JP2007151498A - 連結分子モーター及びatpセンサー - Google Patents

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Abstract

【課題】ATP濃度が低い場合であっても連続的に回転でき、ナノアクチュエーター又は高感度センサーとして応用可能なトルクを有する連結分子モーターを提供すること。
【解決手段】少なくともαサブユニット、βサブユニット及びγサブユニットから構成されるF−ATPアーゼの2つを連結させた連結分子モーターであって、前記F−ATPアーゼの、αサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対向するように、2つの前記F−ATPアーゼの連結が生じている連結分子モーター。
【選択図】なし

Description

本発明は、連結分子モーター及びそれを用いたATPセンサーに関する。
真核生物のミトコンドリア内膜等に存在するF−ATP合成酵素のF部分にはATPを加水分解する触媒部位があり、3個のα、3個のβ及び1個のγサブユニットを含むF−ATPaseは、トルク発生装置を備える分子モーターとして機能することが知られている(非特許文献1)。最近では、F−ATPaseの分子モーターとしての性質が、ナノアクチュエーター又は高感度センサーに応用可能であるとして期待されている(特許文献1)。
一方、食品、医薬品等の製造、臨床医学、臨床検査、基礎研究等の現場では、試料中の細胞の有無の判定又は細胞数の測定等を目的として、ATPの測定が行なわれている。特に、製造業の分野では、製品の品質管理及び環境衛生の観点から、原料、中間体、製品及び環境への微生物(菌類、細菌類等)の汚染を防止することが責務とされている(特許文献2)。
ATPの測定は、まず、ATP抽出試薬を試料に添加してATPを抽出し、その後、抽出されたATPを定量する方法が一般的である。ATP抽出試薬としては、トリクロロ酢酸(TCA)、界面活性剤等が使用され、ATPの定量方法としては、抽出されたATPにルシフェリン、ルシフェラーゼ、マグネシウム等を含む生物発光試薬を添加し、ATPとの反応で生じる発光をルミノメーター等の測定器で測定する方法が使用される(非特許文献2)。
特開2005−229875号公報 特開2003−334070号公報 Itoh,Hら、NATURE、2004年、427:465−468 倉田浩、「ATPバイオルミネッセンス法の微生物汚染対策への有効性」、月刊フードケミカル、1995年、5号、p.55−63
しかしながら、上記F−ATPaseからなる分子モーターは、ATP濃度が低い場合には不連続な回転となり、生体組織に近いATP濃度では、回転速度を数値化することが困難であった。また、分子モーターをナノアクチュエーター又は高感度センサーとして応用するには、分子モーターのトルクを上げることが必要であった。この際、複数の分子モーターを同時に使用する試みも考えられるが、各分子モーターの動きを揃える(同期する)必要があるため、現状においては実用化が困難であった。
また、従来のATP測定方法では、生物発光試薬等の指示薬を測定用試料に添加する必要があるため、測定用試料は繰り返して他の用途に使用できず、生体組織や細胞中におけるin situでのATP測定が原理的に不可能であった。
そこで、本発明の目的は、ATP濃度が低い場合であっても連続的に回転でき、ナノアクチュエーター又は高感度センサーとして応用可能なトルクを有する分子モーターを提供することにある。
本発明の連結分子モーターは、少なくともαサブユニット、βサブユニット及びγサブユニットから構成されるF−ATPアーゼの2つを連結させた連結分子モーターであって、上記F−ATPアーゼのαサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対向するように、2つのF−ATPアーゼの連結が生じていることを特徴とする。
本発明の連結分子モーターは、分子モーターとして機能するF−ATPアーゼが2個連結したものであるが、αサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対向するように連結しているにも拘わらず、双方の回転が打ち消されることがなく、一方のF−ATPアーゼの回転速度の2倍又はそれ以上の回転速度で他方のF−ATPアーゼが回転する。また、ATP濃度が低い場合であっても回転が途切れることなく連続的に回転する。したがって、本発明の連結分子モーターはナノアクチュエーター又は高感度センサーとして利用できる。また、高トルクの回転が可能になるため、既存の分子モーターでは回転が得られないような状況であっても分子モーターを適用できるようになる。
上記連結分子モーターの連結は、一方のF−ATPアーゼのγサブユニットにおける少なくとも2つのアミノ酸残基部分が、他方のF−ATPアーゼのγサブユニットにおける少なくとも2つのアミノ酸残基部分と、直接又はリンカーを介して結合することにより生じていることが好ましく、さらに、該連結は、一方のF−ATPアーゼのγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基に導入された第1の官能基2個と、他方のF−ATPアーゼのγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基に導入された第2の官能基2個とが、上記第1及び第2の官能基と反応性の第3の官能基を少なくとも4個備えるリンカーと結合することにより生じていることがより好ましい。ここで、第1の官能基と第2の官能基は同一であってもよい。
上記γサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基での連結は、2つの分子モーターのγサブユニットが対向する配置での連結を可能とするため、一方の分子モーターのトルクを他方の分子モーターに効率よく伝えることができ、強いトルクを有する連結分子モーターの提供が可能となる。
上記第1及び第2の官能基は、いずれも、上記F−ATPアーゼのγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のシステイン残基にそれぞれビオチンを結合させて導入した同一の官能基であり、上記リンカーは、該第1及び第2の官能基と反応性の第3の官能基を少なくとも4個有するストレプトアビジンであることが好ましい。
このN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基がシステインである場合には、該システインの例えばSH基にビオチンを特異的に結合させることが容易であり、ストレプトアビジンをリンカーとして用いることで、2つの分子モーターのγサブユニットが対向する配置で連結させることが可能となる。
また、ストレプトアビジンは、広範囲のpH(pH2.0〜10.0)で、ビオチンに対して高い親和性(Kd=10−15M)を有し、等電点が低いために非特異的結合が少なく、さらに、温度変化、イオン強度変化及び界面活性剤に対しても強い耐性を有している。従って、上記連結分子モーターの製造過程において、2つの分子モーターのγサブユニットを特異的に連結させることが可能となり、連結分子モーターの収率を高めることができる。さらに、上記連結分子モーターの連結部は、温度変化、イオン強度変化及び界面活性剤に対して耐性を有し、連結分子モーター本体についても壊れにくい性質を備えている。
本発明のATPセンサーは、上記連結分子モーターと観測用標識とを備えるATPセンサーであって、上記観測用標識は、上記連結分子モーターを構成する少なくとも一方のF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分で、上記連結分子モーターと結合していることを特徴とする。上記観測用標識は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理されたビーズ状又は繊維状の観測用標識であり、上記少なくとも一方のF−ATPアーゼは、αサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端に結合したヒスチジンタグからなるN末端部分を備えており、該観測用標識は、該N末端部分で上記連結分子モーターと結合していることが好ましい。
また、本発明のATPセンサーは、上記連結分子モーターと観測用標識と基板とを備えるATPセンサーであって、上記観測用標識は、上記連結分子モーターを構成する一方のF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分で、上記連結分子モーターと結合しており、上記基板は、上記連結分子モーターを構成する他方のF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分で、上記連結分子モーターと結合していることを特徴とする。上記観測用標識は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理されたビーズ状又は繊維状の観測用標識であり、上記基板は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理された基板であり、双方の上記F−ATPアーゼは、αサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端に結合したヒスチジンタグからなるN末端部分を備えており、上記観測用標識は、一方のF−ATPアーゼの該N末端部分で、上記連結分子モーターと結合しており、上記基板は、他方のF−ATPアーゼの該N末端部分で、上記連結分子モーターと結合していることが好ましい。
本発明のATPセンサーは、連結分子モーターの回転を計測することでATP濃度の測定が可能となるため、ATP濃度を測定したい試料に、ルシフェリン、ルシフェラーゼ等の生物発光試薬を外部から添加することなくATP濃度を測定することが可能となる。さらに、ATP濃度が低い生体組織や細胞であっても、ホモジナイズ等の処理をすることなく、in situでATP濃度を直接測定することが可能となる。
尚、上記ATPセンサーを構成するF−ATPアーゼは、通常、ATP分解酵素として働くが、ATPを分解する方向とは逆方向に強制的にγサブユニットを回転させると、ADPと無機リン(Pi)の存在下でATP合成酵素として働き、上記連結分子モーターの構造から、1回転当たり最大6個のATPを合成することも可能と考えられる。すなわち、上記ATPセンサーは、ATP合成器としても使用することができる。
本発明の連結分子モーターは、ATP濃度が低い場合であっても連続的に回転することが可能となり、ナノアクチュエーター又は高感度センサーとしての利用が可能となる。また、従来からの1個のF−ATPアーゼからなる分子モーターに加え、トルクの異なる連結分子モーターがラインナップされることになるため、分子モーターの応用範囲が広がる。
本発明のATPセンサーは、ATP濃度を測定したい試料に、外部から生物発光試薬等の指示薬を添加することなくATP濃度を測定することを可能とできる。また、ATP濃度が低い生体組織や細胞であっても、ホモジナイズ等の処理をすることなく、in situでATP濃度を直接測定することが可能となる。
以下に、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、同一の要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。また、図面の比率は説明のものと必ずしも一致していない。
(連結分子モーター)
図1は、本発明の連結分子モーターの第一実施形態を示す斜視図である。
同図に示す連結分子モーター100は、F−ATPアーゼ10aとF−ATPアーゼ10bが結合したものである。F−ATPアーゼ10aは、1個のγサブユニット6aの一端が突出するように、その周囲を3個のαサブユニット2aと3個のβサブユニット4aで取り囲んだ構成を有しており、αサブユニット2aとβサブユニット4aは交互に配列している。γサブユニット6aの突出部には官能基7aが存在しており、当該官能基7aはγサブユニット6aのアミノ酸残基に導入された官能基である。ここで「官能基」は、SH基のような基のみならず、他の分子と結合を生じる分子や分子団も含む概念(例えば、抗体と結合する抗原も官能基に含める)である(以下同様)。
一方、F−ATPアーゼ10bは、F−ATPアーゼ10aと同様の構成を有しており、1個のγサブユニット6bの一端が突出するように、その周囲を3個のαサブユニット2bと3個のβサブユニット4bで取り囲んだ構成を有しており、αサブユニット2bとβサブユニット4bは交互に配列している。γサブユニット6bの突出部には官能基7bが存在しており、当該官能基7bはγサブユニット6bのアミノ酸残基に導入された官能基である。
連結分子モーター100は、γサブユニット6aの突出部とγサブユニット6bの突出部とが対向するように、官能基7aと官能基7bとが直接結合することにより、連結が生じている。
γサブユニット6a,6bの突出部が互いに対向する配置となるように、官能基7aと官能基7bとが直接結合しているのは、連結分子モーター100を構成するF−ATPアーゼ10a,10bそれぞれの回転運動が阻害されないようにするためである。
このような配置を実現するためには、例えば、一方のγサブユニットの突出部のアミノ残基に抗原となるタンパク質、ヒスチジンタグ又はビオチン等を結合させて官能基7aとし、もう一方のγサブユニットの突出部のアミノ残基に、それぞれ対応する抗体、ニッケル化合物又はストレプトアビジン等を結合させて官能基7bとし、官能基7a及び官能基7bを結合させればよい。上記抗原タンパク質と抗体の組み合わせとしては、例えば、c−Mycと抗c−Myc抗体、FLAGと抗FLAG抗体、グルタチオン S−トランスフェラーゼ(GST)と抗GST抗体が例示できる。
−ATPアーゼ10a,10bは、いずれもATPの加水分解で生じるエネルギーを力学的エネルギーに変換し、γサブユニット6a,6bを回転させる回転型モーター(分子モーター)である。F−ATPアーゼ10a,10bの、αサブユニット2a,2b及びβサブユニット4a,4bは、いずれもATP結合部位を有し、βサブユニット6a,6bはさらに触媒活性をも有している。従って、ATPがαサブユニット2a,2b並びにβサブユニット4a,4bの少なくとも一つのATP結合部位に結合すると、βサブユニット4a及び/又はβサブユニット4bがATP分解活性を発揮し、γサブユニット6a,6bが回転する。
ここで、γサブユニット6aの回転方向と、γサブユニット6bの回転方向が同一方向であれば、双方の回転は打ち消されるはずであるが、本実施形態のような構成の連結分子モーター100では、回転が打ち消されるどころか、一方の回転速度と他方の回転速度の和又はそれ以上で回転が生じる。このような現象が生じる理由については必ずしも明らかでないが、お互いのローターにトルクを印加し合うことによる強制的なインヒビション状態からの脱離に起因する可能性があると考えられる。
連結分子モーター100は、F−ATPアーゼ10a,10bのどちらか一方のαサブユニット(2a又は2b)又はβサブユニット(4a又は4b)を基板に固定してATPと反応させれば、連結された2個のF−ATPアーゼ10a,10bを同期して回転させ、従来の分子モーターと比較して少なくとも2倍のトルクを発揮させることが容易となる。
次に、第一実施形態に係る連結分子モーターの製造方法について説明する。まず、連結分子モーターの構成ユニットであるF−ATPアーゼは、分子生物学的手法を用いて、以下のようにして作成できる。まず、必要とするF−ATPアーゼの起源となる細菌又は真核生物のF−ATPアーゼのαサブユニット遺伝子、βサブユニット遺伝子及びγサブユニット遺伝子を取得する。遺伝子は、ATCC等の遺伝子バンクや試薬メーカー等から購入したり、自ら目的とする遺伝子をクローニングして取得することができる。
遺伝子のクローニング方法としては、例えば、公知であるF−ATPアーゼαサブユニット遺伝子、βサブユニット遺伝子及びγサブユニット遺伝子の塩基配列を基にDNAプローブを調製し、目的とする生物種のcDNAライブラリーからスクリーニングする方法や、上記塩基配列を基にプライマーセットを合成し、目的とする生物種の全RNAを鋳型にRT−PCRを行う方法が挙げられる。
次に、得られたF−ATPアーゼのαサブユニット遺伝子、βサブユニット遺伝子及びγサブユニット遺伝子を市販の発現ベクターのプロモーターの下流に組み込み、プロモーターに対応した宿主で3種類のタンパク質を同時に発現させれば、目的とするF−ATPアーゼが再構成される。
ここで、再構成されたF−ATPアーゼのαサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対抗するように連結するため、上記γサブユニット遺伝子にはアミノ酸置換を引き起こすトリプレット変異を導入することができる。トリプレット変異は、2つのF−ATPアーゼを直接又はリンカーを介して結合きるアミノ酸への置換を実現できればよく、2以上のアミノ酸残基を置換することが好ましく、システイン残基への置換を実現する変異がより好ましい。
−ATPアーゼのαサブユニット遺伝子、βサブユニット遺伝子及びγサブユニット遺伝子を発現させ、F−ATPアーゼを再構成するための適当な宿主−ベクター系としては、大腸菌及び枯草菌等の原核細胞、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞及び植物細胞等の真核細胞の系が挙げられる。例えば、大腸菌用発現ベクターとしては、pUC系、pBluescript II、pTD・T7、pKK223−3、pET発現システム、pGEX発現システム等が例示でき、真核生物用発現ベクターとしては、pKA1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK−CMV、pBK−RSV、EBVベクター、pRS、pYES2等が例示できる。発現ベクターを細胞に導入するには、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法を用いることができる。
さらに、RNAポリメラーゼプロモーターを有する発現ベクターを用いれば、小麦胚芽抽出物等のin vitro翻訳系で、F−ATPアーゼを再構成できる。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、T3、SP6等が例示できる。これらのRNAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKA1、pCDM8、pT3/T7、pBluescript II等が例示できる。
形質転換細胞で発現させ再構成されたF−ATPアーゼを精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS−PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
精製されたF−ATPアーゼは、F−ATPアーゼのαサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対抗するように連結するが、このために上記γサブユニット遺伝子に導入したトリプレット変異を利用することができる。例えば、上記のトリプレット変異により2以上のアミノ酸残基がシステイン残基に置換されていれば、該システイン残基をビオチンマレイミドと反応させて、該システイン残基にビオチンを結合させ、ストレプトアビジンをリンカーに用いることにより、2つのF−ATPアーゼを連結できる。
図2は、本発明の連結分子モーターの第二実施形態を示す斜視図である。
同図に示す連結分子モーター200は、F−ATPアーゼ10aとF−ATPアーゼ10bがリンカー9を介して結合したものである。F−ATPアーゼ10aは、1個のγサブユニット6aの一端が突出するように、その周囲を3個のαサブユニット2aと3個のβサブユニット4aで取り囲んだ構成を有しており、αサブユニット2aとβサブユニット4aは交互に配列している。一方、F−ATPアーゼ10bは、F−ATPアーゼ10aと同様の構成を有しており、1個のγサブユニット6bの一端が突出するように、その周囲を3個のαサブユニット2bと3個のβサブユニット4bで取り囲んだ構成を有しており、αサブユニット2bとβサブユニット4bは交互に配列している。
連結分子モーター200は、γサブユニット6aの突出部とγサブユニット6bの突出部とが対向するように、第1の官能基8a及び第2の官能基8bがリンカー9と結合することにより、連結が生じている。
連結分子モーター200においても、F−ATPアーゼ10a,10bは分子モーターであるため、ATPがαサブユニット2a,2b並びにβサブユニット4a,4bの少なくとも一つのATP結合部位に結合すると、βサブユニット4a及び/又はβサブユニット4bがATP分解活性を発揮し、γサブユニット6a,6bが回転する。また、連結分子モーター200においても、連結分子モーター100の場合と同様に、一方の分子モーターの回転速度に他方の分子モーターの回転速度を加えた速度又はそれ以上の速度で回転が生じ、トルクも2倍以上となる。
連結分子モーター200においては、F−ATPアーゼ10aのγサブユニット6aのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基に導入された第1の官能基8aの2個と、F−ATPアーゼ10bのγサブユニット6bのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基に導入された第2の官能基8bの2個とが、第1の官能基8a及び第2の官能基8bと反応性の第3の官能基を4個備えるリンカー9と結合することが好ましい。
また、γサブユニット6a及び6bのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基は、予め変異を導入してアミノ酸置換を起こしたシステイン残基であることが好ましい。そして、第1の官能基8aと第2の官能基8bは、いずれも、このように導入されたシステイン残基にビオチンを結合させることにより得られるメルカプト基(SH基)であることが好ましく、リンカー9は、このようにして得られた4つのSH基と反応性を有する、ストレプトアビジンであることが好ましい。
次に、第二実施形態に係る連結分子モーターの製造方法について説明する。まず、第一実施形態で記載したようにしてF−ATPアーゼを再構成するが、再構成されたF−ATPアーゼのαサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対抗するように連結するため、上記γサブユニット遺伝子にはアミノ酸置換を引き起こすトリプレット変異を導入することができる。トリプレット変異は、2つのF−ATPアーゼを直接又はリンカーを介して結合きるように、γサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基の置換が実現できればよく、該アミノ酸残基がシステイン残基であることがより好ましい。
第一実施形態で記載したようにして精製されたF−ATPアーゼは、F−ATPアーゼのαサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対抗するように連結するが、このために上記γサブユニット遺伝子に導入したトリプレット変異を利用することができる。例えば、上記のトリプレット変異によりγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置換されていれば、該システイン残基をビオチンマレイミドと反応させて、該システイン残基にビオチンを結合させ、ストレプトアビジンをリンカーに用いることにより、2つのF−ATPアーゼを連結できる。
(ATPセンサー)
図3は、本発明のATPセンサーの第一実施形態を示す斜視図であり、図4は、本発明のATPセンサーの第二実施形態を示す斜視図である。
図3に示すATPセンサー300は、上述の連結分子モーター100に観測用標識20が結合したものであり、図4に示すATPセンサー400は、上述の連結分子モーター200に観測用標識20及び基板30が結合したものである。
ATPセンサー300においては、観測用標識20は、F−ATPアーゼ10bのαサブユニット2b及び/又はβサブユニット4bのN末端部分で、連結分子モーター100と結合している。一方、ATPセンサー400においては、観測用標識20は、F−ATPアーゼ10bのβサブユニット4bのN末端部分で連結分子モーター200と結合しており、基板30は、F−ATPアーゼ10aのβサブユニット4bのN末端部分で連結分子モーター200と結合している。
ATPセンサー400において、観測用標識20は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理されたビーズ状の観測用標識であり、基板30は、Ni−NTAで表面処理された基板であり、F−ATPアーゼ10aは、βサブユニット4aのN末端に結合したヒスチジンタグ12からなるN末端部分を備えており、F−ATPアーゼ10bは、βサブユニット4bのN末端に結合したヒスチジンタグ12からなるN末端部分を備えている。そして、観測用標識20は、F−ATPアーゼ10bのヒスチジンタグ12からなるN末端部分で連結分子モーター200と結合しており、基板30は、F−ATPアーゼ10aのヒスチジンタグ12からなるN末端部分で連結分子モーター200と結合している。なお、ヒスチジンタグ12はαサブユニット2a,2bのN末端に形成させてもよく、αサブユニット2a,2bのN末端及びβサブユニット4a,4bのN末端に形成させてもよい。
観測用標識20は、磁気ビーズ、ポリスチレンビーズ又アクチン繊維をNi−NTAで表面処理したものが好ましく、基板30は、ガラス板、プラスチック板又は金属板(特には、ガラス板)をNi−NTAで表面処理したものが好ましい。
ATPセンサー300においては、連結分子モーター100が回転していることを、観測用標識20を観測することにより検出して、ATPセンサーとして用いる。ATPセンサー400においても同様に、連結分子モーター200が回転していることを、観測用標識20を観測することにより検出して、ATPセンサーとして用いる。ATPセンサー400では、連結分子モーター200の一端が基板30に結合しているため、検出がより容易である。なお、連結分子モーター100,200の回転速度は、F−ATPアーゼの基質であるATP濃度に依存するため、観測用標識20の回転速度を測定すれば、ATP濃度を算出できる。
次に、第一実施形態に係るATPセンサーの製造方法について説明する。第一実施形態の連結分子モーターに観測用標識を結合させるため、上述したαサブユニット遺伝子及び/又はβサブユニット遺伝子に、アミノ酸置換を引き起こすためのトリプレット変異の導入をすることができる。また、翻訳後のタンパク質のN末端に、例えばヒスチジンタグが付加されるように、ヒスチジンタグ付加配列をその5’末端に付加することができる。
トリプレット変異は、観測用標識と直接又はリンカーを介して結合できればよく、アミノ酸置換後のアミノ酸残基がシステイン残基であることがより好ましい。システイン残基に置換されていれば、該システイン残基をビオチンマレイミドと反応させて、該システイン残基にビオチンを結合させ、ストレプトアビジンをリンカーに用いることにより、ビオチン化された観測用標識と連結することができる。また、翻訳後のタンパク質のN末端に、ヒスチジンタグが付加されれば、ニッケル分子との結合を介して、Ni−NTA化された観測用標識と連結することができる。
ストレプトアビジンをリンカーとしてビオチン化したF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットと結合させる場合、観測用標識はビオチン化されている必要があり、F−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分のヒスチジンタグと結合させる場合、観測用標識はNi−NTAで表面処理がされている必要がある。
次に、第二実施形態に係るATPセンサーの製造方法について説明する。第二実施形態の連結分子モーターに観測用標識を結合させるため、上述したαサブユニット遺伝子及び/又はβサブユニット遺伝子に、翻訳後のタンパク質のN末端にヒスチジンタグが付加されるように、ヒスチジンタグ付加配列をその5’末端に付加することができる。翻訳後のタンパク質のN末端に、ヒスチジンタグが付加されれば、ニッケル分子との結合を介して、Ni−NTA化された観測用標識と連結することができる。
観測用標識は、F−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分のヒスチジンタグと結合するためにはNi−NTAで表面処理がされている必要がある。
上記の観測用標識が結合した連結分子モーターを基板上に固定させるため、上述したαサブユニット遺伝子及び/又はβサブユニット遺伝子に、翻訳後のタンパク質のN末端にヒスチジンタグが付加されるように、ヒスチジンタグ付加配列をその5’末端に付加することができる。翻訳後のタンパク質のN末端に、ヒスチジンタグが付加されれば、ニッケル分子との結合を介して、Ni−NTA化された基板と連結することができる。なお、基板と、F−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分のヒスチジンタグと結合するためにはNi−NTAで表面処理がされている必要がある。
本発明を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(F−ATPアーゼの調製)
まず、Bacillus sp. strain PS3から全RNAを抽出し、これを鋳型にRT−PCRを行い、F−ATPアーゼのαサブユニット遺伝子(GeneBankアクセッション番号X07804のTF1−alpha subunit)、βサブユニット遺伝子(GeneBankアクセッション番号X07804のTF1−beta subunit)及びγサブユニット遺伝子(GeneBankアクセッション番号X07804のTF1−gamma subunit)をクローニングした。RT−PCRに用いたPCRプライマーは、各遺伝子の公知のcDNA配列に基づいて設計し、逆転写反応及びPCRは、逆転写酵素(サーモスクリプトRT−PCRシステム、インビトロジェン社)の製造元のプロトコールに従って行った。
その後、βサブユニット遺伝子は、翻訳後のタンパク質のN末端に10残基のヒスチジンタグが付加されるように、ヒスチジンタグ付加配列(cacの繰り返し配列)を5’末端に付加し、γサブユニット遺伝子は、N末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基がステイン残基に置換されるように、トリプレット変異(aga)を導入した。尚、αサブユニット遺伝子は、N末端から第193番目に存在する唯一のシステイン残基をセリン残基に変えている。
こうして得られたF−ATPアーゼのαサブユニット遺伝子、ヒスチジンタグ付加配列を付加したβサブユニット遺伝子及びトリプレット変異を導入したγサブユニット遺伝子は、Matsuiらの方法(Biochimica et Biophysica Acta、1995年、1231:139−146)に従って、大腸菌株JM103株Δ(uncB-uncD)と大腸菌発現用ベクターpKK223−3の系で同時に発現させ、F−ATPアーゼを再構成させた。まず、上記の3種類の遺伝子は、大腸菌発現用ベクターpKK223−3のtacプロモーターで制御されるように、αサブユニット遺伝子、トリプレット変異を導入したγサブユニット遺伝子及びヒスチジンタグ付加配列を付加したβサブユニット遺伝子の順に組み込み、大腸菌株JM103株Δ(uncB-uncD)に形質転換し、目的とする変異型F−ATPアーゼを発現するクローンを選択した。その後、得られた形質転換大腸菌クローンは大量に培養し、変異型F−ATPアーゼの精製に用いた。
大量培養した形質転換大腸菌は、遠心分離することによって集菌し、集菌バッファー(50mMNaPPO、100mMNaCl、50mMイミダゾール、pH7.0)に懸濁した。大腸菌は、10分間超音波処理により破砕し、65℃で10分間の熱処理を行った。熱処理により変性した蛋白質画分は、遠心分離を行うことによりペレットとして除去し、ヒスチジンタグを有する変異型F−ATPアーゼのみをNi−アフィニティーカラム(キアゲン社)で精製した。その際、変異型F−ATPアーゼは、0.3MのNaHPOを含む250mMイミダゾール−HCl(pH7.0)で溶出された。溶出された変異型F−ATPアーゼ画分は、疎水性カラム(butyl−Toyopalカラム;東ソー社)に供して、内在性のヌクレオチドを取り除き、限外濾過に供してイミダゾールを取り除き、最後にゲル濾過カラム(Superdex 200;アマシャムファルマシア社)に供して精製した。こうして得られた変異型F−ATPアーゼは、連結分子モーター及びシングル分子モーターを作成するための材料として以下の実験に用いた。
(連結分子モーターの調製)
まず、精製した変異型F−ATPアーゼは、ジチオスレイトール(DTT)で還元後、変異型F−ATPアーゼに対して4倍量以上のビオチンマレイミドと反応させ、γサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のステイン残基にビオチンを結合させた(以下、このビオチン化された変異型F−ATPアーゼを、ビオチン化変異型F−ATPアーゼという)。
ゲル濾過により未反応のビオチンマレイミドを除去した後、ビオチン化変異型F−ATPアーゼの半分量を新たなチューブに移し、そこにストレプトアビジンを加えることで、ビオチン化変異型F−ATPアーゼのビオチンとストレプトアビジンとを結合させた(以下、このストレプトアビジンが結合された変異型F−ATPアーゼを、ストレプトアビジン化変異型F−ATPアーゼという)。尚、未反応のストレプトアビジンは、ビオチンマレイミドの除去と同様にゲル濾過により除去した。
その後、ストレプトアビジン化変異型F−ATPアーゼには、観測用標識であるNi−NTA化磁気ビーズを加え、ストレプトアビジン化変異型F−ATPアーゼを構成するβサブユニットのN末端のヒスチジンタグとニッケル分子との結合を介して、Ni−NTA化磁気ビーズを結合させた(以下、このNi−NTA化磁気ビーズが結合した変異型F−ATPアーゼを、Ni−NTA化磁気ビーズ結合変異型F−ATPアーゼという。)。尚、未反応のNi−NTA化磁気ビーズは、ゲル濾過により除去した。
残り半分のビオチン化変異型F−ATPアーゼは、βサブユニットのN末端のヒスチジンタグを介してカバーガラス上に表面処理されたNi−NTAと結合させ、未反応のビオチン化変異型F−ATPアーゼを洗い流した。こうして得られたカバーガラス上に固定されたビオチン化変異型F−ATPアーゼには、その後引き続き、5mg/mlの牛血清を懸濁したバッファーに、等量のNi−NTA化磁気ビーズ結合変異型F−ATPアーゼを加え、ビオチンとストレプトアビジンの結合を介して、両者を結合させた。その後、未反応のNi−NTA化磁気ビーズ結合変異型F−ATPアーゼを洗い流すことにより、観測用標識としてNi−NTA化磁気ビーズを有し、ガラス板上に固定された連結分子モーターを得た。尚、得られた連結分子モーターには、適当量のMg−ATPを加えて実験に用いた。
(シングル分子モーターの調製)
連結分子モーターの性能を比較するために用いるシングル分子モーターは、以下のようにして調製した。
上記のビオチン化変異型F−ATPアーゼは、βサブユニットのN末端のヒスチジンタグとカバーガラス上に表面処理されたNi−NTAとの結合を介してカバーガラス上に固定され、バッファー交換を数回繰り返すことにより、未反応のビオチン化変異型F−ATPアーゼを洗い流した。
その後、カバーガラス板に固定されたビオチン化変異型F−ATPアーゼに観測用標識としてストレプトアビジン化磁気ビーズを加えて反応させて両者を結合させ、未反応のストレプトアビジン化磁気ビーズを十分に洗い流した。これにより、観測用標識としてNi−NTA化磁気ビーズを有し、ガラス板上に固定されたシングル分子モーターを得た。尚、得られたシングル分子モーターには、適当量のMg−ATPを加えて、実験に用いた。
(実施例1):シングル分子モーターと連結分子モーターの回転の比較
倒立顕微鏡下にシングル分子モーターと連結分子モーターとをそれぞれ設置し、透過光照明でそれぞれの分子モーターの回転をCCDカメラでビデオ録画し、単位時間当たりの回転数を解析した。図5は、室温23℃、ATP濃度が200nMにおけるシングル分子モーターと連結分子モーターの単位時間当たりの回転数をプロットしたグラフである。
その結果、シングル分子モーターでは、分子モーターの回転を検出後40秒から80秒付近で回転が停止し、その後回転を再開したが、再度、90秒付近で回転が停止した。一方、連結分子モーターでは、観測時間を通じて回転の停止は認められなかった。
また、シングル分子モーターと連結分子モーターの回転速度を比較した結果、連結分子モーターの回転速度はシングル分子モーターの回転速度と比較して2倍以上早いものであった。
第一実施形態の連結分子モーターを示す斜視図である。 第二実施形態の連結分子モーターを示す斜視図である。 第一実施形態のATPセンサーを示す斜視図である。 第二実施形態のATPセンサーを示す斜視図である。 連結分子モーターと従来の分子モーターの回転運動を比較した結果を示す図である。
符号の説明
2a,2b・・・αサブユニット、4a,4b・・・βサブユニット、6a,6b・・・γサブユニット、7a,7b・・・官能基、8a・・・第1の官能基、8b・・・第2の官能基、9・・・リンカー、10a,10b・・・F−ATPアーゼ、12・・・ヒスチジンタグ、20・・・観測用標識、30・・・基板、100,200・・・連結分子モーター、300,400・・・ATPセンサー。

Claims (8)

  1. 少なくともαサブユニット、βサブユニット及びγサブユニットから構成されるF−ATPアーゼの2つを連結させた連結分子モーターであって、
    前記F−ATPアーゼの、αサブユニット及びβサブユニットから突出したγサブユニットの突出部が互いに対向するように、2つの前記F−ATPアーゼの連結が生じている連結分子モーター。
  2. 前記2つのF−ATPアーゼの連結は、
    一方のF−ATPアーゼのγサブユニットにおける少なくとも2つのアミノ酸残基部分が、他方のF−ATPアーゼのγサブユニットにおける少なくとも2つのアミノ酸残基部分と、直接又はリンカーを介して、結合することにより生じている、
    請求項1記載の連結分子モーター。
  3. 前記F−ATPアーゼの連結は、
    一方のF−ATPアーゼのγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基に導入された第1の官能基2個と、
    他方のF−ATPアーゼのγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のアミノ酸残基に導入された第2の官能基2個とが、
    前記第1及び第2の官能基と反応性の第3の官能基を少なくとも4個備えるリンカーと結合することにより生じている、
    請求項1又は2に記載の連結分子モーター。
  4. 前記第1及び第2の官能基は、いずれも、前記F−ATPアーゼのγサブユニットのN末端から第107番目と第210番目のシステイン残基にそれぞれビオチンを結合させて導入した、同一の官能基であり、
    前記リンカーは、該第1及び第2の官能基と反応性の第3の官能基を少なくとも4個有するストレプトアビジンである、
    請求項3記載の連結分子モーター。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結分子モーターと、観測用標識と、を備えるATPセンサーであって、
    前記観測用標識は、前記連結分子モーターを構成する少なくとも一方のF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分で、前記連結分子モーターと結合しているATPセンサー。
  6. 前記観測用標識は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理されたビーズ状又は繊維状の観測用標識であり、
    前記少なくとも一方のF−ATPアーゼは、αサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端に結合した、ヒスチジンタグからなるN末端部分を備えており、
    前記観測用標識は、該N末端部分で前記連結分子モーターと結合している、請求項5記載のATPセンサー。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結分子モーターと、観測用標識と、基板と、を備えるATPセンサーであって、
    前記観測用標識は、前記連結分子モーターを構成する一方のF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分で、前記連結分子モーターと結合しており、
    前記基板は、前記連結分子モーターを構成する他方のF−ATPアーゼのαサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端部分で、前記連結分子モーターと結合している、ATPセンサー。
  8. 前記観測用標識は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理されたビーズ状又は繊維状の観測用標識であり、
    前記基板は、ニトリロ三酢酸ニッケル(Ni−NTA)で表面処理された基板であり、
    双方の前記F−ATPアーゼは、αサブユニット及び/又はβサブユニットのN末端に結合した、ヒスチジンタグからなるN末端部分を備えており、
    前記観測用標識は、一方のF−ATPアーゼの該N末端部分で、前記連結分子モーターと結合しており、
    前記基板は、他方のF−ATPアーゼの該N末端部分で、前記連結分子モーターと結合している、請求項7記載のATPセンサー。

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