JP2007151317A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のロータを備えている場合に、ロータに発生するアンバランスを解消するようにバランス調整を行うことができる回転電機を提供する。
【解決手段】対向配置され、装着に際し周方向位置決めを必要とする複数個のロータを有する回転電機において、各ロータ13,14におけるアンバランスベクトルの総和が最小になるように、各ロータ13,14を配置した。各ロータ13,14は、対応するロータ間において一方のロータの偏重心位相が他方のロータの逆相付近に位置するように配置した。ロータが永久磁石のように固定磁極対を有する場合、ロータの周方向位置決めピッチ数を、磁極数と同数又は整数倍とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、回転電機に関し、特に、複数のロータを有する場合に回転体としてのバランスを調整することができる回転電機に関する。
従来、ロータについて回転体としてのバランス調整をしたロータ構造が知られている。このようなロータ構造を有するものとして、例えば、「電動送風機」(特許文献1参照)或いは「回転シリンダー装置」(特許文献2参照)がある。
「電動送風機」は、回転子を貫通する回転軸を有する電動機と、回転軸の一端に取り付けられ、電動機によって回転する回転ファンと、質量の分布を非対称とした略リング状のアンバランス部材を備え、アンバランス部材が、回転軸に貫通されて回転子のアンバランス位置と逆位相に装着されている。
また、「回転シリンダー装置」は、同軸に配置された上シリンダー及び下シリンダーと、上シリンダーに取り付けられた記録再生用磁気ヘッド及び消去用磁気ヘッドと、上シリンダーを駆動するモータとを備え、ロータマグネットから突出形成されたPGマグネットと消去用磁気ヘッドとを同位相又は180°対向した位相で配置し、これにより単一のバランス板によって装置の回転動バランスをとることができるようにした。
特開2003−129955号公報 特開平6−60348号公報
しかしながら、従来の「電動送風機」或いは「回転シリンダー装置」のように、複数のアンバランスを逆位相に配置することにより解消する方法では、固定磁極を持つ複数のロータを備えている場合、複数のロータの位相を逆位相に配置することが困難であった。
この発明の目的は、複数のロータを備えている場合に、ロータに発生するアンバランスを解消するようにバランス調整を行うことができる回転電機を提供することである。
上記目的を達成するため、この発明に係る回転電機は、対向配置され、装着に際し周方向位置決めを必要とする複数個のロータを有する回転電機において、各ロータにおけるアンバランスベクトルの総和が最小になるように、各ロータを配置している。
この発明によれば、対向配置され、装着に際し周方向位置決めを必要とする複数個のロータを有する回転電機は、各ロータにおけるアンバランスベクトルの総和が最小になるように、各ロータが配置されている。このため、複数のロータを備えている場合に、ロータに発生するアンバランスを解消するようにバランス調整を行うことができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る回転電機の内部構造を示す説明図である。図1に示すように、回転電機10は、ケース11の内部に、固定子(ステータ)12と、ステータ12を挟み込むように両側に配置された2個の回転子(ロータ)13,14を有している。つまり、この回転電機10は、磁極や突極等の周方向位置決めを要するロータを複数個設けて構成されており、この例では、ステータが1個でロータが2個の1ステータ2ロータ構造を有している。
ケース11は、円筒部15と、円筒部15の両端開口を塞ぐ2個の蓋部16,17からなり、円筒部15の内周面にステータ12が固定され、両蓋部16,17の蓋面中心を、2個のロータ13,14に共通する回転軸18が貫通している。
ステータ12は、円盤の中央が開口する円環状に形成されており、ステータ周方向に沿って複数箇所に固定子巻線(コイル)19を有している。2個のロータ13,14は、円盤状に形成されており、ステータ12との間にエアギャップを有して対向するように、盤面中央を貫通する回転軸18に嵌合状態に取り付けられている。各ロータ13,14には、ステータ12の各コイル19に対応して配置された複数の永久磁石20が、エアギャップ面に露出するように埋設されている。
回転軸18は、蓋部16の貫通孔に取り付けた1個のベアリング21、及び蓋部17の貫通孔に取り付けた2個のベアリング22,22を介して、ケース11に回転自在に支持されている。この回転軸18は、径の異なる2つの径拡大部を有しており、ロータ13は回転軸18に直接取り付けられ、ロータ14は回転軸18を拡径した拡径部18aに取り付けられ、ロータ13とロータ14に挟まれた中央拡径部18bは拡径部18aよりも更に拡径されている。
ロータ13とロータ14は、ロータ周方向における位置決め手段として、例えば、キー23を用い、キー23を各ロータ13,14と回転軸18の双方に係止させることにより、回転軸18に対しロータ周方向任意の位置で、それぞれ回転軸18及び拡径部18aに固定されている。
上述した構成を有する回転電機10の場合、ロータ13及びロータ14は、それぞれ、ある回転位相にある大きさの回転アンバランス量を持っており、高速回転体として用いる場合、ダイナミックバランスをとる必要がある。このアンバランス状態の発生は、各ロータ13,14に装着した永久磁石20の取り付け状態のバラツキや部品の加工公差等、多くの要因に基づく。
図2は、図1の2個のロータをエアギャップ側から見たそれぞれの対向面を模式的に示し、(a)は一方のロータの平面図、(b)は他方のロータの平面図である。図2に示すように、ロータ13((a)参照)とロータ14((b)参照)は、何れも極数が16であり、永久磁石20は、N極(20n)とS極(20s)が交互に、且つ、同一極性が向き合わず異なった極性が向き合うように配置されている。
これら2個のロータ13,14のそれぞれには、ある角度位相でのアンバランスベクトル、即ち、ロータ13にアンバランスベクトルA((a)参照)が、ロータ14にアンバランスベクトルB((b)参照)が、存在する。
従って、これらのアンバランスベクトルA,Bを解消しようとすれば、2個のロータ13,14を回転軸18に嵌合する際に、一方のアンバランス位相が他方のアンバランス位相の逆相に位置するように、アンバランスベクトルAから180°離間した位置X((b)参照)にアンバランスベクトルBが位置するようにすればよい。つまり、一方のロータ14(13)の偏重心位相が他方のロータ13(14)の逆相付近に位置するように、2個のロータ13,14を配置する。
しかしながら、ロータ周方向の所定位置への位置決めを必要とする永久磁石20が存在する回転電機用のロータ13,14においては、必ずしも、アンバランスベクトルAから180°離間した位置Xの方向に、アンバランスベクトルBを配置することができるとは限らない。
そこで、アンバランスベクトルAから180°離間した位置Xの方向に、最も近く、且つ、磁極のロータ周方向位置がずれない位置関係に、ロータ13及びロータ14を配置するようにする。このため、各ロータ13,14のロータ周方向位置決め手段であるキー23のロータ周方向幅を、磁極のロータ周方向幅と同じに、即ち、ロータ平面全範囲を磁極数で割った角度α(α=360°/磁極数)の範囲((a)参照)と同等に形成すれば、磁極がずれることなく必ず一致するように配置することができる。また、磁極数は、その整数倍であっても同様である。つまり、ロータが、永久磁石20のように固定磁極対を有する場合、ロータの周方向位置決めピッチ数を、磁極数と同数又は整数倍とする。
上記構成を有する場合、逆相付近における位相の最大ズレ角度β((b)参照)は、角度αよりも必ず小さく(α≧β)することができる。図2(b)において、矢印Aは、ロータ13のアンバランスベクトルA、矢印Bは、ロータ14のアンバランスベクトルB、矢印Cは、トータルアンバランスベクトルを示す。
なお、ここでは、2個のロータ13,14を有する場合について説明したが、ロータを3個以上有する場合についても適用することができ、ロータを複数個有する場合、各ロータにおけるアンバランスベクトルの総和(トータルアンバランスベクトル)が最小になるように、各ロータを配置すれば良い。
図3は、この発明の他の実施の形態に係る回転電機の内部構造を示す説明図である。図3に示すように、回転電機25は、ロータ13及びロータ14に代えて、重心をオフセットさせて中央拡径部18bに取り付けた、ロータ26及びロータ27を有している。その他の構成及び作用は、回転電機10と同様である。
ロータ26及びロータ27は、それぞれの盤面中央部をステータ12の中央空間部分に位置するように屈曲させると共に、屈曲部を互いに密着させて形成した、重心オフセット部26a,27aを有している。つまり、ロータ26及びロータ27の回転軸18との固定部(シャフト固定部)が、エアギャップ面に対し他方のロータ側にオフセットして形成されており、両ロータ間距離は、シャフト固定部の方がエアギャップ部よりも短い(図3参照)。
この重心オフセット部26a,27aは、中央拡径部18bの外表面に、ロータ周方向における位置決め手段として、例えば、スプライン軸構造28を形成し、スプライン軸構造28に重心オフセット部26a,27aを係止させることにより、回転軸18に対しロータ周方向任意の位置で、共に中央拡径部18bに固定される。
中央拡径部18bの回転軸方向両側には、外向きフランジ29が形成されており、重心オフセット部26a,27aは、何れも中央拡径部18bに固定されると共に両外向きフランジ29,29の間に挟持される(図4参照)。重心オフセット部26a,27aは、外向きフランジ29,29の間に挟持されることで、回転軸方向の位置決めが行われる。
このように、重心オフセット部26a,27aを有することにより、各ロータ26,27のアンバランスの回転軸方向位置が、両ロータ26,27間の中央部付近に移動するので、中央拡径部18bにおける回転モーメント(矢印参照)が軽減される。
つまり、回転電機10のロータ13及びロータ14(図1参照)では、モーメントアーム(ロータ間距離)が中央拡径部18bの回転軸方向長さ分あるので、もしも、ロータ重心が回転軸18からずれていると、偶力が発生してしまう。これに対し、回転電機25のロータ26及びロータ27(図4参照)では、モーメントアームを短くすることが可能になり、その結果、偶力の発生を防止することができる。
図4は、この発明の更に他の実施の形態に係る回転電機の内部構造を示す説明図である。図4に示すように、回転電機30は、中央拡径部18bの回転軸方向両側に形成された外向きフランジ29,29の代わりに、中央拡径部18bの回転軸方向中央に全周に渡って形成された1個のリブ形状部31を有している。その他の構成及び作用は、回転電機25と同様である。
リブ形状部31は、ロータ26とロータ27の間の中央拡径部18bの回転軸方向中央に配置されて、ロータ26及びロータ27の回転軸方向の位置決めを行う回転軸方向位置決め手段として機能し、同時に、ロータ全体のアンバランス調整を行うこともできる。ロータ全体のアンバランス調整は、例えば、一部を削り取る等のリブ形状部31の形状変更等の調整を行うことにより、ロータ26及びロータ27の合計アンバランス量を修正する。また、リブ形状部31を設けることで、中央拡径部18bにおける回転モーメント(矢印参照)も軽減される。
上述したように、対向配置され、装着に際し周方向位置決めを必要とする複数個のロータを有する回転電機において、各ロータにおけるアンバランスベクトルの総和が最小になるように、各ロータを配置した。また、各ロータは、対応するロータ間において一方のロータの偏重心位相が他方のロータの逆相付近に位置するように配置した。これにより、複数のロータを組み立ててなるロータの初期アンバランス量を低減することができる。
また、ロータが永久磁石のように固定磁極対を有する場合、ロータの周方向位置決めピッチ数を、磁極数と同数又は整数倍とする。これにより、各ロータの極性を必ず一致させることができることに加えて、最大アンバランス位相ずれ量を、360°/磁極数以下に調整することができる。
また、各ロータと回転軸との固定部が、エアギャップ面に対し他方のロータ側にオフセットして形成され、ロータ間距離は、固定部の方がエアギャップ部よりも短い。これにより、結果的に各ロータの重心軸方向位置が複数ロータの中心に近づくので、ピッチング方向のモーメントを低減することができる。
また、各ロータの回転軸に、各ロータの回転軸方向位置決めを行うと共にロータ全体のアンバランス調整を行うリブ形状部を有する。これにより、リブ形状部で各ロータのアンバランス合計をキャンセルするようにバランス調整を行うことができるので、調整箇所が減り、ピッチングモーメントに悪影響を及ぼさない。
このように、この発明によれば、対向配置され、装着に際し周方向位置決めを必要とする複数個のロータを有する回転電機は、各ロータにおけるアンバランスベクトルの総和が最小になるように、各ロータが配置されているため、複数のロータを備えている場合に、ロータに発生するアンバランスを解消するようにバランス調整を行うことができる。
この発明の一実施の形態に係る回転電機の内部構造を示す説明図である。 図1の2個のロータをエアギャップ側から見たそれぞれの対向面を模式的に示し、(a)は一方のロータの平面図、(b)は他方のロータの平面図である。 この発明の他の実施の形態に係る回転電機の内部構造を示す説明図である。 この発明の更に他の実施の形態に係る回転電機の内部構造を示す説明図である。
符号の説明
10,25,30 回転電機
11 ケース
12 ステータ
13,14,26,27 ロータ
15 円筒部
16,17 蓋部
18 回転軸
18a 拡径部
18b 中央拡径部
19 コイル
20 永久磁石
20n N極
20s S極
21,22 ベアリング
23 キー
26a,27a 重心オフセット部
28 スプライン軸構造
29 外向きフランジ
31 リブ形状部
A アンバランスベクトル
B アンバランスベクトル
C トータルアンバランスベクトル
α 角度
β 最大ズレ角度

Claims (5)

  1. 対向配置され、装着に際し周方向位置決めを必要とする複数個のロータを有する回転電機において、
    前記各ロータにおけるアンバランスベクトルの総和が最小になるように、前記各ロータを配置したことを特徴とする回転電機。
  2. 前記各ロータは、対応するロータ間において一方のロータの偏重心位相が他方のロータの逆相付近に位置するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記ロータが永久磁石のように固定磁極対を有する場合、前記ロータの周方向位置決めピッチ数を、磁極数と同数又は整数倍とすることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
  4. 前記各ロータと回転軸との固定部が、エアギャップ面に対し他方のロータ側にオフセットして形成され、ロータ間距離は、前記固定部の方がエアギャップ部よりも短いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機。
  5. 前記各ロータの回転軸に、前記各ロータの回転軸方向位置決めを行うと共にロータ全体のアンバランス調整を行うリブ形状部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7465717B2 (ja) 2020-05-13 2024-04-11 東芝産業機器システム株式会社 回転電機の回転子

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JP7465717B2 (ja) 2020-05-13 2024-04-11 東芝産業機器システム株式会社 回転電機の回転子

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