JP2007162008A - 高分子化合物及び高分子発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホウ素原子を有する発光材料や電荷輸送材料として有用な高分子化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で示される構造を含むことを特徴とする高分子化合物。
Figure 2007162008

(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子化合物と高分子発光素子(以下、高分子LEDということがある)に関する。
溶媒に可溶な高分子量の発光材料や電荷輸送材料は、塗布法により発光素子における有機層を形成できることから種々検討されている。その例として、繰り返し単位として、シクロペンタジエン環に、2個のベンゼン環が縮合した下記の構造を有する高分子化合物が知られている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
Figure 2007162008
Advanced Materials 1997年9巻10号798頁 国際公開第99/54385号パンフレット
ホウ素原子は高い電子親和度を有し、近年、ホウ素原子を含む有機EL材料は高い特性の発現が期待されている。しかしながら、ホウ素原子を含む化合物には、一般的な特性として空気や湿気に不安定なものも多いため、ホウ素原子を有する発光材料の例は少ない。
本発明の目的は、ホウ素原子を有する発光材料や電荷輸送材料として有用な高分子化合物を提供することにある。
即ち本発明は、下記式(1)で示される構造を含む高分子化合物を提供するものである。
Figure 2007162008

(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示す。)
本発明の高分子化合物は、ホウ素原子を含み、発光材料や電荷輸送材料として有用である。本発明の高分子化合物は有機EL材料として短波長で高輝度の発光を生じ得、電荷注入輸送性に優れ得るので、本発明の高分子化合物を含む高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイなどに使用できる。
本発明の高分子化合物は上記式(1)で示される構造を含む。
本発明の高分子化合物の中では上記式(1)で示される構造を繰り返し単位として含むものが好ましい。
ここに、R、R及びRで示される置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基から選ばれることが好ましい。
アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度であり、好ましくは炭素数1〜10であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが例示される。
アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが例示される。
アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが例示される。
アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリール基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基が好ましい。C〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルフェニル基として具体的には、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルフェノキシ基として具体的には、メチルフェノキシ基、エチルフ
ェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
アリールチオ基としては、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数は通常3〜60程度であり、具体的には、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基、ピリジルチオ基、ピリダジニルチオ基、ピリミジルチオ基、ピラジルチオ基、トリアジルチオ基などが例示される。
アリールアルキル基としては、置換基を有していてもよく、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基などが例示される。
アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基などが例示される。
アリールアルキルチオ基としては、置換基を有していてもよく、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基などが例示される。
アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体的としては、フェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C〜C12アルケニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基が好ましい。
アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体的としては、フェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C〜C12アルキニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基が好ましい。
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基から選ばれる1又は2個の基で置換されたアミノ基が挙げられ、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は該置換基の炭素数を含めないで通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基が挙げられる。置換シリル基の炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
アシル基は、炭素数が通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
イミン残基は、炭素数2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、以下の構造式で示される基などが例示される。
Figure 2007162008
アミド基は、炭素数が通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基などが例示される。
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、炭素数が4〜20程度であり、具体的には以下に示す基などが例示される。
Figure 2007162008
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。具体的には、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
置換カルボキシル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基をいい、炭素数が通常2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48であり、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、などが挙げられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
上記式(1)で示される繰り返し単位の合計の量は、本発明で用いられる高分子化合物が有する全繰り返し単位の合計の通常1モル%以上100モル%以下であり、好ましくは、10モル%以上90モル%以下である。
本発明で用いられる高分子化合物が発光材料として用いられる時は、(1)で示される繰り返し単位の合計の量は、50モル%以下が好ましく、電荷注入輸送材料として用いられる時は、30モル%以上が好ましい。
本発明の高分子化合物は、上記式(1)以外の繰り返し単位を含むことができ、その例として、下記式(5)、式(6)、式(7)又は式(8)で示される繰り返し単位が挙げられる。
−Ar− (5)
−(−Ar−X−)ff−Ar− (6)
−Ar−X− (7)
−X− (8)
(式中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。X、X及びXは、それぞれ独立に、−CR=CR10−、−C≡C−、−N(R11)−、又は−(SiR1213−を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アリールアルキル基又は置換アミノ基を示す。ffは1又は2を表す。mは1〜12の整数を表す。R、R10、R11、R12及びR13がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
ここでアリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよい。
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられる。
アリーレン基における置換基を除いた部分の炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。また、アリーレン基の置換基を含めた全炭素数は、通常6〜100程度である。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下式1〜3)、ナフタレンジイル基(下式4〜13)、アントラセン−ジイル基(下式14〜19)、ビフェニル−ジイル基(下式20〜25)、フルオレン−ジイル基(下式36〜38)、ターフェニル−ジイル基(下式26〜28)、縮合環化合物基(下式29〜35)、スチルベン−ジイル(下式D−1〜D−4)、ジスチルベン−ジイル(下式E及びF)などが例示される。中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
また、Ar、Ar、Ar及びArにおける2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、該基は置換基を有していてもよい。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。2価の複素環基の中では、芳香族複素環基が好ましい。
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられる。
2価の複素環基における置換基を除いた部分の炭素数は通常3〜60程度である。また、2価の複素環基の置換基を含めた全炭素数は、通常3〜100程度である。
2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基:ピリジンージイル基(下式39〜44)、ジアザフェニレン基(下式45〜48)、キノリンジイル基(下式49〜63)、キノキサリンジイル基(下式64〜68)、アクリジンジイル基(下式69〜72)、ビピリジルジイル基(下式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下式76〜78)など。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下式79〜93)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(下式94〜98)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、セレンなどを含む5員環縮合複素基(下式99〜108)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(下式109〜112)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下式113〜119)。
ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄などを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基(下式120〜125)。
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
また、Ar、Ar、Ar及びArにおける金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子を有する金属錯体の有機配位子から水素原子を2個除いた残りの2価の基である。
該有機配位子の炭素数は、通常4〜60程度であり、その例としては、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾール及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾール及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体などが挙げられる。
また、該錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウムなどが挙げられる。
有機配位子を有する金属錯体としては、低分子の蛍光材料、燐光材料として公知の金属錯体、三重項発光錯体などが挙げられる。
金属錯体構造を有する2価の基としては、具体的には、以下の式126〜132が例示される。
Figure 2007162008
上記の式1〜132において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。また、式1〜132の基が有する炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
上記式(5)で示される繰り返し単位の中では、下記式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、又は式(15)で示される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2007162008

(式中、R14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。nは0〜4の整数を示す。R14が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2007162008

(式中、R15及びR16は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。o及びpは、それぞれ独立に、0〜3の整数を示す。R15及びR16がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2007162008

(式中、R17及びR20は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。q及びrは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。R17及びR20が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2007162008

(式中、R21は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。sは0〜2の整数を示す。Ar13及びAr14は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を示す。ss及びttは、それぞれ独立に、0又は1を示す。Xは、O、S、SO、SO、Se、Te、又は−C(R34)=C(R35)−を表す。R及びRはそれぞれ上記と同じ意味を表す。R21が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2007162008

(式中、R22及びR25は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。t及びuは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。Xは、O、S、SO、Se、Te、N−R24、又はSiR2526を示す。X及びXは、それぞれ独立に、N又はC−R27を示す。R24、R25、26及びR27は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を示す。R22、R23及びR27が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
式(14)で示される繰り返し単位の中央の5員環の例としては、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チオフェン、フラン、シロールなどが挙げられる。
Figure 2007162008

(式中、R28及びR33は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。v及びwは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。R29、R30、R31及びR36は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。Arはアリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を示す。R28及びR33が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
また上記式(6)で示される繰り返し単位の中で、下記式(16)で示される繰り返し単位が、発光波長を変化させる観点、発光効率を高める観点及び耐熱性を向上させる観点からも好ましい。
Figure 2007162008

(式中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を示す。Ar10、Ar11及びAr12は、それぞれ独立に、アリール基、又は1価の複素環基を示す。Ar、Ar、Ar、Ar、及びAr10は置換基を有していてもよい。x及びyは、それぞれ独立に、0又は1を示し、0≦x+y≦1である。)
上記式(16)で示される繰り返し単位の具体例としては、以下の式133〜142で示されるものが挙げられる。
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
上記式においてRは、前記式1〜132のそれと同じである。溶媒への溶解性を高めるためには、水素原子以外を1つ以上有していることが好ましく、また置換基を含めた繰り返し単位の形状の対称性が少ないことが好ましい。
上記式においてRがアルキルを含む置換基においては、高分子化合物の溶媒への溶解性を高めるために、1つ以上に環状又は分岐のあるアルキルが含まれることが好ましい。さらに、上記式においてRがアリール基や複素環基をその一部に含む場合は、それらがさらに1つ以上の置換基を有していてもよい。
上記式133〜142において、異なる芳香環又は複素環がRで連結されていてもよい。具体例としては、以下の式143〜145で示されるものが挙げられる。
Figure 2007162008
上記式133〜145で示される構造のうち、発光波長を調節する観点から、上記式133、上記式134、上記式137、上記式138、及び上記式141〜144で示される構造が好ましい。
上記式(16)で示される繰り返し単位において、Ar、Ar、Ar及びArがそれぞれ独立にアリーレン基であり、Ar10、Ar11及びAr12がそれぞれ独立にアリール基を示すものが好ましい。中でも、Ar10、Ar11及びAr12がそれぞれ独立に、3つ以上の置換基を有するアリール基であるものが好ましく、Ar10、Ar11及びAr12が置換基を3つ以上有するフェニル基、3つ以上の置換基を有するナフチル基又は3つ以上の置換基を有するアントラニル基であるものがより好ましく、Ar10、Ar11及びAr12が置換基を3つ以上有するフェニル基であるものがさらに好ましい。
中でも、Ar10、Ar11及びAr12が、それぞれ独立に下記式(16−1)であり、かつx+y=1であるものが好ましい。
Figure 2007162008

(式中、Re、Rf及びRgは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。)
より好ましくは、上記式(16−1)において、Re及びRfがそれぞれ独立に、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルキルチオ基であり、かつRgが炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアルキルチオ基であるものが挙げられる。
なお、本発明の高分子化合物のなかでは、実質的に上記式(1)で示される繰り返し単位からなるもの、上記式(1)と、式(5)〜式(16)で示される繰り返し単位の1以上とから実質的になるものが好ましい。
また、本発明の高分子化合物においては、繰り返し単位が、非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよい。結合構造としては、以下に示すもの、及び以下に示すもののうち2つ以上を組み合わせたものなどが例示される。ここで、Rは前記のものと同じ置換基から選ばれる基であり、Arは炭素数6〜60個の炭化水素基を示す。
Figure 2007162008
また、本発明の高分子化合物は、交互、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観点からは、完全なランダム共重合体よりもブロック性を帯びたランダム共重合体やブロック又はグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも本発明の高分子化合物に含まれる。
また、本発明の高分子化合物の末端基に重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は複素環基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
本発明の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は通常10〜10程度であり、好ましくは10〜10である。
高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
次に、本発明の高分子化合物の製造方法について説明する。本発明の高分子化合物は、下式に示す化合物(A)を重合させることで製造できる。
Figure 2007162008

(式中、Y及びYは、それぞれ独立に、重合に関与する置換基を表し、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
重合の態様としては縮合重合が好ましい。
本発明の高分子化合物が、上記式(1)以外の繰り返し単位を含む共重合体の場合、該共重合体は、例えば、原料として、(A)に加えて、上記式(1)以外の繰り返し単位(例えば、上記式(5)、式(6)、式(7)又は式(8)で示される繰り返し単位)の結合手に重合に関与する置換基が結合してなる化合物を用いて重合させることにより製造できる。
重合に関与する置換基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、−B(OH)、ホルミル基、シアノ基、ビニル基等が挙げられる。
重合に関与する置換基として好ましい置換基は重合反応の種類によって異なるが、例えばYamamotoカップリング反応など0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基が挙げられる。またSuzukiカップリング反応などニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル基、−B(OH)などが挙げられる。
ここにハロゲン原子としては、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
ホウ酸エステル基としては、下記式:
Figure 2007162008

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基等が例示される。
また、本発明の高分子化合物は、下記式(2)に示される構造を含む高分子化合物と下記式(C)に示す化合物とを反応することでも製造できる。
Figure 2007162008

(式中、Rは前記と同じ意味を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示すか、または一緒になって環を形成している。)
ここに置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられる。
上記式(2)で示される繰り返し単位の合計の量は、上記式(2)に示される構造を含む高分子化合物が有する全繰り返し単位の合計の通常1モル%以上100モル%以下であり、好ましくは、10モル%以上90モル%以下である。
上記式(2)に示される構造を含む高分子化合物が、上記式(1)以外の繰り返し単位を含む場合、その例として、上記式(5)、式(6)、式(7)又は式(8)で示される繰り返し単位が挙げられる。
上記式(2)に示される構造を含む高分子化合物と上記式(C)で示される化合物との反応は、上記式(2)に示される繰り返し単位のモル数(K)と、上記式(C)で示される化合物のモル数(J)の比が実質的に1(通常 K/Jは0.5〜1.3の範囲)であることが好ましい。
上記式(2)に示される構造を含む高分子化合物と上記式(C)で示される化合物との反応は、具体的には、該高分子化合物と該化合物とを、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、有機溶媒の融点以上沸点以下で行うことができる。
反応は、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われる。反応時間は、通常0.5〜120時間程度であるが、製造コストの点から、100時間以内が好ましく、更に好ましくは、80時間以内である。
反応温度は、通常0〜200℃程度であるが、高収率、低加熱費の点から、20〜150℃が好ましい。
反応終了後、生成物を、必要に応じ、酸洗浄、アルカリ洗浄、中和、水洗浄、有機溶媒洗浄、再沈殿、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィー等の慣用の分離操作、精製操作、乾燥その他の操作に供してもよい。
上記式(C)で、Rで示される置換基は、アルキル基及びアリール基から選ばれることが好ましく、アリール基がより好ましい。
上記式(C)の化合物としては、R−B(OH)、Rに上に例示したホウ酸エステル基とが結合した化合物が挙げられる。
ここで、上記式(2)に示される構造を含む高分子化合物は、下記式(B)で示される化合物を重合することで製造できる。
Figure 2007162008

(式中、Y及びYは前記と同じ意味を表す。)
本発明の高分子化合物の縮合重合による製造において、主鎖に二重結合を生成させる場合は、例えば、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応が利用できる。あるいは、本発明の高分子化合物の縮合重合による製造において主鎖に三重結合を生成させる場合には、例えば、Heck反応、Sonogashira反応が利用できる。
また、二重結合や三重結合を生成させない場合には、例えば該当するモノマーをSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、又は適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。
なお、上記式(A)で示される化合物は、上記式(B)で示される化合物と上記式(C)で示される化合物とを反応させることにより製造できる。
上記式(C)で、R1で示される置換基は、アルキル基及びアリール基から選ばれることが好ましい。
次に、本発明の高分子LEDについて説明する。
本発明の高分子LEDは、陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が本発明の高分子化合物又は本発明の組成物を含むことを特徴とする。
高分子化合物を含む層(有機層)は、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等のいずれであってもよいが、発光層であることが好ましい。
ここに、発光層とは、発光する機能を有する層をいい、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層をいい、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層をいう。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
高分子化合物を含む層が発光層である場合、該発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料又は発光材料を含んでいてもよい。ここで、発光材料とは、蛍光及び/又は燐光を示す材料のことを示す。
本発明の高分子化合物と正孔輸送材料とを混合する場合には、全有機材料に対して、正孔輸送材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明で用いられる高分子化合物に電子輸送材料を混合する場合には、全有機材料に対して電子輸送材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。さらに、本発明で用いられる高分子化合物に発光材料を混合する場合には、全有機材料に対して発光材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明で用いられる高分子化合物に発光材料、正孔輸送材料及び/又は電子輸送材料を混合する場合には、全有機材料に対して発光材料の混合割合は1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、正孔輸送材料と電子輸送材料はそれらの合計で1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、本発明の高分子化合物の含有量は99wt%〜20wt%である。
混合する正孔輸送材料、電子輸送材料、及び発光材料としては公知の低分子化合物や高分子化合物が使用できるが、高分子化合物を用いることが好ましい。高分子化合物の正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開平2001−181618号公報、特開平2001−123156号公報、特開平2001−3045号公報、特開平2000−351967号公報、特開平2000−303066号公報、特開平2000−299189号公報、特開平2000−252065号公報、特開平2000−136379号公報、特開平2000−104057号公報、特開平2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
低分子化合物の蛍光性材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン若しくはその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
低分子化合物の燐光材料としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)、BtpIr(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)phen等の三重項発光錯体が挙げられる。
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008
Figure 2007162008

三重項発光錯体として具体的には、例えばNature,(1998),395,151、Appl.Phys.Lett.(1999),75(1),4、Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.(2001),4105(Organic Light−Emitting Materials and DevicesIV),119、J.Am.Chem.Soc.,(2001),123,4304、Appl.Phys.Lett.,(1997),71(18),2596、Synth.Met.,(1998),94(1),103、Synth.Met.,(1999),99(2),1361、Adv.Mater.,(1999),11(10),852、Jpn.J.Appl.Phys.,34,1883(1995)などに記載されている。
本発明の高分子LEDが有する発光層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
印刷法等で用いるインク組成物としては、少なくとも1種類の本発明の高分子化合物が含有されていればよく、また本発明の高分子化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明の高分子化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、さらに好ましくは80wt%〜99.0wt%である。
インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物中が吐出装置を経由する場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
インク組成物として用いる溶媒としては特に制限はないが、該インク組成物を構成する溶媒以外の材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該インク組成物を構成する材料が非極性溶媒に可溶である場合に、該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。また、これらの溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送性材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。
また、低分子化合物の正孔輸送性材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が例示される。低分子の正孔輸送性材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送性材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
正孔輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送性材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、上記の高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送性材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10以下がより好ましく、10−5S/cm以上10以下がさらに好ましい。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10S/cm以下がより好ましく、10−5S/cm以上10S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上10以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
通常本発明の高分子LEDが有する陽極及び陰極の少なくとも一方が透明又は半透明である。陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、又はそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、又は金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が傷付くのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策を採ることが好ましい。
本発明の高分子LEDは面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
また、前記高分子化合物は単独で、又は正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料との混合物として、発光性薄膜、導電性薄膜及び有機半導体薄膜などの有機薄膜に用いることができる。ここで、発光性薄膜とは、熱、電気、光などの作用によって発光する薄膜のことである。導電性薄膜及び有機半導体薄膜とは、材料そのものが、又は種々の元素やイオンのドープによって、導電特性又は半導体特性を示す薄膜のことである。
これらの有機薄膜は、その電気特性、光特性などの物理的特性を活かし、有機レーザー、有機太陽電池、有機トランジスタなどに使用することができる。
本発明の発光性薄膜は前記高分子化合物を含有する。
本発明の導電性薄膜は前記高分子化合物を含有する。
本発明の有機半導体薄膜は、前記高分子化合物を含有する。
本発明の組成物は、上記高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料とを含むことを特徴とする。
これは、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。本発明の組成物は、本発明の高分子化合物を2種以上含有していてもよい。
また本発明の高分子化合物は、本発明の高分子化合物と燐光発光を示す化合物とを含有する。
本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料との含有比率は、用途に応じて決めればよいが、発光材料の用途の場合は、上記の発光層におけると同じ含有比率が好ましい。
本発明の溶液(インク組成物)は、前記高分子化合物を含有することを特徴とする。
インク組成物としては、少なくとも1種類の高分子化合物が含有されていればよく、高分子化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における高分子化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して通常20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、インク組成物の全重量に対して通常1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、さらに好ましくは80wt%〜99.0wt%である。
インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物が吐出装置を経由する場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
インク組成物として用いる溶媒としては特に制限はないが、該インク組成物を構成する溶媒以外の材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該インク組成物を構成する材料が非極性溶媒に可溶である場合に、該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。また、これらの溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、数平均分子量及び重量平均分子量については、クロロホルムまたはテトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。
また、重量平均分子量について、高分子化合物によってはトルエンを溶媒として、He−Neレーザーを用いた光散乱測定により重量平均分子量を求めた。
実施例のホウ酸導入率は、炭素、水素及び窒素の元素分析値と、ICP分析でのホウ素の元素分析値より求めた。
ここにホウ酸導入率とは、本発明の高分子化合物が含有するホウ素原子のモル数の、本発明の高分子化合物が含有する式(1)及び/又は(2)の構造のモル数に対する比(%)をいう。
実施例1
<4,7−ジブロモ−2−フェニル−ジヒドロ−1H−ベンゾ[1,3,2]ジアザボロールの合成>
Figure 2007162008

窒素雰囲気下でシュレンク管に3,6−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン2.57g、フェニルホウ酸1.22g及びトルエン50mLを入れて120℃で3日間還流させた。反応終了後溶媒を減圧留去した。ヘキサンに溶かして再結晶することにより白色固体2.63gを得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)
σ(ppm)=9.29(2H),8.21(2H),7.43(1H),7.42(2H),7.01(2H)
実施例2
<高分子化合物1の合成>
窒素雰囲気下でシュレンク管に3,6−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン 0.53g、2,7−(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン 1.12g及びトルエン20mLを入れ、Pd(PPhを40mg加えた。2M炭酸カリウム水溶液を10mL加えてからAliquat336を数滴加え、80℃で3日間加熱した。反応終了後溶媒を減圧留去した。残渣物を少量のクロロホルムに溶解してメタノール中で再沈させた。固体を濾別して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物1と呼ぶ)の収量は0.98gであった。光散乱測定による重量平均分子量は3.8×10、偏光解消度はほぼゼロであり、第2ビリアル係数A2は4.0×10(cmmol/g)であった。
Anal.Calcd for (C3546・0.5HO):C,83.45; H,9.40; N5.56.Found: C,83.37; H,9.50; N,5.10.
実施例3
<高分子化合物2の合成>
窒素雰囲気下でシュレンク管に高分子化合物1を0.25g、フェニルホウ酸0.06g及びトルエン30mLを入れて120℃で3日間還流させた。反応終了後溶媒を減圧留去した。残渣物を少量のクロロホルムに溶解してメタノール中で再沈させた。固体を濾別して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物2と呼ぶ)の収量は0.25gであった。ICP測定によるホウ酸の導入率は73%であった。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=8.6x10、Mw=5.5x10であった。
Anal.Calcd for {(C35460.27(C4149BN0.73(HO)}:C,82.19; H,8.79; N4.87.Found: C,82.19; H,9.49; N,4.90.
ICP Calcd: B,1.37.Found: B,1.35.
実施例4
<高分子化合物3の合成>
窒素雰囲気下でシュレンク管に高分子化合物1を0.12g、4−メトキシフェニルホウ酸0.04g及びトルエン30mLを入れて120℃で3日間還流させた。反応終了後溶媒を減圧留去した。残渣物を少量のクロロホルムに溶解してメタノール中で再沈させた。固体を濾別して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物3と呼ぶ)の収量は0.12gであった。ICP測定によるホウ酸の導入率は82%であった。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=3.1x10、Mw=7.0x10であった。
Anal.Calcd for {(C35460.18(C4251BNO)0.82(2.5HO)}:C,77.08; H,8.75; N4.41.Found: C,77.39; H,8.65; N,4.15.
ICP Calcd: B,1.40.Found: B,1.44.
実施例5
<高分子化合物4の合成>
窒素雰囲気下でシュレンク管に高分子化合物1を0.25g、4−ブチルフェニルホウ酸0.09g及びトルエン30mLを入れて120℃で3日間還流させた。反応終了後溶媒を減圧留去した。残渣物を少量のクロロホルムに溶解してメタノール中で再沈させた。固体を濾別して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物4と呼ぶ)の収量は0.30gであった。ICP測定によるホウ酸の導入率は85%であった。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=9.8x10、Mw=8.1x10であった。
Anal.Calcd for {(C35460.15(C4251BN0.85(1.2HO)}:C,82.01; H,9.14; N4.40.Found: C,81.43; H,9.11; N,4.74.
ICP Calcd: B,1.44.Found: B,1.44.
実施例6
(溶液での紫外可視吸収特性及び蛍光特性評価)
高分子化合物2〜4の紫外可視吸収特性の評価は、サンプルのクロロホルム溶液を調製し、1cm×1cmの角型石英セルに移した溶液を、分光光度計(島津製作所製UV−2550)を用いることにより行った。
蛍光特性の評価は、サンプルのクロロホルム溶液を調製し、1cm×1cmの角型4面石英セルに移した溶液を、蛍光分光光度計(Hitachi製 F−4010)を用い、励起波長355nmで測定することにより行った。
表1に得られた紫外可視吸収ピーク波長及び蛍光ピーク波長を示す。
Figure 2007162008
実施例7
(薄膜での蛍光特性評価)
薄膜の蛍光特性の評価は、サンプルの0.8wt%トルエン溶液を調製し、石英板上にスピンコートして高分子化合物の薄膜を形成することにより得た試料を、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製 Fluorolog)を用い、励起波長350nmで測定することにより行った。高分子化合物3は、413nmに最も強い蛍光ピーク波長を有することを確認した。
実施例8
<高分子化合物5の合成>
ジムロート冷却器を接続した200mLセパラブルフラスコに、2,7−(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン 2.39g、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン 1.97g、3,6−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン 0.24g、Aliquat336 0.59g、トルエン45mlを加えた。窒素雰囲気下、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド 3.2mgを加え85℃に加熱した。この溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液 12.3gを滴下しながら105℃に加熱した後、12hr攪拌した。水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 2.07g、イオン交換水 27mLを加え65℃で2hr攪拌した。有機層を水層と分離した後、イオン交換水 約60mLで2回洗浄した。有機層をメタノール約700mLに滴下しポリマーを沈殿させ、沈殿物を濾過後乾燥し、重合体(以後、高分子化合物5と呼ぶ)を2.57g得た。また、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.0×10、Mw=1.9×10であった。
実施例9
(溶液での紫外可視吸収特性及び蛍光特性評価)
高分子化合物5の紫外可視吸収特性の評価は、サンプルのトルエン溶液を調製し、1cm×1cmの角型石英セルに移した溶液を、分光光度計(Varian社製 Cary5E)を用いることにより行った。高分子化合物5は、380nmに最も強い紫外可視吸収ピーク波長を有することを確認した。
高分子化合物5の蛍光特性の評価は、サンプルのトルエン溶液を調製し、1cm×1cmの角型4面石英セルに移した溶液を、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製 Fluorolog)を用い、励起波長350nmで測定することにより行った。
高分子化合物5は、414nmに最も強い蛍光ピーク波長を有することを確認した。
実施例10
(薄膜での蛍光特性評価)
薄膜の蛍光特性の評価は、サンプルの0.8wt%トルエン溶液を調製し、石英板上にスピンコートして高分子化合物の薄膜を形成することにより得た試料を、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製 Fluorolog)を用い、励起波長350nmで測定することにより行った。高分子化合物5は、421nmに最も強い蛍光ピーク波長を有することを確認した。
合成例1
<高分子化合物4の合成>
ジムロート冷却器を接続した200mL三つ口丸底フラスコに、2,7−(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン 1.59g、ビス(4−ブロモフェニル)−4−sec−ブチルアニリン 1.38g、トルエン 23mlを加えた。窒素雰囲気下、モノマー溶液を加熱し50℃で酢酸パラジウム 1.2mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン 9.5mg、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 10.2gを注加した。105℃に加熱した後、4hr攪拌した。次にトルエン1.5mLに溶解したt−ブチルフェニルホウ酸 267mgを加え105℃で2hr攪拌した。更にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 0.6g、イオン交換水 9mLを加え65℃で2hr攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を2M塩酸 約70mL(1回)、10重量%酢酸ナトリウム水溶液 約70mL(1回)、イオン交換水 約70mL(3回)の順番で洗浄した。有機層をメタノール 約800mLに滴下しポリマーを沈殿させ、沈殿物を濾過後乾燥し固体を得た。この固体をトルエン 約90mLに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに溶液を通液し、この溶液をメタノール 約800mLに滴下しポリマーを沈殿させ、沈殿物を濾過後乾燥し、重合体(以後、高分子化合物6と呼ぶ)を1.92g得た。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、Mw=3.0×10であった。
実施例11
溶液の調製
上記で得た高分子化合物3をトルエンに溶解し、ポリマー濃度1.5重量%のトルエン溶液を作製した。
EL素子の作製
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板上に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、BaytronP AI4083)の懸濁液を0.2μmメンブランフィルターで濾過した液を用いて、スピンコートにより70nmの厚みで薄膜を形成し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。次に、上記で得たトルエン溶液を用いて、スピンコートにより1400rpmの回転速度で成膜した。成膜後の膜厚は約140nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、フッ化リチウムを約4nm蒸着し、陰極としてカルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着してEL素子を作製した。なお真空度が1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
EL素子の性能
得られた素子に電圧を印加することにより、電流が流れることを確認した。12.0V印加時の電流密度は、約7mA/cmであった。
実施例12
溶液の調製
上記で得た高分子化合物5をキシレンに溶解し、ポリマー濃度2.5重量%のキシレン溶液を作製した。また上記で得た高分子化合物6をキシレンに溶解し、ポリマー濃度0.5重量%のキシレン溶液を作製した。
EL素子の作製
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板上に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、BaytronP AI4083)の懸濁液を0.2μmメンブランフィルターで濾過した液を用いて、スピンコートにより70nmの厚みで薄膜を形成し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。次に、上記で得た高分子化合物6のキシレン溶液を用いて、スピンコートにより3000rpmの回転速度で正孔輸送層を成膜した。成膜後の膜厚は約10nmであった。これをグローブボックス中窒素気流下で、180℃のホットプレート上にて15分間熱処理した。次いで、上記で得た高分子化合物5のキシレン溶液を用いて、スピンコートにより1000rpmの回転速度で成膜した。成膜後の膜厚は約130nmであった。これをグローブボックス中窒素気流下で、130℃のホットプレート上にて20分間熱処理した。その後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着してEL素子を作製した。なお真空度が1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
EL素子の性能
得られた素子に電圧を印加することにより、この素子から425nmと520nmにピークを有するEL発光が得られた。6.0V印加時における発光輝度は79cd/m、EL発光色はC.I.E.色座標値で示すとx=0.25、y=0.38であった。EL発光の強度は電流密度にほぼ比例していた。また、6.0V印加時における電流密度は8.2mA/cmであった。なお該素子は4.4Vから発光開始が見られ、最大発光効率は1.1cd/Aであった。
繰り返し単位として上記式(1)で示される構造を有する高分子化合物を含む層を、陽極及び陰極からなる電極間に有する本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置などの用途に適用できる。

Claims (34)

  1. 下記式(1)で示される構造を含むことを特徴とする高分子化合物。
    Figure 2007162008

    (式中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示す。)
  2. さらに下記式(5)、式(6)、式(7)又は式(8)で示される繰り返し単位を含む請求項1記載の高分子化合物。
    −Ar− (5)
    −(−Ar−X−)ff−Ar− (6)
    −Ar−X− (7)
    −X− (8)
    (式中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。X、X及びXは、それぞれ独立に、−CR=CR10−、−C≡C−、−N(R11)−、又は−(SiR1213−を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アリールアルキル基又は置換アミノ基を示す。ffは1又は2を表す。mは1〜12の整数を表す。R、R10、R11、R12及びR13がそれぞれ複数存在する
    場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
  3. ポリスチレン換算の重量平均分子量が10〜10である請求項1又は2に記載の高分子化合物。
  4. 下記式(A)で示される化合物を重合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
    Figure 2007162008

    (式中、Y及びYはそれぞれ独立に重合に関与する置換基を表し、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
  5. 及びYがそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基からなる群から選ばれ、ニッケル化合物又はパラジウム触媒存在下で重合を行う請求項4記載の製造方法。
  6. 上記式(A)で示される化合物。
  7. 下記式(B)で示される化合物と下記式(C)で示される化合物とを反応させることを特徴とする請求項6記載の化合物の製造方法。
    Figure 2007162008

    (式中、Y及びYは前記と同じ意味を表す。)
    Figure 2007162008

    (式中、Rは前記と同じ意味を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示すか、または一緒になって環を形成している。)
  8. 下記式(2)で示される構造を含む高分子化合物と、上記式(C)で示される化合物とを反応させることを特徴とする請求項1記載の高分子化合物の製造方法。
    Figure 2007162008
  9. 上記式(2)で示される構造を含むことを特徴とする高分子化合物。
  10. さらに上記式(5)、式(6)、式(7)又は式(8)で示される繰り返し単位を含む請求項9記載の高分子化合物。
  11. ポリスチレン換算の重量平均分子量が10〜10である請求項9又は10に記載の高分子化合物。
  12. 上記式(B)で示される化合物を重合させることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
  13. 正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と、請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物の少なくとも1種類とを含有することを特徴とする組成物。
  14. 請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物と燐光発光を示す化合物とを含有することを特徴とする組成物。
  15. 請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を少なくとも2種類含有することを特徴とする組成物。
  16. 請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする溶液。
  17. 請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物を含有することを特徴とする溶液。
  18. 2種類以上の有機溶媒を含有する請求項16又は17に記載の溶液。
  19. 粘度が25℃において1〜20mPa・sである請求項16〜18のいずれか一項に記載の溶液。
  20. 請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
  21. 発光の量子収率が50%以上である請求項20記載の発光性薄膜。
  22. 請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする導電性薄膜。
  23. 請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする有機半導体薄膜。
  24. 請求項23に記載の有機半導体薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタ。
  25. インクジェット法を用いることを特徴とする請求項20〜23のいずれか一項に記載の薄膜の製膜方法。
  26. 陽極及び陰極からなる電極間に有機層を有し、該有機層が請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物、又は請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
  27. 有機層が発光層である請求項26記載の高分子発光素子。
  28. 発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料又は発光材料を含む請求項26記載の高分子発光素子。
  29. 陽極及び陰極からなる電極間に、発光層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物、又は請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物を含む請求項26記載の高分子発光素子。
  30. 陽極及び陰極からなる電極間に、発光層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層と電極との間に電荷注入層を有し、該電荷注入層が請求項1〜3、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物、又は請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物を含む請求項26記載の高分子発光素子。
  31. 請求項26〜30のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とする面状光源。
  32. 請求項26〜30のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
  33. 請求項26〜30のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  34. 請求項26〜30のいずれか一項に記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
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