JP2007150163A - 電磁ソレノイドのプランジャおよびその製造方法 - Google Patents

電磁ソレノイドのプランジャおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】摺動性と緩衝性を確保するためにプランジャの外周面に樹脂コーティングを加工し、通電時または非通電時にプランジャがステータコアに当たる当たり音が生じない電磁ソレノイドを提供すること。
【解決手段】プランジャ12の外周面に、防食性を備える無電解Niメッキ20を適切な厚さに加工し、その上に摺動性と緩衝性を備えたフッ素系樹脂コーティング30を加工し、フッ素系樹脂コーティング30にはフェライト系の磁石の粒子32を適量混ぜて、プランジャ12に弱い径方向磁力を発生させ、非通電時にはステータコア10の内周の一方に吸引が為されて接触支持させている。よって、非通電時において、外部の振動によってプランジャ12が隙間内をガタ付いて当たり音の発生をすることはなく、また、通電時においても摺動性と緩衝性を向上させているので、起動打撃の当たり音の発生を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁弁の電磁ソレノイドに関し、特に、電磁ソレノイドの磁気回路を構成するステータコアの内部に、軸方向へ摺動可能に収容されるプランジャとその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、電磁弁の電磁ソレノイドは、内部にプランジャを軸方向へ摺動可能に収容するステータコアを備えている。このステータコアの内周側には磁気遮断部を設け、外周側に配設した電磁コイルを励磁することで発生する磁束が、このステータコアの磁気遮断部からバイパスしてプランジャに流れ、プランジャに磁気吸引力を作用させる磁気回路を構成している。これにより電磁ソレノイドに推力とストロークを発生させる。
従来、自動車用途の電磁弁の一つに、燃料タンクの蒸発燃料をキャニスタに捕集させることを制御するタンク密閉弁があり、このタンク密閉弁の開閉制御に電磁ソレノイドの適用がある。図3は、タンク密閉弁100の軸方向断面図である。図3に示すように、タンク密閉弁100は、電磁ソレノイド101と弁体部102とハウジング103よりなる。タンク密閉弁100はゼロエバポ(無漏洩蒸発ガス)仕様で使われる場合が多く、弁体部102は樹脂製ベローズ121を備えたパイロットバルブ120と、軟質ゴム製のメインバルブ125から構成されている。メインバルブ125は燃料タンク(図示せず)からの蒸発ガスをキャニスタ(図示せず)に捕集させるために通路を開閉する止り弁であり、通路を構成するハウジング103の軸心の着座部131に、軸方向にばね132の開弁方向の付勢力を受けながら、パイロットバルブ120の付勢力によって閉弁方向に係止されている。一方、パイロットバルブ120はメインバルブ125に着座して開閉を制御する止り弁であり、メインバルブ125の中心軸方向に備えられた連通穴126の連通を開閉する。そのため、樹脂製のベローズ構成を有して常時軸方向の付勢力を備えて、メインバルブ125に当接している。また、樹脂製ベローズ121を備えたパイロットバルブ120の軸心にはスピンドル118が取付けられ、スピンドル118の一端(図中左側)は電磁ソレノイド101のプランジャ112に圧入嵌合され、他端(図中右側)はパイロットバルブ120の弁体122をその中心でワッシャスプリング119によって係止している。
上記構造のプランジャ112を備える電磁ソレノイド101は、弁体部102を収容するハウジング103の一端に同軸に取付けられる。図4は電磁ソレノイド101の概念的な軸方向断面図である。図4に示すように、電磁ソレノイド101は、ステータコア110とコイル113とヨーク114、およびプランジャ112よりなる磁気回路を構成する。通電によりコイル113を励磁することで発生した磁束がステータコア110に流れるとき、ステータコア110に設けられた磁気遮断部111によってバイパスされ、磁束はプランジャ112に流れる。このとき、プランジャ112には軸方向に磁気吸引力が作用する。つまり電磁ソレノイド101の推力とストロークは、プランジャ112の磁気吸引力によって発生することとなる。
図3において、電磁ソレノイド101に発生した推力とストロークは、プランジャ112に連結するスピンドル118を介して樹脂製ベローズ121を備えるパイロットバルブ120に伝わり、弁体122が開弁する。
パイロットバルブ120が開くと、燃料タンク内の蒸発ガスの圧力は連通穴126からキャニスタ側に逃げ、徐々に低下し始める。蒸発ガスの圧力が低下すると、この蒸発ガスの圧力にて押されていたメインバルブ125の閉弁作用力がばね132による一端方向への付勢力より小さくなって、つまり、付勢力が勝って、メインバルブ125は開弁を始め、通路が大きく開放されて、燃料の蒸発ガスはキャニスタに捕集される。そして、通電をオフすると、電磁ソレノイド101の磁束は消滅するので、プランジャ112には磁気吸引力は作用せず、プランジャ112に備えられた戻りばね115の付勢力とパイロットバルブ120の樹脂製ベローズ121による付勢力によって、パイロットバルブ120はメインバルブ125と共に着座し、閉弁する。閉弁によって、燃料の蒸発ガスはキャニスタに捕集されなくなる。
上記タンク密閉弁の開閉制御に使用される電磁ソレノイドは、主に、パイロットバルブの開閉に使用される。そして、パイロットバルブのベローズによる付勢力と電磁ソレノイドのプランジャ自身の付勢力双方に対抗して安定、かつ確実な開閉動作の確保のためには、プランジャに大きな磁気吸引力を発生させる必要がある。このため、プランジャに十分な磁束が流れるように、ステータコアの磁気遮断部の薄肉部を薄くして磁気抵抗を大きくしたり、あるいはステータコアとプランジャとの隙間を小さくすることにより磁気吸引力を大きくすることが考えられている。しかし、ステータコアとプランジャは上記したように磁気回路を構成する鉄等の磁性体より構成されているものの、薄肉化は加工時や組付け時に変形歪を生じる心配があり、この歪の発生によりプランジャの摺動不良の懸念が生じる。また、ステータコアとプランジャ間の隙間を微小にすれば、調芯(または宙吊)構造でないため、通電時または非通電時にプランジャがステータコアに当たって当たり音が生じたり、高い振動を受けて摺動部に磨耗が生じ、作動不良となる懸念がある。
このため、プランジャとステータコアの当たり音や磨耗を低減するために、プランジャの外周部に樹脂製スリーブを付ける手段が特許文献1に開示されている。
特許文献1は、金属製スリーブ付きプランジャ形電磁弁であるが、電磁弁が非通電時に高い振動を受けると摺動部を構成する柔らかい金属(銅)製スリーブが磨耗し、作動不良となる。また、扱う流体に水分が含まれていると電蝕が促進され錆付きの現象を起し、振動の場合と同様に作動不良となる。そこで金属製スリーブの嵌着に替えて、プランジャの外周部に樹脂製スリーブを一体成形することによって、摺動部の耐摩耗性を向上させ、また、衝撃を吸収して衝突音を低減する安価なプランジャとすることを特徴としている。
〔従来技術の不具合〕
しかし、特許文献1の構造では、プランジャの外周部を樹脂で覆って耐摩耗性を向上したとしても、個体同士の打撃のため、振動が発生して振動騒音の原因系を残すこととなる。また、ステータコアとプランジャの隙間(磁気クリアランス)が樹脂のない場合に比べ大きくなるので、プランジャの磁気吸引力が低下し、これを防止しようとすれば、電磁コイルを大型化せざるを得ない。加えて、スリーブを構成する樹脂には耐摩耗性とともに摺動抵抗の小さい材料が望まれ、例えばフッ素系樹脂{テフロン(登録商標)}等の高級、高価材料を選択せざるを得ないという問題点がある。
実開昭56−17473号公報
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ステータコア内のプランジャに摺動性と緩衝性を確保するために樹脂コーティングを加工し、通電時または非通電時にプランジャがステータコアに当たる当たり音が生じない電磁ソレノイドを提供することを目的とする。
〔請求項1の手段〕
本発明では、ステータコアの内部に、所定の隙間を有して軸方向へ摺動可能に収容されたプランジャと、ステータコアの外部に磁束を発生させる電磁コイルとを備え、電磁コイルの通電により、プランジャに磁気吸引力を作用するための磁気回路を形成する電磁ソレノイドのプランジャにおいて、プランジャに予め弱い磁力を付与し、常にステータコアの内周の一方に吸引が為されて接触し、初期的な径方向の動きが抑制されたことを特徴としている。
これによれば、非通電時において、プランジャはステータコア内の一方に初期的に吸引支持されているので、外部振動や衝撃に対してもプランジャはステータコア内から離れることがなく、ステータコアとの当たり音の発生を低減することが可能となる。また、通電時において、プランジャは軸方向に強い磁気吸引力が作用して起動するが、この磁気吸引力によってステータコア内の一方に吸引支持されているプランジャは、径方向の移動を伴うことなくそのまま軸方向に沿って摺動するので、ステータコアへの起動打撃の発生がなく、ステータコアとの当たり音の発生を低減することが可能となる。
〔請求項2の手段〕
請求項1に記載の電磁ソレノイドのプランジャにおいて、プランジャの外周は、摺動性と緩衝性を備えた樹脂コーティングが施され、樹脂コーティングには磁化された磁石の粒子を混ぜることでプランジャに弱い径方向磁力を発生させ、非通電時にはステータコアの内周の一方に吸引が為されて接触し、通電時にはプランジャは強い軸方向磁気吸引力を発生して起動することを特徴としている。
これによれば、請求項1と同様に、非通電時、および通電時においてプランジャのステータコアとの当たり音の発生を低減することが可能となる。また、ステータコア内におけるプランジャの摺動性が向上し、ために外部振動や衝撃に対して径方向の動きを抑制するプランジャの径方向吸引力は、軸方向磁気吸引力に対して大きな抵抗力となることもなく、プランジャはなお強力な磁気吸引力を発生することが可能である。また、緩衝性が向上しているので、仮にプランジャの径方向吸引力が少なくなって、起動打撃が生じたとしても、プランジャはその打撃をコーティングにて緩衝するので、当たり音等の発生の低減が可能となる。また、プランジャの外周のステータコアに近接する位置にコーティングを備えているので、効果的にプランジャの径方向磁力を発生させ、薄いコーティング厚で済ませることができ、磁気的クリアランスを小さくすることができる。
〔請求項3の手段〕
請求項2に記載のコーティング加工を用いる電磁ソレノイドのプランジャの製造方法において、プランジャの外形を所定の形状に切削加工し、切削加工されたプランジャの外周面に、無電解ニッケルメッキを加工し、加工された無電解ニッケルメッキの上面に、PTFE粒子と磁石の粒子とバインダーとを混合した樹脂コーティングを加工したことを特徴とする電磁ソレノイドのプランジャの製造方法を採用している。
これによれば、磁石の粒子を混ぜ合わせてコーティング加工することができるので、樹脂製スリーブでは得られない非常に薄いコーティングで済ませることができ、磁気的クリアランスを大きくすることなく、つまり磁気吸引力を低下させることなく効果的な磁気回路が構成できる。しかも、プランジャの外周のステータコアに近接した位置にコーティングを備えているので、プランジャの径方向磁力は僅かの磁石の粒子量で達成することが可能で、大型化することなく簡単に、かつ廉価に加工することができる。また、プランジャの弱い径方向磁力は、磁石の粒子量で設定できるので、調整が簡単である。また、磁石の粒子とPTFE粒子、およびバインダーを一緒に混合させるコーティング加工を採用しているので、摺動性と緩衝性の向上が同時に得られ、このコーティング付きプランジャの静止時には外部振動に耐える十分な径方向吸引力も、摺動時にはこのプランジャに発生する軸方向磁気吸引力に対して大きな抵抗力となることもなく、プランジャはなお強力な磁気吸引力を発生することが可能である。
本発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。
〔実施例1の構成〕
図1(a)は、本実施例における電磁ソレノイドの概念的な要部断面を示し、図1(b)はプランジャの外周面の拡大断面図を示す。
図1(a)において、電磁ソレノイド1は、その主な構成要素として、磁気回路を構成するステータコア10とコイル13とヨーク14、およびプランジャ12から成り立っている。
ステータコア10は、一端(図中左側)が開放形状を有し、他端(図中右側)が鍔付きの中空筒型形状を有する円筒体である。筒型形状の略中央に外周面から略V字形のくびれ16を有した磁気遮断部11が形成されている。磁気遮断部11は、構造的にはくびれ16によって形成された薄肉部15であって、磁気回路的には磁気抵抗を高めた磁気飽和部である。
プランジャ12は、中実筒型形状を有し、ステータコアの内周側に、軸方向の往復移動可能なように隙間(磁気クリアランス)を有して収容されている。プランジャ12は一端が、ステータコア10の磁気遮断部11に位置し、他端はステータコア10の鍔部と略一致した長さを有する円筒体であり、後述するように磁気吸引力を発生する構造となっている。そして、プランジャ12の外周面には、図1(b)に示すように、防食性を図る非磁性の無電解Ni(ニッケル)メッキ20が為され、その上に摺動性を図る同様に非磁性の樹脂コーティング30が為されている。しかるに、この樹脂コーティング30は、バインダー33と共に、摺動性の向上を図るPTFE粒子31と磁力を発生する磁石の粒子32が均一に混ぜ込まれており、このために、樹脂コーティング30には弱い磁力が発生して、樹脂コーティング30を備えるプランジャ12はステータコア10の内周面の或る箇所に弱く吸引して取付いている。図示では反重力方向の図示上方に取付いた例である。取付く位置はステータコア10の内周面のいずれであっても構わず、組付け時の初期条件によって決まる。よって、プランジャ12は外部から振動が加わっても、ステータコア10の内周面に吸引して取付いているので、径方向の動きが抑制されて、隙間の間をガタを生じて移動することはない。
コイル13は、被覆導線をボビンに多層に巻いた巻線で、樹脂によって円筒形状にモールド成形されている。同時に、コイル13に給電するコネクタ(図示せず)と一体的に成形され、電気的に接続される。そして、滑らかな内周面を有する筒型形状となっており、ステータコア10の外周面に同軸に嵌着され、後述するように通電により励磁し、磁束を発生する。
また、ヨーク14は、一端が一部有底の中空筒型形状を有し、他端が開放している。その中空部に上記コイル13を収容し、その開放端はステータコア10の鍔部と当接し、他端はステータコア10の開放端の外周部に嵌着している。これにより、上記コイルの発生する磁束の通り道(磁路)を形成する。
以上の組合せにより、電磁ソレノイド1の磁気回路が構成される。
通電によりコイル13を励磁することで発生する磁束は上記の磁気回路を流れるが、磁気遮断部11において磁気飽和が高く、プランジャ12に磁気回路がバイパスして磁束が流れることとなる。これによりプランジャ12は磁気吸引力を発生することになる。磁気吸引力はプランジャ12の図示左方に作用し、図示しない弁体部に推力とストロークを与えることとなる。また、公知のように、プランジャ12は、常時スプリング(図示せず)から付勢力を受け、コイル13の非通電時に図示しないストッパ位置まで押し戻されることとなる。この位置は、非通電時の定常位置に相当する。
次に、プランジャ12の製造方法の一例を説明する。図2は、プランジャ12の外周面に樹脂コーティングを加工する場合の加工工程図である。
プランジャ12は、その外径をステータコア10の内周面と所定の磁気クリアランスが保持できるよう予め切削加工によって円筒状に仕上げられている(第1工程、図2(a)参照)。
そして、次に、上記のプランジャ12を無電解Niメッキ加工装置によって、無電解Niメッキ20を約10μmの厚さに仕上げられる(第2工程、図2(b)参照)。無電解Niメッキ20は、Niの化学メッキであり、多くの金属や非金属とも付きまわりがよく、形成されるメッキ膜は非磁性体であり、多孔性が少なく、防食性を向上させる特長がある。メッキ膜厚は処理時間や処理温度に略比例して厚くなる。よって、本実施例では、十分防食性が確保できる約10μmのメッキ膜厚を比較的短時間に処理できる加工条件を選択する。
そして、次に、無電解Niメッキ加工されたプランジャ12を樹脂コーティング加工装置によって、メッキ膜の上に樹脂コーティング30を約15μmの厚さに加工する(第3工程、図2(c)参照)。樹脂コーティング加工は、非金属被覆の一種であり、化成被覆や塗料被覆と同様に主に防食を目的として加工される。メッキ膜上の被覆としてはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを主成分としたもの、またはこれらを変性したものが用いられる。これらの選定に当たっては、下地となるメッキの種類によって密着性が異なるので注意深い選択を要するが、加工前のメッキ膜の水洗・乾燥の前処理は必要である。そして、このメッキ膜上にコーティング剤を塗布するのであるが、塗布方法には浸漬法、吹付法、静電法、差入法などがあり、ワークの大きさや部分塗布の必要性の有無などにより選択する。また、コーティング剤によって、溶剤が蒸発して乾燥硬化、または重合硬化する一液型と、主剤と硬化剤との反応により自己硬化する二液型があり、そのコーティング剤特性に沿って、常温乾燥ないし強制乾燥(焼付)にてコーティング加工を完成する。
しかるに、本実施例では樹脂コーティング加工に際し、コーティング剤の中に摺動性を向上させるPTFE粒子31と、磁力を有し吸引力を発生する磁石の粒子32をバインダー33とともに混合させている。
PTFE粒子31は、ポリテトラフルオロエチレンであって、代表的なフッ素樹脂である{商品名でテフロン(登録商標)と称される}。低摩擦特性、非粘着性は他のエンプラなどに類を見ない特徴がある。PTFEを使っての成形には、加工法としていろいろあるが、含浸やコーティング用にはディスパージョン粉末を利用して、所望の形状に賦形し、焼成工程を経て成形させることが行われる。コーティング用のディスパージョン粉末は、フロン22を熱分解して得られるテトラフルオロエチレンを原料として、乳化重合によって得られ、さらに界面活性剤によって濃縮・安定化して製造され、平均粒径は非常に細かく数μmのものを低摩擦特性の確保のために使用する。
また、磁石の粒子32は、フェライト系の磁石であって、大きさとしての平均粒径は非常に細かく数μmのものであり、コーティング剤と混合したときに、分散して均一な混合ができる程度の着磁が予め為されている。ここで、着磁とはフェライト系の磁石素材に磁気を帯びさせることであり、瞬間的な大電流による着磁コイルなどの強力磁界に曝すことによって得られる。着磁の強さは、コーティング剤に混合する量、つまり磁力によって吸引(接触)する力の大きさの兼ね合いで決められる。また、着磁はそのフェライト系の磁石の磁化特性の定格値にされて、混合する磁石の粒子量を吸引力に合わせて調整するのが簡便である。また、磁石の粒子はフェライト系に限ることはなく、希土類磁石系であっても構わない。
以上、PTFE粒子31、および磁石の粒子32を混合したコーティング剤を所定の厚さに塗布し、焼成してコーティング加工が完成する。これにより、防食性はもとより、摺動性と緩衝性の向上したプランジャ12が得られることになる。
上記加工工程の説明では、PTFE粒子31、および磁石の粒子32を他の樹脂コーティング剤であるバインダー33と均一混合させ、所定の厚さに塗布して焼成させてコーティング加工を完成させているが、他の樹脂コーティング剤であるバインダー33がPTFE樹脂コーティング剤そのものであっても何ら構わない。PTFE樹脂は従来高価であり、PTFE樹脂の使用量を最小にして摺動性の最大効果を低コストで得られる方法ならば特に拘るものではない。
〔実施例1の作用〕
本実施例による電磁弁の電磁ソレノイド1の作用を以下に説明する。
ステータコア10の内部に、所定の隙間を有して軸方向へ摺動可能に収容されたプランジャ12と、ステータコア10の外部に磁束を発生させるコイル13とを備え、コイル13の通電により、プランジャ12に磁気吸引力を作用するための磁気回路を形成する電磁ソレノイド1のプランジャ12において、プランジャ12の外周面に、摺動性と緩衝性を備えたフッ素系樹脂コーティング30を加工し、フッ素系樹脂コーティング30はフェライト系の磁石の粒子32を適量混ぜて、プランジャ12に弱い径方向磁力を発生させ、非通電時にはステータコア10の内周の一方に吸引が為されて接触支持させている。従って、非通電時には、一方に接触支持されたままで径方向の動きが抑制されて移動することはない。また、通電によりコイル13を励磁すると、発生した磁束は磁気回路を一巡して流れるが、ステータコア10の磁気回路において、磁気遮断部11は磁気飽和が高いので磁束はバイパスしてプランジャ12に流れることになる。これにより、プランジャ12には軸方向に磁気吸引力が作用する。このとき、プランジャ12はフッ素系の樹脂コーティング30が加工されているので、径方向の弱い吸引力はプランジャ12表面の低摩擦特性と相まって軸方向の磁気吸引力の抵抗力となることもなく、強い磁気吸引力のまま、電磁ソレノイド1は所定の推力とストロークを作用させる。
〔実施例1の効果〕
本実施例では、プランジャ12の外周面に、防食性を備える無電解Niメッキ20を適切な厚さに加工し、その上に摺動性と緩衝性を備えたフッ素系の樹脂コーティング30を加工し、フッ素系の樹脂コーティング30はフェライト系の磁石の粒子32を適量混ぜて、プランジャ12に弱い径方向磁力を発生させ、非通電時にはステータコア10の内周の一方に吸引が為されて接触支持させている。従って、非通電時には、一方に接触支持されたままで移動することはなく、外部からの振動や衝撃が加わってもプランジャ12が隙間内をガタ付くことはなくステータコア10とプランジャ12の当たり音を低減させることができる。また、通電時においても、プランジャ12に発生する磁気吸引力は、既にステータコア10内の一方に吸引支持されているプランジャ12を、径方向の移動を伴うことなくそのまま軸方向に沿って摺動させるので、ステータコア10への起動打撃の発生がない。よって、ステータコア10とプランジャ12の起動時の当たり音は低減する。
また、プランジャ12の外周面にフッ素系の樹脂コーティング30を加工しているので、プランジャ12の低摩擦特性が向上し、滑らかに起動することができるとともに、プランジャ12の径方向吸引力もプランジャ12の低摩擦特性によって軸方向の磁気吸引力の抵抗力として影響を与えることはない。また、コーティング加工は緩衝性を向上させるので、仮にプランジャ12に衝撃が作用しても、ステータコア10とプランジャ12の衝撃は緩衝されて、衝撃音は低減される。さらに、無電解Niメッキ加工により防食性が向上し、フッ素系樹脂コーティング加工により耐磨耗性も向上しているので、耐久性が大幅に向上できる。
また、フッ素系の樹脂コーティング剤にフェライト系の磁石の粒子32を混合させ薄く塗布するコーティング加工法を採用しているので、プランジャ12やステータコア10の形状を大きく変更させることなく、また、プランジャ12の磁気吸引力特性を犠牲にすることなしに、比較的簡単に、かつ加工コストのかからないプランジャ12の製造方法とすることができる。
〔変形例〕
図2(b)の第2工程の無電解Niメッキ加工は防食性の向上を図って採用される工程であるが、これを省略して図2(c)の第3工程の樹脂コーティング加工のみで防食性の向上を図っても構わない。第3工程の樹脂コーティング加工は、摺動性と緩衝性の向上が得られる加工法であるが、この樹脂コーティング30によって十分な防食性の向上も得られる。作動流体の種類や腐食特性に合わせて工程の変更は自在であって、自由度の高い加工方法ともいえる。これにより、さらに加工コストの低減が可能となる。
(a)は電磁ソレノイドの概念的な要部断面図であり、(b)はプランジャの模式的拡大断面図である(実施例1)。 プランジャに樹脂コーティング加工させる場合の加工工程図であり、(a)はプランジャの切削加工時の断面図であり、(b)はプランジャの無電解Niメッキ加工時の断面図であり、(c)はプランジャのフッ素系樹脂コーティング加工時の断面図である(実施例1)。 タンク密閉弁の軸方向断面図である(従来例)。 電磁ソレノイドの概念的な要部断面図である(従来例)。
符号の説明
1 電磁ソレノイド
10 ステータコア
11 磁気遮断部
12 プランジャ
13 コイル
14 ヨーク
15 薄肉部
16 くびれ
20 無電解Ni(ニッケル)メッキ
30 樹脂コーティング
31 PTFE粒子
32 磁石の粒子
33 バインダー

Claims (3)

  1. ステータコアの内部に、所定の隙間を有して軸方向へ摺動可能に収容されたプランジャと、前記ステータコアの外部に磁束を発生させる電磁コイルとを備え、前記電磁コイルの通電により、前記プランジャに磁気吸引力を作用するための磁気回路を形成する電磁ソレノイドのプランジャにおいて、
    前記プランジャに予め弱い磁力を付与し、常に前記ステータコアの内周の一方に吸引が為されて接触し、初期的な径方向の動きが抑制されたことを特徴とする電磁ソレノイドのプランジャ。
  2. 請求項1に記載の電磁ソレノイドのプランジャにおいて、
    前記プランジャの外周は、摺動性と緩衝性を備えた樹脂コーティングが施され、前記樹脂コーティングには磁化された磁石の粒子を混ぜることで前記プランジャに弱い径方向磁力を発生させ、非通電時には前記ステータコアの内周の一方に吸引が為されて接触し、
    通電時には前記プランジャは強い軸方向磁気吸引力を発生して起動することを特徴とする電磁ソレノイドのプランジャ。
  3. 請求項2に記載のコーティング加工を用いる電磁ソレノイドのプランジャの製造方法において、
    前記プランジャの外形を所定の形状に切削加工し、
    前記切削加工された前記プランジャの外周面に、無電解ニッケルメッキを加工し、
    前記加工された無電解ニッケルメッキの上面に、PTFE粒子と磁石の粒子とバインダーとを混合した樹脂コーティングを加工したことを特徴とする電磁ソレノイドのプランジャの製造方法。
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JP2005345524A Pending JP2007150163A (ja) 2005-11-30 2005-11-30 電磁ソレノイドのプランジャおよびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010261591A (ja) * 2009-05-06 2010-11-18 Robert Bosch Gmbh ガス弁
JP2011108781A (ja) * 2009-11-16 2011-06-02 Denso Corp リニアソレノイド

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