JP2007165174A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転中に発生して電極に付着する水やその他の液体をスムーズに排出でき、エネルギー効率の高い燃料電池の提供を目的とする。
【解決手段】燃料電池1は、単セル10をセパレータ20で挟み込んで複数、直列結合して電池スタックとしたものである。セパレータ20は、アノード電極15に対向するアノード側対向面21と、カソード電極16に対向するカソード側対向面22とを有し、両者に流路溝23,25を有する。流路溝25内には、カソード電極16側に突出した突出部50が複数、流路溝25の延長方向に所定の間隔で設けられている。そのため、流路溝25に酸化剤ガスを供給すると、酸化剤ガスが突出部50に当たって乱流状態になると共にカソード電極16側に案内され、カソード電極16の表面に付着している水やメタノールが押し流される。
【選択図】図6

Description

本発明は燃料電池に関するものであり、特にセパレータの構造に特徴を有するものに関する。
近年、環境に調和した電気エネルギー供給デバイスとして燃料電池が着目されつつある。その中でも、陽イオン交換膜型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell 以下、PEFCと称す)や、PEFCの一種である直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell 以下、DMFCと称す)と称されるタイプのものは作動温度が低く、車両用の動力源や携帯機器用の二次電池代替電源として特に注目を集めている。また、直接メタノール型燃料電池は、液体燃料をそのまま正極活物質として使用できるという特色を有する。そのため、直接メタノール型燃料電池は、改質器等を設ける必要がなく構造がシンプルであるという特色も有する。
上記したDMFCやPEFCと称されるタイプの燃料電池は、電解質としてプロトン伝導性に優れた高分子膜が採用されており、これをカソード電極(酸素極)およびアノード電極(燃料極)とで挟み込んで構成される単セルをセパレータ(インターコネクタ、内部連結体)を介して並べた構成とされている。ここで、セパレータは、隣接する単セル同士を電気的に繋ぐコネクターとしての役割に加えて、燃料や酸素の流路を形成する流路形成部材としての機能を有する。すなわち、セパレータは、例えばカーボン等のような電気導電性が高くプロトン(水素イオン)や酸化物イオンの伝導率が低い材質により作製されている。セパレータには、燃料ガスや酸素ガス、炭酸ガス等を流すための流路溝が設けられており、アノード電極やカソード電極全体に燃料ガスや酸素ガスを供給可能な構成とされている。
DMFCは、アノード電極に液体燃料を供給すると、電極反応によって炭酸ガスおよびプロトンに加えて電子が発生する構成とされている。また、陽イオン交換膜側燃料電池では、アノード電極に水素を供給すると、これがプロトンと電子に分かれる構成とされている。アノード電極で発生したプロトンは、電解質膜を通ってカソード側に流れる。電子は、外部に設けられた電力負荷において仕事をした後、カソード電極側に流れる。一方、カソード電極側に酸化剤としての空気や酸素を供給すると、電解質膜を通過してきたプロとトンと反応して水を生成する。さらに、上記したDMFCでは、アノード電極側に供給された液体燃料の一部が電解質膜を透過するクロスオーバー(もしくはクロスリーク)と称される現象が起こってカソード電極側に至り、カソード電極側において発生した水に混入することがある。
上記したように、セパレータには流路溝が設けられている。そのため、DMFCやPEFC等の燃料電池では、アノード極側のセパレータに設けられた流路溝を介してアノード極で発生した炭酸ガスや液体燃料に加えて余剰の液体燃料や水素ガスを外部に排出することができる構成とされている。また、DMFCやPEFCでは、カソード極側のセパレータに設けられた流路溝を介してカソード極で生成した水や電解質膜を透過してきた液体燃料を空気や酸素等の酸化剤ガスと共に燃料電池の外に排出することができる構成とされている。
ここで、燃料電池の電気的特性は、運転温度、燃料濃度などの運転条件に加えて、セパレータの流路溝を介して燃料や酸化剤ガスをいかに均一にカソード極やアノード極の反応界面に供給できるかどうかに左右されるものと想定される。そのため、上記したDMFCやPEFCのように電極反応により水が発生するタイプの燃料電池では、セパレータの流路溝に電極反応で発生した水等の生成物や液体燃料が滞留すると電気的特性が大幅に低下するものと想定される。特に、DMFCのカソード極側では、電極反応によって生成した水に、アノード極側から電解質膜を透過してきた液体燃料が混入するため、カソード側のセパレータの構造と酸化剤ガスによって水や液体燃料を円滑に除去できるか否かが燃料電池の電気的特性に大きな影響を与えるものと想定される。
そこで、従来技術では、かかる問題を解消すべく例えば下記特許文献1に開示されているように酸化剤ガスの供給速度を調整する方策が提案されている。
特開2002−208419号公報
ここで、本発明者らが上記特許文献1に開示されているように、酸化剤ガスの供給速度を調整する構成を検討したところ、カソード側のセパレータに設けられた流路溝から水や液体燃料をスムーズに除去するためには、酸化剤ガスを圧送して供給するために相当大きな電力消費を伴い、その分だけ燃料電池全体としてのエネルギー効率が低下してしまうという問題があることが判明した。
そこで、かかる知見に基づき、本発明は、運転中に発生して電極に付着する水やその他の液体をスムーズに排出でき、エネルギー効率の高い燃料電池の提供を目的とする。
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される単セルと、前記アノード電極およびカソード電極に対して隣接する位置に配されるセパレータとを有する燃料電池であって、前記セパレータが、前記アノード電極及び/又はカソード電極と対向する対向面を有し、当該対向面に、活物質が流通可能であり、アノード電極側あるいはカソード電極側に向けて突出した突出部を備えた流路溝が形成されており、前記突出部が、前記流路溝の流路幅全体にわたって突出しており、前記流路溝の延長方向に所定の間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする燃料電池である。
本発明の燃料電池では、アノード電極やカソード電極に対して対向する対向面に活物質が流通可能な流路溝が設けられており、当該流路溝にアノード電極やカソード電極側に向けて突出するように突出部が設けられた構成とされている。さらに、流路溝に設けられた突出部が、流路溝の幅方向、すなわち流路溝を流れる活物質の流れ方向に対して交差する方向の全体にわたって突出している。そのため、流路溝に活物質を流すと、セパレータに形成された流路溝に沿って流れる活物質が必ず突出部に当たるため、活物質の電気化学反応により水が発生する電極側に活物質の流れを案内したり、活物質の流れを乱流状態とすることができる。
従って、本発明の燃料電池では、活物質の電気化学反応により発生した水や、一方の電極側に供給され、電解質膜を通って他方側に混入した活物質(以下、必要に応じて混入活物質と称する)のように、流路溝を通る活物質(以下、必要に応じて流路活物質と称す)の流れや電極の反応界面への活物質の供給を妨げる要因となりうるもの(以下、必要に応じて阻害物と総称する)がアノード電極やカソード電極において発生しても、これが流路活物質の流れによって押し流され、スムーズに排出される。
本発明の燃料電池は、セパレータに形成された流路溝において阻害物をスムーズに排出することができるため、アノード電極やカソード電極における活物質の流れや電極の反応界面への活物質の供給において阻害要因となるものが殆どなく、活物質をアノード電極やカソード電極の反応界面に略均一に供給することができる。そのため、本発明の燃料電池は、阻害物に起因する電気的特性の低下を最小限に抑制できる。
上記したように、本発明の燃料電池は、セパレータに設けられた突出部によって活物質をアノード電極やカソード電極側に案内し、流路溝から阻害物を排除する構成であるため、上記した従来技術のように活物質をさほど高圧で圧送する必要がない。そのため、本発明の燃料電池は、活物質の圧送に伴うエネルギー消費が少なく、総合エネルギー効率が高い。
また、同様の知見に基づいて提供される請求項2に記載の発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される単セルと、前記アノード電極およびカソード電極に対して隣接する位置に配されるセパレータとを有し、前記アノード電極側あるいはカソード電極側のいずれか一方において活物質の反応により水が発生する燃料電池であって、前記セパレータが、前記アノード電極側あるいはカソード電極側のうち、活物質の電気化学反応により水が発生する電極に対して対向する対向面を有し、当該対向面に、活物質が流通可能であり、活物質の電気化学反応により水が発生する電極側に向けて突出した突出部を備えた流路溝が形成されており、前記突出部が、前記流路溝の流路幅全体にわたって突出しており、前記流路溝の延長方向に所定の間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする燃料電池である。
本発明の燃料電池では、活物質の電気化学反応により水が発生する電極に対して対向する対向面に活物質が流通可能な流路溝が設けられており、当該流路溝に活物質の電気化学反応により水が発生する電極側に向けて突出するように突出部が設けられた構成とされている。さらに、流路溝に設けられた突出部が、流路溝の幅方向、すなわち流路溝を流れる活物質の流れ方向に対して交差する方向の全体にわたって突出している。そのため、流路溝に活物質を流すと、セパレータに形成された流路溝に沿って流れる活物質が必ず突出部に当たり、活物質の電気化学反応により水が発生する電極側に案内される。従って、本発明の燃料電池は、活物質の反応により発生する水を対向面に設けられた流路溝を流れる活物質の流れによって押し流し、スムーズに排出させることができる。
本発明の燃料電池は、活物質の電気化学反応により発生した水をスムーズに排出することができるため、活物質の電気化学反応により水が発生する電極側における活物質の流れや電極の反応界面への活物質の供給において阻害要因となるものが殆どない。そのため、本発明の燃料電池は、活物質の電気化学反応により水が発生する電極の反応界面に対して略均一に活物質を供給することができる。従って、本発明の燃料電池は、活物質の電気化学反応により発生した水に起因する電気的特性の低下を最小限に抑制できる。
上記したように、本発明の燃料電池は、セパレータに設けられた突出部によって活物質の流れを水が発生する電極側に向けて案内し、これによって水を押し流して排除する構成である。そのため、本発明の燃料電池では、上記した従来技術のように活物質をさほど高圧で圧送しなくても電気化学反応により発生した水を排除することができる。そのため、本発明の燃料電池は、活物質の圧送に伴うエネルギー消費が少なく、総合エネルギー効率が高い。
ここで、上記したように、アノード電極やカソード電極において活物質の電気化学反応により水が発生する場合、燃料電池の作動温度や活物質の濃度などの運転条件が所定の範囲内であれば、前記した水の粒径はさほど極端に変動せず、所定の分布内になるものと想定される。
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項3に記載の発明は、流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間隔が、活物質の電気化学反応により発生し、電極に付着する水あるいは当該水を含む液体の平均粒径以下であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池である。
本発明の燃料電池では、流路溝に複数設けられた突出部同士の間隔が、電気化学反応により発生する水やこれを含む液体の平均粒径以下とされている。そのため、本発明の燃料電池では、流路溝を流れる活物質が突出部に当たってアノード電極側あるいはカソード電極側に案内されると、電気化学反応により発生した水や液体に活物質が確実に当たる。従って、上記した構成によれば、電気化学反応により発生した水や液体をスムーズに排除することができる。
請求項4に記載の発明は、突出部が、流路溝の延長方向に複数設けられており、流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間隔が、流路溝の流路幅方向に略均一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池である。
かかる構成によれば、流路溝を流れる活物質の流れを確実にアノード電極やカソード電極に案内することができる。そのため、本発明の燃料電池では、活物質の流れや電極の反応界面への活物質の供給において阻害要因となる水等をスムーズに排除することができる。
ここで、上記請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池において、突出部は、流路溝の延長方向の長さが、流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間隔と略同一であってもよい(請求項5)。
かかる構成によれば、流路溝を流れる活物質の流れを適度にアノード電極やカソード電極側に誘導したり、乱流状態とし、活物質の流れや電極の反応界面への活物質の供給において阻害要因となる水等をスムーズに排除することができる。
ここで、上記したように流路溝に突出部を設ける場合、突出部の突出量が大きすぎると活物質の流れに対して作用する流れ抵抗が大きくなってしまう。また逆に、突出部の突出量をあまりに小さくすると、活物質の流れをアノード電極側あるいはカソード電極側にうまく誘導できず、活物質の流れや電極の反応界面への活物質の供給において阻害要因となるものの排除能力が低下してしまうものと想定される。
そこで、かかる知見に基づき、上記した各発明の燃料電池は、突出部と、対向面に対向するアノード電極あるいはカソード電極との間隔は、流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間に存在する中間部と、対向面に対向するアノード電極あるいはカソード電極との間隔の2/3〜4/5の範囲内にある構成としてもよい。
かかる構成によれば、突出部を設けてもセパレータに設けられた流路溝の流路抵抗をさほど高くすることなく、活物質の流れをアノード電極側あるいはカソード電極側に適度に誘導したり乱流状態とすることができ、水等の活物質の流れや電極の反応界面への活物質の供給において阻害要因となるものをスムーズに排出することができる。
ここで、上記各発明の燃料電池において、突出部は、対向面に対向するアノード電極あるいはカソード電極との間隔が、流路溝を流れる活物質の流れ方向上流側から下流側に向かうにつれて小さくなる近接傾斜領域を有するものであってもよい。
かかる構成とした場合、突出部に近接傾斜領域が設けられており、流路溝を流れる活物質の流れ方向上流側から下流側に向かうにつれて突出部がアノード電極あるいはカソード電極に近接する構成となる。そのため、上記した構成の燃料電池では、流路溝に供給された活物質がスムーズにアノード電極側あるいはカソード電極側に案内され、電気化学反応によって発生した水等を押し流して排除することができる。また、上記した構成とした場合は、突出部に近接離反領域が設けられているため、流路溝を流れる活物質の流れがスムーズで淀み等が発生しにくい。そのため、上記した構成を採用すれば、アノード電極側あるいはカソード電極側における活物質の流れや電気化学反応がスムーズな燃料電池を供給することができる。
ここで、上記各発明の燃料電池において、突出部は、対向面に対向するアノード電極あるいはカソード電極との間隔が、流路溝を流れる活物質の流れ方向上流側から下流側に向かうにつれて小さくなる近接傾斜領域と、当該近接離反領域よりも活物質の流れ方向下流側において、対向面に対向するアノード電極あるいはカソード電極側との間隔が、流路溝を流れる活物質の流れ方向上流側から下流側に向かうにつれて大きくなる離反傾斜領域とを有することを特徴とするものであってもよい。
かかる構成によれば、流路溝に供給された活物質をスムーズにアノード電極側あるいはカソード電極側に案内し、電気化学反応によって発生した水等を押し流して排除することができる。また、近接傾斜領域や離反傾斜領域を設けることにより、流路溝を流れる活物質の流れが淀むのを防止でき、アノード電極側あるいはカソード電極側における電気化学反応をスムーズに進行させることができる。
上記各発明に記載の構成は、電解質がプロトンを優先的に通過させることが可能なものであり、カソード電極側における活物質の電気化学反応により水が発生するものであり、少なくともセパレータのカソード電極に対向する面に設けられた流路溝に突出部が設けられている構成の燃料電池において好適に採用することができる(請求項9)。
本発明によれば、運転中に発生して電極に付着する水やその他の液体をスムーズに排出でき、エネルギー効率の高い燃料電池を提供できる。
続いて、本発明の一実施形態にかかる燃料電池について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の燃料電池である。本実施形態の燃料電池1は、正極活物質として空気や酸素等の酸化剤ガスを供給し、負極活物質としてメタノールを供給することにより発電可能な、いわゆる直接メタノール型燃料電池(DMFC)と称されるタイプの燃料電池である。燃料電池1は、図2に示すように電解質11をアノード電極15およびカソード電極16で挟み込んで構成される単セル10を複数有し、単セル同士の間にセパレータ20(インターコネクタ、内部連結体)を介在させて直列結合することにより電池スタックとしたものである。また、図3に示すようにセパレータ20と単セル10との間には、ガスケット12,13を介在させた状態とされており、これによりシール性が維持されている。
電解質11は、プロトン伝導性が高く、電子導電性やメタノール透過性を殆ど示さない膜状の固体高分子材料で作製された部材である。さらに具体的には、電解質11には、例えばフッ素系樹脂等を採用することができる。電解質11は、正面視が略正方形とされており、その外周側に開口形状が矩形の連通孔11a〜11fが設けられている。
アノード電極15およびカソード電極16は、それぞれ例えば炭素繊維を織って形成されたカーボンクロスやカーボンペーパー、カーボンフェルト等を基材とし、これに所定の触媒を担持させた構成とされている。アノード電極15に担持される触媒としては、例えば白金触媒、白金・ルテニウム触媒やコバルト触媒等を採用することができる。また、カソード電極16に担持される触媒としては、例えば白金触媒や銀触媒等を採用することができる。
図2に示すように、アノード電極15は、後述するセパレータ20との間にメタノールが通過可能な流路17を構成する。燃料電池1において流路17にメタノールを供給すると、カーボンクロス等の基材に担持された白金触媒等による触媒作用により下記(1)のような電気化学反応が起こり、プロトン(水素イオン)、二酸化炭素および電子が発生する。
CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ +6e− ・・・ (1)
アノード電極15において発生したプロトンは、アノード電極15に隣接する位置に配された電解質11を通過し、カソード電極16側に至る。また、アノード電極15において発生した電子は、アノード電極15およびカソード電極16に電気的に接続された外部負荷(図示せず)を通過し、アノード電極16に至る。
カソード電極16は、これに隣接する位置に配されたセパレータ20との間に酸素あるいは空気や酸素等の酸化剤ガス(以下、単に酸化剤ガスと称する)が流れる流路18を形成する。燃料電池1において、流路18に酸化剤ガスを供給すると、基材に担持されている白金触媒等による触媒作用により電解質11を通過してきたプロトンや電子の供給下において下記(2)のような電気化学反応が起こって水が生成し、カソード電極16の表面に付着する。
3/2O2 + 6H+ +6e− → 3H2O ・・・ (2)
また、カソード電極16の表面には、電解質11を透過(クロスオーバー)してきたメタノールが、上記(2)の電気化学反応によって発生した水に混入するなどして付着することがある。
ガスケット12,13は、板状の部材であり、略中央部にアノード電極15やカソード電極16を収容するための開口26,27を有する。また、開口26,27の外周には、連通孔12a〜12fおよび連通孔13a〜13fが設けられている。連通孔12a〜12fおよび連通孔13a〜13fは、それぞれガスケット12,13を電解質11に重ね合わせた際に電解質11に設けられた連通孔11a〜11fと連通する位置に設けられている。
セパレータ20は、図3〜図5に示すように正面視が矩形とされている。セパレータ20は、図2や図6に示すように単セル10同士の間に配され、隣接する単セル10のアノード電極15とカソード電極16との間に介在して流路17,18を形成する機能と、アノード電極15側に形成される流路17に供給されるメタノールと、カソード電極16側に形成される流路18に供給される酸化剤ガスとの混合を阻止する分離手段としての機能と、単セル10同士を電気的に繋ぐ中間連結体(インターコネクタ)としての機能とを兼ねている。
セパレータ20は、導電性を有するが、ガス透過性やイオン伝導性を持たないものによって構成された板状の部材である。さらに具体的には、セパレータ20は、例えばカーボンや、ステンレス鋼などの金属板、メッキを施したり、導電性金属を析出させるなどして金属板を表面処理したもの等によって構成されている。
セパレータ20は、燃料電池1の組立状態においてアノード電極15と対向するアノード側対向面21と、カソード電極16と対向するカソード側対向面22とを有する。セパレータ20は、アノード側対向面21側およびカソード側対向面22側の略中央部に、それぞれ独立した流路溝23,25が形成されている。また、セパレータ20は、流路溝23,25の外周側に複数の連通孔20a〜20fが設けられた構成とされている。
連通孔20a〜20fは、それぞれ図3に示すように、セパレータ20を単セル10に対して隣接する位置に配置し、ガスケット12,13に重ね合わせた状態とすることにより電解質11に設けられた連通孔11a〜11fや、ガスケット12,13に設けられた連通孔12a〜12f,13a〜13fと連通する位置に設けられている。
連通孔20a,20bは、図1のように燃料電池1を組み立てた状態においてそれぞれ上記したガスケット12,13の連通孔12a,12bおよび連通孔13a,13bや、電解質11の連通孔11a,11bと連通する孔である。連通孔20a,12a,11a,13aは、各単セル10を重ね合わせて一体化すると、各単セル10を横断するように延びるメタノール往路30を構成する。また、連通孔20b,12b,11b,13bは、各単セル10を重ね合わせて一体化すると、各単セル10を横断するように延びるメタノール復路31を構成する。メタノール往路30は、図示しないメタノールの供給源から供給されるメタノールを各単セル10に供給するための流路である。また、メタノール復路31は、各単セル10を通過した余剰のメタノールや、各単セル10において消費されずに排出されるメタノールを回収して燃料電池1の外側に排出するための流路である。
また、連通孔20c,20dは、それぞれ燃料電池1の組み立て状態において上記したガスケット12,13の連通孔12c,12dおよび連通孔13c,13dや、電解質11の連通孔11c,11dと連通する孔である。連通孔20c,12c,11c,13cは、各単セル10を重ね合わせて一体化することによって、各単セル10を横断するように延びる酸化剤ガス往路32を構成する。また、連通孔20d,12d,11d,13dは、各単セル10を重ね合わせて一体化することにより、各単セル10を横断するように延びる酸化剤ガス復路33を構成する。酸化剤ガス往路32は、燃料電池1の外部から供給される酸化剤ガスを各単セル10に供給するための流路である。また、酸化剤ガス復路33は、各単セル10を通過した余剰の酸化剤ガスに加え、各単セル10において消費されずに排出される酸化剤ガス、電気化学反応によりカソード電極16側から排出される水、アノード電極15側から電解質11を透過(クロスオーバー)してカソード電極16側に至ったメタノール等を回収して燃料電池1の外側に排出するための流路である。
また、連通孔20e,20fは、上記したガスケット12,13の連通孔12e,12fおよび連通孔13e,13fや、電解質11の連通孔11e,11fと連通する孔である。連通孔20e,12e,11e,13eは、各単セル10を重ね合わせて一体化することによって、各単セル10を横断するように延びる冷却水往路35を構成する。また、連通孔20f,12f,11f,13fは、各単セル10を重ね合わせて一体化することにより、各単セル10を横断するように延びる冷却水復路36を構成する。冷却水往路35は、図示しない給水源から供給された冷却水を燃料電池1に送り込むための流路であり、冷却水復路36は、冷却水往路35を流れて燃料電池1の末端に至った冷却水を給水源側に戻すための流路である。
図4に示すように、アノード側対向面21の略中央部には、複数(本実施形態では4本)の流路溝23が蛇腹型(サーペンタイン型)に形成されており、アノード側対向面21と電解質11とでアノード電極15を挟んだ状態とすることにより、流路溝23によりアノード電極15にメタノールを供給するための流路17が形成される。
さらに詳細に説明すると、各流路溝23は、それぞれ末端部分が連通孔20cおよび連通孔20dに繋がるように形成された溝であり、その中途部分で複数回(本実施形態では6回)にわたって略「コ」字形に折れ曲がった構成とされている。各流路溝23が設けられている領域は、ガスケット12を介して電解質11とセパレータ20とでアノード電極15を挟み込んだ状態とした際に、アノード電極15の略全体が面接触する領域に設けられている。
アノード電極15をセパレータ20と電解質11で挟み込むと、図2や図6に示すように両者の間にアノード電極15の略全面にわたってメタノールを略均一に供給可能なメタノール供給用の流路17が形成される。すなわち、燃料電池1は、組み立て状態において各単セル10を横断するように延びるメタノール往路30およびメタノール復路31が形成されると共に、アノード電極15とセパレータ20との間に、メタノール往路30を流れるメタノールの一部を連通孔20cから取り込んでアノード電極15に供給し、電気化学反応に使用されなかったメタノールの残部を連通孔20dを介してメタノール復路31に戻す流路17が形成される。
そのため、複数の単セル10をセパレータ20を介して挟み込んで燃料電池1を組み立てた状態において、メタノール往路30にメタノールを供給すると、メタノール往路30を通って複数の単セル10を横断するようにメタノールが流れると共に、このメタノールの一部が各セパレータ20の連通孔20cからアノード側対向面21に設けられた各流路溝23に流入する。これにより、メタノールが各流路溝23に沿って流れ、アノード電極15の略全体に均一に供給され、アノード電極15において上記(1)に示したような電気化学反応が起こる。各流路溝23に沿って流れるメタノールのうち、アノード電極15において消費されることなく下流端に至ったものは、連通孔20dを介してメタノール復路31に回収される。
図5に示すように、セパレータ20は、カソード側対向面22の略中央部にも複数(本実施形態では4本)の流路溝25を有する。流路溝25は、図2等に示すように燃料電池1を通常の設置状態で設置した際に上下方向に向かって延びるように設置される。流路溝25は、アノード側対向面21に形成された流路溝23と同様に蛇腹型(サーペンタイン型)に形成されている。そのため、カソード側対向面22をカソード電極16側に向けた姿勢として、セパレータ20と電解質11とでカソード電極16を挟んだ状態とすると、各流路溝25によりカソード電極16に酸化剤ガスを供給するための流路18が形成される。
さらに詳細に説明すると、各流路溝25は、それぞれ末端部分が連通孔20aおよび連通孔20bに繋がるように形成された溝であり、その中途部分で複数回(本実施形態では6回)にわたって略「コ」字形に折れ曲がった構成とされている。各流路溝25が設けられている領域は、ガスケット13を介して電解質11とセパレータ20とでカソード電極16を挟み込んだ状態とした際に、カソード電極16の略全体が面接触する領域に設けられている。
カソード電極16をセパレータ20と電解質11で挟み込むと、図2や図6に示すように酸化剤ガス供給用の流路18が形成される。燃料電池1は、組み立て状態においてカソード電極16とセパレータ20との間に酸化剤ガス供給用の流路18を有する。流路18は、酸化剤ガス往路32および酸化剤ガス復路33と連通孔20a,20bを介して連通している。そのため、流路18は、酸化剤ガス往路32を流れる酸化剤ガスの一部を連通孔20cから取り込んでカソード電極16に供給すると共に、電気化学反応に使用されなかった酸化剤ガスや、カソード電極16における電気化学反応により発生する水や、アノード電極15側から電解質11を透過してカソード電極16側に到達したメタノールを連通孔20dを介して酸化剤ガス復路33に戻すための手段として機能する。
上記したように、カソード側対向面22に形成された各流路溝25は、アノード側対向面21に形成された流路溝23と略同一の形状を有するが、流路溝25の中途に多数の突出部50が形成されている点が大きく異なる。さらに詳細に説明すると、流路溝25の中途には、図5にハッチングで示すように複数の突出部50が設けられている。突出部50は、図2や図7等に示すように外観が略直方体状であって、カソード電極16側に向けて突出している。
突出部50は、図5や図7に示すように各流路溝25の幅W方向全域にわたって突出している。そのため、図6に矢印で示すように、流路溝25に酸化剤ガスを流すと、流路溝25の幅方向全域において、流路溝25側に沿って流れる酸化剤ガスが突出部50に衝突し、カソード電極16側に流れ方向を変えるといった現象が起こる。そのため、流路溝25によって構成される流路18を流れる酸化剤ガスが、カソード電極16側に誘導されると共に乱流状態になる。これにより、カソード電極16の表面に付着した水やメタノール、あるいはこれらの混合物からなる液体は、酸化剤ガスの流れ方向下流側に押し流され、流路18の外部に排除される。従って、燃料電池1は、カソード電極16に水やメタノール等の液体が付着することによる電気的特性の低下を最小限に抑制できる。
上記したように、燃料電池1は、セパレータ20に設けられた突出部50によって酸化剤ガスの流れをカソード電極16側に向けて案内し、これによって水を押し流して排除する構成であるため、従来技術のように酸化剤ガスの供給圧力をさほど高圧としなくてもカソード電極16に付着する水やメタノール等の液体を排除することができる。そのため、燃料電池1は、酸化剤ガスの圧送に伴うエネルギー消費が少なく、総合エネルギー効率が高い。
また、流路溝25に設けられた突出部50同士の間隔、すなわち流路溝25の延長方向に並ぶ突出部50同士の中間部51の長さDは、幅W方向に略均一であり、互いに平行となっている。すなわち、流路溝25の延長方向に並んだ突出部50同士の間隔は、流路溝25の幅方向中央部においても、幅方向両端部においても長さDで略一定である。そのため、本実施形態の燃料電池1では、流路溝25によって構成される流路18に酸化剤ガスを流した場合の酸化剤ガスの流速が、流路溝25の幅方向に略均一となる。従って、前記したような構成によれば、流路溝25に対向するカソード電極16の表面に電気化学反応によって発生する水やメタノール等にムラ無く均一に酸化剤ガスを当て、これを流路18の下流側に向けてスムーズに押し流すことができる。
さらに、図5〜図7に示すように、突出部50は、流路溝25の延長方向の長さdが、流路溝25の延長方向に並ぶ突出部50同士の中間部51の長さDと略同一程度とされている。これにより、本実施形態の燃料電池1では、酸化剤ガスの流れを適度にカソード電極16側に誘導したり乱流状態としてカソード電極16に付着している水やメタノールなどの液体を除去することができ、カソード電極16における電極反応(電気化学反応)の阻害要因を排除することができる。
また、図6に示すように、突出部50の間隔、すなわち中間部51の長さDは、カソード電極16の表面に付着する水やエタノール、あるいはこれらの混合物からなる液体の平均粒径j以下となるように調整されている。ここで、前記した液体の平均粒径j、すなわち液体がカソード電極16に付着した状態において、液体とカソード電極16との接触領域を想定した場合に、流路溝25を流れる酸化剤ガスの流れ方向に延びる前記接触領域の長さの平均値は、燃料電池1の運転条件等を考慮し、実験的あるいは所定の演算式に基づいて導出することができる。
上記したように、本実施形態では中間部51の長さDが平均粒径j以下となるように調整されているため、流路18を流れる酸化剤ガスが突出部50に当たってカソード電極16側に案内されると、これがカソード電極16に付着している液体に確実に当たる。そのため、上記したようにして中間部51の長さD(突出部50の間隔)を調整することにより、カソード電極16に付着した液体をより一層確実に除去可能となり、燃料電池1の総合エネルギー効率の向上に寄与することができる。
図2や図6に示すように、燃料電池1を組み立てた状態において、突出部50の表面とこれに対向するカソード電極16との間隔hは、中間部51の表面とカソード電極16との間隔Hの2/3〜4/5程度の範囲とされている。本実施形態では、間隔hが間隔Hの2/3程度とされている。換言すれば、突出部50のカソード電極16側への突出量iは、間隔Hの1/3程度とされている。
上記したように、本実施形態では、突出部50の表面とカソード電極16との間隔hが、中間部51の表面とカソード電極16との間隔Hの2/3〜4/5程度確保されているため、流路18における酸化剤ガスに作用する流れ抵抗をさほど高くすることなく酸化剤ガスをカソード電極16側に誘導したり、酸化剤ガスの流れを乱流状態とすることができる。
上記実施形態では、突出部50の流路溝25の延長方向の長さdが、流路溝25の延長方向に並ぶ突出部50同士の中間部51の長さDと略同一程度とされていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、突出部50の長さdが中間部51の長さDに対して長くても短くてもよい。また、上記実施形態において、突出部50の間隔(中間部51の長さD)は、カソード電極16の表面に付着する水やエタノール等の液体の平均粒径j以下であったが、平均粒径jが不均一である場合や条件によって変動する場合等のように平均粒径jが予測困難である場合などは長さDを適宜設定してもよい。
上記実施形態したように、突出部50の表面とカソード電極16との間隔hが、中間部51の表面とカソード電極16との間隔Hの2/3〜4/5程度の範囲とすることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、例えば、流路溝25の流路抵抗等を考慮する必要がない場合や、多少流路抵抗が高くなってもよい場合などは、間隔hが前記した範囲を外れた構成とすることも可能である。
上記実施形態において、突出部50は、カソード電極16側に向けて略直方体状に突出した構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図8のように断面形状が略二等辺三角形で山形の形状としたり、図9に示すように断面形状が略直角三角形で流路溝25の延長方向に向かうに従ってカソード電極16に近づくように傾斜した部分をもつ構成としてもよい。
さらに具体的に説明すると、図8に示す変形例において、突出部50は近接傾斜領域55と離反傾斜領域56とを有する。近接傾斜領域55は、流路溝25の上流側から下流側に向かうにつれてカソード電極16側に近接するように傾斜した部分である。離反傾斜領域56は、近接傾斜領域55に対して流路溝25を流れる酸化剤ガスの流れ方向下流側に連続した領域であり、酸化剤ガスの流れ方向下流側に向かうにつれてカソード電極16から離反するように傾斜した部分である。
また、図8に示す例では、近接傾斜領域55において流路溝25を流れる酸化剤ガスの流れ方向上流側の端部が、流路溝25の長手方向に対して略直角方向(図8(a)において二点差線で示す方向)に延びるのではなく、略直角な方向(幅方向)に対してやや傾斜した構成とされている。同様に、離反傾斜領域56において流路溝25を流れる酸化剤ガスの流れ方向下流側の端部についても流路溝25の幅方向に対してやや傾斜した構成とされている。
上記したように突出部50を山形とした場合は、流路溝25に酸化剤ガスを流すと、カソード電極16側に誘導されると共に、酸化剤ガスの流れが乱流状態になる。また、突出部50は、上流側および下流側の端部を流路溝25の幅方向に対してやや傾斜した構成としているため、流路溝25に供給される酸化剤ガスの流速等の条件が揃えば、酸化剤ガスの流れは、図8(b)に矢印で示すように酸化剤ガスが螺旋状の旋回流になるなどしてより一層乱流状態になる。そのため、図8に示すような構成とした場合についても、カソード電極16に付着した水やメタノールをスムーズに排除することができる。
また、上記したように突出部50を山形とした場合は、突出部50と中間部51との境目等における酸化剤ガスの淀みの発生を防止することができる。そのため、突出部50を山形とすることにより、流路抵抗を最小限に抑制することができる。
なお、図8に示す例では、突出部50の上流側および下流側の端部を流路溝25の幅方向に対してやや傾斜した構成とする例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、突出部50の上流側および下流側の端部が流路溝25の幅方向、すなわち流路溝25の延長方向に対して略直交する方向に延びる構成であってもよい。かかる構成とした場合についても酸化剤ガスを乱流状態とすることができ、カソード電極16に付着した水やメタノールの排除を促進することができる。
上記したように、突出部50は、図9に示すように流路溝25を流れる酸化剤ガスの流れ方向上流側から下流側に向かうにつれてカソード電極16側に近接するように傾斜した形状とすることも可能である。すなわち、突出部50は、上記した図8に示す変形例の近接傾斜領域55を有し、離反傾斜領域56が省略された構成とすることも可能である。かかる構成とした場合についても、流路溝25に酸化剤ガスを流すと、図9(b)に矢印で示すように流路溝25表面近傍を流れる酸化剤ガスがカソード電極16側に誘導されると共に、酸化剤ガスの流れが乱流状態になる。また、図9のような構成とすれば、突出部50と中間部51との境目等における酸化剤ガスの淀みの発生を防止することができる。従って、突出部50を図9に示すような構成とした場合についても、カソード電極16に付着した水やメタノールをスムーズに排除することができる。
図9に示す例では、突出部50の上流側の端部が流路溝25の幅方向に延びる構成であったが、上記した図8に示す例のように突出部50の上流側の端部が流路溝25の幅方向に対してやや傾斜した構成であってもよい。かかる構成とした場合は、流路溝25に供給される酸化剤ガスの流速等の条件が揃えば、酸化剤ガスの流れが螺旋状の旋回流になり、カソード電極16に付着した水やメタノールをより一層スムーズに排除することができる。
図8や図9に示した突出部50の変形例では、近接傾斜領域55や離反傾斜領域56のように突出部50の表面の略全体がカソード電極16に対して傾斜構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図10(a)に示すように近接傾斜領域55と離反傾斜領域56との間に、カソード電極16に対して略平行な平行領域57を持つ構成としてもよい。また、上記実施形態では、近接傾斜領域55や離反傾斜領域56の表面が直線的に傾斜した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10(b)のように表面の断面形状が曲線状になる構成としてもよい。
上記実施形態では、突出部50の突出量i、すなわち突出部50の表面とカソード電極16との間隔hが一定である構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば突出量iが部位によって異なる構成としたり、酸化剤ガスの流れ方向上流側に設けられたものと下流側に設けられたものとで突出部50の突出量i(間隔h)が異なる構成としてもよい。かかる構成によれば、酸化剤ガスの供給状態や、カソード電極16における電気化学反応の反応状態等に応じて流路溝25を流れる酸化剤ガスにかかる流れ抵抗や、酸化剤ガスの流れの状態を最適化することができる。
また、上記実施形態で採用されていた突出部50は、表面が平坦な構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図10(c)のように突出部50の幅方向中央部が幅方向両端部よりもカソード電極16側に突出した構成としたり、図10(d)のように突出部50の幅方向両端部が幅方向中央部よりもカソード電極16側に突出した凹状の形状とすることも可能である。かかる構成によれば、酸化剤ガスの流速の流路溝25の幅方向への分布を最適化することができ、カソード電極16に付着する水やメタノール等の液体をスムーズに排除できる。
上記実施形態の燃料電池1は、アノード電極15側にメタノールを供給することにより発電するDMFCを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば水素等の燃料ガスを供給することにより発電するPEFC等、他のタイプの燃料電池であってもよい。
また、上記実施形態の燃料電池1は、電解質11としてプロトン導電性の高分子膜を利用したものであり、カソード電極16側において電気化学反応により水等が発生する構成であったため、セパレータ20のカソード側対向面22に設けられた流路溝25に突出部50を設けた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、燃料電池1の電解質11として酸化物イオンを優先的に透過する酸化物イオン導電性に優れたものを採用する場合は、上記実施形態の場合とは逆に、アノード電極15側における電気化学反応により水が発生し、これがアノード電極15の表面に付着するものと想定される。そのため、このような場合は、カソード対向面22側に設けられた流路溝25に突出部50を設ける代わりに、アノード対向面21側に設けられた流路溝23に上記したのと同様の構成の突出部50を設けた構成とすることも可能である。
上記実施形態では、カソード対向面22に設けられた流路溝25にのみ突出部50を設ける例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、流路溝25に加えて、アノード対向面21側の流路溝23にも突出部50を設ける構成としてもよい。
上記実施形態において、セパレータ20に設けた流路溝23,25は、いずれも中途で何度か略「コ」字形に折り返した、いわゆるサーペンタイン型の流路であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば外部マニホールド型のセパレータのように、複数の流路溝を折り返すことなく形成したものであってもよい。
本発明の一実施形態にかかる燃料電池を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の構造を示す断面図である。 図1に示す燃料電池を構成する単セルおよびセパレータの構造を示す分解斜視図である。 セパレータをアノード側対向面側から正面視した状態を示す正面図である。 セパレータをカソード側対向面側から正面視した状態を示す正面図である。 図1に示す燃料電池における酸化剤ガスの流れを示す断面図である。 セパレータに設けられた流路溝の構造を示す破断斜視図である。 (a)はセパレータに設けられる突出部の変形例を示す破断斜視図であり、(b)は(a)に示す突出部を備えたセパレータを採用した燃料電池における酸化剤ガスの流れを示す断面図である。 (a)はセパレータに設けられる突出部の別の変形例を示す破断斜視図であり、(b)は(a)に示す突出部を備えたセパレータを採用した燃料電池における酸化剤ガスの流れを示す断面図である。 (a)〜(d)はセパレータに設けられる突出部のさらに別の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 燃料電池
10 単セル
11 電解質
15 アノード電極
16 カソード電極
17,18 流路
20 セパレータ
21 アノード側対向面
22 カソード側対向面
23,25 流路溝
50 突出部
51 中間部

Claims (5)

  1. 電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される単セルと、
    前記アノード電極およびカソード電極に対して隣接する位置に配されるセパレータとを有する燃料電池であって、
    前記セパレータは、前記アノード電極及び/又はカソード電極と対向する対向面を有し、
    当該対向面には、活物質が流通可能であり、アノード電極側あるいはカソード電極側に向けて突出した突出部を備えた流路溝が形成されており、
    前記突出部は、前記流路溝の流路幅全体にわたって突出しており、前記流路溝の延長方向に所定の間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする燃料電池。
  2. 電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される単セルと、
    前記アノード電極およびカソード電極に対して隣接する位置に配されるセパレータとを有し、
    前記アノード電極側あるいはカソード電極側のいずれか一方において活物質の反応により水が発生する燃料電池であって、
    前記セパレータは、前記アノード電極側あるいはカソード電極側のうち、活物質の電気化学反応により水が発生する電極に対して対向する対向面を有し、
    当該対向面には、活物質が流通可能であり、活物質の電気化学反応により水が発生する電極側に向けて突出した突出部を備えた流路溝が形成されており、
    前記突出部は、前記流路溝の流路幅全体にわたって突出しており、前記流路溝の延長方向に所定の間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする燃料電池。
  3. 流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間隔が、活物質の電気化学反応により発生し、電極に付着する水あるいは当該水を含む液体の平均粒径以下であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池。
  4. 突出部が、流路溝の延長方向に複数設けられており、流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間隔が、流路溝の流路幅方向に略均一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 突出部は、流路溝の延長方向の長さが、流路溝の延長方向に隣接する突出部同士の間隔と略同一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池。
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