JP2007161843A - インクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法、これにより得られたインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体及び該分散体を用いたインクジェット記録用インク - Google Patents

インクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法、これにより得られたインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体及び該分散体を用いたインクジェット記録用インク Download PDF

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Abstract

【課題】インクの色材とした場合に、高画像濃度で、耐水性と耐候性、耐擦過性を備えた画像を与え、しかも小粒子径で粒度分布が狭く、分散安定性や保存安定性にも優れた着色樹脂微粒子水分散体を生産性よく製造する方法の提供。
【解決手段】下記(1)から(3)の工程を含む、顔料表面をポリマーでマイクロカプセル化し、水中に分散安定化してなる着色樹脂微粒子水分散体の製造方法。(1)有機溶媒中で顔料を微粒・湿潤化処理し、該溶媒中に溶解処理されたブロックポリマーを混合した溶液を加え、次いで該ポリマーの酸価相当量のアルカリ水溶液を加え、有機溶媒量よりも少ない水分量で一旦転相乳化し、(2)更に、(1)で得た調製液に有機溶媒量を超える量まで水を後添加した上で機械的分散処理を施し、(3)上記(2)で得られた調製液より有機溶媒を除去する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高画質、高堅牢な画像を与え、且つ小粒子径で粒度分布が狭く分散安定性や保存安定性にも優れたインクジェット記録用インクの色材として有用な着色樹脂微粒子水分散体を生産性よく得る製造方法に関する。又、本発明は、かかる製造方法によって得られたインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体及び該着色樹脂微粒子を含むインクジェット記録用インクに関する。
インクジェット記録方法は、インクを飛翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を行うものである。例えば、インクに熱エネルギーを与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘッドのノズルの高密度化が容易に実現可能で、高解像度及び高品位の画像を高速で記録することができる(特許文献1乃至3)。
ところで、従来のインクジェット記録方法に用いられるインク中の色材としては、一般的に水溶性染料が使用されることが多く、かかるインクによる記録画像には、より一層の耐水性の向上が求められていた。又、これまでの水溶性染料による画像は耐候性が不十分であり、インクの特性として耐候性の向上も同時に求められていた。
これに対し、耐水性と耐候性を改良する手段として、色材として顔料を使用して水中に顔料を分散させてインクとする技術がある。しかし、顔料インクの場合、顔料の分散安定性とインクジェット記録の吐出安定性を両立させることは難しく、又、得られた記録画像は、特に、メディア上での耐擦過性において未だ改良の余地が残されていた。
このような課題を改良する手段は、現在までに多数提案されている。例えば、耐擦過性を改良する目的で、顔料インクに対し樹脂を添加する技術が多数提案されている。しかし、添加する樹脂によりインクの粘度が増加するという問題が残されていた。インクの粘度増加を抑える目的で樹脂粒子をインクに添加する技術の提案もなされているが、この場合、樹脂粒子と顔料が別々に分散されている状態であるため、形成される画像の耐擦過性の改良は十分なものではなかった。
これに対し、顔料を樹脂で被覆する技術が提案されている。例えば、特許文献4及び5には、カプセル化した顔料微粒子の例が、又、特許文献6乃至9には、顔料粒子表面にポリマーをグラフト重合した例が、それぞれ開示されている。更に、特許文献10乃至18には、転相乳化法により樹脂を顔料粒子表面に被覆した例が、又、特許文献19乃至28には、酸析法により樹脂を顔料粒子表面に被覆した例が、それぞれ開示されている。
特公昭61−59911号公報 特公昭61−59912号公報 特公昭61−59914号公報 特公平7−94634号公報 特開平8−59715号公報 特開平5−339516号公報 特開平8−81647号公報 特開平8−302227号公報 特開平8−302228号公報 特開平8−183920号公報 特開平8−2180115号公報 特開平8−295837号公報 特開平9−3376号公報 特開平10−46075号公報 特開平10−292143号公報 特開平11−80633号公報 特開平11−349870号公報 特開2000−7961公報 特開平9−31360号公報 特開平9−217019号公報 特開平9−316353号公報 特開平9−104834号公報 特開平9−151342号公報 特開平10−140065号公報 特開平11−152424号公報 特開平11−166145号公報 特開平11−199783号公報 特開平11−209672号公報
しかしながら、これらの製造方法により得られる顔料インクでは、顔料に吸着しないで系内に浮遊する樹脂が残存したり、或いは顔料に弱い力で吸着していることにより、系内の環境変化に伴って樹脂が浮遊したりすることがあった。そして、これによってインクの粘度増加が引き起こされたり、インクの吐出性が損なわれることがあった。
又、樹脂を顔料に被覆処理させる際に顔料の凝集現象も競争しながら進行するため、狙ったような微細な粒度分布を持つ高発色な顔料インクを安定的に作ることができなかった。これらのことは、顔料分散体として、或いはこれを用いたインクとして分散安定性に劣るものとなってしまう。このように、従来の技術では、微細且つ粒度分布が狭い高発色顔料微粒子分散体を、生産性よく作ることができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、インクの色材として使用した場合に、高画像濃度を有し、耐水性と耐候性、耐擦過性を備えた画像を与えることができ、且つ小粒子径で粒度分布が狭く、分散安定性や保存安定性にも極めて優れた着色樹脂微粒子水分散体を、生産性よく製造する方法を提供することにある。又、本発明の他の目的は、小粒子径で粒度分布が狭く、分散安定性や保存安定性にも極めて優れた、特にインクジェット記録用のインクの色材として好適な、着色樹脂微粒子水分散体を提供することにある。又、本発明の他の目的は、上記着色樹脂微粒子水分散体をインクの色材として使用した場合、高画像濃度を有し、耐水性と耐候性、耐擦過性を備えた画像を与え、且つ分散安定性や保存安定性にも優れたインクジェット記録用インクを提供することにある。
本発明者らは上記の課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、画質に優れる画像を与えるインクの色材として好適な、小粒子径で粒度分布が狭く、高い顔料濃度を有するインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体を生産性よく得ることのできる製造方法を見出して本発明に至った。
即ち、本発明は、顔料表面をポリマーにてマイクロカプセル化し、水中に分散安定化してなる分散体の製造方法において、少なくとも以下の(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法である。
(1)有機溶媒中で顔料を微粒化、表面湿潤化処理し、該顔料が含有された有機溶媒中に、別に調製した溶解処理されたカプセル化用ブロックポリマーが混合されてなる溶液を加え、次いで、上記ポリマーの酸価相当量のアルカリ水溶液を加え、上記有機溶媒量よりも少ない水分量の条件下で一旦転相乳化によって顔料表面を上記ポリマーにてマイクロカプセル化する工程
(2)更に、上記(1)の工程で得られた調製液に上記有機溶媒量を超える量まで水を後添加した上で機械的分散処理を施し、顔料の更なる微分散化と同時に、その再カプセル化を行う工程
(3)上記(2)の工程で得られた調製液より有機溶媒のみを除去することにより、顔料微粒子が分散安定化してなる水系分散体を得る工程
又、本発明の別の形態は、上記インクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法によって得られたことを特徴とするインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体である。
更に、本発明は、上記インクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体を含んでいることを特徴とするインクジェット記録用インクである。
本発明によれば、高画質、高堅牢な画像を与えることができ、且つ小粒子径で粒度分布が狭く分散安定性や保存安定性にも優れたインクジェット記録用インクの色材として有用な、インクジェット記録用の着色樹脂微粒子水分散体を生産性よく得ることができる製造方法が提供される。更に、この製造方法によって得られる着色樹脂微粒子水分散体を用いることで、諸特性に優れた着色樹脂微粒子水分散体及びこれを用いたインクジェット記録用インクが提供される。
以下に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明にかかるインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法(以下、着色樹脂微粒子水分散体の製造方法と言う)は、下記の手順によって行われる。先ず、有機溶媒中で顔料を微分散・湿潤処理し、少なくとも、この処理を行ったと同一の有機溶媒中に、溶解処理したブロックポリマーを加えて混合均一化する。更に、その液中に、上記ポリマーの酸価相当量のアルカリを含むように調製された水溶液を添加していき、2段階で転相乳化と微分散化処理を行い、着色樹脂微粒子水分散体を製造する。
上記の製造方法の第一の特徴は、有機溶媒量よりも少ない水分量の条件下で第一の転相乳化処理を行うことである。又、第二の特徴は、更に水分量を増加させ、有機溶媒量よりも多い状態にした後、機械的分散処理を施し、微分散化及び再カプセル化処理を行うことである。
上記第一の特徴である、有機溶媒量よりも少ない水分量のもとで第一の転相乳化処理を行うことについて説明する。転相乳化処理工程は、疎水性表面をもつ顔料と、少なくとも疎水性部及び親水性部を併せ持つブロックポリマーとが有機溶媒中に混合されている中に、撹拌しながら少しずつ水を加えていく方法である。水の添加に伴い、ある段階で転相点を通過し、顔料表面にブロックポリマーの疎水性部が配向し、外側の水側に親水性部が広がったカプセルが形成される。これによって、顔料の表面をブロックポリマーで被覆された水分散安定型の顔料微粒子が形成される。この際、水の添加量が有機溶媒量よりも少ない範囲では、水の添加に伴う顔料粒子の凝集傾向がある中で、比較的に距離を置いて分断された水領域中でカプセルが形成されるために、粒子間相互作用が小さく、顔料の凝集状態を極力押さえることができ、分散安定化する。ただし、この際、顔料の凝集傾向とカプセル化が競争するので、得られる顔料の粒子径、粒度分布は十分細かいものはできにくいことになる。
次いで、第二の特徴である調製液中の水分量を増加させ、有機溶媒量よりも多い状態にした後、機械的分散処理を施し、更なる微分散化及び再カプセル化処理を行うことについて説明する。第一段階の転相乳化工程で、ある程度細かいサイズにカプセル化された顔料粒子に対し、周囲の水の量を十分多い環境にした上で、機械的分散処理を施すと、一旦カプセル化している顔料にはシェアーがかかり再分散され、顔料粒子はより細かく分離する。更に、この段階では、系内の水の量は有機溶媒量より多くなっているため、周囲には水の領域が密度高く存在し、この中で細かくなった顔料粒子の表面には、直ちにブロックポリマーが配向し、被覆できる。従って、この段階で機械的処理を施すことによって、より細かい粒子径及びシャープな粒度分布を持ったカプセル粒子を容易に得ることができる。ただし、水の量があまり多い状態になると顔料の凝集傾向が強くなるので、安定した微分散ができなくなる。
微分散状態を有効に得るためには、ほどよい水の量が必要である。本発明者らの検討によれば、好ましくは、使用する有機溶媒量に対する水の量の比率としては、質量比で、有機溶媒の等量以上で5倍量以内程度とするとよい。更に好ましくは、1.5倍量以上で2.5倍量以下の範囲で、機械的分散を施すことが効果的である。本発明にかかる製造方法によれば、従来の一段階の転相乳化工程では得ることのできなかった、小粒子径で粒度分布が狭く分散安定性や保存安定性にも優れた顔料の微分散体を容易に形成することができる。
上記した本発明で行う第二段階の転相乳化処理時の機械的分散処理には、低濃度分散系に対し、高せん断速度を与えることのできる分散機を用いることが好ましい。具体的には、ナノマイザー(吉田機械興業製)等の衝突型分散機やビーズミル等のメディアを用いた分散機等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
次に、本発明にかかる着色樹脂微粒子の製造方法に用いる各形成材料について説明する。本発明では、少なくとも、ブロックポリマー、着色剤、アルカリ水溶液、有機溶媒を用いる。以下に、それぞれについて説明する。本発明の着色樹脂微粒子の製造方法に用いるブロックポリマーは、水或いは水系溶媒に親和する部分と親和しない部分とを併せ持つブロック共重合体であることが好ましい。特に、疎水性ブロックセグメント、非イオン性親水性ブロックセグメント、イオン性親水性ブロックセグメントが順に並ぶ構造を有するブロック共重合体であることが好ましい。
かかる疎水性ブロックセグメント、非イオン性親水性ブロックセグメント、イオン性親水性ブロックセグメントの重合度比は、疎水性セグメントを10としたとき、非イオン性親水性セグメントが8以下、イオン性親水性セグメントが5以下であることが好ましい。更には、疎水性ブロックセグメント、非イオン性親水性ブロックセグメント、イオン性親水性ブロックセグメントの重合度比が、疎水性セグメントを10としたとき、非イオン性親水性セグメントが5以下、イオン性親水性セグメントが3以下であることが好ましい。
下記に、本発明に好適に用いることのできるブロック共重合体の具体的な例を以下に挙げる。
アクリル、メタクリル系ブロック共重合体、ポリスチレンと他の付加重合系又は縮合重合系のブロック共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンのブロックを有するブロック共重合体等、従来から知られているブロック共重合体
更に、本発明で用いるブロック共重合体は、AB、ABA、ABC等のブロック形態のものがより好ましい。A、B、Cはそれぞれ異なるブロックセグメントを示す。又、本発明では、ブロック共重合体がある共重合体鎖にT字状に結合してグラフト共重合体となっていてもよい。本発明で用いるブロック共重合体は、ポリビニルエーテル構造を繰り返し単位構造として含有することが好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体を構成するイオン性の親水性ブロックセグメントの具体的構造としては、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2007161843
(上記式中、R0は、−X−COOH、−X−COOM、−X−CH(CH2COOH)2、−X−CH(CH2COOM)2、−X−CH(CH2COO)2M、−X−O−(CH2q−COOH、−X−O−(CH2q−COOM、−X−O−Ph−(CH2q−COOH、−X−(O)n−Ph−(CH2q−COOMを表す。ここで、−X−は、炭素数1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。nは1又は0を表す。qは0から17の整数を表す。Mは、一価又は多価のカチオンを表す。Phは、フェニレン基を表す。)
上記一般式(1)で表される繰り返し単位構造の具体例を以下に挙げる。
Figure 2007161843
Figure 2007161843
Figure 2007161843
更に、疎水性ブロックセグメント或いは非イオン性の親水性ブロックセグメントの繰り返し単位の具体例としては、下記の一般式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2007161843
(式中、R1は、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−(CH(R5)−CH(R6)−O)p−R7及び−(CH2m−(O)n−R7からなる群から選ばれる。芳香環中の水素原子は、炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基と、又、芳香環中の炭素原子は、窒素原子とそれぞれ置換していてもよい。pは1から18の整数、mは1から36の整数、nは0又は1である。R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子若しくは−CH3である。R7は、水素原子、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2COOR8からなる。R7が水素原子以外である場合、R7中の炭素原子に結合している水素原子は、炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は−F、−Cl、−Brと、又、芳香環中の炭素原子は、窒素原子とそれぞれ置換することができる。R8は、水素原子又は炭素数1から5のアルキル基である。Phはフェニル基又はフェニレン基、Pyrはピリジル基を表わす。)
一般式(2)で表される繰り返し単位構造の具体例としては、以下に記載したものが挙げられる。
Figure 2007161843
非イオン性の親水性セグメントとしての繰り返し単位例としては、以下に記載したもの等が挙げられる。
Figure 2007161843
又、本発明で使用するブロック共重合体を構成する各ブロックセグメントは、単一の繰り返し単位からなるものでもよく、複数の繰り返し単位構造からなるものであってもよい。複数の繰り返し単位からなるブロックセグメントの例としては、ランダム共重合体や徐々に組成比が変化するグラデュエイション共重合体が挙げられる。又、本発明で使用するブロック共重合体は、ブロック共重合体構造が他のポリマーにグラフト結合したポリマーであってもよい。
本発明において、ブロック共重合体中に含有される一般式(1)或いは一般式(2)で表される繰り返し単位構造の含有量は、ブロックポリマー化合物全体に対して0.01mol%以上99mol%以下、好ましくは1mol%以上90mol%以下の範囲が望ましい。0.01mol%未満ではイオン性官能基或いは疎水性官能基或いは非イオン性親水基の働くべき高分子相互作用が不充分な場合があり、一方、99mol%を超えると逆に相互作用が働きすぎて機能が不充分な場合がある。
本発明で使用するブロックポリマーとしては、数平均分子量(Mn)は、200以上10,000,000以下のものが好ましい。より好ましくは、数平均分子量(Mn)が1,000以上1,000,000以下の範囲のものを用いる。10,000,000を超えると高分子鎖内、高分子鎖間の絡まりあいが多くなりすぎ、溶剤に分散、溶解しにくかったりする。一方、200未満である場合は分子量が小さく、高分子としての立体効果が出にくかったりする場合がある。各ブロックセグメントの好ましい重合度としては、3以上10,000以下である。より好ましくは、5以上5,000以下であり、更に好ましくは10以上4,000以下である。
又、顔料の分散安定性向上、カプセル化向上のためには、ブロック共重合体の分子運動性がよりフレキシブルであるものを使用することが好ましい。即ち、ブロック共重合体の分子運動性がフレキシブルであることによって、ブロック共重合体が顔料の表面と物理的に絡まり、親和しやすい点を有しているからである。更には、本発明によって得られる着色樹脂微粒子水分散体をインクに使用した場合に、被記録媒体上で被覆層を形成しやすい点でもフレキシブルであることが好ましい。このためには、その主鎖のガラス転移温度Tgが、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、更に好ましくは−20℃以下であるものを使用する。この点でも、ポリビニルエーテル構造を有するポリマーは、一般にガラス転移温度が低く、フレキシブルな特性を有するため、好ましく用いられる。上記した繰り返し単位構造例の場合、そのガラス転移温度は−20℃くらいか、それ以下である場合が多い。
本発明において好ましく用いられるポリビニルエーテル繰り返し単位構造を有するブロック共重合体の重合は、主にカチオン重合で行われることが多い。その際に使用する重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、過塩素酸等のプロトン酸、
BF3、AlCl3、TiCl4、SnCl4、FeCl3、RAlCl2及びR1.5AlCl1.5(Rはアルキルを示す)等のルイス酸とカチオン源との組み合わせ(カチオン源としてはプロトン酸や水、アルコール、ビニルエーテルとカルボン酸の付加体等が挙げられる。)等
これらの開始剤を重合性化合物(モノマー)と共存させることにより重合反応が進行し、ブロック共重合体を合成することができる。本発明において好ましく用いられるポリビニルエーテル繰り返し単位構造を有するブロック共重合体は、より好ましくは、ポリビニルエーテル繰り返し単位構造が50mol%以上好ましくは70mol%以上、更に好ましくは90mol%以上含有される。
本発明に更に好ましく用いられる重合方法について説明する。ポリビニルエーテル構造を含むポリマーの合成法は多数報告されているが(特開平11−080221号公報参照)、青島らによるカチオンリビング重合による方法(ポリマーブレタン誌15巻、1986年 417頁、特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報等参照)が代表的である。カチオンリビング重合でポリマー合成を行うことにより、ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、更には、ブロック共重合体、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等の様々なポリマーを、分子量を正確に揃えて合成することができる。又、他にHI/I2系、HCl/SnCl4系等でリビング重合を行うこともできる。
又、本発明で使用するブロック共重合体は、上記のような粘性を有する上で臨界ミセル濃度は0.2g/Lであることが好ましい。又、そのために疎水性セグメントの数平均分子量は6,000以上が好ましく、更に好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上或いは12,000以上である。
本発明においては、例えば、前述したようなABCトリブロックポリマー、顔料及び溶媒としての水を使用して分散液を作成すると、顔料をABCブロックポリマーが形成するミセル中に内包した、顔料内包型のインクを形成することが可能となる。顔料がABCブロックポリマーで形成するミセル中に内包されているとは、形成したミセルのコア部に顔料が取り込まれて溶液中に分散していることを意味する。
顔料表面がポリマーにて被覆されてなる着色微粒子のカプセル状態(内包状態)は、有機溶媒中にポリマーと顔料とを溶解、分散させた状態から、水系の溶媒中に転相することでカプセル状態を形成した後、残存する有機溶媒を留去することによって形成することができる。又、この他に、ブロックポリマーが形成する水中でのミセルに、水に不溶の有機溶媒中に顔料を溶解若しくは分散させたものをミセルへ取り込ませるために分散機等を使用して混合し、その後、該有機溶媒を留去することにより形成することもできる。
着色微粒子の内包状態を確認するためには、各種電子顕微鏡、X線回折等の機器分析により実施することが可能である。又、ミセル状態の包接の場合は、ミセル崩壊条件で顔料が溶媒からポリマーと別々に分離することで、内包状態を間接的に確認することができる。
更に、本発明にかかる方法で得られる着色樹脂微粒子水分散体は、インクジェット記録用インクに好ましく適用できるが、その場合のブロック共重合体の含有量は、インク中に、0.3質量%以上80質量%以下で含有されるようにすることが好ましい。より好ましくは、0.3質量%以上30質量%以下となるように構成する。更には、1.0質量%以上25質量%以下、より好ましくは、2質量%以上20質量%以下、或いは3質量%以上15質量%以下となるように構成する。インクジェット記録用インクとして、非常に好ましい形態では、ブロック共重合体のインク中における含有量を、1.0質量%以上、或いは2質量%以上或いは3質量%以上とする。このように構成すると、被記録媒体への定着性、画像の耐候性の向上にも寄与が大きい。
次に、本発明にかかる着色樹脂微粒子水分散体の製造方法では、着色剤として顔料を用いているが、これについて説明する。本発明に用いる顔料は、有機顔料及び無機顔料の何れでもよい。インクに用いられる主な顔料としては、黒色顔料と、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料が挙げられる。尚、上記に記した以外の色顔料、無色又は淡色の顔料、又は金属光沢顔料等を必要に応じて使用してもよい。又、本発明においては、市販の顔料を用いてもよいし、或いは新規に合成した顔料を用いてもよい。又、場合によっては染料と併用することもできる。
以下に、黒、シアン、マゼンタ、イエローにおいて、市販されている顔料を例示する。黒色の顔料としては、ファーネス法やチャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。そして、一次粒子径が15mμm以上40mμm以下、BET法による比表面積が50m2/g以上300m2/g以下、DBP吸油量が40ml/100g以上150ml/100g以下、揮発分が0.5質量%以上10質量%以下、pH値が2乃至9を有するものが好ましい。具体的には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製)、
Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグサ社製)、
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等
シアン色の顔料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Pigment Blue 60等
マゼンタ色の顔料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 57、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 207等
イエローの顔料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 98、C.I.Pigment Yellow 114、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 185等
本発明にかかるインクジェットインクにおける顔料の含有量は、インクの全質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。顔料の量が、0.1質量%未満であると、十分な画像濃度を得られなくなり、一方、50質量%を超えると顔料が凝集し分散できなくなる。更に好ましい範囲としては、0.5質量%以上30質量%以下の範囲である。
本発明にかかる着色樹脂微粒子水分散体の製造方法に用いるアルカリ水溶液としては、無機のアルカリ水溶液が好ましい。具体的には、KOH、NaOH及びLiOH等の水溶液が用いられる。アルカリ水溶液のアルカリ量は、使用するブロックポリマーの酸価相当量とする。
次に、本発明にかかる着色樹脂微粒子水分散体の製造方法に用いる有機溶媒について説明する。有機溶媒としては、顔料と親和性がよく、湿潤処理し易く、又、使用するブロックポリマーに対して溶解性の高いものが好適である。具体的には、テトラヒドロフラン或いはジメチルホルムアミド等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
次に、上記したような工程及び材料を用いる本発明にかかる着色樹脂微粒子水分散体の製造方法によって得られる着色樹脂微粒子について説明する。着色樹脂微粒子の平均粒子径としては、200nm以下であることが好ましく、更には100nm以下であることが好ましい。又、その粒度分布としては、10%累積値が25nm以上で、90%累積値が1100nm以下であるものが好適に用いられる。ここで、本発明における平均粒子径とは、動的光散乱法により検出された微粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて平均粒子径を算出するキュムラント解析法により求めたものである。又、粒度分布は、同測定法により検出された散乱強度をヒストグラム法のMarquadt解析法で解析した際の頻度分布から求められ、小粒子径側から散乱強度を累積した際の10%と90%の時の粒子径から微粒子の粒度分布を求めている。これらの測定は、例えば、大塚電子(株)製の粒度分布測定器によって得ることができる。
着色樹脂微粒子水分散体を構成する着色樹脂微粒子の平均粒子径及び粒度分布が上記範囲とすることによって、水分散体中の着色樹脂微粒子の分散安定性が向上し、低温及び高温環境下で長期保存しても、着色樹脂微粒子の凝集や沈降等が起こりにくくなる。又、着色樹脂微粒子の粒子径が揃っているためにインクジェットインクとして用いた場合には、インクジェット装置内での目詰まりが少なく、吐出性が非常に良好になる。上記範囲内の平均粒子径をもつ着色樹脂微粒子を形成させるためには、第一の転相乳化処理後の顔料粒子の平均粒子径が200nm以下であることが好ましく、更には100nm以下であることが好ましい。
本発明にかかる着色樹脂微粒子の製造方法は、上記のようにして得られた着色樹脂微粒子水分散体の調製液から、有機溶媒のみを除去する工程を含む。有機溶媒を除去する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、蒸留や水蒸気蒸留等の方法が挙げられる。蒸留の際には、着色樹脂微粒子の分散安定性を保つために必要に応じて水を添加していくこともできる。除去する有機溶媒の量は、必要に応じて適宜に決定すればよい。即ち、除去にあたっては、必ずしも全ての有機溶媒を完全に除去する必要はなく、最終的に得られる着色樹脂微粒子水分散体中に有機溶媒が一部残存していてもよい。有機溶媒の残存量としては、使用した有機溶媒の安全性と、有機溶媒が残存することによる着色樹脂微粒子の保存安定性への影響の観点から、適宜決定される。
本発明にかかる製造方法によって製造される着色樹脂微粒子は、耐水性が良好で且つこれを用いて得られる画像の耐候性や耐擦過性は良好であり、又、分散安定性に優れることから、各種記録用インクとして好適に用いることができる。特に、水への分散性が良好であることから、水性インクジェット記録用インクとして好適に用いられる。
本発明にかかる製造方法によって得られる着色樹脂微粒子水分散体を用いてなるインクとしては、着色樹脂微粒子が水性媒体に分散状態を保持して構成される。その際に使用する水性媒体としては、少なくとも水を含むものであることが好ましい。インク全質量に占める水の割合としては、例えば、20質量%以上95質量%以下、特に40質量%以上95質量%以下、更には60質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
又、水性媒体には、水溶性有機溶媒を含有させてもよい。水溶性有機溶媒の含有量は、インク全質量の2%以上60%以下が好ましい。具体的に使用する水溶性有機溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1から4のアルキルアルコール類、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、
アセトン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2から6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、
グリセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、
N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環状アミド化合物、
スクシンイミド等のイミド化合物等
本発明にかかるインクは、熱的エネルギー或いは機械的エネルギーによって記録ヘッドからインクを吐出させ被記録媒体に付着させて画像を記録するインクジェット記録方法に好適に用いられる。そして、インクジェット記録用途に特に適したものとするためには、下記の物性を有することが好ましい。25℃におけるインク物性として、表面張力が15dyn/cm(mN/m)以上60dyn/cm(mN/m)以下、更には20dyn/cm(mN/m)以上50dyn/cm(mN/m)以下、粘度を15cP(mPa・s)以下、特には10cP(mPa・s)以下にすることが好ましい。又、pHの範囲としては、3乃至11が好ましく、更に好適な範囲は3.5乃至10である。
上記した特性を達成し得る具体的なインク組成としては、例えば、後述する実施例に用いた各種インクを挙げることができる。尚、本態様にかかるインクには、前記したようにして得られた着色樹脂微粒子水分散体、上記に挙げた水性媒体の他に、界面活性剤、pH調整剤、防黴剤、等各種の添加剤を添加してもよい。
本発明にかかるインクは、圧電素子を用いたピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーを作用させて発泡し記録を行う熱インクジェット方式に用いることができるが、後者のインクジェット記録方式にとりわけ好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、以下の記載において、「部」又は「%」とあるものは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
先ず、シアン色の銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、東洋インキ製)0.7グラムを、テトラヒドロフラン6.2グラムに十分湿潤させ、顔料分散溶液を調製した。次に、Aブロックとして、イソブチルビニルエーテルとCH2=CHOCH2CH2OPhPh(IBVE−r−VEEtPhPHと略)からなるセグメントと、Bブロックとして、2−(2−メトキシエチル)エチルビニルエーテルからなるセグメントと、Cブロックとして、4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチルからなるセグメントであって、一部がフリーのカルボン酸になったトリブロックポリマー(Mn=21,700、Mw/Mn=1.23、重合比は、A:B:C=100:45:17、Aブロック内の2種のモノマーの重合比は1:1)1グラムを、テトラヒドロフラン5.6グラムに溶解した溶液を調製した。そして、このブロックポリマーが混合された溶液を、先に調製した顔料分散溶液中に徐々に加え、混合、均一化させた。
次いで、上記で得られた調製液に対し撹拌下で、上記ブロックポリマーの酸価相当量のKOH水溶液をゆっくり添加していった。更に純水を、水のトータル量が11グラムになるまでゆっくり撹拌下で加え、第一段階の転相乳化処理を実施した。そして、更にこの系に純水を12.6グラム追加した後、得られた調製液を衝突型分散機である「ナノマイザー」(吉田機械興業製)に100パスかけ、第二段階の微分散処理と再カプセル化処理を行った。次いで、この系からテトラヒドロフランのみをエバポレーターにより除去し、フィルターにて異物を除去して、顔料が微分散された着色樹脂微粒子水分散体を得た。得られた分散体の平均粒子径は98nmであり、シャープな粒度分布を示し、非常に微分散化されたものであった。
更に、上記で得られた着色樹脂微粒子水分散体を用い、グリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン及び純水をそれぞれ所定の配合量添加し、インクを調製した。得られたインクは、顔料の平均粒子径が92nmであり、シャープな分布を示し、非常に微分散された発色性のよいインクであった。このインクは、60℃で3ヶ月保存しても粘度、粒子径、pH、表面張力にほとんど変化がなく、安定な分散状態が形成されていることが判った。
[実施例2]
実施例1において行った第二段階の微分散処理と再カプセル化処理に代えて、0.05mmのジルコニアビーズを用いたビーズミルで処理を行う以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂微粒子水分散体及びこれを用いたインクを調製した。得られた分散体の平均粒子径は、78nmでシャープな分布を示し、非常に微分散化されたものであった。又、得られたインクにおいても顔料の粒子径が70nmで、シャープな粒度分布を示し、非常に微分散された発色性のよいインクが得られた。又、このインクは、60℃で3ヶ月保存しても粘度、粒子径、pH、表面張力にほとんど変化がなく、安定な分散状態が形成されていることが判った。
[比較例1]
実施例1において行った第二段階の微分散処理と再カプセル化処理を行わない以外は実施例1と同様にして、着色樹脂微粒子水分散体と、それを用いたインクを調製した。得られた分散体の平均粒子径は150nm、インクでは142nmであり、ともにややブロードな分布を持つものであった。又、インクの発色性は、ややくすんだ状態で、良好な画像を得ることができなかった。更に実施例1と同様の保存を行うと、時間と共に粘度の増加と、粒子径の増大が認められた。
[比較例2]
実施例1において行った第二段階の微分散処理と再カプセル化処理を、スターラー撹拌程度の処理に代えた以外は実施例1と同様に処理を行い、着色樹脂微粒子水分散体とそれを用いたインクを調製した。得られた分散体の平均粒子径は145nm、インクでは140nmであり、ともにややブロードな分布を持つものであった。又、インクの発色性はややくすんだ状態で、良好な画像を得ることができなかった。更に、実施例1と同様の保存を行うと、時間と共に粘度の増加と粒子径の増大が認められた。

Claims (3)

  1. 顔料表面をポリマーにてマイクロカプセル化し、水中に分散安定化してなる分散体の製造方法において、少なくとも以下の(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法。
    (1)有機溶媒中で顔料を微粒化、表面湿潤化処理し、該顔料が含有された有機溶媒中に、別に調製した溶解処理されたカプセル化用ブロックポリマーが混合されてなる溶液を加え、次いで、上記ポリマーの酸価相当量のアルカリ水溶液を加え、上記有機溶媒量よりも少ない水分量の条件下で一旦転相乳化によって顔料表面を上記ポリマーにてマイクロカプセル化する工程
    (2)更に、上記(1)の工程で得られた調製液に上記有機溶媒量を超える量まで水を後添加した上で機械的分散処理を施し、顔料の更なる微分散化と同時に、その再カプセル化を行う工程
    (3)上記(2)の工程で得られた調製液より有機溶媒のみを除去することにより、顔料微粒子が分散安定化してなる水系分散体を得る工程
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体の製造方法によって得られたものであることを特徴とするインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体。
  3. 請求項2に記載のインクジェット記録用着色樹脂微粒子水分散体を含んでいることを特徴とするインクジェット記録用インク。
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