JP2007150055A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】キャパシタの取り付け姿勢に拘りなく内部で発生した気体のみの放出を行うことのできる電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】容器3に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器3に形成した通気孔9を被覆するように、前記容器3の内面にガス分離膜11を備え、前記通気孔9に対応した前記容器3の外側面に、前記容器3内からの気体の流出は許容するが流入を阻止するための板状の逆止弁13を備えている。また、容器3に形成した通気孔9に対応した部分にガス分離膜11を備え、前記容器3を内装したケース29に形成した通気孔に対応した部分に、前記ケース29内からの気体の流出は許容するが流入を阻止するための板状の逆止弁13を備えている。そして、前記逆止弁13は、板状の弾性部材21に常態においては閉状態を保持する切り込み23を形成した構成である。
【選択図】図1

Description

本発明は、容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタに係り、さらに詳細には、電気二重層キャパシタの取付け姿勢に拘りなく、電解液の漏れを生じることなく、内部に発生した気体のみを外部へ排出することができる電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタには、例えばアルミ箔からなる2つの集電体に、例えば炭素材料からなる分極性電極を形成し、この各分極性電極の間にセパレータを挟み込んだ構成の単電極セルを、容器内の電解液内に浸漬することによって構成された単電極セルタイプの他に、単キャパシタセルタイプや巻回型など種々の構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
そして、電気二重層キャパシタにおいては繰り返し使用時に内部にガスが発生するので、内圧が上昇したときにガスを外部へ放出する弁機構を備えたものが開発されている(例えば特許文献2参照)。
特開2000−77273号公報 実開平6−52135号公報
前記特許文献2に開示された電気二重層キャパシタにおける弁機構は、キャパシタの内外を連通する透孔を備えた厚肉のガスケットの外側面に、前記透孔に連通して拡開形成された弁室を備え、この弁室内に、前記透孔を開閉自在な弾性体からなるボール弁を備え、かつ前記ボール弁を押圧するように前記弁室の開口部に備えた剛体からなる押圧シートに気体を透過させるマイクロポーラスフィルムを備えた構成である。
したがって、キャパシタ内部の圧力が上昇すると、弁室内のボール弁が弾性変形して内部の気体を外部に放出することができるものの、キャパシタの取付け状態によって前記弁室がキャパシタの下部側に位置するような場合には、内部の気体を放出することができないという問題がある。また、前記弁室がキャパシタの下部側に位置するような場合には、内部の圧力が高まると、流体はボール弁を押してマイクロポーラスフィルムの弾性と釣り合う分だけマイクロポーラスフィルムを伸ばしてしまい、元に戻らない。この結果、ボール弁はシールの役目を果たすことができなくなる。
正常な状態、すなわち、ボール弁に常に気体が触れている場合には、気体はボールを押し上げ、マイクロポーラスフィルムを通って大気に放出される。したがって、この気体が大気に放出される状態では、ボール弁は不要である。
すなわち、キャパシタの使用は、前記弁室が上部側に位置する必要があるものであり、例えば取付け姿勢の自由度が小さいという問題がある。
さらに、弁機構の構成は、ガスケットに弁室を形成し、この弁室内にボール弁を内装する構成であるから、比較的厚いガスケットが必要であり、例えば容器としてアルミシート製の袋を使用した構成のキャパシタには弁機構部分の厚さが大きくなり適用困難であるという問題がある。
ところで、アルミシート製の袋を容器として使用した構成のキャパシタの場合には、上記容器の上部にガス抜き用の孔を設けた構成とすることができる。この場合、液漏れ等を考慮すると、前記孔が常に上部に位置するように保持しなければならず、キャパシタの姿勢の自由度が小さいという問題がある。
本発明は、上述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器に形成した通気孔を被覆するように、前記容器の内面にガス分離膜を備え、前記通気孔に対応した前記容器の外側面に、前記容器内からの気体の流出は許容するが容器外からの気体の流入を阻止するための板状の逆止弁を備えていることを特徴とするものである。
また、容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器に形成した通気孔に対応した部分にガス分離膜を備え、前記容器を内装したケースに形成した通気孔に対応した部分に、前記ケース内からの気体の流出は許容するが容器外からの気体の流入を阻止するための板状の逆止弁を備えていることを特徴とするものである。
また、前記電気二重層キャパシタにおいて、前記逆止弁は、板状の弾性部材に常態においては閉状態を保持する切り込みを形成した構成であることを特徴とするものである。
また、容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器はガス分離膜によって構成してあることを特徴とするものである。
また、前記電気二重層キャパシタにおいて、前記容器は補強用容器内にあることを特徴とするものである。
また、前記電気二重層キャパシタにおいて、ガス分離膜は前記電解液に濡れることのないフッ素樹脂PTFEであることを特徴とするものである。
本発明によれば、キャパシタの容器内の電解液の液漏れを生じることなく内部で発生した気体のみを外部へ放出させることができる。この際、キャパシタ姿勢に拘りなく気体の放出を行うことが可能であり、キャパシタを縦方向や横方向に方向性を変速する場合でも使用でき用途が広がるものである。
図1を参照するに、本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタ1は、容器(ケース)3内に収容されている電解液内に分極性電極を浸漬した構成である。より詳細には、前記容器3はアルミシートによって袋体またはボックス状のケースに構成してあり、この容器3内の電解液に電極5を備えた電極セル7が浸漬してある。上記電極セル7は、前記特許文献1に開示されている単電極セル又は、単キャパシタセルを構成する積層体に相当するものであって、その構成は公知であるから、電極セル7の詳細についての説明は省略する。
ところで、通常の鉛蓄電池などのバッテリを充電すると、熱が発生して電解液(希硫酸液)が蒸発する。そして、放電時には水素,酸素が発生する。したがって、上記バッテリにおいては蒸留水を補う必要があり、またガスを排出するために上部に穴が設けてある。
一方、電気二重層キャパシタに使用される電解液はイオン性液体であり、この電解液は塩であるが常温では液体である。上記電解液はそのまま使用する場合と溶媒で希釈して使用する場合がある。電解液としてのイオン性液体の技術的課題として、不純物としての水分の徹底した除去が必要であり、物性面としては粘性を下げることが指摘されている。そして、上記イオン性液体を使い充放電を繰り返すと、ガスが発生しキャパシタ内の圧力が上昇する。
したがって、発生したガスを排出するために、キャパシタの上部に穴が必要となる。従来、上記穴にはゴムパッキンなどを用いて逆止弁を設けているが、発生したガスだけではなくキャパシタの姿勢によっては電解液が漏れることがある。よって、前記穴の位置によってはキャパシタを取り付ける姿勢,方向性は限定されてしまうものである。
そこで、本実施形態においては、前記キャパシタ1の容器(ケース)3内において発生したガスのみを外部に排出するために、前記容器3に形成した通気孔9を被覆するように、前記容器3の内面にはガス分離膜11が溶着(接着)してある。そして、前記通気孔9に対応した前記容器3の外側面には、前記容器3内からの気体の流出は許容するが容器外からの気体の流入を阻止するための板状の逆止弁13が取付けてある。
より詳細には、図2に示すように、前記容器3内の電解液15の液面17より上方位置の空間部19に対応した容器3の内面に前記ガス分離膜11が接着(溶着)してある。そして、前記容器3において、前記ガス分離膜11によって内側面を被覆された部分に前記通気孔9が設けてある。そして、この通気孔9に対応して容器3の外側面に前記逆止弁13が取付けてある。上記逆止弁13は、図3に示すように、円板状のシリコンゴムなどのごとき弾性部材21に、常態においては閉状態を保持する適宜長さの切り込み23を形成した構成であって、前記容器3の外側面に接着又は熱融着によって一体化してある。さらに、前記弾性部材21は、小孔25を備えた押え部材27によって押圧固定してある。上記押え部材27は、接着又は熱融着によって前記容器3に一体的に固定してある。
上記構成より理解されるように、逆止弁13は円板状の弾性部材21に切り込み23を形成した構成であるから、構成が極めて簡単であると共に薄くすることができ、例えば容器3がアルミシート等により形成してある場合であっても容易に適用することができるものである。前記構成によれば、弾性部材21の厚さと切り込み23の長さとの関係において、容器3内の内圧によって前記切り込み23が開かれるときの上記内圧を設定することができるものであり、容器3内に発生した気体を放出する際の内圧の設定が容易なものである。
前記構成により、キャパシタ1における容器3内に気体が発生し内圧が上昇すると、上記気体はガス分離膜11を透過し、通気孔9を通過して弾性部材21の切り込み23の部分に達する。そして、内圧が次第に上昇すると、弾性部材21の弾性による付勢力に抗して切り込み23を内側から押圧する。そして、前記切り込み23が僅かに開かれると、容器3内の気体は外部へ放出(排出)される。気体の排出によって容器3内の内圧が元の低圧状態に戻ると、僅かに開かれた前記切り込み23は、弾性部材21の弾性によって閉じられる。したがって、容器3内に発生した気体のみを容器3の外部へ排出することができ、かつ外部の気体が容器3内へ入り込むことを阻止することができるものである。
ところで、前記ガス分離膜11が電解液15に濡れてしまうと、電解液15が染み出るものであるから、前記ガス分離膜11は、電解液15に濡れることのない材質であることが必要である。濡れるか濡れないかは、液体の表面張力と膜の材料が関係するものである。
電気二重層キャパシタにおいて使用されている電解液としては次の電解液A,Bがある。1つの電解液Aの表面張力は46dyn/cmであり、他の電解液Bは40dyn/cmである。そして、上記表面張力の値を持つ液体に濡れない材料(疎水性を有する材料)はふっ素樹脂PTFE(ポリテトラフルオエチレン)がある。
また、前記ガス分離膜11としては、発生したガスを一定量透過させるために微小孔が多数ある必要がある。例えばシリコンゴム,ポリイミド膜、ふっ素樹脂のシート,薄い膜などはガス透過性はあるが、頻繁に充放電を繰り返す場合は、発生するガス量が多く、ガスの透過量が不足する。そこで、ガス分離膜11としては多孔質膜であることが必要である。
さらに、ガス分離膜11としては、ガスの発生によって容器3内の圧力が上昇するので、多孔質膜であっても一定圧力のもとで電解液が漏れださないための孔のサイズが必要であり、かつ一定圧に耐える膜の強度が必要である。そこで、多孔質膜の孔径と耐圧との関係を水(表面張力73dyn/cm )で調べたところ、孔径1μmでの耐圧0.05MPa(0.5kg/cm2 )、孔径0.2μmでの耐圧0.25MPa(2.5kg/cm2 )、孔径0.1μmでの耐圧0.5MPa(5.0kg/cm2 )であった。
ところで、耐圧は液体の表面張力に比例するので、孔径が1μmの場合、前記電解液Aでの耐圧は0.031MPaとなり、電解液Bでの耐圧は0.027MPaとなる。これでは電解液が漏れるおそれがあるために、多孔質膜の孔径は0.1μm〜0.2μmとした。そして、ガス分離膜の厚さは50μm程度であり強度不足であるが、強度を増すためにポリエチレンが保持体として熱融着されているフィルタがあり、この場合、強度は充分である。したがって、前記ガス分離膜11は、PTFE(ポリテトラフルオエチレン)のポリエチレン保持体付きの多孔質膜で、その孔径は0.1μm〜0.2μmである。なお、厚さ150μm程度の保持体なしの厚膜多孔質膜も使用可能である。
図4は本発明の第2の実施形態に係る電気二重層キャパシタ1を示すものであり、前述した実施形態の構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。すなわち、前述した第1の実施形態においては、キャパシタ1を縦て使用する場合の容器3の上部側に逆止弁13を備えた場合について例示した。しかし、この第2の実施形態においては、容器3の表裏の複数箇所,すなわち、キャパシタ1の取付け姿勢に拘らず少なくとも一箇所の逆止弁13は容器3内の上部に形成される空間部19(図4には符号省略)と対応する位置となるように配置してある。なお、ガス分離膜は図示省略してある。
上記構成によれば、キャパシタ1の姿勢に拘りなく、複数の逆止弁13のうち少なくとも1つの逆止弁13は、キャパシタ1における容器3内の上部に形成される空間部19に対応することになる。したがって、前記容器3内において発生した気体は上部の空間部19に貯まり、この空間部19に対応した逆止弁13を介して外部へ排出されることになる。よって、キャパシタ1の容器3が膨張して破損したり、変形するようなことがなく、安全性の向上を図ることができるものである。
図5は第3の実施形態を示すもので、この実施形態においては、容器3内の電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、アルミのボックス状のケース29内に前記容器3を複数内装した構成である。この構成においては、前記容器3の上部側に形成した通気孔の部分にガス分離膜11を備えている。そして、電極5において同極をそれぞれ電気的に接続し、かつ前記ケース29に備えた電極31にそれぞれ接続してある。そして、前記ケース29の上面,側面など、使用時に上側となる部分に逆止弁13が設けてある。
上記構成においては、容器3の内部に貯留した電解液内に分極性電極を浸漬して備えた構成の前記容器3をケース29内に複数内装した構成であるから、大容量のキャパシタを構成することができるものである。そして、各容器3内で発生した気体はガス分離膜11を透過してケース29の内部に流出し、このケース29内の圧力が上昇すると、逆止弁13を介して外部へ放出されるものである。したがって、容器3内の圧力及びケース29内の圧力が異常に上昇することが阻止されると共に外気がケース29,容器3内へ入り込むことがないものである。
図6は、前記ケース29内に内装される前記容器3の変形形態を示すものである。この形態においては、容器3の全体をガス分離膜11によって形成した場合を例示するものである。この場合、容器3の姿勢に拘りなく内部に貯まった気体に接触している部分の全面から気体の放出を行うことができ、容器3内の気体の放出を効率よく行うことができるものである。
図7は、図6に示した構成の容器3の補強を図るために、通気性を有する補強用容器33内に前記容器3を内装した場合を例示するものである。この場合、容器3を構成するガス分離膜の強度が多少弱い場合であっても充分に対応できるものである。
以上のごとき説明より理解されるように、キャパシタを構成する容器の内側にガス分離膜を張り付けて、電解液を透過することなく内部で発生した水素ガスだけを透過させて外部へ放出することができる。したがって、キャパシタの使用時に上部側になる部分(例えば予想される適数箇所)に前記ガス分離膜を取付けることにより、キャパシタの取付け方向の自由度が多くなるものである。
また電解液の液漏れを防止することができると共に逆止弁の存在により外気の侵入を防止することができるものである。そして、上記逆止弁は板状の弾性部材に切り込みを形成した構成であるから、その構成が極めて簡単であると共に小型・薄型化が容易である。さらに、逆止弁は、板状の弾性部材に切り込みを形成した構成であることにより、同一材質,同一厚さの弾性部材に対して切り込みの長さを適宜に調節して形成することにより、容器内のガスを放出するときの内圧の設定を容易に行い得るものである。
本発明の第1の実施形態に係る電気二重層キャパシタの概念的,概略的な説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る主要部分の断面説明図である。 逆止弁の説明図である。 第2の実施形態に係る電気二重層キャパシタの概念的,概念的な説明図である。 第3の実施形態に係る電気二重層キャパシタの概念的,概略的な説明図である。 容器の変更形態を示す概略的,概念的な説明図である。 容器の変更形態を示す容器を補強用容器によって補強する構成を示す説明図である。
符号の説明
1 電気二重層キャパシタ
3 容器(ケース)
5,31 電極
7 電極セル
9 通気孔
11 ガス分離膜
13 逆止弁
15 電解液
17 液面
19 空間部
21 弾性部材
23 切り込み
29 ケース
33 補強用容器

Claims (6)

  1. 容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器に形成した通気孔を被覆するように、前記容器の内面にガス分離膜を備え、前記通気孔に対応した前記容器の外側面に、前記容器内からの気体の流出は許容するが容器外からの気体の流入を阻止するための板状の逆止弁を備えていることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  2. 容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器に形成した通気孔に対応した部分にガス分離膜を備え、前記容器を内装したケースに形成した通気孔に対応した部分に、前記ケース内からの気体の流出は許容するが容器外からの気体の流入を阻止するための板状の逆止弁を備えていることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  3. 請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタにおいて、前記逆止弁は、板状の弾性部材に常態においては閉状態を保持する切り込みを形成した構成であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  4. 容器に収容された電解液内に分極性電極を浸漬した形式の電気二重層キャパシタであって、前記容器はガス分離膜によって構成してあることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  5. 請求項4に記載の電気二重層キャパシタにおいて、前記容器は補強用容器内にあることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電気二重層キャパシタにおいて、ガス分離膜は前記電解液に濡れることのないフッ素樹脂PTFEであることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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