JP2007161834A - 魚介類由来のリン脂質の高流動性粉体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動性が良好で水産物特有の臭いが弱く、水に容易に分散可能で、分散させた場合、酸価の上昇が比較的遅い魚介類由来のリン脂質の高流動性粉体組成物を提供すること。
【解決手段】
魚介類由来のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体を20〜90質量%、αおよび/またはγ―シクロデキストリンが1〜50質量%含まれるデンプン分解物を10〜80質量%含み、25℃における揮発成分が1.0ppm以下であることを特徴とする高流動性粉体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は流動性が良く、魚臭が少なく安定性に優れた魚介類由来のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体を含む高流動性粉体組成物に関する。
ジグリセリド−3−リン酸(ホスファチジン酸)及びその誘導体とは、具体的なものとしては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルーN−メチルエタノールアミン、ホスファチジルーN,N−ジメチルエタノールアミン、カルジオリピン及びこれらの成分のリゾ体やプラズマローゲン体が挙げられる。一般的にはリン脂質とはより広義な意味ではあるが、本発明では、上記のようなジグリセリド−3−リン酸(ホスファチジン酸)及びその誘導体を、リン脂質と呼ぶこととする。
魚介類の持つリン脂質は構成脂肪酸として多価不飽和脂肪酸の含量が多く、また、神経細胞の抗アポトーシス要因であると言われているプラズマローゲン型リン脂質の含量も多いため、さまざまな生理活性作用が期待されている。しかし、魚介類由来のリン脂質はその構成脂肪酸の不飽和度が高いことに由来して、該脂肪酸の不飽和度が低い卵黄由来のリン脂質(卵黄レシチン)や大豆由来のリン脂質(大豆レシチン)に比較してベトツキが強く、流動性が悪いという欠点がある。それらを解決する方法として、発明者らは、ハンドリング性の良好な高度不飽和脂肪酸含有リン脂質(特許文献1)を開発した。該方法により流動性および水分散性の良好な多価不飽和脂肪酸含有リン脂質の粉体組成物が得られている。
しかし、該方法で得られた魚介類由来のリン脂質の粉体組成物は、水産物特有の臭いが強いという問題があった。また、水に分散させた場合、冷蔵保存であれば安定であるが、室温以上で保存した場合、加水分解を起こしやすいという問題もあった。そこで、水産物特有の臭いが弱く、流動性がよく、さらに水へ分散させた場合に加水分解がより起こりにくい魚介類由来のリン脂質の粉体組成物が強く望まれている。
一般的に油脂類の粉末化はデキストリンやガゼインなどを添加してスプレードライヤーなどで乾燥する。例えば、特許文献2では卵黄レシチンの粉末化について報告されている。該公報では卵黄レシチンに、デキストリン又は乳糖からなる賦形剤とガゼイン、ガゼインナトリウム等からなる乳化促進剤とを添加した粉末卵黄レシチンについて述べられている。しかし、該特許文献でも記載されているように大豆レシチンと卵黄レシチンとでは粉末化に必要な技術要件は異なる。同様に卵黄レシチンと魚介類由来のリン脂質とでは性質が大きく異なるため、該技術をそのまま魚介類由来のリン脂質に用いることはできない。また、ガゼインやガゼインナトリウムはアレルギー性を指摘されているたんぱく質であり、可能であるなら使用しない方が好ましい。さらに重要なことは該技術では水産物特有の臭いが強いという問題点は解決できないということ、該粉体を水に分散させた場合に酸価上昇を起こしやすいという点である。
特許文献3ではω―3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールをγ―シクロデキストリンに包接させることにより酸化分解に対して安定化することを開示している。該特許文献のアシルグリセロールとはモノアシル、ジアシル、トリアシルまたはアルキル変性グリセロール、グリセロール1リン酸であると述べている。しかし、詳細な記載を見るとモノアシル、ジアシル、トリアシルについてのみ述べており、グリセロール1リン酸は単に羅列されたものに過ぎない。そのことは、実施例が全てアシルグリセロール溶液となっていることから明らかである。つまりモノアシル、ジアシル、トリアシルは液状であるが、リン脂質は高純度では固形状であり、ヘキサンなどの有機溶媒に溶解しない限り溶液と呼べる状態には成り得ない。さらに該特許文献でヘキサン等の有機溶媒を使うという記載もない。すなわち、リン脂質は該発明には該当しないものである。そもそも、構造も性質も違うリン脂質をモノアシルやジアシルのようなアシルグリセロールの技術にそのまま当てはめることは到底出来ないものである。特に、一般的な魚油の主成分であるトリアシルグリセロールは中性脂質であり、水と混合しても容易に分離してしまうのに対し、リン脂質は極性脂質であるため、水に均一に分散可能である。つまり、水分散状態での安定性は水に分散可能なリン脂質特有の問題であり、その点に関して該特許文献は一切述べていない。また、特に重要な事実として、該特許文献は酸化安定性について述べているが、リン脂質の構成成分としてDHAが存在している場合には、脂肪酸型のDHAやDHAのトリグリセライドに比較して、酸化に対して安定(非特許文献1参照)であるという事実である。本発明者も魚介類由来のリン脂質の酸化安定性についてのデータを取得しているが、一般的に酸化防止剤として用いられるビタミンEの添加のみで酸化に対して極めて安定であった。すなわち、該特許文献の効果である酸化に対する安定化はリン脂質においては格段に求められるものではない。また、得られる粉体に関する特性については全く述べられていない。
同じく、特許文献4でもγ―シクロデキストリンとポリ不飽和脂肪酸のエステル及びトリグリセリドから選択される少なくとも一つとの複合体について述べている。しかし、該特許文献は水性溶液に出来ることを効果として述べているが、トリグリセリドとは違い、リン脂質は、例えば大豆や卵黄のリン脂質(レシチン)が天然乳化剤として使用されることから明らかなように、そのままでも水に分散可能である。また、γ―シクロデキストリンと本発明の魚介類由来のリン脂質をモル比で3:1で混合しても、溶液とはならずにエマルションのままであったことから、魚介類由来のリン脂質に対しては該特許文献の技術内容は全く該当しないと言える。すなわち、使用している物が全く違うと言える。
また、上記2つの特許はγ―シクロデキストリンを単独で用いたものであるが、本発明はシクロデキストリン混合物であることに特徴があり、上記2つの特許とは構成が異なったものである。
シクロデキストリン混合物を用いる例としては特許文献5が開示されている。しかし、該技術はDHAやEPAなどの脂肪酸を安定化するためにリン脂質を添加するというものであって、リン脂質そのものの安定性に関する本発明とは、全く思想の違ったものである。脂肪酸としてのDHAやEPA、トリグリセライドなどとリン脂質とは全く性質の違ったものであることは前述した通りである。
以上のように、従来技術ではDHAやEPAのような多価不飽和脂肪酸の酸化安定性や魚臭抑制の効果について述べている。しかし、前述のように脂肪酸やグリセリドでは水に分散が困難であるため、リン脂質特有の問題点となる水分散液の酸価の上昇に関しての知見は全く述べられていない。さらに、粉体特性に関する知見はなく、高流動性のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体の粉末組成物は全く知られていない。
すなわち、従来の技術では流動性が良く水産物特有の臭いが弱く、さらに水に容易に分散可能で、分散させた場合の酸価上昇が比較的遅い、魚介類由来のリン脂質の粉体組成物は得られていない。
特開2005―154422号公報 特公平7−100001号公報 特開2000−313897号公報 特表2002―539138号公報 FR―A1―2547829号公報 矢澤一良、ファルマシア 31、42(1995)
本発明は、流動性が良好で、水産物特有の臭いが弱く、水に容易に分散可能で、分散させた場合、酸価の上昇が比較的遅い魚介類由来のリン脂質の高流動性粉体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体にαおよび/またはγ−シクロデキストリンを含んだデンプン加水分解物を加えることにより、流動性が大幅に向上し、水産物特有の臭いを抑制するだけではなく、驚くべきことに酸価の上昇までも抑制することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)魚介類由来のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体を20〜90質量%、αおよび/またはγ―シクロデキストリンが1〜50質量%含まれるデンプン分解物を10〜80質量%含み、25℃における揮発成分が1.0ppm以下であることを特徴とする高流動性粉体組成物である。
(2)pH3.1の緩衝液に前記高流動性粉体組成物を4質量%で分散させ、121℃で20分処理した場合の酸価の上昇が20以下である前記(1)に記載の高流動性粉体組成物である。
(3)前記魚介類由来のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体がホタテのウロから抽出したものであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の高流動性粉体組成物である。
(4)嵩密度が0.7g/cm以下で、かつ平均粒径が50〜800μmで、かつ安息角が60℃以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一に記載の高流動性粉体組成物である。
本発明は、流動性が良好で、水産物特有の臭いが弱く、水に容易に分散可能で、分散させた場合に加水分解が比較的遅いため安定で、酸価の上昇が遅い魚介類由来のリン脂質の高流動性粉体組成物を提供できる。
一般的に言うリン脂質とは、リン酸を構成要素として含有する脂質であって、(A)ジグリセリド−3−リン酸(ホスファチジン酸)及びその誘導体;(B)セラミド−1−リン酸(セラミドリン酸)及びその誘導体が挙げられる。(A)に該当する具体的なものとしては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルーN−メチルエタノールアミン、ホスファチジルーN,N−ジメチルエタノールアミン、カルジオリピン及びこれらの成分のリゾ体やプラズマローゲン体が挙げられる。(B)に該当する具体的なものとしては、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等が挙げられる。
本発明の言う魚介類由来のリン脂質とは、魚介類から溶媒などを用いて抽出した上記の(A)のリン脂質の単独もしくは複数を含んだ組成物のことをいう。また、魚介類から抽出したリン脂質に、例えば大豆や卵黄などから抽出したリン脂質を混合してリン脂質組成物とした場合、粉体全体として魚介類由来のリン脂質を20〜90質量%含んでいれば、本発明の粉体組成物である。この場合、より生理活性が期待できるという点で、リン脂質組成物中に魚介類由来のリン脂質が50質量%以上であることが好ましい。もちろん(B)に該当するリン脂質が含まれていて構わない。(A)と(B)の比率は重量比で100:0〜1:99が好ましい。
ここでいう魚介類とは例えば、サバ、カツオ、イワシ、サメ、ヒラメ、カレイ、スズキ、マグロ、タイ、サケ、タラ、マス、ハマチ、アジ、カンパチ、ホッケ、サンマなどの魚類やイカ、タコなどの頭足類、ハマグリ、ホタテ、アサリ、カキ、アカガイ、サザエ、アワビなどの貝類が挙げられる。また、イクラやカズノコ、キャビアなどの魚卵も含まれる。その他にウニ、ナマコ、ヒトデ、クラゲなども挙げることが出来る。これらの一つもしくは複数の単体全体や、頭部、内臓、皮などの一部でも良い。これらの原料は生であっても一度、茹でたものでも、その混合でも構わないが、茹でたものの方が雑菌の混入や腐敗が起こりにくく、身が引き締まって重量当たりの抽出量が増すために好ましい。
ホタテ貝のウロは大量に廃棄されており、安価に大量に入手できることから本発明の原料として好ましい。好ましい理由は以下のとおりである。ホタテのウロはカドミウムのような重金属を高濃度で含んでおり、その廃棄が問題となっている。そのため、ホタテの漁獲量の多い、北海道では様々なカドミウム除去法が検討されている。実プラントスケールでは、希硫酸浸漬―電解法によるカドミウム除去が行なわれているが、様々なトラブルが生じ稼働率が低いというのが現状である。そのトラブルの大きな原因の一つとして、ウロに含まれる脂質成分の電解時での電極への付着などがある。本発明で下記に示すような抽出を行なうと、抽出成分にはほとんどカドミウムは含まれずに、脂質成分が除去された抽出残渣を得られる。このことにより、ホタテのウロを原料とすることにより、廃棄されていた有用成分の利用が可能であるのに加えて、ホタテのウロの脱カドミウム処理がより効率的に行なえるようになる。脱カドミウムを行なったホタテのウロはタンパク質を豊富に含み飼料や肥料へと利用可能である。以上のように、本発明においてホタテのウロを原料として利用することは地球環境や資源リサイクルの面からみて非常に有用であり好ましい。
ウロとは、ホタテ貝の貝柱以外の軟体部全体を広義のウロ、中腸腺のみを狭義のウロといい、単純にウロと言った場合、どちらを指すかは必ずしも明確ではない。本発明では広義のウロでも狭義のウロでも、その混合物であっても構わない。魚介類からリン脂質を抽出する方法も一般的な方法を用いれば良い。例えば、マグロをはじめとするカツオ、アジ、サバ、イワシ等青背の魚の頭部、腹部、内臓各部或いは全体から抽出する方法(特開昭64−50890号公報;特公平6−77505号公報)や、イカの皮から抽出する方法(特開平6−321970号公報;特開平7−68157号公報;特開平9−77782号公報)、イカミールから抽出する方法(特開2000−60432号公報)などが報告されている。また、ホタテ貝のウロなどの天然物を乾燥しないで抽出する方法(特開2005−179340号公報)も報告されている。例えば、ホタテ貝の広義ウロから抽出したリン脂質はグリセロリン脂質が主成分であり、該リン脂質のリン脂質組成はホスファチジルコリンが20〜60質量%、ホスファチジルエタノールアミンが15〜45質量%、その他、ホスファチジルセリンやホスファチジルイノシトールが1〜20質量%である。また、プラズマローゲン型のリン脂質も1〜50質量%程度含まれている。これらのリン脂質組成については特に制限はない。例えば、魚介類から抽出したリン脂質混合物を精製してホスファチジルコリンやホスファチジルセリンのみとしたものも本発明のリン脂質である。また、プラズマローゲン型のリン脂質のみとした場合も同様である。本発明のリン脂質の構成成分である脂肪酸組成についても、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アラキドン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸など様々な脂肪酸が存在し、その脂肪酸組成も季節変動により若干の変化があるが特に制限はない。例えば、ホタテ貝の内臓から抽出したリン脂質には、全脂肪組成中にドコサヘキサエン酸が15〜30質量%、エイコサペンタエン酸が10〜30質量%含まれる。前述のように、本発明においてリン脂質組成や脂肪酸組成に関しては特に制限はないが、生理活性作用が期待できると言う点においてリン脂質の構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸などのω3系多価不飽和脂肪酸の割合が、リン脂質の構成脂肪酸中に20質量%以上あることが好ましい。
また、抽出によって得られるリン脂質組成物中にリン脂質以外の成分が含まれていても構わない。含まれる成分としては、例えば、糖脂質やカロチノイド系の色素、コレステロール、脂溶性ビタミン類、脂肪酸、モノアシルグリセライド、ジアシルグリセライド、トリアシルグリセライド(中性脂質)、セラミド−1−リン酸(セラミドリン酸)及びその誘導体などが挙げられる。
本発明のリン脂質中のアセトン不溶物は90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは92質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。上限はアセトン不溶物が100質量%であるが、測定法の誤差や特性により、現実的に得られる数字は高くとも98質量%となることが通常である。アセトンによる分別が不充分であると、べとつきが強くなり、高流動性粉体組成物とすることが困難になるため、好ましくない。
本発明の高流動性粉体組成物は、魚介類由来のリン脂質を20〜90質量%含む。好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。リン脂質の量が20質量%以下では、リン脂質の生理活性効果が得られにくく、90質量%を超えると高流動性になりにくくなるため好ましくない。
また、αおよび/またはγ―シクロデキストリンを1〜50質量%含むデンプン分解物を10〜80質量%含む。好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。デンプン分解物が10質量%未満では高流動性粉体組成物とすることが困難であり、80質量%を超えると、リン脂質の生理活性を得られにくくなるために好ましくない。魚臭抑制効果および安定性が高まるため、αおよび/またはγ―シクロデキストリンはデンプン分解物の固形分中に1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上含んでいることが望ましい。
シクロデキストリンとは、環状オリゴ糖であり、グルコースがα−1,4結合で環状に連なった化合物で、グルコースが6、7、8個環状に結合したものを、それぞれα−、β−、γ−シクロデキストリンという。シクロデキストリンはα、γのどちらか一方のみでも構わないが、α、β、γの中から選ばれた少なくとも2つ以上のシクロデキストリン混合物を用いると、驚くべきことに、単独で用いた場合に比べて顕著に流動性の向上が見られるので特に好ましい。すなわち、デンプン分解物中に単一のシクロデキストリンが50質量%を超えると、流動性が悪化する場合があるため、本発明では、αおよび/またはγ―シクロデキストリンはデンプン分解物中に50質量%以下が好ましい。もちろん、シクロデキストリンとして天然型のシクロデキストリンだけではなく、シクロデキストリンの化学修飾体を用いても構わない。化学修飾体としては、例えば、メチル化、ヒドロキシプロピル化、アセチル化、モノクロロトリアジノ化物などが挙げられる。
ここでいうデンプン分解物とはD(+)−グルコピラノース単位がα―1,4−結合したものをいい、例えば、マルト−ス、マルトトリオース、マルトテトラオースや、それ以上の重合度を持ったオリゴ糖、デキストリンの一種類もしくは複数の混合物のことを言う。また、デンプンが完全に分解したグルコースを含んでいても構わない。シクロデキストリンもデンプン分解物に含まれる。
本発明のシクロデキストリンを含むデンプン分解物は、例えば馬鈴薯デンプンやトウモロコシのデンプンにBacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属などの細菌から抽出したシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼのような酵素を作用させることによって得られる。また、一般的に用いられているデキストリンに高純度のシクロデキストリンを混合して調製しても良い。但し、シクロデキストリン以外のデンプン分解物は若干の甘味を有するため、用途によって好ましくないことがある。この場合、複数のシクロデキストリンを混合すると良いが、プロセスやコスト等の都合により混合することが困難な場合、若干の流動性の悪化は起こり得るが、αまたはγ―シクロデキストリンのみを用いても良い。
本発明の高流動性粉体組成物はビタミンEを0.1ppm〜2.0質量%含むことが好ましい。より好ましくは1ppm〜1.0質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。本発明でいうビタミンEはα型、β型、γ型、δ型のいずれかの型のトコフェロール、トコトリエノール、これらのコハク酸や酢酸誘導体など生理学的に許される誘導体のことをいう。これらのうちの単独であっても良いし、複数であっても良い。天然品でも合成品でも、その混合物でも構わない。ビタミンEは酸化防止剤としての役割を果たす。
本発明の高流動性粉体組成物の水分散性を高めるために嵩密度は0.7g/cm以下が好ましい。より好ましくは0.5g/cm以下であり、最も好ましくは0.4g/cm以下である。粉体流動性に優れたリン脂質粉末の嵩密度の下限としては0.05g/cmである。
また、粉体混合を行った際の混合均一性を高めるために安息角は60°以下であることが好ましい。さらに好ましくは55°以下であり、最も好ましくは50°以下である。その下限には特に制限はないが、簡便な操作で得られる範囲としては10°以上である。
また、高流動性粉体組成物の粒径は水分散性を高めるために平均粒径が50〜800μmであることが好ましい。より好ましくは50〜700μm、より好ましくは100〜500μmである。また、乳鉢やパワーミル、ハンマーミル、ジェットミル、スクリーンミル、フラッシュミルなどを用いた一般的な粉砕方法で上記範囲にまで粉砕可能な塊状物や、造粒品も本発明に含まれる。ここでいう平均粒子経は、ロータップ式篩振とう器(平工作所(株)製 商品名シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(品番号 Z8801−1987)を用いて、試料10gを20分間篩分することにより質量頻度粒度分布を測定し、累積質量50%の粒子径として表したものである。
本発明の高流動性粉体組成物は、魚介類由来のリン脂質を含んでいるにも関わらず、魚臭が抑制されているという効果もある。魚臭の原因となる物質全てを完全に定性・定量することは困難であるが、対象となる固形物質の揮発成分をガスクロマトグラフィーで分析することにより、大まかな判断は可能である。本発明の高流動性粉体組成物における魚臭の原因となる揮発成分は25℃で1.0ppm以下であることが好ましい。1.0ppmであれば、官能的にも魚臭を強く感じることは少ないからである。より好ましくは0.5ppm以下、さらに好ましくは0.3ppm以下、最も好ましくは0.1ppm以下である。下限には特に制限はないが、通常、測定可能な限界濃度として考えると1ppb以上である。
魚臭の原因となる揮発成分としては、揮発性含硫黄化合物、アミン、ケトン、炭水化物などが挙げられる。具体的には、アセトアルデヒド、プロパノール、2−プロパノン、2−プロペナール、ブタナール、酢酸エチル、2メチルブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、2−ヘキサナール、ベンズアルデヒド、ブタン酸、酢酸、プロパン酸などが例示できる。本発明で魚臭の原因となる揮発成分以外の揮発成分として、例えば抽出や精製に用いた溶媒が挙げられる。例えば、エタノールで抽出および/または精製をした場合、エタノールを除いた他の成分が、本発明でいう揮発成分である。また、マスキング剤や香料などを混ぜた場合に、そのマスキング剤/香料由来の揮発成分も、本発明の揮発成分とはならない。マスキング剤/香料由来以外の揮発成分が1.0ppmであれば良い。マスキング剤/香料としては例えば、ジンジャーオイル、オレンジオイル、レモンオイル、糖蜜フレーバーなどが挙げられる。
本発明のような、平均粒径と嵩密度を持ち、魚臭が少ない魚介類由来リン脂質の高流動性粉体組成物は、これまでに報告されていないものである。
また、リン脂質はDHAやEPAとは違い、水分散液では加水分解を起こし、酸価が上昇してしまうという欠点がある。特に、高pHや低pHでは、顕著である。
本発明の高流動性粉体組成物を水へ分散させた場合の酸価の上昇は、リン脂質そのものを分散させた場合よりも抑制されうることが本発明の重要な効果の一つである。例えば、pH3.1の緩衝液に粉体中のリン脂質が4質量%になるように分散させ、121℃で20分処理した場合の酸価の上昇は20以下であることが好ましい。より好ましくは10以下である。下限に関しては、酸価上昇が完全に抑制できた場合の0であるが、酸価の測定は滴定で行なうため、測定誤差があるのが普通である。そのため、場合によっては酸価の上昇はマイナスということも有り得る。このことから、測定誤差も考慮し、酸価上昇の下限は−1である。理論的にはマイナスとなることは有り得ないが、測定による誤差±1は起こり得るためである。
本発明の高流動性粉体組成物は例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ピル、液剤、アンプル剤、注射剤などの薬剤の形態だけではなく、一般食品に添加しての利用も可能である。例えば、緑茶飲料、紅茶飲料、半発酵茶飲料(ウーロン茶など)、清涼飲料水、スポーツドリンク、野菜ジュース、ドリンク剤、牛乳などの乳飲料、アルコール飲料などのような飲料や、ゼリー状食品、サプリメント剤、パン、ラーメン、うどん、そば、プリン、ゼリー、ヨーグルト、味噌汁、スープ、スナック菓子、ケーキ、饅頭、羊羹、ういろう、おにぎり、ガム、キャンディー、キャラメル、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット、マヨネーズ、マーガリン、ソース、ふりかけ、調味料などに用いることが出来る。特に緑茶飲料は抗酸化作用のあるカテキンが含有されるため、最も好ましい用途の一つである。また、アイスクリームや乳飲料はその保存が冷凍もしくは冷蔵であるため、安定性をより確保できるために特に好ましい。
本発明の成分は人体にとって極めて有用な成分であるため嚥下障害をもつ人のための流動食への添加や、宇宙食への添加など、脂質成分の栄養補助として加えることも出来る。また、製剤化、食品化の手法においては、それぞれの形態の製造上許容しうる希釈剤などの他の成分が一つ、もしくは複数含まれる混合物として含有されても構わない。他の成分としては、例えば、セルロース、キシラン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、β―グルカン、アラビノキシラン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、イヌリンのような多糖類やキシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、セロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノース、乳果オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、大豆オリゴ糖、寒天オリゴ糖などのオリゴ糖、ビタミンCやその誘導体、カテキン(茶抽出物)、アスタキサンチン、ローズマリー抽出物といった抗酸化剤、コエンザイムQ10、α―リポ酸、オクタコサノール、ピルビン酸、グルクロノラクトン、グルコン酸およびその誘導体、L−カルニチン、L−オルニチン、セラミド、γ―アミノ酪酸(ギャバ)、大豆イソフラボン、サポニン、アントシアニン、タウリン、β―カロチン、β―カロテン、グルタチオンのような他の生理活性物質や、増量剤、結合剤、潤滑剤、増粘剤、崩壊剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、矯味剤、矯臭剤、香料、保存剤などが考えられるが、これらに限定されるものではない。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の例によって何ら制限されるものではない。
使用した魚介類由来のリン脂質は次のように取得した。すなわち、ボイルしたホタテのウロ(広義ウロ、オホーツク海産、水分75%)100kgにエタノールを80kg、ヘキサンを25kg加えて40℃で1時間、200rpmで攪拌した。攪拌を止めて5分間静置してヘキサン相を抜き出した。水相と残渣が残った容器に新しくヘキサン25kgを加えて同様の抽出、静置の操作を行った後、ヘキサン相を抜き取った。二つのヘキサン相を混合して減圧してヘキサンを留去し粗抽出油7.0kgを得た。この抽出粗油を再びヘキサン18kgに溶解し、アセトン20kg、3%クエン酸ナトリウム水溶液18kgを加えて有機相を水洗した。有機相を抜き出し、ヘキサンを留去して抽出油6.2kgを得た。抽出油にアセトン60kgを加えて、十分攪拌した後、5℃で1時間静置した。アセトンを抜き出し、沈殿を冷アセトン6kgで2回洗浄した。沈殿をヘキサン3Lに溶かし、イーミックスD(商品名;エーザイフード・ケミカル株式会社製、天然ビタミンE)を3.6g加えて、十分に攪拌後、真空乾燥して、ホタテ由来のリン脂質を1.2kg得た。このリン脂質(油性成分)中のアセトン不溶物を測定したところ92質量%であった。
また、各種分析は下記の分析方法に従って行なった。
[アセトン不溶物]
基準油脂分析法4.3.1(日本油化学会編)の方法に従って分析した。
[酸価の測定]
基準油脂分析試験法2.3.1(日本油化学会編)の方法に従って分析した。
[揮発成分の分析]
30mlのサンプル瓶にリン脂質が0.5gになるようにサンプルを測りとった。(すなわち、リン脂質が50質量%の粉末ならば1g測り取る。)サンプル瓶の口をシーリングフィルムで完全に塞ぎ、25℃で15分放置した。放置後、シーリングフィルムを付けたまま、5mlのシリンジの針を刺し込み、直ちに気相部を5ml採取しガスクロマトグラフィー(以下、GCと記す)にて分析した。揮発成分定量の標品にはアセトンを使用した。
[GC条件]
装置:島津製作所 GC−18A、島津製作所クロマトパックCR−8A
カラム:GL−サイエンス社製 キャピラリーカラムTC−WAX
(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)
温度条件:カラム 40℃→100℃(3℃/分)
注入口 250℃、スプリットレス
検出器 250℃(FID)
注入量:5ml
[嵩密度の測定]
スコットボリュメーター(VWR SCIENTIFIC製)を用いて2回測定し、その平均値から嵩密度を求めた。
[安息角の測定]
杉原式動的安息角測定装置を用いて測定した。フィーダーはMICRO VIBRATING FEDER(筒井理科化学製)を用いた。フィーダーの振動速度の設定は、セオラスPH−301(商品名;旭化成ケミカルズ株式会社製、結晶セルロース)が8g/分で流れる設定とした。
[実施例1]
ホタテ由来のリン脂質6.0gに水21.0g、エタノール3.0gを加えて小型のホモジナイザーで十分に攪拌して均一なエマルションとした。シクロデキストリン含有デンプン分解物(シクロデキストリンを42.1質量%含む。α−シクロデキストリンは15質量%含む。)4.0gを水8.3gに均一に懸濁させ、上記のリン脂質エマルションに加え、均一になるまで十分に攪拌した。得られた組成物を−20℃で凍結し、凍結乾燥機で16時間乾燥し、家庭用ミキサーで粉砕した。得られた粉体組成物はリン脂質を60質量%、α―シクロデキストリンを15質量%含むデンプン分解物を40質量%、ビタミンEを0.18質量%含んでいた。得られた組成物の嵩密度は0.38g/cmであり、平均粒径は355μm、安息角は48°と流動性が極めて良好な高流動性粉体組成物であった。
この高流動性粉体組成物の臭いを30代〜50代の男女5人に嗅いでもらったところ、ホタテ由来のリン脂質そのものと比べて、魚臭が著しく弱いという評価であった。GCで揮発成分を測定したところ、揮発成分の合計は0.7ppmであった。
また、このようにして得られた高流動性粉体組成物と、比較のためのホタテ由来のリン脂質そのものを4質量%でpH3.1の緩衝液に分散し、121℃×20分間、オートクレーブで処理した。処理後の分散液からアセトンとヘキサンを用いてリン脂質を抽出し、酸価を測定した。その結果、リン脂質そのものでは酸価25.6も上昇したのに対し、本発明の高流動性粉体組成物では15.5上昇したのみであった。このことから、本発明の高流動性粉体組成物は水に分散させた場合、酸価の上昇が起こりにくいということが分かった。
[実施例2]
ホタテ由来のリン脂質10.0gに水35.1g、エタノール5.0gを加えて小型のホモジナイザーで十分に攪拌して均一なエマルションとした。シクロデキストリン含有デンプン分解物(固形分75.3%のシロップ。固形分中にシクロデキストリンを21.0質量%含む。γ−シクロデキストリンは8質量%。)8.9gを、上記のリン脂質エマルションに加え、均一になるまで十分に攪拌した。得られた組成物を−20℃で凍結し、凍結乾燥機で16時間乾燥し、家庭用ミキサーで粉砕した。得られた粉体組成物はリン脂質を60質量%、γ―シクロデキストリンを8質量%含むデンプン分解物を40質量%、ビタミンEを0.18質量%含んでいた。得られた粉体組成物の嵩密度は0.38g/cm、平均粒径は500μm、であり、安息角は49°と流動性が極めて良好な高流動性粉体組成物であった。
この高流動性粉体組成物の臭いを30代〜50代の男女5人に嗅いでもらったところ、5人中5人ともホタテ由来のリン脂質そのものと比べて、魚臭が著しく弱いという評価であった。GCで揮発成分を測定したところ、揮発成分の合計は0.1ppmであった。
また、このようにして得られた高流動性粉体組成物と、比較のためのホタテ由来のリン脂質そのものを4質量%でpH3.1の緩衝液に分散し、121℃×20分間、オートクレーブで処理した。処理後の分散液からアセトンとヘキサンを用いてリン脂質を抽出し、酸価を測定した。その結果、リン脂質そのものでは酸価24.8も上昇したのに対し、本発明の高流動性粉体組成物では13.7上昇したのみであった。このことから、本発明の高流動性粉体組成物は水に分散させた場合、酸価の上昇が起こりにくいということが分かった。
[比較例1]
ホタテ由来のリン脂質6.0gに水21.1g、エタノール3.0gを加えて小型のホモジナイザーで十分に攪拌して均一なエマルションとした。β−シクロデキストリン4.0gを水8.2gに均一に懸濁させ、上記のリン脂質エマルションに加え、均一になるまで十分に攪拌した。得られた組成物を−20℃で凍結し、凍結乾燥機で16時間乾燥し、家庭用ミキサーで粉砕した。得られた粉体組成物はリン脂質を60質量%、β―シクロデキストリンを40質量%、ビタミンEを0.18質量%含んでいた。得られた組成物の嵩密度は0.41g/cm、平均粒径は580μm、であり、安息角は50°と流動性はやや良好な粉末であった。
この粉体組成物の臭いを30代〜50代の男女5人に嗅いでもらったところ、ホタテ由来のリン脂質そのものと比べて、5人中5人が魚臭は若干、弱いと評価した。しかし、5人中4人が実施例1や2の粉末よりも魚臭が強いと言う評価であった。GCで揮発成分を測定したところ、揮発成分の合計は0.35ppmであり、官能評価とは一致しなかった。
また、このようにして得られた流動性粉体組成物と、比較のためのホタテ由来のリン脂質そのものを4質量%でpH3.1の緩衝液に分散し、121℃×20分間、オートクレーブで処理した。処理後の分散液からアセトンとヘキサンを用いてリン脂質を抽出し、酸価を測定した。その結果、リン脂質そのものでは酸価24.8上昇し、比較例1の流動性粉体組成物も21.7上昇し、リン脂質そのものとほとんど変わりがなかった。該流動性粉体組成物はαおよび/またはγ―シクロデキストリンの含量が本発明の範囲内にないため、酸価上昇抑制の効果は得られなかった。
[比較例2]
ホタテ由来のリン脂質5.0gに水17.5g、エタノール2.5gを加えて小型のホモジナイザーで十分に攪拌して均一なエマルションとした。マルトデキストリン5.0gを水10.0gに溶解し、上記のリン脂質エマルションに加え、均一になるまで十分に攪拌した。得られた組成物を−20℃で凍結し、凍結乾燥機で16時間乾燥し、家庭用ミキサーで粉砕した。得られた粉体組成物はリン脂質を50質量%、マルトデキストリンを50質量%、ビタミンEを0.18質量%含んでいた。得られた組成物の嵩密度は0.43g/cm、平均粒径は325μm、安息角は49°であり、流動性が良好な粉末であった。
この流動性粉体組成物の臭いを30代〜50代の男女5人に嗅いでもらったところ、ホタテ由来のリン脂質そのものと比べて、5人中5人が魚臭は若干、弱いと評価した。しかし、5人中5人とも、実施例1や2の粉末よりも魚臭が強いと言う評価であった。GCで揮発成分を測定したところ、揮発成分の合計は1.5ppmであった。
また、このようにして得られた流動性粉体組成物と、比較のためのホタテ由来のリン脂質を4質量%でpH3.1の緩衝液に分散し、121℃×20分間、オートクレーブで処理した。処理後の分散液からアセトンとヘキサンを用いてリン脂質を抽出し、酸価を測定して残存率を求めた。その結果、リン脂質そのものでは酸価22.8上昇し、比較例1の流動性粉体組成物も22.7上昇し、リン脂質そのものとほとんど変わりがなかった。該流動性粉体組成物はαおよび/またはγ―シクロデキストリンの含量が本発明の範囲内にないため、酸価上昇抑制の効果は得られなかった。
本発明の高流動性粉体組成物は流動性が良好で、水産物特有の臭いが弱く、水に分散させた場合に酸価の上昇が比較的緩やかであるため、健康食品などの分野で好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 魚介類由来のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体を20〜90質量%、αおよび/またはγ―シクロデキストリンが1〜50質量%含まれるデンプン分解物を10〜80質量%含み、25℃における揮発成分が1.0ppm以下であることを特徴とする高流動性粉体組成物。
  2. pH3.1の緩衝液に前記高流動性粉体組成物を4質量%で分散させ、121℃で20分処理した場合の酸価の上昇が20以下である請求項1に記載の高流動性粉体組成物。
  3. 前記魚介類由来のジグリセリド−3−リン酸及びその誘導体がホタテのウロから抽出したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高流動性粉体組成物。
  4. 嵩密度が0.7g/cm以下で、かつ平均粒径が50〜800μmで、かつ安息角が60°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の高流動性粉体組成物。
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