜よりも高い位置及び低い位置から前記オゾン水を散布する工程と、オゾン水散布の終了後にエアブローによる水切りを行う工程と、を含めてあることを特徴とする。たとえば、畜舎と他の畜舎との間の通路を、家畜が一列縦列で移動できるように構成しておき、その通路内で上記方法による消毒を行うことができる。家畜の移動は、ベルトコンベア等に載せて行う移動もあるが、家畜自身の歩行等による移動が好ましい。たとえば、ベルトコンベアに載せた家畜は自ら体を動かすことが少ないが、歩行させれば足を交互に動かすなどして家畜体の露出部分が入れ替わるからである。
請求項17の消毒方法によれば、請求項11の消毒方法の作用効果に加え、風邪ひき等の弊害を抑制しながら家畜体全体の消毒を効率よく行うことができる。つまり、移動させつつ家畜の上下からオゾン水を散布すれば、家畜体全体にオゾン水を行き渡らせ易いからである。さらに、上述したように歩行等をさせれば、露出部分が入れ替われるので、オゾン水が満遍なく行き渡わせることができ、これが、効率のよい消毒を可能にする。オゾン水は、これを散布した後にエアブローによる水切りを行えば、移動を終えた家畜がずぶ濡れ状態にあるということにならない。風邪ひき等の疾病を抑制するために極めて重要である。
(請求項18記載の発明の特徴)
請求項18記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項18の消毒方法」という)は、請求項17の消毒方法であって、前記エアブローを、家畜に対して正面上方から水平に対して20〜70度の角度をもって家畜に対して行うことを特徴とする。
請求項18の消毒方法によれば、請求項17の消毒方法の作用効果に加え、より効率よく水切りを行うことができる。つまり、家畜の性状や大きさ等の違いにもよるが、一般的にいって家畜の毛並みは上記角度の方向になびいている。毛並み角度とブロー角度を略一致させることによって、水切り効果が高まり、これが、より高い疾病抑止率につながる。
(請求項19記載の発明の特徴)
請求項19記載の発明に係る家畜消毒方法(以下、適宜「請求項19の消毒方法」という)は、請求項1乃至18いずれかの消毒方法であって、家畜を消毒するオゾン水を用いて家畜施設(たとえば、畜舎、餌箱やケージ等の付帯設備)及び/又は家畜用具(糞尿を運搬するためのスコップ、飼育作業者の被服や作業靴、飼育現場に出入する車両)を併せて消毒することを特徴とする。
請求項19の消毒方法によれば、請求項1乃至18いずれかの消毒方法の作用効果に加え、家畜を飼育する施設と器具の何れか一方若しくは双方のみにオゾン水を浴びさせること、又は、上記何れか一方又は双方とともに家畜にオゾン水を浴びさせることによって家畜を消毒する。施設や器具のみを消毒するのであれば、それらを用いて飼育する家畜をウイルス等の汚染から守り、衛生的な環境下で家畜飼育を行うことができる。家畜にも併せてオゾン水を浴びさせれば、さらに衛生的であり家畜の健康を保つ上で好ましい。
(請求項20記載の発明の特徴)
請求項20記載の発明に係る家畜又は家畜肉(以下、適宜「請求項20の家畜等」という)は、請求項11乃至19いずれかの家畜消毒方法に使用可能なオゾン水を浴びさせて消毒しながら飼育してあることを特徴とする。
請求項20の家畜等によれば、上記オゾン水を浴びさせて消毒しながら飼育してあるから、極めて衛生的な環境化で飼育される。衛生管理が行き届いた環境下で飼育された家畜又は家畜肉であるため、ウイルス等が不活性化されているとともに家畜が病気にかかる可能性は極めて低い。また、オゾン水消毒であるから、家畜肉の中に化学的な消毒剤等が残ることはない。オゾン水に溶解していたオゾンは有機物等との接触によって分解消滅するので家畜肉の中に残ることはない。したがって、極めて安全である。
(請求項21記載の発明の特徴)
請求項21記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項21の消毒装置」という)は、被処理水を通過させるための配管と、当該配管の途中に設けた気液混合構造と、当該気液混合構造にオゾンを供給するためのオゾン供給構造と、前記気液混合構造を通過した被処理水を循環させて当該気液混合構造を再度通過させるための循環構造と、前記循環構造の途中に設けられた被処理水を一旦貯留させるための貯留タンクと、当該貯留タンクから取り出して所定圧力に加圧する加圧ポンプと、当該加圧ポンプによって加圧したオゾン水を散布するためのノズル又はノズル群と、を含めて構成してある。上記構成を前提として、当該気液混合構造には、内部に磁力を作用させるための磁石を設けてあり、当該ノズル又はノズル群から、含有するオゾン気泡の粒径Rが、0<R<50であり、かつ、オゾン濃度3〜20ppmのオゾン水を散布可能に構成してあることを特徴とする。
請求項21の消毒装置によれば、配管内を通過した被処理水にはオゾン供給構造が供給するオゾンが供給される。オゾン供給は気液混合構造の中で行われる。気液混合構造を通過した被処理水は、循環構造の働きによって循環させられ貯留タンクに一旦貯留されたりしながら再度気液混合構造を通過する。気液混合構造に磁石を設けたことから、磁石の磁力を被処理水とオゾンとを混合させる過程において作用させることになる。すなわち、被処理水だけでなく、被処理水に溶解していないオゾンにも磁力作用が及ぶ。オゾンを混合するときの被処理水は、大小さまざまな大きさのオゾン気泡を含み、その流れはきわめて不規則な乱流である。したがって、被処理水やオゾンに作用する磁力の方向はきわめて不規則であり、かつ、不安定である。不規則かつ不安定な磁力作用が、高溶解度をもった高濃度オゾン水の生成に効果的であることは後述する実験結果により明らかである一方、その因果関係は現在解明中である。発明者は、次のとおり推測する。すなわち、磁力の作用を受ける被処理水(オゾン)が乱流化しているということは、層流化した被処理水に比べて磁力の作用の下にある時間が長い。さらに、乱流化した被処理水(オゾン)は、入れ替わり立ち替わり磁石との距離が変化する。つまり、単位時間当たりに流れる被処理水に対して時間をかけて満遍なく磁力を作用させることができる。これが、被処理水のクラスター細分化を促進し、その結果、高溶解度をもった高濃度オゾン水の効率よい生成を実現するものと考えられる。生成によって3〜20ppmの高濃度に達したオゾン水は、加圧ポンプによって加圧されノズル又はノズル群から散布される。オゾン水が含有するオゾン気泡の粒径は50nm未満であるから、散布されてもオゾン水内に滞留して脱気しない。
(請求項22記載の発明の特徴)
請求項22記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項22の消毒装置」という)には、請求項21の消毒装置の構成を備えさせた上で、前記気液混合構造が、小径路を有するベンチュリ管と、当該小径路に臨む位置に開口端を有するオゾン供給パイプと、を含めて構成してあり、当該オゾン供給パイプの接続端には、前記オゾン供給構造を接続してある。
請求項22の消毒装置によれば、 請求項21の生成装置の作用効果と基本的に同じ作用効果を奏するが、気液混合構造における作用効果が次のとおりとなる。すなわち、配管からベンチュリ管に流入するときの被処理水の圧力は、小径路に近づくにつれて一気に増加し、小径路通過後に一気に減少する。圧力減少する際のベンチュリ管内部は真空又は真空に近い負圧状態となり、この負圧状態によってオゾン供給パイプによって供給されたオゾンが被処理水内に吸引される。吸引されたオゾンは、上記圧力変化と、小径路通過に伴う被処理水の流れの変化等が複雑に絡み合い、一気に攪拌混合される。
(請求項23記載の発明の特徴)
請求項23記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項23の消毒装置」という)には、請求項22の消毒装置の構成を備えさせた上で、前記磁石が、前記ベンチュリ管の少なくとも小径路及び/又は小径路近傍に磁力を作用させられるように構成してある。
請求項23の消毒装置によれば、請求項22の消毒装置の作用効果に加え、ベンチュリ管を通過する際及び/又は通過前後の被処理水に対して最も効率よく磁力を作用させることができる。発明者らの実験によれば、上記のとおり磁力を作用させたときに、最も効率よく高溶解度をもった高濃度オゾン水を生成することができた。その理由は、次のとおり推測される。すなわち、同じベンチュリ管に同じ磁石を設ける場合に、上記作用が生じるように設けることによってベンチュリ管の小径路を通過する際又はその通過前後は、被処理水に圧力変化が生じたりオゾンが吸引されたりするなど、被処理水の状態に大きな変化が生じる。この変化に合わせ被処理水に磁力を作用させることが、高溶解度・高濃度を実現する要因であると思われる。また、常磁性体であるオゾン気泡に磁力を作用させることも、高溶解度・高濃度実現に寄与していると推測される。
(請求項24記載の発明の特徴)
請求項24記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項24の消毒装置」という)には、請求項22又は23の消毒装置の構成を備えさせた上で、前記磁石が、一方の磁石片と他方の磁石片とを含む磁気回路によって構成してあり、当該一方の磁石片と当該他方の磁石片とを、前記ベンチュリ管を挟んで対向させてある。
請求項24の消毒装置によれば、請求項22又は23の消毒装置の作用効果に加え、磁気回路を構成することによってベンチュリ管内部の必要な箇所に集中的に磁力を作用させることができる。
(請求項25記載の発明の特徴)
請求項25記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項25の消毒装置」という)には、請求項22乃至24いずれかの消毒装置の構成を備えさせた上で、前記磁石の磁力が、3000〜20000ガウスに設定してある。
請求項25の消毒装置によれば、請求項22乃至24いずれかの消毒装置の作用効果に加え、磁石の構成を簡単に、かつ、経済的に行うことができる。すなわち、上記磁力を持った磁石であれば、市場調達が容易であるから特別な磁石を用意する必要がない。特別な磁石ではないから安価である。上記範囲を超える磁力を持った磁石の採用を妨げる趣旨でないことはいうまでもない。
(請求項26記載の発明の特徴)
請求項26記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項26の消毒装置」という)には、請求項21乃至25いずれかの消毒装置の構成を備えさせた上で、前記貯留タンク内のオゾン水を5〜15℃の範囲に保持するための温度保持構造を設けてある。
請求項26の消毒装置によれば、請求項21乃至25いずれかの消毒装置の作用効果に加え、温度保持構造を有することによって、被処理水の温度を上記範囲に保持することができる。オゾン水生成に使用する原水は長い配管内を搬送される場合が多く、そのような場合に搬送される原水は天候の影響を受けやすい。特に、夏季における水温上昇が著しい。また、被処理水を循環させるためには循環のためのエネルギーが必要であり、そのようなエネルギー源として、たとえば、ポンプがある。上記したエネルギー源は、一般に発熱を伴いその熱が被処理水の温度を高める場合がある。オゾン溶解は水温の影響を受け、水温が高くなると溶解度の低下が見られる。そこで、被処理水の温度を所定範囲に保つことによって、オゾン溶解を促進させる。他方、たとえば、寒冷地において被処理水が凍結する恐れがある場合は、ヒーター装置を設けて被処理水を加温するように構成してもよい。被処理水の冷却又は加温を不要とするのであれば、温度保持構造自体を省略してもよいし、設けてある温度保持構造の運転を停止してもよい。
(請求項27記載の発明の特徴)
請求項27記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項27の消毒装置」という)には、請求項21乃至26いずれかの消毒装置の構成を備えさせた上で、前記循環構造途中の前記気液混合構造下流かつ前記貯留タンク上流には、当該循環構造を通過する被処理水を一旦貯留してオゾン溶解を促進するための溶解促進槽を設けてある。
請求項27の消毒装置によれば、請求項21乃至26いずれかの消毒装置の作用効果に加え、溶解促進槽の働きによって被処理水に対するオゾン溶解が促進される。溶解促進槽に貯留された被処理水は、その貯留によって安定状態に置かれる。安定状態に置かれた被処理水は、それに対するオゾン溶解が熟成類似の作用によって促進される。気液混合構造において動的に溶解させられたオゾンは、溶解促進槽において静的に溶解させられ、両者の作用によって被処理水に対するオゾンの溶解が飛躍的に促進される。
(請求項28記載の発明の特徴)
請求項28記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項28の消毒装置」という)には、請求項27の消毒装置の構成を備えさせた上で、前記溶解促進槽の頂部には、貯留してある被処理水から脱気したオゾンを排出可能とする脱気構造を設けてある。
請求項28の消毒装置によれば、請求項27の消毒装置の作用効果に加え、被処理水を循環する過程において被処理水に溶解しなかったオゾンを装置外へ排出することができる。未溶解のオゾンを排出することによって、被処理水が含むオゾンは、溶解度の高いものであって低いものが排除される。したがって、真にオゾン溶解度の高いオゾン水が生成される。
(請求項29記載の発明の特徴)
請求項29記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項29の消毒装置」という)には、請求項21乃至28いずれかの消毒装置の構成を備えさせた上で、前記加圧ポンプの加圧による所定圧力が0.2〜0.8MPaに設定してある。
請求項29の消毒装置によれば、請求項21乃至28いずれかの消毒装置の作用効果に加え、所定圧力が0.2〜0.8MPaの範囲に設定されていることによって、ノズル散布前のオゾン水の濃度低下を効果的に実現することができる。すなわち、上記範囲を下回るとノズルの孔径や孔数等にもよるが圧力不足により十分なオゾン水散布ができない場合が想定される一方、上記範囲を超えた圧力でオゾン水を加圧すると配管内部やノズル内部等における温度上昇や散布時に一気に常圧に戻ることによる圧力差によって脱気が生じる場合が考えられるので、そのようなオゾン脱気を可及的に抑制するための設定である。
(請求項30記載の発明の特徴)
請求項30記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項30の消毒装置」という)には、請求項29の消毒装置の構成を備えさせた上で、前記ノズル又はノズル群から散布したオゾン水の平均粒径が、40〜200μm未満又は200〜1000μmに設定してある。
請求項30の消毒装置によれば、請求項29の消毒装置の作用効果に加え、平均粒径を上記範囲に設定することによって、目的に応じたオゾン水散布を行うことができる。すなわち、平均粒径が40〜200μm未満であるときは、オゾン水が霧に近い状態であるため、たとえば、風邪防止のために家畜を極端に濡れさせたくない場合や畜舎内の広い領域にオゾン水散布を行いたい場合などに好都合である。他方、平均粒径が200〜1000μmであるとき、すなわち、人が日常で使用するシャワーに近い粒径であるときは、たとえば、家畜体の汚れを洗い流したい場合、家畜体の局所(たとえば、陰部)等を集中的に洗浄消毒したい場合、畜舎の床を洗い流しつつ消毒したい場合に使い勝手がよい。何れにしろ、ノズル又はノズル群から散布したオゾン水を効率よく家畜又は畜舎に行き渡らせることが可能になり、また、使用環境や使用目的に合わせて散布オゾン水の粒径を選択することによって、家畜に散布したときに家畜に風邪を引かせる等の恐れが極めて少なくすることができる。なお、平均粒径40μmを下回る粒径のオゾン水は、畜舎の通気性や温度等の環境にもよるが、粒径が小さいため比較的軽く散布後に空気の自然流に流され易い。したがって、たとえば、家畜(蓄体)や畜舎の床面等にまでオゾン水(オゾン細霧)が十分に行き渡らない場合があり得る。一方、平均粒径1000μmを超える粒径のオゾン水は、単にホースでまかれたオゾン水と大差ない。したがって、家畜に直接散布すると、畜舎の環境によって異なるが、たとえば、離乳前の子豚に散布すると粒径が大きすぎるため濡れによって体温が奪われ子豚に風邪を引かせる恐れがある。以上の理由から、散布オゾン水の平均粒径を上記範囲に設定したのである。
(請求項31記載の発明の特徴)
請求項31記載の発明に係る家畜消毒装置(以下、適宜「請求項31の消毒装置」という)には、請求項21乃至30いずれかの消毒装置の構成を備えさせた上で、前記貯留タンクに貯留させたオゾン水を送水するために当該貯留タンクと前記加圧ポンプの吸込み口との間に配した送水ラインと、当該加圧ポンプの吐出し口に一方側を接続し前記ノズル又はノズル群を備える散布ラインと、当該散布ライン内に残る残余オゾン水を当該貯留タンクに戻すために当該散布ライン他方側と当該貯留タンクとの間に配した戻しラインと、閉鎖により当該散布ライン内のオゾン水を加圧して当該ノズル又はノズル群からオゾン水を散布させるために当該戻しラインに設けたラインバルブと、を含めて構成してあり、当該ラインバルブの閉鎖による当該散布ライン内の圧力増加に伴い当該ノズル又はノズル群からオゾン水が散布可能に構成してある。
請求項31の消毒装置によれば、請求項21乃至30何れかの消毒装置であって、貯留タンク内にあるオゾン水は加圧ポンプによって送水ライン経由で送水され、その後、散布ラインを介して戻しラインを抜け貯留タンクに戻される、という循環経路が形成される。ラインバルブは、その開放時に循環経路のオゾン水の循環を許容する一方、その閉鎖時にはオゾン水の戻りを止め散布ライン内のオゾン水の圧力を高める。すなわち、オゾン水の戻りが止められた状態で加圧ポンプがオゾン水を圧送することによって、散布ライン内のオゾン水が加圧される。オゾン水の圧力がノズル又はノズル群にオゾン水散布を行わせるに充分な圧力に達したときに、オゾン散布が行われる。ラインバルブを再び開放すれば、散布ライン内のオゾン水の圧力が下がりオゾン水散布が停止する。このとき、オゾン水はノズル又はノズル群から散布されずに通過し、貯留タンクに戻される。加圧ポンプを停止させれば、オゾン水の循環も停止する。
(請求項32記載の発明の特徴)
請求項32記載の家畜消毒装置(以下、適宜「請求項32の消毒装置」という)は、請求項21乃至31何れかの消毒装置であって、前記ノズル又はノズル群による散布の代わりに、又は、当該散布と併せてホース散布可能に構成してある。
請求項32の消毒装置によれば、請求項21乃至31いずれかの消毒装置であって、ホース散布をノズル散布と切り替えて単独又はノズル散布と併用で行うことができる。ノズル散布とホース散布は、オゾン水を散布する箇所や消毒に必要なオゾン水の量等を勘案して適宜選択するとよい。
(請求項33記載の発明の特徴)
請求項33記載の家畜消毒装置(以下、適宜「請求項33の消毒装置」という)は、請求項21乃至32何れかの消毒装置であって、移動可能とするための移動構造を備えさせてあることを特徴とする。移動構造とは、たとえば、トラックや手動牽引装置のような自力又は他力で前記した消毒装置を運搬可能な装置又は部材のことをいう。
請求項33の消毒装置によれば、請求項21乃至32何れかの消毒装置の作用効果に加え、移動構造の働きにより消毒装置を必要な場所に簡単に運搬することができる。したがって、たとえば、大掛かりなオゾン水の送水ラインを設ける代わりに、トラック(移動構造)に搭載した消毒装置を用意しておけば、必要に応じて必要な場所に消毒装置を運搬して消毒作業を行うことができる。必要な場所は、同じ飼育施設内であってもよいし、異なる飼育施設内であってもよい。つまり、移動構造を設けることは、消毒装置を異なる飼育施設間で移動させることを可能にする。たとえば、1台の消毒装置を複数の飼育施設で共有する場合に便利であり、かつ、経済的である。
本発明に係る家畜及び/又は畜舎の消毒方法及び消毒装置によれば、オゾン水からのオゾン脱気を有効阻止することによって、人畜に対して悪影響を与える恐れのない家畜の消毒方法及びその消毒装置、さらに、そのような消毒方法を用いて飼育した家畜又は家畜肉を提供することができる。したがって、家畜又は畜舎、さらには両者をオゾン水で効果的に消毒が可能になり、その結果、悪臭発生や家畜の病気発生を有効に防止することができる。さらに、衛生的に家畜又は家畜肉の提供も可能となる。
(家畜・畜舎の消毒方法)
本発明を実施するための最良の形態(以下、適宜「本実施形態」という)は、次のとおりである。すなわち、家畜及び/又は畜舎の消毒は、含有オゾン気泡の粒径Rが、0<R<50nm、かつ、オゾン濃度3〜20ppmのオゾン水を、気液混合方式によって生成するオゾン水生成工程と、当該オゾン水生成工程において生成されたオゾン水を用いて家畜を消毒する工程と、によって行うことができる。生成するオゾン水のオゾン濃度が、散布後に3〜20ppmとなる濃度である必要がある。原水にオゾンを溶解させる方式を気液混合方式ともいう。気液混合方式以外に、たとえば、電解方式があるが、この電解方式はナトリウム等の電解質を必要としそのナトリウムが家畜に害を及ぼす恐れがあるため使用することができない。3〜20ppmのオゾン濃度が必要な理由は、次項で説明する。
3〜20ppmのオゾン濃度が必要な理由は、次のとおりである。すなわち、ノズル又はホースから散布されたオゾン濃度が3〜20ppmであるオゾン水が、ノズルから家畜又は畜舎(の中の設備等)までの距離、散布したときに大気中に浮遊する臭気ガス等の有無やその多少によって分解される溶存オゾン(原水の中に溶存するオゾン)の量、畜舎内の通気状況等の条件によって違いはあるが、散布したオゾン水(の細霧)を家畜の蓄体や畜舎のケージ等に概ねオゾン濃度1ppmの状態で到達させ得る。前記背景技術の欄において述べたように、オゾン濃度1ppmのオゾン水であれば、十分な消毒効果を得ることができるから、上記オゾン水の散布によって悪臭や病気の予防を効果的に行うことができる。他方、発明者らが行った実験によれば、原水にオゾンを溶解させる気液混合方式によってオゾン水を効率よく生成するには概ね20ppmが限度である。20ppmを超えたオゾン水の生成も可能ではあるが、生成効率が著しく低下するためオゾン水を大量に必要とする家畜消毒には不適であることが判明した。このとき、オゾン濃度を高めるための添加剤等は使用していない。散布後のオゾン濃度が3〜20ppmとするための散布前のオゾン濃度は、散布する際のオゾン水の圧力、散布の粒径、外気温等の使用環境等によって影響を受けるが、概ね3〜20ppmの範囲である。ただ、ノズル散布は散布するときの圧力変化がホース散布するときの圧力変化に比べて大きいので、それだけ散布時に僅かながらであるがオゾン脱気する可能性がある。したがって、ホース散布であればほとんど必要がないが、ノズル散布の場合は散布後に求められるオゾン濃度よりも若干高めの濃度のオゾン水を生成しておくことが好ましい。なお、発明者は、本実施形態に係る消毒方法を用いて更なる効果の検証を行ったところ、オゾン濃度を7〜8ppm前後にまで高めたオゾン水は、一般的には殺菌が難しいとされているエンベロープウイルス(ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、オルソミクソウイルス、コロナウイルス等)、大きなエンベロープのないウイルス(アデノウイルス、レオウイルス、パポバウイルス等)、さらに、小さなエンベロープのないウイルス(ピコルナウイルス、パルボウイルス等)に対してさえも極めて効果的であることが判明した。具体的には、0.5mlのウイルス液(2%牛血清を含む培地)を100mlのオゾン水に接種したときにほぼ瞬時に殺菌効果(不活化)を得ることができた。したがって、上述した大気中に浮遊する臭気ガスの有無等にもよるが、たとえば、散布後に臭気ガスと反応して分解される分を見越して濃度高めの9〜10ppm前後のオゾン水を散布し、家畜又は畜舎に7〜8ppmのオゾン水を届かせるようにすれば、エンベロープウイルス等をも効果的に殺菌(不活化)することができる。懸念される細菌やウイルスの種類、使用環境、対象となる家畜の種類、オゾン水の生成コスト等に応じて散布後のオゾン水の濃度を3〜20ppmの範囲で適宜選択するとよい。
オゾン水を用いた消毒方法には、散布、撒く、塗布、濡らす等があるが、オゾン水散布するのであれば、たとえば、シャワーのように散布する方法や、細かい霧状に散布(細霧)する方法がある。さらに、ホースを用いて散布する方法もある。消毒用途に応じて使い分けるとよい。たとえば、多量のオゾン水を家畜に浴びさせたいときや、畜舎の床やケージ等を集中的に消毒したいときには、シャワー方式やホース方式によって行うのが便利である。他方、家畜のいる畜舎内全体を消毒したいときは、細霧による方法が適している。細霧するときのオゾン水の平均粒径は、消毒対象の違いや使用環境の違い等に合わせて40〜200μm未満又は200〜1000μmの範囲で適宜設定するとよい。たとえば、小径粒径は子供の家畜消毒用とし、大径粒径は親家畜や畜舎の床の消毒用とするように、粒径の違うオゾン水を同時に又は時を異にして散布し分けてもよい。散布するオゾン水の圧力を上記した0.2〜0.8MPaの範囲に設定する必要があることから、そのような圧力範囲内で細霧するためには平均粒径にも一定の限界があるという理由もあるが、ノズルから散布したオゾン水を効率よく家畜又は畜舎に行き渡らせ、さらに、家畜に風邪を引かせることのないようにするために適切な粒径であると考えられるからである。
家畜消毒に使用するオゾン水は、オゾン溶解度を高いことが重要である。オゾン溶解度の高いオゾン水とは、含有するオゾン気泡の粒径が、50nm未満であるもののことをいう。50nm未満の粒径を持ったオゾン気泡であれば、オゾン水から浮力を受けることがほとんどないため、オゾンがオゾン水液面に浮上せずにオゾン水中に滞留するからである。滞留するということは、すなわち、脱気しないということである。散布前において圧送のために高圧に保持されていたオゾン水は、散布によって急激に圧力から開放され、この散布の際の圧力変化による衝撃が、オゾンをオゾン水から脱気させるものと推測されるところ、粒径50nmのオゾン気泡であれば、圧力開放により破裂に十分なまでに膨張しないから、オゾン気泡はオゾン水の中に滞留したままである。すなわち、オゾン脱気が生じない。粒径50nm未満のオゾン気泡を含有するオゾン水を生成は、被処理水とオゾンとを混合を、磁界の中で行わせることによって達成することができる。上記方法によるオゾン溶解は、原水と生成後のオゾン水との間のpH値を変化させない。オゾン水が中性である場合にオゾンが脱気しづらいといわれるが、本発明に係るオゾン水であれば、pH値を調整するための添加剤は不要である。家畜や畜舎の消毒にノズル散布を利用する場合に、ノズル散布に適したオゾン水の平均粒径は、40〜200μm未満又は200〜1000μm程度に設定することが好ましい。家畜体や畜舎に満遍なくオゾン水を行き渡らせるために都合のよい粒径だからである。また、オゾン水を加圧散布するときのオゾン水の所定圧力は、0.2〜0.8MPaに設定する。圧力が低すぎると円滑な散布ができないし、高すぎると散布前後の圧力差が大きくなりすぎてしまうことにより溶解していたオゾンが脱気する恐れがあるからである。
生成した、又は、生成中のオゾン水は、貯留タンクに一時貯留させ、貯留させたオゾン水は、オゾン脱気を抑制するために5〜15℃の範囲に保持しておくとよい。一度貯留タンクに貯留したオゾン水は、そのままであればオゾンが徐々に自然脱気又は自己分解してしまうので、貯留タンク外ヘ出させた後、圧送によって循環させてから貯留タンクに戻させるとともに、その循環工程の中でオゾン水のオゾンを所定濃度に保持するために気液混合を繰り返すことが好ましい。オゾンは供給し続ける必要は必ずしもなく、貯留タンク内のオゾン水のオゾン濃度を監視しながら、オゾン濃度は所定濃度より低くなったときにのみ供給するようにすればよい。散布されずに残った残余オゾン水は、時間の経過とともにそのオゾン濃度が低下するが再度オゾンを溶解することによって再利用が可能である。再利用のためには、オゾン水を圧送して上記循環工程を少なくとも1回(2回以上でもよい)通過(循環)させ、所定濃度にまでオゾンを溶解させる必要がある。このことは、オゾン水散布を一端停止した後における再度オゾン水散布を開始する際には、特に重要である。オゾン水散布開始前に貯留タンク外にある残余オゾン水を圧送により貯留タンクに戻した後にオゾン水散布を行うようにすれば、オゾン濃度が低下した、つまり、消毒効果の低い残余オゾン水を散布しないで済むからである。
オゾン水散布は、家畜や畜舎に満遍なく行き渡るように行うのが基本であるが、不潔になりやすい家畜の陰部に直接散布することも併せて行うとよい。その際には、図17(?)に示すようなケージ150に家畜を入れ、家畜を整列させた状態でノズル153からオゾン水散布を行うと効率的である。この消毒方法は、出産を控えた雌家畜に対して行うと、雌家畜と生まれた家畜との双方の健康維持のために極めて効果的である。さらに、図18に示すような消毒通路155内で家畜を一列縦列に移動させつつ、家畜よりも高い位置及び低い位置に設けてあるノズル157,157,159,159からオゾン水を散布し、オゾン水散布の終了後にブロー装置161からエアブローして水切りを行い散布後の家畜に風邪をひかせることのないようにすることが望まれる。エアブローは、家畜に対して正面上方から水平に対して20〜70度の角度α(図18(?)に示すエアー163と水平との間の角度)をもって家畜に対して行うとよい。家畜の種類にもよるが、家畜の毛並みの角度に合わせることによって、水切り効果を高めるためである。なお、上述した家畜・畜舎の消毒方法を実施したときの効果を確認するために、次の実験を行った。なお、符号165は、消毒通路155内の換気をするための喚起装置を示している。散布したオゾン水から脱気するオゾン量は安全基準を満たすものであるが、より安全を図るために換気装置165を設けておくことが好ましい。消毒通路155は、適宜な場所に設置可能であるが、畜舎と畜舎との間に配しておくと畜舎間の感染を有効に阻止することができる。
(実験1)
前述した非特許文献2にも述べられているように、溶解していたオゾンは、オゾン水散布によって脱気又は分解しやすいが、この脱気又は分解は、加圧散布の際の脱気又は分解の速度を抑制する方法として原水のクラスターを細分化(原水の活性化)することによって効果的に抑制可能であることを発明者らは実験1によって確かめた。実験1の結果は、表2及び3に示すとおりである。
Figure 2007167053
表2に示すのは、原水(水道水)にオゾンを溶解させてオゾン濃度2ppm又は4ppmに到達するまでの時間の比較である。このとき、オゾン水を貯留するタンクの容量は1トン、オゾンガス発生量は10g/h、水温は22〜23℃であった。濃度到達時間は、紫外線吸光式オゾン水濃度計数値が、オゾン溶解開始から所定濃度を10秒以上表示した時点に至るまでの時間である。原水のクラスターを細分化するための原水細分化構造を取り付けずに水道水(原水)のままオゾン水を生成した場合の2ppm到達時間は32分50秒であったのに対し、後述する本実施形態の欄の中で説明する原水細分化構造11を取り付けてクラスター細分化を行ってからオゾン水を生成した場合の2ppm到達時間は25分20秒であった。時間にして7分30秒、約22.8%の時間短縮が図れた。他方、同じ条件下において原水の4ppm到達時間が72分10秒であったのに対し、クラスター細分化後の4ppm到達時間は60分20秒であった。時間にして11分50秒、約16.4%の時間短縮が図れた。以上の実験から、クラスター細分化によってオゾンが原水に溶解し易くなったものと推測される。
Figure 2007167053
表3に示すのは、実験1によって生成した4ppmのオゾン濃度が半減して2ppmになるまでの時間の比較である。後述する原水細分化構造11を取り付けずにオゾン水を生成(水道水のままオゾン水生成)した場合の半減時間44分であったのに対し、原水細分化構造11を取り付けてオゾン水生成(クラスター細分化)した場合の半減時間は69分となり約36%も長いことが分かった。半減時間が長いということは、同じ4ppmのオゾン水であっても、クラスター細分化を行ったものはオゾン溶解度が高い、すなわち、オゾンが脱気又は分解しにくい、ということ示している。このときのオゾン水はpH5〜7.5の微酸性若しくは中性を示していた。
(実験2)
実験2では、実験1で用いたオゾン水を密閉した試験室内でオゾン水を散布したときに、その試験室内オゾン濃度を時間経過に合わせて計測したものである。比較対象は、クラスター細分化を行なわないオゾン水と、電解法方式により生成したオゾン水である。この試験室は、奥行き1700mm、幅2800mm、高さ2050mmの空間を樹脂シートで仕切ることによって構成した。試験室内は、無風無臭である。4ppmオゾン水を、圧力0.4MPa(4kg/cm)に加圧し平均粒径は110〜150μmとした。散布角度は、試験室天井から下方に向けて約90°とした。実験結果は、表4に示す通りである。なお、表4下段は、表4上段に示すものをグラフ化したものである。
Figure 2007167053
表4に示すように、クラスターを細分化した細分化原水を散布したときの試験室内のオゾン濃度は、散布してから180秒経過するまでは、オゾンガスの安全基準とされる0.1ppm以下であることが分かった。180秒あれば、散布したオゾン水は家畜や畜舎の隅々に行き渡らせるのに十分な時間である。さらに、散布後300秒経過した段階でも安全基準を僅かに上回る0.16ppmしかなかった。実験2は、上述したように、無風無臭の密閉室内における実験であるから、実際の畜舎内で行えばより好ましい結果を得ることができるので実用上差し支えない。なぜなら、上記実験は無風無臭の狭い密閉空間内における実験であるし、実際の畜舎内が無風であることはなく、多様な有機物が浮遊しているから、散布されたオゾン水は、これらの有機物と反応して分解してしまいオゾン濃度はさらに低くなってしまうからである。実験2から、実験1で生成したオゾン水は、畜舎内のオゾン濃度を安全基準以上に高めるものではなく、家畜や作業員が畜舎内にいても安全であることが分かった。これに対し、細分化原水を用いていない他の二者は、散布してから遅くとも40秒経過したときのオゾン濃度が0.1ppmを上回っていた。
(実験3)
実験3では、散布後のオゾン濃度が3ppm以上のオゾン水を生成するための生成オゾン濃度を、散布する前のオゾン水の圧力との関係において比較実験した。散布後のオゾン濃度は、散布したオゾン水を採取して紫外線吸光装置によって測定した。散布されたオゾンは、散布された大気中にある有機物等と反応して分解しやすいので、それらとの反応を極力少なくするために、ノズルから約10cmの位置で採取した。生成オゾン水のオゾン濃度(生成濃度)を2〜20ppmまで段階的に変化させ、異なる吐出圧を持つポンプによってノズル散布を行った。散布したオゾン水の平均粒径は、0.5MPa(5kg/cm)のときに80μm、同じく1.5MPa(15kg/cm)のときに40μmであった。実験3の結果は、表5に示すとおりである。
Figure 2007167053
表5に示すように、吐出圧力が1.5MPaのポンプを用いて散布を行ったところ、すべてが3ppmを下回った。同じく3MPaのポンプを用いた散布では、オゾンは完全に脱気又は分解して残っていなかった。他方、吐出圧力が0.3MPa,O.5MPa及び0.8MPaのポンプを用いて散布を行ったところ、散布後のオゾン濃度は概ね3ppm以上を得た。以上の実験結果から、吐出圧力を低くすれば低くするほど散布後のオゾン濃度が高いことが分かった。この実験2の結果と、オゾン水散布に最低限必要な吐出圧力(圧力が低すぎると散布できない)が概ね0.2MPaであること、を併せて考慮すると、散布濃度を3〜20ppmとしたときに、吐出圧力、すなわち、散布するオゾン水の圧力は0.2〜0.8MPaの範囲に設定すれば、家畜や畜舎を同時又は別々に消毒可能であることが分かった。
(実験4)
実験4では、水温とオゾン濃度との関係について考察した。まず、表6に示すのは、オゾン溶解度の高いオゾン水、すなわち、含有するオゾン気泡の粒径が5nm未満のオゾン水のオゾン濃度と、原水(すなわち、ゼロppm)にオゾンを溶解させて表6に表示するオゾン濃度に立ち上げるために要した時間との関係である。表6から読み取れるように、たとえば、水温を10℃とすると、生成開始後10分以内に2.5ppmに達し、250分後に略15ppmである14.8ppmに達している。水温を10℃に保持しておけば略250分あれば必要とする最高濃度のオゾン水を得られることがわかった。一方、水温以外を同じ条件でオゾンを溶解させた場合における250分後のオゾン濃度は、水温20℃のときに9.6ppmであり、同じく水温30℃のときに4.7ppmであった。また、方向を変えて実験結果を考察すると、水温20℃で250分を要したオゾン濃度9.6ppmは、同濃度のオゾン水を得るために水温10℃とすれば略3分の1の70数分(表6で70分と80分の間)で得られている。同様に、水温30℃のオゾン濃度4.7ppmは、水温10℃であれば8分の1以下の30分足らずで達している。以上のことから、同じ装置を用いてオゾンを溶解させるときに、水温の高低がオゾン濃度に大きな影響を与えること、そして、水温の低いほうが、同濃度のオゾン水を生成するのにより短い時間で済むこと、同じ時間をかけて生成を行うのであればより高濃度のオゾン水を得られること、がわかった。
他方、表7が示すのは、表6に示すオゾン水を、オゾン水生成構造を停止した状態で放置したときのオゾン濃度の低下と時間との関係である。水温10℃とした場合おいて14.8ppmであったオゾン濃度がゼロにまで減少するのに430分を要した。換言すれば、オゾン水がオゾン供給停止後430分もの間、オゾンを脱気させずに溶解状態を保ち続けていた。これに対し、水温20℃とした場合は190分、水温30℃とした場合は60分であった。また、方向を変えて実験結果を考察すると、水温20℃では190分であったオゾン濃度9.6ppmがゼロになるまでの時間が、水温10℃では停止後160分(このとき、オゾン濃度9.6ppm)から430分までの270分間、すなわち、略1.42倍(≒270÷190)の長さであった。同様に、水温30℃では60分であったオゾン濃度4.7ppmがゼロになるまでの時間が、水温10℃では停止後90分(このとき、オゾン濃度4.8ppm)から430分までの340分間、すなわち、略5.7倍(≒340÷60)の長さの時間であった。以上のことから、水温の低いほうが、より長い時間オゾンを脱気させず保持可能であることがわかった。
Figure 2007167053
Figure 2007167053
(消毒装置)
上述した家畜及び/又は畜舎の消毒方法を実施するために本実施形態では、家畜及び/又は畜舎の消毒装置を次のとおり構成した。各図を参照しながら説明する。図1は、豚舎の平面図である。図2は、図1に示す豚舎のA−A断面図である。図3は、オゾン水を生成散布可能な消毒装置の概略構成図である。図4は、消毒装置を構成する部材及び構造の相関図である。図5は、図3に示す原水細分化構造の縦断面図である。図6は、第1渦流ポンプの縦断面図である。図7は、第2渦流ポンプの縦断面図である。図8は、エジェクター(気液混合構造)の縦断面図である。図9は、スタティックミキサーの縦断面図である。図10は、サイクロンの縦断面図である。図11は、図3に示す消毒装置の変形例を示す概略構成図である。図12は、渦流ポンプの変形例を示す縦断面図である。図13は、エジェクターの変形例を示す縦断面図である。図14は、オゾン水散布ラインの概略平面図である。図15及び16は、バルブ開閉のタイミングを示す図である。図17乃至20は、家畜を洗浄する状態を示す図である。図21は、消毒装置が有するオゾン水生成装置の変形例を示す概略構成図である。図22は、気液混合構造の正面図である。図23は、図22に示す気液混合構造の左側面図である。図24は、図23に示す気液混合構造のX−X断面図である。図25は、一部を省略した気液混合構造の平面図である。図26は、溶解促進槽の縦断面図である。図27は、比較実験を行うためのオゾン水生成装置の概略構成図である。図28は、運搬構造に搭載した消毒装置の斜視図である。なお、本実施形態では、豚及び/又は豚舎を消毒する目的で消毒装置を豚舎に設置したが、豚以外の家畜、豚舎以外の畜舎にも適用可能であることはいうまでもない。
(消毒装置の設置)
図1乃至3に基づいて説明する。豚舎101には、オゾン水を送水するための送水ライン103と、オゾン水を散布するための散布ライン105と、散布後の余剰オゾン水を戻すための戻しライン107と、後述する消毒装置1を設けてある。消毒装置1で生成されたオゾン水は送水ライン103を介して散布ライン105に圧送され、散布ライン105に接続してあるノズル9(ノズル群9)によって散布される(図2参照)。散布後の余剰オゾン水は戻しライン107を介して消毒装置1に戻されるようになっている。図3に示す符号109は、戻しライン107から不純物を取り除くためのフィルター(ストレーナー)を示している。符号107Vは、戻しライン107内に設けたラインバルブである。ラインバルブ107Vは、その開閉によって、戻しライン107内におけるオゾン水の移動を許容し、又は、遮断するためのバルブである。後述する加圧ポンプ7が稼動しているときに、ラインバルブ107Vを開くとオゾン水が後述する貯留タンク15に戻り、閉じると散布ライン105内の圧力が上昇してノズル群9からオゾン水散布が行われる。
(消毒装置の概略構造)
図3及び4に基づいて説明する。消毒装置1は、取水バルブ3と、オゾン水生成構造5と、加圧ポンプ7及びノズル9と、から概略構成してある。取水バルブ3は、電磁バルブであって、原水となる水道水又は井戸水の供給源に接続してある。オゾン水生成装置5は後述する高溶解度・高濃度のオゾン水を生成するためのものである。加圧ポンプ7は、生成したオゾン水を散布のために所定圧力にまで加圧するポンプである。加圧ポンプ7によって加圧されたオゾン水の散布は、ノズル9(ノズル群9)を介して行う。ノズル9は、説明の便宜のために単数として扱うが、複数であってもよいし、複数である場合に互いに形状や孔径等が異なっていてもよい。消毒装置1は、オゾン水散布を行おうとする豚舎に設置して使用するのが一般的であるが、たとえば、これを車両に搭載しておき複数の豚舎に対して交互に使用可能に構成することもできる。なお、消毒装置1には、装置全体を制御するための制御装置(CONTROLLER)2を備えさせてある(図3参照)。
(原水細分化構造)
図3及び5に基づいて説明する。原水細分化構造11は、取水バルブ3から取り入れた原水のクラスターを細分化して細分化原水を生成するためのものである。原水細分化構造11は、原水Gが流れる配管4の外周に配管4と同心円上に固定した金属製ケーシング11aと、パッキン11bと、ケーシング11a内に封入した磁石11c,11cと、から構成してある。磁石11c,11cは、原水に磁力を作用させるためのものである。磁石11c,11cの磁力は、たとえば、1〜1.5T(10,000〜15,000ガウス)程度のものが好適である。原水Gのような水はクラスターGcを形成することが知られているが、原水細分化構造11は、エネルギーを与えることによって原水のクラスターGcを細分化してクラスターGsとする機能を有している。図3に示すクラスターGc,Gsは、あくまでも説明のために示す概念図であり必ずしも同図に示すように細分化されるわけではなく、その測定方法も確立させているわけではないが、原水細分化構造11を設けることにより、表2及び3に示すように濃度到達時間の短縮及びオゾンの半減時間延長が可能であることは現象的に明らかであり、このことから、加圧散布の際にオゾン水からオゾンが脱気したり分解したりする速度を有効に抑制することがわかる。磁石11cの代わりに遠赤外線効果を作用しうる炭素チップ群や微細振動を与え得る超音波発生装置等を用いることもできる。なお、原水細分化構造11を設ける位置は取水バルブ3の上流側でも下流側でもよい。さらに、配管4は、遠赤外線や磁力等の透過を妨げない材質、たとえば、塩化ビニール等で構成すべきことはいうまでもない。なお、原水細分化構造11は、これを、後述する渦流ポンプ、エジェクター、スタティックミキサーの上流及び/又は下流側に適宜設けることもできる。
(オゾン溶解構造)
図3及び4を参照する。オゾン溶解構造13は、貯留タンク15と、オゾン供給装置19と、循環構造21と、により構成してある。貯留タンク15は、取水バルブ3を介して注入した原水及び/又はオゾン水を貯留するためのタンクであって、たとえば、3トン程度の貯留量を備えている。オゾン供給装置19は、オゾンを生成供給するための装置であるが、必要なオゾン量を供給可能なものであればオゾン発生原理等に何ら制限はない。循環構造21は、貯留タンク15から取り出した細分化原水及び/又はオゾン水をオゾン溶解後に貯留タンク15に戻すためのものであり、後述する複数の部材や構造によって構成してある。
(循環構造)
図3、4及び5乃至10を参照しながら説明する。循環構造21は、第1渦流ポンプ31、エジェクター35、第1スタティックミキサー41、第2渦流ポンプ31´、第2スタティックミキサー51、サイクロン55、オゾン水帰還管61及びオゾン帰還管65と、上記各部材を連結する配管群によって構成してある。上記した構成のうち、オゾン帰還管65を除いたものは貯留タンク15から取り出した細分化原水及び/又はオゾン水にオゾンを溶解させ再び貯留タンク15に戻す循環経路であって、オゾン帰還管65はサイクロン55から取り出した余剰オゾンを第2渦流ポンプ31´に戻す循環経路である。以下、各構成要素について説明する。なお、原水のクラスターを細分化することはオゾン溶解の観点から好ましいことであることは前述したとおりである。他方で、このクラスターの細分化は、原水だけでなくオゾン水に対しても有効なオゾン溶解手段である。このため、循環構造21を構成する各部材や装置の適宜な箇所に、前述した磁石11cと同一若しくは類似の磁石を設け循環するオゾン水に磁力を作用させるようにするとよい。
(渦流ポンプ)
図3及び6に基づいて、第1渦流ポンプについて説明する。第1渦流ポンプ31は、厚手円盤状のポンプ本体32と、ポンプ本体32の一部としてポンプ本体32から突き出る吸入部32a及び吐出部32bと、ポンプ本体32内で回転するインペラ33と、から概ね構成してある。吸入部32aは配管16を介して貯留タンク15に、吐出部32bは逆止弁71及び配管70を介してエジェクター35に、それぞれ接続してある。ポンプ本体32内には環状の昇圧通路32dが形成してあり、昇圧通路32dには吸入部32a内の吸入路32e及び吐出部32b内の吐出路32fを連通させてある。インペラ33は、インペラ本体33aと、インペラ本体33aの外周部から放射方向に延びる複数の羽根片33b,・・と、各羽根片33b,33b間に開口する羽根溝33c,・・と、を備えている。インペラ33は、インペラ本体33aの中心に設けた回転軸33dに接続したモーター(図示を省略)によってポンプ本体32内で回転されるようになっている。インペラ33の回転は、各羽根片33bと各羽根溝33cを昇圧通路32d内で回転させ、このとき、昇圧通路32d内に吸入路32eを介して吸入した原水(オゾン水)を攪拌しながら圧送して吐出路32fから吐出する。各羽根片33bは回転によって各羽根溝33c内にある原水(オゾン水)を攪拌してオゾン溶解を促進しながら圧送する。つまり、第1渦流ポンプ31は、オゾン溶解と圧送の機能を備えている。
なお、図7に示す第2渦流ポンプ31´は、基本的に第1渦流ポンプ31と同じ構造を有しており、異なるのは、第1渦流ポンプ31が有していないオゾン帰還部34を有している点だけである。すなわち、第2渦流ポンプ31´の吸入部32aにはオゾン帰還部34を設けてあり、オゾン帰還部34内の帰還路34aを吸入路32eに連通させてある。なお、オゾン帰還部34以外の部材は上述したように異なる点がないので、これらの部材については図6に示す符号と同じ符号を図7において使用するにとめ、それらについての説明を省略する。第2渦流ポンプ31´の吸入部32aは配管42を介して第1スタティックミキサー41に、同じく吐出部32bは配管46を介して第2スタティックミキサー51に、それぞれ配管を介して接続してある。オゾン帰還部34には、オゾン帰還管65の一端を接続してある。
(エジェクター)
図3及び8を参照する。エジェクター35は、細分化原水(オゾン水)にオゾンを溶解させるための装置であって、細径部38を有するベンチュリ管36と、細径部38近傍にオゾン供給のためのオゾン供給部37と、から概ね構成してある。ベンチュリ管36の入路36a内に圧送された細分化原水(オゾン水)には、細径部38内の細径路36cを通過するときに生じる負圧によって、オゾン供給部37内の供給路37aから吸引されたオゾンが混入してオゾン溶解が行われるようになっている。細径路36cを通過したオゾン水は出路36bから外部に圧送される。なお、オゾンは、オゾン供給部37に接続されたオゾン供給装置19(図3参照)から配管20と配管20に設けたバルブ23及び逆止弁22を介して供給されるようになっている。
(スタティックミキサー)
図3及び9に基づいて説明する。第1スタティックミキサー41と第2スタティックミキサー51は同じ構造に構成してあるので、ここでは、第1スタティックミキサー41の構造について説明する。第1スタティックミキサー41は、円筒状の流管41aと、流管41a内に設置した邪魔板群41bと、によって構成してある。圧送されてきた、細分化原水(オゾン水)を機械的にせん断して併せて送られてきたオゾンの溶解を促進するための装置である。第1スタティックミキサー41へのオゾン水圧送は第1渦流ポンプ31によって行われ、第2スタティックミキサー51へのオゾン水圧送は第2渦流ポンプ31´によって行われる。第2スタティックミキサーの吐出側は、配管52を介してサイクロン55に接続してある。
(サイクロン)
図3及び10を参照する。サイクロン55は、円筒状であって密閉されたサイクロン本体56と、サイクロン本体56上部に接続した気液分離装置57と、から構成してある。サイクロン本体56は、第2スタティックミキサー51から配管52を介して圧送されてきたオゾン水を内部で回転流動させることによってサイクロン効果を生じさせオゾンとの溶解を促進可能に構成してある。オゾン水内のオゾンは回転しながら上昇し、オゾン水から脱気した余剰オゾンは、サイクロン本体56の上部空間56aに抜け気液分離装置57を介してオゾン帰還管65に送られる。オゾン帰還管65内のオゾンは第2渦流ポンプ31´の負圧によって吸引され再びオゾン水に混入させられる。
(加圧ポンプとノズル)
加圧ポンプ7及びノズル9(ノズル群9)については、消毒方法の説明の際に説明したとおり、細霧するときのオゾン水の平均粒径は、40〜200μm未満又は200〜1000μmの範囲で使用目的等に応じて適宜設定するとよい。散布するオゾン水の圧力を上記した0.2〜0.8MPaの範囲に設定する必要があることから、そのような圧力範囲内で細霧するためには平均粒径にも一定の限界があるという理由もあるが、ノズルから散布したオゾン水を効率よく家畜又は畜舎に行き渡らせ、さらに、子豚等に風邪を引かせたりする恐れが少ないからである。貯留タンク15から配管17を介して取り出されたオゾン水は、吸込み口から加圧ポンプ7に吸いこまれ、そこで加圧され吐出し口から送水ライン103に圧送され、さらに、電磁弁104を介して散布ライン105に圧送されるようになっている。このようにして散布ライン105の一方側から圧送されたオゾン水は、前述したように、その一部がノズル9から散布され、散布残りの余剰オゾン水は、散布ライン105の他方側に連通する戻しライン107を介して貯留タンク15に戻せるようになっている。電磁弁104は、散布ライン105へのオゾン水の送水を阻止するための弁であるが、送水及びその遮断は加圧ポンプ7の稼動及びその停止のみによっても制御可能であるから省略も可能である。
(消毒装置の作用)
図3を参照する。取水バルブ3を介して取り入れられた水道水(原水)は、原水細分化構造11を介して貯留タンク15内に注入される。このとき、注入された水道水のクラスターが原水細分化構造11の遠赤外線作用によって細分化され、水道水は、細分化原水となっている。第1渦流ポンプ31によって貯留タンク15から取り出された細分化原水は、第1渦流ポンプによってエジェクター35に圧送される。エジェクター35の中にはオゾン供給装置19によってオゾンが供給され、細分化原水へのオゾン溶解が行われる。エジェクター35を通過したオゾン水は、第1スタティックミキサー41によってオゾン溶解が促進されるとともに、第2渦流ポンプ31´によって第2スタティックミキサー51に圧送される。第2スタティックミキサー51によってさらにオゾン溶解が促進されたオゾン水は、サイクロン55内に注入される。サイクロン55内のオゾン水は回転流動しサイクロン効果によってオゾン溶解がさらに促進される。サイクロン55から取り出されたオゾン水はオゾン水帰還管61を介して貯留タンク15に戻される。この時点で、貯留タンク15に注入された細分化原水がオゾン水となる。上記工程は、貯留タンク15に貯留されているオゾン水のオゾン濃度が所定濃度(具体的には、3〜20ppm)になるまで繰り返して行われる。所定濃度に達したオゾン水は、貯留タンク15から取り出され加圧ポンプ7によって圧送されノズル群9から散布される。散布後に残ったオゾン水はフィルター109を介して貯留タンク15に戻され、前述したように再利用に供される。
ここで、第1渦流ポンプ31と第2渦流ポンプ31´とは、相互に加圧を補助し合って混合する。すなわち、第1渦流ポンプ31と第2渦流ポンプ31´とは基本的に同じ構造・能力を備えているが、加圧補助し合うことによって第1渦流ポンプ31の吐出側よりも第2渦流ポンプ31´の吐出側の方が若干高圧になる(サイクロン55と気液分離装置57を経て貯留タンク15戻るオゾン帰還管65は同圧になる)が、第2渦流ポンプ31´の負圧によって余剰オゾンは第2渦流ポンプ31´に帰還させられる。つまり、余剰オゾンの発生は極めて僅かなものとなり、これによって、オゾン供給装置19の負担を小さくすることができる。
(消毒装置の変形例)
図11乃至13を参照しながら、前述した消毒装置1の変形例である消毒装置1Aについて説明する。消毒装置1Aは、消毒装置1と基本的に共通する構成を有しており、両者が主として異なるのは、消毒装置1が有していない冷却装置63を消毒装置1Aが有している点、両者が有するサイクロン55とサイクロン55Aの形状が異なる点、第2渦流ポンプ31´が有しない磁石32mを第2渦流ポンプ31´Aが有している点、さらに、エジェクター35が有していない磁石36mをエジェクター35Aが有する点である。なお、図示は省略するが、スタティックミキサー51に磁石を設けたものを採用することもできる。
図12に基づいて、本変形例に係る第2渦流ポンプ31´Aが、本実施形態に係る第2渦流ポンプ31´と異なる点について説明する。両者共通する点については、第2渦流ポンプ31´に用いた符号と同じ符号を図12において使用するに止め、それらの点についての説明は省略する。すなわち、第2渦流ポンプ31´Aが有するポンプ本体32の外側には、上述したように複数の磁石32m,・・をインペラ33の回転方向に沿わせた所定間隔を介して取り付けてある。各磁石32mは、ポンプ本体32内にあるオゾン水に磁力を作用させることによってクラスター細分化を図り、これによって、オゾン溶解度を高めるためのものである。したがって、ポンプ本体32は、各磁石32mの磁力が透過可能な材質(たとえば、磁力が透過可能なステンレス等の金属や合成樹脂)によって構成してある。なお、図示は省略するが、第1渦流ポンプ31に、第2渦流ポンプ31´Aと同様に磁石を設けてもよい。
図13に基づいて、本変形例に係るエジェクター35Aが、本実施形態に係る本実施形態に係るエジェクター35と異なる点について説明する。両者共通する点については、エジェクター35に用いた符号と同じ符号を図13において使用するに止め、それらの点についての説明は省略する。すなわち、エジェクター35Aのベンチュリ管36の外側には、前述したように複数の磁石36m,・・を長さ方向に沿わせた所定間隔を介して取り付けてある。各磁石36mは、ベンチュリ管36内にあるオゾン水に磁力を作用させることによってクラスター細分化を図り、これによって、オゾン溶解度を高めるためのものである。したがって、ベンチュリ管36は、各磁石36mの磁力が透過可能な材質(たとえば、磁力が透過可能なステンレス等の金属や合成樹脂)によって構成してある。なお、気液混合を行う装置として、エジェクターの代わりに膜モジュールの中に中空糸状のオゾンガスが透過可能な透過膜を束ね、この透過膜の内側に水を通過させてオゾンと混合させる溶解膜方式の装置(図示を省略)を使用することができる。そして、この溶解膜方式の装置に、磁石を設けて水のクラスター細分化を図ることも可能である。
図14乃至16を参照しながら、オゾン水を散布するタイミングについて説明する。図14に示す部材のうち、図1に示す部材と同じ部材については、図1で用いた符号と同じ符号を使用してある。図14において、図外の貯留タンク15(図3、11参照)に貯留してあるオゾン水は加圧ポンプ7によって電磁弁104a,104b経由で散布ライン105,・・に圧送され、散布ライン105,・・を通過したオゾン水は、戻しライン107,・・を経由して貯留タンクに戻されるという循環経路が形成される。電磁弁104aと電磁弁104bとは、これらを図15に示すように互い違いに開閉させることによって、2系統の循環経路を互い違いに使用可能とするためのものである。ここで、それまで開放状態にあったラインバルブ107Vを閉鎖することによって、その開放時に上記何れかの循環経路のオゾン水の循環を許可する一方、その閉鎖時にはオゾン水の戻りを止め散布ライン105,・・内のオゾン水の圧力を高める。すなわち、オゾン水の戻りが止められた状態で加圧ポンプ7がオゾン水を圧送することによって、散布ライン105,・・内のオゾン水が加圧されるようになっている。オゾン水の圧力がノズル群9にオゾン水散布を行わせるに充分な圧力に達したときに、オゾン散布が行われる。ラインバルブ107Vを再び開放すれば、散布ライン105,・・内のオゾン水の圧力が下がりオゾン水散布が停止する。このとき、オゾン水はノズル群9から散布されずに通過し、貯留タンクに戻される。加圧ポンプ7を停止させれば、オゾン水の循環も停止する。
ここで、オゾン水循環を停止させ再度循環させる場合、たとえば、ある日の午前中に散布した後、同日の午後にオゾン水散布を行うために再度循環させる場合、を想定する。この場合、散布ライン105,・・や戻しライン107,・・内にあるオゾン水の温度は、特に夏季においては日光等によって加熱されオゾンが脱気状態又は溶存しづらく散布時に脱気しやすい状態若しくは加熱によって溶存しているオゾンが自己分解して充分な濃度が保てない状態となっていることが多い。そこで、ラインバルブ107Vを開放状態にして(すなわち、散布不能状態)再度循環のために加圧ポンプ7を稼動させた後、加圧ポンプ7の稼動後に貯留タンクから出たオゾン水が、上記ノズル群9を構成する各ノズル9のうち最も遅く到達するノズル9を通過した後にラインバルブ107Vを閉鎖してノズル群9から上記オゾン水が散布されるようにする。上記タイミングでオゾン水散布が行われるように消毒装置1(1A)の制御装置2を構成しておくとよい。ライン内に放置されたオゾン水は、上記したようにオゾンが脱気している場合があるので、そのように脱気したオゾン水を散布しても有効な消毒を行うことができないからである。なお、図16に示すタイムチャートは、上述した散布タイミングを示している。
図17乃至20を参照しながら、家畜に対するオゾン水の好ましい散布方法について説明する。まず、図17に示すように、家畜の陰部にオゾン水を直接散布する。家畜の雌雄を問わず陰部には雑菌が繁殖しやすいので陰部消毒は家畜の健康を保つ上で極めて効果的だからである。1頭ずつ並ばせて収納可能な消毒用ケージ150の中に複数の家畜を同方向に入れ、ノズル153を介して各家畜の陰部に集中的にオゾン散布するようにするとよい。家畜が暴れても大きく畜体を移動させないで済むし、ノズル153を左右に向けるだけで何等もの家畜を同時消毒できるので大変便利だからである。
他の好ましい消毒方法を、図18乃至20に示す。ここでは、家畜を一列縦列に移動させつつ消毒を行う。たとえば、畜舎と他の畜舎との間の通路155を、家畜が一列縦列で移動できるように構成しておき、その通路155内で家畜よりも高い位置及び低い位置にノズル157,157,159,159を設置してあり、それらからオゾン水を散布可能に構成してある。符号165は、通路155に設けた換気扇を、符号1(1A)は消毒装置を、それぞれ示している。また、オゾン散布後は、エアブローによる水切りを行うことが好ましい。移動を終えた家畜がずぶ濡れ状態にあるということにならないようにするためである。家畜の風邪ひき等を抑制するために極めて重要である。エアブローはエアーノズル161を介して行う。符号163は、ブローされたエアーを示している。エアブローは、家畜に対して正面上方から水平に対して20〜70度の角度α(図18参照)をもって家畜に対して行うと効果的である。家畜の毛並み角度とブロー角度を略一致させることによって、水切り効果を高めることができるからである。
なお、家畜を消毒するオゾン水を用いて家畜施設(たとえば、畜舎、餌箱やケージ等の付帯設備)や家畜用具(糞尿を運搬するためのスコップ、飼育作業者の被服や作業靴、飼育現場に出入する車両)等を併せて消毒することが強く望まれる。家畜施設や家畜用具等を併せて消毒することにより、家畜の衛生状態を真に保つことができるからである。
(オゾン水生成装置の変形例)
図21乃至26を参照しながら、図1又は11に示す消毒装置が備えるオゾン水生成装置5の変形例について説明する。本変形例に係るオゾン水生成装置201は、図21に示すように、貯留タンク202と、オゾンを生成して供給するためのオゾン供給構造203と、貯留タンク202から取り出した被処理水を貯留タンク202に戻すための循環構造204と、循環構造204の途中に設けた気液混合構造205及び溶解促進槽206と、貯留タンク202に付設した温度保持構造207と、から概ね構成してある。以下の説明は、説明の都合上、貯留タンク202、温度保持構造207、オゾン供給構造203、気液混合構造205、溶解促進槽206を行った後、最後に循環構造204について行う。
(貯留タンク周辺の構造)
図21に示すように、貯留タンク202には取水バルブ202vを介して被処理水としての原水を注入可能に構成してある。貯留タンク202は取水した原水、及び、後述する循環構造204を介して循環させた被処理水(オゾン水)を貯留するためのものである。貯留タンク202に貯留された被処理水は、温度保持構造207によって、たとえば、5〜15℃の範囲に保持されるようになっている。上記範囲に温度設定したのは、オゾン溶解を効率よく行い、かつ、溶解させたオゾンを容易に脱気させないために適当であるからである。温度保持構造207は、貯留タンク202から被処理水を取り出すためのポンプ211と、取り出した被処理水を冷却するための冷却機212と、から概ね構成してあり、貯留タンク202とポンプ211、ポンプ211と冷却機212、冷却機212と貯留タンク202の間は被処理水を通過させる配管213によって連結してある。上記構成によって、貯留タンク202に貯留された被処理水(原水及び/又はオゾン水)は、ポンプ211の働きによって貯留タンク202から取り出され、冷却機212に送られる。冷却機212は送られてきた被処理水を所定範囲の温度に冷却して貯留タンク202に戻す。ポンプ211は、図外にある温度計によって計測された貯留タンク202内の被処理水の温度が所定範囲を超え冷却の必要があるときにのみ作動するようになっている。貯留タンク202を設けた理由は、被処理水を一旦貯留することによって上記冷却を可能にするとともに、被処理水を安定状態に置き、これによって、被処理水に対するオゾン溶解を熟成類似の作用によって促進させるためである。なお、たとえば、寒冷地等において被処理水が凍結する恐れがある場合は、上記冷却機の代わりに、又は、上記冷却機とともにヒーター装置を用いて被処理水を加温するように構成することもできる。
(オゾン供給構造)
オゾン供給構造203は、オゾンを生成供給するための装置である。必要なオゾン量を供給可能なものであれば、オゾン供給構造203が作用するオゾン発生原理等に何ら制限はない。オゾン供給構造203によって生成されたオゾンは、オゾン供給管217の途中に設けた電磁バルブ218と逆止弁219を介して気液混合構造205に供給されるようになっている。
(気液混合構造)
図21乃至25を参照しながら気液混合構造205の詳細について説明する。気液混合構造205は、ベンチュリ管231と、オゾン供給パイプ239と、磁気回路243と、により概ね構成してある。ベンチュリ管231は、上流側(図24の向かって右側)から送られた被処理水を下流側(図24の向かって左側)へ通過させるためのパイプ状の外観を有している(図22参照)。ベンチュリ管231を長手方向に貫く中空部は、上流側から下流側に向かって上流側大経路232、絞り傾斜路233、小径路234、開放傾斜路235及び下流側大経路236の順に連通している。上流側大経路232は、軸線方向に対して50度前後の急角度をもって絞り方向に傾斜する絞り傾斜路233を介して小径路234に繋げられ、その後、開放傾斜路235によって同じく軸線方向に対して30度前後の緩やかな角度を持って開放される。開放傾斜路235は、上流側大経路232と同じ外径の下流側大経路236に繋がっている。他方、小径路234には、そこにオゾン供給パイプ239の開口端を臨ませてある。オゾン供給パイプ239の供給端にはオゾン供給構造203と連通するオゾン供給管217が接続してある。小径路234の中、又は、その近傍は、被処理水の圧力変化によって真空又は真空に近い状態になるため、開口端に及んだオゾンは吸引され乱流化した被処理水内に散気される。なお、符号240は、ベンチュリ管231とオゾン供給パイプ239との間を補強するためのリブを示している。
ベンチュリ管231には、磁気回路243をネジ(図示を省略)固定してある。磁気回路243は、ベンチュリ管231を挟んで対向する一方の磁石片245及び他方の磁石片246と、一方の磁石片245と他方の磁石片246とを連結するとともに、ベンチュリ管231への磁石片取り付けの機能を有する断面U字状(図23参照)の連結部材248と、により構成してある。磁石片245と磁石片246とは、小径路234(図25では破線で示す。図24併せて参照)及び/又はその近傍(特に、下流側)をその磁力線(磁界)が最も多く通過するように配するとよい。ただ、実際には、小径路234のみに磁力線を集中させることは技術的困難を伴うことから、小径路234及び小径路234の近傍の双方に磁力線を通過させることになろう。被処理水とオゾンの双方に磁力を作用させることによって、被処理水に対して最も効率よくオゾンを溶解させることができると考えられるからである。磁石片245及び磁石片246は、7,000ガウス前後の磁力を持つネオジュウム磁石によって構成してある。磁力は強いほうがオゾン溶解効果が高いと思われるが、少なくとも3,000ガウス以上のものが望まれる。ここで、7,000ガウスの磁石を採用したのは、その調達容易性と経済性にある。7,000ガウス以上の磁力を持つ磁石(天然磁石、電磁石等)の採用を妨げる趣旨ではない。連結部材248は、磁束漏れを抑制して磁力作用が被処理水等にできるだけ集中するように、磁力透磁率(μ)の大きい部材(たとえば、鉄)によって構成してある。
(気液混合構造の作用効果)
以上の構成により、上流側大経路232を通過した被処理水は、絞り傾斜路233を通過するときに圧縮されて水圧が急激に高まり、同時に通過速度も急激に上昇する。高圧・高速のピークは、小径路234に達したときである。小径路234を通過した被処理水は、開放傾斜路235の中で急激に減圧・減速し、後続する被処理水との衝突の衝撃等を受け乱流化する。その後、被処理水は下流側大経路236を抜け、気液混合構造205の外へ出る。散気されたオゾンは、被処理水の乱流に巻き込まれ大小様々な大きさの気泡となり攪拌作用を受ける。小径路234及び少なくともその下流を流れる被処理水(オゾン)には、上記攪拌作用とともに磁気回路243の働きによる磁力作用を受ける。すなわち、被処理水の水圧を圧力頂点(ピーク)に至るまで増圧させ当該圧力頂点に至った直後に減圧させるとともに当該圧力頂点に至った被処理水にオゾンを供給する、ことを磁界の中で行うことになる。攪拌作用と磁界の磁力作用が相乗効果を生み、その結果、被処理水にオゾンが溶解し高溶解度を持った高濃度オゾン水が生成される。
(溶解促進槽)
図26を参照しながら、溶解促進槽206について説明する。溶解促進槽206は、天板253と底板254とによって上下端を密閉した円筒状の外壁255によって、その外観を構成してある。天板253の下面には、その下面から垂下する円筒状の内壁256を設けてある。内壁256に囲まれた空間が、被処理水を貯留するための貯留室258となる。内壁256の外径は外壁255の外径よりも小さく設定してあり、これによって、内壁256と外壁255との間に所定幅の壁間通路259が形成される。他方、内壁256の下端は、底板254まで届かず、底板254との間に所定幅の間隙を形成する。この間隙は、下端連通路257として機能する。すなわち、内壁256が囲む貯留室258は、下端連通路257を介して壁間通路259と連通している。他方、内壁256の天板253の近傍には複数の連通孔256h,256h,・・を貫通させてあり、貯留室258と壁間通路259とは各連通孔256hを介しても連通している。底板254の上面略中央には、細長の揚水管261を起立させてある。揚水管261の中空部下端は、底板254を貫通する入水孔254hと連通し、中空部上端は、揚水管261上端に形成した多数の小孔261h,・・を介して貯留室258と連通している。揚水管261の上端は、内壁256が有する連通孔256hの位置よりも僅か下に位置させてある。外壁255の高さ方向上から略4分の1付近には、排水孔255hを貫通させてある。つまり、壁間通路259は、排水孔255hを介して外部と連通している。
天板253の略中央には、揚水孔253hを貫通させてある。揚水孔253hは、天板253の外部に配した気液分離装置265の内部に連通している。気液分離装置265は、揚水孔253hを介して貯留室258から押し上げられる被処理水と、この被処理水から脱気するオゾンとを分離排出するための脱気構造として機能する。気液分離装置265によって分離されたオゾンは、オゾン分解装置267によって分解して無害化した後に装置外部に放出するようになっている。被処理水に対するオゾン溶解度はきわめて高く、したがって、脱気するオゾンは極めて少ないが、より安全性を高めるためにオゾン分解装置267等を設けてある。揚水管261によって貯留室258内に送り込まれた被処理水は、後続する被処理水に押されて下降する。下端に達した被処理水は下端連通路257を折り返して壁間通路259内を上昇し、排水孔255hを介して外部に排水される。また、一部の被処理水は気液分離装置265内に押し上げられる。この間、熟成類似の作用によってオゾンが被処理水に溶解して高溶解度のオゾン水を生成する。他方、溶解し切れなかったり、一旦は溶解したが脱気したオゾンがある場合に、そのオゾンは気液分離装置265内に上昇しそこで分離される。したがって、被処理水から溶解しきれないオゾンは、そのほとんどを排除することができる。この結果、溶解促進槽206を通過した被処理水のオゾン溶解度は、飛躍的に高くなっている。
(循環構造)
図21を参照しながら、循環構造について説明する。循環構造204は、気液混合構造205を通過した被処理水(既に原水からオゾン水になっている)を循環させて再度、気液混合構造205を通過させる機能を有している。再度、気液混合構造205を通過させるのは、既にオゾンを溶解させた被処理水に再度オゾンを注入することによって、オゾンの溶解度と濃度をさらに高めるためである。循環構造204は、ポンプ271を駆動源とし、貯留タンク202と溶解促進槽206を主要な構成要素とする。すなわち、ポンプ271は、貯留タンク202から配管270を介して取り出した被処理水を逆止弁272及び配管273を介して気液混合構造205に圧送する。圧送によって気液混合構造205を通過した被処理水は、配管274及び溶解促進槽206を抜け配管275を介して貯留タンク202に戻される。循環構造204は、上記した工程を必要に応じて繰り返して実施可能に構成してある。循環させる回数は、生成しようとするオゾン水のオゾン溶解度やオゾン濃度等を得るために自由に設定することができる。なお、符号276は、配管275の途中に設けたバルブを示している。バルブ276は、その開閉によって気液混合構造205の小径路234(図24参照)を通過させる被処理水の水圧を制御することを主目的として設けてある。
なお、これまで述べた消毒装置は、たとえば、図28に示すトラックや手動牽引装置のような移動構造に搭載して移動可能に構成しておくと便利である。すなわち、移動構造の働きにより消毒装置を必要な場所に簡単に運搬することができる。したがって、たとえば、大掛かりなオゾン水の送水ラインを設ける代わりに、トラック(移動構造)に搭載した消毒装置を用意しておけば、必要に応じて必要な場所に消毒装置を運搬して消毒作業を行うことができる。
(実験5)
図21及び27を参照しながら、実験5について説明する。ここで、示す実験5は、背景技術の欄において説明した磁石の使用方法と本発明に係る磁石の使用方法の違いによって、オゾンの溶解度や濃度に著しい差が生じることを主として示すためのものである。本実験例では、本件発明に係る装置として図21に示すオゾン生成装置(以下、「本件装置」という)を使用し、比較対象となる装置として図27に示すオゾン生成装置(以下、「比較装置」という)を使用した。比較装置には、本件装置の構造と基本的に同じ構造を備えさせてあるが、磁気回路243の取付位置のみを異ならせてある。このため、図27では磁気回路を除き図21で使用する符号と同じ符号を使用し、図27に示す磁気回路には気液混合構造205の上流側にあるものに符号243aを、下流側にあるものに符号243bを、それぞれ付してある。整理すると、図21に示す本件装置は、磁気回路243と一体となった気液混合構造205を備え、図27に示す比較装置は、気液混合構造205の上流側配管に磁気回路243aを、同じく下流側配管に磁気回路243bを、それぞれ同時に又は選択的に取り付け取り外しできるように構成してある。なお、気液混合構造205として、米国マジェーインジェクター社(MAZZEI INJECTOR CORPORATION)製のモデル384を、磁気回路には7000ガウスのものを、それぞれ使用した。
(濃度比較実験)
表8及び9を参照しながら、濃度比較実験について説明する。表8は、オゾン水のオゾン濃度と濃度上昇時間との関係を示している。表9は、表8に示すオゾン水のオゾン濃度が生成装置の運転停止後にゼロになるまでに要する時間を示している。ゼロになるまでの時間が長ければ長いほどオゾン溶解度が高いことを示す。表8及び9において、記号「□」は本件装置を用いて生成したオゾン水(以下、「本件オゾン水」という)を、記号「×」は比較装置から磁気回路のみを取り外した気液混合構造を用いて生成したオゾン水(以下、「磁気なしオゾン水」という)を、記号「△」は比較装置において気液混合構造205と磁気回路243aとにより生成したオゾン水(以下、「上流側磁気オゾン水」という)を、記号「○」は比較装置において気液混合構造205と磁気回路243bとにより生成したオゾン水(以下、「下流側磁気オゾン水」という)を、そして、記号「◇」は比較装置において気液混合構造205と磁気回路243a及び磁気回路243bの双方とにより生成したオゾン水(以下、「両側磁気オゾン水」という)を、それぞれ示している。被処理水の温度は5℃、周囲湿度は36〜43%、周囲温度は17℃であった。
Figure 2007167053
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表8が示すように、生成装置運転開始後の生成時間35分で本件オゾン水はオゾン濃度20ppmに到達したが、同条件下において、磁気なしオゾン水はオゾン濃度8ppm前後、下流側磁気オゾン水はオゾン濃度11ppm前後、上流側磁気オゾン水はオゾン濃度12ppm前後、両側磁気オゾン水はオゾン濃度13ppm前後までしか上昇しなかった。このことから、まず、磁気回路を設けることにより設けない場合に比べてオゾン濃度を高められること、次に、同じ磁気回路を設けるとしても気液混合構造と一体化させた場合と気液混合構造以外の箇所に設けた場合とでは前者の方が後者よりも少なくとも7ppm高いオゾン水を生成可能であること、が分かった。つまり、オゾン濃度について本件オゾン水は、両側磁気オゾン水に比べて略54%((20−13)/13×100)高い、という結果を得た。
表9が示すように、オゾン濃度20ppmに達した本件オゾン水のオゾン濃度がゼロになるまでに32時間以上要したのに対し、比較対象となるオゾン水のうち最も長くかかった両側磁気オゾン水のオゾン濃度は13ppmからゼロになるまでの時間は略3.5時間しか要しなかった。したがって、本件オゾン水は両側磁気オゾン水に比べて10倍近い時間オゾンを含有していたことになる。換言すると、両側磁気オゾン水に比べて本件オゾン水は、同じ時間をかけて同量のオゾンを注入し溶解させたオゾンを10倍近い時間保持していたことになる。本件オゾン水のオゾン溶解度の高さを端的に示している。
(オゾン気泡の粒径測定実験)
表10及び11を参照しながら、本件オゾン水が含有するオゾン気泡の粒径測定実験について説明する。表10及び11は、本件オゾン水に含まれるオゾン気泡の粒径分布を示す(左側縦軸参照)。本測定実験では、オゾン濃度とオゾン濃度保持時間との関係から4種類の本件オゾン水を測定対象とした。まず、オゾン濃度を3ppmと14ppmの2種類とし、次に、各濃度それぞれ当該濃度に達した直後のオゾン水(以下、各々「3ppm直後オゾン水」「14ppm直後オゾン水」という)と、当該濃度に達した後その濃度を15分間維持させたオゾン水(以下、各々「3ppm維持オゾン水」「14ppm維持オゾン水」という)と、に分けた。つまり、「3ppm直後オゾン水」「3ppm維持オゾン水」「14ppm直後オゾン水」「14ppm維持オゾン水」の4種類が、本測定実験に係る測定対象である。ここで、本測定実験に使用した本件オゾン水の原水には、水道水を0.05μm(50nm)の微粒子絶対濾過の逆浸透膜で濾過して得た純水を用いた。本実験で純水を得るために使用した装置は、セナー株式会社製超純水装置(型名:Model・UHP)である。水道水には50nm以上の不純物(たとえば、鉄分やマグネシウム)が含まれているため、濾過してない原水から生成したオゾン水を測定対象としても、そこに含まれる不純物を測定してしまい測定誤差が生じかねないので、濾過によって予め不純物を取り除いておくことによってオゾンの気泡粒径の正しい測定ができるようにするためである。水道水以外の原水、たとえば、井戸水や河川水についても同じことがいえる。オゾン気泡の粒径測定に使用した測定器は、動的光散乱式粒径分布測定装置(株式会社堀場製作所(HORIBA,Ltd):型式LB500))である。原水から不純物を濾過せずともオゾン気泡の粒径を正しく測定できる手段があれば、その手段を用いて測定可能であることはいうまでもない。
Figure 2007167053
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まず、表10に基づいて、3ppm直後オゾン水と3ppm維持オゾン水について考察する。表10右端のグラフが3ppm直後オゾン水を示し、同じく左端のグラフが3ppm維持オゾン水を示している。3ppm直後オゾン水は、1.3μm(1300nm)〜6.0μm(6000nm)の粒径を持ったオゾン気泡を含有していることが分かった。他方、3ppm維持オゾン水は、0.0034nm(3.40nm)〜0.0050μm(5.00nm)の粒径を持ったオゾン気泡を含有していることが分かった。
次に、表11に基づいて14ppm直後オゾン水と14ppm維持オゾン水について考察する。表11右端のグラフが14ppm直後オゾン水を示し、同じく左端のグラフが14ppm維持オゾン水を示している。14ppm直後オゾン水は、2.3μm(2300nm)〜6.0μm(6000nm)の粒径を持ったオゾン気泡を含有していることが分かった。他方、14ppm維持オゾン水は、0.0034nm(3.40nm)〜0.0058μm(5.80nm)の粒径を持ったオゾン気泡を含有していることが分かった。
上記実験から明らかになった第1の点は、同じ濃度を持ったオゾン水であっても、当該濃度に達した直後のオゾン水(直後オゾン水)と当該濃度を所定時間維持したオゾン水(維持オゾン水)とでは含有されるオゾン気泡の粒径(以下、「気泡粒径」という)が異なるということである。3ppmオゾン水の場合、直後オゾン水の気泡粒径最小値は、維持オゾン水の気泡粒径最大値の、260倍(1300/5.0)の大きさを持っている。同様に14ppmオゾン水の場合は、約400倍(2300/5.8)の大きさを持っている。つまり、当該濃度を所定時間維持すること、すなわち、被処理水であるオゾン水を循環させることによって気泡粒径を小さくすることができるということである。気泡粒径50未満のオゾン気泡であれば安定して水溶液中に浮遊させることができる。本願発明に係るオゾン水生成方法によれば、オゾン気泡の粒径Rが、50nm未満(0<R<50nm)のオゾン気泡を含有するオゾン水、すなわち、溶解度の高いオゾン水を得られることが分かった。これが、実験から明らかになった第2の点である。なお、本実験によれば、オゾン気泡の粒径Rの実測最低値は3.4nmであり、それ以下の値は計測されていない。計測されないのは測定装置の測定能力の限界に起因すると思われる。他方、オゾン気泡の粒径Rは、濃度達成直後に比べ濃度維持後の方が小さくなっていることから、粒径小型化の延長線上には限りなくゼロに近い粒径Rを持ったオゾン気泡が存在しうることが容易に想像できる。
(pH測定実験)
なお、上記4種類のオゾン水、すなわち、「3ppm直後オゾン水」「3ppm維持オゾン水」「14ppm直後オゾン水」及び「14ppm維持オゾン水」についてpH測定実験を行った。その結果は、表5及び6に線グラフで示してある(右側縦軸参照)。いずれのオゾン水についても、オゾン溶解の前後においてpH7.3前後を示した。すなわち、オゾン溶解は原水のpHにほとんど変化を与えないことがわかった。井戸水や水道水は概ね中性(pH6.5〜7.5)を示すことから、気液混合方式によって生成した本件オゾン水は、pHを調整するための添加物を添加しなくても中性を示すことがわかった。もっとも、原水がアルカリ性である場合は、オゾン溶解がオゾン水のpHを変化させないことからアルカリ性のオゾン水が生成される場合もあり得よう。
上記実験結果を総括する。上記実験対象となった本件オゾン水は、何ら添加物を加えることなく原水にオゾンを混合させるという気液混合によって生成されたものである。さらに、オゾン溶解度が高いため常圧下においても容易にオゾンが脱気しない。したがって、無添加とオゾン脱気がない点で、たとえば、家畜や人体に散布しても安全である。また、オゾン濃度を極めて高くすることができるので、本件オゾン水を使用すれば、効率のより洗浄・殺菌効果等を得ることができる。
上述したオゾン水を用いて家畜及び豚舎の消毒を行いながら飼育した豚について、その効果を屠蓄検査によって検証した。屠蓄検査とは、屠蓄(屠殺)直後の豚の内臓を獣医師が診察し、呼吸器、消化器等の内蔵に、どのような病気があるかを確認する検査のことをいう。
豚舎内におけるオゾン水散布は、季節変化による気温や、豚の特性(繁殖豚、子豚、乳児豚等)、豚舎の規模や規模等の違いに合わせて1回に概ね20〜90秒、散布間隔は15分以上2時間以下で行った。同じく散布量は、豚舎床面積3.3mあたり0.3〜0.5リットルとした。同じくオゾン水のオゾン濃度は、豚体又は豚舎の床面等に少なくとも1ppmの状態で届くようにオゾン濃度を濃い目に調整した。同じく散布する角度やオゾン水の平均粒径は、オゾン水が豚体や豚舎に行き渡るように調整した。オゾン水の消毒効果は、前記した表1に示すとおりであるところ、豚体(延べ約3500頭)に対する消毒効果は、表12及び13に示すとおりである。
Figure 2007167053
表12は、オゾン水消毒を導入する前の5ヶ月間(4〜8月)と、導入後の3ヶ月間(9〜11月)における内蔵廃棄率の推移を、臓器系の種類別に示している。表12下段のグラフは、同上段に示す表の数値をグラフ化したものである。循環器系、泌尿・生殖器系及び運動系の内臓については、導入の前後を問わず概ね10%未満の内蔵廃棄率であった。他方、呼吸器系は、導入前の4月から8月にかけて少しずつ減少していた内蔵廃棄率が、8月に74.6%であったものがオゾン水消毒を導入した9月に一機に60.2%にまで減少した(14.4%減少)。その後10月分の減少は数%減の56.6%にとどまったが、11月においては28.6%まで急減した。オゾン水消毒導入前の74.6%に比べて、3ヶ月の間にほぼ半分(46%減少)にまで減少したことになる。オゾン水散布により、豚舎内に浮遊する排泄物や食事残渣の粉塵に付着した病原菌やウイルス等がオゾン水によって消毒され、これが、呼吸器系の感染を防いだ結果であるものと推測される。
他方、消化器系内蔵については、導入前8月が36.0%であったものが、導入して1ヶ月後の9月で20.3%にまで減少した(15.7%減少)。その後、10月に至っては大差なく19.3%と1%の減少に過ぎなかったが、11月には16.2%にまで減少した。したがって、オゾン水消毒導入前の36.0%に比べて、3ヶ月の間に、やはり、ほぼ半分にまで減少した。豚が口にするもののウイルス汚染が大幅に改善された結果であると推測される。
Figure 2007167053
表13に示すのは、SEP、肺炎、胸膜炎、肝炎(寄生虫)及び腸炎の発症率の推移を、オゾン水消毒導入の前後で比較したものである。表9の下段に示す座標グラフは、同上段に示す表の数値をグラフ化したものである。SEPについては、導入前の14.1%であった発症率が、導入後3ヶ月の11月において4.1%にまで減少した。ほぼ3分の1にまで減少したことになる。肺炎は、同様にして導入前37.1%から導入後3ヶ月後の11月において10.2%にまで減少した。ほぼ4分の1にまで減少したことになる。胸膜炎は、同様にして29.1%から14.3%とほぼ半分にまで減少した。肝炎は、導入前は1.9%であったものが、導入後1ヶ月で0.4%にまで減少したものの2ヶ月後に2.2%に上昇した。しかし、導入後3ヶ月で0%となった。腸炎は、導入前9.7%から導入後1ヶ月で1.2%にまで急減したが、同じく2ヶ月後に5.2%にまで上昇した。しかし、導入後3ヶ月で2.0%にまで減少した。
以上のとおり、オゾン水消毒を導入することによる消毒効果が、豚体の内臓廃棄率や病気発症率を著しく減少させるものであることが分かった。すなわち、オゾン水消毒をしながら飼育するという飼育方法を採用すれば、豚体(家畜)の健康を保つ上で有効であり、かつ、衛生的で安全な豚肉(家畜肉)が得られることが分かった。さらに、上記実施例は、豚体や豚舎に関するものであるが、オゾン水が人畜に対して安全であることから、豚体以外の家畜(たとえば、鶏や牛)にも効果があるものと思われる。なお、オゾン水消毒を行うのは、オゾン水消毒の対象となる細菌やウイルスが家畜や畜舎等の表面やそれらの周辺大気中に多量に存在するため、このような細菌やウイルスを減少させることによって環境を清浄化するためである。この点は、既に述べた。さらに、これまで説明してきたオゾン水が、ウイルス等を不活性化して家畜や飼育施設等を効果的に消毒するための消毒液として有用なものであることも判明した。さらに、係るオゾン水は、人体や家畜等に投与するワクチンを製造する施設、器具等に付着しているウイルス等の不活性化にも好適である。ワクチンを製造するために使用するモルモットのような動物が飼育されている場合もある。すなわち、上記施設、器具、更に動物等にはワクチン製造に用いた弱毒菌や死菌等が付着していたり空気中に浮遊していたりすることが多い。そのような弱毒菌を不活性化するために、現行ではホルマリンが使用されている。しかしながら、施設や器具等にホルマリンが残っていると、製造作業者等の健康を害する恐れがある。オゾン水を用いて不活性化すれば、そのような恐れはなくなる。他方、家畜の飼育や消毒等に従事する作業者や何らかの理由により家畜や畜舎に立ち入ったり近づいたり者等も、上記した細菌やウイルスに曝されている。このような細菌やウイルスの中には、たとえば、鳥インフルエンザウイルス、ニパウイルス、サーズ(SARS)のように人体に感染する恐れが高いものも存在する。したがって、これまで説明してきたオゾン水(特に中性のオゾン水)を、人体(特に、手、顔、足)や家畜や畜舎との関連で人体と接触ないし付属する部材(たとえば、作業服等の衣類、作業用手袋、長靴等の履物、ブラシ等の清掃用具、餌を入れる容器、スコップ)に使用することで上記感染を有効に防止することができる。実際に、作業後の作業者が手や顔を中性のオゾン水で継続的に洗浄したところ、この中性のオゾン水が人体に対する有効な消毒液として皮膚の健康状態を良好に保つことができ、また、いわゆる美容効果が顕著である化粧液(化粧水)として、使用可能であることが確認できた。
豚舎の平面図である。 図1に示す豚舎のA−A断面図である。 オゾン水を生成散布可能な消毒装置の概略構成図である。 消毒装置を構成する部材及び構造の相関図である。 図3に示す原水細分化構造の縦断面図である。 第1渦流ポンプの縦断面図である。 第2渦流ポンプの縦断面図である。 エジェクターの縦断面図である。 スタティックミキサーの縦断面図である。 サイクロンの縦断面図である。 消毒装置の変形例を示す概略構成図である。 渦流ポンプの変形例を示す縦断面図である。 エジェクターの変形例を示す縦断面図である。 オゾン水散布ラインの概略平面図である。 バルブ開閉のタイミングを示す図である。 バルブ開閉のタイミングを示す図である。 家畜を洗浄する状態を示す図である。 家畜を洗浄する状態を示す図である。 家畜を洗浄する状態を示す図である。 家畜を洗浄する状態を示す図である。 消毒装置が有するオゾン水生成装置の変形例を示す概略構成図である。 気液混合構造の正面図である。 図22に示す気液混合構造の左側面図である。 図23に示す気液混合構造のX−X断面図である。 一部を省略した気液混合構造の平面図である。 溶解促進槽の縦断面図である。 比較実験を行うためのオゾン水生成装置の概略構成図である。 運搬構造に搭載した消毒装置の斜視図である。
符号の説明
1 消毒装置
1A 消毒装置
2 制御装置(CONTROLLER)
3 取水バルブ
4 配管
5 オゾン水生成装置
7 加圧ポンプ
9 ノズル(ノズル群)
11 原水細分化構造
11a ケーシング
11b パッキン
11c 磁石(炭素チップ群、超音波発生装置)
13 オゾン溶解構造
15 貯留タンク
16 配管
17 配管
19 オゾン供給構造(オゾン供給装置)
20 配管
21 循環構造
22 逆止弁
23 バルブ
31 第1渦流ポンプ
31´ 第2渦流ポンプ
31´A 渦流ポンプ
32 ポンプ本体
32a 吸入部
32b 吐出部
32d 昇圧通路
32e 吸入路
32f 吐出路
32m 磁石
33 インペラ
33a インペラ本体
33b 羽根片
33c 羽根溝
33d 回転軸
34 オゾン帰還部
34a 帰還路
35 エジェクター
35A エジェクター
36 ベンチュリ管
36a 入路
36b 出路
36c 細径路
36m 磁石
37 オゾン供給パイプ
37a 供給路
38 小径路
41 スタティックミキサー
41a 流管
41b 邪魔板群
42 配管
46 配管
51 スタティックミキサー
52 配管
55 サイクロン
56 サイクロン本体
56a 上部空間
57 気液分離装置
61 オゾン水帰還管
63 温度保持装置
65 オゾン帰還管
70 配管
71 逆止弁
101 豚舎
103 送水ライン
104 電磁弁
104a 電磁弁
104b 電磁弁
105 散布ライン
107 戻しライン
107V ラインバルブ
109 フィルター
121 流体センサー
123 圧力センサー
150 ゲージ
153 ノズル
155 消毒通路
157 ノズル(ノズル群)
159 ノズル(ノズル群)
161 ブロー装置
163 エアー
165 換気扇
201 オゾン水生成装置
202 貯留タンク
203 オゾン供給構造
204 循環構造
205 気液混合構造
206 溶解促進槽
207 温度保持構造
231 ベンチュリ管
232 上流側大径路
233 絞り傾斜路
234 小径路
235 開放傾斜路
236 下流側大径路
239 オゾン供給パイプ
243 磁気回路
245 一方の磁石片
246 他方の磁石片
265 気液分離装置
267 オゾン分解装置

Claims (33)

  1. 含有オゾン気泡の粒径Rが、0<R<50nm、かつ、オゾン濃度3〜20ppmのオゾン水を、気液混合方式によって生成するオゾン水生成工程と、
    当該オゾン水生成工程において生成されたオゾン水を用いて家畜を消毒する工程と、を含む
    ことを特徴とする家畜消毒方法。
  2. 前記オゾン水のpHが、6.5〜7.5である
    ことを特徴とする請求項1記載の家畜消毒方法。
  3. 前記オゾン水生成工程が、被処理水にオゾンを混合させる際に当該被処理水及びオゾンに磁力を作用させる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の家畜消毒方法。
  4. 磁界中において、被処理水の水圧を圧力頂点に至るまで増圧させ当該圧力頂点に至った直後に減圧させるとともに当該圧力頂点に至った被処理水にオゾンを供給する
    ことを特徴とする請求項3記載の家畜消毒方法。
  5. 小径路を有するベンチュリ管に被処理水を通過させ、当該小径路に臨む位置に開口端を配したオゾン供給パイプを介してオゾンを供給するとともに、
    当該ベンチュリ管の少なくとも小径路及び/又は小径路近傍に磁力を作用させる
    ことを特徴とする請求項4記載の家畜消毒方法。
  6. 前記ベンチュリ管を通過した被処理水を循環させ、オゾンを供給しながら前記ベンチュリ管を少なくとも1回再通過させる
    ことを特徴とする請求項5記載の家畜消毒方法。
  7. 前記循環させた被処理水を貯留タンクに一旦貯留する
    ことを特徴とする請求項6記載の家畜消毒方法。
  8. 前記貯留タンクに貯留した被処理水を、一旦取り出して5〜15℃の範囲に保持する
    ことを特徴とする請求項7記載の家畜消毒方法。
  9. オゾンを混合した後の被処理水を溶解促進槽に一旦貯留してオゾン溶解を促進する
    ことを特徴とする請求項6乃至8いずれか記載の家畜消毒方法。
  10. 前記溶解促進槽に貯留した被処理水から脱気したオゾンを、当該溶解促進槽外部へ排出する
    ことを特徴とする請求項9記載の家畜消毒方法。
  11. 家畜に浴びさせるために、生成したオゾン水を所定圧力に加圧してノズル又はノズル群から散布する散布工程を含む
    ことを特徴とする請求項1乃至10いずれか記載の家畜消毒方法。
  12. 前記オゾン水を加圧散布するときのオゾン水の所定圧力が0.2〜0.8MPaである
    ことを特徴とする請求項11記載の畜舎の家畜消毒方法。
  13. 前記散布工程において散布するオゾン水の平均粒径が、40〜200μm未満又は200〜1000μmである
    ことを特徴とする請求項12記載の家畜消毒方法。
  14. 前記散布工程において散布されずに残った残余オゾン水を、圧送して前記貯留タンク内に戻す工程を含めてある
    ことを特徴とする請求項11乃至13何れか記載の家畜消毒方法。
  15. 前記散布工程においてオゾン水散布を一端停止した後、再度オゾン水散布を開始する際に、オゾン水散布開始前に前記貯留タンク外にある残余オゾン水を前記貯留タンクに戻した後にオゾン水散布を行う工程を含めてある
    ことを特徴とする請求項14記載の家畜消毒方法。
  16. 前記散布工程において、家畜の陰部にオゾン水を直接散布する工程を含めてある
    ことを特徴とする請求項11記載の家畜消毒方法。
  17. 前記散布工程において、家畜を一列縦列に移動させつつ、家畜よりも高い位置及び低い位置から前記オゾン水を散布する工程と、オゾン水散布の終了後にエアブローによる水切りを行う工程と、を含めてある
    ことを特徴とする請求項11記載の家畜消毒方法。
  18. 前記エアブローを、家畜に対して正面上方から水平に対して20〜70度の角度をもって家畜に対して行う
    ことを特徴とする請求項17記載の家畜消毒方法。
  19. 家畜を消毒するオゾン水を用いて家畜施設及び/又は家畜用具を併せて消毒する
    ことを特徴とする請求項1乃至18いずれか記載の家畜消毒方法。
  20. 請求項11乃至19いずれか記載の家畜消毒方法に使用可能なオゾン水を浴びさせて消毒しながら飼育してある
    ことを特徴とする家畜又は家畜肉。
  21. 被処理水を通過させるための配管と、
    当該配管の途中に設けた気液混合構造と、
    当該気液混合構造にオゾンを供給するためのオゾン供給構造と、
    前記気液混合構造を通過した被処理水を循環させて当該気液混合構造を再度通過させるための循環構造と、
    前記循環構造の途中に設けられた被処理水を一旦貯留させるための貯留タンクと、
    当該貯留タンクから取り出して所定圧力に加圧する加圧ポンプと、
    当該加圧ポンプによって加圧したオゾン水を散布するためのノズル又はノズル群と、を含めて構成してあり、
    当該気液混合構造には、内部に磁力を作用させるための磁石を設けてあり、
    当該ノズル又はノズル群から、含有するオゾン気泡の粒径Rが、0<R<50であり、かつ、オゾン濃度3〜20ppmのオゾン水を散布可能に構成してある
    ことを特徴とする家畜消毒装置。
  22. 前記気液混合構造が、小径路を有するベンチュリ管と、当該小径路に臨む位置に開口端を有するオゾン供給パイプと、を含めて構成してあり、
    当該オゾン供給パイプの接続端には、前記オゾン供給構造を接続してある
    ことを特徴とする請求項21記載の家畜消毒装置。
  23. 前記磁石が、前記ベンチュリ管の少なくとも小径路及び/又は小径路近傍に磁力を作用させられるように構成してある
    ことを特徴とする請求項22記載の家畜消毒装置。
  24. 前記磁石が、一方の磁石片と他方の磁石片とを含む磁気回路によって構成してあり、
    当該一方の磁石片と当該他方の磁石片とを、前記ベンチュリ管を挟んで対向させてある
    ことを特徴とする請求項22又は23記載の家畜消毒装置。
  25. 前記磁石の磁力が、3000〜20000ガウスに設定してある
    ことを特徴とする請求項22乃至24いずれか記載の家畜消毒装置。
  26. 前記貯留タンク内のオゾン水を5〜15℃の範囲に保持するための温度保持構造を設けてある
    ことを特徴とする請求項21乃至25いずれか記載の家畜消毒装置。
  27. 前記循環構造途中の前記気液混合構造下流かつ前記貯留タンク上流には、当該循環構造を通過する被処理水を一旦貯留してオゾン溶解を促進するための溶解促進槽を設けてある
    ことを特徴とする請求項21乃至26いずれか記載の家畜消毒装置。
  28. 前記溶解促進槽の頂部には、貯留してある被処理水から脱気したオゾンを排出可能とする脱気構造を設けてある
    ことを特徴とする請求項27記載の家畜消毒装置。
  29. 前記加圧ポンプの加圧による所定圧力が0.2〜0.8MPaである
    ことを特徴とする請求項21乃至28いずれか記載の家畜消毒装置。
  30. 前記ノズル又はノズル群から散布したオゾン水の平均粒径が、40〜200μm未満又は200〜1000μmである
    ことを特徴とする請求項29記載の家畜消毒装置。
  31. 前記貯留タンクに貯留させたオゾン水を送水するために当該貯留タンクと前記加圧ポンプの吸込み口との間に配した送水ラインと、
    当該加圧ポンプの吐出し口に一方側を接続し前記ノズル又はノズル群を備える散布ラインと、
    当該散布ライン内に残る残余オゾン水を当該貯留タンクに戻すために当該散布ライン他方側と当該貯留タンクとの間に配した戻しラインと、
    閉鎖により当該散布ライン内のオゾン水を加圧して当該ノズル又はノズル群からオゾン水を散布させるために当該戻しラインに設けたラインバルブと、を含めて構成してあり、
    当該ラインバルブの閉鎖による当該散布ライン内の圧力増加に伴い当該ノズル又はノズル群からオゾン水が散布可能に構成してある
    ことを特徴とする請求項21乃至30記載の家畜消毒装置。
  32. 前記ノズル又はノズル群による散布の代わりに、又は、当該散布と併せてホース散布可能に構成してある
    ことを特徴とする請求項21乃至31何れか記載の家畜消毒装置。
  33. 移動可能とするための移動構造を備えさせてある
    ことを特徴とする請求項21乃至32いずれか記載の家畜消毒装置。
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