JP2007149331A6 - 情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
例えば、多層型情報記録媒体において、記録領域を有効に活用しつつ識別情報をプリ記録することが可能とする。
【解決手段】
情報記録媒体は、複数の記録情報を夫々記録するための複数の記録層(L0層、L1層)を備えており、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層(L0層)は、情報記録媒体を識別するための識別情報(例えば、メディアID)が予めプリ記録された識別情報記録領域(NBCA)を有する。
【選択図】図3
例えば、多層型情報記録媒体において、記録領域を有効に活用しつつ識別情報をプリ記録することが可能とする。
【解決手段】
情報記録媒体は、複数の記録情報を夫々記録するための複数の記録層(L0層、L1層)を備えており、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層(L0層)は、情報記録媒体を識別するための識別情報(例えば、メディアID)が予めプリ記録された識別情報記録領域(NBCA)を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えばDVD等の情報記録媒体の技術分野に関する。
例えば、CD、DVD等の情報記録媒体では、同一基板上に複数の記録層が積層されてなる多層型又はデュアルレイヤ(2層)型の記録型又は再生専用型光ディスク等も開発されている。詳細には、例えば、2層記録型光ディスクに対して情報を記録する、DVDレコーダ等の情報記録装置では、レーザ光の照射側から見て最も手前側に位置する記録層(本願では適宜「L0層」と称する)に対して記録用のレーザ光を集光することで、L0層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式(例えば、DVD−Rを対象)や書換え可能方式(例えば、DVD−R/Wを対象)で記録し、L0層等を介して、レーザ光の照射側から見てL0層の奥側に位置する記録層(本願では適宜「L1層」と称する)に対して該レーザ光を集光することで、L1層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録することになる。
他方で、特許文献1等においては、DVD−R/RW等の記録型情報記録媒体に、該情報記録媒体に固有なメディアID等の識別情報、或いは、暗号化情報を予めプリ記録して販売し、ネットワークを介して暗号化されたDVDビデオコンテンツ(以下、適宜「暗号化コンテンツ」と称す)を配信する配信システムが開示されている。この暗号化は、例えば非特許文献4に記載の暗号化システムに準拠して行われる。この配信システムにおいては、従来のDVD−R/RW等の記録型情報記録媒体と同一の物理構造の情報記録媒体が利用される。
また、例えば、2層型DVD−ROM等の2層再生専用型情報記録媒体においては、該情報記録媒体に固有な識別情報や、該情報記録媒体上に予め記録されているアプリケーションソフトウェアの製造識別番号(シリアル番号)等の識別情報が、ユーザデータエリア等のデータエリアにおける記録方式と異なる記録方式で予めプリ記録されている。より詳細には、例えば、YAGレーザ等の高出力なレーザ光が、2つの記録層を貫くようにして照射されて、即ち、L0層の記録層、L0層の反射層、及び、L1層の記録層を焼き切るように照射されて、識別情報がバーコード状にBCA(Barcode Cutting Area)に予めプリ記録されている。
しかしながら、例えば、2層型DVD−R/RW等の多層記録型情報記録媒体の場合に、従来の2層型DVD−ROMのように、例えば、YAGレーザ等の高出力なレーザ光が各記録層を貫くような記録方式で、識別情報をNBCA(Narrow Barcode Cutting Area)に予めプリ記録すると、各記録層全体の色素膜の物理特性が劣化してしまい、記録型情報記録媒体としての信頼性が著しく低下してしまうという技術的な問題点がある。
また、多層記録型情報記録媒体の場合、全ての記録層に、各記録層に特有な記録制御情報が記録されることが望ましいが、上述した識別情報は1つの情報記録媒体に固有な情報を示すものであり、全ての記録層に予めプリ記録された場合、データ容量を無駄に消費してしまい、記録領域を有効に活用することができないという技術的な問題点もある。また、多層再生専用型情報記録媒体においても、仮に、一つの記録層に識別情報が、高出力なレーザ光によって、プリ記録された場合、対向する他の記録層における記録領域を有効に活用することができなかったという技術的な問題点がある。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば、多層型情報記録媒体において、記録領域を有効に活用しつつ識別情報をプリ記録することが可能となる情報記録媒体を提供することを課題とする。
本発明の請求項1に記載の情報記録媒体は上記課題を解決するために、複数の記録情報を夫々記録するための複数の記録層を備えており、前記複数の記録層のうち、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層(例えば、L0層)は、情報記録媒体を識別するための識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域(例えば、NBCA)を有する。
本発明の作用及び利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
(情報記録媒体に係る実施形態)
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、複数の記録情報を夫々記録するための複数の記録層を備えており、前記複数の記録層のうち、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層(例えば、L0層)は、情報記録媒体を識別するための識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域(例えば、NBCA)を有する。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、複数の記録情報を夫々記録するための複数の記録層を備えており、前記複数の記録層のうち、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層(例えば、L0層)は、情報記録媒体を識別するための識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域(例えば、NBCA)を有する。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、例えば、ディスク状の基板の一方の面上に、第1記録層、並びに、少なくとも一つの他の記録層が積層されており、当該情報記録媒体は、2層型或いは多層型の例えばDVD或いは光ディスク等である。第1記録層には、例えば音声、映像情報或いはコンテンツ情報等の記録情報が記録可能とされている。同様にして、少なくとも一つの他の記録層には、例えば音声、映像情報或いはコンテンツ情報等の記録情報が記録可能とされている。このように構成されているので、記録用又は再生用レーザ光は、例えば、基板、第1記録層、及び、少なくとも一つの他の記録層の順番に照射される。
本実施形態では、特に、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する例えば、L0層等の第1記録層は、メディアID等の識別情報が記録される、例えば、NBCA等の識別情報記録領域を有する。より詳細には、識別情報は、以下のようにして、識別情報記録領域に記録される。先ず、例えば、イニシャライザー等のプリ記録装置によって、通常記録時のレーザ光とは異なる記録型情報記録媒体を初期化するためのレーザ光が、例えば、数十トラックの範囲に楕円形状で照射される。このレーザ光の照射が変調されることによって、例えば、色素を少量だけ含む記録領域と、色素を多量に含む記録領域とが形成されることで、識別情報がバーコード情報として、識別情報記録領域に予めプリ記録される。尚、このプリ記録の際には、通常の記録動作であるトラッキングサーボは行われずに、位置センサのみに基づいて、ステッピングモーターの回転制御が行われる。
その結果、例えば、DVDプレーヤー等の情報記録再生装置が、例えば、シーク動作等の初期動作によって、識別情報を、他の制御情報の取得と同時に、又は、相前後して、迅速に取得することが可能となる。
仮に、第1記録層以外の他の記録層が、識別情報記録領域を有した場合、情報記録再生装置が、例えば、ユーザデータエリア等の記録情報記録領域に記録されているユーザデータ等の記録情報へアクセスする際や、記録情報記録領域に記録されているアプリケーションプログラムを実行する際において、識別情報を取得するためには、現在アクセスしている記録層から、他の記録層へアクセスし、識別情報を取得しなければならない。このように情報記録再生装置による識別情報の取得動作は、初期動作とは別に行われるため、冗長的に時間が掛かってしまう。
これに対して、本実施形態によれば、例えば、多層記録型情報記録媒体において、識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域を、情報記録再生装置がより簡便且つ容易にアクセスすることが可能な記録層に配置させることによって、例えば、記録情報の再生のための設定時間を大幅に短縮化させることが可能となる。言い換えると、情報記録再生装置によって、情報記録媒体上の最小な範囲をサーチ(検索)することで、識別情報に加えて再生及び記録に関する制御情報の取得時間を短縮化することが可能となると共に、より多くの各種情報を取得することが可能となる。
また、第1記録層だけにおいて、識別情報がプリ記録された識別情報記録領域が配置されるので、対向する他の記録層の記録領域を有効に活用することが可能となる。
更に、また、L0層等の第1記録層に、識別情報記録領域を配置させることで、既存のDVDプレーヤー等の情報記録再生装置における初期動作における記録層のアクセス順序と一致させ互換性を保持させることも可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の一態様では、前記識別情報は、当該情報記録媒体に固有の情報である。
この態様によれば、識別情報に加えて、例えば、後述される暗号化情報に基づいて、当該情報記録媒体を唯一のユニークな情報記録媒体として特定することが可能となる。
その結果、配信システムにおいて、当該情報記録媒体に記録可能なコンテンツ等の記録情報の著作権保護を実現可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記複数の記録層のうち前記第1記録層(L0層)又は少なくとも一つの他の記録層は、前記識別情報に対応しており、前記複数の記録情報の少なくとも一部を暗号化するための暗号化情報を記録するための暗号化情報記録領域を有する。
この態様によれば、暗号化情報に加えて、識別情報に基づいて、当該情報記録媒体を唯一のユニークな情報記録媒体として特定することが可能となる。
その結果、配信システムにおいて、当該情報記録媒体に記録可能なコンテンツ等の複数の記録情報の著作権保護を実現可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記第1記録層(L0層)は、前記複数の記録情報の再生及び記録を制御するための制御情報を記録可能な制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)を更に有する。
この態様によれば、例えば、L0層等の第1記録層は、再生及び記録を制御するための制御情報が記録される、例えば、コントロールデータゾーン等の制御情報記録領域を更に有する。
その結果、例えば、DVDプレーヤー等の情報記録再生装置が、例えば、シーク動作等の初期動作によって、前述した識別情報を、制御情報の取得と同時に、又は、相前後して、より迅速に取得することが可能となる。
言い換えると、例えば、多層記録型情報記録媒体において、識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域と制御情報記録領域とを同一の記録層に配置させることによって、情報記録再生装置がより簡便且つ容易にアクセスすることが可能となり、例えば、記録情報の再生のための設定時間を大幅に短縮化させることが可能となる。
この制御情報記録領域に係る態様では、前記制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)においては、前記識別情報記録領域(NBCA)が存在するか否かを示すフラグ情報を記録可能であるように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば、DVDプレーヤー等の情報記録再生装置が、例えば、シーク動作等の初期動作によって、制御情報の取得と同時に、又は、相前後して、識別情報記録領域が存在するか否かを示すフラグ情報を取得することが可能となる。
従って、前述した識別情報を、より効率的に、より迅速且つ的確に取得することが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記複数の記録層は、前記複数の記録情報を記録するための記録トラックとして、ランドトラック及びグルーブトラックが交互に形成されている記録情報記録領域を夫々有し、前記識別情報記録領域においては、前記グルーブトラックが前記グルーブトラックに沿った方向に、再生光学系の光学伝達特性(MTF)に基づいて再生不可能となる所定空間周波数以上の空間周波数(2NA/λ)によって分断されている。
この態様によれば、第1の特徴として、識別情報記録領域においては、グルーブトラックがグルーブトラックに沿った方向に、再生光学系の光学伝達特性(MTF:Modulation Transfer Function)に基づいて再生不可能となる所定空間周波数(本数/mm)以上の空間周波数によって分断されている。ここに、「所定空間周波数」とは、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)、及び、レーザ光の波長に基づいて決定される。より詳細には、空間周波数が比較的に小さい場合、分断されている一単位のグルーブ(溝)の長さは比較的に大きくなり、光学伝達特性、即ち、再生レベルは、比較的に大きくなり、「1」に近づく。他方、空間周波数が「所定空間周波数」よりも大きい場合、分断されている一単位のグルーブの長さは比較的に小さくなり、光学伝達特性、即ち、再生レベルは、「0:ゼロ」となる。
その結果、第1記録層の識別情報記録領域に、バーコード情報として、プリ記録されている識別情報から得られた再生RF信号に、この分断されているグルーブトラックから得られる変調信号が重畳されることは殆ど又は完全にないといえる。
更に、この態様では、第2の特徴として、グルーブトラックを分断する「所定空間周波数」を調整することで、識別情報の少なくとも一部を担持するバーコード情報が記録されていない識別情報記録領域の一部における光透過率が、グルーブトラックが、空間周波数によって分断されていないと共にバーコード情報が記録されていないと仮定した場合の光透過率と比べて、バーコード情報が記録されている識別情報記録領域の他部における光透過率に近付けるように構成してもよい。加えて、この光透過率は、等しい程、より好ましい。ここに「等しく」とは、完全に等しいことの他、例えば、他の記録層に記録されている記録情報の再生を行なう際に、同一視できる程度に等しい光透過率である意味を含む。
その結果、レーザ光が照射される側から見て第1記録層よりも奥側に位置する他の記録層にフォーカスが合わされた場合(合焦点した場合)、第1記録層にデフォーカスされて(ぼんやりと)照射されているレーザ光の光透過率を、第1記録層の識別情報記録領域におけるバーコード情報が記録されている領域又は記録されていない領域に関係なく、全体において平均して、殆ど又は完全に一定とすることが可能となる。従って、第1記録層よりも奥側に位置する他の記録層の記録情報記録領域に、記録されている記録情報から得られた再生RF信号に、第1記録層の識別情報記録領域におけるバーコード情報として記録されている識別情報から得られる変調信号が重畳されることは殆ど又は完全にないといえる。
以上より、上述した第1及び第2の特徴によって、第1記録層の識別情報記録領域において、識別情報を適切且つ正確にプリ記録することが可能となる。加えて、他の記録層に記録されている記録情報の再生に対しても、何ら悪影響を与えないことが可能となる。従って、対向する少なくとも一つの他の記録層の記録領域を有効に活用することが可能となる。
この空間周波数に係る態様では、前記所定空間周波数は、前記再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)、及び、レーザ光の波長に基づいて決定されるように構成してもよい。
このように構成すれば、所定空間周波数「X」は、次の式(1)によって、算出されることが可能となる。
X = 2NA/λ …… (1)
但し、「NA」は、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)であり、「λ」は、レーザ光の波長である。
但し、「NA」は、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)であり、「λ」は、レーザ光の波長である。
その結果、より適切且つ正確に、所定空間周波数を算出することが可能となる。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、複数の記録層のうち、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層(L0層)は、情報記録媒体を識別するための識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域(NBCA)を有するので、例えば、多層記録型情報記録媒体において、識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域を、情報記録再生装置がより簡便且つ容易にアクセスすることが可能な記録層に配置させることによって、例えば、記録情報の再生のための設定時間を大幅に短縮化させることが可能となる。
(情報記録媒体の第1実施例)
次に、図1から図6を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクについて図面に基づいて詳細に説明する。尚、説明の便宜上、図1及び図2においては、レーザ光は、上側から下側へ向けて、照射されている。よって、L0層(第1記録層)は、上側に位置している。他方、図3から図5、並びに、図7から図10においては、レーザ光は、下側から上側へ向けて照射されている。よって、L0層(第1記録層)は、下側に位置している。
次に、図1から図6を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクについて図面に基づいて詳細に説明する。尚、説明の便宜上、図1及び図2においては、レーザ光は、上側から下側へ向けて、照射されている。よって、L0層(第1記録層)は、上側に位置している。他方、図3から図5、並びに、図7から図10においては、レーザ光は、下側から上側へ向けて照射されている。よって、L0層(第1記録層)は、下側に位置している。
先ず、図1を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1(a)は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、図1(b)は、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。尚、第1実施例に係る情報記録媒体は、有機色素膜を使用した追記型光ディスクからなる。尚、後述されるように、本実施例に係る情報記録媒体は、各種の加熱などによる可逆変化記録方式により多数回に亘って記録が可能であると共に多数回に亘って再生が可能である書換型光ディスクでもよい。
特に、本実施例に係る光ディスク100は、図1(b)に示されるように、例えば、透明基板106に、後述される本発明に係る第1記録層及び他の記録層の一例を構成するL0層及びL1層が積層された構造をしている。このような二層型の光ディスク100の記録再生時には、図1(b)中、上側から下側に向かって照射されるレーザ光LBの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、L0層における記録再生が行なわれるか又はL1層における記録再生が行われる。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として本実施例に係るリードインエリア101、データエリア102、並びに、緩衝用エリアとしてのリードアウトエリア103又はミドルエリア104が設けられている。特に、例えば、リードインエリア101には、OPC処理を行うOPCエリアPCA0又はPCA1が設けられている。そして、光ディスク100の例えば、透明基板106に、記録層等が積層されている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。また、このトラック10上には、データがECCブロック11という単位で分割されて記録される。ECCブロック11は、記録情報がエラー訂正可能なプリフォーマットアドレスによるデータ管理単位である。
L0層のリードインエリア101−0には、内周側から外周側に向けて、OPCエリアPCA0、NBCA(Narrow Burst Cutting Area)、及び、コントロールデータゾーンCDZが設けられている。
OPCエリアPCA0は、L0層に記録情報を記録する際の最適記録パワーを決定するための試し書き情報を試し書きするための領域である。詳細には、OPCエリアPCA0及び後述されるPCA1は、記録レーザパワーのキャリブレーション処理、所謂、OPC処理に用いられる領域である。より詳細には、OPCパターンの試し書きの完了後には、試し書きされたOPCパターンが再生され、再生されたOPCパターンのサンプリングが順次行われて、最適記録パワーが検出される。また、OPC処理により求めた最適記録パワーの値が例えば、後述されるレコーディングマネージメントエリアRMA等に記録されていてもよいし、情報記録装置側に設けられた後述されるメモリ等の記憶装置内に格納されてもよいし、或いは、記録動作の度にOPC処理が行われてもよい。
コントロールデータゾーンCDZには、この光ディスク100に対する再生及び記録を制御するための制御情報に加えて、所定の暗号化システムに基づいたディスクキーや、ディスクキーセット等の暗号化情報Key1がプリ記録されている。尚、ディスクキーや、ディスクキーセット等の暗号化情報Key1によって、本願発明に係る「暗号化情報」の一具体例が構成されている。また、本願発明に係る「制御情報記録領域」の一具体例が、このコントロールデータゾーンCDZによって構成されている。
NBCAには、光ディスク100の一枚一枚に固有な製造番号、所謂、メディアID等の本願発明に係る「識別情報」がバーコード情報としてレーザーカッティングによって記録されている。
他方、L1層のリードインエリア101−1には、内周側から外周側に向けて、OPCエリアPCA1、及び、本願発明に係る「記録制御情報記録領域」の一例を構成するレコーディングマネージメントエリアRMAが設けられている。
OPCエリアPCA1は、L1層に記録情報を記録する際の最適記録パワーを決定するための試し書き情報を試し書きするための領域である。
レコーディングマネージメントエリアRMAには、OPCエリアPCA0、及び、PCA1における試し書きによって算出された最適記録パワーの値が所定順序に従って記録される。
データエリア102−0及び102−1には、暗号化システムに基づいたタイトルキー等の暗号化情報Key2と、このタイトルキー等の暗号化情報Key2によって暗号化された暗号化コンテンツが記録される。より具体的には、タイトルキー等の暗号化情報Key2は、前述したディスクキーや、ディスクキーセット等の暗号化情報Key1によって暗号化されている。
尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア101、リードアウトエリア103又はミドルエリア104が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、後述するように、リードインエリア101、リードアウト103又はミドルエリア104は更に細分化された構成であってもよい。
また、本実施例に係る光ディスク100は、2層片面、即ち、デュアルレイヤーシングルサイドに限定されるものではなく、2層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、上述の如く2層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、3層以上の多層型の光ディスクであってもよい。
尚、2層型光ディスクにおける記録再生手順は、例えば二つの記録層の間でトラックパスの方向が逆向きであるオポジット方式でもよいし、例えば二つの記録層の間でトラックパスの方向が同一であるパラレル方式でもよい。
次に図2を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクの物理的構成の概略について説明する。より具体的には、第1実施例に係る光ディスク100では、複数のデータゾーン102等が例えば積層構造に形成される2層型の光ディスクとして構成されている。ここに、図2は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクの記録面における部分拡大斜視図である。
図2に示されるように、第1実施例では、光ディスク100は、ディスク状の透明基板106に面して下側に、情報記録面を構成する相変化型又は加熱などによる非可逆変化記録型(色素型)の第1記録層(L0層)107が積層され、更にその下側に、半透過反射膜108が積層されている。第1記録層107の表面からなる情報記録面には、グルーブトラックGT及びランドトラックLTが交互に形成されている。尚、光ディスク100の記録時及び再生時には、例えば図2に示したように、透明基板106を介してグルーブトラックGT上に、レーザ光LBが照射される。例えば、記録時には、記録レーザパワーでレーザ光LBが照射されることで、記録データに応じて、第1記録層107への相変化による書き込み又は加熱などによる非可逆変化記録が実施される。他方、再生時には、記録レーザパワーよりも弱い再生レーザパワーでレーザ光LBが照射されることで、第1記録層107へ書き込みされた記録データの読出しが実施される。
第1実施例では、グルーブトラックGTは、一定の振幅及び空間周波数で揺動されていてもよい。即ち、グルーブトラックGTは、ウォブリングされており、そのウォブル109の周期は所定値に設定されている。ランドトラックLT上にはプリフォーマットアドレス情報を示すランドプリピットLPと呼ばれるアドレスピットが形成されている。この2つのアドレッシング(即ち、ウォブル109及びランドプリピットLP)により記録中のディスク回転制御や記録クロックの生成、また記録アドレス等のデータ記録に必要な情報を得ることができる。尚、グルーブトラックGTのウォブル109を周波数変調や位相変調など所定の変調方式により変調することによりプリフォーマットアドレス情報を予め記録するようにしてもよい。
第1実施例では特に、半透過反射膜108に面して下側に、第2記録層(L1層)207が形成され、更にその下側に、反射膜208が形成されている。第2記録層207は、透明基板106、第1記録層107及び半透過反射膜108を介してレーザ光LBが照射されることで、第1記録層107と概ね同様に、相変化型又は加熱などによる非可逆変化記録型(色素型)の記録及び再生が可能なように構成されている。このような第2記録層207及び反射膜208については、第1記録層107及び半透過反射膜108等が形成された透明基板106上に積層、即ち、成膜形成してもよいし、別基板上に積層、即ち、成膜形成した後に、これを透明基板106に貼り合わせるようにしてもよい。尚、半透過反射膜108と第2記録層207との間には、製造方法に応じて適宜、透明接着剤等からなる透明な中間層205が設けられる。
このような二層型の光ディスク100の記録再生時には、レーザ光LBの集光位置、即ち、フォーカスをいずれの記録層に合わせるかに応じて、第1記録層107における記録再生が行なわれるか又は第2記録層207における記録再生が行われる。
(NBCAを中心としたデータ構造、及び、識別情報等の再生原理)
次に、図3から図6を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造、及び、L0層のNBCAにプリ記録されている識別情報、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理について説明する。
次に、図3から図6を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造、及び、L0層のNBCAにプリ記録されている識別情報、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理について説明する。
(NBCAを中心としたデータ構造)
先ず、図3及び図4を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造について、その作用効果の検討を含めて説明する。ここに、図3は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造の図式的断面図である。図4は、第1比較例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造の図式的断面図である。
先ず、図3及び図4を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造について、その作用効果の検討を含めて説明する。ここに、図3は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造の図式的断面図である。図4は、第1比較例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造の図式的断面図である。
図3に示されるように、光ディスク100は、2層の記録層、即ち、L0層(即ち、図1及び図2における第1記録層107に相当する記録層)とL1層(即ち、図1及び図2における第2記録層207に相当する記録層)とを有している。尚、説明の便宜上、記録用レーザ光LBは、図1及び図2とは逆に下側から上側へ向かって照射されている。
L0層のリードインエリア101−0には、内周側から外周側に向かって、OPCエリアPCA0、NBCA、イニシャルゾーンINI、及び、コントロールデータゾーンCDZが設けられている。
詳細には、OPCエリアPCA0における、半径方向の位置は22.127976から22.58mmである。但し、試し書きは、この範囲において、外周側から内周側に向かって行われる。尚、本実施例の図3においては、オポジット方式におけるアドレスが表示されているが、パラレル方式を採用してもよい。
NBCAにおける、半径方向の位置は22.58から23.57mmである。より詳細には、NBCAの開始地点の半径方向の位置は、22.71mmを中心として0.06mmだけ内周側又は外周側にズレてもよい。また、NBCAの終了地点の半径方向の位置は、23.51mmを中心として0.06mmだけ内周側又は外周側にズレてもよい。特に、本実施例においては、NBCAにおけるグルーブトラックは、所定空間周波数以上の空間周波数で分断されていてもよい。
イニシャルゾーンINIは、半径方向の位置において23.57から23.785489mmの範囲で設けられてもよい。このイニシャルゾーンINIには、例えば、ゼロ等のダミーデータが記録される。
コントロールデータゾーンCDZは、半径方向の位置において23.785489から24.00mmの範囲で設けられてもよいし、セクタ番号において、002F200から002FE00の範囲で設けられてもよい。
他方、L1層のリードインエリア101−1には、内周側から外周側に向かって、OPCエリアPCA1、及び、レコーディングマネージメントエリアRMAが設けられている。
詳細には、OPCエリアPCA1における、半径方向の位置はOPCエリアPCA0と同様に、22.127976から22.58mmである。但し、試し書きは、この範囲において、内周側から外周側に向かって行われる。
レコーディングマネージメントエリアRMAは、L0層のNBCAの少なくとも一部に対向した記録領域に設けられている。レコーディングマネージメントエリアRMAの最内周端の半径方向の位置は、NBCAの最内周端の半径方向の位置よりも、例えば、0.2mm等の偏心量だけ外周側にズレている。他方、レコーディングマネージメントエリアRMAの最外周端の半径方向の位置も、NBCAの最外周端の半径方向の位置よりも、例えば、0.2mm等の偏心量だけ内周側にズレている。
以上のように、NBCAが、コントロールデータゾーンCDZと同様にして、L0層に設けられていることによって、例えば、DVDプレーヤー等の情報記録再生装置が、例えば、シーク動作等の初期動作によって、NBCAにプリ記録されている識別情報を、コントロールデータゾーンCDZに記録されている他の制御情報の取得と同時に、又は、相前後して、迅速に取得することが可能となる。
仮に、L0層以外の他の記録層が、NBCAを有した場合、情報記録再生装置が、例えば、データエリアに記録されているユーザデータ等の記録情報へアクセスする際や、データエリアに記録されているアプリケーションプログラムを実行する際において、識別情報を取得するためには、現在アクセスしている記録層から、他の記録層へアクセスし、識別情報を取得しなければならない。このように情報記録再生装置による識別情報の取得動作は、初期動作とは別に行われるため、冗長的に時間が掛かってしまう。
これに対して、本実施例によれば、例えば、2層型光ディスクにおいて、識別情報が予めプリ記録されたNBCAを、情報記録再生装置がより簡便且つ容易にアクセスすることが可能なL0層に配置させることによって、例えば、記録情報の再生のための設定時間を大幅に短縮化させることが可能となる。言い換えると、情報記録再生装置によって、光ディスク上の最小な範囲をサーチ(検索)することで、識別情報に加えて再生及び記録に関する制御情報の取得時間を短縮化することが可能となると共に、より多くの各種情報を取得することが可能となる。
また、L0層だけにおいて、識別情報がプリ記録されたNBCAが配置されるので、対向するL1層の記録領域に、例えば、レコーディングマネージメントエリアRMAを配置して、有効に活用することが可能となる。
仮に、図4に示されるように、L0層のNBCAに、例えば、YAGレーザ等の高出力なレーザ光によって、識別情報をプリ記録した場合、L1層においてもレーザ光が貫通され、L1層の色素膜が非可逆変化をおこすため、他の記録情報を記録することは困難である。よって、L0層及びL1層における偏心量を考慮して、レコーディングマネージメントエリアRMAを2層に分散させて配置させなければならない。従って、データ容量を無駄に消費してしまい、記録領域を有効に活用することができなくなってしまう。
これに対して、第1実施例によれば、L0層だけにおいて、識別情報がプリ記録されたNBCAが配置されるので、対向するL1層の記録領域に、例えば、レコーディングマネージメントエリアRMAを配置して、有効に活用することが可能となる。
更に、また、L0層等の第1記録層に、識別情報記録領域を配置させることで、既存のDVDプレーヤー等の情報記録再生装置における初期動作における記録層のアクセス順序と一致させ互換性を保持させることも可能となる。
(識別情報等の再生原理)
次に、図5から図9を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理について説明する。ここに、図5は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報の再生原理を示した概念的断面図(図5(a))、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理を示した概念的断面図(図5(b))である。図6は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにおけるグルーブトラックを分断するための空間周波数と、光伝達特性(MTF:Modulation Transfer Function)との相関関係を示したグラフである。図7は、第2比較例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報の再生原理を示した概念的断面図である。図8は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAに識別情報がバーコード情報としてプリ記録されている領域と、プリ記録されていない領域とにおける光透過率を概念的に示した図式的上面図である。尚、図8において、右側部分は、グルーブトラックが、所定空間周波数以上の空間周波数によって、分断されているNBCAを示しており、左側部分は、グルーブトラックが、分断されていない記録領域を示している。
次に、図5から図9を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理について説明する。ここに、図5は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報の再生原理を示した概念的断面図(図5(a))、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理を示した概念的断面図(図5(b))である。図6は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにおけるグルーブトラックを分断するための空間周波数と、光伝達特性(MTF:Modulation Transfer Function)との相関関係を示したグラフである。図7は、第2比較例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報の再生原理を示した概念的断面図である。図8は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAに識別情報がバーコード情報としてプリ記録されている領域と、プリ記録されていない領域とにおける光透過率を概念的に示した図式的上面図である。尚、図8において、右側部分は、グルーブトラックが、所定空間周波数以上の空間周波数によって、分断されているNBCAを示しており、左側部分は、グルーブトラックが、分断されていない記録領域を示している。
(識別情報等の再生原理の第1の特徴)
先ず、図5から図8を参照して、第1実施例に係るL0層のおける識別情報、及び、L1層における記録情報の再生原理の第1の特徴について、その作用効果の検討を加えて説明する。
先ず、図5から図8を参照して、第1実施例に係るL0層のおける識別情報、及び、L1層における記録情報の再生原理の第1の特徴について、その作用効果の検討を加えて説明する。
図5及び後述される図8に示されるように、特に、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る2層型光ディスクでは、例えば製造時において、L0層のNBCAにおいては、グルーブトラックがグルーブトラックに沿った方向に、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の光学伝達特性(MTF:Modulation Transfer Function)に基づいて再生不可能となる所定空間周波数以上の空間周波数(本数/mm)によって分断されている。ここに、「所定空間周波数」とは、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)、及び、レーザ光の波長に基づいて決定される。詳細には、この所定空間周波数「X」は、次の式(1)によって、算出される。
X = 2NA/λ …… (1)
但し、「NA」は、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)であり、「λ」は、レーザ光の波長である。
但し、「NA」は、例えば、光ピックアップの対物レンズ等の再生光学系の開口率(NA:Numerical Aperture)であり、「λ」は、レーザ光の波長である。
ここでは、
NA = 0.45
λ = 0.78(μm) であるので、
X = 1153.8462 (本数/mm) として算出される。
NA = 0.45
λ = 0.78(μm) であるので、
X = 1153.8462 (本数/mm) として算出される。
より詳細には、図6のA点に示されるように、空間周波数が比較的に小さい場合、分断されている一単位のグルーブ(溝)の長さは比較的に大きくなり、光学伝達特性、即ち、再生レベルは、比較的に大きくなり、「1」に近づく。他方、図6のB点に示されるように、空間周波数が、約「1154」よりも大きい場合、分断されている一単位のグルーブの長さは比較的に小さくなり、光学伝達特性、即ち、再生レベルは、「0:ゼロ」となる。
以上より、第1実施例に係るL0層のNBCAに、バーコード情報として、プリ記録されている識別情報から得られた再生RF信号に、この分断されているグルーブトラックから得られる変調信号が重畳されることは殆ど又は完全にないといえる。
仮に、例えば、図6のC点に示されるように、L0層のNBCAにおいて、グルーブトラックがグルーブトラックに沿った方向に、所定空間周波数より小さい値である600(本数/mm)によって分断されている場合、光学伝達特性、即ち、再生レベルは、約「0.5」となり、図7に示されるように、L0層のNBCAに、バーコード情報として、プリ記録されている識別情報から得られた再生RF信号に、この分断されているグルーブトラックから得られる変調信号が重畳されてしまう。
これに対して、第1実施例に係るL0層のNBCAにおいては、グルーブトラックがグルーブトラックに沿った方向に、再生光学系の光学伝達特性(MTF)に基づいて再生不可能となる所定空間周波数以上の空間周波数によって分断されている。従って、L0層のNBCAに、バーコード情報として、プリ記録されている識別情報から得られた再生RF信号に、この分断されているグルーブトラックから得られる変調信号が重畳されることは殆ど又は完全にないといえる。
(識別情報等の再生原理の第2の特徴)
次に、図9に加えて前述した図5及び図8を適宜参照して、第1実施例に係るL0層のおける識別情報、及び、L1層における記録情報の再生原理の第2の特徴について、その作用効果の検討を加えて説明する。図9は、第3比較例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報の再生原理を示した概念的断面図(図9(a))、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理を示した概念的断面図(図9(b))である。
次に、図9に加えて前述した図5及び図8を適宜参照して、第1実施例に係るL0層のおける識別情報、及び、L1層における記録情報の再生原理の第2の特徴について、その作用効果の検討を加えて説明する。図9は、第3比較例に係る2層型光ディスクのL0層のNBCAにプリ記録されている識別情報の再生原理を示した概念的断面図(図9(a))、及び、NBCAの少なくとも一部に対向したL1層の記録領域に記録されている記録情報の再生原理を示した概念的断面図(図9(b))である。
図8に示されるように、第1実施例では、グルーブトラックを分断する「所定空間周波数」を調整することで、NBCAの全体における色素の量を減少させ、識別情報を担持するバーコード情報が記録されていないNBCAの一部BA0における光透過率が、グルーブトラックが、空間周波数によって分断されていないと共にバーコード情報が記録されていないと仮定した領域BA0aの光透過率(比較的に小さい)と比べて、バーコード情報が記録されているNBCAの他部BA1における光透過率(比較的に大きい)に近付けるように構成してもよい。
その結果、前述した図5(b)に示されるように、レーザ光が照射される側から見てL0層よりも奥側に位置するL1層にフォーカスが合わされた場合(合焦点した場合)、L0層にデフォーカスされて(ぼんやりと)照射されているレーザ光の光透過率を、L0層のNBCAにおけるバーコード情報が記録されている領域又は記録されていない領域に関係なく、全体において平均して、殆ど又は完全に一定とすることが可能となる。
仮に、NBCAにおいて、グルーブトラックを分断しなかった場合、図8の左側部分、及び、図9(a)に示されるように、バーコード情報が記録されている領域、及び、記録されていない領域における光透過率を明確に異ならせることが可能となり、L0層のNBCAにプリ記録されている識別情報を再生した場合、良好な再生RF変調を得られるかもしれない。しかしながら、図9(b)に示されるように、L0層のNBCAよりも奥側に位置するL1層の記録領域に、記録されている記録情報から得られた再生RF信号においては、L0層のNBCAにおける光透過率の明確な違いが影響して、バーコード情報として記録されている識別情報から得られる変調信号が大きく影響してしまう。
これに対して、第1実施例によれば、前述した図5(b)に示されるように、レーザ光が照射される側から見てL0層よりも奥側に位置するL1層にフォーカスが合わされた場合(合焦点した場合)、L0層にデフォーカスされて(ぼんやりと)照射されているレーザ光の光透過率を、L0層のNBCAにおけるバーコード情報が記録されている領域又は記録されていない領域に関係なく、全体において平均して、殆ど又は完全に一定とすることが可能となる。従って、L0層のNBCAよりも奥側に位置するL1層の記録領域に、記録されている記録情報から得られた再生RF信号に、L0層のNBCAにおけるバーコード情報として記録されている識別情報から得られる変調信号の影響を殆ど又は完全になくすことが可能となる。
以上より、上述した図5から図9を参照して説明したように、第1実施例に係るL0層のおける識別情報、及び、L1層における記録情報の再生原理の第1及び第2の特徴によって、L0層のNBCAにおいて、識別情報を適切且つ正確にプリ記録することが可能となる。加えて、L1層に記録されている記録情報の再生に対しても、何ら悪影響を与えないことが可能となる。従って、対向するL1層を含む他の記録層の記録領域を有効に活用することが可能となる。
(情報記録媒体の第2実施例)
次に、図10を参照して、本発明の情報記録媒体の第2実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造について説明する。ここに、図10は、本発明の情報記録媒体の第2実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造の図式的断面図である。
次に、図10を参照して、本発明の情報記録媒体の第2実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造について説明する。ここに、図10は、本発明の情報記録媒体の第2実施例に係る2層型光ディスクのL0層におけるNBCAを中心とした詳細なデータ構造の図式的断面図である。
図10に示されるように、第2実施例に係る光ディスク100のデータ構造は、前述した第1実施例に係る光ディスクと概ね同様である。
L0層のリードインエリア101−0には、内周側から外周側に向かって、OPCエリアPCA0、第1レコーディングマネージメントエリアRMA1、NBCA、イニシャルゾーンINI、及び、コントロールデータゾーンCDZが設けられている。
詳細には、OPCエリアPCA0における、半径方向の位置は22.127976から22.400282mm、セクタ番号は00203A0から0022710、LPPアドレスは、FFDFC5からFFDD8Eである。
第1レコーディングマネージメントエリアRMA1における、半径方向の位置は22.400282から22.58mmである。
NBCAの位置、アドレス、及び、グルーブトラックの分断については、第1実施例の場合と同様である。
イニシャルゾーンINI、及び、コントロールデータゾーンCDZについても、第1実施例の場合と同様である。
他方、L1層のリードインエリア101−1には、内周側から外周側に向かって、OPCエリアPCA1、及び、第2レコーディングマネージメントエリアRMA2が設けられている。
詳細には、OPCエリアPCA1における、半径方向の位置はOPCエリアPCA0と同様に、22.127976から22.400282mmである。
第2レコーディングマネージメントエリアRMA2は、L0層の第1レコーディングマネージメントエリアRMA1に対向した記録領域に設けられている。
第2レコーディングマネージメントエリアRMA2の最内周端の半径方向の位置は、第1レコーディングマネージメントエリアRMA1の最内周端の半径方向の位置よりも、例えば、0.2mm等の偏心量だけ外周側にズレている。他方、第2レコーディングマネージメントエリアRMA2の最外周端の半径方向の位置については、L0層の第1レコーディングマネージメントエリアRMA1の最外周端からの偏心量を考慮しなくてもよいばかりでなく、最大で、L0層のNBCAの最外周端の半径方向の位置よりも、例えば、0.2mm等の偏心量だけ内周側にズレた位置まで配置することが可能となる。
以上より、L0層だけにおいて、識別情報がプリ記録されたNBCAが配置されるので、対向するL1層の記録領域に、例えば、第2レコーディングマネージメントエリアRMA2や、データエリア等の記録領域を配置して、より有効に活用することが可能となる。
本実施例では、情報記録媒体の一具体例として、例えば、2層型DVD−R又はDVD−R/W等の追記型又は書き換え型光ディスクについて説明したが、本発明は、例えば、3層型や、4層型等のマルチプルレイヤ型の光ディスクにも適用可能である。更に、ブルーレイ(Blue-ray)ディスク等の大容量記録媒体にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…センターホール、10…トラック、11…セクタ、100…光ディスク、101−0(101−1)…リードインエリア、102−0(102−1)…データエリア、103−0(103−1)…リードアウトエリア、104−0(104−1)…ミドルエリア、106…透明基板、107…第1記録層、107a…色素膜、108…半透過反射膜、109…ウォブル、205…中間層、207…第2記録層、208…反射膜、GT…グルーブトラック、LT…ランドトラック、LB…レーザ光、LP…ランドプリピット、PCA0(PCA1)…OPCエリア、RMA(RMA1、RMA2)…レコーディングマネージメントエリア等、NBCA…Narrow Barcode Cutting Area、INI…イニシャルゾーン、CDZ…コントロールデータゾーン、Key1(Key2)…暗号化情報
Claims (7)
- 複数の記録情報を夫々記録するための複数の記録層を備えており、
前記複数の記録層のうち、レーザ光が照射される側から見て一番手前側に位置する第1記録層は、情報記録媒体を識別するための識別情報が予めプリ記録された識別情報記録領域を有することを特徴とする情報記録媒体。 - 前記識別情報は、当該情報記録媒体に固有の情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
- 前記複数の記録層のうち前記第1記録層又は少なくとも一つの他の記録層は、前記識別情報に対応しており、前記複数の記録情報の少なくとも一部を暗号化するための暗号化情報を記録するための暗号化情報記録領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
- 前記第1記録層は、前記複数の記録情報の再生及び記録を制御するための制御情報を記録可能な制御情報記録領域を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記制御情報記録領域においては、前記識別情報記録領域が存在するか否かを示すフラグ情報を記録可能であることを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体。
- 前記複数の記録層は、前記複数の記録情報を記録するための記録トラックとして、ランドトラック及びグルーブトラックが交互に形成されている記録情報記録領域を夫々有し、
前記識別情報記録領域においては、前記グルーブトラックが前記グルーブトラックに沿った方向に、再生光学系の光学伝達特性に基づいて再生不可能となる所定空間周波数以上の空間周波数によって分断されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の情報記録媒体。 - 前記所定空間周波数は、前記再生光学系の開口率、及び、レーザ光の波長に基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の情報記録媒体。
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