JP2007158041A - アレスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】アレスタの放圧能力の向上を図る。
【解決手段】アレスタは、機器ケ−ス1の開口部1aに気密に配設されたブッシング2を備えており、このブッシング2にはアレスタ素子積層体6が着脱自在に装着されている。
ブッシング2は、ブッシング本体3と、ブッシング本体3の先端部にブッシング本体3と同心状に埋設された高圧シールド体4とを備えている。
アレスタ素子積層体6は、酸化亜鉛を主成分とする複数個のアレスタ素子61aを積層して成る積層体61を備えており、当該積層体61の外周には接続導体62および押し金具65に跨って絶縁モールド体67が設けられている。
このような構成のアレスタ素子積層体6をブッシング2内部に収容した状態において、アレスタ素子積層体6とブッシング2の挿入孔(先端部挿入孔51a、中間部挿入孔53a、下部挿入孔53a)間に気体層Gを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】アレスタは、機器ケ−ス1の開口部1aに気密に配設されたブッシング2を備えており、このブッシング2にはアレスタ素子積層体6が着脱自在に装着されている。
ブッシング2は、ブッシング本体3と、ブッシング本体3の先端部にブッシング本体3と同心状に埋設された高圧シールド体4とを備えている。
アレスタ素子積層体6は、酸化亜鉛を主成分とする複数個のアレスタ素子61aを積層して成る積層体61を備えており、当該積層体61の外周には接続導体62および押し金具65に跨って絶縁モールド体67が設けられている。
このような構成のアレスタ素子積層体6をブッシング2内部に収容した状態において、アレスタ素子積層体6とブッシング2の挿入孔(先端部挿入孔51a、中間部挿入孔53a、下部挿入孔53a)間に気体層Gを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、アレスタに係り、特に、酸化亜鉛を主成分とする複数個の非直線抵抗素子(以下「アレスタ素子」という。)の積層体(以下「アレスタ素子積層体」という。)を備えるアレスタに関する。
一般に、発電所や変電所等に設置されるガス絶縁開閉装置には、落雷時等に線路から侵入する異常電圧から開閉装置や変圧器等の電気機器を保護するためにアレスタが配設されている。
従来、このようなアレスタとしては、図9に示すように、アレスタ素子積層体100を絶縁ガスが封入されたタンク110の底部110aに立設し絶縁支持筒120を介して支持して成るもの(例えば、非特許文献1)、または、図10に示すように、機器ケース210の内壁にブッシング220を気密に取り付け、このブッシング220にアレスタ素子積層体230を着脱自在に装着して成るものが知られている(例えば、特許文献1)。なお、図9中、符号140は高圧側の偏心シールド、150は絶縁スペーサ、160は計装箱、170は吸着剤を示している。
しかしながら、前者のアレスタにおいては、アレスタ素子積層体100を構成するアレスタ素子の電圧分担を均一化するために、アレスタ素子積層体100の高圧側に大型のシールド130を配設しなければならず、このため、機器自体が大型化するという難点があり、また、アレスタ素子積層体100を有するガス絶縁開閉装置(以下「GIS(Gas Insulated Switchgear)」という。)の耐電圧試験を行なう際に、アレスタ素子積層体100を主回路導体(不図示)から切り離さなければならないため、切り離し装置(不図示)を設ける必要があり、このため機器の構造が複雑になるという難点があった。
一方、後者のアレスタにおいては、切り離し装置を設ける必要がないため構造が簡素化され、また、耐電圧試験を行なう際に機器ケース210内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができるものの、アレスタ素子積層体230の一部の外周に接地体としての機器ケース210が存在することから、アレスタ素子230aの電圧分担を均一にすることが困難であり、このため、その適用が22/33kV程度の中圧用の線路に制限されるという難点があった。
このため、本出願人は、先に、図11に示すように、電気機器を収容する機器ケース300の開口部310に気密に装着されたブッシング320と、ブッシング320の挿入孔330内に機器ケース300の外部から着脱自在に装着されたアレスタモールド体340とを備えたアレスタ(以下「GIS内ガスタンク形アレスタ」という。)を開発し、出願している(特願2004−357915)。
ここで、アレスタモールド体340は、複数個のアレスタ素子350aを積層して成るアレスタ素子積層体350と、当該アレスタ素子積層体350の外周に設けられたシリコ−ンゴムから成るゴムモールド体360とで構成されている。
このような構成のGIS内ガスタンク形アレスタによれば、第1に、アレスタモールド体340の全体がブッシング320の挿入孔330の内部に収容されることで、従来のアレスタよりもより高い電圧階級の線路に適用することができ、第2に、ゴムモールド体360がブッシング320の先端部に向けて押圧されることで、ブッシング320の挿入孔330のテーパ内面330aとゴムモールド体360のテーパ外面360a間の面圧が確保され、界面での絶縁破壊を防止することができ、第3に、アレスタモールド体340の後端部にスプリング370が配設され、当該スプリング370にバネ力が付勢されることで、アレスタモールド体340をブッシング320の先端部に向けて押圧することができ、第4に、ブッシング320のテーパ内面330aにゴムモールド体360のテーパ外面360aを嵌合させることで、軸方向の押圧力を面圧として有効に作用させることができ、第5に、電界が集中する高圧シールド体380の後端側端部の内側に、面圧が有効に作用するテーパ外面360aを設けることで、アレスタ素子350aの電圧分担の均一化を図ることができる。
しかしながら、このような構成のGIS内ガスタンク形アレスタにおいては、アレスタモールド体340を構成するゴムモールド体360の外面がブッシング320の挿入孔330の内面に密着しているため、アレスタに公称放電電流を大きく超える地絡電流が複数回流れると、アレスタ素子350aが故障する場合があり、かかる場合にブッシング320内部に発生する衝撃波がブッシング320に伝播することで、ブッシング320が破壊し、アレスタ素子350aや部品等の飛散により、アレスタの周辺設備が破壊するおそれがあった。このため、アレスタやGISの復旧には、ガス処理や飛散した部品等の回収に多くの時間と労力を要するという難点があった。
電気学会技術報告 第851号 7(図2.10)
特開平1−232681(第1図)
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、GIS内ガスタンク形アレスタに公称放電電流を大きく超える地絡電流が流れた際にブッシング内部に発生する衝撃波がブッシングに伝播しにくくすることで、酸化亜鉛素子やブッシングの飛散を防止することができるアレスタを提供することを目的としている。
本発明の第1の態様であるアレスタは、電気機器を収容する機器ケースの開口部に、開口部を気密に覆う如く配設されたブッシングと、ブッシングの挿入孔内に機器ケースの外部から着脱自在に装着されるアレスタ素子積層体と備え、アレスタ素子積層体は、アレスタ素子積層体の外周に設けられた絶縁モールド体により一体化され、絶縁モールド体とブッシングの挿入孔間には気体層が設けられているものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様であるアレスタにおいて、アレスタ素子積層体は、酸化亜鉛を主成分とする複数個のアレスタ素子を積層して成る積層体と、積層体の高圧側に当接される接続導体と、積層体の低圧側に当接される押し金具とを備えるものである。
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様であるアレスタにおいて、アレスタ素子積層体の先端部外周は、高圧シールド体により覆われているものである。
本発明の第4の態様は、第3の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、高圧シールド体の外周には、固体による絶縁層が設けられているものである。
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、アレスタ素子積層体の後端部は、機器ケースの開口部を通り、機器ケースの外部に導出されているものである。
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、アレスタ素子積層体の中間部の電界は、高圧シールド体の後端部と機器ケースの内面間の間隔の調整によりコントロールされているものである。
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第6の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、ブッシングの後端部は絶縁性の円筒状部材で形成され、円筒状部材は機器ケースの開口部を通り、機器ケースの外部に導出されているものである。
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、ブッシングは硬質のプラスチック樹脂で形成されているものである。
本発明の第9の態様は、第1の態様乃至第8の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、高圧シールド体は、ブッシングの先端部の形状と略同形状の金具を有し、金具は、ブッシングの先端部にブッシングと同心状に埋設されているものである。
本発明の第10の態様は、第1の態様乃至第9の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、高圧シールド体は、ブッシングの先端部外周に塗布された導電性の塗布層で形成されているものである。
本発明の第11の態様は、第1の態様乃至第10の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、高圧シールド体は、円筒状の金具を有し、金具は、ブッシングの先端部の周りにブッシングの先端部を囲むように配設されているものである。
本発明の第12の態様は、第1の態様乃至第11の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、高圧シールド体は、絶縁モールド体の先端部にアレスタ素子積層体の先端部を囲むように設けられているものである。
本発明の第1の態様乃至第12態様のアレスタによれば、次のような効果がある。
第1に、機器ケースの開口部に気密に配設されたブッシングに機器ケースの外部からアレスタ素子積層体が着脱自在に装着されることから、従来のガス絶縁形アレスタのように、切り離し装置を設ける必要がなくなり、このため機器の構造を簡素化することができ、また、耐電圧試験を行なう際に機器ケース内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができる。
第2に、アレスタ素子積層体の先端部外周が高圧シールド体により覆われていることから、アレスタ素子の電圧分担を均一化させることができ、ひいては66/77kV級の高圧線路にも適用できるアレスタを提供することができる。
第3に、アレスタ素子積層体の一部が機器ケースの外部に導出されていることから、機器の縮小化を図ることができる。
第4に、ブッシングの後端部を機器ケースの外部に気密に導出することで、機器の構造の簡素化、小型化および軽量化を図ることができる。
第5に、高圧シールド体の外周を絶縁性のバリヤで覆うことで、相間の絶縁距離や機器ケースとの絶縁距離を短くすることができ、機器の縮小化を図ることができる。
第6に、高圧シールド体を導電性の塗布層で形成することで、ブッシングの軽量化および低コスト化を図ることができる。
第7に、絶縁モールド体とブッシングの挿入孔間に空気、窒素などの気体層が設けられていることから、アレスタに公称放電電流を大きく超える地絡電流が流れた際にアレスタ素子積層体に発生する衝撃波がブッシングに伝播しにくくなり、ひいては、ブッシングおよび酸化亜鉛素子の飛散を防止することができる。
以下、本発明のアレスタを適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、アレスタ素子積層体の「先端部」、ブッシングの「先端部」とは、アレスタ素子積層体、ブッシングそれぞれの高圧側の端部をいい、図中では上方向に相当する。また、アレスタ素子積層体の「後端部」、ブッシングの「後端部」は、先端部と反対側の端部をいい、図中では下方向に相当する。
[実施例1]
図1は、66/77kV級の本発明のアレスタの一例を示す一部断面図である。
[実施例1]
図1は、66/77kV級の本発明のアレスタの一例を示す一部断面図である。
同図において、本発明のアレスタを有する電気機器は、開閉器等の電気機器(不図示)を気密に収容する機器ケ−ス1を備えており、機器ケ−ス1内には例えばSF6ガスなどの絶縁ガスが充填されている。また、機器ケース1の底部には開口部1aが設けられており、この開口部1aにはそれ自身の先端部を機器ケース1内に位置させ、かつそれ自身の中間部で開口部1aを気密に覆う如くブッシング2が配設され、このブッシング2内には後述するアレスタ素子積層体6が着脱自在に装着されている。
ブッシング2は、エポキシ樹脂のモールド体等から成る硬質でかつ絶縁性のブッシング本体3と、ブッシング本体3の先端部にブッシング本体3と同心状に埋設された高圧シールド体4とを備えている。
ブッシング本体3は、アレスタ素子積層体6の先端部を収容するための挿入孔(以下「先端部挿入孔」という。)51aを有する上端閉鎖の円筒部(以下「上部円筒部」という。)51と、アレスタ素子積層体6の下半部を収容するための挿入孔(以下「下部挿入孔」という。)52aを有する円筒部(以下「下部円筒部」という。)52と、アレスタ素子積層体6の中間部を収容するための挿入孔(以下「中間部挿入孔」という。)53aを有する円筒部(以下「中間円筒部」という。)53とを備えており、下部円筒部52の上部位置の外周には、図1(b)に示すように六角板状の取付フランジ52bがブッシング2の軸線と直交する方向に突出するように連設されている。ここで、下部挿入孔52aの口径は、先端部挿入孔51aの口径よりも大径とされ、また、中間部挿入孔53aは、ブッシング2の先端部から後端部に向かって円錐状に広がるテーパ内面を有しており、この円錐状のテーパ内面を介して先端部挿入孔51aおよび下部挿入孔52aが連通されている。さらに、下部円筒部52の外径は機器ケース1の開口部1aの口径と略同径若しくはこれより若干小径とされ、取付フランジ52bの外径は機器ケース1の開口部1aの口径より大径とされている。また、取付フランジ52bの各角部近傍には、図1(b)に示すように、それぞれ一対のボルト挿通孔h1、h2が設けられている。
高圧シールド体4は、上部円筒部51にその閉鎖部51bから上部円筒部51の後端部に跨って上部円筒部51と同心状に埋設される釣鐘状のシールド本体41と、シールド本体41の水平部中央に閉鎖部51bの上方に突出させた筒状部(以下「接続導体挿入部」という。)42と、接続導体挿入部42の上部に連設され主回路導体(不図示)に接続される主回路接続子43とを備えている。ここで、シールド本体41の側壁部41aは先端部から後端部に向かって円錐状に広がるように形成され、また、その軸方向の長さは上部円筒部51の閉鎖部51bから中間円筒部53の先端部近傍に至る長さ、すなわち、シールド本体41の側壁部41aの後端側端部の内側に前述のテーパ内面の略中間部が位置するような長さとされている。なお、接続導体挿入部42はアレスタ素子積層体6の後述する接続導体62の挿入孔としての機能を有し、接続導体挿入部42の先端部に設けられた主回路接続子43はアレスタ素子積層体6の後述するコイル状のスプリング63のストッパとしての機能も有している。
このような構成の高圧シールド体4は、図1(a)に示すように、主回路接続子43を上部円筒部51の閉鎖部51bより上方に突出させ、側壁部41aが上部円筒部51の側壁部51c内に位置する如くして上部円筒部51と同心状に埋設されている。
このような構成のブッシング2は、ブッシング2の上部円筒部51および中間円筒部53が機器ケース1内に位置し、下部円筒部52が開口部1aを通り機器ケース1の外部に導出させることで、取付フランジ52bの上面を機器ケース1の開口部1aの周縁部の下面に当接させることができる。従って、このような構成のブッシング2においては、機器ケース1の開口部1aの周縁部に設けられた環状の凹溝1bにOリング1cを介在させ、取付フランジ52bのボルト挿通孔h1、h2に配設したボルト52cで締結することにより、ブッシング2を機器ケース1の開口部1aに気密に取り付けることができる。
一方、アレスタ素子積層体6は、酸化亜鉛を主成分とする複数個のアレスタ素子61aを積層して成る積層体61と、積層体61の先端部側(高圧側)に配設される接続導体62と、接続導体62の先端部側(高圧側)に配設されるコイル状のスプリング(以下「高圧側スプリング」という。)63と、積層体61の後端部側(低圧側)に配設される押し金具65と、積層体61の外周に接続導体62および押し金具65に跨って一体的にモールドされるシリコーンゴムなどから成る絶縁モールド体67とを備えている。ここで、アレスタ素子61aは、所定のバリスタ電圧を考慮して系統電圧に対応した個数が決定される。本実施例は、66kVの高圧線路に適用するものである。
接続導体62は、積層体61の高圧側に当接されアレスタ素子61aと略同形の円板部62aと、この円板部62aの上面中央部に上方に向けて突設された円筒部62bとを備えており、円筒部62bの外周には図示しないテープ状の導体接続子(マルチコンタクト)を嵌着するための環状の凹溝62cが設けられている。
押し金具65は、アルミニウム合金等の導電性の円柱状部材で構成され、その外径はアレスタ素子61aの外径と略同径とされている。
このような構成の積層体61の外周には、その先端部に接続導体62の円板部62aの下面を当接し、後端部に押し金具65の上面を当接した状態で、接続導体62の円板部62aの上面部および押し金具65の中間部外周に跨ってシリコーンゴムなどの絶縁モールド体67が設けられ、この絶縁モールド体67により、積層体61が接続導体62および押し金具65と一体化される。
ここで、絶縁モールド体67は、積層体61、接続導体62および押し金具65を一体化するに十分な厚さとされ、当該厚さを可及的に薄くすることで、アレスタ素子積層体6をブッシング2内部に収容した状態において、アレスタ素子積層体6とブッシング2の挿入孔(先端部挿入孔51a、中間部挿入孔53a、下部挿入孔53a)間に気体層Gが形成されることになる。また、このような絶縁モールド体67を積層体61の外周に設けることで、積層体61の外表面の電界を緩和することができる。なお、絶縁モールド体67はシリコーンゴムによるモールド体に代えてエポキシ樹脂等のゴム、プラスチック樹脂によるモールド体で形成してもよい。
次に、アレスタ素子積層体6をブッシング2内に着脱自在に装着する方法について説明する。
先ず、符号70はブッシング2の下部円筒部52の下面に下部挿入孔52aを閉塞するように取り付けられる円盤状のシール蓋を示しており、当該シール蓋Fはアルミニウム金具等の金具で形成されている。また、このシール蓋Fの上面中央部には押し金具65と略同形の円形状の凹陥部Faが設けられ、外周縁近傍には、図1(b)に示すように、例えば4個のボルト挿通孔h3が円周方向に沿って等配する如くして設けられている。また、ブッシング2の下部円筒部52の下面側には、シール蓋Fのボルト挿通孔h3と対応する位置にネジ孔を有する埋込金具68が埋設されている。なお、図1(b)中符号h4は、接地端子を挿入するためのボルト挿通孔を示している。
このようなシール蓋Fを有するブッシング2において、先ず、接続導体62の円筒部62b内に円筒部62bの内径と略同径のコイル状の高圧側スプリング63をその上半部が突出する如くして装着し、この状態でアレスタ素子積層体6の先端部(高圧側)をブッシング2内に挿入し、高圧側スプリング63の先端部が主回路接続子43の内壁面43aに当接するまで押し込む。これにより、接続導体62の凹溝62cに配設した導体接続子(マルチコンタクト)を構成する舌片(不図示)が接続導体挿入部42の内周面に電気的に接触すると共に、アレスタ素子積層体6がブッシング2の挿入孔内に着脱自在に挿入される。
次に、シール蓋Fの凹陥部Faに押し金具65の下半部を装着すると共に、当該シール蓋Fの上面側をブッシング2の下部円筒部52の下面に当接し、シール蓋Fの下面側より挿通させた締付ボルトV1の先端部をブッシング2の埋込金具68のネジ孔に螺合させる。このようなシール蓋Fの下部円筒部52の下面への当接・固定により、アレスタ素子積層体6がブッシング2の先端部に向けて押圧され、アレスタ素子積層体6の先端部に配置した高圧側スプリング63が軸方向に押圧され、当該高圧側スプリング63に所定のバネ力が付勢される。これにより、アレスタ素子61aと接続導体62間、アレスタ素子61a間、アレスタ素子61aと押し金具65間に所定の面圧が付与され、これらの部材間が確実に接触することになる。
このような構成のアレスタによれば、アレスタ素子積層体6をブッシング2内に装着することで、アレスタ素子積層体6の先端部側(高圧側)の周りが上部円筒部51に埋設されたシールド本体41により覆われることになり、ひいては、後述するようにアレスタ素子61aの電圧分担の均一化を図ることができる。
図2は、本実施例におけるアレスタの等電位分布図を示している。同図より、アレスタ素子積層体6の先端部は高圧シールド体4により遮蔽されることで、当該先端部に電界が集中せず、また、アレスタ素子積層体6の後端部は接地体としての機器ケース1の外部に配設されることで、当該後端部にも電界が集中せず、さらに、アレスタ素子積層体6の中間部は高圧シールド体4と接地体としての機器ケース1間の間隔の調整により電界が適正にコントロールされることで、当該中間部にも電界が集中しないことが判る。
ここで、シールド本体41と接地体としての機器ケース1がアレスタ素子積層体6に及ぼす影響について説明する。先ず、シールド本体41の下端部と機器ケース1の内面との間隔を短くすると、シールド本体41および機器ケース1の影響によりアレスタ素子積層体6の中間部における電界が密になり、これと反対に、両者の間隔を広くすると、当該中間部における電界が疎になるという関係がある。従って、単に、両者の間隔を広げた構成にすることのみでは、アレスタ素子61aの電圧分担を均一化させることが困難になる。この点、本実施例においては、アレスタ素子積層体6の先端部(アレスタ素子積層体6の1/3程度の長さ)および中間部(アレスタ素子積層体6の1/3程度の長さ)を機器ケース1内に位置させ、アレスタ素子積層体6の後端部(アレスタ素子積層体6の1/3程度の長さ)を機器ケース1の外部に位置させることで、高圧シールド体4と接地体としての機器ケース1との間隔が適正に調整され、アレスタ素子積層体6の中間部における電界を適正にコントロールすることができ、ひいてはアレスタ素子61aの電圧分担の均一化を図ることができる。
以上のように、本発明のアレスタによれば、機器ケース1の開口部1aに気密に取り付けられたブッシング2内にアレスタ素子積層体6を機器ケース1の外部から着脱自在に装着することができることから、従来のガス絶縁形アレスタのように、切り離し装置を設ける必要がなくなり、機器の構造を簡素化することができ、また、耐電圧試験を行なう際に機器ケース1内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができる。さらに、アレスタ素子積層体6の先端部外周が高圧シールド体4により覆われていることから、アレスタ素子61aの電圧分担を均一化させることができ、ひいては66/77kV級の超高圧線路にも適用できるアレスタを提供することができ、また、アレスタ素子積層体6の一部(低圧側)を機器ケース1の外部に導出させることで、機器の縮小化を図ることができる。さらに、絶縁モールド体とブッシングの挿入孔間に気体層が設けられていることから、アレスタに公称放電電流を大きく超える地絡電流が流れた際に発生する衝撃波が気体層を介してブッシングのシール部分の隙間等から放出(放圧)されることで、すなわち、アレスタ素子の故障に伴って生じる気体層Gの圧力の瞬間的な上昇によってブッシング2の下部円筒部52の下面とシール蓋F間に配置されたシール用のOリング69やシール蓋F自身が変形し、ブッシング2の下部円筒部52の下面とシール蓋F間の隙間から衝撃波が放出(放圧)することで、当該衝撃波がブッシングに伝播しにくくなり、ひいてはアレスタ素子の飛散を防止することができる。
[実施例2]
図3は、本発明の第2の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略するが、気体層Gが設けられていることは図1と同様である。
[実施例2]
図3は、本発明の第2の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略するが、気体層Gが設けられていることは図1と同様である。
この実施例においては、ブッシング7の先端部の外周面に点線で示すように導電性の塗布層75が設けられている。
先ず、第2の実施例におけるブッシング7は、それ自身の上面の外周縁近傍に環状の凹陥部71aが設けられた中間円筒部71と、中間円筒部71の上端部に中間円筒部71と同心状に連接され中間円筒部71の外径より小径でかつ先細り状の円錐状部72aを有し上端部が閉鎖された上部円筒部72と、中間円筒部71の下面の外周縁近傍に中間円筒部71と同心状に連接され中間円筒部71の外径よりも小径の下部円筒部73と、上部円筒部72の閉鎖部72bの中央部にそれ自身の先端部を閉鎖部72bから突設するように埋設した主回路接続子74とを備えている。なお、この実施例におけるブッシング7は下部円筒部73の外径が機器ケース1の開口部1aより大径とされ、下部円筒部73の外周縁の下面が機器ケース1の上面に気密に載置・固定されている。
符号75は、高圧シールド体としての導電性の塗布層(例えば、銀ペイントから成る塗布層)を示しており、この導電性の塗布層75は、上部円筒部72の閉鎖部72bの外表面から円錐状部72aの外周面および中間円筒部71の凹陥部71aを構成する半円状部分71bの外周面に跨って設けられている。
図4は、第2の実施例におけるアレスタの電位分布を示している。同図より、この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、アレスタ素子積層体6の先端部は高圧シールド体としての導電性の塗布層75により遮蔽されることで、当該先端部に電界が集中せず、また、アレスタ素子積層体6の後端部は接地体としての機器ケース1の外部に配設されることで、当該後端部にも電界が集中せず、さらに、アレスタ素子積層体6の中間部は導電性の塗布層75と接地体としての機器ケース1間の間隔の調整により電界がコントロールされることで、当該中間部にも電界が集中していないことが判る。
従って、第2の実施例におけるアレスタにおいても、アレスタ素子61aの電圧分担を均一化させることができる。また、この実施例におけるアレスタにおいては、第1の実施例における金具から成る高圧シールド体4に代えて導電性の塗布層75が設けられていることから、第1の実施例におけるアレスタよりも軽量化および低コスト化を図ることができる。なお、この実施例におけるアレスタは、ガス絶縁や空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
[実施例3]
図5は、本発明の第3の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略するが、気体層Gが設けられていることは図1と同様である。
[実施例3]
図5は、本発明の第3の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略するが、気体層Gが設けられていることは図1と同様である。
この実施例においては、ブッシング8の先端部に別体の高圧シールド体10が載置・固定されている。
先ず、第3の実施例におけるブッシング8は、先細り状の中間円筒部81と、中間円筒部81の上端部に中間円筒部81と同心状に連接され中間円筒部81の外径より小径の上部円筒部82と、中間円筒部81の下端部に中間円筒部81と同心状に連接され中間円筒部81の下端部外径と略同径の下部円筒部83とを備えており、下部円筒部83の先端部位置の外周には環状の取付フランジ83aが連設されている。
高圧シールド体10は、上端閉鎖の円筒状の金具11と、金具11の閉鎖部12中央に閉鎖部12から上方に向けて立設された主回路接続子13とを備えている。
このような構成の高圧シールド体10は、図に示すように、主回路接続子13を上部円筒部82の上方位置に配置し、金具11の側壁部14が上部円筒部82の側壁部82aの周りに位置する如くして上部円筒部82の先端部に上部円筒部82と同心状に載置・固定されている。
図6は、第3の実施例におけるアレスタの電位分布を示している。同図より、この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、アレスタ素子積層体6の先端部は高圧シールド体10を構成する円筒状の金具11により遮蔽されることで、当該先端部に電界が集中せず、また、アレスタ素子積層体6の後端部は接地体としての機器ケース1の外部に配設されることで、当該後端部にも電界が集中せず、さらに、アレスタ素子積層体6の中間部は円筒状の金具11と接地体としての機器ケース1間の間隔の調整により電界がコントロールされることで、当該中間部にも電界が集中していないことが判る。
従って、第3の実施例におけるアレスタにおいても、全体としてアレスタ素子61aの電圧分担を均一化させることができる。なお、この実施例におけるアレスタは、油絶縁、ガス絶縁若しくは空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
[実施例4]
図7は、本発明の第4の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1および図5と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略するが、気体層Gが設けられていることは図1と同様である。
[実施例4]
図7は、本発明の第4の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1および図5と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略するが、気体層Gが設けられていることは図1と同様である。
この実施例においては、ブッシング9の先端部に図5に示す高圧シールド体10が載置・固定され、また、次のようにして、高圧シールド体10の周りが固体による絶縁層91bで覆われている。
先ず、第4の実施例におけるブッシング9は、それ自身の上面の外周縁近傍に環状の凹陥部91aが設けられた上部円筒部91と、上部円筒部91の下端部に上部円筒部91と同心状に連接され上部円筒部91の外径より小径の下部円筒部92とを備えている。そして、図5に示すものと同様の構成の高圧シールド体10は、その側壁部14が上部円筒部91の凹陥部91a内に位置するように上部円筒部91と同心状に配設されている。なお、この実施例におけるブッシング9は上部円筒部91の外径が機器ケース1の開口部1aより大径とされ、上部円筒部91の外周縁の下面が機器ケース1の内面に気密に載置・固定されている。
図8は、第4の実施例におけるアレスタの電位分布を示している。同図より、この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、アレスタ素子積層体6の先端部は高圧シールド体としての円筒状の金具11により遮蔽されることで、当該先端部に電界が集中せず、また、アレスタ素子積層体6の後端部は接地体としての機器ケース1の外部に配設されることで、当該後端部にも電界が集中せず、さらに、アレスタ素子積層体6の中間部は円筒状の金具11と接地体としての機器ケース1間の間隔の調整により電界がコントロールされることで、当該中間部にも電界が集中していないことが判る。
従って、第4の実施例におけるアレスタにおいても、全体としてアレスタ素子積層体6の電圧分担を均一化させることができる。また、この実施例におけるアレスタにおいては、高圧シールド体10の側壁部14が上部円筒部91の凹陥部91aに配設されることで、円筒状の金具11の周りに固体による絶縁層91bが配置されることになるから、相間の絶縁距離、若しくは機器ケース1との絶縁距離を短くすることができ、ひいては、機器の縮小化を図ることができる。なお、この実施例におけるアレスタは、油絶縁、ガス絶縁若しくは空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
本発明は、特許請求の範囲内で、次のように、変更、修正を加えることができる。
第1に、前述の実施例においては、機器ケース1の底部にブッシングを配設した場合について説明しているが、機器ケース1の側壁にブッシングを配設してもよい。
第2に、前述の実施例においては、66/77kVの高圧線路に本発明のアレスタを適用する場合について説明しているが、66kV未満の線路若しくは77kVを超える高圧線路に本発明のアレスタを適用してもよい。
1・・・機器ケース
1a・・・開口部
2・・・ブッシング
4・・・高圧シールド体
6・・・アレスタ素子積層体
61・・・積層体
67・・・絶縁モールド体
G・・・気体層
11・・・円筒状の金具
75・・・導電性の塗布層
91b・・・固体による絶縁層
1a・・・開口部
2・・・ブッシング
4・・・高圧シールド体
6・・・アレスタ素子積層体
61・・・積層体
67・・・絶縁モールド体
G・・・気体層
11・・・円筒状の金具
75・・・導電性の塗布層
91b・・・固体による絶縁層
Claims (12)
- 電気機器を収容する機器ケースの開口部に、開口部を気密に覆う如く配設されたブッシングと、前記ブッシングの挿入孔内に前記機器ケースの外部から着脱自在に装着されるアレスタ素子積層体とを備え、
前記アレスタ素子積層体は、前記アレスタ素子積層体の外周に設けられた絶縁モールド体により一体化され、
前記絶縁モールド体と前記ブッシングの挿入孔間には気体層が設けられていることを特徴とするアレスタ。 - 前記アレスタ素子積層体は、酸化亜鉛を主成分とする複数個のアレスタ素子を積層して成る積層体と、前記積層体の高圧側に当接される接続導体と、前記積層体の低圧側に当接される押し金具とを備えることを特徴とする請求項1記載のアレスタ。
- 前記アレスタ素子積層体の先端部外周は、高圧シールド体により覆われていることを特徴とする特徴とする請求項1または請求項2記載のアレスタ。
- 前記高圧シールド体の外周には、固体による絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項3記載のアレスタ。
- 前記アレスタ素子積層体の後端部は、前記機器ケースの開口部を通り、前記機器ケースの外部に導出されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のアレスタ。
- 前記アレスタ素子積層体の中間部の電界は、前記高圧シールド体の後端部と前記機器ケースの内面間の間隔の調整によりコントロールされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載のアレスタ。
- 前記ブッシングの後端部は絶縁性の円筒状部材で形成され、前記円筒状部材は前記機器ケースの開口部を通り、前記機器ケースの外部に導出されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6何れか1項記載のアレスタ。
- 前記ブッシングは硬質のプラスチック樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載のアレスタ。
- 前記高圧シールド体は、前記ブッシングの先端部の形状と略同形状の金具を有し、前記金具は、前記ブッシングの先端部に前記ブッシングと同心状に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8何れか1項記載のアレスタ。
- 前記高圧シールド体は、前記ブッシングの先端部外周に塗布された導電性の塗布層で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9何れか1項記載のアレスタ。
- 前記高圧シールド体は、円筒状の金具を有し、前記金具は、前記ブッシングの先端部の周りに前記ブッシングの先端部を囲むように配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10何れか1項記載のアレスタ。
- 前記高圧シールド体は、前記絶縁モールド体の先端部に前記アレスタ素子積層体の先端部を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項11何れか1項記載のアレスタ。
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-
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