JP2007161831A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な保存安定性を有し、封止成形時において良好な流動性、硬化性を有し、かつ無鉛半田に対応する高温の半田処理によっても剥離やクラックが発生しない良好な耐半田性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)フェニルシラン化合物、及び(D)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物を含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。

Description

本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
IC、LSI等の半導体素子の封止方法として、エポキシ樹脂組成物の成形材料(以下、「エポキシ樹脂成形材料」ともいう。)による成形封止が低コスト、大量生産に適しており、採用されて久しく、信頼性の点でもエポキシ樹脂や硬化剤であるフェノール樹脂の改良により特性の向上が図られてきた。しかし、近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体の高集積化も年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。このため、従来からのエポキシ樹脂組成物では解決出来ない問題点も出てきている。
その最大の問題点は、表面実装の採用により半導体装置が半田浸漬或いは半田リフロー工程で急激に200℃以上の高温にさらされ、吸湿した水分が爆発的に気化する際の応力により、半導体装置内、特に半導体素子、リードフレーム、インナーリード上の金メッキや銀メッキ等の各種メッキされた各接合部分とエポキシ樹脂組成物の硬化物の界面で剥離が生じたりして、信頼性が著しく低下する現象である。また、環境問題に端を発した有鉛半田から無鉛半田への移行に伴い、半田処理時の温度が高くなり、半導体装置中に含まれる水分の気化によって発生する爆発的な応力による耐半田性が、従来以上に大きな問題となってきている。
半田処理による信頼性低下を改善するために、エポキシ樹脂組成物中の無機質充填材の充填量を増加させることで低吸湿化、高強度化、低熱膨張化を達成し耐半田性を向上させ、低溶融粘度の樹脂を使用して、成形時に低粘度で高流動性を維持させる手法がある(例えば、特許文献1参照。)。この手法を用いることにより耐半田性がかなり改良されるが、無機充填材の充填割合の増加と共に、流動性が犠牲になり、エポキシ樹脂成形材料がパッケージ内に十分に充填されず、空隙が生じやすくなる欠点があった。またメッキ部分とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面での剥離を防止する為、アミノシランやメルカプトシラン等の各種カップリング剤を添加して流動性と耐半田性の両立を図る手法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)が、この方法でも十分に良好な結果をもたらす半導体封止用エポキシ樹脂組成物は得られるには至っていない。このようなことから、無機充填材の配合量を高めても流動性及び充填性を損なわず、信頼性を満足させる更なる技術が求められていた。
特公平7−37041号公報(第1〜9頁) 特開平8−253555号公報(第2〜9頁)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な保存安定性を有し、封止成形時において良好な流動性、硬化性を有し、かつ無鉛半田に対応する高温の半田処理によっても剥離やクラックが発生しない良好な耐半田性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び信頼性に優れた半導体装置を提供することにある。
本発明は、
[1] (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物、及び(D)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物を含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
Figure 2007161831
(ただし、上記一般式(1)において、R1、R2は水素又は炭素数4以下の炭化水素基でそれらは互いに同じであっても異なっていても良く、R3は水素又は炭素数12以下の炭化水素基である。aは1以上5以下の整数、b、cは1以上3以下の整数である。)
[2] 前記(D)成分がベンゼン環又はナフタレン環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物である第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3] さらに硬化促進剤(E)を含むものである第[1]項又は第[2]項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[4] さらに無機質充填材(F)を含むものである第[1]項ないし第[3]項のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[5] 第[1]項ないし第[4]項のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物を混合及び/又は溶融混練してなる半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、
[6] 第[5]項に記載のエポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、
である。
本発明に従うと、良好な保存安定性を有し、半導体素子等の封止成形時において良好な流動性、硬化性を有し、かつ無鉛半田に対応する高温の半田処理によっても剥離やクラックが発生しない良好な耐半田性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物及び芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物を含むことにより、良好な保存安定性を有し、半導体素子等の封止成形時において良好な流動性、充填性を有し、かつ無鉛半田に対応する高温の半田処理によっても剥離やクラックが発生しない良好な耐半田性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるエポキシ樹脂(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。
本発明に用いる硬化剤(B)は、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、それらの具体例としては、例えばフェノール系樹脂、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物およびメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなどが挙げられこれらを単独で用いても、2種以上の硬化剤を併用しても良い。
これらの硬化剤の中でも特にフェノール系樹脂を用いることが好ましい。本発明に用いるフェノール系樹脂は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。
エポキシ樹脂と硬化剤であるフェノール系樹脂の配合割合としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数(Ep)と全フェノール系樹脂のフェノール性水酸基数(Ph)との比(Ep/Ph)が0.8以上、1.3以下であることが好ましい。上記範囲内であると、エポキシ樹脂成形材料の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低下、耐湿信頼性の低下等を引き起こす可能性が低い。
本発明においては、一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)と、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(D)(以下化合物(D)と称する)とを、併用することが必須である。一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)及び化合物(D)は、共に単独でもエポキシ樹脂成形材料の流動性と充填性を向上させる効果があるが、両者を併用するとその相乗効果により、顕著に流動性と充填性が向上する効果が得られる。即ち、比較的粘度の高い樹脂を用いた場合や無機充填材を高充填した場合などにおいては、一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)と、化合物(D)のどちらか一方だけを配合していても、流動性と充填性が十分でない場合があるところ、一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)と化合物(D)とを併用することにより、良好な流動性と充填性を得ることができるものである。また、一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)と化合物(D)とを併用すると、後述する硬化促進剤を用いた場合であっても、室温付近の比較的低温度域においては、硬化促進剤の活性を抑える作用があり、エポキシ樹脂成形材料が粉末のまま、又はタブレット化して保管される間の安定性(以下、「保存安定性」という)についても、大幅に向上させることができる。
本発明において用いられる一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられるが、式(1)の構造であれば特に限定するものではない。また、これらの化合物は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物(C)の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.03重量%以上、0.5重量%以下である。上記範囲内であると、化合物(D)との相乗効果により、エポキシ樹脂成形材料の流動性と充填性、並びに保存安定性を向上させることができる。
Figure 2007161831
(ただし、上記一般式(1)において、R1、R2は水素又は炭素数4以下の炭化水素基でそれらは互いに同じであっても異なっていても良く、R3は水素又は炭素数12以下の炭化水素基である。aは1以上5以下の整数、b、cは1以上3以下の整数である。)
本発明において用いられる芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(D)としては、例えば、カテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン及びこれらの誘導体が挙げられる。これらのうちカテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。これらの化合物は1種類を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。これらの化合物の配合量は全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.02重量%以上、0.8重量%以下である。上記範囲内であると、フェニルシラン化合物(C)との相乗効果により、エポキシ樹脂成形材料の流動性と充填性、並びに保存安定性を向上させることができる。また、硬化の阻害による硬化物物性の低下に伴う半導体封止樹脂としての性能悪化を引き起こす可能性が少ない。
本発明に用いることができる硬化促進剤(E)は、エポキシ樹脂のエポキシ基と硬化剤であるフェノール系樹脂のフェノール性水酸基との反応を促進するものであればよく、一般に半導体素子の封止材であるエポキシ樹脂組成物に使用されているものを利用することができる。具体例としては、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物等のリン原子含有化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等の窒素原子含有化合物が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種類を単独で用いても2種以上を併用して差し支えない。これらのうち、リン原子含有化合物が好ましく、特に流動性という点を考慮するとテトラ置換ホスホニウム化合物が好ましく、またエポキシ樹脂組成物の硬化物の高温下における低弾性率化という点を考慮するとホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物がより好ましい。
有機ホスフィンとしては、例えば、エチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
テトラ置換ホスホニウム化合物としては、例えば、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007161831
(ただし、上記一般式(2)において、Pはリン原子を表す。R1、R2、R3およびR4は置換もしくは無置換の芳香族基、又はアルキル基を表し、それらは互いに同じでも異なっていても良い。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれた官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれた官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。a、bは1以上3以下の整数、cは0以上3以下の整数であり、かつa=bである。)
上記一般式(2)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、テトラ置換ホスホニウムブロマイドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで水を加える。すると、上記一般式(2)で表される化合物を沈殿させることができる。上記一般式(2)で表される化合物において、リン原子に結合するR1、R2、R3およびR4がフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。
ホスホベタイン化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007161831
(ただし、上記一般式(3)において、Xは水素又は炭素数1以上3以下のアルキル基、Yは水素又はヒドロキシル基を表す。m、nは1以上3以下の整数。)
上記一般式(3)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、前記トリ芳香族置換ホスフィンと前記ジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。一般式(3)で表される化合物としては、例えば、Xが水素又はメチル基であり、かつYが水素又はヒドロキシル基であるものが好ましい。
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2007161831
(ただし、上記一般式(4)において、Pはリン原子を表す。R1〜R3は置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基、或いは置換又は非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R4〜R6は水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、R4とR5が結合して環状構造となっていてもよい。)
上記ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換あるいはアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基の有機基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また上記ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、例えば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
上記ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとキノン化合物の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
上記一般式(4)で表される化合物において、リン原子に結合するR1、R2およびR3がフェニル基であり、かつR3、R4およびR5が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が好ましい。
本発明に用いることができる硬化促進剤(E)の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中0.1重量%以上、1重量%以下が好ましい。配合量が上記範囲内であると、流動性を損なうことなく、良好な硬化性を得ることができる。
本発明に用いることができる無機充填材(F)としては、一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、球状の溶融シリカである。これらの無機充填剤は、1種類を単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。無機充填材の含有量は、特に限定されないが、全エポキシ樹脂組成物中80重量%以上、94重量%以下が好ましい。含有量が上記範囲内であると、耐半田性の低下や流動性の低下を引き起こす可能性が低い。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシランカップリング剤、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等を用いることが出来る。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランが好ましい。またこれらは2種以上併用した方がより効果が高く、特にアニリノシランとエポキシシラン又はメルカプトシラン又は1級アミノシランを併用するのが好ましく、エポキシシラン、メルカプトシラン、1級アミノシラン、アニリノシラン4種類併用するのが最も好ましい。また、これらシランカップリング剤は、予め水或いは必要に応じて酸又はアルカリを添加して、加水分解処理して用いてもよく、また予め無機充填材に処理されていてもよい。シランカップリング剤の配合量は、特に限定されないが、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.05重量%以上、0.8重量%以下である。シランカップリング剤の配合量が上記範囲内であると、さらなる低粘度化と流動性向上効果が期待できる。また、上記範囲内であれば、硬化性の低下を引き起こす可能性が低い。また、これらシランカップリング剤は、予め水或いは必要に応じて酸又はアルカリを添加して、加水分解処理して用いてもよく、また予め無機充填材に処理されていてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて離型剤が用いられる。離型剤としては、従来公知のものを用いることができるが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種以上を併用しても構わない。これらのうちポリエチレン系ワックスが好ましく、ポリエチレン系ワックスとモンタン酸エステル系ワックスを併用した方がより好ましい。離型剤の配合量は特に制限されないが、全エポキシ樹脂組成物中0.05重量%以上3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上1重量%以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じてイオントラップ剤が用いられる。イオントラップ剤としては従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイト類やマグネシウム、アルミニウム、ビスマス、チタン、ジルコニウムから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種以上を併用しても構わない。これらのうちハイドロタルサイト類が好ましい。イオントラップ剤の配合量は特に制限されないが、全エポキシ樹脂組成物中0.05重量%以上3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上1重量%以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物、硬化促進剤、及び無機質充填材を主成分とし、更に必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、イオントラップ剤を用いるが、これ以外に、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤等のシランカップリング剤以外のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤等の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、ミキサー等を用いて原料を充分に均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂成形材料とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂成形材料を用いて、半導体素子等の各種の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成型すればよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
エポキシ樹脂1:下記式(5)で表されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名NC3000P、軟化点58℃、エポキシ当量273、式(5)においてn=2.3)
7.40重量部
Figure 2007161831
フェノール樹脂1:下記式(6)で表されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)製、商品名MEH−7851SS、軟化点65℃、水酸基当量204、式(6)においてn=1.6)
5.00重量部
Figure 2007161831
フェニルトリメトキシシラン 0.20重量部
2,3−ジヒドロキシナフタレン 0.20重量部
硬化促進剤:トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物
0.20重量部
溶融球状シリカ(平均粒径30μm) 86.00重量部
カップリング剤1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
0.10重量部
カップリング剤2:N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
0.10重量部
離型剤1:ポリエチレン系ワックス 0.20重量部
離型剤2:モンタン酸エステル系ワックス 0.10重量部
イオントラップ剤:ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製、DHT−4H)
0.20重量部
カーボンブラック 0.30重量部
をミキサーにて混合し、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練して冷却後粉砕し、エポキシ樹脂成形材料を得た。得られたエポキシ樹脂成形材料を用いて、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
評価方法
スパイラルフロー:低圧トランスファー成形機を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件でエポキシ樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。単位はcm。
硬化性(硬化トルク比):キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIVPS型)を用いて、175℃、60秒後のトルク値を300秒後のトルク値で除した値で示した。この値の大きい方が硬化性は良好である。単位は%。
保存安定性:得られたエポキシ樹脂組成物を30℃で一週間放置した後のスパイラルフローの値を初期の値で除した値で示した。この値の大きい方が保存安定性は良好である。単位は%。
充填性(ボイド):低圧トランスファー成形機を用いて、成形温度175℃、圧力9.3MPa、硬化時間120秒の条件で160pQFPを成形したものを、超音波探傷装置で観察し内部のボイドの評価を行った。○はボイドなし。△は一部にボイドあり。×は全面にボイドあり。
耐半田性:低圧トランスファー成形機を用いて、成形温度175℃、圧力8.3MPa、硬化時間120秒の条件で、80pQFP(Cuフレーム、チップサイズ6.0mm×6.0mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間加熱処理した後、85℃、相対湿度85%で120時間の加湿処理を行った後、260℃のIRリフロー処理をした。パッケージ内部の剥離とクラックを超音波探傷機で確認し、剥離、クラックのいずれか一方でもあったものを不良とした。評価した10個のパッケージ中の不良パッケージ数を示す。
実施例2〜13、比較例1〜5
表1、表2及び表3の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂成形材料を製造し、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1、表2及び表3に示す。
実施例1以外で用いた成分について、以下に示す。
エポキシ樹脂2:下記式(7)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名YX−4000、エポキシ当量190、融点105℃)
Figure 2007161831
フェノール樹脂2:下記式(8)で表されるフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、商品名XLC−LL、水酸基当量165、軟化点79℃、式(8)においてn=5)
Figure 2007161831
フェニルトリエトキシシラン
カテコール
ピロガロール
Figure 2007161831
Figure 2007161831
Figure 2007161831
本発明に従う実施例1〜13は、フェニルシラン化合物(C)の種類と量、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(D)の種類と量を変えたもの、或いは、樹脂の種類や無機充填材の配合量を変えたものを含んでいるが、いずれにおいても、スパイラルフローが充分に長く良好な流動性が得られ、硬化トルクが高く良好な硬化性が得られ、30℃、1週間保管でのスパイラルフロー保持率が充分に高く良好な保存安定性が得られ、ボイドの発生がなく良好な充填性が得られ、かつ加湿処理後のIRリフロー処理での剥離やクラックの発生がなく良好な耐半田性が得られた。
一方、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(D)を用いていない比較例1及び比較例2では、流動性、保存安定性、及び耐半田性の点で劣る結果となった。また、フェニルシラン化合物(C)を用いなかった比較例3、比較例4及び比較例5では、流動性、保存安定性、及び充填性の点で劣る結果となった。
上記のとおり、本発明に従う実施例はいずれも、良好な保存安定性を有し、半導体素子等の封止成形時において良好な流動性、硬化性を有し、かつ無鉛半田に対応する高温の半田処理によっても剥離やクラックが発生しない良好な耐半田性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
本発明に従うと、良好な保存安定性を有し、半導体素子等の封止成形時において良好な流動性、硬化性を有し、かつ無鉛半田に対応する高温の半田処理によっても剥離やクラックが発生しない良好な耐半田性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるので、特に表面実装型の半導体装置の製造用として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)一般式(1)で表されるフェニルシラン化合物、及び(D)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物を含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2007161831
    (ただし、上記一般式(1)において、R1、R2は水素又は炭素数4以下の炭化水素基でそれらは互いに同じであっても異なっていても良く、R3は水素又は炭素数12以下の炭化水素基である。aは1以上5以下の整数、b、cは1以上3以下の整数である。)
  2. 前記(D)成分がベンゼン環又はナフタレン環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. さらに硬化促進剤(E)を含むものである請求項1又は請求項2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. さらに無機質充填材(F)を含むものである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を混合及び/又は溶融混練してなる半導体封止用エポキシ樹脂成形材料。
  6. 請求項5に記載のエポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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