以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る多機能装置の外観斜視図である。
多機能装置10は、下部にプリンタ部11を、上部にスキャナ部12を一体的に備えたMFD(Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能等の各種機能を有する。多機能装置10は、主に図示されていないコンピュータと接続されて、このコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、被記録媒体たる記録用紙に画像や文書を記録するものである。また、多機能装置10は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録することができる。さらに、多機能装置10は、後述されるスロット部61を備えており、このスロット部61にメモリカード等の各種記憶媒体が装填されることによって当該記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することも可能である。
本実施形態に係る多機能装置10の特徴とするところは、上記プリンタ部11がインクジェット記録装置として構成されており、インク滴を吐出する記録ヘッドに供給されるインクを予め貯留しておくリフィルユニット70が装置前面に備えられている点、及びこのリフィルユニット70は、コンパクトに設計され且つインクカートリッジの交換時に作業者がインクカートリッジの取出作業を容易に行うことができるようになっている点である。なお、本発明は、以下に説明される多機能装置10に組み込まれたリフィルユニット70として実現されており、したがって、多機能装置10の構成は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更され得ることは言うまでもない。
図2は、上記多機能装置10の内部構造を模式的に示す図である。図3は、上記スキャナ部12(図2において点線で示された部分)の内部構成を模式的に示す図である。
図2に示すように、スキャナ部12は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置部13と、これに設けられた原稿カバー15とを備えている。原稿カバー15は、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder、以下「ADF」という。)14を備えており、原稿載置部13の背面側に蝶番を介して開閉自在に取り付けられている。このため、原稿カバー15は、原稿載置部13に対して矢印16の方向に回動することによって開閉されるようになっている。本実施形態では、原稿載置部13は、多機能装置10の筐体により構成されており、原稿カバー15は、多機能装置10の上面の一部を構成している。
原稿載置部13は、スキャナ部12のフレームを兼ねている。図3に示すように、この原稿載置部13の天面19にコンタクトガラス板20が設けられている。また、この原稿載置部13の内部に画像読取ユニット18が配設されている。原稿は、原稿カバー15とコンタクトガラス板20との間に配置される。画像読取ユニット18は、コンタクトガラス板20の下方を当該コンタクトガラス板20に沿って、すなわち、図3において紙面に垂直な方向に沿って移動することにより、上記原稿から画像を読み取る。
画像読取ユニット18は、CISユニット21と、ガイドシャフト22と、ローラユニット23と、図示されていないベルト駆動機構とを備えている。本実施形態では、画像読取ユニット18は、CIS(Contact Image Sensor)を備えているが、CISに代えてCCD(Charge Coupled Device)のような縮小光学系のイメージセンサが採用されてもよいことは勿論である。CISユニット21は、細長直方体状の筐体43を備えており、この筐体43がキャリッジ24に嵌合支持されている。ガイドシャフト22は、同図の紙面に垂直な方向に架設されている。このガイドシャフト22は、上記キャリッジ24の下端部25を貫通している。すなわち、CISユニット21は、このガイドシャフト22に支持されており、当該ガイドシャフト22に案内されながらスライドする。上記ベルト駆動機構は、例えばモータにより駆動されるタイミングベルト(図示せず)を備えている。このタイミングベルトの一部が上記キャリッジ24の下端部25に連結されている。したがって、ベルト駆動機構が作動すると、キャリッジ24がタイミングベルトと共に移動し、その結果、CISユニット21がコンタクトガラス板20の下方を移動する。
上記ローラユニット23は、CISユニット21の両端部に設けられている。このローラーユニット23は、コンタクトガラス板20の裏面26に当接している。そして、このローラユニット23は、キャリッジ24の移動に伴ってコンタクトガラス板20の裏面26をキャリッジ24の移動方向に沿って転動する。すなわち、このローラーユニット23は、CISユニット21の円滑な移動を支援するものである。また、さらにローラユニット23は、CISユニット21とコンタクトガラス板20上に載置される原稿との距離を一定に保つスペーサの役割も果たしている。
図1に示すように、原稿カバー15は、上記ADF14を備えている。このADF14は、原稿トレイ47から排紙トレイ46へ所定枚数までの原稿を連続搬送可能に構成されている。原稿を連続搬送するための機構は原稿カバー15に内蔵されている。なお、ADF14は既知の構造を有するものであるから、その詳しい説明は省略される。ただし、本実施形態において、このADF14は省略されていてもよい。
図4は、プリンタ部11(図2において点線で示された部分)の内部構成を模式的に示す図である。図4において紙面に垂直な方向が多機能装置10の幅方向であって、図2において紙面に垂直な方向と一致している。
図2及び図4に示すように、プリンタ部11は、上記原稿載置部13によって構成されるフレームと、インクジェット記録ヘッド27(以下、単に「記録ヘッド27」と称される。)を有する画像記録部28とを備えている。すなわち、本実施形態では、プリンタ部11は、インクジェット記録装置として構成されている。
図4に示すように、プリンタ部11は、上記リフィルユニット70を備えている。このリフィルユニット70は、図1に示すように原稿載置台13の前方側、すなわち前面71側に内蔵されている。本実施形態では、リフィルユニット70は4つのインクカートリッジを収容保持することができる。各インクカートリッジには、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のインクが貯留される。これらインクカートリッジに貯留された各色のインクは、インクチューブ(供給管)を介して上記記録ヘッド27へ供給されるように構成されている。なお、図4では、インクチューブの図示は省略されている。
図1に示すように、プリンタ部11のフレームを構成する原稿載置台13は、上記前面71側に開閉蓋72を有している。この開閉蓋72は、この前面71の端部に設けられた開口73を開閉する。具体的には、開閉蓋72は、前方へ倒伏することによって上記開口73からリフィルユニット70を露出させる姿勢と、上記開口73を閉じてリフィルユニット70を収容する姿勢との間で回動自在となっている。
また、原稿載置部13は、前面中央に開口42が設けられており、この開口42の内部に給紙トレイ29が配置されている(図4参照)。図4に示すように、給紙トレイ29から送り出された記録用紙は、後述の要領で画像が記録された後、上記開口42に設けられた排紙トレイ32に排出される。上記給紙トレイ29の奥側(図4において右側)に分離傾斜板30が配設されている。この分離傾斜板30は、給紙トレイ29に積載された記録用紙を分離して上方へ案内する。この分離傾斜板30から上方へ向かって用紙搬送路31が形成されている。用紙搬送路31は、上方へ延びた後に左方へ湾曲し、多機能装置10の背面側から正面側へと延びている。さらに、この用紙搬送路31は、画像記録部28を通過して排紙トレイ32へ通じている。したがって、給紙トレイ29に収容された記録用紙は、用紙搬送路31により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部28に至る。この画像記録部28が用紙搬送路31を搬送される記録用紙に画像記録を行った後、この記録用紙が排紙トレイ32に排出される。なお、図1では、この排紙トレイ32及び上記給紙トレイ29は図示されていない。
図4に示すように、給紙トレイ29の上側に給紙ローラ34が設けられている。給紙ローラ34は、給紙トレイ29に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して用紙搬送路31へ供給する。給紙ローラ34の構造は既知であって、本実施形態では、この給紙ローラ34は、給紙アーム35の先端に軸支されている。この給紙アーム35は、給紙トレイ29に接離可能に上下動することができる。給紙ローラ34は、図示されていない駆動伝達機構を介してモータと連結されている。この駆動伝達機構は、複数のギアが噛合されて構成され得る。そして、上記モータが作動することにより、その駆動力が給紙ローラ34に伝達され、給紙ローラ34が回転するようになっている。回転する給紙ローラ34は、上記記録用紙を用紙搬送路31へ送り出す。
給紙アーム35は、基端軸36に支持されており、当該基端軸36の周りに回動可能となっている。これにより、給紙アーム35は、基端軸36を揺動中心として上下方向に揺動可能である。この給紙アーム35は、給紙トレイ29が装着された状態では、図示されていない給紙クラッチやバネ等により給紙トレイ29側に付勢されており、給紙トレイ29の挿抜時には、上側へ退避するようになっている。給紙アーム35が下側へ回動することにより、その先端に軸支された給紙ローラ34が給紙トレイ29上の記録用紙の表面に圧接する。その状態で、給紙ローラ34が回転すると、給紙ローラ34のローラ面と記録用紙との間の摩擦力は、最上位置の記録用紙を上記分離傾斜板30へ送り出す。この送り出された記録用紙は、その先端が分離傾斜板30に当接して上方へ案内され、用紙搬送路31へ送り込まれる。なお、給紙ローラ34によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合がある。しかし、この記録用紙は分離傾斜板30に当接することによって制止される。
用紙搬送路31は、画像記録部28等が配設されている箇所以外では、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とにより区画形成されている。この多機能装置10では、外側ガイド面は、原稿載置部13により構成されるプリンタ部11のフレームの内壁面により構成されており、内側ガイド面は、当該フレーム内に設けられたガイド部材の表面によって構成されている。また、特に用紙搬送路31が曲がっている箇所には、搬送コロが設けられていてもよい。同図では搬送コロが図示されていないが、搬送コロは、用紙搬送路31の幅方向(図4において紙面に垂直な方向)を回転中心軸方向として回転自在に設けられていてもよい。搬送コロは、そのローラ面が上記外側ガイド面又は内側ガイド面に露出するように取り付けられる。この搬送コロが設けられることにより、記録用紙は、用紙搬送路31が曲がっている箇所においてもガイド面に接触して円滑に搬送される。
上記画像記録部28は、用紙搬送路31が下方から上方へUターンした後の下流側に設けられている。上記記録ヘッド27と対向してプラテン37が設けられている。搬送される記録用紙は、このプラテン37上に送られる。記録ヘッド27は、プラテン37上に配置された記録用紙にインク滴を吐出する。この記録ヘッド27は、図示されていないキャリッジに搭載されている。このキャリッジは、CRモータによって同図において紙面に垂直な方向に往復動される。記録ヘッド27の位置及び往復動作は、図示されていないキャリッジ用エンコーダにより監視されている。記録ヘッド27は、往復動されつつ上記各色のインクをインク滴として上記記録用紙上に吐出し、これにより、当該記録用紙に画像が記録される。
上記記録ヘッド27の用紙搬送路31の上流側に駆動ローラ39及び押さえローラ38が設けられている。駆動ローラ39は、図示されていないLFモータにより回転駆動されるようになっている。これら駆動ローラ39及び押さえローラ38は、用紙搬送路31を搬送される記録用紙を狭持し、駆動ローラ39が回転されることにより、記録用紙は用紙搬送路31の下流側へ送られ、プラテン37上に配置される。
上記記録ヘッド27の用紙搬送路31の下流側に排紙ローラ40及び押さえローラ41が設けられている。排紙ローラ40は、上記駆動ローラ39を駆動するLFモータにより回転駆動されるようになっている。すなわち、排紙ローラ40は、図示されていない連動機構を介して駆動ローラ39と同期駆動されるようになっている。これら排紙ローラ40及び押さえローラ41は、インク滴が吐出された記録用紙を狭持し、排紙ローラ40が回転されることにより、上記記録用紙は用紙搬送路31の下流側へ送られる。
上記押さえローラ38は、上記駆動ローラ39を所定の押圧力で押圧するように駆動ローラ39に対して弾性付勢されている。したがって、駆動ローラ39と押さえローラ38との間に記録用紙が進入した場合には、押さえローラ38は、記録用紙の厚み分だけ弾性的に退避しつつ駆動ローラ39と協働して記録用紙を狭持する。このように記録用紙が駆動ローラ39と押さえローラ38とによってニップされるので、駆動ローラ39の回転力は、確実に記録用紙へ伝達される。また、上記押さえローラ41も上記排紙ローラ40に対して同様に設けられている。ただし、本実施形態では、押さえローラ41は、記録済みの記録用紙に圧接されるので、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に形成されている。
駆動ローラ39及び押さえローラ38に狭持された記録用紙は、所定の改行幅でプラテン37上を間欠的に搬送される。記録ヘッド27は、記録用紙の改行ごとに往動及び/又は復動され、記録用紙の先端側から順に画像記録を行う。画像記録が行われた記録用紙は、その先端側から排紙ローラ40及び押さえローラ41に狭持される。すなわち、記録用紙は、その先端側を排紙ローラ40及び押さえローラ41に、その後端側を駆動ローラ39及び押さえローラ38に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、このように搬送されつつ記録ヘッド27によって画像の記録が行われる。記録用紙の所定領域に画像が記録された後は、排紙ローラ40が連続的に回転駆動され、排紙ローラ40及び押さえローラ41により狭持された記録用紙は、排紙トレイ32へ排出される。
図1に示すように、プリンタ部11のフレームを構成する原稿載置部13の上傾斜面に操作パネル45が取り付けられている。この操作パネル45は、プリンタ部11やスキャナ部12の操作等をするための装置であって、その上面44に各種操作キー56〜58及び液晶表示部59等が設けられている。また、原稿載置部13の下部に、プリンタ部11及びスキャナ部12の作動並びに多機能装置10全体の動作を制御する制御装置(図示せず)が備えられている。
図2に示すように、この操作パネル45の下方(原稿載置部13の内部)に制御基板54が配設されている。操作パネル45上に配置された各種操作キー56〜58は、図示されていないフラットケーブルを介して制御基板54と接続されている。この制御基板54は、上記制御装置に接続されており、この制御装置は、上記各種操作キー56〜58からの指令を処理し、当該多機能装置10の作動を制御する。
多機能装置10のユーザーは、操作パネル45の各種操作キー56〜58を用いて所望の指令を入力する。多機能装置10は、この入力を受けて所定の動作を行う。前述のように、この多機能装置10にはパーソナルコンピュータ等が接続され得る。その場合、多機能装置10は、操作パネル45からの指示のほか、このパーソナルコンピュータからスキャナドライバやプリンタドライバ等を介して送信される指示によっても動作することが可能である。
図1に示すように、多機能装置10の正面に上記スロット部61が配設されている。各種小型メモリーカード等の記憶媒体がこのスロット部61に装着することができる。小型メモリーカードは画像データを記憶することができ、スロット部61に装填された小型メモリカードから当該画像データが読み出され、その画像データに関する情報が液晶表示部59に表示される。そして、液晶表示部59に表示された任意の画像がプリンタ部11により記録用紙に記録される。このための入力は、上記操作パネル45から行われる。
図5は、リフィルユニット70の斜視図である。図6は、図5におけるVI−VI断面図である。
このリフィルユニット70は、ユニット本体74(リフィルユニット用ユニット本体)を備えている。インクカートリッジ63は、このユニット本体74に挿抜されるようになっており、インクカートリッジ63がユニット本体74に挿入されたときは、当該ユニット本体74に確実に保持されるようになっている。
ユニット本体74は、インクカートリッジ63が挿抜されるケース75と、ケース75に設けられた扉76と、扉76に設けられた引出部材77とを備えている。
ケース75は、例えば樹脂からなり、全体としてほぼ直方体状に形成されている。ケース75の内部にインクカートリッジ63が収容され保持される収容室78(保持部)が区画形成されている(図6参照)。本実施形態では、ケース75は、4つの収容室78を有し、各収容室78に上記4つのインクカートリッジ63が挿抜されるようになっている。各収容室78の内壁面形状は、インクカートリッジ63の外周面形状に対応されている。このため、各インクカートリッジ63は、がたつくことなく確実にケース75に保持される。
ケース75は、底板部80と、この底板部80の左右両側に立設された一対の側板部81と、各側板部81間に架け渡すように配置された天板部82とを備えており、さらに、上記各収容室78を区画するための隔壁部(不図示)が設けられている。この隔壁部は、ケース75に収容されるインクカートリッジ63の数に応じて配置される。もっとも、この隔壁部は、各収容室78を完全に区画するように設けられている必要はなく、少なくとも底板部80に、隣り合う収容室78間を仕切るリブ状に形成されていればよい。これら底板部80、側板部81、天板部82及び隔壁部は、一体的に形成されるのが好ましい。
ケース75の背面に図示されていないプッシュロッドが突設されている。このプッシュロッドは、収容室78側へ突出しており、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときに、当該インクカートリッジ63に設けられた空気導入弁85(図7、図13〜図14参照)に挿入される。これにより、空気が空気導入弁85を通じてインクカートリッジ63の内部へ進入することができ、インクカートリッジ63内のインクが円滑に上記記録ヘッド27側へ送られる。また、図6に示すように、ケース75の背面に液位センサ用コネクタ86が設けられている。この液位センサ用コネクタ86は、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときに、当該インクカートリッジ63に設けられた液位センサ87(図14参照)に接続されるようになっている。この液位センサ用コネクタ86は、上記制御装置に接続されており、この制御装置は、常に各インクカートリッジ63に貯留されているインクの残量を監視している。さらに、ケース75は、上記収容室78の内奥部に図示されていないインク供給管(インク導出部)を備えている。このインク供給管は、インクカートリッジ63と上記記録ヘッド27とを接続するものであって、インクカートリッジ63内のインクは、このインク供給管を介して記録ヘッド27に送られる。
図6に示すように、上記底板部80の上面は、インクカートリッジ63が載置される載置面98を構成している。この載置面98の高さ位置は、インクカートリッジ63が上記収容室78に挿入された状態で、上記インク供給管がインクカートリッジ63のインク供給弁115(図14参照)に挿入されるように設定されている。また、このように上記載置面98の高さが設定されることにより、上記プッシュロッドがインクカートリッジ63の空気導入弁85(図14参照)に挿入され、且つ上記液位センサ用コネクタ86がインクカートリッジ63の液位センサ87(図14参照)と嵌合することができるようになっている。
図6に示すように、上記天板部80にリブ124が立設されており、これにより、ケース75の剛性が向上されている。天板部80は、スイングアーム123を備えている。図7は、ユニット本体74の要部側面図であり、扉76の開閉とスイングアーム123の揺動との関係を模式的に示している。
このスイングアーム123は、同図に示すように全体として略L字状に形成されており、第1アーム125と第2アーム126とを有する。第1アーム125と第2アーム126との境界部に支持軸127が配置されており、スイングアーム123は、この支持軸127に回動自在に支持されている。第1アーム125と天板部82との間に引張バネ128が取り付けられている。これにより、スイングアーム123は、常時時計回りに回動するように、すなわち同図において二点鎖線で示された姿勢となるように弾性付勢されている。スイングアーム123は、このように弾性的に付勢されているから、当該弾性力に抗して反時計回りに回転力を受けることにより、実線で示された姿勢に変化することができる。このスイングアーム123は、後述されるようにインクカートリッジ63の上面122に係合することができるようになっており、インクカートリッジ63を上記収容室78から強制的に押し出すことができる。
図5及び図6に示すように、ケース75の前面79に開口88が設けられている。この開口88は、各収容室78に対応して設けられている。換言すれば、これら各開口88にそれぞれ連続してケース75内に上記各収容室78が設けられており、上記4つのインクカートリッジ63は、それぞれ、この開口88を通じて前面79側から各収容室78に挿抜されるようになっている。
図8は、上記扉76が開かれた状態でのユニット本体74の断面図である。図9及び図10は、この扉76の分解斜視図である。
上記扉76は、上記開口88を開閉する。この扉76は、各開口88にそれぞれ設けられており、図6に示すように開口88を閉じる姿勢(閉塞姿勢)と、図8に示すように開口88を開放する姿勢(開放姿勢)との間で姿勢変化するようになっている。扉76が閉塞姿勢となったときは、上記収容室78内にインクカートリッジ63が確実に保持され、扉76が開放姿勢となったときは、上記収容室78に対してインクカートリッジ63が容易に挿抜されるようになっている。
図5及び図6に示すように、扉76は、扉本体89と、これに設けられた押圧保持部材90(押込手段)と、ロック部材91及びロック解除レバー92とを備えており、これらは、それぞれ樹脂により成形されている。図6、図9及び図10に示すように、扉本体89は、細長矩形の板状に形成されている。扉本体89の外形形状は、上記開口88の形状に対応されている。扉本体89の下端部93に回動軸部94が形成されている。この回動軸部94は、扉本体89と一体的に形成されている。この回動軸部94は、図6に示すように、ケース75の前面79の下部に支持されている。具体的には、ケース75の底板部80の前端部に軸受部95が形成されており、この軸受部95に上記回動軸部94が回動自在に嵌め込まれている。これにより、扉本体89は、図6に示すように起立して上記開口88を閉じることができ、また、図8に示すように倒伏して上記開口88を開くことができる。
扉本体89の下端部93に上記引出部材77が設けられている。この引出部材77は、扉本体89と一体的に形成されている。この引出部材77は、略L字状に形成されており、延設部96と屈曲部97とを有する。延設部96は上記下端部93に連続して設けられている。図6に示すように、延設部96は、扉76が閉塞姿勢となった状態で、上記下端部93から後方に延びている。また、屈曲部97は、上記延設部96の後端に連続し、略90°の角度をなして上方に延びている。扉76が閉塞姿勢となったときは、上記屈曲部97の先端は、上記載置面98よりも上方に突出している。扉本体89は、上記回動軸部94を回転中心として回動し、これにより、上記L字状に形成された引出部材77も図6及び図8に示すように上記回動軸部94を中心にして回動する。後に詳述されるが、このように引出部材77が回動されることにより、インクカートリッジ63が上記収容室78から引き出されるようになっている。
図8に示すように、上記扉76が開放姿勢へと変化する際に、上記引出部材77の屈曲部97が回動軸部94を中心に反時計回りに回動する。このとき、屈曲部97が回動することによって、その外壁面110は、略垂直に起立した状態から(図6参照)略水平な状態に変化する(図8参照)。引出部材77の延設部96の長さは所定の寸法に設定されており、このため、屈曲部97が回動されたときは、その外壁面110は、ケース75の載置面98よりも若干上方に、すなわち、上記載置面98の略延長上に位置し且つ前後方向に延びる。そして、この外壁面110は、上記扉76が開放姿勢であるときに、インクカートリッジ63を上記収容室78内の載置面98上へ案内するガイド面として機能する。すなわち、上記引出部材77は、インクカートリッジ63を上記収容室78から引き出すための部材として機能することに加えて、インクカートリッジ63を上記収容室78へ挿入する際の案内部材としても機能する。
本実施形態では、各扉本体89のそれぞれに2つの引出部材77が設けられている。すなわち、各引出部材77は、図10に示すように、扉本体89の幅方向に対向配置されている。このように一対の引出部材77が配置されることにより、一対の引出部材77は、インクカートリッジ63を幅方向に挟み込んで支持するようになっている。また、本実施形態では、各引出部材77の間隔(幅方向寸法)d1(図9参照)は、インクカートリッジ63の幅方向寸法d2(図14参照)よりも小さく設定されている。このように寸法d1、d2が定められることによる作用効果については、後述される。
図6、図8、図9及び図10に示すように、押圧保持部材90は、扉本体89の内側面に取り付けられている。押圧保持部材90の両側面に爪146が設けられており、扉本体89に爪収容部147が設けられている。上記爪146は、押圧保持部材90の側面に突設されている。上記爪収容部147は、扉本体89の前後方向に延びる溝から構成されている。上記爪146は、上記爪収容部147にスライド自在に嵌め込まれており、したがって押圧保持部材90は、扉本体89に対して前後方向に進退可能に支持されている。すなわち、押圧保持部材90は、扉本体89の内面から隆起した突出姿勢(図8参照)と、当該姿勢から扉本体89側へ退避した退避姿勢(図6参照)との間で変位することができる。図10に示すように、押圧保持部材90と扉本体89との間にコイルバネ99(弾性部材)が介在されている。この押圧保持部材90とコイルバネ90とによって、インクカートリッジ63をケース75の収容室78に押し込む押込手段が実現されており、押圧保持部材90は、図8に示すように常時上記突出姿勢となるように弾性付勢されている。
この押圧保持部材90は、図5及び図6に示すように、扉76が閉塞姿勢となったときにインクカートリッジ63の前面117に当接し、インクカートリッジ63によって相対的に押圧されることによって上記退避姿勢側へ変位する。換言すれば、インクカートリッジ63は、押圧保持部材90を介して上記コイルバネ99の弾性力を受けて後方へ、すなわち上記収容室78に押し込まれる。したがって、インクカートリッジ63がケース75に対して位置決めされた状態で保持され、これにより、インクカートリッジ63のインク供給弁115からのインクの漏れが防止される。
本実施形態では、押圧保持部材90は平板状に形成されている。この押圧保持部材90の壁面84は、扉76が閉塞姿勢となったときにインクカートリッジ63の前面117と対向する対向板を構成している。この対向板84は平坦面に形成されており、図5及び図10に示すように、当該対向板84上に一対の突条141、142(脚部)が形成されている。したがって、扉76が閉塞姿勢となったときは、これら突条141、142がインクカートリッジ63の前面117に当接し、これを押圧する。この突条141、142は、扉76の幅方向に所定の間隔をあけて配置されている。このため、扉76が閉塞姿勢となったときは、押圧保持部材90は、インクカートリッジ63の接合部143と接触することなく、上記突条141、142が接合部143の両側に略均等に接触することになる。
図9及び図10に示すように、ロック部材91は、扉本体89の上端部に取り付けられている。ロック部材91は、主軸部132と、主軸部132の上端に連続してケース75の内側に突出する鍵部133と、主軸部132の下端に連続してケース75の外側に突出する座部109とを有する。
ロック部材91は、扉本体89に対して上下方向に進退可能に支持されている。扉本体89の上端部にスライドレール101が上下方向に延設されている。また、ロック部材91の主軸部132に上下方向に延びるスライド溝102が設けられている(図9参照)。このスライド溝102に上記スライドレール101が挿入されており、これにより、ロック部材91が上下にスライド自在となっている。
上記主軸部132の両側面に爪144が設けられている。これら爪144は、主軸部132の外側へ突出している。ロック部材91が扉本体89に嵌め込まれたときは、上記爪144が主軸部132に設けられた爪収容部145に収容される(図10参照)。この爪収容部145は、上下方向に所定長さだけ延びる溝から構成されている。したがって、ロック部材91が上方あるいは下方へスライドすると、上記爪144が上記爪収容部145の内壁面に当接し、これにより、ロック部材91の上下方向へのスライドが規制される。
上記爪収容部145を構成する溝の長さが所定寸法に設定されることにより、ロック部材91のスライド範囲が規定される。ロック部材91が扉本体89に対して上方へスライドし、上記爪144が上記爪収容部145の内壁面の上縁に当接すると、ロック部材91は、扉本体89の上端から上方に突出した姿勢となる。本明細書において、ロック部材91が上記爪収容部145の内壁面の上縁に当接する位置は、「突出位置」と定義される。また、ロック部材91が扉本体89に対して下方へスライドし、上記爪144が上記爪収容部145の内壁面の底縁に当接すると、ロック部材91は、扉本体89の内側に退避する姿勢となる。本明細書において、ロック部材91が上記爪収容部145の底縁に当接する位置は、「退避位置」と定義される。
図10に示すように、ロック部材91と扉本体89との間にコイルバネ100が介在されている。したがって、ロック部材91は、常時扉本体89から上方に突出するように、すなわち、上記突出位置へ変位する方向に弾性付勢されている。
また、ロック部材91の鍵部133の上面103は、下方へ傾斜した傾斜面となっている。したがって、図8及び図6に示すように、扉76が開放姿勢から閉塞姿勢へと変化したときに、ロック部材91の上記上面103がケース75の開口88の上縁部130に当接し(図11参照)、さらに扉76が閉塞姿勢側へ回動されると、ロック部材91が上記上縁部130に相対的に押圧されつつ扉本体89の内側へ退避する。そして、扉76が完全に閉塞姿勢へと姿勢変化すれば、図11に示すようにロック部材91が再び扉本体89から突出し、上記鍵部133がケース75の上記上縁部130に当接係合する(図6参照)。
このとき、図5及び図11に示すように、ロック部材91の鍵部133は、ケース75に設けられたロック部材嵌合孔83に嵌め込まれた状態となる。このロック部材91は、上記コイルバネ100によって常時扉本体89から突出するように弾性的に付勢されているから、このロック部材91は、上記上縁部130に押圧される。このときのロック部材91の位置は、上記突出位置よりも若干上記退避位置側へ退避した中間位置である。言い換えれば、ロック部材91が上記ロック部材嵌合孔83に嵌め込まれた際に上記中間位置に配置されるように、上記上縁部130の位置が決定されている。ロック部材91は、中間位置にあるときは常に上記上縁部130に弾性的に押しつけられているから、ロック部材91が容易に上記ロック部材嵌合孔83から外れることはない。したがって、閉塞姿勢となった扉76は、当該姿勢に保持される。
図9及び図10に示すように、ロック解除レバー92は、矩形の板状に形成されており、扉本体89の外側面105の上方に取り付けられている。本実施形態では、扉本体89は、ロック解除レバー92を収容する収納部150を備えている。この収納部150は、扉本体89に設けられた凹部からなり、後述のようにロック解除レバー92が変位したときに当該ロック解除レバー92が収納部150に嵌め込まれるようになっている。
ロック解除レバー92の下端部に支持ピン106が設けられている。一方、扉本体89は、ピン支持孔107が設けられている。このピン支持孔107に上記支持ピン106が嵌合されており、これにより、ロック解除レバー92は、支持ピン106を回動中心として回動自在となっている。具体的には、ロック解除レバー92は、図6に示すように起立することによって扉本体89の外側面105と略平行となる姿勢と、略45°(degree)に傾斜した姿勢と(図11参照)、さらに、略水平に倒伏した姿勢(図12参照)との間で自由に回動変位することができるようになっている。
ロック解除レバー92は、起立するにつれて扉本体89の収納部150に挿入される。ロック解除レバー92が上記収納部150に収納されると、扉本体89の外側面105に略平行となる。つまり、ロック解除レバー92の前面131は、ケース75の前面79にほぼ沿った状態となる。このときのロック解除レバー92の位置は、「収納位置」と定義される。また、ロック解除レバー92が略45°に傾斜したときのロック解除レバー92の位置は「中立位置」と定義され、さらに、略水平に倒伏したときのロック解除レバー92の位置は「倒伏位置」と定義される。なお、ロック解除レバー92の上面151に矢印が表示ないし刻成されている。これにより、ロック解除レバー92の操作方向が瞭然である。
ロック解除レバー92の下端部108(所定部)は、所定の外形形状に形成されている。この下端部108は、ロック解除レバー92の位置が変化したときにロック部材91を上下にスライドさせるための連動カムを構成している。後に詳述されるが、連動カム108が設けられることにより、ロック解除レバー92が収納位置から中立位置を経て倒伏位置まで回動された際には、上記ロック部材91は、上記突出位置から上記中間位置を経て上記退避位置までスライドするようになっている。逆に言えば、ロック部材91が突出位置にあるときは、ロック解除レバー92は収納位置に配置され、また、前述のように扉76が閉じられ、ロック部材91がケース75の上縁部130に当接している状態では、ロック解除レバー92は、収納位置(図6参照)と中立位置(図11参照)との間で自由に変位することができる。このとき、ロック解除レバー92は、自重によって常時中立位置に変位するように、その重心位置が設定されている。
図11は、リフィルユニット10の断面図であって、ロック解除レバー92の作動要領を示している。また、図12は、図11における要部拡大図である。
ロック解除レバー92の連動カム108は、ロック部材91の座部109に当接している。扉76が閉じられた状態(図11に示す状態)では、ロック解除レバー92は、その自重によってさらに時計回りに回転しようとする。すなわち、ロック解除レバー92は、連動カム108を介してロック部材91をさらに下方へ押圧する方向に回転しようとする。しかし、ロック部材91が上記コイルバネ100によって常時上方へ弾性付勢されているから、ロック解除レバー92の自重の作用のみによってロック部材91が変位されることはなく、ロック部材91は、上記中間位置に維持される。
ただし、図12に示すように、このロック解除レバー92がさらに時計回りに強制的に回動された場合、例えば、インクカートリッジ63を交換しようとする作業者がロック解除レバー92を操作した場合には、このロック解除レバー92は倒伏位置まで回動変位される。ロック解除レバー92が倒伏位置まで変位すると、上記連動カム108が上記支持ピン106を中心にして回動変位し、ロック部材91の座部109を押し下げる。これにより、ロック部材91は、上記コイルバネ100の弾性力に抗して下方へ移動し、退避位置へと変位する。ロック部材91が退避位置へ変位すれば、扉76のロックが解除され、当該扉76は、閉塞姿勢から開放姿勢へと変化することができる。
なお、ロック部材91は、常時上記コイルバネ100による弾性力を受けているから、ロック解除レバー92に作用する回動力がなくなれば、換言すれば、作業者がロック解除レバー92から手を離せば、ロック部材91は、扉本体89から最も突出した姿勢となる。このとき、ロック解除レバー92は、上記収納位置まで強制的に変位される。すなわち、図8に示すように、扉76が開放姿勢にあるときは、ロック解除レバー92は、扉本体89にほぼ収容された姿勢となる。したがって、図1、図5、図8に示すように、インクカートリッジ63を交換する場合には、ロックレバー92が扉本体89内にほぼ収容された状態となるため、扉76がほぼ水平状態となるまで回動軸部94を回動の中心として回動できるので、作業者は容易にインクカートリッジ63を交換できる。また、上記押圧保持部材90の壁面84に設けられている2つの突条141、142は、後述する屈曲部97間のガイド部と協働して、インクカートリッジ63を収容室78に収容する際のガイドとしても作用する。すなわち、インクカートリッジ63が収容室78に挿入されるときは、作業者はインクカートリッジ63の底面を突条141、142上に乗せると共にインクカートリッジ63の先端部分を屈曲部97間に載置し、そのままインクカートリッジ63を収容室78方向へ押し込めばよい。また、インクカートリッジ63を収容室78から抜き取るときは、作業者はインクカートリッジ63の底面が屈曲部97間から突条141、142上に至るまで抜き取ればよい。
多機能装置10が通常の使用状態であるときは、リフィルユニット70の扉76が閉じられ、ロック解除レバー92が上記中立位置に配置されている。したがって、図1に示すように、インクカートリッジの交換時において開閉蓋72が開かれたときは、ロック解除レバー92は、上記作業者側に傾倒している。このため、上記作業者は、ロック解除レバー92を容易に操作することができるという利点がある。ところで、図1に示すようにリフィルユニット70が多機能装置10の前面71に配置されていることから、ロック解除レバー92が上記中立位置に配置されていれば、すなわち前面側に傾倒していれば、リフィルユニット70を収容するために広いスペースが多機能装置10内に確保される必要がある。したがって、リフィルユニット70は、上記開口73周縁よりも内奥に配置される必要があり、そのため、多機能装置10の外形寸法が大きくなってしまうおそれがある。
しかし、本実施形態では、ロック解除レバー92は、扉76がケース75に対して閉塞姿勢にあるときは、上記中立位置と上記収納位置との間で自由に回動することができるので、リフィルユニット70は、上記開口73の周縁近傍に配置され得る。リフィルユニット70が当該開口73の周縁に配置されたとしても、上記開閉蓋72が閉じられる際に当該開閉蓋72の内壁面が上記ロック解除レバー92に当接し、完全に開閉蓋72が閉じられると、ロック解除レバー92は、当該開閉蓋72に押されながら上記収納位置へ変位するからである。したがって、本実施形態では、多機能装置10のコンパクト設計が可能である。
図13は、インクカートリッジ63の側面図である。図14は、インクカートリッジ63の斜視図である。
インクカートリッジ63は、前述のように予めインクを貯留しておくためのものであり、カートリッジ本体111(ボディ)と、これに内蔵されたインクとを備えている。本実施形態では、リフィルユニット70が4つのインクカートリッジ63を収容するようになっているので、各インクカートリッジ63には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のインクがそれぞれ貯留されている。ただし、各インクカートリッジ63の構造は、図1や図5から明らかなように、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ63のみが他のインク色のインクカートリッジ63に比べて僅かに厚み方向に大きく構成されている。これは、一般的に言ってブラックインクの需要が最も多く、大量に消費されるからである。なお、ブラック以外の色のインクを貯留するインクカートリッジ63の構造は、すべて同様である。
カートリッジ本体111は、樹脂から構成されている。本実施形態では、カートリッジ本体111は全体として薄肉の直方体状に形成されており、内部にインクが収容されるインク収容空間が区画されている。このカートリッジ本体111は、2つのトレイ状の部材112、113(ボディ片)から構成されており、これら2つの部材112、113が溶着その他の既知の固着手段によって接合されてなる。なお、カートリッジ本体111が接合されることによって、上記接合部143が形成されている。
カートリッジ本体111の背面114に上記空気導入弁85が設けられている。本実施形態では、この空気導入弁85の内奥部にチェック弁が配置されている。インクカートリッジ63が上記ケース75に収容されると、上記空気導入弁85に上記ケース75に設けられたプッシュロッドが挿入され、これにより、上記チェック弁が開かれるようになっている。また、カートリッジ本体111の背面114にインク供給弁115が設けられている。インクカートリッジ63が上記ケース75に収容されると、このインク供給弁115に上記ケース75に設けられたインク供給管が連結されるようになっており、このインク供給管を介してインクが上記記録ヘッド27に供給される。さらに、上記背面114に上記液位センサ87が設けられている。この液位センサ87の構造は特に限定されるものではなく、既知のセンサが採用され得る。
カートリッジ本体111の下面に嵌合溝116が設けられている。嵌合溝116は、図14に示すように、カートリッジ本体111の側面と底面との境界の角部に凹設されている。この嵌合溝116は、同図に示すように、カートリッジ本体111の長手方向に延びている。本実施形態では、この嵌合溝116は、カートリッジ本体111の左右両側に対象に設けられている(図5参照)。図13に示すように、この嵌合溝116は、カートリッジ本体111の背面114に開口し、当該背面114に連続して前面117側へ延びる浅溝部118と、この浅溝部118に連続し、溝深さ(同図において上下方向の寸法)が漸次大きくなる境界溝部119と、さらに、この境界溝部119に連続する深溝部120とを有する。この深溝部120は、カートリッジ本体111の前面117に連続しておらず、そのため、深溝部120の上記前面117側に端面121が形成されている。換言すれば、嵌合溝116は、インクカートリッジ63がケース75に挿抜される方向に延びており、カートリッジ本体111の背面114に連なるが前面117とは連なっておらず、上下方向に延びる端面121を有する。そして、この端面121に、上記引出部材77の屈曲部97の先端が後述のように当接されるようになっている。
カートリッジ本体111の上面122にも溝149が設けられている。この溝149は、図14に示すように、カートリッジ本体111の側面と上面122との境界の角部に凹設されている。この溝149は、同図に示すように、カートリッジ本体111の長手方向に延びており、カートリッジ本体111の前面117及び背面114に連なっている。さらに、カートリッジ本体111の上面122に凹部134が設けられている。この凹部134は、V字状に形成されており、前側傾斜面135と後側傾斜面136とを備えている。図6及び図7に示すように、インクカートリッジ63が収容されるケース75に上記スイングアーム123が設けられており、このスイングアーム123は、引張バネ128によって常時時計回りに弾性的に回動付勢されている。
上記ケース75にインクカートリッジ63が挿入されると、図7に示すように、まず、カートリッジ本体111の上面後端部148がスイングアーム123の第2アーム126に当接する。そのままインクカートリッジ63がケース75に挿入されると、スイングアーム123は反時計回りに回動して同図の実線で示された姿勢となる。さらにインクカートリッジ63が挿入されると、スイングアーム123は、上記後側傾斜面136に案内されつつ時計回りに回動し、上記凹部134に嵌め込まれる。さらにインクカートリッジ63がケース75に収容されると、スイングアーム126の第2アーム126が上記前側傾斜面135に案内されつつ再び反時計回りに回動して同図の実線で示された姿勢となる。さらに、インクカートリッジ63がケース75に挿入されることによって、インクカートリッジ63がスイングアーム123に対して相対的にスライドし、同図の実線で示された位置よりもさらに右側に所定距離だけ移動した位置に配置されると、当該インクカートリッジ63は、ケース75に完全に収容される。この場合の所定距離とは、図8に示す距離L1である。
図15は、インクカートリッジ63、ケース75及び扉76の引出部材77の嵌合構造を模式的に示す図であり、同図(a)はインクカートリッジ63の下部とケース75の下部との嵌合構造を示し、同図(b)は、インクカートリッジ63と引出部材77との嵌合構造を示している。
同図(a)に示すように、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、ケース75に設けられた隔壁部137がインクカートリッジ63の嵌合溝116に嵌め込まれる。なお、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、ケース75の天板部82側に設けられた隔壁部137もインクカートリッジ63の上面122側に設けられた溝149に嵌め込まれる。このとき、インクカートリッジ63の下面155は、底板部80上に載置される。これにより、インクカートリッジ63がケース75に位置決めされた状態で収容保持される(図6参照)。また、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、同図(b)に示すように、インクカートリッジ63の下面155が扉本体89上に載置され、引出部材77の屈曲部97が嵌合溝116内に進入する。この状態から扉76が開かれる際には、図6及び図7に示すように引出部材77が回動し、上記屈曲部97が嵌合溝116の端面121を前方(図7において左方)に引っ張る。
ただし、インクカートリッジ63と、ケース75と、扉76の引出部材77との嵌合構造は、上記構造に限定されるものではない。図16は、インクカートリッジ63、ケース75及び扉76の引出部材77の嵌合構造の変形例を模式的に示す図である。同図(a)はインクカートリッジ63の下部とケース75の下部との嵌合構造を示し、同図(b)は、インクカートリッジ63と引出部材77との嵌合構造を示している。
同図に示す嵌合構造が上記図15に示す嵌合構造と異なるところは、上記図15に示す嵌合構造では、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、インクカートリッジ63の下面155が底板部80上に載置され(同図(a)参照)且つ扉本体89上に載置される(同図(b)参照)のに対し、図16に示す嵌合構造では、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、インクカートリッジ63の下面155が底板部80と接触せず、上記嵌合溝116の上壁面156が上記隔壁部137上に当接され(同図(a)参照)る。このとき、同図(b)に示すように、インクカートリッジ63の下面155は扉本体89と接触せず、上記上壁面156は、引出部材77の屈曲部97上に載置され、当該屈曲部97が嵌合溝116内に進入する。この変形例においても、インクカートリッジ63がケース75に位置決めされた状態で収容保持される。そして、扉76が開かれる際には、図6及び図7に示すように引出部材77が回動し、上記屈曲部97が嵌合溝116の端面121を前方(図7において左方)に引っ張る。
また、図17は、インクカートリッジ63、ケース75及び扉76の引出部材77の他の嵌合構造の他の変形例を模式的に示す図である。同図(a)はインクカートリッジ63の下部とケース75の下部との嵌合構造を示し、同図(b)は、インクカートリッジ63と引出部材77との嵌合構造を示している。
同図に示す嵌合構造が上記図15に示す嵌合構造と異なるところは、上記図15に示す嵌合構造では、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、インクカートリッジ63の下面155が底板部80上に載置され(同図(a)参照)且つ扉本体89上に載置される(同図(b)参照)のに対し、図17に示す嵌合構造では、インクカートリッジ63は、その下面155に溝138が設けられている。この溝138は、上記嵌合溝116と同方向に延びている。そして、この溝138に嵌合する突条139が扉本体89に形成されている。この突条139も上記嵌合溝116と同方向に延びており、上記溝138に嵌合するようになっている。インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、インクカートリッジ63の下面155が底板部80上に載置され、且つ扉本体89上に載置され、引出部材77の屈曲部97が嵌合溝116内に進入する。
この状態から扉76が開かれる際には、図6及び図7に示すように引出部材77が回動し、上記屈曲部97が嵌合溝116の端面121を前方(図7において左方)に引っ張る。このとき、扉本体89に上記突条139が設けられているので、当該突条139がインクカートリッジ63に設けられた上記溝138に嵌合する。したがって、扉76が開かれたときに、インクカートリッジ63は、側方に倒れることなく安定してケース75から引き出される。これにより、インクカートリッジ63の取出作業がより円滑に行われる。
本実施形態に係る多機能装置10では、使用済みのインクカートリッジが次の要領で交換される。
図5に示すように、インクカートリッジ63は、その背面114(図14参照)側からケース75の収容室78に収容される。扉76が閉じられると、図8及び図6に示すように、押圧保持部材90がインクカートリッジ63の前面117を弾性的に押圧する。これにより、インクカートリッジ63は、収容室78の内奥側に押し込まれると共に、上記インク供給管がインクカートリッジ63の背面114に係合する。インク供給管は、具体的には、例えばインクカートリッジ63の背面114に突き刺さるインク供給針や、インクカートリッジが係合することにより開かれるインク供給弁が採用され得る。
インク供給管がインクカートリッジ63に係合すると、押圧保持部材90に設けられた突条141、142がインクカートリッジ63の前面117に接触する。この突条141、142は、インクカートリッジ63の前面117に略均等に接触するので、この押圧保持部材90によって付与される弾性力は、インクカートリッジ63の前面117に略垂直に作用する。したがって、インクカートリッジ63が収容室78に押し込まれたときに、上記インク供給管は、インクカートリッジ63の背面114に対して極端に傾くことはない。
したがって、インクカートリッジ63がケース75に収容保持された状態で、インク供給管がインクカートリッジ63に対して極端に傾くことなく係合するので、このインク供給管とインクカートリッジ63との間にねじれ等が生ずることがなく、インク漏れが確実に防止される。
本実施形態では、押圧保持部材90の壁面84がコイルバネ99によってインクカートリッジ63の前面117に付勢されるから、この壁面84に設けられた突条141、142がインクカートリッジ63を押し付ける。したがって、インクカートリッジ63をケース75の内奥側に押し込む手段としての押圧保持部材90の構造がきわめて簡単である。また、インクカートリッジ63に接触する突条141、142が上記壁面84に設けられているから、インクカートリッジ63の前面117を均等に押圧するための手段もきわめて簡単な構造となる。したがって、リフィルユニット70の構造も簡略化され、製造コストの上昇が抑えられるという利点がある。
本実施形態では、上記突条141、142は、図5に示すように、扉76が開かれた状態で前後方向に、すなわち、インクカートリッジ63がケース75に対して進退する方向に沿って延びている。したがって、インクカートリッジ63がケース75に挿入されるときは、作業者は、このインクカートリッジ63を一旦突条141、142の上に載置することができる。そして、作業者は、上記突条141、142に載置されたインクカートリッジ63をそのままケース75側へ押し込むことによって、簡単に収容室78に収容することができる。すなわち、本実施形態では、上記突条141、142は、扉76が開放姿勢となったときにインクカートリッジ63が上記収容室78に収容される際の案内部材を兼ねており、これにより、インクカートリッジ63の交換作業をする者にとって、作業が容易であるという利点がある。
インクカートリッジ63がケース75に収容された状態で扉76が閉じられているときは、図11に示すように、ロック部材91が突出位置側へスライドしてケース75の上縁部130と当接している。すなわち、ロック部材91が中間位置に変位し、当該扉76が閉塞姿勢にロックされている。扉76が閉塞姿勢にあるときは、上記ロック解除レバー92は、前述のように中立位置から収納位置へ自在に変位することができる。このとき、開閉蓋72が閉じられると、当該開閉蓋72の内壁面が上記ロック解除レバー92に当接し、完全に開閉蓋72が閉じられると、ロック解除レバー92は、当該開閉蓋72に押されながら上記収納位置へ変位する。すなわち、開閉扉72が閉じられることによってリフィルユニット70の外形寸法が小さくなり、したがって、本実施形態では、多機能装置10のコンパクト設計が可能である。
作業者は、インクカートリッジ63を多機能装置10から取り出すには、図1に示すように、開閉蓋72を開放する。これにより、多機能装置10の前面にリフィルユニット70が露出する。本実施形態では、前述のように、開閉蓋72が開放されるとリフィルユニット70のロック解除レバー92が収納位置から中立位置に変位し、同図に示すように多機能装置10の前面側に傾倒する。ロック解除レバー92が中立位置にあるときは、このロック解除レバー92がケース75の前面79から離れる側に傾倒しているから、作業者にとってロック解除レバー92を容易に操作することができる。すなわち、作業者は、上記ケース75の前面79から手前側に傾倒したロック解除レバー92に容易に指を掛けることができ、これを簡単に倒伏位置へ回動させることができる。
この状態で作業者は、リフィルユニット70の扉76を開く。具体的には、作業者はロック解除レバー92に指を掛けて手前側に押し下げ、当該ロック解除レバー92を倒伏位置へと変位させる。これにより、扉76のロック部材91が下方へスライドし、当該ロック部材91の鍵部133(図12参照)が扉76のロック部材嵌合孔83から外れる。作業者は、当該ロック解除レバー92をそのまま手前側へ引っ張ることによって、図1に示すように扉76を開くことができ、その状態で、インクカートリッジ63を取り出すことができる。
扉76が開かれ、作業者の指がロック解除レバー92から離れると、前述のようにロック部材91が突出位置へ変位し、これに伴ってロック解除レバー92が収納位置へ変位する。ロック解除レバー92が収納位置へ変位することによって、当該ロック解除レバー92は、扉本体89の収納部150に嵌め込まれ、ケース75の前面79にほぼ沿った状態となる。そして、扉76が完全に解放されると、図7に示すように、ロック解除レバー92の前面131が開閉蓋72(図1参照)に当接し、これにより、扉76が略水平となる。その結果、インクカートリッジ63をケース75に対して挿抜する作業が一層簡単になる。
本実施形態では、扉76は、ロック部材91をスライド可能な状態で保持している。具体的には、扉本体89のスライドレール101がロック部材91のスライドを案内する。したがって、ロック部材91は、円滑にスライドすることができるという利点がある。また、ロック部材91は、コイルバネ100によって常時突出位置側へ付勢されているから、扉76が閉じられると直ちにロック部材91が突出位置側へスライドし、中間位置でケース75に当接する。そして、ロック部材91が中間位置にあるときは、ロック部材91は、一定の弾性力をコイルバネ100から受けつつ当該中間位置に保持されることになるから、ロック部材91がケース75に確実に係合し、扉76が閉塞姿勢にロックされる。したがって、インクカートリッジの交換作業、特に扉76を閉めてインクカートリッジ63をケース75に収容する作業が一層簡単で確実なものとなる。
また、本実施形態では、ロック解除レバー92が連動カム108を備えており、この連動カム108がロック解除レバー92の回動に連動させてロック部材91を変位させる。したがって、ロック部材91を変位させる構造がきわめて簡単であり、その結果、ケース75の外形寸法ひいてはリフィルユニット70の外形寸法が小さくなるという利点がある。
さらに、ロック部材91とロック解除レバー92とが連動することにより、ロック部材91が突出位置にあるときは、ロック解除レバー92は、コイルバネ100に付勢されて自動的に収納位置へ変位する。したがって、扉76が開かれて、そのまま扉76が倒伏された場合であっても当該扉76が略水平な姿勢となる。扉76が略水平な状態で開放されると、前述のように、インクカートリッジ63の挿抜作業が容易になる。
この扉76が閉塞姿勢から開放姿勢へと変化する際に、図8に示すように、引出部材77が回動軸部94を中心に回動し、屈曲部97がインクカートリッジ63の端面121に当接し図中左側へ(図1において正面手前側へ)押圧する。これにより、インクカートリッジ63は、開口88側へ掻き出されるように所定の距離L1だけケース75の開口88から手前側に引き出される。したがって、作業者は、このインクカートリッジ63を容易に把持することができ、開口88から簡単に引っ張り出すことが可能である。
使用済みのインクカートリッジ63が抜脱された後に、新品のインクカートリッジ63が上記開口88からケース75の収容室78へ挿入される。
扉76に上記押圧保持部材90が設けられているから、新品のインクカートリッジ63は、一旦この押圧保持部材90の壁面84に設けられている突条141、142上に載置され、この突条141、142に沿ってスライドされつつケース75の収容室78内に案内される。しかも、前述のように、扉76に設けられた引出部材77も新品のインクカートリッジ63がケース75内に挿入される際の案内部材を兼ねているから、上記収容室78へ挿入されるべき新品のインクカートリッジ63は、上記引出部材77の屈曲部97の外壁面110上に載置され、この外壁面110に案内されつつ上記収容室78へ挿入される。したがって、作業者が新品のインクカートリッジ63をケース75内に収容する作業がなお一層簡単になる。
そして、新品のインクカートリッジ63がケース75に収容された状態で、作業者は、再び扉76を閉塞姿勢へと変化させる。扉76が閉塞姿勢へと変化する際に、上記押圧保持部材90がインクカートリッジ63の前面に当接し、扉76が完全に閉塞姿勢となったときは、上記押圧保持部材90が当該インクカートリッジ63をケース75の収容室78の内奥側へ弾性付勢する。同時に、上記ロック部材91の鍵部133がケース75に設けられたロック部材嵌合孔83に嵌め込まれ、当該扉76が閉塞姿勢に保持される。
なお、本実施形態に係る多機能装置10では、さらに次のような作用効果が奏される。
本実施形態では、作業者がリフィルユニット70の扉76を開けるだけで、使用済みのインクカートリッジ63が自動的に引き出され、しかも、当該扉76が開けられたままで、作業者は容易に新品のインクカートリッジ63をケース75に収容することができる。すなわち、インクカートリッジ63の交換作業がきわめて簡単である。
本実施形態では、図7に示すように、ケース75の天板部82にスイングアーム123が設けられており、インクカートリッジ63がケース75から上記距離L1だけ引き出された状態では、上記スイングアーム123が前側傾斜面135を押圧する。すなわち、このスイングアーム123を介して引張バネ128の弾性力がカートリッジ本体111の前側傾斜面135に作用し、インクカートリッジ63は、上記開口88側へ弾性付勢される。したがって、前述のように上記扉76が開かれ、インクカートリッジ63が上記引出部材77によってケース75の開口88から引き出されると、同時に、上記スイングアーム123が同図において時計方向に回動し、上記前側傾斜面135を上記開口88側へ押す。これにより、スイングアーム123は、上記前側傾斜面135と上記後側傾斜面136との間に形成された凹部134に嵌り込み、スイングアーム123の第2アーム126が上記後側傾斜面136に当接する。つまり、スイングアーム123は、上記凹部134内に保持されることになる。
スイングアーム123が回動して上記凹部134内に嵌り込むことにより、インクカートリッジ63は、さらに距離L2だけケース75から押し出される。したがって、インクカートリッジ63は、上記開口88から上記距離(L1+L2)だけ押し出されることになるから、作業者は、使用済みのインクカートリッジ63をきわめて簡単に把持することができ、一層簡単にケース75から取り出すことができるという利点がある。
また、本実施形態では、一対の引出部材77が設けられており、これらが収容室78に配置されたインクカートリッジ63を幅方向に挟み込む(図15参照)。このため、インクカートリッジ63は、引出部材77によって幅方向に位置決めされなら上記開口88から引き出される。しかも、このとき、図7及び図8に示すように、引出部材77の屈曲部97は、インクカートリッジ63が載置される載置面98に滑らかに連続するように略水平に配置されるので、新品のインクカートリッジが上記開口88から収容室78へ挿入される際に、当該新品のインクカートリッジは、一旦屈曲部97の外壁面110に載置されるだけで確実に引出部材77に支持され、そのまま上記載置面98上に案内される。したがって、作業者は、なお一層容易にインクカートリッジの交換作業を行うことができる。
さらに、各引出部材77は、インクカートリッジ63に凹設された嵌合溝116に嵌め込まれるが、一対の引出部材77の幅方向寸法d1(図9参照)がインクカートリッジ63の幅寸法d2(図14参照)よりも小さく設定されていることから、上記引出部材77は、インクカートリッジ63から突出することがない。上記寸法d1が上記寸法d2以下に設定されることによって、上記扉76がコンパクトに設計され、その結果、リフィルユニット70の小型化ひいては多機能装置10の小型化が実現される。
特に本実施形態では、リフィルユニット70が多機能装置10の前面71に配置され、しかも作業者は、リフィルユニット70の前面側からインクカートリッジ63を挿抜することができるので、インクカートリッジ63の交換作業が一層簡単になる。また、図8に示すように、扉76が開放姿勢に変化する際に上記引出部材77の屈曲部97が回動してインクカートリッジ63の端面121を押圧することにより、当該インクカートリッジ63がケース75から引き出されると共に、当該屈曲部97がそのまま新品のインクカートリッジをケース75内に挿入するための案内部材を構成する。つまり、上記引出部材77が上記案内部材を兼ねることとなり、その結果、インクカートリッジ63の交換作業がなお一層簡単になる。