JP2007163658A - 光導波路素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光導波路素子において、変曲点近傍における光の損失を小さく抑えられ、さらに精度および再現性良く作製することが容易な、光導波路素子を提供する。
【解決手段】本発明の光導波路素子は、互いに異なる曲率のコアをもつ第1の曲線光導波路と第2の曲線光導波路とが接続され備えられている光導波路素子であって、第1の曲線光導波路と第2の曲線光導波路は、第1の曲線光導波路のコアと第2の曲線光導波路のコアとが、それぞれの接続端面における中心軸が互いに平行かつ軸ずれ量dだけずらされるとともに、それぞれの接続端面が互いに平行かつ間隔Lだけ離されて配置され、それぞれの曲線光導波路のコアに対して前記接続端面において中心軸が一致するように構成された直線状のコアをもつ直線光導波路を介して接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光導波路素子に関する。
光導波路素子の小型化、高集積化のため、様々な曲率を持つ曲線光導波路や、直線光導波路を組み合わせた光導波路素子が開発されている。このような光導波路素子においては、曲率が異なる光導波路が接続された点、すなわち変曲点の前後で光導波路中の横モード分布が異なるため光の損失が生じる問題があり、このような変曲点近傍における光の損失を低減する技術が強く求められている。
例えば特許文献1では、シリカ系光導波路素子作製において、分岐光導波路の変曲点および出力光導波路との接続部に軸ずれを設けることで光の漏れを抑制し、低い光の損失を実現する技術が示されている。特許文献2では、変曲点で光導波路を分割し、軸ずれさせるとともに両光導波路間に間隙(光導波路の無い部分)を設けることで、光の伝播損失が小さい光導波路素子を再現性良く製造する技術が提案されている。また、特許文献3では、変曲点で光導波路を分割し、分割した光導波路間を軸ずれを設けずに間隔を設けて配置し、該間隔を直線光導波路で接続した構成とすることにより、光の伝播損失が小さい光導波路素子を設計通り、再現性良く製造できる技術が提案されている。
特許第2809517号公報 特開2004−86080号公報 特開2004−138860号公報
前述の軸ずれや間隙の寸法は典型的には0.2〜0.6μmであり、このような軸ずれや間隙を設けた特許文献1や2に記載された構成の光導波路素子のコア形状を精度および再現性良く作製することは容易ではない。例えば、光導波路を形成する方法として下部クラッド上にコアとなる層をべたに形成し、これをフォトリソグラフィおよびドライエッチングにより所望のコア形状にパターニングし、上部クラッドを積層する方法を用いようとすると、フォトリソグラフィ工程においてレジストを露光するときに、マスクパターンの角の部分で顕著な回折を生じてマスクパターン形状をそのままレジストに転写することが困難である。そのため、所望のコア形状が得られず、作製された光導波路素子は、変曲点近傍において光の損失を生じる問題がある。また、軸ずれを設けずに設けた間隔を直線光導波路で接続した特許文献3に記載された構成の光導波路素子は作製は容易であるが、光の伝播損失を充分小さく抑えることが難しい。
本発明は、前述の課題を解決し、互いに異なる曲率の光導波路が接続された変曲点前後での光の播損失が小さい光導波路素子を提供する。すなわち本発明は、互いに異なる曲率のコアをもつ第1の曲線光導波路と第2の曲線光導波路とが接続され備えられている光導波路素子であって、第1の曲線光導波路と第2の曲線光導波路は、第1の曲線光導波路のコアと第2の曲線光導波路のコアとが、それぞれの接続端面における中心軸が互いに平行かつ軸ずれ量dだけずらされるとともに、それぞれの接続端面が互いに平行かつ間隔Lだけ離されて配置され、それぞれの曲線光導波路のコアに対して前記接続端面において中心軸が一致するように構成された直線状のコアをもつ直線光導波路を介して接続されていることを特徴とする光導波路素子を提供する。
この場合、それぞれの曲線光導波路の前記接続端面が、前記接続端面における曲線光導波路の中心軸と直交することが好ましい。
また、前記軸ずれ量dが、0.2μm以上、コア幅の1/3以下であって、前記間隔Lが0.1μm以上であることが好ましい。
さらに、コアとクラッドの屈折率差をコアの屈折率で除した値Δが0.0003〜0.1であることが好ましい。
本発明にかかる光導波路素子は、前記コアが、Bi、Sb、PbO、SnOおよびTeOからなる群から選ばれた1種以上の酸化物を質量百分率表示で35%以上含有する酸化物ガラスからなることが好ましい。
前記コアは、質量百分率表示でBiを35%以上含有する酸化物ガラスからなることが好ましく、ErおよびTmの少なくともいずれか一種を含有する酸化物ガラスからなることが特に好ましい。
また、本発明にかかる光導波路素子は、前記コアがフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法により形成されていることが好ましい。
本発明の光導波路素子の構成によれば、曲率が異なる曲線光導波路を備えた光導波路素子において、変曲点近傍における光の損失が小さく抑えられ、またこのような低い光の伝播損失の光導波路素子が精度および再現性良く作製することが容易な構成で実現される。
以下、本発明の光導波路素子1を図を用いて説明するが、本発明は以下の説明に限定されない。図1は、本発明の光導波路素子の変曲点近傍の平面図であって、互いに異なる曲率のコアをもつ2本の曲線光導波路10、20が、直線光導波路30を介して接続された構成を有する。直線は曲率半径が無限大の曲線とみなせるので、コアの曲率が互いに異なる2本の曲線光導波路のうちの一方は直線形状のコアをもつ直線光導波路であってもよい。図1の構成では、一方の曲線光導波路10が直線光導波路とされているが、説明の都合上、以下単に「曲線光導波路」という。また、互いに異なる曲率のコアをもつ2本の曲線光導波路は、同じ曲率で曲がる方向が異なるコアをもつ曲線光導波路の組合せであってもよい。なお、これらのコア11、21、31は、コアと所定の屈折率差をもつクラッド(図示せず)に埋設されている。
曲線光導波路10と曲線光導波路20とは、それぞれの曲線光導波路のコア11と21とが、それぞれの接続端面12、22における中心軸を互いに平行かつ軸ずれ量d[μm]だけずらされるとともに、それぞれの接続端面が互いに平行かつ間隔L[μm]だけ離されて配置され、それぞれの曲線光導波路のコアに対して前記接続面において中心軸が一致するように構成された直線状のコア31をもつ直線光導波路30を介して接続されている。異なる曲率の曲線光導波路のコアの接続端面12、22は、接続端面におけるコアの中心軸に対して垂直とされていることが好ましいが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、傾けられていてもよい。
コアの材料は、導波させる光の波長において吸収を持たない材料であれば特に限定されない。また、クラッドの材料は、コア内に光を閉じ込めることができるものであれば特に限定されないが、効率よくコアに光を閉じ込めるためには、クラッドの屈折率nは、コアとクラッドの屈折率差Δnをコアの屈折率n(n>n)で除した値Δn/nすなわちΔが0.0003〜0.1となるようにすることが好ましい。Δが0.0003未満ではコア内への光閉込めが不十分となり、伝搬光の一部が放射して光の伝搬損失が増大するおそれがある。Δはより好ましくは0.001以上、特に好ましくは0.003以上である。一方、Δが0.1超では光導波路に入射したシングルモードの光が、伝播中にマルチモードに変化して高速伝送ができなくなるおそれがある。そのためΔは0.1以下で、より好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.05以下である。なお、本明細書中における屈折率とは、本発明の光導波路素子を用いる波長帯域における屈折率をいうものとする。コアの断面形状は、通常矩形または正方形であるが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、台形、円形や楕円形など、これ以外の形状であってもよい。
図2は従来技術の、異なる曲率の曲線光導波路が接続された光導波路素子の模式的構成の平面図であって、それぞれのコア41、51の曲率が互いに異なる2本の曲線光導波路40、50が、それぞれのコアの中心軸46と56とが、接続端面42および52において軸ずれdを設けたのみで配置され直接接続されていて、間隔Lおよびこの間隔部分を接続する直線光導波路が設けられていない。コアの接続端面42、52は、接続端面におけるコアの中心軸と垂直とされている。また、これらのコア41、51は、図1の構成と同様にコアと所定の屈折率差をもつクラッド(図示せず)に埋設されている。なお、図2では、異なる曲率のコアをもつ2本の曲線光導波路のうちの一方が直線形状のコアをもつ直線光導波路とされているが、説明の都合上、以下、単に「曲線光導波路」という。
図1および図2の構成の光導波路素子について、波長1550nmの光を伝播させ、軸ずれ量dおよび間隔Lを変化させたときの、変曲点近傍における光の損失をBPM計算により求めた。BMP計算については、例えば「光導波路の基礎」(コロナ社刊、岡本勝就著)に記載されている。
まず、間隔Lがゼロの場合すなわち図2の軸ずれのみが設けられた構成の光導波路素子についてBMP計算をおこなって、変曲点近傍において光の損失が実質的に発生しない最小曲率半径とそのときの軸ずれ量dとを求めた。なお、実質的に発生しないとは、変曲点において発生する光の損失が0.05dB以下であることをいう。なお、コア幅は5μm、クラッドの屈折率は1.90とし、コアとクラッドとの屈折率差Δnが0.01、0.02、0.03の場合について計算をおこなった。その結果、Δnが0.01の場合は、最小曲率半径は3.0mmでそのときの軸ずれ量dが0.5μm、Δnが0.02の場合は、最小曲率半径は1.5mmでそのときの軸ずれ量dが0.4μm、Δnが0.03の場合は、最小曲率半径は1.0mmでそのときの軸ずれ量dが0.5μmであった。
図1および図2の構成の光導波路素子について、軸ずれ量dを変化させたときの変曲点近傍における光の損失をBMP計算により求め、結果を図3のグラフにプロットした。コア幅は5μm、クラッドの屈折率は1.90、Δnは0.03とし、曲線光導波路20、50の曲率半径は1.0mmとした。図1の光導波路素子における間隔Lは2μmとした。
このグラフからわかるように、図1の本発明の構成では、図2の軸ずれのみの構成と同様、軸ずれ量d0.5μmで光の損失が最も小さい。図3にプロットした0〜1μmの範囲を超える1μm以上の軸ずれ量dでは、光の損失がさらに増大する。本発明の光導波路素子における好ましい軸ずれ量dは、接続するそれぞれの曲線光導波路の曲率、コアの径および屈折率、コアとクラッドとの屈折率差Δn、等により異なるが、0.2μm以上、コア幅の1/3以下の範囲から、光の損失が最小となるように選ぶことが好ましい。0.2μm未満あるいはコア幅の1/3超では軸ずれの効果が充分得られないおそれがある。
次に、間隔Lについて説明する。間隔Lは、所望のコア形状を精度および再現性良く容易に加工できるようにするためには0.1μm以上とすることが好ましい。間隔Lが0.1μm未満では所望のコア形状を精度および再現性良く得られないおそれがある。すなわち、例えば、フォトリソグラフィグラフィを用いる作製法では、フォトリソグラフィによりマスクパターンをレジストに露光、転写しようとするときに、軸ずれdと間隔Lによって形作られるマスクパターンの角の部分で回折が顕著に生じ、マスクパターン形状がそのまま転写されないおそれがある。所望のコア形状が得られないと、得られる光導波路素子は変曲点近傍における光の損失が大きくなり好ましくない。
間隔Lを変化させたときの、本発明の光導波路素子の波長1550nmの光に対する変曲点近傍における光の損失をBPM計算により求めた結果を図4に示す。Δn、曲線光導波路の曲率半径、および軸ずれ量dは上記の構成と同様とした。図4は、得られた結果をL/dを横軸としてプロットしたグラフである。図4からわかるように、光の損失を小さく抑えるためにはL/dを小さくすることが好ましいが、本発明の効果を損なわない限りにおいて上限は限定されない。軸ずれを設けた効果により光の損失を特に小さく抑えるためにはL/dを20以下、すなわち間隔Lを20・d以下とするとで好ましい。
本発明の光導波路素子の構成を用いると、種々の機能をもつ光導波路素子を小型化、高集積化することができる。このような小型化、高集積化された光導波路素子に本発明の光導波路素子の構成を適用する場合には、コアの材料として、屈折率nが1.7以上である高屈折率ガラスを用いることが好ましい。特に光増幅機能をもつ光導波路素子として用いる場合には、大きい利得係数を得るために、コアの屈折率nを大きくすることが好ましく、コアの屈折率nは、1.7以上であることが好ましく、より好ましくは1.8以上である。1.7未満では光増幅率または非線形性が低下するおそれがある。また、通常は2.3以下である。
光増幅機能をもつ光導波路のコアガラスとして用いる高屈折率のガラスとしては、Bi、Sb、PbO、SnOおよびTeOからなる群から選ばれた1種以上の酸化物を質量百分率表示で35%以上含有する組成を有するガラスが例示される。以下、単に%と記載した場合は、質量百分率表示をいうこととする。光増幅導をおこなわせる場合には、Biを35%以上含有するガラスとすることが好ましい。35%未満では光増幅率または非線形性が低下する。より好ましくは40%以上であり、特に好ましくは60%以上である。90%超ではガラス化しにくくなる。より好ましくは85%以下である。このようなガラスとしては、Biが35〜90%、SiOが2〜40%、Gaが5〜25%、Alが0〜5%から本質的になる組成であるガラスが好ましい。このとき、その他の成分を合計で25%以下、好ましくは15%以下の範囲で含有してもよい。光増幅をおこなわせるときにはErとTmのいずれか一種または両方を0.01%以上含有することが必要である。ErとTmのいずれかを単独で含有するときはその含有量、両方を含有するときはそれらの合計の含有量は、10%超ではガラス化しにくくなるので10%以下であることが好ましい。また5%超では濃度消光が起きて光増幅率が低下し易いので、より好ましくは5%以下である。さらに好ましくは0.1〜2%である。
クラッドは、ErおよびTmのいずれも含有しない点を除き前記組成範囲と同じ組成範囲のガラスとすることが好ましい。コアガラスとクラッドガラスとで組成範囲が異なると、素子作製工程における加熱や冷却の過程で熱応力を生じ、光導波路を作製する過程で膜剥がれが生じたり、残留応力が発生したりする可能性があるためである。しかしながら、熱的性質が大きく相違せず、かつ屈折率を前記範囲内に調整できれば、クラッドは前記組成範囲に限定ない。
本発明の光導波路素子において、コアの屈折率は高屈折率ガラスの屈折率である1.90近傍に限定されず、例えば石英ガラスやフッ素樹脂の屈折率近傍においても、同様の優れた効果が得られる。本発明の図1の構成の光導波路素子において、コアおよびクラッドの屈折率を1.450、1.473(Δn=0.023、Δ=1.55%)とした場合、および1.3205、1.3000(Δn=0.0205、Δ=1.55%)とした場合について、波長1550nmの光に対する、変曲点近傍における光の損失をBPM計算により求めた。このとき、異なる曲率の曲線光導波路の一方を曲率半径無限大の直線光導波路とし、他方を曲率半径1mmの曲線光導波路として、軸ずれ量dを0.5μm、間隔Lを2μmとして配置し、間隔Lを直線光導波路を介して接続した構成とした。それぞれの構成の変曲点近傍における光の損失は0.021dB、および0.018dBであった。
また、異なる曲率の曲線光導波路が軸ずれを設けたのみで直接接続された以外は同様とした、図2の構成の光導波路素子について、変曲点近傍における光の損失を同様に計算すると、0.021dB、および0.017dBであった。すなわち、図1の構成の光導波路素子では、図2の構成と同等に低い光の伝播損失を実現できることがわかる。
本発明の光導波路素子の構成は、クラッド上に積層したコアとされるコア膜をフォトリソグラフィグラフィおよびドライエッチングにより所望のコア形状に加工し、必要に応じてさらにクラッドを積層して光導波路を作製する場合に、好ましく用いることができる。作製方法はこれに限定されず、例えばガラスを、所望のパターンのマスクを用いてイオン交換をおこなってコアパターンを形成する方法や、モールド、機械加工等によりコアパターンを形成する方法を用いる場合においても、好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、以下の説明が本願発明を限定するものではない。例1、例2は実施例、例3は比較例である。
まず、表1に質量百分率表示で示す組成物を、高純度化学研究所社製の粉末状試薬Bi(純度99.999%、粒度20μm)、SiO(純度99.9%、粒度4μm)、Ga(純度99.9%)、Al(純度99.9%)、B(純度99.9%)、La(純度99.9%)、Er(純度99.9%)、CeO(純度99.9%)を用いて調合後らいかい機により乾式混合し、1150℃に加熱した電気炉中にて溶解して、ステンレス板上に流し出し、直径101.6mmのBi系多成分ガラスを得る。得られた円板状のBi系多成分ガラスを厚さ3mmまで研削し、その後スパッタ用バッキングプレートにインジウムを接着剤として用いてボンディングして、コア用スパッタリングターゲット(組成:T1)と、クラッド用スパッタリングターゲット(組成:T2)が得られた。このターゲットを用いて、以下に述べる手順で光導波路を作製し、評価をおこなった。
Figure 2007163658
まず、ソーダライムシリカガラス製の円形基板11(厚さ1mm、直径76.2mm)の上に厚さ6.6μmの下地クラッド膜を形成する。すなわち、クラッド用ターゲットを用いて、スパッタリング用ガスとしてアルゴンおよび酸素をそれぞれ標準状態換算で流量30cm/分、0.5cm/分導入し、圧力は0.3Pa、投入高周波電力は100Wの条件で66時間スパッタリングをおこなって、基板温度20℃の基板上にBi系多成分ガラスからなる下地クラッド膜を形成する。以上により、X線回折測定によって回折ピークが認められない非晶質膜が得られた。
次に、下地クラッド膜の上に、厚さ3.3μmのBi系多成分ガラスからなるコア膜を形成する。すなわち、コア用ターゲットを用いて、スパッタリング用ガスとしてアルゴンおよび酸素をそれぞれ標準状態換算で流量30cm/分、0.75cm/分導入し、圧力は0.3Pa、投入高周波電力は100Wの条件で21時間スパッタリングをおこなう。基板温度は20℃とする。得られたコア膜は、X線回折測定によって回折ピークが認められない非晶質であった。また、含有するBiの量は質量百分率表示で74.1%であった。
次に、コア膜の上にBi系多成分ガラスからなる保護膜(上地クラッドとなる膜)を300nm形成する。すなわち、クラッド用ターゲットを用いて、スパッタリング用ガスとしてそれぞれ標準状態換算で流量30cm/分、0.5cm/分のアルゴンおよび酸素を導入し、圧力は0.3Pa、投入高周波電力は100Wの条件でスパッタリングをおこなう。基板温度は20℃、スパッタリング時間は3時間である。
次に、直径101.6mmのWSiターゲットを用いて、厚さ1.3μmのマスク膜を形成する。すなわち、スパッタリング用ガスとしてアルゴンを標準状態換算で流量10cm/分導入し、圧力は2Pa、投入DC電力は300Wの条件でスパッタリングをおこなう。基板温度は20℃、スパッタリング時間は100分である。
次に、マスク膜の上にスピンコート法を用いて厚さ2.4μmのポジレジスト膜を形成する。ポジレジスト膜を96℃のホットプレート上で仮焼した後、マスクアライナを用いて波長436nmの紫外線を照射し、前記ポジレジスト膜の上にコアパターンを露光する。例1では、異なる曲率の曲線光導波路がそれぞれ、軸ずれdおよび間隔Lを設けて配置され直線光導波路を介して接続されている図1に示すコア形状、例2では、間隔Lを設けずに軸ずれdのみを設けて接続されている図2に示すコア形状、例3では、異なる曲率の曲線光導波路が、接続面62および72においてそれぞれの中心軸66および76を一致させて、軸ずれdおよび間隔Lを設けずに接続されている図8に示すコア形状の、それぞれのパターンのマスクを用いた。各例において、異なる曲率の曲線光導波路一方を直線状で、他方を曲率半径1mmとし、コア幅は5μmで共通とした。また、例1および例2のパターンにおける軸ずれ量は0.5μmとし、例1における間隔Lは2μmとした。次いで、ポジレジスト膜の紫外線照射された不要部分を現像液により除去して、それぞれのレジストパターンを得た。
次にICPエッチング装置NE550((株)アルバック製)を用いて、ドライエッチングによりマスク膜のパターニングをおこなう。ドライエッチング条件は、CHFガスおよびSFガスの流量をそれぞれ標準状態換算で25cm/分および5cm/分、圧力を0.5Pa、アンテナパワー800W、バイアスパワー20W、基板温度20℃、とし、ドライエッチング時間は9分間とする。
次に、剥離液により、レジストパターンをマスク膜上から除去した後、前述のICPエッチング装置により以下の条件で灰化処理をおこなって、レジストを除去する。灰化処理条件は、灰化用ガスとして酸素を標準状態換算で20cm/分導入し、圧力1Pa、アンテナパワー300W、バイアスパワー10W、基板温度20℃とし、灰化処理時間は5分間とする。
次に、磁気中性線放電プラズマ(Neutral Loop Discharge)エッチング(以下NLDエッチングという)装置NLD500((株)アルバック製)を用いて、コアガラス膜をドライエッチングによりパターニングする。NLDエッチングによるドライエッチングは、Arガスにフッ化物ガスを流量比で10%加えた混合ガス気流中でおこなう。ArガスとCガスの流量はそれぞれ標準状態換算で45cm/分、5cm/分である。またそのときの圧力は0.2Paで、放電電力はアンテナパワー1200W、バイアスパワー250W、チャンバー縦方向に3つある中性磁場生成コイルの電流を上から10A、16.7A、10A、基板温度を25℃とする。
上記条件で10分間のドライエッチング処理をおこなった後、試料を一旦取出す。次いで、Si基板を装置にセットし、OガスとCガスの流量をそれぞれ100cm/分、5cm/分とし、アンテナパワー1000W、バイアスパワー0Wでの30分間のプラズマ処理後、バイアス20Wを印加する以外は、前述と同様の条件で30分プラズマ処理をおこない、次にNガスによる真空破壊と真空引きを30回繰り返す。次いで、10分間エッチングした試料を再度装置へセットし、前述のコアエッチング条件と同条件でコアのエッチングを10分間おこなう。
次に、前述のICPエッチング装置により、金属マスク除去をおこなう。エッチング条件は、SFガス20cm/分、圧力0.5Pa、アンテナパワー800W、バイアスパワー20W、基板温度20℃、とし、エッチング時間は4分間とする。
次に、下地クラッド膜およびコアパターンの上に6.6μm厚のBi系多成分ガラスからなる上地クラッド膜を形成する。すなわち、クラッド用ターゲットを用いて、スパッタリング用ガスとしてアルゴンおよび酸素をそれぞれ標準状態換算で流量30cm/分および0.5cm/分導入し、圧力は0.3Pa、投入高周波電力は100W、として66時間スパッタリングをおこなう。基板温度は20℃とする。
以上の工程により得られた積層体を真空炉にセットし、標準状態換算で流量5cm/分の酸素ガスを流しながら圧力を0.2torrに保たれた雰囲気中で、昇温速度5℃/分で500℃まで加熱し、3時間保持した後、降温速度5℃/分で冷却する熱処理をおこなう。次いで、ダイシング装置で切断して光導波路素子部分を切り出した後、端面を研磨加工し、鏡面加工をおこなって、例1、例2および例3の光導波路素子が得られた。以上の工程により得られたコア膜とクラッド膜の屈折率は、それぞれ1.930、1.900であった。
例1および例2で得られたコア部の模式的な図を、図6および図7に示す。図中の破線は、フォトリソグラフィグラフィで形成されたレジストパターンを表したものである。
図1のマスクパターンを用いて形成されたBi系多成分ガラスからなる、例1の光導波路素子のコア部は、断面19が図6(a)に示すように上辺が19a、下地クラッド膜と接する下辺が19b(19a<19b)、コア膜厚すなわち高さが19cの、両側面が傾斜した台形であった。また、平面図である図6(b)では、15、35、25の、異なる曲率の曲線光導波路のコア部および該コア部を接続する直線光導波路のコア部のマスクパターンに対して、曲線光導波路10、直線光導波路30、曲線光導波路20の上面がそれぞれ13、33、23であって、側面がそれぞれ14、34、24であって、マスクパターン形状が精度よくコア形状に再現された。
図2のマスクパターンを用いて上述の工程でドライエッチングによりパターニングされた、Bi系多成分ガラスからなる例2の光導波路素子のコア部は、図7(a)に示すように例1と同様に上辺49a、下辺49b、高さ49cの両側面が傾斜した台形形状の断面49をもつ。また、図7(b)の平面図でみると、マスクパターン45および55に対して、曲線光導波路40および50の上面がそれぞれ43および53であって、側面が44、54である。このとき、マスクパターンの角45a、55aにより生じる回折により、コア部に欠けが生じる部分40a、50aや、エッチングされない部分40b、50bが生じて、マスクパターンどおりにコア膜をエッチングしパターニングをおこなうことができなかった。
例3の光導波路素子では、図示していないが、マスクパターンと同様の形状のコア部が得られた。
得られた例1、例2および例3の光導波路素子の変曲点近傍における光の損失を評価すると、それぞれ0.10dB、0.15dB、0.40dBであった。これらの評価結果を、本発明の光導波路素子の構成に対する、変曲点近傍における光の損失のBMP計算結果とともに図5のグラフにまとめた。計算をおこなった構成は、Δnは作成した光導波路素子と同様に0.03とし、軸ずれdを0〜1.0μmの範囲で変化させ、間隔Lを2μmで固定とした。すなわち例1の構成によれば、所望のコア形状を容易にまた再現性良く形成することができて、BMP計算から求めた光の損失値と同等の低損失を実現できることがわかる。
本発明によれば、光の伝播損失が低く、精度および再現性良くまた容易に製造可能な、光導波路素子を実現することができる。特にフォトリソグラフィおよびドライエッチングにより形成するときに、生産性に優れたマスクアライナを用いたフォトリソグラフィグラフィによりパターン形成することが可能であり、装置が高価なステッパを用いる必要がないため、工業的に好ましい。
また、本発明の軸ずれと間隔、および間隔を接続する直線光導波路を備えた、光導波路素子は、0.4〜2μmの波長帯における光導波路素子の小型化に好適であり、たとえばCバンド(1530〜1565nm)の信号光など、1.45〜1.64μmの波長帯の光増幅に用いる光増幅光導波路素子に用いると、コンパクト化、高性能化が実現される。
本発明の光導波路素子の構成は、フォトリソグラフィグラフィおよびドライエッチングにより形成する光導波路素子に限定されず、イオン交換法により形成する光導波路素子に対しても、好ましく適用することができる。
さらに、本発明の軸ずれと間隔、および間隔を接続する直線光導波路を備えた、光導波路素子は、Bi系高屈折率ガラスからなる光導波路素子に限定されず、石英ガラスやフッ素樹脂からなる光導波路素子に対しても好適に適用することができて、変曲点近傍における光の損失を低く抑えることができる。
異なる曲率の曲線光導波路が、軸ずれdおよび間隔Lを設けて配置され直線光導波路を介して接続されている本発明の光導波路素子の、変曲点近傍のコア形状の平面図、および該コアパターンを形成するためのマスクパターン。 異なる曲率の曲線光導波路が、間隔Lを設けずに軸ずれdのみを設けて接続されている光導波路素子の、変曲点近傍のコア形状の平面図、および該コアパターンを形成するためのマスクパターン。 軸ずれdおよび間隔Lと、間隔を接続する直線光導波路とを備える本発明の構成と、軸ずれdのみを備える構成の、それぞれの光導波路素子の、dに対する変曲点近傍における光の損失の変化を示すグラフ。 軸ずれdおよび間隔Lと、間隔を接続する直線光導波路とを備える本発明の変曲点を持つ光導波路素子の、L/dに対する変曲点近傍における光の損失の変化を示すグラフ。 例1、例2および例3の光導波路素子の、変曲点近傍における光の損失を示すグラフ。 図1のマスクパターンを用いたフォトリソグラフィグラフィおよびドライエッチングにより形成された、例1のコア部の模式的な平面図。 図2のマスクパターンを用いたフォトリソグラフィグラフィおよびドライエッチングにより形成された、例2のコア部の模式的な平面図。 異なる曲率の曲線光導波路が、軸ずれdおよび間隔Lを設けずに接続されている光導波路素子の、変曲点近傍のコア形状の平面図、および該コアパターンを形成するためのマスクパターン。
符号の説明
10、20:曲線光導波路
30:間隔Lを接続する直線光導波路
11、21:曲線光導波路のコア
31:間隔Lを接続する直線光導波路
12、22:曲線光導波路と間隔Lを接続する直線光導波路の接続端面
16、26:曲線光導波路の中心軸
36:直線光導波路の中心軸
40、50:曲線光導波路
41、51:曲線光導波路のコア
42、52:曲線光導波路の接続端面
46、56:曲線光導波路の中心軸
13、23:曲線光導波路の上面
33:直線光導波路の上面
14、24:曲線光導波路の側面
34:直線光導波路の側面
15、25:曲線光導波路部分のマスクパターン
35:直線光導波路部分のマスクパターン
19:コア部の断面
19a、19b、19c:コアの上辺、下辺、および高さ(コア膜厚)
43、53:曲線光導波路の上面
44、54:曲線光導波路の側面
45、55:曲線光導波路部分のマスクパターン
49:コア部の断面
49a、49b、49c:コアの上辺、下辺、および高さ(コア膜厚)
45a、55a:マスクパターンの角
40a、50a:マスクパターンの角の回折によりコア部に生じた欠け
40b、50b:マスクパターンの角の回折によりエッチングされないコア部
60、70:曲線光導波路
61、71:曲線光導波路のコア
62、72:曲線光導波路の接続端面
66、76:曲線光導波路の中心軸

Claims (8)

  1. 互いに異なる曲率のコアをもつ第1の曲線光導波路と第2の曲線光導波路とが接続され備えられている光導波路素子であって、
    第1の曲線光導波路と第2の曲線光導波路は、第1の曲線光導波路のコアと第2の曲線光導波路のコアとが、それぞれの接続端面における中心軸が互いに平行かつ軸ずれ量dだけずらされるとともに、それぞれの接続端面が互いに平行かつ間隔Lだけ離されて配置され、それぞれの曲線光導波路のコアに対して前記接続端面において中心軸が一致するように構成された直線状のコアをもつ直線光導波路を介して接続されていることを特徴とする光導波路素子。
  2. それぞれの曲線光導波路の前記接続端面が、前記接続端面における曲線光導波路の中心軸と直交する請求項1に記載の光導波路素子。
  3. 前記軸ずれ量dが、0.2μm以上、コア幅の1/3以下であって、前記間隔Lが0.1μm以上である請求項1または2に記載の光導波路素子。
  4. コアとクラッドの屈折率差をコアの屈折率で除した値Δが0.0003〜0.1である請求項1、2または3記載の光導波路素子。
  5. 前記コアが、Bi、Sb、PbO、SnOおよびTeOからなる群から選ばれた1種以上の酸化物を質量百分率表示で35%以上含有する酸化物ガラスからなる請求項1〜4のいずれか1項記載の光導波路素子。
  6. 前記コアが、質量百分率表示でBiを35%以上含有する酸化物ガラスからなる請求項5記載の光導波路素子。
  7. 前記コアが、ErおよびTmの少なくともいずれか一種を含有する酸化物ガラスからなる請求項5または6記載の光導波路素子。
  8. 前記コアがフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法により形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の光導波路素子。
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