JP2007162037A - ポリ乳酸樹脂成形品へのめっき方法。 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂成形品へのめっき方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂成形品を被めっき物として、比較的安全な処理液を用いて、めっき外観、物性などに優れためっき皮膜を形成することが可能な新規なめっき方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属水酸化物を含有するエッチング水溶液にポリ乳酸樹脂成形品を接触させた後、更に、界面活性剤を含む水溶液からなるコンディショニング液に該ポリ乳酸樹脂成形品を接触させることを特徴とするポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき用触媒付与のための前処理方法、
該前処理方法で前処理を行った後、無電解めっき用触媒を付与し、次いで、無電解めっきを行うことを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき用触媒付与のための前処理方法、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき方法、ポリ乳酸樹脂成形品に対するめっき方法、及びめっき皮膜を有するポリ乳酸樹脂成形品に関する。
近年、自動車を軽量化し、コストダウンを図るために、自動車の各種部品に対して樹脂成形品が多く用いられている。例えば、ABS樹脂、PC/ABSアロイ樹脂、ポリアミド樹脂、ノリル樹脂等の各種の樹脂が用いられており、これらの樹脂成形品には、更に、装飾性の向上等を目的として銅、ニッケル、クロム、金等の各種のめっき皮膜を形成されることが多い。
樹脂成形品にめっき処理を行う方法としては、例えば、脱脂、エッチング、中和等の前処理を行った後、パラジウム及びスズ化合物を含有するコロイド溶液を用いて触媒成分を樹脂表面に吸着させ、その後、無電解めっき及び電気めっきを順次行う方法が広く採用されている。
この様なめっき方法では、例えば、ABS樹脂成形品を被めっき物とする場合には、エッチング液として6価クロムと硫酸の混合液からなるクロム酸混合液が広く用いられており、良好なめっき皮膜を形成することが可能となっている。
一方、PET成形品を被めっき物とする場合には、アルカリ金属水酸化物の水溶液でエッチング処理を行った後、陽イオン性界面活性剤を含むパラジウムヒドロゾル中に浸漬してパラジウムコロイドを付与し、その後化学めっきを行う方法が知られている(下記特許文献1参照)。
ところで、近年、ポリ乳酸樹脂は、生分解性を有することから、環境に優しい樹脂として注目を集めており、各種の用途への利用が検討されている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂からなる成形品を被めっき物としてめっき処理を行う場合には、エッチング液として従来知られているクロム酸−硫酸混合液を用いると、エッチング効果が十分ではなく、満足のいくめっき密着性を得ることが出来ない。しかも、クロム酸−硫酸混合液は、有毒な6価クロムを含有するため作業環境が悪く、排水処理のために6価クロムを3価に還元する必要があり、現場での作業時の安全性や排水処理にかかる負担を考えると、これに代わる前処理液が強く望まれている。
特公平2−57147号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ポリ乳酸樹脂成形品を被めっき物として、比較的安全な処理液を用いて、めっき外観、物性などに優れためっき皮膜を形成することが可能な新規なめっき方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ポリ乳酸樹脂成形品を被めっき物とする場合に、エッチング処理とコンディショニング処理として特定の条件を満足する処理方法を採用することによって、比較的安全な処理液を用いて、良好なめっき皮膜を形成することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき用触媒付与の前処理方法、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき方法、ポリ乳酸樹脂成形品に対するめっき方法、及びめっき皮膜を有するポリ乳酸樹脂成形品を提供することである。
1. アルカリ金属水酸化物を含有するエッチング水溶液にポリ乳酸樹脂成形品を接触させた後、更に、界面活性剤を含む水溶液からなるコンディショニング液に該ポリ乳酸樹脂成形品を接触させることを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき用触媒付与のための前処理方法。
2. コンディショニング液に含まれる界面活性剤が、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一種である上記項1に記載の前処理方法。
3. 上記項1又は2の方法でポリ乳酸樹脂成形品の前処理を行った後、無電解めっき用触媒を付与し、次いで、無電解めっきを行うことを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき方法。
4. 上記項3の方法によって無電解めっきを行った後、電気めっきを行うことを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対するめっき方法。
5. 上記項3又は4の方法によって形成されためっき皮膜を有するポリ乳酸樹脂成形品。
以下の本発明方法について詳細に説明する。
被めっき物
本発明方法では、被めっき物としては、ポリ乳酸樹脂成形品を用いる。ポリ乳酸樹脂は、乳酸、ラクチドなどを原料成分とする重合体であり、生分解性を有する樹脂として知られている。
本発明の処理対象とするポリ乳酸樹脂成形品は、下記式
Figure 2007162037
で表される構造単位を有する重合体である。本発明の処理対象とするポリ乳酸樹脂成形品は、上記構造単位を有するものであればよく、上記構造単位のみからなる重合体の他、他のモノマー成分を含む共重合体であってもよい。この場合、上記構造単位は、全モノマー成分中、50重量%程度以上であることが好ましく、75重量%程度以上であることがより好ましい。該ポリ乳酸樹脂は、力学特性と成形性のバランスが良好である点で、重量平均分子量が、50000〜500000程度であることが好ましく、80000〜200000程度であることがより好ましい。
被めっき物は、上記したポリ乳酸樹脂の他に、ポリ乳酸樹脂以外のポリマー、有機又は機フィラー、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を含有しても良い。この場合、被めっき物におけるポリ乳酸樹脂の割合は、50質量%程度以上であることが好ましい。
前処理方法
(1)エッチング処理
本発明方法では、まず、常法に従って、被めっき物であるポリ乳酸樹脂成形品を洗浄した後、エッチング処理として、アルカリ金属水酸化物を含有する水溶液からなるエッチング処理液を被めっき物に接触させる。
エッチング処理液における有効成分であるアルカリ金属酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を例示できる。これらのアルカリ金属酸化物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
エッチング処理液中のアルカリ金属水酸化物の濃度は、50〜800g/L程度とすることが好ましく、100〜750g/L程度とすることがより好ましい。
エッチング処理方法としては、処理対象物である樹脂成形品をエッチング処理液に接触させればよい。具体的な方法については特に限定はなく、被めっき物の表面をエッチング処理液に十分に接触させることができる方法であればよい。通常は、エッチング処理液中に被めっき物を浸漬させる方法によれば、効率のよい処理が可能である。
処理条件については特に限定的ではなく、具体的な処理方法、目的とするエッチング処理の程度に応じて適宜決めれば良い。例えば、浸浸法にて処理を行う場合には、エッチング処理用組成物の液温を20〜90℃程度とすることが好ましく、特に50〜80℃程度にすることがより好ましい。浸浸時間についても特に限定はなく、エッチング処理の進行の程度によって適宜決めれば良い。通常、3〜40分程度、好ましくは、10〜30分間程度とすれば良い。
尚、上記した方法でエッチング処理を行ったのち、通常、樹脂表面に付着しているエッチング処理液を除去するために中和処理を行う。この際、無機酸を含む水溶液を用いて洗浄することによって、効率よく洗浄することができる。無機酸としては、例えば、塩酸、 等を用いることができる。中和処理条件については特に限定的ではなく、付着しているエッチング処理液を十分に除去できる条件とすればよい。例えば、35%塩酸を用いて中和処理を行う場合には、30〜100g/L程度の濃度の水溶液を用いて、20〜40℃の処理液中に1〜3分間浸漬させれば良い。
(2)コンディショニング処理
上記した方法でエッチング処理を行ったのち、コンディショニング処理として、界面活性剤を含む水容液に被めっき物を接触させる。この処理を行うことによって、この後の触媒付与処理において、被めっき物の表面に均一な触媒膜を付着させることが可能となり、無電解めっきの析出性や外観を向上させることができる。
コンディショニング処理で使用する界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等があげられる。
これらの界面活性剤の内で、カチオン性界面活性剤としては、下記に示したものを用いることができる。
*脂肪族アミン塩:
R−NHX(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基、Xは無機酸又は有機酸である。)
Figure 2007162037
(式中、R及びXは上記と同じである。)
Figure 2007162037
(式中、R及びXは上記と同じである。)
*脂肪族4級アンモニウム塩:
Figure 2007162037
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基、Rは炭素数12〜18のアルキル基又はCH、XはCl又はBrである。)
*芳香族4級アンモニウム塩:
Figure 2007162037
(式中、Rは炭素数12〜24のアルキル基、XはCl又はBrである。)
*複素環4級アンモニウム塩:
Figure 2007162037
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基、XはCl又はBrである。)
Figure 2007162037
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数12〜24のアルキル基、Rは炭素数1〜5のアルキル基、XはCl又はBrである。)
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル等のエーテル型界面活性剤;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル型界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型界面活性剤などを用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸の炭素数12〜18のカルボン酸の塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、炭素数12〜18のN-アシルアミノ酸、N-アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、炭素数12〜18のアシル化ペプチド等のカルボン酸塩:アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン重縮合物、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩等を用いることができる。
両性界面活性剤としては、下記式で表されるカルボキシベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩の他、イミダゾリウムベタイン、レシチン等を用いることができる。
*カルボキシベタイン型界面活性剤:
Figure 2007162037
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基、R、RはCH等、nは1〜2である。)
*アミノカルボン酸塩:
RNH(CH)COOH
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基、nは1〜2である)。
上記した界面活性剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
これらの界面活性剤の中でも、特に、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩等の両性界面活性剤等が好ましく、特に、脂肪族アミン塩、アミノカルボン酸塩などが好ましい。
コンディショニング処理液中の界面活性剤濃度は、0.05〜50g/L程度とすることが好ましく、0.1〜10g/L程度とすることがより好ましい。
コンディショニング処理の方法については、特に限定はなく、被めっき物を処理液に十分に接触させることが可能な方法であればよい。通常は、処理液中に被めっき物を浸漬させることによって、効率の良い処理が可能である。
処理条件については特に限定的ではなく、具体的な処理方法に応じて適宜処理条件を決めればよい。例えば、浸漬法にて処理を行う場合は、通常、10〜50℃、好ましくは20〜45℃程度の処理液中に被めっき物を1〜10分程度、好ましくは、1〜5分程度浸漬させれば良い。
触媒付与処理
上記した方法で被めっき物表面のコンディショニング処理を行った後、無電解めっき用触媒を付与する。
触媒の付与方法については、特に限定はなく、パラジウム、銀、金、白金、ルテニウム、などの無電解めっき用触媒を公知(ABS樹脂へのめっき)の方法に従って付与すればよい。パラジウム触媒の付与方法としては、例えば、いわゆる、センシタイザー−アクチベーター法、キャタリスト−アクセレーター法と称される代表的な方法がある。
これらの方法の内で、センシタイザー−アクチベーター法は塩化第一錫と塩酸を含む水溶液で感受性化処理(センシタイジング)したのち、塩化パラジウムなどのパラジウム塩を含む水溶液を用いて活性化(アクチベーティング)する方法である。また、キャタリスト−アクセレーター法は、塩化パラジウムと塩化第一錫を含む混合コロイド溶液によって被めっき物を触媒化処理(キャタライジング)したのち、塩酸水溶液や硫酸水溶液などを用いて活性化(アクセレーティング)する方法である。これらの具体的な処理方法、処理条件については、公知の方法に従えば良い。
めっき処理
(1)無電解めっき処理
上記した方法で無電解めっき用触媒を付与した後、無電解めっきを行うことによって、ポリ乳酸樹脂成形品に対して、密着性、外観などに優れた無電解めっき皮膜を形成することができる。
無電解めっき液としては、公知の自己触媒型無電解めっき液をいずれも用いることができる。このような無電解めっき液としては、無電解ニッケルめっき液、無電解銅めっき液、無電解金めっき液、無電解コバルトめっき液などを例示できる。
無電解めっきの条件についても、公知の条件に従えばよい。また、必要に応じて無電解めっき皮膜を二層以上形成しても良い。無電解めっき皮膜の膜厚についても、目的に応じて適宜決めればよい。
(2)電気めっき処理
上記した方法で無電解めっき皮膜を形成した後、必要に応じて、電気めっき処理を行うことができる。
上記した方法によって形成される無電解めっき皮膜は、均一性に優れた密着性の良好な導電性皮膜であり、この上に電気めっき皮膜を形成することによって、密着性に優れた良好な外観の電気めっき皮膜を形成することができる。
電気めっき液の種類は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの電気めっき液も使用可能である。又、めっき処理の条件も常法に従えばよい。
電気めっき処理の例として、銅めっき、ニッケルめっき、及びクロムめっきを順次行うことによる装飾用電気めっきプロセスについて具体的に説明する。
硫酸銅めっき液としては、公知の光沢硫酸銅めっき液を用いることができる。例えば、硫酸銅100〜250g/L程度、硫酸20〜120g/L程度、及び塩素イオン20〜70ppm程度を含有する水溶液に、公知の光沢剤を添加しためっき浴を使用できる。硫酸銅めっきの条件は、通常と同様で良く、例えば、液温25℃程度、電流密度3A/dm2程度でめっきを行い、所定の膜厚までめっきを行えばよい。
ニッケルめっき液としては、通常のワット浴を用いることができる。すなわち、硫酸ニッケル200〜350g/L程度、塩化ニッケル30〜80g/L程度、及びホウ酸20〜60g/L程度を含有する水溶液に、市販のニッケルめっき浴用光沢剤を添加したものを使用できる。めっき条件は通常と同様で良く、例えば、液温55〜60℃程度、電流密度3A/dm2程度で電解して所定の膜厚までめっきすればよい。
クロムめっき液としては、通常のサージェント浴を用いることができる。すなわち、無水クロム酸200〜300g/L程度、及び硫酸2〜5g/L程度を含有する水溶液を使用でき、めっき条件は、液温45℃程度、電流密度20A/dm2程度として所定の膜厚までめっきを行えばよい。
めっき処理品
本発明の方法に従ってめっき皮膜を形成した樹脂成形品は、その使用目的に応じてめっき層の種類、めっき膜厚などを適宜選択することによって、各種用途に利用することができる。特に、バンパー、ラジエターグリル、エンブレム、ホイルキャップなどの自動車部品、パソコンの筐体、デジカメの外装部品、携帯電話の外装部品等の用途に広く好適に用いることができる。
本発明方法によれば、次の様な顕著な効果が奏される。
(1)本発明によれば、生分解性を有するポリ乳酸樹脂成形品に対して外観、物性などに優れためっき皮膜を形成できる。使用後にめっき皮膜を剥離除去したポリ乳酸樹脂は、自然環境下(土壌中、淡水中、堆肥中又は海水中など)にて生分解され、最終的に炭酸ガス(CO2)と水となるために、環境に対する悪影響が極めて少ないものである。
(2)本発明の処理方法は、クロム酸などの有害性の高い処理液を用いることのない、比較的安全性の高い方法であり、しかも排水処理が容易で、作業環境も良好である。
(3)本発明の処理方法を利用してめっき皮膜を形成した樹脂成形品は、外観、物性などに優れためっき皮膜を有するものであり、各種用途に利用できる。例えば、その優れた装飾性を利用して、自動車部品の内外装部品、パソコンなどの電気・電子機器、遊技機などの部品として好適に利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜8
射出成形法によって分子量147000のポリ乳酸を55mm×90mm×2mmの平板状とした後、80℃で2時間アニール処理を施して結晶化を行ったポリ乳酸樹脂成形体を被めっき物として、下記の方法によってめっき処理を行った。
まず、被めっき物をアルカリ系脱脂剤溶液(奥野製薬工業(株)製;エースクリーンA−220,50g/L水溶液)中に40℃で3分間浸漬して脱脂処理を行った後、水洗を行い、下記の表1に示した組成のエッチング処理液中に被めっき物を浸漬してエッチング処理を行った。液温は70℃とした。
Figure 2007162037
次いで、水洗を行い、被めっき物を35%塩酸60g/Lを含有する水溶液に室温で2分間浸漬して、中和処理を行った。
その後、水洗を行い、脂肪族アミン塩を0.5g/L、脂肪族4級アンモニウム塩を0.5g/L、カルボキシベタインを1g/L、及びアミノカルボン酸塩を1g/L含有するコンディショニング水溶液に被めっき物を浸漬して、コンディショニング処理を行った。液温は40℃、浸漬時間は3分間とした。
次いで、水洗を行い、塩化パラジウム3g/L、塩化第一錫20g/L、及び35%塩酸240g/Lを含有する液温30℃の触媒溶液に被めっき物を3分間浸漬して触媒を付与し、水洗を行った後、98%硫酸を180g/L含有する水溶液(液温40℃)中に3分間浸漬して活性化を行った。
次いで、水洗を行い、被めっき物をアルカリ系無電解ニッケルめっき液(奥野製薬工業(株)製;TMP化学ニッケルHR−TA 150ml/L,TMP化学ニッケルHR−TB 150ml/L水溶液)中に液温40℃で6分間浸漬して、厚さ0.3μmの無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
比較例1
実施例1と同じ被めっき物に対して、実施例1と同様にして脱脂処理を行った後、クロム酸―硫酸混液(クロム酸;400g/L,98%硫酸;400g/L)を用いて、液温68℃、浸漬時間10分間の条件でエッチング処理を行った。
その後、実施例1と同様の方法で無電解めっき用触媒を付与し、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
比較例2
比較例1の方法によって、クロム酸−硫酸混液を用いてエッチング処理を行った後、実施例1と同様の条件でコンディショニング処理を行った。
その後、実施例1と同様の方法で無電解めっき用触媒を付与し、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
めっき皮膜の評価
以上の方法で形成された各無電解ニッケルめっき皮膜の被覆率、外観及び密着性を下記の方法によって評価した。
(1)被覆率:
被めっき物表面の無電解ニッケルめっき皮膜が形成された面積の割合を被覆率とする。試験片の全面が被覆された場合を被覆率100%とする。
(2)外観:
めっき皮膜の外観を目視で評価した。
(3)密着性試験:
めっき皮膜の表面に粘着テープを貼り付けた後、テープをめっき面に対して垂直に引っ張った場合のめっき皮膜の剥離の有無を調べた。
以上の試験結果を下記表2に示す。
Figure 2007162037
以上の結果から明らかなように、無電解ニッケルめっきの前処理として、アルカリ金属水酸化物を含有するエッチング水溶液にて処理した後、コンディショニング処理を行って得られた各試料では、試料表面の全面に良好な外観の密着性に優れた無電解ニッケルめっき皮膜が形成された。
これに対して、従来用いられているエッチング液であるクロム酸―硫酸混液を用いてエッチング処理を行った場合(比較例1)には、無電解めっき皮膜はほとんど析出せず、また、クロム酸―硫酸混液によるエッチング処理後、コンディショニング処理を行った場合(比較例2)には、一部めっき皮膜が形成されたものの、形成されためっき皮膜の密着性は劣るものであった。
以上の結果から、ポリ乳酸樹脂成形体への無電解めっきの前処理としては、クロム酸―硫酸混液を用いたエッチング処理は不適切であり、本発明方法によるエッチング処理とコンディショニング処理を行うことによって、はじめて良好な無電解めっき皮膜を形成できることが判る。

Claims (5)

  1. アルカリ金属水酸化物を含有するエッチング水溶液にポリ乳酸樹脂成形品を接触させた後、更に、界面活性剤を含む水溶液からなるコンディショニング液に該ポリ乳酸樹脂成形品を接触させることを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき用触媒付与のための前処理方法。
  2. コンディショニング液に含まれる界面活性剤が、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載の前処理方法。
  3. 請求項1又は2の方法でポリ乳酸樹脂成形品の前処理を行った後、無電解めっき用触媒を付与し、次いで、無電解めっきを行うことを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対する無電解めっき方法。
  4. 請求項3の方法によって無電解めっきを行った後、電気めっきを行うことを特徴とする、ポリ乳酸樹脂成形品に対するめっき方法。
  5. 請求項3又は4の方法によって形成されためっき皮膜を有するポリ乳酸樹脂成形品。
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