JP2007151813A - 超音波診断装置及び弾性指標作成装置 - Google Patents

超音波診断装置及び弾性指標作成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】動脈硬化症の程度等生体組織の組織性状を表す簡便な指標を提案し、動脈硬化症等の程度を簡便な値でかつ簡単に出力することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブ13から送信され、生体組織において反射した超音波反射波は、受信部15、遅延時間制御部16、位相検波部17、フィルタ部18を経て、演算部19に入力される。演算部19は、位相検波部17で得られた位相検波信号に基づき、生体組織内の任意の大きさを有する単位微小部位における一心周期内の厚さ変化量を求め、生体組織内に設定された第1の領域における単位微小部位の最大厚さ変化量と生体組織内に設定された第2の領域における単位微小部位の最大厚さ変化量との比を演算する。
【選択図】図3

Description

本発明は、生体内の組織性状、特に血管壁組織の弾性特性を測定する超音波診断装置、及び血管壁組織の弾性指標を求める弾性指標作成装置に関する。
近年、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾病を患う人々が増加してきており、このような疾病の予防及び治療を行うことが大きな課題となっている。
心筋梗塞や脳梗塞の発病には、動脈硬化が深く関係している。具体的には、動脈壁に粥腫が形成されたり、高血圧等の種々の要因によって動脈の新しい細胞が作られなくなったりすると、動脈は弾力性を失い、硬く、脆くなる。そして、粥腫が形成された部分において血管が閉塞したり、粥腫を覆う血管組織が破裂することにより粥腫が血管内へ流出し、別の部分において動脈を閉塞させたり、動脈が硬化した部分が破裂したりすることによって、これらの疾病が引き起こされる。このため、動脈硬化を早期に診断することがこれらの疾病予防や治療には重要となる。
従来、動脈硬化病変の診断は、血管カテーテルを用いて血管内部の様子を直接観察することによって行われていた。しかし、この診断には、血管カテーテルを血管に挿入する必要があるため、被験者への負荷が大きいという問題があった。このため、血管カテーテルによる観察は、動脈硬化病変が存在していることが確かである被験者に対して、その場所を特定するために用いられ、例えば、健康管理のための検査として、この方法が用いられることはない。
健康診断では一次検診として、動脈硬化の一因であるコレステロール値を測定したり、血圧値を測定したりすることは、被験者への負担が少なく、容易に行うことのできる検査である。しかし、これらの値は、動脈硬化の度合いを直接示すものではない。そこで、現在では動脈硬化の診断としては、二次検診にて超音波診断装置を用いて頚動脈の壁の厚さを計測する方法が一般的である。具体的には、頚動脈のBモード画像から、血管壁の内部中膜複合体(IMC)の厚さ(IMCT)を計測し、IMCT=1mmを閾値として、1mm以下であれば正常、1mmを超えた場合は動脈硬化症の疑いありという診断法が用いられている。ただし、IMCTの変化は加齢に起因して肥厚するが、肥厚進行は非常に遅く、5年で0.1〜0.2mmであり、IMCTの変化量を観察することは、動脈硬化の診断法として利用されていない。また、動脈硬化初期段階では、医師による生活習慣指導による治療が一般的であるが、治療による改善効果をIMCTの変化で判断する場合、3年から5年という長期に渡る観察が必要であることから、患者モチベーションの維持が難しい。
こうした理由から、IMCTと同様の簡便性で、IMCTよりも高感度に血管壁の組成を診断する方法が医療の現場から望まれている。
一方、血管壁の肥厚は壁内部の組成変性が起こった結果として現れるものであるから、組織の質の計測は、IMCT計測よりも高感度な計測といえる。これに着眼して、生体組織の微小運動を計測する超音波診断装置の開発が進んでいる。例えば、特許文献1に記載された技術を用いると、血管運動の振幅数ミクロンで数百Hzまでの速い振動成分を高精度に計測できるため、血管壁の厚さ変化や歪みを数ミクロンのオーダーで高精度な計測をすることが可能になると報告されている。
特許文献1は、超音波を用いて生体組織における各部位の運動速度波形の非侵襲的計測を行い、微小領域の弾性率を求める技術を開示している。特許文献1に記載された組織トラッキング技術を用いると血管運動を高精度に計測できるため、動脈血管壁厚の時間変化の様子h(t)を高精度に計測することが可能になる。ここで、最低血圧計測時の壁厚をh、一心周期における壁厚の最大変化量をΔh、脈圧をΔpとすると、動脈壁の径方向の弾性率Eは(式1)で求められる。
E=Δp・h/Δh (式1)
このような高精度な計測手法を用いることにより、動脈壁の弾性特性の二次元分布を詳細に測定することが可能となる。例えば非特許文献1には、頸動脈血管壁の弾性率の二次元分布の様子をBモード断層像に重ねて表示した一例が示されている。弾性率の二次元分布表示は、IMCTのような血管壁の形態計測ではなく、壁内部の弾性特性という質の計測であるため、血管壁の精密な組成診断に有用であり、IMCT計測よりも高感度に血管壁の組成を計測できる。特に粥状動脈硬化の診断においては、粥腫内部組成の様態を知ることで治療方針の決定が容易になる。
また、非特許文献2には、超音波で計測された歪み比を用いて弾性ゲルの硬さを定量評価し、関心部の歪み比が診断の指標となり得ることが示されている。
特開平10−5226号公報 Hiroshi Kanai et al, "Elasticity Imaging of Atheroma With Transcutaneous Ultrasound Preliminary Study," Circulation, Vol.107, p.3018-3021, 2003. 脇康治他"Real-time Tissue Elastographyにおける歪み比の検討、"超音波医学Vol.32, Supplement, p.S292, April 2005
上記開示技術によれば、IMCT計測よりも高感度に血管壁の組成を診断することができる。しかしながら、健康診断においては、診断の簡便性が重要であり、IMCT値のように簡便な値表示が患者にも分かりやすく、医療の現場からも望まれている。このことから、初期の動脈硬化診断においては、血管壁の内部組成を二次元分布で表示するほかに、動脈硬化の程度を指標化した簡便な値を提供することが必要である。非特許文献2の指標は、歪みSがS=Δh/hとして求められるものであるため、基準となる元の厚さ値hの計測と、厚さの変化量Δhの計測とが必要である。
以上に鑑み、本発明は、動脈硬化症の程度等生体組織の組織性状を表す簡便な指標を提案し、動脈硬化症等の程度を簡便な値でかつ簡単に出力することが可能な超音波診断装置、及び弾性指標作成装置を提供することを目的とする。
本発明の超音波診断装置は、生体組織へ超音波送信波を送信するための超音波プローブを駆動する送信部と、前記超音波送信波が前記生体組織において反射することにより得られ、前記超音波プローブにより受信する超音波反射波を増幅し、受信信号を生成する受信部と、前記受信信号を位相検波する位相検波部と、前記位相検波部で得られた位相検波信号に基づき、任意の大きさを有する単位微小部位における一心周期内の厚さ変化量を求め、前記生体組織内に設定された第1の領域における前記単位微小部位の最大厚さ変化量と前記生体組織内に設定された第2の領域における前記単位微小部位の最大厚さ変化量との比を演算する演算部と、を備えるものである。
本発明の超音波診断装置は、生体組織へ超音波送信波を送信するための超音波プローブを駆動する送信部と、前記超音波送信波が前記生体組織において反射することにより得られ、前記超音波プローブにより受信する超音波反射波を増幅し、受信信号を生成する受信部と、前記受信信号を位相検波する位相検波部と、前記位相検波部で得られた位相検波信号に基づき、任意の大きさを有する単位微小部位における一心周期内の厚さ変化量を求め、前記生体組織内に設定された第1の領域における複数個の前記単位微小部位の最大厚さ変化量の平均値と前記生体組織内に設定された第2の領域における複数個の前記単位微小部位の最大厚さ変化量の平均値との比を演算する演算部と、を備えるものである。
本発明の超音波診断装置は、前記第1の領域が、血管壁外膜部位を含む領域であり、前記第2の領域が、血管壁内中膜部位を含む領域であるものを含む。
本発明の超音波診断装置は、さらに、表示部を備え、前記表示部は、前記演算部が演算した前記最大厚さ変化量の比、あるいは前記最大厚さ変化量の平均値の比のいずれかを表示するものを含む。
本発明の超音波診断装置は、前記表示部が、前記位相検波信号に基づく超音波断層画像又は最大厚さ変化量の2次元画像の少なくとも一方を表示するとともに、前記超音波断層画像又は最大厚さ変化量の2次元画像の少なくとも一方に、前記第1の領域及び前記第2の領域を重畳させて表示するものを含む。
本発明の弾性指標作成装置は、血管組織内の複数の領域の最大厚さ変化量を利用して、血管壁組織の弾性指標を求める弾性指標作成装置であって、前記最大厚さ変化量の2次元画像を表示する表示部と、前記弾性指標を演算する演算部と、を備え、前記演算部は、前記表示部を利用して前記血管壁組織内の血管壁外膜部位に設定された領域における最大厚さ変化量の平均値と、前記表示部を利用して前記血管壁組織内の血管壁内中膜部位に設定された領域における最大厚さ変化量の平均値との比を前記弾性指標として出力するものである。
本発明によれば、動脈硬化症の程度等生体組織の組織性状を表す簡便な指標を提案し、動脈硬化症等の程度を簡便な値でかつ簡単に出力することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態の超音波診断装置11を用いて血管壁組織の性状診断を行う際の状態を示す図である。超音波診断装置11に接続された超音波プローブ13は被験者の体表2に密着するよう設置され、血管外組織1の内部へ超音波を送信する。送信された超音波は血管3や血液5にて反射、散乱し、その一部が超音波プローブ13へ戻り、エコー(超音波反射波)として受信される。超音波診断装置11は、受信信号の解析、演算を行い、血管前壁4の形状情報や運動情報を求める。
超音波診断装置11は、例えば特許文献1に開示されている方法にしたがって、受信超音波信号を検波して得た検波信号の振幅及び位相の両方を用い、制約付最小二乗法によって対象の瞬時の位置を決定する。高精度な(位置変化量の測定精度は±0.2ミクロン)位相トラッキングを行うことにより、血管前壁4における微小部位の厚さや厚さ変化量の時間変化の様子を十分な精度で測定することができる。そして、厚さ変化演算部52、EPT演算部53を用いて、血管壁の厚さ変化量を求め、血管壁の新しい弾性指標であるEPT(Elasticity Parameter with Thickness changing)を算出する。EPTの算出方法については後述する。なお、図1では、超音波診断装置11の厚さ変化演算部52、EPT演算部53以外の要素については省略して示している。
図2は、超音波診断装置11によって得られる血管壁のBモード断層画像と血管壁の構造との関係を示す図である。図2(a)には、Bモード断層画像の一例を示し、図2(b)には、図2(a)の画像から把握できる血管壁の構造を示してある。血管壁の構造は、内膜、中膜及び外膜の3層構造を呈し、内膜及び中膜を合わせて内中膜複合体(IMC)と医学的に定義されている。
次に、超音波診断装置11の構成及び動作について詳細に説明する。図3は、超音波診断装置11の構成を示すブロック図である。超音波診断装置11は、送信部14、受信部15、遅延時間制御部16、位相検波部17、フィルタ部18、演算部19、演算データ記憶部20及び表示部21を備えている。また、図示しないコンピュータによって各部が制御される。
送信部14は、超音波プローブ13を駆動する所定の駆動パルス信号を生成し、超音波プローブ13に出力する。駆動パルス信号により駆動された超音波プローブ13から送信される超音波送信波は、血管3等の生体組織において反射、散乱し、生じた超音波反射波は、超音波プローブ13で受信される。超音波を発生させる駆動パルスの周波数は、時間軸上で隣接している前後の超音波パルスが重ならないように、測定対象の深さと超音波の音速とを考慮して決定される。
受信部15は、超音波プローブ13で受信した超音波反射波を増幅して受信信号を生成する。受信部15は、増幅部及びA/D変換部(いずれも図示せず)を含み、超音波反射波を増幅し、さらにデジタル信号に変換する。送信部14及び受信部15は電子部品などを用いて構成される。
遅延時間制御部16は、送信部14及び受信部15に接続されており、送信部14から超音波プローブ13の超音波振動子群に与える駆動パルス信号の遅延時間を制御する。これにより、超音波プローブ13から送信される超音波送信波の超音波ビームの音響線の方向や焦点深度を変化させる。また、超音波プローブ13によって受信され、受信部15によって増幅された受信信号の遅延時間を制御することにより、開口径を変化させたり、焦点位置を変化させたりすることができる。遅延時間制御部16の出力は位相検波部17に入力される。
位相検波部17は、遅延時間制御部16で遅延制御された受信信号を位相検波し、実部信号と虚部信号とからなる位相検波信号を作成する。位相検波信号はフィルタ部18に入力される。フィルタ部18は、高周波成分、測定対象以外からの反射成分及びノイズ成分等を除去する。位相検波部17及びフィルタ部18はソフトウエアによってもハードウエアによっても構成することができる。
フィルタ部18を経た位相検波信号の実部信号及び虚部信号は、演算部19へ入力される。図4は、演算部19の構成を詳細に示すブロック図である。演算部19は、血管領域設定部51、厚さ変化演算部52、ETP演算部53を含む。演算部19は、ソフトウエアによってもハードウエアによっても構成することができる。
厚さ変化演算部52は、位相検波信号の実部信号及び虚部信号に基づいて、複数の測定対象位置における生体組織の運動速度を求め、運動速度を積分することによって、移動量(各測定位置の時間変位)を求める。求めた移動量から各測定位置間の生体組織の厚さ変化量(伸縮量)を求める。超音波診断装置11が血管壁を計測対象とする場合、厚さ変化は心拍による血圧の変化に応じて生じ、心周期におよそ同期して繰り返し変化するので、一心周期の中で厚さ変化量の最大値を求めることができる。この場合、一心周期は、図示しない血圧計又は心電計からの信号によって判断する。
このようにして求められた生体組織の最大厚さ変化量は、計測領域に対応してマッピングされ、心周期毎の空間分布画像として表示部21へ出力される。超音波診断装置11の操作者が血管領域設定部51に外膜領域及び内中膜領域を設定させていない場合、ETP演算部53では何らの処理も実行されない。血管領域設定部51に外膜領域及び内中膜領域を設定させた場合の処理については後述する。
図5に、血管壁のBモード断層画像の一例31と、血管壁の厚さ変化量の空間分布を重畳させた画像の一例32を示す。図5の例では、外膜部位を21列×2段の計42の領域に、内中膜部位を21列×3段の計63の領域に分割して厚さ変化量を求めている。
図6及び図7を参照して、演算部19におけるこれらの演算をさらに詳しく説明する。図6は、生体60を伝播する超音波ビーム67を模式的に示しており、図では血管以外の生体組織62、血管壁63及び血液64が示されている。生体60の表面に配置された超音波プローブ13から送信した超音波送信波は、生体60中を進行する。超音波送信波は、ある有限の幅を持つ超音波ビーム67として生体60中を伝播し、その過程において生体組織62、血管壁63そして血液64等によって反射又は散乱し、反射又は散乱された超音波の一部が超音波プローブ13へ戻り、超音波反射波として受信される。超音波反射波は離散的な時系列信号r(t)として検出され、超音波プローブ13に近い組織から得られる反射の時系列信号ほど、時間軸上で原点近くに位置する。超音波ビーム67の幅(ビーム径)は、遅延時間を変化させることにより制御することができる。
超音波ビームの中心軸である音響線66上に位置する複数の測定位置P(P、P、P、・・・、P、・・・、P、nは3以上の自然数)は、測定開始時には、ある一定間隔Lで超音波プローブ13に近い側から順にP、P、P、・・・、P、・・・、Pと配列している。反射波信号r(t)を位相検波部17において予め定めた検波周波数を用いて直交検波し、実部信号及び虚部信号からなる検波信号R(t)を求め、フィルタ部18を通過させる。演算部19の厚さ変化演算部52では、検波信号R(t)と微小時間Δt後の検波信号R(t+Δt)において振幅は変化せず、位相及び反射位置のみが変化するという制約のもとで、検波信号R(t)とR(t+Δt)との相関演算を行い、位置kの相関信号Q(t)を(式2)から求める。
(t)=R(t+Δt)×R (t) (*は複素共役を示す) (式2)
そして、相関信号Q(t)の実部と虚部とが成す角度θ(t)を求め、角度θ(t)から測定対象位置Pの時間変化の様子、すなわち位置Pの移動量h(t)を求める。
図7は、測定位置Pと弾性特性演算の対象組織(単位微小部位)Tとの関係を示している。対象組織Tは、隣接する測定対象位置PとPk+1とに挟まれた範囲に厚さLを有して位置している。n個の測定対象位置P・・・・Pからは(n−1)個の対象組織T・・・・Tn−1が定義される。
対象組織Tの伸縮量である厚さ変化量H(t)は、測定位置PとPk+1の移動量h(t)とhk+1(t)とから、H(t)=hk+1(t)−h(t)として求められる。
血管壁63の組織Tの厚さの変化は、心拍による血圧の変化に応じて生じ、心周期におよそ同期して繰り返される。一心周期内の厚さ変化量H(t)から最大値と最小値とを抽出し、最大値と最小値との差分を最大厚さ変化量ΔHとする。なお、測定位置Pの数やその間隔は、任意に設定できる。また、厚さ変化量を求める対象となる厚さ(2点の測定位置間隔)は、すべての測定対象厚さが同一であることさえ規定できていれば、その数値を求める必要はない。
図8及び図9を参照して、外膜領域及び内中膜領域を設定する動作を説明する。図8は、血管壁の一部に関心領域41を設定したときの、その関心領域内の最大厚さ変化量ΔHの分布を模式的に示す図である。図8(a)は、Bモード断層画像に最大厚さ変化量ΔHの分布を重畳させた表示させたものであり、図8(b)は、最大厚さ変化量ΔHの分布を拡大して示したものである。関心領域41は血管壁の外膜42と内中膜領域43とが同時に含まれるよう設定されており、演算部19で求められた各微小領域の最大厚さ変化量ΔHは、予め定められた配色に従いコード化され、空間分布画像として表示される。
図9は、図8に示した最大厚さ変化量ΔHの分布内に、外膜領域と内中膜領域を指定する様子を模式的に示す図である。外膜指定領域44及び内中膜指定領域45の大きさと位置とは、超音波診断装置11の操作者が任意に定めることができる。具体的には、被験者の外膜42や内中膜領域43内で操作者が判断した領域に設定することが好適である。図9では外膜指定領域44は外膜42を囲むように設定され、内中膜指定領域45は内中膜領域43上を囲むように設定している。
なお、関心領域の設定は、血管壁のBモード断層画像を表示させた状態で図示しないインターフェイス部を操作することによって行い、内中膜領域及び外膜領域の設定は、最大厚さ変化量の分布画像を表示させた状態で図示しないインターフェイス部を操作することによって行うことが好適である。すなわち、操作者は、表示部21に表示されているBモード断層画像あるいは最大厚さ変化量の分布画像から外膜領域及び内中膜領域を見出し、血管領域設定部51を動作させて、図9に示すような外膜指定領域44及び内中膜指定領域45を設定する。血管領域設定部51は、操作者によって指定された外膜指定領域44及び内中膜指定領域45各々の領域情報をEPT演算部53に送る。
EPT演算部53は、厚さ変化演算部52から送られた厚さ変化量H(t)から最大厚さ変化量Hを算出し、外膜指定領域44及び内中膜指定領域45のそれぞれの範囲内で、最大厚さ変化量を平均化し、外膜領域の平均厚さ変化量をΔhaave、内中膜領域の平均厚さ変化量をΔhimaveとして算出する。さらに、これらふたつの平均厚さ変化量の比(Δhimave/Δhaave)を算出し、これをEPT値として表示部21へ出力する。すなわち、(式3)により新しい弾性指標EPTを算出する。
EPT=Δhimave/Δhaave (式3)
動脈硬化の初期段階では主に内中膜部位の組織変性が進行するので、比較的安定している外膜部位を基準にして、両部位の平均厚さ変化の比を求めれば、内中膜部位の組成変性を定量的に表すことが可能となる。また、厚さ変化量は組織の弾性率とは反比例の関係にある特性であることから、EPTは外膜と内中膜の弾性率比に相当する。このことから、EPTは外膜を基準に内中膜の弾性特性を評価する値として臨床的意義がある。
EPT値の表示は数値表示が好適であるが、レベルメータで表示してもよい。さらには、予め定められた配色に従ってEPT値をカラーコード化し、内中膜領域全体をカラー表示してもかまわない。またEPT値は最大厚さ変化量Hと共に、演算データ記憶部20にも記憶される。
非特許文献2に記載された技術では、歪み比を用いているため、値hの計測と、厚さの変化量Δhの計測とが必要であるが、以上説明した超音波診断装置は、外膜領域と内中膜領域のそれぞれにおいて、厚さの変化量Δh(の平均値)の計測を行い、外膜での厚さ変化量Δhaと内中膜での厚さ変化量Δhiの比を求めるものであるので、元の厚さの計測が不要である。
なお、操作者が表示部21を見ながら外膜指定領域44及び内中膜指定領域45を任意位置に設定することができるように、血管領域設定部51は各領域情報を表示部21へ送り、これを表示させることが好適である。ここで、外膜指定領域44及び内中膜指定領域45の表示はBモード断層画像や最大厚さ変化量の空間分布画像に重畳表示することが好適であるが、外膜指定領域44及び内中膜指定領域45の位置座標を数値として表示してもかまわない。
また、厚さ変化量は、部位ごとの平均を求めずに、列ごとの平均を求めてもよい。この場合、内中膜部位総体としての最大厚さ変化量Δhim’と外膜総体としての最大厚さ変化量Δha’を列ごとに求める必要がある。Δhim’は、血流と内膜との境界に最も近い内中膜組織の移動量と、中膜と外膜との境界に最も近い内中膜組織の移動量との差分から求めることができる。Δha’も同様に、内中膜と外膜との境界に最も近い外膜組織の移動量と、外膜と血管外組織との境界に最も近い外膜組織の移動量との差分から求めることができる。そして、Δhim’の列方向の平均値(図5の場合では21列の平均値)Δhimave’と、Δha’の列方向の平均値(21列の平均値)Δhaave’とから、弾性指標EPT’を(式4)により求める。
EPT’=Δhimave’/Δhaave’ (式4)
このような方法によっても、別の弾性指標EPT’を求めることができる。なお、本実施形態ではEPT値を弾性指標としたが、EPT値の逆数を弾性指標として用いてもよい。また、EPT値に医学的意義に基づく定数を乗算し、これを弾性指標として用いてもよい。
さらには、部位ごとあるいは列ごとの平均値を求めず、特定の単位微小部位の最大厚さ変化量の比を弾性指標としてもよい。
以上説明したように、血管壁の新しい弾性指標EPT値を表示することが可能となる。
なお、外膜指定領域44及び内中膜指定領域45の設定は、厚さ変化計測を行っている最中に実施することが好適であるが、計測終了後に、演算データ記憶部20に記憶されているデータを読み出して画像表示させ、ここで実施しても同様の効果が得られる。外膜指定領域44及び内中膜指定領域45の設定は、操作者が血管構造を判断したうえで、超音波診断装置11のインターフェイス部を介して手動で実施することが好適であるが、例えば関心領域41内に存在する内中膜及び外膜を自動抽出機能によって抽出し、これを領域指定に利用してもいっこうに構わない。また、弾性指標EPT値は一心拍毎に演算されるが、求められた複数個のEPT値を平均したものを用いてもいっこうに構わない。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、生体組織内の複数領域の厚さ変化量を求める超音波診断装置によって、新しい弾性指標EPTを算出するようにしたが、超音波診断装置以外の装置、例えばCTやMRI等の計測装置によって、弾性指標EPTを算出することもできる。
血管壁組織の弾性指標EPTを求める弾性指標作成装置は、図4に示すブロックのうち、少なくとも血管領域設定部51、ETP演算部53、演算データ記憶部20、表示部21を備え、さらに操作者が血管領域の設定等の操作をするためのインターフェイス部を含む。そして、超音波診断装置、CT、MRI等によって計測した血管組織内の複数の領域の厚さ変化量を演算データ記憶部20に記憶させた状態で、弾性指標EPTの作成を行う。このような弾性指標作成装置は、例えば、所定のプログラムをインストールしたコンピュータによって実現することができる。
この弾性指標作成装置で弾性指標を作成する場合、演算データ記憶部20に記憶された測定データに基づいて厚さ変化量の2次元画像を表示する。操作者は、表示部21に表示されている最大厚さ変化量の分布画像から外膜領域及び内中膜領域を見出し、血管領域設定部51を動作させて、図9に示すような外膜指定領域44及び内中膜指定領域45を設定する。血管領域設定部51は、操作者によって指定された外膜指定領域44及び内中膜指定領域45各々の領域情報をEPT演算部53に送る。そして、EPT演算部53は、第1の実施の形態で説明したように、血管壁組織内の血管壁外膜部位における平均厚さ変化量と、血管壁組織内の血管壁内中膜部位における平均厚さ変化量との比を弾性指標EPTとして出力する。
本発明の超音波診断装置は、脈硬化症の程度を表す簡便な指標を提案し、動脈硬化症の程度を簡便な値で出力することが可能な超音波診断装置等に利用可能である。
本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置を用いて血管壁組織の性状診断を行う際の状態を示す図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置によって得られる血管壁のBモード断層画像と血管壁の構造との関係を示す図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置の構成を示すブロック図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置における演算部の構成を詳細に示すブロック図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置における血管壁のBモード断層画像の一例と、血管壁の厚さ変化量の空間分布を重畳させた画像の一例を示す図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置を用いて血管壁組織の性状診断を行う際の生体を伝播する超音波ビームを模式的に示す図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置を用いて血管壁組織の性状診断を行う際の測定位置と弾性特性演算の対象組織との関係を示す図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置を用いて血管壁組織の性状診断を行う際、血管壁の一部に関心領域を設定したときの、その関心領域内の最大厚さ変化量の分布を模式的に示す図 本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置を用いて血管壁組織の性状診断を行う際、最大厚さ変化量の分布内に、外膜領域と内中膜領域を指定する様子を模式的に示す図
符号の説明
1 血管外組織
2 体表
3 血管
4 血管前壁
5 血液
11 超音波診断装置
13 超音波プローブ
14 送信部
15 受信部
16 遅延時間制御部
17 位相検波部
18 フィルタ部
19 演算部
20 演算データ記憶部
21 表示部
31 血管壁のBモード断層
32 血管壁の厚さ変化量の空間分布
41 関心領域
42 外膜領域
43 内中膜領域
44 外膜指定領域
45 内中膜指定領域
51 血管領域設定部
52 厚さ変化演算部
53 EPT演算部
60 生体
62 生体組織
63 血管壁
64 血液
66 音響線
67 超音波ビーム

Claims (6)

  1. 生体組織へ超音波送信波を送信するための超音波プローブを駆動する送信部と、
    前記超音波送信波が前記生体組織において反射することにより得られ、前記超音波プローブにより受信する超音波反射波を増幅し、受信信号を生成する受信部と、
    前記受信信号を位相検波する位相検波部と、
    前記位相検波部で得られた位相検波信号に基づき、任意の大きさを有する単位微小部位における一心周期内の厚さ変化量を求め、前記生体組織内に設定された第1の領域における前記単位微小部位の最大厚さ変化量と前記生体組織内に設定された第2の領域における前記単位微小部位の最大厚さ変化量との比を演算する演算部と、
    を備える超音波診断装置。
  2. 生体組織へ超音波送信波を送信するための超音波プローブを駆動する送信部と、
    前記超音波送信波が前記生体組織において反射することにより得られ、前記超音波プローブにより受信する超音波反射波を増幅し、受信信号を生成する受信部と、
    前記受信信号を位相検波する位相検波部と、
    前記位相検波部で得られた位相検波信号に基づき、任意の大きさを有する単位微小部位における一心周期内の厚さ変化量を求め、前記生体組織内に設定された第1の領域における複数個の前記単位微小部位の最大厚さ変化量の平均値と前記生体組織内に設定された第2の領域における複数個の前記単位微小部位の最大厚さ変化量の平均値との比を演算する演算部と、を備える超音波診断装置。
  3. 請求項1又は2記載の超音波診断装置であって、
    前記第1の領域は、血管壁外膜部位を含む領域であり、
    前記第2の領域は、血管壁内中膜部位を含む領域である超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項記載の超音波診断装置であって、
    さらに、表示部を備え、
    前記表示部は、前記演算部が演算した前記最大厚さ変化量の比、あるいは前記最大厚さ変化量の平均値の比のいずれかを表示する超音波診断装置。
  5. 請求項4記載の超音波診断装置であって、
    前記表示部は、前記位相検波信号に基づく超音波断層画像又は最大厚さ変化量の2次元画像の少なくとも一方を表示するとともに、前記超音波断層画像又は最大厚さ変化量の2次元画像の少なくとも一方に、前記第1の領域及び前記第2の領域を重畳させて表示する超音波診断装置。
  6. 血管組織内の複数の領域の最大厚さ変化量を利用して、血管壁組織の弾性指標を求める弾性指標作成装置であって、
    前記最大厚さ変化量の2次元画像を表示する表示部と、
    前記弾性指標を演算する演算部と、を備え、
    前記演算部は、前記表示部を利用して前記血管壁組織内の血管壁外膜部位に設定された領域における最大厚さ変化量の平均値と、前記表示部を利用して前記血管壁組織内の血管壁内中膜部位に設定された領域における最大厚さ変化量の平均値との比を前記弾性指標として出力する弾性指標作成装置。
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