JP2007163452A - 圧電振動子の漏れ振動調整装置および漏れ振動調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電振動子の漏れ振動をレーザーにより調整する加工では、加工時に発生する熱の影響により漏れ信号を正確に検出できず、正しい漏れ振動調整ができないという問題があった。
【解決手段】駆動信号を出力して圧電振動子を定常に振動させ、圧電振動子から発生する出力信号を入力して不要な漏れ振動成分を検出し、漏れ信号を出力する漏れ振動検出手段と、漏れ信号に基づき漏れ振動を低減する調整加工の条件を求める演算を行って、制御信号を出力する漏れ振動制御手段と、制御信号の一つに基づいて圧電振動子の位置決めを行う位置決め手段と、別の制御信号に基づいて圧電振動子の調整部にフェムト秒レーザーを照射するフェムト秒レーザー発生手段とを有し、フェムト秒レーザーで調整部を微少量除去する加工を行う。真空チャンバー中に圧電振動子を収めて加工すれば、調整精度がさらに上がる。

【選択図】 図1

Description

本発明は、振動ジャイロ等を構成するのに用いられる圧電振動子の調整方法に関し、特に圧電振動子の振動方向等の特性を調整する特性調整装置、および特性調整方法に関する。
近年では圧電振動子に回転が加わった場合のコリオリ力を利用した振動ジャイロの実用化が進み、自動車の姿勢制御システム、ナビゲーションシステム、ビデオカメラやデジタルカメラの手ぶれ検出システムなどに使用されている。
このような振動ジャイロの応用分野は、ナビゲーションシステムなどのように角度を算出するシステム、つまり振動ジャイロの出力である角速度を積分して使う用途と、手ぶれなどの角加速度を検出するシステム、つまり振動ジャイロの出力である角速度を微分して使う用途とに大別されるが、特に積分して使う用途では高い精度と信頼性が要求される。
ところで圧電振動子は、一般には切り出す圧電材料の結晶方位を最適に設定することによって正確な振動を発生させ、その振動数などを利用するものである。その場合、正確に振動する方向は決められており、異なる方向に振動が現れるとノイズなどの原因となり、S/N比が落ちたりするような性能劣化の原因となる。
振動ジャイロの場合はこの異なる振動方向を積極的に利用して、駆動振動および検出振動の二つの振動モードを使用する。しかし、回転によるコリオリ力が働かないときに駆動振動によって検出振動(この振動を漏れ振動と呼ぶ)が発生してしまうと、やはり性能が劣化し、高精度、高信頼性を備えた振動ジャイロを得ることができないことが知られている。以下、本発明では、圧電振動子として振動ジャイロに用いるものを例にとって説明するが、当然ながら一般の圧電振動子にも適用できる。
この漏れ振動(実際に取り出される信号は電圧なので、これを漏れ電圧、漏れ出力と呼ぶことがある)は、コリオリ力によって生じる検出振動を効率よく取り出すために検出振動の固有振動数と駆動振動の固有振動数を近づけて設計する際、圧電振動子の加工精度などのばらつきによって、二つの振動間に機械的結合が生じることに起因する。この漏れ振動が発生すると、回転によって発生したコリオリ力による検出振動が漏れ振動に隠れてしまい、角速度の検出感度が低下し、S/N比が低下してしまう。なお、圧電振動子による振動ジャイロの漏れ振動(漏れ電圧、漏れ出力)に関しては、非特許文献1に詳しく書かれている。
簡単に漏れ振動を説明すれば、コリオリ力によって発生する検出振動と同じ振動方向に発生する振動であり、回転していないとき、すなわちコリオリ力がゼロのときに、駆動振動から機械的結合によって漏れてくる振動のことである。
圧電振動子として例えば水晶を使った水晶ジャイロにおいて、このような漏れ振動はノイズの原因となるため、極力漏れ振動を低減する必要がある。そのために振動する脚の一部を微少量除去してバランスを取る調整を行う方法が知られている。以下本発明では圧電振動子の材料として水晶を例に説明するが、他の圧電材料でも同様である。
その従来技術として、図9に示すように、例えばレーザーを用いて行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図9において、圧電振動子101の調整部104に
レーザー発生手段901からレーザー902を照射するシステムとなっている。このシステムではレーザーを用いて振動する脚の角部(調整部104)を微少量除去することにより、振動する脚の質量バランスを取り、漏れ振動を低減する方法が開示されている。
菅原他、「圧電型振動ジャイロスコープの漏れ出力の等価回路考察」、電子情報通信学会論文誌、A Vol−J76−A、No.3. 1993年3月、p.263−272
特開2004−93158号公報(段落[0020]−[0022]、図3−5)
しかしながら、この従来技術では、振動する脚の角部などに通常のレーザーを照射し、それにより発生する熱によって材料(水晶)を溶融して加工するため、加工部分の温度が高くなって圧電振動子の電気的な諸特性が変化し、電気的ノイズが生じやすく、さらに加工表面に熱による加工変質層を生じる。そのため、大きな誤差を含む漏れ信号しか得ることができず、その誤差の大きい漏れ信号を参照して加工しても、実質的に正しい微調整はできない。
つまり、漏れ信号をリアルタイムで検出してその信号をフィードバックし、それにより加工量を制御して漏れを自動調整することが困難であるという問題が生じる。これでは圧電振動子の振動特性の微調整を自動制御できず、量産化する際に生産技術的に大きな問題となる。また、加工部に加工変質層が生じることにより、圧電振動子の電気的諸特性が悪化し、圧電振動子を利用したデバイスの性能を劣化させるという致命的な問題が生じる。
〔発明の目的〕
そこで、本発明は、上述した従来技術における問題点を解決して、レーザーによる加工時の熱による悪影響を無くすことで、加工時に正しい漏れ信号をリアルタイムで検出し、その信号をフィードバックして加工量を制御して漏れ振動を自動調整し、なおかつ加工部の加工変質層を生じさせないことが可能な方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決し目的を達成するために、本発明の漏れ振動調整装置は、不要な漏れ振動成分を排除して特性を調整する調整部を有する、圧電材料から成る圧電振動子の漏れ振動調整装置において、
駆動信号を出力して前記圧電振動子を定常に振動させ、前記圧電振動子から発生する出力信号を入力して、不要な漏れ振動成分を含んだ検出信号を検出する漏れ振動検出手段と、
該漏れ振動検出手段によって検出した漏れ信号を入力し、該漏れ信号に基づき漏れ振動を低減するための調整加工の条件を求める演算を行って、二つの制御信号を出力する漏れ振動制御手段と、
前記制御信号の一つに基づいて、前記圧電振動子の位置決めを行う位置決め手段と、
前記制御信号の他の一つに基づいて、前記圧電振動子の前記調整部の少なくとも一部にフェムト秒レーザーを照射するフェムト秒レーザー発生手段と
を有し、前記フェムト秒レーザーで前記調整部の少なくとも一部の微少量を除去する加工を行うことを特徴とする。
また、漏れ振動調整装置は、真空度をコントロール可能な真空チャンバーを有し、該真空チャンバー内において所定の真空度で前記圧電振動子を加工することを特徴とする。
また、漏れ振動調整方法は、漏れ振動を低減するように、フェムト秒レーザーの諸特性のうち、パワー、焦点深度、エネルギー分布、照射範囲、照射周波数、照射位置、照射角度、の少なくとも一つを制御することを特徴とする。
ここでフェムト秒レーザーについて簡単に説明する。フェムト秒とは1000兆分の1秒のことでfsで表記し、パルス幅が数〜数百フェムト秒のレーザーをフェムト秒レーザーと呼び、パルス幅が非常に短いので、超短パルスレーザーとも呼ばれる。例えば1パルスで1mJ程度のエネルギーを持つものが市販されているが、この場合、1パルス中の瞬間的な到達出力のエネルギー密度が非常に高くなる。
このような超高強度、超短パルスレーザーを集光照射すると、熱伝導が起こる前に瞬時にエネルギーが注入されるため、照射部周辺が熱的または化学的損傷をほとんど受けず、高精度、高品質の加工を実現できる。また、多光子吸収という現象を利用して、通常であれば光が通り抜けてしまうガラス、水晶、ダイヤモンドなどの透明材料を加工することもできる。
上記のように、フェムト秒レーザーの1パルスの照射時間は例えば100〜200fsというごく短時間なので、加工部の材料粒子がフェムト秒レーザーの照射によってはじき飛ばされるときに、その周りの粒子に熱の影響を与えない特徴があるため、加工時に熱が生じない効果がある。
そのため、加工時に熱による電気的なノイズや加工変質層が発生しないので、加工時に正しい漏れ振動を検出することができる。これによりリアルタイムに漏れ振動をフィードバックして漏れ振動を調整できて、調整量(加工量)の精度が高まり、性能を高めることが出来る。したがって自動制御システムを構成すれば、自動的に漏れ振動の調整が可能となり、量産に適し、大幅なコスト削減が可能となる。
そして、加工時に熱が生じないことから、加工部分に急激な温度変化や温度分布が生じないので、熱膨張、熱応力による加工物のひびや割れなどの悪影響の無い、滑らかで高精度な加工が可能となる。
また、加工変質層が生じないため、圧電振動子そのものの特性が劣化しないので、高精度、高信頼性を実現することができる。
また、圧電振動子の内部も加工できるため、内部加工によって外形を崩さないで漏れ振動を調整することも可能となる。
また、1パルス100〜200fsのごく短時間ごとの加工も可能であるため、加工量が非常に少ないピンポイント的な加工も可能となり、微調整がしやすい。
また、実際の振動ジャイロでは、圧電振動子が実装されているパッケージ内部は、圧電振動子の感度向上、信頼性の向上のために、所定の真空度に保たれているので、製品と同じ真空度で漏れ振動を調整することによって、実際の駆動条件に適合する、より正確な漏れ調整を行うことができる。
また、様々な漏れ振動の状態に臨機応変に対応して、様々な制御手法を取ることができ、最適な漏れ振動調整を行うことができる。
以下、本発明の構成における最適な実施形態について図面を用いて説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1〜図6を用いて本発明の第1の実施の形態における漏れ振動調整装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における漏れ振動調整装置全体のシステムを説明するブロック図である。漏れ振動を調整して低減するために、圧電振動子101の調整部104の一部を加工して質量的なバランスを取る。調整部104に関しては図2で詳細に説明する。
システム全体の流れとしては、最初に漏れ振動検出手段105から圧電振動子101に駆動信号108を送り、圧電振動子101が持つ固有振動数f0で一定方向に定常振動させる。このとき圧電振動子101に、何らかの機械的結合のあるのが通常で、このため定常振動の方向とは異なる方向にf0と同じ周波数で位相のずれた漏れ振動が発生する。その漏れ振動の成分を含む出力信号109(電圧)が漏れ振動検出手段105に入力され、出力信号109から漏れ信号110を形成し、漏れ振動制御手段106に入力される。
漏れ振動制御手段106では、漏れ信号110から、漏れ振動を低減するように加工を行うために、圧電振動子101の加工位置を制御する位置決め制御信号111と、フェムト秒レーザーの出力などを制御するフェムト秒レーザー制御信号112を形成し、それぞれ位置決め手段107、フェムト秒レーザー発生手段102に入力する。そして、漏れ振動を低減するのに最適になるように、加工位置とフェムト秒レーザーとを同時に制御し、フェムト秒レーザー103を圧電振動子101の調整部104に照射することにより、システム全体でフィードバック制御を行う。
まず、圧電振動子101のどの角部を削れば漏れ振動が低減するかを決定する工程について説明する。駆動信号108に対する出力信号109の位相を監視することにより、どの角部を削ればよいか経験的に決められる。フェムト秒レーザーでその角部を微少量削り始めて、漏れ振動が低減するかどうかを確認する。もし例外的な要因で漏れ振動が低減しない場合は、他の角部を削って漏れ振動が低減することを確認する。削る角部に関しては図2で詳しく説明する。
次に、フェムト秒レーザーによって削った除去量と漏れ振動低減量を監視し、ある時間間隔で漏れ振動低減量を比較し、除去量に対する漏れ振動低減量の相関からその延長線上で漏れ振動がゼロになる除去量を予測し、それを超えないように制御しながら漏れ振動をゼロにすることを目指す制御を行う。
そして、圧電振動子101を振動ジャイロに用いた場合に十分な性能を出すことができる漏れ振動の許容値を予め設定値として決めておいて、その設定値より小さくなったところで、フェムト秒レーザーにより角部を除去する制御を停止して漏れ振動の調整を終了する。
図2は具体的な圧電振動子101について説明する図である。図2(a)は平面図、そのB−B断面が図2(b)の断面図である。本実施形態では、圧電振動子101の材料として水晶のZ板を例にとって説明する。
図2において、説明のために水晶のZ板で切り出した3脚の圧電振動子101の脚が伸びる方向をY軸とし、図2(a)において紙面裏から表方向をZ軸とし、Y軸、Z軸に垂
直な方向(紙面右方向)をX軸とする。
ここで圧電振動子101の振動モードについて説明する。図2(b)において、駆動信号108によって自励発振する駆動脚は101a、101bの二つであり、コリオリ力を検出する検出脚は101cである。駆動信号(周波数f0)によって、駆動脚101aと101bはX軸方向で互いに動く向きが逆になるモード(以下駆動モードという)で振動する。このとき本来は検出脚101cは動かない。別に、駆動モードの周波数f0より200〜300Hz程度高い周波数(周波数f1)で駆動脚101a、101b、検出脚101cがZ軸方向に互い違いに振動するモード(以下検出モードという)が存在し、この検出モードをコリオリ力の検出に使用する。
周波数f0とf1が200〜300Hz程度の周波数差で近接しているため、f0の駆動モードで振動しているときにコリオリ力が加わると、f1の検出モードの振動が起こりやすく、感度が上がり、S/N比が向上する利点がある。
また、図2の圧電振動子101は3脚にすることで、駆動脚101a、101bと検出脚101cを独立にすることができるため、感度がよい構造的な特徴を有している。
ところが、圧電振動子101の外形形状は、製造時の加工誤差による寸法のバラツキが発生する。この寸法バラツキなどに起因する機械的結合によって、駆動モードで振動していてコリオリ力が作用しない状態のときに、検出脚101cにZ軸方向の漏れ振動が生じてしまい、ノイズやドリフト(信号の値が温度などの条件で変わること)の原因となり、圧電振動子101の性能劣化の原因となる。
この漏れ振動は、駆動脚101a、101bの調整部104a、104b、104c、104d、104e、104f、104g、104hを微少量除去してバランスを取ることにより、低減することができ、うまく調整できれば漏れ振動をほとんどゼロにすることが可能となる。漏れ振動をほとんどゼロにすることができれば、圧電振動子101の性能劣化を防ぐことができ、高精度、高信頼性を有する振動ジャイロを形成できる。
漏れ振動の調整の方法としては、駆動信号108の位相と漏れ振動に伴う出力信号109の位相から調整部104a、104c、104e、104gを微少量除去するのがよいか、その対称位置にある調整部104b、104d、104f、104hを微少量除去するのがよいか経験的に分かっている。従って、それによって決まった方(調整部104a、104c、104e、104g、または調整部104b、104d、104f、104h)を微少量除去することにより漏れ振動調整を行うことができる。
通常は、図5で説明するように、圧電振動子101はパッケージ501に実装した状態で漏れ振動調整を行うことが多いため、パッケージ側が紙面下側だとすれば、実際には調整部104a、104eまたは104b、104fによって漏れ振動調整を行うこととなる。
本実施形態では、漏れ振動調整の調整部として脚の角部を例に取ったが、製造誤差の生じやすい脚の側面や脚と脚の付け根(叉部)などを調整部としてもよい。
また、圧電振動子101が水晶の場合に限っては、透明体なので、外形だけでなく内部に穴状の空洞などを加工することによって漏れ振動調整を行うこともできる。
本実施形態では3脚の圧電振動子で説明したが、2脚やその他の圧電振動子でも当然ながら同様に漏れ振動調整が可能である。
次に、図3により、フェムト秒レーザー発生手段102について説明する。まずフェムト秒レーザー源301から放たれるフェムト秒レーザー103が、オプティカルユニット304の中でビーム整形され、またヘリウムネオンレーザー源302から放たれるヘリウムネオンレーザー303が、オプティカルユニット304の中でミラー305、ハーフミラー306によってフェムト秒レーザー103と同軸に合わされ、圧電振動子101に照射される。
このとき、ヘリウムネオンレーザー303が圧電振動子101に当たった反射光を利用して距離を測定し、自動的にフェムト秒レーザー103の焦点を圧電振動子101の調整部104に合わせるオートフォーカス機能を有している。
このフェムト秒レーザー発生装置102は、フェムト秒レーザーのパワーが1mJ以下、パルス幅が150fs、波長が800nm、発生周波数が1kHzのものである。
次に、図4により、圧電振動子101の漏れ振動検出手段105について説明する。駆動脚101a、101bは、脚の各面に駆動電極401、402、403、404および405、406、407、408を有し、これらの駆動電極によって駆動されて振動する。検出脚101cは、一つの面上に電極409を設けてアースされており、2個の検出電極410、411が角部に形成されている。
最初のトリガーとなる信号(漏れ振動検出回路105の熱雑音等)が駆動電極401、402、405、406に入力され、それをきっかけにして駆動脚101a、101bが駆動信号108の駆動モード(X軸方向で互いに逆向きに動くモード)で振動し始め、アンプ412と移相回路413でフィードバックループを形成して自励振動(共振状態)を得ることができる。そのとき、検出電極410、411の出力信号109を差動増幅回路415によって処理した信号を、移相回路414によって移相回路413の出力と同位相となった信号をコンパレータ回路416を通した信号で、同期検波回路417により全波整流し、ローパスフィルター回路418で高周波成分を取り除いた漏れ信号110が出力部419に出力される。そして出力部419に出力された漏れ信号110は漏れ振動制御手段106に入力される。
図4では、簡単にするために、図示はしていないが、駆動信号108と検出電極410、411からの信号109を観察して、これらの信号の位相の関係を確認する回路も含まれている。
図5は圧電振動子101を位置決めする位置決め手段107を説明する図である。漏れ振動の調整は、通常では圧電振動子101を、収納するパッケージ501に接合固定した状態で行われる。パッケージ501はパッケージ固定部材502により固定され、その固定部材502は、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれに沿って直線的に移動可能なXYZリニアステージと、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれを中心にして回転するXYZ回転ステージを複合させた位置決めステージ503に搭載されている。これらは全て電動式で、外部からの信号によって自由に制御できるものである。パッケージ501は漏れ振動の調整後には所定の真空度で封止される。
図6は漏れ振動制御手段106を説明する図である。大まかな信号の道筋を矢印で表している。まず比較回路601では漏れ信号110とメモリー602に記憶させてある漏れ振動許容値606を比較し、その結果の漏れ比較信号607を出力する。最適加工量演算回路603では、漏れ比較信号607と、現在までの漏れ信号110の時間的変化(変化履歴)から漏れ振動低減量を演算し、フェムト秒レーザー照射時間から推定した調整部1
04の現在までの除去量とから、現在までの除去量に対する漏れ振動低減量の相関関係を演算し、その相関関係の延長線上で漏れ振動がゼロになる最大除去量を演算し、最大除去量を超えない範囲で除去を行い、徐々に最大除去量に近づいて漏れ振動が許容値以下になるように、現在以降の除去量を演算する。このフィードバック制御を繰り返しながら、最大除去量も刻々と演算し直されて真の値に近づいていく。
そのように刻々と除去量を演算した演算信号608、609を、フェムト秒レーザー制御回路604、位置決め制御回路605に入力し、それぞれ最適に制御するための位置決め制御信号111を、位置決め手段107に入力し、フェムト秒レーザー制御信号112を、フェムト秒レーザー発生手段102に入力する。そして位置決め手段107においては、位置決め制御信号111によって、調整部104の位置、フェムト秒レーザー103の入射角度、フェムト秒レーザー103に対する調整部104の移動速度などを制御する。
また、フェムト秒レーザー発生手段102においては、フェムト秒レーザー制御信号112によって、フェムト秒レーザーのパワー、照射周波数、焦点深度(焦点位置)、照射範囲、エネルギー分布などを制御する。そして、漏れ信号110が漏れ振動許容値606よりも小さくなったところで、フェムト秒レーザーによる調整部104を除去する制御を停止して漏れ振動の調整を終了する。
上記のように調整部104の位置、フェムト秒レーザー103の入射角度、フェムト秒レーザー103に対する調整部104の移動速度、フェムト秒レーザーのパワー、照射周波数、焦点深度(焦点位置)、照射範囲、エネルギー分布などを制御することにより、様々な漏れ振動の状態に臨機応変に対応して、種々の制御手法を取ることができ、最適な漏れ振動調整を行うことができる。
以上の加工制御によって、フェムト秒レーザー103で調整部104を熱を発することなく除去加工するため、調整部104近傍において熱による電気的なノイズや加工変質層が発生せず、正しい漏れ振動を検出でき、リアルタイムに漏れ振動をフィードバックして調整でき、調整量の精度を高められ、圧電振動子101の性能を高めることができる。
また、1パルス100〜200fsのごく短時間ごとの加工も可能であるため、加工量が非常に少ないピンポイント的な加工も可能となり、漏れ振動がゼロ付近での非常に高精度な微調整が容易になるという効果もある。
図6では図示はしないが、加工部分をCCDなどの撮像手段で撮影しながら画像処理を行えば、除去量などの演算精度がより高まる。
また、駆動電極や検出電極をフェムト秒レーザーで削って固有振動数などの微調整をする制御システムも、同じようにして構築できる。
図2で説明したが、外形加工時の形状では、脚の側面や脚と脚の間の叉部に残留形状が残っているのを、設計形状に近づけて性能を向上するための手段として用いることもできる。
〔第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態における漏れ振動調整装置について説明する。
図7は本発明の第2の実施の形態における漏れ振動調整装置全体のシステムを説明するブロック図である。圧電振動子101と位置決め手段107とが真空チャンバー701内
に収められている。図7に示すように、真空チャンバー701の中で所定の真空度にコントロールされている状態で、フェムト秒レーザー103で圧電振動子101を加工して漏れ振動の調整を行う。その他のシステムは図1で説明したものと同じである。
図8は真空チャンバー701を説明する断面図である。金属容器801とガラス蓋802で真空チャンバー701は構成されている。金属容器801とガラス蓋802はOリングを介して真空シールされている。また図示はしないが、金属容器801には、真空度をコントロールする排気ポンプと、駆動信号108、出力信号109、位置決め制御信号111を伝えるケーブルを真空チャンバー701内に導入するコネクターとが備えられている。この図8の構成により、真空チャンバー内を所定の真空度にコントロールすることができる。
この真空チャンバー内に圧電振動子101と位置決め手段107を収めて、圧電振動子101を最適に位置決め制御しながら、真空チャンバー701の外部からガラス蓋802を通過したフェムト秒レーザー103を圧電振動子101の調整部104に照射する。
このとき、漏れ振動の調整のためにフェムト秒レーザーの焦点を圧電振動子101の調整部104に合わせるので、圧電振動子101よりもフェムト秒レーザー発生手段102に近い距離にあるガラス蓋802をフェムト秒レーザー103が通過する際は、フェムト秒レーザー103は集光されていないため、ガラス蓋802には何ら影響を与えることはなく、圧電振動子101の調整部で加工に必要なエネルギーが得られるため、真空チャンバー701中でも、大気中と同じようにフェムト秒レーザーで圧電振動子101を加工することができる。
実際の振動ジャイロのパッケージ501(図5参照)の内部は、圧電振動子の感度向上のため(振動しやすくするため)と、不要なガスなどによって劣化するのを防ぎ、信頼性を向上するために、所定の真空度に保たれている。従って、空気の有無による粘性の相違により漏れ信号も空気中とは異なってくる。そのため、空気中で漏れ調整を行って、漏れ信号をほぼゼロにしても、パッケージ501の内部では漏れ信号はゼロではなくなる。そこでパッケージ内部の真空度と同じか、またはそれ以上の真空度で漏れ調整を行うことによって、真空パッケージ中での漏れ振動がより厳密にゼロに近い正確な漏れ調整を行うことができる。
また、この第2の実施の形態の説明では、位置決め手段107を真空チャンバー701内に収めた例を示したが、位置決め手段107を真空チャンバー701の外に設け、真空チャンバー内に圧電振動子101を固定し、真空チャンバー701を位置決め手段107で位置決め制御する構成でも同じ効果が得られる。
以上は振動ジャイロに用いる圧電振動子について説明したが、振動ジャイロに限らず、圧電振動子一般においてその振動数を高度に安定させるような性能向上にも役立つ。
また、第1の実施の形態、第2の実施の形態では一つのフェムト秒レーザーで加工する例で説明したが、この例に限定されることはなく、フェムト秒レーザーを複数に分光したり、複数のフェムト秒レーザー発生手段を用いて複数個同時に漏れ振動の調整を行うことにより、生産性を格段に向上させることもできる。
以上述べたように、本発明による漏れ振動調整装置および漏れ振動調整方法は、圧電振動子を有する振動ジャイロの量産化、性能向上に適している。
本発明の第1の実施の形態にかかる漏れ振動調整装置の制御システムを模式的に示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる圧電振動子を示す平面図および断面図である。 本発明の第1の実施の形態にかかるフェムト秒レーザー発生手段を模式的に示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる漏れ振動検出手段を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる位置決め手段を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる漏れ振動制御手段を模式的に示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる漏れ振動調整装置の制御システムを模式的に示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる漏れ振動調整装置の真空チャンバーを模式的に示す断面図である。 従来の漏れ振動調整手段を模式的に示すブロック図である。
符号の説明
101 圧電振動子
101a、101b 駆動脚
101c 検出脚
102 フェムト秒レーザー発生手段
103 フェムト秒レーザー
104、104a〜h 調整部
105 漏れ振動検出手段
106 漏れ振動制御手段
107 位置決め手段
108 駆動信号
109 出力信号
110 漏れ信号
111 位置決め制御信号
112 フェムト秒レーザー制御信号
301 フェムト秒レーザー源
302 ヘリウムネオンレーザー源
303 ヘリウムネオンレーザー
304 オプティカルユニット
305 ミラー
306 ハーフミラー
401〜408 駆動電極
409 電極
410、411 検出電極
412 アンプ
413、414 移相回路
415 差動増幅回路
416 コンパレータ回路
417 同期検波回路
418 ローパスフィルター回路
419 出力部
501 パッケージ
502 パッケージ固定部材
503 位置決めステージ
601 比較回路
602 メモリー
603 最適加工量演算回路
604 フェムト秒レーザー制御回路
605 位置決め制御回路
606 漏れ振動許容値
607 漏れ比較信号
608、609 演算信号
701 真空チャンバー
801 金属容器
802 ガラス蓋
901 レーザー発生手段
902 レーザー

Claims (3)

  1. 不要な漏れ振動成分を排除して特性を調整するための調整部を有する圧電材料からなる圧電振動子の漏れ振動調整装置において、
    駆動信号を出力して前記圧電振動子を定常に振動させ、前記圧電振動子から発生する出力信号を入力し、不要な漏れ振動成分を検出して漏れ信号を出力する漏れ振動検出手段と、
    該漏れ信号に基づき漏れ振動を低減するための調整加工の条件を求める演算を行って、二つの制御信号を出力する漏れ振動制御手段と、
    前記制御信号の一つに基づいて、前記圧電振動子の位置決めを行う位置決め手段と、
    前記制御信号の他の一つに基づいて、前記圧電振動子の前記調整部の少なくとも一部にフェムト秒レーザーを照射するフェムト秒レーザー発生手段と、
    を有し、前記フェムト秒レーザーで、前記調整部の少なくとも一部の微少量を除去する加工を行うことを特徴とする圧電振動子の漏れ振動調整装置。
  2. 請求項1に記載の圧電振動子の漏れ振動調整装置において、
    真空度をコントロール可能な真空チャンバーを設け、前記圧電振動子を該真空チャンバー内に収容して所定の真空度で加工することを特徴とする圧電振動子の漏れ振動調整装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の圧電振動子の漏れ振動調整装置を用いて圧電振動子の漏れ振動を低減する加工において、
    フェムト秒レーザーの諸特性のうち、パワー、焦点深度、エネルギー分布、照射範囲、照射周波数、照射位置、照射角度、の少なくとも一つを制御することを特徴とする圧電振動子の漏れ振動調整方法。


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WO2011043357A1 (ja) * 2009-10-07 2011-04-14 シチズンファインテックミヨタ株式会社 レーザーの照射方法、及びそれを用いた圧電振動子の周波数調整方法、並びにそれを用いて周波数調整された圧電デバイス

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